JP4833798B2 - SiC単結晶の製造方法 - Google Patents

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本発明は、SiC単結晶の製造方法に関するものである。
従来より、SiC単結晶を利用するSiC半導体は、Si半導体に代わる次世代パワーデバイスの候補として、有望視されている。また、青色発光ダイオードやレーザーダイオード用の基板としても応用が期待されている。
SiC単結晶は、物理的、化学的に安定で、しかも高温や放射線に耐えられる素材であるため、耐環境性半導体材料としての応用が期待されている。また、SiCパワーデバイスは、従来のSiデバイスに比較して、デバイスでの電力の損失を大幅に低減できることから、特に、省エネルギーデバイスとして着目されている。
しかしながら、大面積を有する高品質のSiC単結晶を、工業的規模で安定的に供給し得る結晶成長技術は、未だに確立されていない。それゆえ、SiCは、上述のような多くの利点及び可能性を有する半導体材料であるにもかかわらず、これまで広く実用に供されることがなかった。
現在、比較的大口径で、高品質のSiC単結晶を得る方法として、SiC単結晶基板を種結晶として用いて、昇華再結晶を行う、改良レーリー法が知られている(非特許文献1)。この方法では、種結晶を用いているため結晶の核形成過程を制御することができ、また、不活性ガスによる雰囲気圧力を調整することにより、結晶の成長速度等を再現性良く制御できる。改良レーリー法を用いれば、SiC単結晶の結晶多形(6H型、4H型等)及び、キャリア型、及び濃度を制御しながら、SiC単結晶を成長させることができる。既にこの方法により、口径2インチ(約50mm)から3インチ(約75mm)のSiC単結晶が製造され、基板として加工され、エピタキシャル薄膜成長、デバイス試作に供されている。しかしながら、現在市販されているSiC単結晶基板は、品質面での問題が多く、今後SiC単結晶及びデバイスを実用化していくためには、結晶品質の改善が必須である。
高性能で、安定した特性のSiCパワーデバイスを実現するためには、上記SiC半導体に生じるリーク電流等の不安定性を克服することが不可欠である。これらの不安定性の原因は、SiC単結晶基板の品質に関係していると考えられている。この品質の劣化は、主として、基板内に形成されている結晶欠陥、即ち、マイクロパイプ欠陥、転位欠陥等に起因するものと考えられる。マイクロパイプ欠陥については、特にその低減について各種取り組みがなされ、マイクロパイプ欠陥の無い基板が作成できているとの報告もされてきたが、転位欠陥の低減については、特許文献1、特許文献2、特許文献3等に開示されているように、成長結晶面を変換する等の特殊な方法によるものが殆どであって、簡便で工業的に有効な手段は知られていない。
特許文献1には、良質のSiC単結晶を得るための方法が開示されている。即ち、種結晶のSiC単結晶基板上にSiC単結晶を成長させる昇華再結晶法において、種結晶として[0001]面より約60°〜約120°の角度だけずれた結晶面を露出させてあるSiC単結晶からなる種結晶を使用することが効果的であるとされている。また、特許文献2には、[0001]面から約60°〜約120°傾いたSiC単結晶の結晶面を第1の種結晶として使用して成長させた第1のSiC単結晶から、新たに[0001]ウエハを取り出し、これを第2の種結晶とし、結晶を成長させる方法が開示されている。また、特許文献3には、欠陥の少ない結晶を製造する方法が開示されている。即ち、第1成長工程、第(n−1)成長工程、n成長工程でそれぞれ、異なった結晶面を切り出して、種結晶として切り出して成長させるとしている。
最終的にデバイスを製造する場合に一般的には、[0001]面近傍の面を使用するとされており、常に種結晶上に結晶を成長させることを基本とする、昇華再結晶法においては、いずれも、異なった面を切り出して、種として成長し、再度[0001]面上に最終的に成長させる方法は、量産を前提として工程としては、不適切と考えられる。
したがって、現在までは、転位密度が8000/cm2を下回るものは市場にも殆ど提供されていないのが現状である。
また、[0001]面近傍での成長において、転位同士の相互作用により高温で形成されると考えられる、転位が近接した転位対や転位列等の欠陥は、特にデバイスの特性に影響すると考えられるが、効率的な低減方法は提案されていない。
非特許文献2には、SiC単結晶の評価が記載されている。溶融KOHエッチングによって結晶に含まれている欠陥を調べると、転位に対応するエッチピットが多数発生するとされている。
特開平5-262599号公報 特開平8-143396号公報 特開2003-119097号公報 Yu. M. Tairov and V. F. Tsvetkov, Journal of Crystal Growth, vol.52 (1981) pp.146-150 社団法人電気学会電子材料研究会1988年9月5日 資料番号EFM-88-24 p.24
上記のように、SiC結晶基板を用いたデバイスは、Siに代わる次世代のパワーデバイスとして期待されているものの、デバイス特性の安定性、歩留まりが十分ではなく、その原因は、基板の欠陥、特にマイクロパイプが第1の原因とされてきた。しかし、マイクロパイプが皆無の基板を用いてもなお、広く普及するためには、デバイス特性の安定性や歩留まりが十分ではないとされている。また、欠陥として着目されている転位を低減させることについても、効率的な方法が見出せていないのが現状である。また、転位が存在しても、デバイスの動作や特性安定性に問題のない場合もあり、どのような欠陥をどの程度低減させることが有効かも明確ではない。
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので、デバイスの歩留まり、安定性を高めるための、高品質のSiC単結晶の製造方法を提供することを目的としている。
本発明は、基板表面に終端を有する転位を低減すること、また、基板表面に終端を有する転位の内、その間隔が接近している転位対あるいは、転位列のある領域を低減することにより、デバイス品質の安定性、歩留まりを向上させることを可能とするものである。
即ち、本発明は
(1) SiC単結晶基板を種結晶に用いた昇華再結晶法により、単結晶SiCを成長させる方法において、種結晶上に結晶成長中、もしくは成長した結晶を2000℃以上2550℃未満の温度で、50℃以上500℃以下の温度差の熱サイクルを4回以上300回以下繰り返すことを特徴とするSiC単結晶の製造方法、
(2) 前記種結晶の総転位密度が30000/cm2以下である(1)に記載のSiC単結晶の製造方法、
(3) 前記種結晶が、5μm以下の近接した転位対もしくは転位列に含まれない転位密度が15000/cm2以下の種結晶である(1)又は(2)に記載のSiC単結晶の製造方法、
(4) 前記種結晶が4H型又は6H型である(1)〜(3)のいずれか一項に記載のSiC単結晶の製造方法、
(5) 前記種結晶の面方位が、[0001]面、もしくは[0001]面から10°以内の傾角を有する面である(1)〜(4)のいずれか一項に記載のSiC単結晶の製造方法。
(6) 前記種結晶が円板状であり、該円板の直径が60mm以上である(1)〜(5)のいずれか一項に記載のSiC単結晶の製造方法、
(7) 前記種結晶において、窒素原子が1×1018cm-3以上含まれている(1)〜(6)のいずれか一項に記載のSiC単結晶の製造方法、
(8) 前記熱サイクルが、1サイクル2.8時間以上20時間以下である(1)〜(7)のいずれか一項に記載のSiC単結晶の製造方法、
(9) (1)〜(8)のいずれか一項に記載の製造方法で得られるSiC単結晶を切断、研磨することを特徴とするSiC単結晶基板の製造方法、
ある。
本発明によれば、結晶中の転位を高温の条件下で、移動させることにより、転位を近接位置に密集又は消滅させることができる。本発明により製造された結晶から、切断、加工された基板においては、表面に終端を有する転位密度が大幅に低減した領域を拡大することができ、この基板を使用して製造されるデバイスは、電気的な特性が安定し、高い歩留まりを得ることができる。
本発明では、SiC基板上にデバイスを製造するための高品質の基板を提供するものである。欠陥の無い基板が理想ではあるが、このような欠陥の無い基板を工業的に生産することは極めて困難であり、また、その製造方法についても複雑な工程を必要としたり、もしくは生産性の極めて低い方法となり、実用的ではない。特に、欠陥の内、デバイス特性の安定性に大きく寄与するマイクロパイプについては0.1個/cm2以下の基板の製造が可能になってきており、それを種結晶として結晶を成長させることにより、同等のマイクロパイプ密度を維持することが可能になってきた。しかしながら、デバイスの品質安定性は、マイクロパイプの存在しないところでも十分なレベルに到達していない。基板の欠陥としては、転位が問題として考えられるが、8×103/cm2レベル以上の数があっても、動作は確認されている場合があり、品質安定性劣化との関係が不明であった。
基板の中に存在する転位の内、転位の相互作用により、近接する転位対あるいは転位列に着目し、それらの欠陥が存在する領域を低減することが、デバイス製造において、安定性の高いデバイスを高い歩留まりで製造できることを見出した。特に5μm以下の近接した転位対又は転位列が、デバイスの安定性を左右することを見出した。さらに好ましくは、10μm以下の近接する転位対又は転位列を低減することで、さらにデバイスの品質の安定性が確保できると考えられる。領域を定めるのに5mm角としたのは、SiCを基板として用いて製造する半導体の特性の利点を活かすためには、5mm角程度の大きさあるいはそれ以上の大きさのデバイスが有効であるためである。5mm角より大きいサイズのデバイスでも、全体に占める、転位対、転位列の無い領域の面積が大きいことが、有効であることは同様である。デバイスの安定性を考慮して、歩留まりが最低約50%以上であれば、Siデバイスを置き換えるのに可能な実用性として考えられるので、転位対、転位列が存在する領域が50%以下の基板を実用可能な基板とした。さらに実用化を加速するための低コスト化、品質安定化のためには、10%以下が好ましく、デバイス工程での高温での熱処理等を考慮すると、転位対、転位列の無い領域の転位密度は8000/cm2以下が好ましく、4000/cm2以下がさらに好ましい。
改良レーリー法では、種結晶を用いて、その種結晶上に結晶を成長させる。そのため、種結晶表面に終端を有する転位が存在すると、その転位欠陥を引き継いで成長される。また、成長中の熱応力等によりに新たな転位が発生すこともある。また、転位は応力場を持っているために、転位同士の相互作用により、成長中に近接して存在するものが増加する。デバイスを製造においては、そのような転位対等の欠陥が存在する場合には、総転位数が同じならば、転位対又は転位列が一様に分散することより、特定な領域に密集していることが、デバイスの歩留まり、安定性が高まることが明らかとなっている。本発明において、転位対又は転位列の存在する領域を低減にするためには、種結晶から引き継いで発生する転位対又は転位列を低減させると同時に、成長中の結晶の転位を移動させて、密集させることが有効である。
成長中の転位を移動させて、欠陥の少ない領域を増大させる方法としては、成長中の結晶の温度を制御することにより、移動させることが可能である。SiC結晶中の転位の移動の活性化エネルギーは極めて高く、単に高温にするだけでは、十分な移動が期待できない。成長中の結晶の中心から周辺部への温度勾配(周辺が高温)を5〜20℃/cm程度つけることが、成長中の転位の移動には有効である。そのときの結晶の温度は2000℃以上であることが好ましい。また、結晶成長中に結晶を2000℃以上の温度で50℃以上500℃以下の温度幅の熱サイクル処理を回以上行なうことが、転位の移動に有効である。これは、熱平衡により存在する点欠陥が、高温側で多く生成し、低温側では転位等の欠陥部分で吸収消滅するために、転位の移動の駆動力となるからである。即ち、熱サイクル処理における温度サイクルで高温、低温が繰り返されることにより、点欠陥の生成、消滅が行われ、転位の移動が促進されるものと考えられる。1サイクルの時間は、1時間以上、好ましくは2.8時間以上、より好ましくは3時間以上であるのがよい。20時間を超えると、成長時間内では、非効率的となり好ましくない。サイクル回数は、回以上、好ましくは5回以上である。回未満では、通常の結晶成長時の熱履歴、即ち、原料の加熱、結晶成長、冷却の工程における転位の移動の程度と実質的な差異が得られず、結晶の加熱、冷却時、もしくは結晶成長時に導入される歪による転位の増加を打ち消して、転位を低減する効果に乏しい。回以上の熱サイクル処理を行なうことが転位移動による欠陥の少ない領域の生成に効果的である。熱サイクル処理のサイクル数は多い程好ましいが、生産性を阻害しない範囲では、300回以下とすることが適当と考えられる。ただし、結晶成長後、同様の熱サイクル処理を行うことも有効であるが、成長中が最も好ましい。2550℃以上の温度では、部分的な分解が起こり易く、この温度範囲での1時間以上の加熱は、新たな欠陥が導入される可能性が高くなり、好ましくない。熱サイクル処理における温度サイクルの温度、時間、温度幅は総サイクル数の中で、各サイクルで同一でなくてもよく、上記条件の範囲であれば、それぞれの組み合わせでもよい。
転位の移動は、転位の相互作用により、存在する領域を偏在させると同時に、転位の消滅確率が増えることになり、総転位密度の低減にも効果がある。種結晶として用いる結晶としては、総転位密度が30000/cm2以下であることが好ましく、また転位対もしくは転位列に含まれない転位密度が15000/cm2以下であることが好ましい。本発明の方法により製造した結晶から種結晶を切り出し、再度温度サイクルを付与した本発明の製造方法を適用することが効果的である。同様に複数回、好ましくは3回以上の繰り返しは高品質の結晶を得るためには効果的である。但し、結晶内の転位の数が極端に少なくなると、結晶成長における結晶構造の維持が不安定となり、多結晶や多形の異なった欠陥が入り易くなる。特に、[0001]面方位もしくは[0001]方位から10°以内の種結晶を用いた場合、安定した成長のためには、最終的に成長させた結晶の転位の密度としては、転位対、転位列を含めた総転位密度として、好ましくは300/cm2程度以上、さらに好ましくは1000/cm2程度以上であることが、安定して工業的に結晶成長を行う製造方法として適している。
一方、デバイスを製造した場合の特性の安定性を確保するためには、結晶中の転位密度が低減していることが好ましく、転位列がなく、8000/cm2以下の転位密度の領域であれば、顕著な歩留まり低下は認められない。
上記の転位の配置の制御、結晶安定性の効果を得るためには、不純物として窒素原子が含まれていることが有効であり、好ましくは1×1018cm-3以上、より好ましくは5×1018cm-3以上含まれているのがよい。特に4H型の結晶を製造する場合には、窒素原子が1×1018cm-3以上含まれていると、新たな欠陥を生じることがなく、上記効果を得るために好適である。窒素の含有の上限は8×1020cm-3以下であり、これより高濃度では結晶性の劣化が顕著となる。
結晶のパワーデバイスの製造については、4H型の結晶が一般に用いられているが、6H型の結晶についても、転位対、転位列の制御については、上記と同様の手法が有効である。また、使用される結晶面は、[0001]面、もしくは[0001]面から10°以内の傾きの面で製造されることが、デバイス特性面から優れている。基板の生産性、工業生産の観点からは、同一結晶方位の結晶を製造し、その結晶から成長方向にほぼ垂直、もしくは垂直から10°以内に切り出して種結晶とし、さらに、デバイス用の基板、もしくは種用の基板をその上に成長させることの繰り返しが好ましい。
SiCエピタキシャル薄膜は、デバイスを製造する場合には、通常基板の上面に形成されるが、基板の欠陥を引き継ぐことが知られており、結晶基板表面の転位分布を上記した手法により制御しておくことが重要である。エピタキシャル成長中に転位対、転位列を移動させたり、消滅させることは、困難である。デバイスを製造する場合のエピタキシャル薄膜の厚みは、3μm〜30μmが一般的である。
結晶のサイズは、デバイスを製造する場合、また結晶を製造する場合にも、大口径であることが、製造の低コスト化を実現し易くて好ましいが、結晶欠陥の制御がより困難となる。直径50mm以上の結晶では、特に上記転位欠陥の制御による結晶の高品質化が効果的であり、60mm以上では、他の方法では特に欠陥の少ない結晶の製造が困難となっている。また75mm以上のさらに大型の結晶では、結晶成長中に歪が入り易く、総転位密度を低減することが困難となるので、転位の分布に着目した本発明による結晶の高品質化が有用である。直径250mm超では、単結晶化が困難であること等、熱サイクル処理では消滅が困難な転位以外の欠陥が主として問題となると考えられる。したがって、本発明は直径約250mm以下の結晶への適用が有効である。
種結晶から成長する結晶の長さについては、15mm以上200mm以下が好ましい。15mm以下では、毎回使用される種結晶を多量に消費することとなり、また結晶成長を行うための坩堝の加熱、冷却の回数が頻繁となり、生産性の観点から不適である。生産性の観点からは、長い方が好ましいが、200mm以上では坩堝の温度制御の安定性の確保が困難となり、歩留まりの低下が顕著となる。成長時間が長くなると、その間に突発的な異常、たとえば供給される電源の不安定性や振動等により結晶成長が不安定となり、新たな欠陥を発生させる確率が高くなる。
(実施例1)
種結晶として直径52mmの[0001]面を有する4H型のSiC単結晶基板を用意した。種結晶は総転位密度が約12000/cm2の結晶から切り出して加工した。次に、種結晶1を黒鉛製坩堝3の蓋4の内面に取り付けた。黒鉛製坩堝3の内部には、SiC結晶原料粉末2を洗浄した後に充填した。
次いで、原料を充填した黒鉛製坩堝3を蓋4で閉じ、黒鉛製フェルト7で被覆した後、黒鉛製支持棒6の上に乗せ、二重石英管5の内部に設置した。その後、石英管内部を真空排気した後、雰囲気ガスとして高純度Arガスに約7%の窒素ガスを混合した混合ガスを流入させ、石英管内圧を一定の減圧に保ちながら、ワークコイルに電流を流し、原料温度を目標温度である2400℃まで上昇させ、基板上に結晶を成長させた。成長速度は平均約1mm/時であった。この間の坩堝温度の計測は、坩堝上部及び下部を覆うフェルトの中央部に直径2〜4mmの光路を設け、2色温度計を用いて行った。坩堝下部の温度を原料温度、坩堝上部の温度を種温度とした。成長時間は約25時間で、結晶の高さは約25mmであった。成長開始後、成長時間内の約12時間の間に、約3時間で一周期の割合で、種結晶温度2250℃〜2310℃の範囲で温度の上下をさせた。コイル位置を上下させる方法とコイル電流を制御する方法とで種の温度を制御した。図2にこの際の熱サイクル処理の温度サイクルを模式的に示す。
成長した結晶から、厚さ0.4mmの[0001]面方位の基板をワイヤソーで切り出し、洗浄し、研磨した。基板は、いずれも4H型の単結晶であり、X線回折並びにX線トポグラフ撮影によって多結晶が混在していないことが確認された。研磨された基板をKOHでエッチングし、転位分布を観察した。
基板の領域分割を図1に模式的に示す。基板の中心を中央の5mm角メッシュ(45番)の中心として、基板全体を5mm角に分割した。基板端部で5mm角メッシュが欠ける部分(03、12番等)は除き、基板内に完全に含まれるメッシュのみを領域(図1の網掛け部分)としてカウントした。それぞれの領域の中で、転位ピットが5μm以下の間隔で存在する領域がある番号を順次積算し、総メッシュ(端部に欠けの無いもの)で除してその割合(%)を計算した。その結果、16%が転位対、転位列が含まれている領域であることが判明した。また、転位対、転位列の無い領域の平均の転位密度は3500/cm2であった。なお、基板サイズは、種結晶とほぼ同等で、直径52mmであった。
(実施例2)
実施例1と同様に、基板サイズが直径70mmの基板を種結晶として使用し、坩堝のサイズの口径の大きいものを準備して、結晶成長を行った。種結晶の総転位密度は約10000/cm2程度である。結晶成長後5時間後から10時間後までの間で、上下50℃の範囲で5サイクルの熱サイクル処理を実施した。その結果、実施例1と同様の転位分布の観察により、転位対、転位列が含まれている領域は32%であることが判明した。また、転位対、転位列の無い領域の平均の転位密度は5000/cm2となった。なお、基板サイズは直径約72mmであった。
(実施例3)
実施例1に記載した方法と同様の方法で結晶を作成し、そこから基板を切り出し、表面を研磨した後、基板表面に市販のSiC用のCVDエピタキシャル成長装置にて、SiC単結晶膜を2時間で約10μmの厚さで形成した。
基板の面方位は<0001>より4°傾斜させたものに成長させた。エピタキシャル成長膜の表面の転位分布を、実施例1記載と同様の方法で、観察した。その結果、転位対、転位列が含まれている領域は10%であることが判明した。また、転位対、転位列の無い領域の平均の転位密度は4000/cm2であった。基板の転位の分布とほぼ同等の水準の転位対、転位列の領域の数値となり、また、転位列のない部分の転位密度はやや増加しているが、ほぼ同程度の数値となっていた。
(実施例4)
導入する窒素の含有量を変化させた以外は、実施例1に記載した方法と同様の方法で、結晶成長時の4Hポリタイプの安定性を検討した。単結晶SiC基板の窒素含有量は二次イオン質量分析法により調べた。各条件で10回の成長を行った。各条件の場合分けで4H以外の結晶ポリタイプが観察された回数は、窒素原子が(1〜4)×1018cm-3含まれている場合が1回で、窒素原子が(5〜9)×1018cm-3含まれている場合が0回で、窒素原子が(1〜9)×1019cm-3含まれている場合が1回であった。また、回数で結晶タイプの変換は見られなかった。窒素原子が(5〜9)×1017cm-3の場合は5回であった。
(実施例5)
転位密度の低減のための温度サイクルの効果を調査する目的で、種々の条件下で検討を行った。装置の基本構成と成長の基本の方法は実施例1の場合と同様である。
種結晶として、直径52mm、77mm、82mmの[0001]面を有するSiC単結晶基板を用意した。
各種成長の条件と結晶成長の歩留まり、基板の転位密度の結果を表1に示す。温度サイクルの条件は、成長開始後成長中、成長中並びに成長後坩堝内、及び成長終了冷却後再加熱を含む回数とした。
本発明における温度サイクル条件を適用した場合には、いずれも、転位密度の低減がみられ、転位対、転位列が含まれる領域は、50%以下となっている。比較例においては、温度サイクルが1回のもの、サイクルが0回のものでは、いずれも転位対、転位列が含まれる領域が50%超となっており、また、転位密度の低減効果はなく、増加するものもあった。
なお、種結晶基板並びに成長した結晶の直径は、本発明1〜8及び比較例1、2は52mm、本発明9、10はそれぞれ77mm、82mmであった。使用した種結晶は、本発明1〜6については、転位対、転位列が含まれる領域が60%以上であった。また、本発明7及び8は、それぞれ本発明1、2の方法で作成された結晶から切り出した種結晶を使用して新たに成長を行ったものである。本発明9及び10については、種結晶として、転位対、転位列が含まれる領域が約60%であった。なお、本発明6の再加熱は、結晶成長中に全サイクル数の半分、冷却後再度加熱して残りの半分のサイクルの熱処理を行った。
Figure 0004833798
図1は、本発明における、領域分割を説明するための説明図である。 図2は、本発明における、温度サイクルを説明するための説明図である。 図3は、本発明の製造方法に用いられる単結晶成長装置の一例を示す構成図である。
符号の説明
1…単結晶SiC種結晶
2…SiC粉末原料
3…黒鉛製坩堝
4…黒鉛製坩堝蓋
5…二重石英管
6…支持棒
7…黒鉛製フェルト
8…ワークコイル
9…Arガス配管
10…Arガス用マスフローコントローラ
11…窒素ガス配管
12…窒素ガス用マスフローコントローラ
13…真空排気装置

Claims (9)

  1. SiC単結晶基板を種結晶用いた昇華再結晶法により、単結晶SiCを成長させる方法において、種結晶上に結晶成長中、もしくは成長した結晶を2000℃以上2550℃未満の温度で、50℃以上500℃以下の温度差の熱サイクルを回以上300回以下繰り返すことを特徴とするSiC単結晶の製造方法。
  2. 前記種結晶の総転位密度が30000/cm 2 以下である請求項1に記載のSiC単結晶の製造方法。
  3. 前記種結晶が、5μm以下の近接した転位対もしくは転位列に含まれない転位密度が15000/cm 2 以下の種結晶である請求項1又は2に記載のSiC単結晶の製造方法。
  4. 前記種結晶が4H型又は6H型である請求項1〜3のいずれか一項に記載のSiC単結晶の製造方法。
  5. 前記種結晶の面方位が、[0001]面、もしくは[0001]面から10°以内の傾角を有する面である請求項1〜4のいずれか一項に記載のSiC単結晶の製造方法。
  6. 前記種結晶が円板状であり、該円板の直径が60mm以上である請求項1〜5のいずれか一項に記載のSiC単結晶の製造方法。
  7. 前記種結晶において、窒素原子が1×10 18 cm -3 以上含まれている請求項1〜6のいずれか一項に記載のSiC単結晶の製造方法。
  8. 前記熱サイクルが、1サイクル2.8時間以上20時間以下である請求項1〜7のいずれか一項に記載のSiC単結晶の製造方法。
  9. 請求項のいずれか一項に記載の製造方法で得られるSiC単結晶を切断、研磨することを特徴とするSiC単結晶基板の製造方法。
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