JP4833614B2 - 連続熱処理設備の速度制御方法、装置、及びコンピュータプログラム - Google Patents

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Description

本発明は、連続溶融めっき設備や連続焼鈍設備等の連続熱処理設備での通板の中央速度を制御するための速度制御方法、装置、及びコンピュータプログラムに関する。
例えば鉄鋼業等の金属製造プラントで、金属ストリップの連続溶融めっき設備や連続焼鈍設備等の連続熱処理設備において、加熱炉入側から合金化炉出側までの間、または加熱炉入側から一連の熱処理炉出側までの間の通板の中央速度を制御する場合、設備能力や製造仕様といった制約条件に基づいて制約速度スケジュール(本明細書では「ネック速度スケジュール」と称する)を決定する必要がある。制約条件が複数存在する場合は、それら制約条件をすべて満たすように、各制約条件から求められる理論制約速度の最低速度をネック速度スケジュールとして抽出する。
ネック速度スケジュールが決定されたならば、それをベースにして適宜な加減速レートで速度変更させるのであるが、固定的に決められている加減速レートで速度変更した場合、板温が上下限範囲を外れる等して操業を不安定にする結果をまねくおそれもある。
現在のところ、ネック速度スケジュールを画面表示する等のガイダンスレベルのシステム構築はなされているものの、最終的な速度決定はオペレータの判断によるものとされているのが実情である。
連続熱処理設備での通板速度を制御する技術として、例えば特許文献1には、板温測定値に基づいてライン速度の加減速レートを自動設定することにより、連続焼鈍炉に通板される鋼帯に板温外れを生じさせることなく、適正な加減速レートで鋼帯のライン速度を変更するようにしたライン速度の加減速レート自動設定システムが開示されている。
また、特許文献2には、炉負荷燃焼、熱処理方法による制約に基づいて中央速度の制約速度を算出する工程と、加減速率の決定を行う工程とを行うようにした連続焼鈍ラインの中央速度制御方法が開示されている。
また、特許文献3には、推定された板温変化量とストリップの目標板温との偏差が許容範囲外である場合には、加熱炉の炉温制御及びストリップの通板速度の修正制御を行うようにした連続焼鈍炉における板温制御方法が開示されている。
特開2003−226911号公報 特開平6−330182号公報 特開平2−258933号公報
しかしながら、特許文献1に開示されたライン速度の加減速レート自動設定システムでは、制約条件に基づくネック速度スケジュールが考慮されていないという問題がある。
また、特許文献2に開示された連続焼鈍ラインの中央速度制御方法では、加減速率を決定するに際して、実験から知見された各熱処理炉の板温変動しない限界速度(律速線)を用いるが、あくまでも実験に基づくものであるため、厳密性に欠けるという問題がある。
また、特許文献3に開示された板温制御方法では、推定された板温変化量とストリップの目標板温との偏差が許容範囲外である場合に、加熱炉の炉温制御及びストリップの通板速度の修正制御を行うものであり、板温変化量と速度変更レートを同時に計算して最適操業条件を決定する技術ではない。
本発明は上記のような点に鑑みてなされたものであり、制約条件に基づくネック速度スケジュールを考慮しつつ板温が上下限範囲を外れることなく、厳密性を保ちながら、板温変化量と速度変更レートを同時に計算して可及的に良好な操業条件を決定することを目的とする。
本発明による連続熱処理設備の速度制御方法は、加熱炉を含む複数の熱処理炉からなる、金属ストリップの連続熱処理設備での通板の中央速度を制御するための速度制御方法であって、前記連続熱処理設備の各熱処理炉での設備能力、および、前記金属ストリップの板幅と板厚を含む製造仕様を含む制約条件に基づいて、各熱処理炉の数式モデルを用いて各熱処理炉の理論制約速度を算出し、前記各熱処理炉の理論制約速度の最低速度を求めることにより、前記金属ストリップが現在から所定距離だけ進行する間の制約速度スケジュールであるネック速度スケジュールを作成するネック速度スケジュール作成手順と、前記ネック速度スケジュール作成手順により作成されたネック速度スケジュールをベースにして、予め用意した複数パターンの速度変更タイミング及び速度変更レートに基づいて速度スケジュールを作成し、それぞれの速度スケジュールについて前記連続熱処理設備に含まれる熱処理炉を模擬したシミュレータにより板温を予測するシミュレーション手順と、前記シミュレーション手順により得られた板温および目標板温並びに速度変更レートを要素として含む評価関数を使用して、速度変更タイミング及び速度変更レートを決定する中央速度探索手順とを実行する点に特徴を有する。
また、本発明による連続熱処理設備の速度制御方法の他の特徴とするところは、通板の中央速度の上限値及びネック速度スケジュールに対するバイアス値をオペレータから入力可能としておき、前記シミュレーション手順では、入力された中央速度の上限値及びネック速度スケジュールに対するバイアス値を考慮した上で、予め用意された複数パターンの速度変更タイミング及び速度変更レートに基づいて速度スケジュールを作成する点にある。
本発明による連続熱処理設備の速度制御装置は、加熱炉を含む複数の熱処理炉からなる、金属ストリップの連続熱処理設備での通板の中央速度を制御するための速度制御装置であって、前記連続熱処理設備の各熱処理炉での設備能力、および、前記金属ストリップの板幅と板厚を含む製造仕様を含む制約条件に基づいて、各熱処理炉の数式モデルを用いて各熱処理炉の理論制約速度を算出し、前記各熱処理炉の理論制約速度の最低速度を求めることにより、前記金属ストリップが現在から所定距離だけ進行する間のネック速度スケジュールを作成するネック速度スケジュール作成手段と、前記ネック速度スケジュール作成手段により作成されたネック速度スケジュールをベースにして、予め用意した複数パターンの速度変更タイミング及び速度変更レートに基づいて速度スケジュールを作成し、それぞれの速度スケジュールについて前記連続熱処理設備に含まれる熱処理炉を模擬したシミュレータにより板温を予測するシミュレーション手段と、前記シミュレーション手段により得られた板温および目標板温並びに速度変更レートを要素として含む評価関数を使用して、速度変更タイミング及び速度変更レートを決定する中央速度探索手段とを備えた点に特徴を有する。
また、本発明による連続熱処理設備の速度制御装置の他の特徴とするところは、通板の中央速度の上限値及びネック速度スケジュールに対するバイアス値をオペレータが入力できる入力手段をさらに備え、前記シミュレーション手段では、入力された中央速度の上限値及びネック速度スケジュールに対するバイアス値を考慮した上で、予め用意された複数パターンの速度変更タイミング及び速度変更レートに基づいて速度スケジュールを作成する点にある。
本発明によるコンピュータプログラムは、加熱炉を含む複数の熱処理炉からなる、金属ストリップ連続熱処理設備での通板の中央速度を制御するための処理をコンピュータに実行させるコンピュータプログラムあって、前記連続熱処理設備の各熱処理炉での設備能力、および、前記金属ストリップの板幅と板厚を含む製造仕様を含む制約条件に基づいて、各熱処理炉の数式モデルを用いて各熱処理炉の理論制約速度を算出し、前記各熱処理炉の理論制約速度の最低速度を求めることにより、前記金属ストリップが現在から所定距離だけ進行する間の制約速度スケジュールであるネック速度スケジュールを作成するネック速度スケジュール作成処理と、前記ネック速度スケジュール作成処理により作成されたネック速度スケジュールをベースにして、予め用意した複数パターンの速度変更タイミング及び速度変更レートに基づいて速度スケジュールを作成し、それぞれの速度スケジュールについて前記連続熱処理設備に含まれる熱処理炉を模擬したシミュレータにより板温を予測するシミュレーション処理と、前記シミュレーション処理により得られた板温および目標板温並びに速度変更レートを要素として含む評価関数を使用して、速度変更タイミング及び速度変更レートを決定する中央速度探索処理とをコンピュータに実行させる点に特徴を有する。
本発明によれば、制約条件に基づくネック速度スケジュールを考慮しつつ、熱処理炉を模擬したシミュレータによりシミュレーションを行うことで厳密性を保ちながら、板温変化量と速度変更レートを同時に計算して可及的に良好な操業条件を決定することができる。
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。図2に概要のみを示すが、鋼材等の金属ストリップ(ストリップ)100が加熱炉200、均熱炉300、及び合金化炉400に連続的に通板される連続熱処理設備の例である。
図1に、本発明を適用した連続熱処理設備の速度制御装置の構成を示す。本実施形態の速度制御装置は、図2に示した連続熱処理設備での通板の中央速度を制御するものである。
1は入力部であり、通板の中央速度の上限値及びネック速度スケジュールに対するバイアス値をオペレータが入力するためのものである。図3に、入力部1の一例としてオペレータ介入操作盤を示す。ここでは、任意の上限値[mpm]、及び、0〜−100[mpm]の範囲で任意のバイアス値を入力することができる。
2はネック速度スケジュール作成部であり、連続熱処理設備の各熱処理炉200、300、400での制約条件に基づいて、現在からストリップ100がx[m]進行する間のネック速度スケジュールを作成する。
3は加熱炉シミュレータであり、ネック速度スケジュール作成部2により作成されたネック速度スケジュールをベースにして、入力部1から入力された中央速度の上限値及びネック速度スケジュールに対するバイアス値を考慮した上で、予め用意された複数パターンの速度変更タイミング及び速度変更レートに基づいて速度スケジュールを作成し、それぞれの速度スケジュールについて加熱炉200の出側板温の応答性をシミュレーションにより予測する。
4は中央速度探索部であり、加熱炉200の出側板温の応答性及び速度変更レートを要素として含む評価関数を使用して、最適と考えられる速度変更タイミング及び速度変更レートを決定する。そして、決定された速度変更タイミング及び速度変更レートに基づいて連続熱処理設備での通板の速度制御を実行する。
5は表示装置であり、例えばネック速度スケジュール作成部2により作成されるネック速度スケジュールや、加熱炉シミュレータ3により作成される複数パターンの速度スケジュールを可視的に画像表示する。これにより、オペレータに対する操業ガイダンス機能の向上が実現される。
図4は、本実施形態における連続熱処理設備の速度制御の処理動作を説明するためのフローチャートである。
まず、ステップS1において、ネック速度スケジュール作成部2は、加熱炉200、均熱炉300、及び合金化炉400での理論制約速度を算出する。
例えば加熱炉200での設備仕様上の加熱能力に基づく理論制約速度VCHFは、下式(1)のように適宜な数式モデルf1を用いて算出される。
VCHF=f1(TPH,ρ,WD,TH,VR)・・・(1)
ただし、TPH:T/H[ton/hour]、ρ:比重[ton/m3]、WD:板幅[m]、TH:板厚[m]、VR:速度達成率[−]である。
また、均熱炉300での設備仕様上の均熱時間に基づく理論制約速度VCRSFは、下式(2)のように適宜な数式モデルf2を用いて算出される。
VCRSF=f2(PLRSF,TrefRSF)・・・(2)
ただし、PLRSF:均熱炉パス長[m]、TrefRSF:均熱時間[sec]である。
また、合金化炉400での設備仕様上の合金化時間に基づく理論制約速度VCHOは、下式(3)のように適宜な数式モデルf3を用いて算出される。
VCHO=f3(PLHO,TrefHO)・・・(3)
ただし、PLHO:合金化炉パス長[m]、TrefHO:合金化時間[sec]である。
次に、ステップS2において、ネック速度スケジュール作成部2は、上記ステップS1で算出された各熱処理炉200、300、400での理論制約速度VCHF、VCRSF、VCHOに基づいて、現在からストリップ100がx[m]進行する間のネック速度スケジュールを作成する。
具体的には、図5(a)に示すように、各熱処理炉200、300、400での理論制約速度VCHF、VCRSF、VCHOをすべて満たすように、理論制約速度VCHF、VCRSF、VCHOの最低速度をネック速度スケジュールVCminとして抽出する。
次に、ステップS3において、加熱炉シミュレータ3は、上記ステップS2で作成されたネック速度スケジュールVCminをベースにして、入力部1から入力された中央速度の上限値及びネック速度スケジュールに対するバイアス値を考慮した上で、予め用意された複数パターンの速度変更タイミング及び速度変更レートに基づいて速度スケジュールVを作成し、それぞれの速度スケジュールVについて加熱炉200の出側板温の応答性をシミュレーションにより予測する。
具体的には、図5(b)に示すように、上記ステップS2で作成されたネック速度スケジュールVCminを、入力部1から入力されたバイアス値分だけ下げるとともに、入力部1から入力された上限値を超える部分をカットする(図中点線を参照)。そして、予め用意された複数パターンの速度変更タイミング及び速度変更レートに基づいて、複数パターンの速度スケジュールVを作成する。図5(b)には、速度変更レートを変更している様子の一例を示す。
本実施形態では、加熱炉シミュレータ3により予測する加熱炉200の出側板温の応答性として、図6に示すように、複数パターンの速度スケジュールVそれぞれについて、加熱炉200の出側板温の目標板温に対する誤差予測値ΔTS(t)[℃]を求める。加熱炉200の出側板温の目標板温は、不図示のプロセスコンピュータにより生産スケジュールに従って決定されている。
図7には加熱炉シミュレータ3の概要を示す。本実施形態の加熱炉シミュレータ3では、下式の1〜5で表わされるラジアントチューブ温度モデル701、炉温モデル702、ハースロール温度モデル703、板温モデル704、炉壁温度モデル705が構築されており、これら数式モデルを用いて加熱炉200での熱処理を模擬演算し、複数パターンの速度スケジュールVそれぞれについて加熱炉200の出側板温の誤差予測値ΔTS(t)[℃]を求める。
Figure 0004833614
なお、本実施形態では、熱処理炉200、300、400のうち加熱炉200の板温変化が操業上で重要であることから、加熱炉200を模擬したシミュレータを構築するようにしたが、例えば各熱処理炉200、300、400についてシミュレータを構築するようにしてもよい。
図8は、ステップS3において複数パターンの速度変更タイミング及び速度変更レートに基づいて速度スケジュールVを作成し、それぞれの速度スケジュールVについて加熱炉200の出側板温の応答性をシミュレーションにより予測するための処理動作を詳細に説明するためのフローチャートである。
例えば、速度変更タイミングのパターンα(i)がi=0〜Nまで、速度変更レートのパターンβ(j)がj=0〜Mまで用意されているものとする。
最初は、i=0から始め(ステップS301)、速度変更タイミングパターンα(i)を設定し(ステップ302)、j=0の速度変更レートパターンβ(i)を設定してΣΔ
TS(t)2を求めてデータベースへ格納する(ステップS303〜S305)。
次に、jに1を加算して(ステップS306)、jが最大となるまで、すなわちj=MとなるまでステップS302〜S305を繰り返す(ステップS307)。
その後、iに1を加算して(ステップS308)、iが最大となるまで、すなわちi=NとなるまでステップS302〜S308を繰り返す(ステップS309)。
以上述べた処理により、複数パターンの速度変更タイミング(i=0〜N)及び速度変更レート(j=0〜M)に基づいて速度スケジュールVを作成し、それぞれの速度スケジュールVについてΣΔTS(t)2を取得することができる。
次に、ステップS4において、中央速度探索部4は、加熱炉200の出側板温の応答性(誤差予測値ΔTS(t))及び速度変更レートを要素として含む評価関数Jsを使用して、最適と考えられる速度変更タイミング及び速度変更レートを決定する。
具体的には、上記ステップS3で算出されたΣΔTS(t)2と、速度変更レートVra
te[mpm/sec]と、適宜な重みw[−]とにより、下式(4)により構成される評価関数Jsが最小の値をとる速度変更タイミング及び速度変更レートを決定する。
s=ΣΔTS(t)2+w・(1/Vrate)・・・(4)
その後、ステップS4により決定された速度変更タイミング及び速度変更レートに基づいて連続熱処理設備での通板の速度制御を実行する。
以上述べたように、制約条件に基づくネック速度を考慮しつつ、加熱炉200を模擬したシミュレータによりシミュレーションを行うことで厳密性を保ちながら、板温変化量と通板の中央速度との相関の最適化を図ることができる。
なお、以上述べた実施形態の速度制御装置は具体的にはコンピュータシステム或いは装置により構成されるものである。したがって、上述した機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体をシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成されることは言うまでもない。
この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が上述した実施形態の機能を実現することになり、プログラムコード自体及びそのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等を用いることができる。
本実施形態の連続熱処理設備の中央速度制御装置の構成を示す図である。 本実施形態の連続熱処理設備の概要を説明するための図である。 オペレータ介入操作盤を示す図である。 連続熱処理設備の速度制御の処理動作を説明するためのフローチャートである。 進行距離と速度との関係を示す図であり、(a)がネック速度スケジュールを作成する様子を示す図であり、(b)が速度スケジュールを作成する様子を示す図である。 時間と板温との関係を示す図である。 加熱炉シミュレータの概要を示す図である。 複数パターンの速度変更タイミング及び速度変更レートに基づいて速度スケジュールを作成し、それぞれの速度スケジュールについて加熱炉出側板温の応答性をシミュレーションにより予測するための処理動作を説明するためのフローチャートである
符号の説明
1 入力部
2 ネック速度スケジュール作成部
3 加熱炉シミュレータ
4 中央速度探索部
5 表示装置
100 金属ストリップ
200 加熱炉
300 均熱炉
400 合金化炉

Claims (5)

  1. 加熱炉を含む複数の熱処理炉からなる、金属ストリップの連続熱処理設備での通板の中央速度を制御するための速度制御方法であって、
    前記連続熱処理設備の各熱処理炉での設備能力、および、前記金属ストリップの板幅と板厚を含む製造仕様を含む制約条件に基づいて、各熱処理炉の数式モデルを用いて各熱処理炉の理論制約速度を算出し、前記各熱処理炉の理論制約速度の最低速度を求めることにより、前記金属ストリップが現在から所定距離だけ進行する間の制約速度スケジュールであるネック速度スケジュールを作成するネック速度スケジュール作成手順と、
    前記ネック速度スケジュール作成手順により作成されたネック速度スケジュールをベースにして、予め用意した複数パターンの速度変更タイミング及び速度変更レートに基づいて速度スケジュールを作成し、それぞれの速度スケジュールについて前記連続熱処理設備に含まれる熱処理炉を模擬したシミュレータにより板温を予測するシミュレーション手順と、
    前記シミュレーション手順により得られた板温および目標板温並びに速度変更レートを要素として含む評価関数を使用して、速度変更タイミング及び速度変更レートを決定する中央速度探索手順とを実行することを特徴とする連続熱処理設備の速度制御方法。
  2. 通板の中央速度の上限値及びネック速度スケジュールに対するバイアス値をオペレータから入力可能としておき、
    前記シミュレーション手順では、入力された中央速度の上限値及びネック速度スケジュールに対するバイアス値を考慮した上で、予め用意された複数パターンの速度変更タイミング及び速度変更レートに基づいて速度スケジュールを作成することを特徴とする請求項1に記載の連続熱処理設備の速度制御方法。
  3. 加熱炉を含む複数の熱処理炉からなる、金属ストリップの連続熱処理設備での通板の中央速度を制御するための速度制御装置であって、
    前記連続熱処理設備の各熱処理炉での設備能力、および、前記金属ストリップの板幅と板厚を含む製造仕様を含む制約条件に基づいて、各熱処理炉の数式モデルを用いて各熱処理炉の理論制約速度を算出し、前記各熱処理炉の理論制約速度の最低速度を求めることにより、前記金属ストリップが現在から所定距離だけ進行する間のネック速度スケジュールを作成するネック速度スケジュール作成手段と、
    前記ネック速度スケジュール作成手段により作成されたネック速度スケジュールをベースにして、予め用意した複数パターンの速度変更タイミング及び速度変更レートに基づいて速度スケジュールを作成し、それぞれの速度スケジュールについて前記連続熱処理設備に含まれる熱処理炉を模擬したシミュレータにより板温を予測するシミュレーション手段と、
    前記シミュレーション手段により得られた板温および目標板温並びに速度変更レートを要素として含む評価関数を使用して、速度変更タイミング及び速度変更レートを決定する中央速度探索手段とを備えたことを特徴とする連続熱処理設備の速度制御装置。
  4. 通板の中央速度の上限値及びネック速度スケジュールに対するバイアス値をオペレータが入力できる入力手段をさらに備え、
    前記シミュレーション手段では、入力された中央速度の上限値及びネック速度スケジュールに対するバイアス値を考慮した上で、予め用意された複数パターンの速度変更タイミング及び速度変更レートに基づいて速度スケジュールを作成することを特徴とする請求項3に記載の連続熱処理設備の速度制御装置。
  5. 加熱炉を含む複数の熱処理炉からなる、金属ストリップ連続熱処理設備での通板の中央速度を制御するための処理をコンピュータに実行させるコンピュータプログラムあって、
    前記連続熱処理設備の各熱処理炉での設備能力、および、前記金属ストリップの板幅と板厚を含む製造仕様を含む制約条件に基づいて、各熱処理炉の数式モデルを用いて各熱処理炉の理論制約速度を算出し、前記各熱処理炉の理論制約速度の最低速度を求めることにより、前記金属ストリップが現在から所定距離だけ進行する間の制約速度スケジュールであるネック速度スケジュールを作成するネック速度スケジュール作成処理と、
    前記ネック速度スケジュール作成処理により作成されたネック速度スケジュールをベースにして、予め用意した複数パターンの速度変更タイミング及び速度変更レートに基づいて速度スケジュールを作成し、それぞれの速度スケジュールについて前記連続熱処理設備に含まれる熱処理炉を模擬したシミュレータにより板温を予測するシミュレーション処理と、
    前記シミュレーション処理により得られた板温および目標板温並びに速度変更レートを要素として含む評価関数を使用して、速度変更タイミング及び速度変更レートを決定する中央速度探索処理とをコンピュータに実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
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