JP7156122B2 - 被溶削材の溶削方法 - Google Patents

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Description

本発明は、被溶削材の溶削方法に関する。
溶削とは、鋼塊または鋼片の表面欠陥除去手段として、熱間、温間及び冷間の各温度域で、酸素と鉄との反応熱を利用し、鋼塊または鋼片の表面を一定量溶解し除去する作業である。溶削による被溶削材である鋼塊または鋼片の溶削量は、被溶削材の表面温度、被溶削材の移動速度、溶削酸素圧力等の溶削条件によって決まることが知られている。したがって、目的とする溶削量を得るにはそれらの条件を満足するように制御すればよい。
そこで、従来は、被溶削材の表面温度を数水準に分けて、表面温度の水準毎に溶削酸素圧を一定水準に固定して被溶削材の移動速度を変更する、あるいは、被溶削材の移動速度を一定水準に固定して溶削酸素圧力を変更することにより、溶削量を制御していた。しかしながら、溶削酸素圧力等の溶削条件はオペレータの経験に基づき設定されていたため、任意の溶削量を得る溶削条件を精度よく算出することができず、溶削量の適正な制御を行うことができなかった。このような課題に対し、例えば特許文献1や特許文献2の方法が提案されている。
特許文献1には、特性方程式(D=aCαβγ十b、D:溶削深さ、C=P/V(P:溶削酸素圧力、V:被溶削材移動速度)、T:表面温度、E:炭素当量(CEQ)、a、b、α、β、γ:材質等によって決まる定数)に基づいて、溶削酸素圧力及び被溶削材移動速度を算出し、溶削酸素圧力及び被溶削材移動速度を同時に制御することにより溶削量を制御する方法が開示されている。
特許文献2には、スカーフィング(溶削)時における被溶削材の温度とスカーフィング前後の被溶削材の断面寸法との測定値に基づいて、予め設定されている鋼種毎のスカーフィング条件と溶削量との関係から、後続の被溶削材が目標の溶削量になるような被溶削材の温度とスカーフィング条件の関係とを演算し、後続の被溶削材の溶削量制御方法が開示されている。
特開昭52-139648号公報 特開平2-207968号公報
上記特許文献1の方法では、特性方程式のそれぞれの定数を材質毎に求める必要がある。しかし、特性方程式の変数が多く材質毎に定数を求めることは実質的には困難であり、実際に様々な鋼種に適用することは難しく、溶削量を精度よく制御することができない。
また、上記特許文献2の方法を用いれば、溶削中の材料の溶削条件から後続の被溶削材の溶削条件を制御することが可能となる。しかし、上記特許文献2の方法では、鋼種毎にパラメータを設定することが必要なため、後続材の鋼種が変わると適用できず、溶削量を精度よく制御することができない。
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、溶削量を精度よく制御することが可能な、新規かつ改良された被溶削材の溶削方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、溶削対象の被溶削材について溶削前に取得された被溶削材の表面温度を含む被溶削材情報と、任意に設定された搬送速度及び溶削酸素圧力を含む溶削条件とを、機械学習モデルに入力し、被溶削材の予測溶削量を算出する予測溶削量算出ステップと、予測溶削量と予め設定された目標溶削量との差を算出し、当該差が許容値以下となるまで、搬送速度または溶削酸素圧力のうち少なくともいずれか一方を変更して予測溶削量算出ステップを繰り返し実行する判定ステップと、予測溶削量と目標溶削量との差が許容値以下となったときに設定されている搬送速度及び溶削酸素圧力で被溶削材を搬送しながら溶削する溶削ステップと、を含む、被溶削材の溶削方法が提供される。
被溶削材情報は、被溶削材の表面温度、成分値、及び、サイズを含み、溶削条件は、溶削酸素圧力、被溶削材の搬送速度、及び、溶削予熱時間を含むようにしてもよい。
機械学習モデルは、過去の実績データに含まれる被溶削材情報と溶削条件とを説明変数とし、溶削量を目的変数として、溶削量の予測値と実測値の誤差が小さくなるように各説明変数の重み係数等を調整することで予め作成されたモデルであってもよい。
被溶削材の溶削方法は、溶削ステップの実行後に、厚み測定装置により被溶削材の溶削後の厚みを測定する厚み測定ステップと、溶削後の厚みと溶削前の厚みとの差から計算される被溶削材の溶削量実績値を目的変数とし、溶削された被溶削材の被溶削材情報及び溶削条件を説明変数として、機械学習モデルを逐次学習させることにより当該機械学習モデルを更新するモデル更新ステップと、をさらに含んでもよい。
本発明によれば、溶削前に機械学習モデルを用いて目標溶削量で溶削するための溶削条件が決定されるため、溶削量を精度よく制御することが可能となる。
本発明の一実施形態に係る溶削プロセス設備の概略構成を示す説明図である。 同実施形態に係る演算装置の機能構成を示す機能ブロック図である。 同実施形態に係る被溶削材の溶削方法を示すフローチャートである。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
<1.溶削プロセス>
[1-1.設備構成]
まず、図1を参照して、本発明の一実施形態に係る溶削プロセスの設備構成について説明する。図1は、本実施形態に係る溶削プロセス設備1の概略構成を示す説明図である。
本実施形態に係る溶削プロセス設備1は、鋼片等の被溶削材の表面にある欠陥を溶削により除去するための設備である。溶削プロセス設備1では、図1に示すように、ライン上に複数配置されたテーブルロール3の回転速度を制御することにより、被溶削材Sを所定の搬送速度で搬送しながら溶削装置30によりその表面を溶削する。
溶削装置30は、酸素及び燃料ガスを噴射し、被溶削材Sの表面を溶削する装置である。溶削装置30は、まず、液化石油ガス(LPG;Liquefied Petroleum Gas)等の燃料ガスと酸素とを噴射して燃焼させることにより得られる高温炎を被溶削材Sの表面に吹き付ける。高温炎により加熱された被溶削材Sの表面は溶融する。溶削装置30は、この溶融部分に酸素を噴射して、溶融した被溶削材Sと酸化反応を起こさせる。このとき発生する酸化反応熱を利用して、被溶削材Sの表面の溶削が行われる。
溶削装置30は、被溶削材Sの上面及び下面を同時に溶削するため、上下に溶削ユニットを有している。各溶削ユニットは、被溶削材Sの厚み及び幅に応じて位置が調整され、後述する演算装置100からの溶削指示を受けて、上述のように燃料ガスと酸素とを噴射して燃焼させることにより得られる高温炎を被溶削材Sの上下の表面に吹き付け、溶削を開始する。溶削装置30の溶削酸素圧力及びテーブルロール3の回転速度(搬送速度)は、後述する演算装置100により決定される。溶削装置30による溶削酸素圧力及び搬送速度を決定する処理の詳細については後述する。
溶削装置30に対して被溶削材の搬送方向上流側には、溶削前の被溶削材Sの表面温度を測定する温度計20が設置されている。温度計20としては、例えば放射温度計を用いることができる。温度計20は、例えば、被溶削材Sの中央部の温度を測定可能なようにライン上方に設置されている。温度計20は、後述する演算装置100の指示に基づき被溶削材Sの表面温度を測定し、測定した表面温度を当該被溶削材Sの表面温度として演算装置100に出力する。
また、溶削装置30に対して被溶削材の搬送方向下流側には、溶削後の被溶削材Sの厚みを測定する厚み測定装置50が設置されている。厚み測定装置50としては、例えばレーザ距離計を用いることができ、被溶削材Sを上下に挟み込むように配置することで被溶削材Sの厚みを測定可能に構成されている。被溶削材Sを搬送装置により搬送することで、厚み測定装置50を通過する被溶削材Sの厚みが順次測定される。厚み測定装置50は、後述する演算装置100からの指示に基づき厚み測定を開始し、測定終了後、測定した被溶削材Sの厚みを厚みデータとして演算装置100に送信する。
溶削装置30による被溶削材Sの溶削量は、被溶削材Sの搬送速度または溶削酸素圧力のうち少なくともいずれか一方を調整することにより制御される。溶削時の搬送速度及び溶削酸素圧力は、演算装置100により算出される。演算装置100は、上位の指令装置であるプロセスコンピュータ10及び温度計20から取得される情報から機械学習モデルを用いて被溶削材Sの搬送速度及び溶削酸素圧力を決定する。決定された被溶削材Sの搬送速度は、テーブルロール3の回転速度を制御する搬送速度制御装置40へ出力され、溶削酸素圧力は溶削装置30へ出力される。演算装置100により決定された値に基づき、搬送速度制御装置40により被溶削材Sの搬送速度が制御され、溶削装置30による被溶削材Sの溶削が行われる。
また、演算装置100には、厚み測定装置50により測定された溶削後の被溶削材Sの厚みデータが入力される。演算装置100は当該厚みデータを溶削量に変換し、変換した溶削量と、被溶削材Sの表面温度、成分値、及び、サイズを含む被溶削材情報と、溶削酸素圧力、搬送速度、及び、溶削予熱時間を含む溶削条件とに基づき機械学習モデルを更新する。演算装置100は、次の被溶削材Sの溶削時には、更新された機械学習モデルを用いて溶削時の搬送速度及び溶削酸素圧力を決定する。
[1-2.演算装置]
図2に基づいて、本実施形態に係る演算装置100の機能構成を説明する。図2は、本実施形態に係る演算装置100の機能構成を示す機能ブロック図である。
本実施形態に係る演算装置100は、機械学習モデルを有し、溶削プロセス設備1における各装置の動作指示を出力する装置であり、被溶削材情報から溶削対象の被溶削材Sの溶削条件を決定する機能を有する。演算装置100は、CPU、ROM、RAM等の要素を備えるコンピュータにより構成可能である。なお、図2では、被溶削材Sの溶削量の算出に関係する機能部のみを示しているが、演算装置100には溶削プロセスにて行われる処理を実行するための他の機能部が備えられていてもよい。
本実施形態に係る演算装置100は、図2に示すように、機械学習モデル作成部110と、予測溶削量算出部120と、溶削条件判定部130と、溶削条件変更部140と、実績溶削量算出部150とを有する。
機械学習モデル作成部110は、過去の実績データに基づいて、被溶削材Sの溶削条件を決定するための機械学習モデルを作成する。溶削プロセスにおける過去の溶削実績は、実績データとして実績データベース(DB)60に記録されている。実績データには、被溶削材情報と溶削条件とが含まれる。被溶削材情報は、被溶削材Sの表面温度、成分値、サイズ(幅、厚み、長さ)等の情報を含む。溶削条件は、溶削酸素圧力、被溶削材Sの搬送速度、予熱時間等の情報を含む。実績データベース60には、被溶削材S毎に実績データが記録される。
機械学習モデル作成部110は、上述の実績データの被溶削材情報と溶削条件とを説明変数とし、溶削量を目的変数として、溶削量の予測値と実測値との誤差が小さくなるように各説明変数の重み係数等を調整して機械学習モデルを作成する。機械学習モデルの作成にあたっては、溶削量に影響するパラメータを説明変数として用いることで、当該モデルにより算出される溶削量の予測精度を高めることができる。
例えば、説明変数とする被溶削材情報には、被溶削材Sの表面温度、成分値、サイズが含まれる。被溶削材Sの表面温度は、被溶削材Sに与えるべきエネルギーの大きさに影響する。成分値は、被溶削材Sの融点に関係し、融点により被溶削材Sに与えるべきエネルギーの大きさは変化する。成分値による融点を表す指標としては、例えばCEQ(Equivalent Carbon Content;炭素当量)を用いることができる。また、被溶削材Sのサイズも溶削量に影響を与える。幅はドッグボーン形状等の幅方向に厚みの異なる被溶削材Sの形状による溶削量への影響を表す。長さは予熱時の熱の伝わりやすさに影響する。被溶削材Sが短いほど予熱時の熱の伝わりやすさへの影響は大きくなる。厚さは溶削開始時と終了時とでの温度降下に影響する。
また、説明変数とする溶削条件には、溶削酸素圧力、被溶削材Sの搬送速度、予熱時間が含まれる。溶削酸素圧力及び被溶削材Sの搬送速度は、被溶削材Sの表面の単位面積あたりに与えるエネルギーをコントロールする指標である。予熱時間は、溶削開始時、被溶削材Sの溶削開始位置に対して一定時間酸素ガスを吹き付けて溶鋼溜まりを生じさせる予熱処理が行われる時間を指す。予熱時間は、鋼種や被溶削材Sの表面温度によって経験的に決定される値であり、予熱処理にて生じる溶鋼溜まりの量をコントロールする指標である。
機械学習モデル作成部110では、例えば深層学習を用いてモデルを生成してもよい。深層学習は、非線形な関係をモデル化することができ、予測精度も高いことから、本実施形態のような溶削プロセスにおける被溶削材Sの溶削量の推定に適している。しかし、本発明はかかる例に限定されず、例えば層別テーブル学習、Just-in-Timeモデリング等の局所回帰モデルによりモデルを作成してもよい。
また、機械学習モデル作成部110は、作成した機械学習モデルを更新してもよい。気概学習モデルの更新は、例えば被溶削材Sの溶削を1本終える毎に実施してもよい。機械学習モデル作成部110は、溶削後に厚み測定装置50により測定された被溶削材Sの厚みデータと、当該被溶削材Sの被溶削材情報及び溶削条件とを用いて、機械学習モデルを逐次的に更新する。これにより、最新の情報から機械学習モデルによる溶削量の予測精度を高めることができる。
予測溶削量算出部120は、機械学習モデル作成部110により予め作成された機械学習モデルを用いて、溶削対象の被溶削材Sの予測溶削量を算出する。予測溶削量算出部120は、温度計20により測定された溶削対象の被溶削材Sの表面温度を機械学習モデルに入力し、設定予定の溶削酸素圧力及び被溶削材Sの搬送速度で溶削を実施した場合の被溶削材Sの予測溶削量を算出する。
溶削条件判定部130は、予測溶削量算出部120により算出された予測溶削量と目標溶削量との差を算出し、当該差が許容値内にあるか否かを判定する。目標溶削量は、プロセスコンピュータ10により、被溶削材S毎に予め決定されている。溶削条件判定部130により予測溶削量と目標溶削量との差が許容値内にあると判定された場合には、その予測溶削量を求めたときの溶削条件にて被溶削材Sを溶削する。溶削条件判定部130は、予測溶削量を求めたときの溶削酸素圧力の値を溶削装置30へ出力し、被溶削材Sの搬送速度を搬送速度制御装置40へ出力する。一方、溶削条件判定部130により予測溶削量と目標溶削量との差が許容値から外れていると判定された場合には、溶削条件変更部140により溶削条件が見直される。
溶削条件変更部140は、溶削条件判定部130により予測溶削量と目標溶削量との差が許容値から外れていると判定されたときに、溶削条件を変更する。溶削条件変更部140は、溶削条件のうち、溶削酸素圧力または被溶削材Sの搬送速度のうち少なくともいずれか一方を変更する。
例えば、被溶削材Sの搬送速度を変更する場合には、予測溶削量が目標溶削量よりも大きい場合、溶削量を抑制するため搬送速度を大きくし、予測溶削量が目標溶削量よりも小さい場合、溶削量を増加させるため搬送速度を小さくすればよい。溶削酸素圧力を変更する場合には、予測溶削量が目標溶削量よりも大きい場合、溶削量を抑制するため溶削酸素圧力を小さくし、予測溶削量が目標溶削量よりも小さい場合、溶削量を増加させるため溶削酸素圧力を大きくすればよい。
溶削条件変更部140は、変更した溶削条件の値を予測溶削量算出部120へ出力する。溶削条件変更部140より変更された溶削条件が入力された予測溶削量算出部120は、変更後の溶削条件により、再度、溶削対象の被溶削材Sの予測溶削量を算出する。
実績溶削量算出部150は、厚み測定装置50により取得された厚みデータに基づき、被溶削材Sの溶削量実績値を算出する。実績溶削量算出部150は、プロセスコンピュータから出力された被溶削材Sの溶削前の厚みデータと厚み測定装置50から出力された溶削後の厚みデータとの差分を求める。そして、実績溶削量算出部150は、当該差分を溶削量実績値として機械学習モデル作成部110へ出力する。
<2.被溶削材の溶削方法>
図3に基づき、本実施形態に係る被溶削材の溶削方法について説明する。図3は、本実施形態に係る被溶削材の溶削方法を示すフローチャートである。以下では、一例として、溶削酸素圧力を一定値に固定し、被溶削材Sの搬送速度のみを変更させることにより溶削量を調整する場合について説明する。溶削中は設定された一定の溶削酸素圧力で被溶削材Sは溶削される。なお、被溶削材Sの搬送速度を一定値に固定し、溶削酸素圧力のみを変更させることにより溶削量を調整する場合、及び、被溶削材Sの搬送速度及び溶削酸素圧力を調整する場合も、図3に示す処理と同様に行えばよい。
被溶削材の溶削を開始するにあたり、前処理として、演算装置100の機械学習モデル作成部110により、機械学習モデルが生成される。機械学習モデル作成部110は、上述したように、実績データベース60に記録された過去の実績データを用いて、被溶削材情報及び溶削条件を説明変数とし、溶削量を目的変数として、溶削量の予測値と実測値との誤差が小さくなるように各説明変数の重み係数等を調整して機械学習モデルを作成する。
溶削プロセスの開始時には、プロセスコンピュータ10から演算装置100の予測溶削量算出部120へ溶削対象の被溶削材Sの情報が入力される。このとき、被溶削材Sの初期搬送速度v及び目標溶削量pが設定される(S10)。
初期搬送速度vは、例えば被溶削材の搬送速度の過去実績の平均速度としてもよい。被溶削材Sの搬送速度は、被溶削材Sが載置されているテーブルロール3を回転させて当該被溶削材Sを搬送する速度である。被溶削材Sはかかる搬送速度で溶削装置30内を通過することから、被溶削材Sの溶削に要する時間は搬送速度に比例する。また、目標溶削量pは、最低限必要な溶削量及び過去の溶削量実績値のばらつきに基づき、被溶削材S毎にそれぞれ設定される。
次いで、演算装置100は、搬送速度制御装置40に対し、テーブルロール3の回転を制御して溶削対象の被溶削材Sを溶削装置30入側近くまで搬送させた後、溶削装置30の入側に設置されている温度計20に対し、被溶削材Sの表面温度を測定する指示を送信する(S20)。温度計20は、測定した被溶削材Sの表面温度を演算装置100へ出力する。演算装置100は、温度計20により測定された被溶削材Sの表面温度を受信すると、予熱時間を計算する。予熱時間は、被溶削材Sの表面温度及び鋼種により決まるものである。
さらに、演算装置100は、予測溶削量算出部120により、ステップS20にて取得した被溶削材Sの表面温度と、プロセスコンピュータ10から入力された被溶削材情報及び溶削条件とに基づき、予め求めた機械学習モデルを用いて、予測溶削量pを算出する(S30)。そして、溶削条件判定部130により、ステップS30にて算出された予測溶削量pとステップS10にて設定された目標溶削量pとの差(|p-p|)を算出し、当該差が許容値ε内にあるか否かを判定する(S40)。許容値εは、例えば、溶削量測定機器の誤差や被溶削材Sの搬送速度の設定値と実績値との誤差等に基づき設定される。
ステップS40にて予測溶削量pと目標溶削量pとの差が許容値ε内にないとき(すなわち|p-p|>εであるとき)には、溶削条件変更部140により被溶削材Sの搬送速度が変更された後(S50)、ステップS30の処理が再度実施される。
ここで、ステップS50では、予測溶削量pと目標溶削量pとの大小関係に応じて、以下のように搬送速度が変更される。なお、βは、搬送速度の変更量であり、例えば、搬送速度制御装置40によって制御可能なテーブルロール3の最小の単位回転速度に基づき設定してもよい。
(a)予測溶削量p>目標溶削量pのとき、搬送速度v=v+β
(b)予測溶削量p<目標溶削量pのとき、搬送速度v=v-β
ステップS30~S50の処理は、ステップS40の判定処理にて予測溶削量pと目標溶削量pとの差が許容値ε内にあると判定されるまで繰り返し実行される。そして、ステップS40にて予測溶削量pと目標溶削量pとの差が許容値ε内にあると判定されると、溶削条件判定部130はその時点で設定されている被溶削材Sの搬送速度vで被溶削材Sを溶削することを決定する。搬送速度制御装置40は決定された搬送速度vで被溶削材Sが搬送されるようにテーブルロール3を回転させ、搬送される被溶削材Sを溶削装置30により溶削する(S60)。
ステップS60の溶削ステップの実行後には、機械学習モデルを更新してもよい。機械学習モデルを更新するモデル更新ステップは、以下のように実行される。
被溶削材Sの溶削後、厚み測定装置50により溶削された被溶削材Sの厚みが測定され、厚みデータが取得される。厚み測定装置50により取得された厚みデータは、実績溶削量算出部150に出力される。実績溶削量算出部150は、プロセスコンピュータから出力された被溶削材Sの溶削前の厚みデータと厚み測定装置50から出力された溶削後の厚みデータとの差分を求める。そして、実績溶削量算出部150は、当該差分を溶削量実績値として機械学習モデル作成部110へ出力する。
機械学習モデル作成部110は、溶削された被溶削材Sの溶削量実績値と、被溶削材情報及び溶削条件とに基づいて、機械学習モデルを逐次学習させる。すなわち、機械学習モデル作成部110は、被溶削材Sの被溶削材情報及び溶削条件に基づき、機械学習モデルで算出される溶削量予測値と被溶削材Sの溶削量実績値との差が小さくなるように機械学習モデル内の重み係数を修正する。次の被溶削材Sの溶削時には、逐次学習により更新された機械学習モデルを用いて予測溶削量pが算出される。
以上、本実施形態に係る被溶削材Sの溶削方法について説明した。本実施形態によれば、過去の実績データに含まれる被溶削材情報と溶削条件とを説明変数とし、溶削量を目的変数として、被溶削材の溶削条件を決定するための機械学習モデルを作成する。機械学習モデルの作成にあたり、溶削量に影響するパラメータを説明変数として用いることで、当該モデルにより算出される溶削量の予測精度を高めることができる。また、現溶削対象の被溶削材Sと次溶削対象の被溶削材Sとの被溶削材情報が大きく異なる場合であっても、機械学習モデルは過去に溶削された様々な被溶削材の実績データを用いて作成されていることから、溶削量の予測精度も低下することなく、安定した溶削量の予測を可能にすることができる。これにより、目標溶削量で溶削するための溶削条件を精度よく設定して、実績の溶削量と目標溶削量との誤差を小さくすることができる。
本発明に係る被溶削材の溶削方法の予測精度を検証すべく、実施例と従来例とについて目標溶削量と実績溶削量との差を調べた。実施例では、図3に示した被溶削材の溶削方法に基づき鋼片の搬送速度を設定して溶削を実施し、溶削後に測定された厚みデータから溶削量実績値を算出し、目標溶削量との差を求めた。従来例では、溶削する鋼片それぞれについて、鋼片の表面温度及び鋼種から経験的に搬送速度を設定して溶削を実施し、溶削後に測定された厚みデータから溶削量実績値を算出し、目標溶削量との差を求めた。実施例及び従来例それぞれについて3000本ずつ溶削を実施したときの、予測溶削量と目標溶削量との差について標準偏差を求めた。
その結果、従来例では、標準偏差が1.89mmであったのに対し、実施例では、1.25mmとなり、目標溶削量に対する予測溶削量のばらつきが低減した。これより、本発明に係る被溶削材の溶削方法の予測精度が高まったことがわかる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
1 溶削プロセス設備
3 テーブルロール
10 プロセスコンピュータ
20 温度計
30 溶削装置
40 搬送速度制御装置
50 厚み測定装置
60 実績データベース
100 演算装置
110 機械学習モデル作成部
120 予測溶削量算出部
130 溶削条件判定部
140 溶削条件変更部
150 実績溶削量算出部

Claims (4)

  1. 溶削対象の被溶削材について溶削前に取得された被溶削材の表面温度を含む被溶削材情報と、任意に設定された搬送速度及び溶削酸素圧力を含む溶削条件とを、機械学習モデルに入力し、前記被溶削材の予測溶削量を算出する予測溶削量算出ステップと、
    前記予測溶削量と予め設定された目標溶削量との差を算出し、当該差が許容値以下となるまで、前記搬送速度または前記溶削酸素圧力のうち少なくともいずれか一方を変更して前記予測溶削量算出ステップを繰り返し実行する判定ステップと、
    前記予測溶削量と前記目標溶削量との差が前記許容値以下となったときに設定されている搬送速度及び溶削酸素圧力で前記被溶削材を搬送しながら溶削する溶削ステップと、
    を含む、被溶削材の溶削方法。
  2. 前記被溶削材情報は、被溶削材の表面温度、成分値、及び、サイズを含み、
    前記溶削条件は、溶削酸素圧力、被溶削材の搬送速度、及び、溶削予熱時間を含む、請求項1に記載の被溶削材の溶削方法。
  3. 前記機械学習モデルは、過去の実績データに含まれる被溶削材情報と溶削条件とを説明変数とし、溶削量を目的変数として、溶削量の予測値と実測値の誤差が小さくなるように各説明変数の重み係数等を調整することで予め作成されたモデルである、請求項1または2に記載の被溶削材の溶削方法。
  4. 前記溶削ステップの実行後に、厚み測定装置により前記被溶削材の溶削後の厚みを測定する厚み測定ステップと、
    前記溶削後の厚みと溶削前の厚みとの差から計算される被溶削材の溶削量実績値を目的変数とし、溶削された前記被溶削材の被溶削材情報及び溶削条件を説明変数として、前記機械学習モデルを逐次学習させることにより当該機械学習モデルを更新するモデル更新ステップと、
    をさらに含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の被溶削材の溶削方法。
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