JP4830273B2 - 架橋共重合体及びそれよりなるフッ素イオン吸着剤 - Google Patents

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Description

本発明は、新規な架橋共重合体及びその製造方法に関するものであり、さらに詳しくは、フッ素イオンを選択的に吸着し、フッ素イオン含有水からフッ素イオンを除去することを可能とする新規な架橋共重合体、その製造方法及びそれよりなるフッ素イオン吸着剤に関するものである。
近年、水質汚濁防止法に基づく排水基準が強化され、排水からフッ素イオンを効率的に除去する技術が求められている。
従来、排水からのフッ素イオン除去技術として、水酸化カルシウムなどのアルカリ塩を排水中に投入し、フッ化カルシウム等の汚泥という形で分離する凝集沈殿法が採用されてきた。しかし、この方法は、フッ化カルシウムの溶解度から、原理的にフッ素イオンの含有濃度を16ppm以下に低減することはできないという課題があった。
そこで、上記の課題を解決する方法として凝集沈殿法に吸着法を組み合わせる方法が提案されている。ここで、吸着法とは、排水中のフッ素イオンを吸着材料に吸着させ、吸着した後に、アルカリ水溶液に接触させることによりフッ素イオンを脱着・回収するものであり、該吸着と脱着を繰り返すことにより、排水からフッ素イオンを除去する方法である。
そして、吸着法によりフッ素イオンを吸着するフッ素イオン吸着樹脂として、母体樹脂に金属水和物を担持させたもの(例えば、特許文献1参照。)、また、イオン交換樹脂のイオン交換基に金属を吸着させたもの(例えば、非特許文献1参照。)が提案されている。
特公平02−17220号公報(第3頁)
國分信英等 著、分析化学、1980年、Vol.29(第106〜109頁)
しかし、特許文献1に提案されたフッ素イオン吸着樹脂を合成する際には、母体樹脂への金属水和物の担持が必要であったり、吸脱着時において酸やアルカリ等の使用により金属水和物が溶出するという課題があった。
また、非特許文献1に提案されたフッ素イオン吸着樹脂に用いられるイオン交換樹脂を得るためには、重合(母体樹脂の合成)、反応(イオン交換基の導入)、および吸着(金属の担持)といった一連の操作が必要となり、その工程が非常に煩雑であるとともに、イオン交換基の導入について、母体樹脂に対して均一な導入が困難なこと、さらには樹脂内部にまで導入されたイオン交換基は充分な吸着能を発揮することができないという課題があった。
そこで、本発明は、樹脂に金属を担持または吸着させる煩雑な操作を実施することなく、しかも効率的にフッ素イオンを吸着することができる新規な架橋共重合体及びそれよりなるフッ素イオン吸着剤を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行なった結果、フッ素イオンの吸着性能に優れる新規な架橋共重合体を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記一般式(1)で表されるリン酸エステル金属塩残基単位50〜95重量%および架橋性単量体残基単位50〜5重量%よりなることを特徴とする架橋共重合体、その製造方法及びそれよりなるフッ素イオン吸着剤に関するものである。
Figure 0004830273
(式中、Rは水素またはメチル基、Rは炭素数1〜6である直鎖状または分岐状アルキレン基、Rは炭素数12〜20の直鎖状若しくは分岐状アルキル基、又は直鎖状若しくは分岐状アルケニル基を示し、Mは3〜4価の金属を示す。)
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の架橋共重合体は、上記一般式(1)で表されるリン酸エステル金属塩残基単位50〜95重量%および架橋性単量体残基単位50〜5重量%よりなる架橋共重合体である。ここで、リン酸エステル金属塩残基単位が50重量%未満である場合、フッ素イオン吸着剤として用いた際のフッ素イオン吸着性能に劣るものとなる。一方、リン酸エステル金属塩残基単位が95重量%を越える場合、得られる架橋共重合体は非常に脆いものとなる。
本発明の架橋共重合体を構成する一般式(1)で表されるリン酸エステル金属塩残基単位において、Rは水素またはメチル基を示し、Rは炭素数1〜6である直鎖状または分岐状アルキレン基を示す。ここで、炭素数1〜6の直鎖状または分岐状アルキレン基としては特に限定されるものではなく、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、ブチレン基、イソブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基等が挙げられ、その中でも、特に容易に架橋共重合体を得ることが可能となり、そのフッ素イオン吸着性能にも優れたものとなることから、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基が好ましい。Rは炭素数12〜20の直鎖状若しくは分岐状アルキル基又は直鎖状若しくは分岐状アルケニル基を示す。ここで、炭素数12〜20の直鎖状若しくは分岐状アルキル基又は直鎖状若しくは分岐状アルケニル基としては特に限定されものではなく、例えばラウリル基、ミリスチル基、セチル基、ステアリル基、アラキル基、ヘキシルデシル基、オクチルドデシル基、オレイル基、エライジル基等が挙げられ、その中でも、重合反応として油中水型エマルションによるラジカル重合反応を行った場合の油中水型エマルションが安定し、効率的に架橋共重合体が得られることからステアリル基、アラキル基、オレイル基が好ましい。
また、本発明の架橋共重合体を構成する一般式(1)で表されるリン酸エステル金属塩残基単位において、Mは3〜4価の金属を示し、該金属は、本発明の架橋共重合体にフッ素イオン吸着性能を付与するものであり、Mが3〜4価の金属以外である場合、架橋共重合体はフッ素イオン吸着性能を有しないものとなる。ここで3〜4価の金属としては、例えばアルミニウム、鉄、ジルコニウム、セリウム、ランタン、チタン等が挙げられ、その中でも特に、フッ素イオン吸着性能に優れる架橋共重合体となることからジルコニウム、ランタン、セリウムが好ましく、これらの金属は、単独又は二種以上の金属を用いても良い。
本発明の架橋共重合体を構成する架橋性単量体残基とは、複数の重合反応性不飽和結合を有する単量体の重合反応残基であり、例えばジビニルベンゼン残基、ジビニルトルエン残基、エチレングリコールジメタクリレート残基、エチレングリコールジアクリレート残基、トリメチロールプロパントリメタクリレート残基、トリメチロールプロパントリアクリレート残基等が挙げられ、これらの架橋性単量体残基は単独又は二種以上の混合であっても良い。
また、本発明の架橋共重合体は、第3成分以上の成分として重合性単量体残基を含んでいても良く、該重合性単量体残基としては、例えばスチレン残基、α−メチルスチレン残基、メタクリル酸メチル残基、アクリル酸メチル残基、アクリロニトリル残基、酢酸ビニル残基等が挙げられる。
そして、特に剛直性、耐候性、取扱い性に優れる架橋共重合体となることから、該リン酸エステル金属塩残基−ジビニルベンゼン残基架橋共重合体、該リン酸エステル金属塩残基−ジビニルベンゼン残基−スチレン残基架橋共重合体であることが好ましい。
以下に、本発明の架橋共重合体の製造方法の一例示を具体的に説明する。
本発明の架橋共重合体の製造方法としては、例えば下記一般式(2)で表される重合性リン酸エステル、架橋性単量体、油溶性ラジカル重合反応開始剤からなる親油性溶液と3〜4価金属塩の水溶液とを混合し油中水型エマルションを調整した後にラジカル重合反応を行う方法を挙げることができる。
Figure 0004830273
(式中、Rは水素またはメチル基、Rは炭素数1〜6である直鎖状または分岐状アルキレン基、Rは炭素数12〜20の直鎖状若しくは分岐状アルキル基、又は直鎖状若しくは分岐状アルケニル基を示す。)
ここで、上記一般式(2)で表される重合性リン酸エステルとは、上記一般式(1)で表されるリン酸エステル金属塩残基単位を誘導する単量体であり、Rとしては、Rと同様のものを挙げることができ、Rとしては、Rと同様のものを挙げることができる。
該重合性リン酸エステルは、公知の方法により入手することが可能であり、例えばオキシ塩化リンと、下記一般式(3)で表されるアクリル酸ヒドロキシアルキルエステル類及び/又はメタクリル酸ヒドロキシアルキルエステル類と下記一般式(4)で表される高級アルコールとの反応により得ることができる。
Figure 0004830273
(式中、Rは水素またはメチル基、Rは炭素1〜6である直鎖状または分岐状アルキレン基を示す。)
Figure 0004830273
(式中、Rは炭素12〜20の直鎖状若しくは分岐状アルキル基又は直鎖状若しくは分岐状アルケニル基を示す。)
ここで、一般式(3)で表されるアクリル酸ヒドロキシアルキルエステル類及び/又はメタクリル酸ヒドロキシアルキルエステル類におけるRは水素またはメチル基を示し、Rは炭素数1〜6である直鎖状または分岐状アルキレン基を示す。炭素数1〜6の直鎖状または分岐状アルキレン基としては特に限定されるものではなく、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、ブチレン基、イソブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基等が挙げられる。
一般式(4)で表される高級アルコールにおけるRは炭素数12〜20の直鎖状若しくは分岐状アルキル基又は直鎖状若しくは分岐状アルケニル基を示す。炭素数12〜20の直鎖状若しくは分岐状アルキル基又は直鎖状若しくは分岐状アルケニル基としては特に限定されるものではなく、例えばラウリル基、ミリスチル基、セチル基、ステアリル基、アラキル基、ヘキシルデシル基、オクチルドデシル基、オレイル基、エライジル基等が挙げられる。
架橋性単量体としては、複数の重合反応性不飽和結合を有する単量体であれば特に限定されなく、例えばジビニルベンゼン、ジビニルトルエン、エチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート等が挙げられ、これら架橋性単量体は単独又は二種以上を混合して用いることも可能である。
油溶性ラジカル重合反応開始剤としては、特に制限なく、例えば2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ系開始剤;ジクミルパーオキサイド、過酸化ベンゾイル等の過酸化物、等が挙げられ、その中でも取扱い性に優れることから2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)が好ましい。
そして、該重合性リン酸エステル、架橋性単量体、油溶性ラジカル重合反応開始剤からなる親油性溶液とする際には、その他の油溶性成分が含まれても良く、希釈剤としてのトルエン、ベンゼン等の親油性溶媒;油中水型エマルションの安定性の調整剤としてのソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート等の非イオン性界面活性剤、等を適宜使用することができる。
また、3〜4価金属塩の水溶液としては、例えば塩化ジルコニウム水溶液、オキシ塩化ジルコニウム水溶液、塩化ランタン水溶液、塩化セリウム水溶液等の塩化物水溶液;オキシ硝酸ジルコニウム水溶液、硝酸ランタン水溶液、硝酸セリウム水溶液等の硝酸化物水溶液;硫酸ジルコニウム水溶液、硫酸ランタン水溶液、硫酸セリウム水溶液等の硫酸化物水溶液が挙げられ、これらの金属塩水溶液は単独又は二種以上を混合して用いることも可能である。
該親油性溶液と3〜4価金属塩の水溶液とからなる油中水型エマルションの調製方法としては特に制限はなく、例えば一般式(2)で表される重合性リン酸エステル、架橋性単量体、油溶性ラジカル重合反応開始剤、場合によっては希釈剤とからなる親油性溶液と、水および3〜4価金属塩からなる水溶液をホモジナイザー又はソニケーター等の装置を使用して油中水型エマルションを調製する方法が挙げられる。そして、その際の親油性溶液と水溶液の混合比は、油相成分/水相成分(体積比)=90/10〜50/50であることが好ましく、特に80/20〜60/40の範囲で調製することが好ましい。
そして、油中水型エマルションを調整した後のラジカル重合反応温度は、重合反応が可能である限りにおいて特に制限はなく、例えば30〜100℃、好ましくは40〜80℃である。反応圧力は特に制限されず、通常常圧で行なわれる。重合時間は、重合反応温度や重合仕込比率により適宜選択すれば良く、通常1〜12時間である。重合反応中の雰囲気は、特に制限されず、例えば窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性雰囲気下で行うことが好ましい。
重合終了後、反応容器から取出した重合物は、必要であれば、溶剤を用いて未反応単量体等を除去し、架橋共重合体を得ることができる。その際に使用される溶剤は、特に制限されず、例えばアセトン、メタノール、エタノール等が挙げられる。
また、例えばスチレン、α−メチルスチレン、メタクリル酸メチル、アクリル酸メチル、アクリロニトリル、酢酸ビニル等の単量体を併用し重合反応を行うことも可能である。
このような油中水型エマルションを調整した後にラジカル重合反応を行うことにより得られる架橋共重合体は、油中水型エマルションの油相成分が重合によって樹脂化し、油中水型エマルションの水相部の痕跡が樹脂骨格に形成されことから多孔質構造を示すものとなる。
本発明の架橋共重合体は、フッ素イオン含有水と接触させることにより効率よくフッ素イオンを吸着する事が可能となり、排水等からフッ素イオンを効率的に吸着するフッ素イオン吸着剤として用いることが可能となるものである。
そして、本発明の架橋共重合体をフッ素イオン吸着剤として用いる際には、特に優れたフッ素イオン吸着作用を有することから平均粒径1〜1000μm、比表面積1〜200m/gを有し、孔径0.1〜20μmの空孔を有する多孔質構造を示すものであることが好ましく、特にフッ素イオン吸着特性、ハンドリング性に優れたものとなることから平均粒径10〜500μm、比表面積10〜100m/gを示し、孔径1〜10μmの空孔を有する多孔質構造を示すものであることが好ましい。
本発明の架橋共重合体をフッ素イオン吸着剤として用いる際には、従来のフッ素イオン吸着樹脂と同様に、架橋共重合体をフッ素イオン含有水と接触させることによって、フッ素イオンを効率よく除去することができる。その接触方法としては、特に限定されず、例えばフッ素イオン含有水中に該フッ素イオン吸着剤を浸漬するバッチ法、またはカラムに該フッ素イオン吸着剤を充填してフッ素イオン含有水を通液するカラム法等が挙げられる。
フッ素イオンを吸着した本発明の架橋共重合体、フッ素イオン吸着剤は、アルカリ水溶液、例えば水酸化ナトリウム水溶液等との接触によって、フッ素イオンを脱着することができる。その脱着方法は、該架橋共重合体、該フッ素イオン吸着剤をアルカリ水溶液に接触させる方法であれば、特に制限はなく、先述のフッ素イオンの吸着方法と同様に、バッチ法、またはカラム法等が挙げられる。
さらに、フッ素イオンを脱着した本発明の架橋共重合体、フッ素イオン吸着剤は、再びフッ素イオン含有水に接触させるとフッ素イオンを吸着することができ、繰返しの使用が可能である。
本発明の架橋共重合体は、簡便な製造方法によって製造でき、なおかつ、フッ素イオン含有水からフッ素イオンを効率的に吸着することができることから有用なフッ素イオン吸着剤となる。
以下に、本発明を実施例に基づき説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
以下に実施例により得られた架橋共重合体の評価・測定方法を示す。
〜比表面積測定〜
実施例により得られた架橋共重合体を80℃で乾燥し、比表面積測定装置(micrometrics社製、商品名ASAP2400)を用い、BET法により比表面積を求めた。
〜ジルコニウム含有量測定〜
得られた架橋共重合体をアルカリ溶融後、溶液化し、誘導結合プラズマ発光分析装置(京都光研製、商品名UOP−1 MK−II)を用い、ジルコニウム含有量の測定を行った。
〜多孔質性の観察〜
得られた架橋共重合体を破断し、該破断面に金蒸着を施して該破断面を電子顕微鏡(明石製作所製、商品名SIGMA−II)で観察することにより、多孔質性を観察した。
合成例1(重合性リン酸エステルの合成例)
攪拌機、冷却管、滴下ロート、および温度計を備えた1Lの4口フラスコに、オキシ塩化リン50g(0.33mol)とテトラヒドロフラン180mlを入れ、−25℃に冷却した。オレイルアルコール88g(0.33mol)とトリエチルアミン36g(0.36mol)のテトラヒドロフラン100ml溶液を、オキシ塩化リン溶液の中へ滴下した。滴下中は温度を−20〜−30℃の範囲内となるように保ち、攪拌を行なった。
全量滴下後、さらに3時間攪拌し続け、次いでメタクリル酸2−ヒドロキシエチル43g(0.33mol)とトリエチルアミン36g(0.36mol)のテトラヒドロフラン50ml溶液を滴下した。全量滴下後、さらに−20〜−30℃の範囲内で4時間攪拌し続けた。その後、析出したトリエチルアミン塩酸塩をろ別により除去し、ろ液にイオン交換水50gとメトキシヒドロキノン0.1gを加え、40℃で2時間加熱した。
反応終了後、エバポレーションにより、テトラヒドロフランを留去し、残渣から有機相と水相を分離した。有機相には硫酸ナトリウムを加えて乾燥し、その後、さらに有機相を減圧濃縮して、褐色液体155gを得た。該褐色液体は、プロトン核磁気共鳴測定によって、メタクリル酸エチル基とオレイル基を有する重合性リン酸エステルであることを確認した。
実施例1
合成例1で得たメタクリル酸エチル基とオレイル基を有する重合性リン酸エステル13.7g、ジビニルベンゼン12.0g、トルエン144.7gおよび2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.5gの均一な親油性溶液と、オキシ塩化ジルコニウム4.7gおよび純水90gの水溶液を混合し、ホモジナイザーを使用して10,000rpm、5分間攪拌し、油中水型エマルションを調製した。
得られたエマルションを攪拌機、冷却管、窒素導入管、および温度計を備えた300mlの4口フラスコの中で攪拌しながら60℃で6時間保持することによりラジカル重合反応を行った。重合反応終了後、フラスコの中の重合反応物をアセトンで洗浄し、最後に純水で洗浄してメタクリル酸エチル基とオレイル基を有するリン酸エステルジルコニウム塩残基単位/ジビニルベンゼン残基単位=56.5/43.5(重量%)からなる架橋共重合体を得た。その際の収率63%であった。
そして、得られた該架橋共重合体は平均粒径80μm、比表面積47m/g、孔径4μmの空孔を有する多孔質構造を有するものであり、ジルコニウム含有量は7.5重量%であった。また、該架橋共重合体の内部構造の観察結果を図1に示す。
さらに得られた該架橋共重合体1.0gを、フッ素イオン濃度50mg/lでpH3.0とpH6.0にそれぞれ調製した水溶液100mlに浸漬し、23℃恒温槽中で振盪6時間、静置18時間することにより、フッ素イオンを吸着させフッ素イオン吸着性能の評価を行った。水溶液中の残存フッ素イオン濃度を測定することによりフッ素イオン平衡吸着量の評価を行ったところ、pH3.0の水溶液では10mg/l(10ppm)であり、pH6.0の水溶液では15mg/l(15ppm)であった。
比較例1
重合性リン酸エステル13.7gを10.0gとし、ジビニルベンゼン12.0gを15.0gとした以外は、実施例1と同様の方法により重合反応を行うことにより、メタクリル酸エチル基とオレイル基を有するリン酸エステルジルコニウム塩残基単位/ジビニルベンゼン残基単位=43.3/56.7(重量%)からなる架橋共重合体を得た。その際の収率は75%であった。
そして、得られた架橋共重合体は平均粒径100μm、比表面積58m/g、孔径4μmの空孔を有する多孔質構造を有するものであり、ジルコニウム含有量は5.5重量%であった。
さらに得られた該架橋共重合体1.0gを、フッ素イオン濃度50mg/lでpH3.0とpH6.0にそれぞれ調製した水溶液100mlに浸漬し、23℃恒温槽中で振盪6時間、静置18時間することにより、フッ素イオンを吸着させフッ素イオン吸着性能の評価を行った。水溶液中の残存フッ素イオン濃度を測定することによりフッ素イオン平衡吸着量の評価を行ったところ、pH3.0の水溶液では17mg/l(17ppm)であり、pH6.0の水溶液では25mg/l(25ppm)であった。
比較例2
重合性リン酸エステル13.7gを33.0gとし、ジビニルベンゼン12.0gを1.7gとした以外は、実施例1と同様の方法により重合反応を行うことにより、メタクリル酸エチル基とオレイル基を有するリン酸エステルジルコニウム塩残基単位/ジビニルベンゼン残基単位=95.2/4.8(重量%)からなる架橋共重合体を得た。
そして、得られた架橋共重合体は平均粒径70μm、比表面積1m/g、孔径1μm未満の空孔を有する多孔質構造を有するものであり、ジルコニウム含有量は3重量%であった。
さらに得られた該架橋共重合体1.0gを、フッ素イオン濃度50mg/lでpH3.0とpH6.0にそれぞれ調製した水溶液100mlに浸漬し、23℃恒温槽中で振盪6時間、静置18時間することにより、フッ素イオンを吸着させフッ素イオン吸着性能の評価を行った。水溶液中の残存フッ素イオン濃度を測定することによりフッ素イオン平衡吸着量の評価を行ったところ、いずれもフッ素イオンは吸着されなかった。
実施例1で得られた架橋共重合体の電子顕微鏡観察結果。

Claims (6)

  1. 下記一般式(1)で表されるリン酸エステル金属塩残基単位50〜95重量%および架橋性単量体残基単位50〜5重量%よりなることを特徴とする架橋共重合体。
    Figure 0004830273
    (式中、Rは水素またはメチル基、Rは炭素数1〜6である直鎖状または分岐状アルキレン基、Rは炭素数12〜20の直鎖状若しくは分岐状アルキル基、又は直鎖状若しくは分岐状アルケニル基を示し、Mは3〜4価の金属を示す。)
  2. 3〜4価の金属がジルコニウム、ランタン及びセリウムからなる群より選ばれる少なくとも一種以上の金属であることを特徴とする請求項1に記載の架橋共重合体。
  3. 架橋性単量体残基単位がジビニルベンゼン残基、ジビニルトルエン残基、エチレングリコールジメタクリレート残基、エチレングリコールジアクリレート残基、トリメチロールプロパントリメタクリレート残基及びトリメチロールプロパントリアクリレート残基からなる群より選ばれる少なくとも一種以上の架橋性単量体残基単位であることを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の架橋共重合体。
  4. 下記一般式(2)で表される重合性リン酸エステル、架橋性単量体、油溶性ラジカル重合反応開始剤からなる親油性溶液と3〜4価の金属塩の水溶液とを混合し油中水型エマルションを調整した後にラジカル重合反応を行うことを特徴とする架橋共重合体の製造方法。
    Figure 0004830273
    (式中、Rは水素またはメチル基、Rは炭素数1〜6である直鎖状または分岐状アルキレン基、Rは炭素数12〜20の直鎖状若しくは分岐状アルキル基、又は直鎖状若しくは分岐状アルケニル基を示す。)
  5. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の架橋共重合体よりなることを特徴とするフッ素イオン吸着剤。
  6. フッ素イオン含有水に請求項5に記載のフッ素イオン吸着剤を供給することを特徴とするフッ素イオンの除去方法。
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