以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
<第1の実施の形態>
本発明の第1の実施の形態を図1〜図6を用いて説明する。
図1は、本実施の形態の液圧開閉弁の縦断面図である。
図1において、本実施の形態の液圧開閉弁は、外郭を形成する円筒型の外筒10と、外筒10の内部に回転可能に挿入された円筒状の弁板40と、外筒10と弁板40の間に軸方向にスライド可能に挿入された円筒状の制御板50とを有している。
外筒10は、軸方向の一端をエンド部10aにより閉じた有底の円筒型をしており、他端は、外蓋30により閉じられている。外筒10の外周面部分には、入力ポート11、この入力ポート11を挟んでその軸方向外側に位置する第1出力ポート12及び第2出力ポート13をそれぞれ構成する3つのポート穴11a,12a,13a(以下、適宜、入力ポート11、第1出力ポート12及び第2出力ポート13という)が形成されている。
弁板40は円筒形状の外周面を持つ円筒体として構成され、かつその中心部に弁板40と一体の回転軸43を有している。回転軸43は弁板40の中心軸に沿って左右両側に伸び、図示右側の軸部分の端部は外筒10のエンド部10aに設けられたラジアル・スラスト軸受17により外筒10のエンド部10aに回転可能に支持され、図示左側の軸部分は外筒10の外蓋30を貫通して外部まで伸び、かつこの回転軸43の軸部分は外蓋30に設けられたラジアル・スラスト軸受18により外蓋30に回転可能に支持されている。これにより弁板40は外筒10に対して(その結果、制御板50に対して)回転可能であり、回転軸43を回転駆動することにより弁板40が回転駆動される。また、弁板40には、互いに軸方向に隔てられた位置に第1開口部群41及び第2開口部群42の2つの開口部群が形成され、第1開口部群41及び第2開口部群42は、それぞれ、周方向に等間隔に開けられた4つの開口部41a〜41d及び開口部42a〜42dを有している。第1開口部群41の開口部41a〜41dと第2開口部群42の開口部42a〜42dは、周方向に45°位相の異なる位置に開けられている。また、第1開口部群41の開口部41a〜41dと第2開口部群42の開口部42a〜42dは、周方向に45°位相を異ならせた状態で、弁板40を軸方向に2等分する中心線X1(図2参照)に対して左右対称な略三角形の形状をしている。すなわち、開口部41a〜41dと開口部42a〜42dの略三角形の形状は互いに逆向きである。また、開口部41a〜41dと開口部42a〜42dの略三角形の形状は、中心線X1から離れるに従って周方向の長さが長くなるように(三角形の軸方向の頂点が互いに向き合うように)形成されている。
制御板50は、弁板40の円筒形状の外周面に摺動接触する円筒形状の内周面を持つ円筒体として構成されている。制御板50の軸方向の一端には、外筒10のエンド部10aを貫通して外部まで延びる制御棒53が接続され、この制御棒53を軸方向に移動してその軸方向の位置を制御することにより、制御板50を軸方向に移動(スライド)してその軸方向の位置を制御することができる。また、制御板50には、円筒体の互いに軸方向に隔てられた位置に設けられた第1流路穴群51及び第2開流路穴群52の2つの流路穴群が形成され、第1流路穴群51及び第2流路穴群52は、それぞれ、周方向に等間隔に開けられた4つの流路穴51a〜51d及び流路穴52a〜52dを有しており、第1流路穴群51の流路穴51a〜51dと第2流路穴群52の流路穴52a〜52dは、制御板50を軸方向に2等分する中心線X2(図2参照)に対して対称な位置に開けられている。
外筒10の内周部の入力ポート11を挟んだ位置には、円形の内周端面形状を有する1対の突部10b,10cが形成され、制御板50は、その外周面を突部10b,10cの内周端面に接して挿入され、弁板40は、その外周面を制御板50の内周面に接して挿入されている。また、弁板40には、その内部空間を第1開口部群41と第2開口部群42の間の位置で2つの空間に隔てる仕切り壁44が設けられている。これにより外蓋30により閉じられた外筒10の内部空間は、外筒10と制御板50とで区切られた第1の空間14と、弁板40の仕切り壁44で区切られた第2の空間15及び第3の空間16の3つの空間に分けられる。
第1の空間14は、入力ポート11、制御板50の第1流路穴群51及び第2流路穴群52と連通しており、制御板50の第1流路穴群51が弁板40の第1開口部群41と連通したときは、入力ポート11から第1流路穴群51、第1開口部群41、第2の空間15を経て第1出力ポート12に至る第1の流路が形成され、制御板50の第2流路穴群52が弁板40の第2開口部群42と連通したときは、入力ポート11から第2流路穴群52、第2開口部群42、第3の空間16を経て第2出力ポート13に至る第2の流路が形成される。
すなわち、制御板50は、外筒10の入力ポート11と円筒状の弁板40との間に位置し、入力ポート11から弁板40の第1開口部群41を経由して第1出力ポート12に至る第1の流路及び入力ポート11から第2開口部群42を経由して第2出力ポート13に至る第2の流路を選択的に形成する連通制御部材を構成する。
図2は、本実施の形態の液圧開閉弁の弁板及び制御板の構造を示す展開図であり、図2(A)は弁板40を周方向に展開した様子を示す図であり、図2(B)は制御板50を周方向に展開した様子を示す図である。
図2(A)において、弁板40は、軸方向に隔てられて位置する第1の開口部群41及び第2の開口部群42の2つの開口部群を有し、この第1の開口部群41及び第2の開口部群42は、それぞれ、周方向に等間隔に開けられた4つの開口部41a〜41d及び開口部42a〜42dを有し、開口部41a〜41dと開口部42a〜42dは、それぞれ、軸方向の中心側に頂点を、反対側に底辺を持ち、弁板40を軸方向に2等分する中心線X1に対して左右対称で、その中心線X1から離れるに従って周方向の長さが長くなる略三角形の形状であり、かつ、周方向に互いに45°位相の異なる位置に開けられている。
図2(B)において、制御板50は、互いに軸方向に隔てられて位置する第1の流路穴群51及び第2の流路穴群52を有し、第1流路穴群51及び第2流路穴群52は、それぞれ、周方向に等間隔に開けられた4つの流路穴51a〜51d及び流路穴52a〜52dを有しており、第1流路穴群51の流路穴51a〜51dと第2流路穴群52の流路穴52a〜52dは、制御板50を軸方向に2等分する中心線X2に対して左右対称で等間隔に開けられている。
図2(A)及び図2(B)において、開口部群41の開口部41a〜41dと開口部群42の開口部42a〜42dの中心間距離Lと第1の流路穴51と第2の流路穴52の中心間距離Lはほぼ同じである。
図3は、弁板の開口部と制御板の流路穴の相対的な軸方向位置関係を説明する図であって、図3(A)は通流率大とした軸方向位置関係にある場合を示し、図3(B)は通流率小の軸方向位置関係にある場合を示している。
図3(A)及び(B)の上下方向は弁板40の回転方向(周方向)に対応し、左右方向は制御板50のスライド方向(軸方向)に対応する。弁板40は制御板50に対して周方向(縦方向)に相対的に回転(移動)可能であり、制御板50は弁板40に対して軸方向(横方向)に相対的にスライド可能である。
弁板40を制御板50に対して一定速度で回転させた場合、弁板40の第1開口部群41と制御板50の第1流路穴群51が連通して第1の流路が形成される間は、弁板40の第2開口部群42と制御板50の第2流路穴群52の連通は遮断されて第2の流路は形成されず、弁板40の第2開口部群42と制御板50の第2流路穴群52が連通して第2の流路が形成される間は、弁板40の第1開口部群41と制御板50の第1流路穴群51の連通が遮断されて第1の流路は形成されない。
また、制御板50を弁板40に対して図3(A)に示すように、制御板50の中心線X2が弁板40の中心線X1よりも図示右側に位置するように図示右方向の軸方向にスライドさせたときは、弁板40を制御板50に対して一定速度で回転させると、弁板40の第1開口部群41の各開口部と制御板50の第1流路穴群51の各通流穴が連通する時間、すなわち、入力ポート11から第1出力ポート12に至る第1の流路が形成される時間は、弁板40の第2開口部群42の各開口部と制御板50の第2流路穴群52の各通流穴が連通する時間、すなわち、入力ポート11から第2出力ポート13に至る第2の流路が形成される時間と比較して相対的に長くなる。
一方、制御板50を弁板40に対して図3(B)に示すように、制御板50の中心線X2が弁板40の中心線X1よりも図示左側に位置するように図示右方向の軸方向にスライドさせたときは、弁板40が制御板50に対して一定速度で回転させると、弁板40の第1開口部群41の各開口部と制御板50の第1流路穴群51の各通流穴が連通する時間、すなわち、入力ポート11から第1出力ポート12に至る第1の流路が形成される時間は、弁板40の第2開口部群42の各開口部と制御板50の第2流路穴群52の各通流穴が連通する時間、すなわち、入力ポート11から第2出力ポート13に至る第2の流路が形成される時間と比較して相対的に短くなる。
ここで、制御板50における第1流路穴群51の各流路穴に対する弁板40における第1開口部群41の各開口部の1開閉動作周期をTc、各開口部の開時間をTonとし、通流率αを、α=Ton/Tcと定義し、弁板40における第2開口部群42においても同様に通流率αを定義すると、開時間Tonは、弁板40と制御板50の軸方向の相対位置を変えることにより調整することができるので、制御板50を弁板40に対して軸方向に移動させ弁板40と制御板50の軸方向の相対位置を変えることにより、第1の流路の及び第2の流路のそれぞれの通流率αを互いに相補的に連続して変化させることができ、このように通流率αを制御することにより入力ポート11から第1出力ポート12に供給される圧流の流量(第1出力ポート12に接続された油圧アクチュエータに供給される圧油の流量)を制御することができる。
図4は、本実施の形態の液圧開閉弁をPWM方式の流量制御に用いた場合の一例を示す油圧回路を含むシステム構成図である。
図4において、PWM方式の流量制御を行なう油圧システムは、本実施の形態の液圧開閉弁Vと、この液圧開閉弁Vの入力ポート11に管路71を介して圧油を供給する固定容量型の油圧ポンプ1と、液圧開閉弁Vの第1出力ポート12から吐出された圧油が管路72を介して供給され、その圧油により駆動され負荷Lを駆動する油圧モータ2と、液圧開閉弁Vの第2出力ポート13から吐出された圧油を作動油タンク6に導く管路73と、管路72に接続され、管路72に流れる圧油の圧力脈動を抑制するアキュムレータ4と、油圧モータ2に並列接続され、作動油タンク6からアキュムレータ4への圧油の流れのみを許容する逆止弁5と備えている。液圧開閉弁Vは、弁板40の回転軸43に接続された電動機9aと、制御板50の制御棒53に接続された直線電動機9bとを有し、電動機9aは予め定めた一定速度で回転するよう制御され、これに応じて液圧開閉弁の回転軸43及び弁板40も一定速度で回転駆動される。また、PWM方式の流量制御を行なう油圧システムは、指示レバー装置7と、指示レバー装置7の操作に応じて直線電動機9bの動作を制御するコントローラ8とを備えている。
このような油圧システムにおいて、指示レバー装置7の操作レバーが操作されると、その操作量に応じた電気信号がコントローラ8に出力され、コントローラ8はその電気信号に応じ制御板50の軸方向移動量の目標値を計算し、その目標値に対応した直線電動機9bの駆動信号を演算して、直線電動機9に出力する。直線電動機9は、この駆動信号に基づき作動し、制御棒53を直線駆動して制御板50の軸方向の位置を調整する。これにより、前述したように、入力ポート11から第1出力ポート12に至る第1の流路の通流率αが制御され、油圧モータ2に供給される圧油の平均流量を制御し、油圧モータ2の回転数を制御する。
図5を用いて通流率制御による流量制御の詳細を説明する。
図5は、図4の油圧開閉弁Vの弁板40における第1出力ポート12側の第1開口部群41の各開口部(以下、第1出力ポート12側の弁板開口部という)の開閉状態(上側)と油圧モータ2への圧油の供給流量(下側)の関係を経時的に示した図である。図中、Tc、Tonは、それぞれ前述したように、液圧開閉弁Vの第1出力ポート12側の弁板開口部の1開閉動作周期と、その1開閉動作周期における開時間である。また、油圧ポンプ1から吐出される圧油の流量を二点鎖線、液圧開閉弁Vから油圧モータ2側に出力される圧油の流量を破線、油圧モータ2へ供給される圧油の流量を実線、油圧モータ2に供給される圧油の平均流量を一点鎖線でそれぞれ示している。
ポンプ1は、固定容量型の油圧ポンプであり、一定量の圧油を吐出している(二点鎖線)。液圧開閉弁Vの第1出力ポート12側の弁板開口部が開のときは、油圧ポンプ1から吐出される圧油の流量と同じ流量が油圧モータ2側に出力される。液圧開閉弁Vの第1出力ポート12側の弁板開口部が閉のときは、油圧モータ2側への出力流量は0となり(破線)、油圧ポンプ1からの吐出油は第2出力ポート13から作動油タンク6に還流する。このとき、油圧モータ2に供給される圧油の流量は、アキュムレータ4や油圧モータ2の負荷慣性などの作用により三角波状の波形の流量となる(実線)。油圧モータ2に供給される圧油の平均流量は、その三角波状の波形の流量の平均値であり(一点鎖線)、この値は、油圧ポンプ1から吐出される圧油の流量に通流率α(=Ton/Tc)を乗じた値に等しい。したがって、通流率α(制御板50の軸方向位置)を変えることにより、油圧モータ2への圧油の供給流量を変えることができる。
次に、上記のように構成した本実施の形態の動作及び効果を、図6に示す従来技術と比較しつつ説明する。図6中、図4と同等の部材には同じ符号を付し、説明を省略する。
図6において、従来の油圧システムは、1対の高速電磁開閉弁3a,3bと、この高速電磁開閉弁3a,3bに管路71を介して圧油を供給する固定容量型のポンプ1と、高速電磁開閉弁3aから吐出された圧油が管路72を介して供給され、その圧油により駆動される油圧モータ2と、高速電磁開閉弁3bから吐出された圧油を作動油タンク6に導く管路73と、管路72に接続され、管路72に流れる圧油の圧力脈動を抑制するアキュムレータ4と、油圧モータ2に並列接続され、作動油タンク6からアキュムレータ4への圧油の流れのみを許容する逆止弁5と、指示レバー装置7と、指示レバー装置7の操作に応じて1対の高速電磁開閉弁3a,3bの開閉動作を制御するコントローラ8Aとを備えている。
高速電磁開閉弁3a,3bは、それぞれ、圧油の流れを許容するバルブ位置(開位置)と、圧油の流れを遮断するバルブ位置(閉位置)の2つのバルブ位置を有しており、コントローラ8Aから高速電磁開閉弁3a,3bに出力される制御信号のON/OFFによりその位置を切り換え制御される。
コントローラ8Aから出力された制御信号がOFFの場合は、高速電磁開閉弁3aは閉位置に、3bは開位置に切り換えられ、油圧ポンプ1から吐出された圧油は全て高速電磁開閉弁3bを介し作動油タンク6に導かれ、コントローラ8Aから出力された制御信号がONの場合は、高速電磁開閉弁3aは開位置に、3bは閉位置に切り換えられ、油圧ポンプ1から吐出された圧油は全て高速電磁開閉弁3a及び管路72を介して油圧モータ2に供給される。すなわち、1対の高速電磁開閉弁3a及び3bは、コントローラ8Aからの制御信号に対して互いに相補的に開閉動作する。
指示レバー装置7の操作レバーが操作されると、その操作量に応じた電気信号がコントローラ8Aに出力され、コントローラ8Aはその電気信号に応じ、高速電磁開閉弁3a,3bの開閉駆動信号を演算して、高速電磁開閉弁3a,3bに出力する。
高速電磁開閉弁3aの開閉状態と油圧モータ2への圧油の供給流量の関係は、図5に示した油圧開閉弁Vの第1出力ポート側の弁板開口部の開閉状態と油圧モータ2への圧油の供給流量の関係と同等であり、高速電磁開閉弁3aの1開閉動作周期をTc、1開閉動作周期における開時間をTonとすると、通流率αはα=Ton/Tcで表すことができる。また、油圧モータ2に供給される圧油の平均流量は、油圧ポンプ1から吐出される圧油の流量に通流率αを乗じた値である。通流率αを制御することで油圧モータ2への圧油の供給流量を制御することができる。
このようなPWM方式を用いた流量制御において、油圧モータ2に供給される圧油の流量リプルや圧力脈動を抑制し、滑らかな流量制御を行うためには、高速電磁開閉弁3a,3bの開閉周期Tcをできるだけ短くする必要がある。一方、最小流量から最大流量まで広範囲な流量制御を可能とするためには、流通率αの制御範囲を広くとれるようにすることが重要である。通流率αの可変範囲を広くとるためには、開閉周期Tcに対して最小開弁時間Tonminをできるだけ短くする必要がある。すなわち、通流率αの可変範囲を大きくとりつつ、流量制御における圧油の流量リプルや圧力脈動の抑制を行うためには、開閉周期Tcを短くすると共に、最小開弁時間Tonminもそれに応じて短くする必要がある。
例えば、PWM方式の制御の周波数を50Hz、開閉周期Tcを20msとし、通流率αの制御範囲の最小値を0.1とするためには、最小開弁時間はTonmin=2msとすることが必要となる。
しかしながら、従来技術(特許文献1に記載)の高速電磁開閉弁3a、3bは弁体を直線往復運動させることにより開閉動作を行う構成であり、弁体の慣性質量が開閉動作に作用するため、高速での開閉動作には限界があり、最小開弁時間Tonmin=2ms(制御周波数50Hz、通流率α=0.1)を達成することは困難である。その結果、制御周波数が数十〜数百Hzの領域におけるPWM方式の制御を行うことは困難であった。
一方、本実施の形態における液圧開閉弁において、弁板40を60Hzで回転駆動させると、弁板40の開口部の数は4つであるので、その制御周期(開閉周期)Tcは、Tc=1/(60×4)≒4.16ms(制御周波数240Hz)である。PWM方式の流量制御においては、通常、制御周期Tcは一定で可変させる必要はないので、回転部(弁板40)の慣性質量の低減などを考慮する必要がない。また、このときの通流率αは、制御板50に対する弁板40の相対位置を変化させることで容易にかつ広範囲に制御することができ、例えば、通流率α=0.1であっても容易に実現することができる。すなわち、本実施の形態における液圧開閉弁においては、制御周波数240Hz(開閉周期Tc≒4.16ms)でかつ通流率α=0.1であっても容易に実現することが可能である。
このように本実施の形態の液圧開閉弁は、弁板40を回転させることにより入出力ポート間の流路の開閉を行うので、弁体が直線往復運動する従来技術に比べて最小開弁時間Tonminを短くすることができ、それに応じて開閉周期Tcを短くすることができ、その結果、制御周波数が数十〜数百Hzの領域におけるPWM方式の制御による流量制御において、通流率αの制御範囲を十分大きく確保しつつ、圧油の流量リプルや圧力脈動を抑制し、より滑らかな流量制御を行うことができる。これにより、今まで以上に高速な開閉動作が可能であり、PWM方式の制御により滑らかな流量制御を行うことができる。
また、PWM方式の流量制御においては、制御周波数と比較して通流率αの制御は遅くて良く、通流率αの制御のために直線駆動される制御板40の慣性質量の作用を考慮する必要が無く、作動油流路の圧損の低減のために大きな流路面積を確保することで、圧損の小さい液圧開閉弁を実現することができる。
また、上記第1の実施の形態においては、弁板40の2つの開口部群41及び42のそれぞれの開口部数を4として説明したが、これに限られず、周方向に等間隔に開けられた開口部数を2以上の数n(n:整数)とし、周方向に互いに180°/n位相の異なる位置に設けても良い。
更に、本実施の形態においては、弁板40の2つの開口部群41,42の各開口部の形状を略三角形状として説明したが、これに限られず、弁板40を軸方向に2等分する中心線X1に対して左右対称で、その中心線X1から離れるに従って周方向の長さが長くなる形状であれば良く、作動油の流れの乱れなどの原因により、弁板40と制御板50の軸方向の相対位置に対する通流率αの値が直線性を外れる場合には、各開口部の形状を調整することで、補正することが可能である。
<変形例>
第1の実施の形態の変形例を図7を用いて説明する。図中、図1に示した部材と同等の部材には同じ符号を付し、説明を省略する。この変形例の実施の形態は、第1の流路と第2の流路の両方が同時に連通する時間を設けないようにした場合のサージ圧力の発生を回避できるようにしたものである。
図7において、本実施の形態の液圧開閉弁VHは、外筒10の外周面部分に一体に設置された逆止弁ブロック20を有し、外筒10の入力ポート11、第1出力ポート12及び第2出力ポート13を構成するポート穴11a,12a,13aは逆止弁ブロック20が位置する外周面部分に形成されている。
逆止弁ブロック20は、外筒10のポート穴11aと共に入力ポート11を構成するポート穴11bと、外筒10のポート穴12a,13aのそれぞれと共に第1出力ポート12及び第2出力ポート13を構成する2つのポート穴12b,13bとを有し、逆止弁ブロック20のポート穴11bとポート穴12bの間に、ポート穴11bからポート穴12bへの圧油の流れのみを許容し、ポート穴12bからポート穴11bへの圧油の流れを阻止する第1の逆止弁24が設けられ、ポート穴11bとポート穴13bの間に、ポート穴13bからポート穴11bへの圧油の流れのみを許容し、ポート穴11bからポート穴13bへの圧油の流れを阻止する第2の逆止弁25が設けられている。
図1に示した第1の実施の形態においては、入力ポート11から第1出力ポート12に至る第1の流路が連通から遮断へ遷移し、入力ポート11から第2出力ポート13に至る第2の流路が遮断から連通へ遷移する期間、及び入力ポート11から第1出力ポート12に至る第1の流路が遮断から連通へ遷移し、入力ポート11から第2出力ポート13に至る第2の流路が連通から遮断へ遷移する期間において、第1の流路と第2の流路の両方が同時に連通する時間を設ける場合と設けない場合とがあり、どちらの場合も弁板40の第1開口部群41及び第2開口部群42の各開口部の形状を変えることで実現可能である。
第1の流路と第2の流路の両方が同時に連通する時間を設ける場合においては、両方の流路が同時に連通する期間に、第1出力ポート12と第2出力ポート13が連通する流路が形成されるため、第1出力ポートから油圧アクチュエータ(油圧モータ2)に供給されるべき圧油の一部がタンク側に漏れ、通流率通りの正確な流量制御が行えなくなる可能性がある。この問題は両方の流路が同時に連通する期間をできるだけ短くすることで軽減可能であるが、それが問題となる場合には、第1の流路と第2の流路の両方が同時に連通する時間を設けないようにすればよい。しかし、この場合は、第1の流路と第2の流路の両方が同時に遮断する時間が生じるため、入力ポートから第1若しくは第2出力ポートへと圧油が流れている状態からどちらへも流れない状態に遷移した瞬間、圧油の慣性エネルギーの行き場が無くなり、サージ圧力を生じてしまう可能性がある。
本実施の形態では、そのような問題を回避するものである。すなわち、本実施の形態では、第1の流路と第2の流路の両方が同時に連通する時間を設けないように弁板40の第1開口部群41及び第2開口部群42の各開口部の形状を形成している。そして、上記のように逆止弁ブロック20を設置し、入力ポート11と第1出力ポート12の間に第1の逆止弁24を設け、入力ポート11と第2出力ポート13の間に第2の逆止弁25を設けている。
このように構成した本実施の形態では、弁板40の第2開口部群42が制御板50の第2流路穴群52と連通し、第2の流路が形成されている状態から、弁板40の第2開口部群42が制御板50により閉じられ第1の流路と第2の流路の両方が同時に遮断された状態に遷移したとき、入力ポート11から供給された圧油は第1の逆止弁24を通って第1出力ポート12に流入し、その後、弁板40の第1開口部群41が制御板50の第1流路穴群51と連通し、第1の流路が形成されると、入力ポート11から供給された圧油は第1の逆止弁24と第1の流路の両方を経由して第1出力ポート12に流入し、油圧アクチュエータ2へと供給される。これにより第1の流路と第2の流路の両方が同時に遮断されたときに入力ポート11から流入した圧油の行き場が無くなるという状態を回避し、サージ圧力の発生を防止することができる。また、第1の流路と第2の流路の両方が同時に連通する時間を設けないので、圧油の漏れは生じず、通流率通りの高精度の流量制御を行うことができる。この場合の通流率は、厳密には、第2開口部群42の各開口部の閉時間をToffとすると、通流率α=(Tc−Toff)/Tcとなる(Tcは前述したように第1開口部群41の各開口部の1開閉動作周期)。
なお、本実施の形態では、弁板40の第2開口部群42が制御板50により閉じられて第2の流路が遮断した場合は、第1の逆止弁24があるため、第1開口部群41が無くても、入力ポート11から供給された圧油は第1の逆止弁24を通って第1出力ポート12に流入するため、油圧ポンプ1から吐出する圧油で油圧モータ2を駆動する場合だけを考えた場合は、弁板40の第1開口部群41及び制御板50の対応する第1流路群51を省略することも可能である。ただし、この場合は、圧力損失の増大を防ぐために第1の逆止弁24のサイズを適切に設定する必要がある。また、実際には、油圧モータ2が外部負荷からの反力により駆動されポンプ作用をするときに油圧ポンプ1にエネルギーを回生する場合があり、その場合は弁板40の第1開口部群41及び制御板50の対応する第1流路群51も必要となる。
すなわち、逆止弁ブロック20を設置した場合において油圧ポンプ1から吐出する圧油で油圧モータ2を駆動するとき、入力ポート11から出力ポート12へ流出する作動液の流路としては逆止弁24を通過する流路と、第1の空間14、第1流路穴群51、第1出力ポート12aを通過する流路(第1の流路)の二つの流路が構成され、その圧力損失特性に従って作動液が二つの流路に分流して流れることになる。また、入力ポート11から出力ポート13へ流出する流路としては、第1の空間14、第2流路穴群52、第2出力ポート13aを通過する流路(第2の流路)のみが有効で、逆止弁25は逆方向のため閉路される。他方で、油圧モータ2が外部負荷からの反力により駆動され油圧モータ2がポンプ作用をして圧油を吐出し、その油圧で油圧ポンプ1が駆動されてモータ動作し、油圧ポンプ1に接続されている原動機などに外部負荷のエネルギーを回生する動作を行う場合、油圧モータ2、出力ポート12aから流入し入力ポート11へ流出する作動液の流路としては第1流路穴群51、第1出力ポート12aを通過する流路(第1の流路)のみが有効で、逆止弁24は逆方向のため閉路される。また、第1出力ポート12aを通過する流路が弁板40により遮断される期間の油圧ポンプ1の回転を確保するための作動液の経路としては、逆止弁25を通過する流路と、第1の空間14、第2流路穴群52、第2出力ポート13aを通過する流路(第2の流路)の二つの流路が構成され、その圧力損失特性に従って作動液が二つの流路に分流して流れることになる。なお、この回生動作において、第1出力ポート12aを通過する流路が弁板40により遮断される期間における油圧モータ2の慣性エネルギーによる出力ポート12の圧力上昇はアキュムレータ4により緩和される。
<第2の実施の形態>
本発明の第2の実施の形態を図8を用いて説明する。図中、図1及び図7に示した部材と同等の部材には同じ符号を付し、説明を省略する。本実施の形態は、2組の弁板及び制御板を設けて弁板に作用する軸方向の油圧力(スラスト荷重)を対向させ、その油圧力を相殺するようにしたものである。
図8において、本実施の形態の液圧開閉弁VAは、第1の実施の形態の液圧開閉弁Vと同様に円筒型の外筒10A及び逆止弁ブロック20Aを有する一方、外筒10Aの内部に互いに隣接して同軸的に回転可能に挿入された2つの円筒状の弁板40及び140と、外筒10Aと弁板40及び弁板140の間に軸方向にスライド可能に挿入された円筒状の制御板50Aとを有している。
外筒10Aは、軸方向の一端をエンド部10Aaにより閉じた有底の円筒型をしており、他端は、外蓋30により閉じられている。外筒10Aの逆止弁ブロック20Aが位置する外周面部分には、上記第1の実施の形態で示した3つのポート穴11a,12a,13aに加えて、第2入力ポート111及び第3出力ポート113の一部をそれぞれ構成する2つのポート穴111a,113b(以下、適宜、第2入力ポート111及び第3出力ポート113という)が形成されている。
逆止弁ブロック20Aは、上記第1の実施の形態に示した3つのポート穴11b,12b,13bに加えて、外筒10Aのポート穴111aと共に第2入力ポート111を構成するポート穴111b(以下、適宜、第2入力ポート111という)と、外筒10Aのポート穴113aと共に第3出力ポート113を構成するポート穴113b(以下、適宜、第3出力ポート113という)とを有し、2つの逆止弁24,25に加えて、逆止弁ブロック20Aのポート穴111bとポート穴12bの間に、ポート穴111bからポート穴12bへの圧油の流れのみを許容し、ポート穴12bからポート穴111bへの圧油の流れを阻止する第3の逆止弁124が設けられ、ポート穴111bとポート穴113bの間に、ポート穴113bからポート穴111bへの圧油の流れのみを許容し、ポート穴111bからポート穴113bへの圧油の流れを阻止する第4の逆止弁125が設けられている。
第1入力ポート11及び第2入力ポート111は管路71a,71bを介して油圧ポンプ1に接続され、油圧ポンプ1から吐出された圧油が第1入力ポート11及び第2入力ポート111から液圧開閉弁に供給される。第1出力ポート12は管路72を介して油圧アクチュエータ(例えば油圧モータ)2に接続され、第2出力ポート13及び第3出力ポート113はそれぞれ管路73a,73bを介して作動油タンク6に接続され、液圧開閉弁に供給された油圧ポンプ1の吐出油のうち第1及び第2入力ポート11,111から液圧開閉弁の内部を経由して第1出力ポート12に導かれた圧油は管路72を経由して油圧アクチュエータ2に供給され、これにより油圧アクチュエータ2を駆動するとともに、第1及び第2入力ポート11,111から液圧開閉弁の内部を経由して第2及び第3出力ポート13,113に導かれた圧油は管路73a,73bを経由して作動油タンク6に環流する。
2つの弁板40,140は軸方向に離間して位置しかつそれぞれ同じ外径の円筒形状の外周面を持つ円筒体として構成され、かつその中心部に弁板40,140と一体の共通の回転軸43Aを有している。回転軸43Aは弁板40,140の中心軸に沿ってそれらの間を伸びる部分と、弁板40,140の左右両側に伸びる部分とからなり、弁板40,140はそれらの間を伸びる軸部分により一体に連結されている。また、図示右側の軸部分の端部は外筒10Aのエンド部10Aaに設けられたラジアル軸受17Aにより外筒10Aのエンド部10Aaに回転可能に支持され、図示左側の軸部分は外筒10Aの外蓋30を貫通して外部まで伸び、かつこの軸部分は外蓋30に設けられたラジアル軸受18Aにより外蓋30に回転可能に支持されている。これにより弁板40,140は外筒10Aに対して(その結果、制御板50Aに対して)回転可能であり、回転軸43Aを回転駆動することにより弁板40及び140が同時に同方向に回転駆動される。
弁板140には、弁板40と同様に、互いに軸方向に隔てられた位置に第3開口部群141及び第4開口部群142の2つの開口部群が形成され、第3開口部群141及び第4開口部群142は、それぞれ、周方向に等間隔に開けられた4つの開口部141a〜141d;142a〜142dを有している。第3開口部群141の開口部141a〜141dと第4開口部群142の開口部142a〜142dは、周方向に45°位相の異なる位置に開けられている。また、第3開口部群141の開口部141a〜141dと第4開口部群142の開口部142a〜142dは、周方向に45°位相を異ならせた状態で、弁板140を軸方向に2等分する中心線に対して左右対称の略三角形の形状をしている。すなわち、開口部141a〜41dと開口部142a〜42dの略三角形の形状は互いに逆向きである。また、開口部141a〜41dと開口部142a〜42dの略三角形の形状は、弁板40の開口部41a〜41d;42a〜42dの三角形の形状とは逆に、中心線から離れるに従って周方向の長さが短くなるように(三角形の軸方向の頂点が互いに離れ合うように)形成されている。
また、弁板40の第1開口部群41の開口部41a〜41dと弁板140の第3開口部群141の開口部141a〜141dは、周方向に同じ位相の位置に開けられ、かつそれらの三角形の形状が同方向を向いている。弁板40の第2開口部群42の開口部42a〜42dと弁板140の第4開口部群142の開口部142a〜142dも、周方向に同じ位相の位置に開けられ、かつそれらの三角形の形状が同方向を向いている。ただし、開口部41a〜41dと開口部141a〜141dは軸方向の頂点が図示左側を向く同方向であり、開口部42a〜42dと開口部142a〜142dは軸方向の頂点が図示右側を向く同方向である。
制御板50Aは、弁板140の円筒形状の外周面に摺動接触する円筒形状の内周面を持つ円筒体として構成されている。制御板50Aの軸方向の一端には、外筒10Aのエンド部10Aaを貫通して外部まで延びる制御棒53が接続されており、この制御棒53を軸方向に移動してその軸方向の位置を制御することにより、制御板50Aを軸方向に移動(スライド)してその軸方向の位置を制御することができる。
また、制御板50Aは、第1の実施の形態に示した制御板50に対応する制御板部分150A1と、この制御板部分150A1に隣接して同軸的に設けられたもう1つの制御板部分150A2の2つの制御板部分(以下、適宜単に制御板という)150A1,150A2を有し、制御板50Aを構成する円筒体の2つの制御板150A1,150A2の間には周方向に複数の連通穴150A3が形成されている。制御板50に対応する制御板150A1には、制御板50と同様、円筒体の互いに軸方向に隔てられた位置に設けられ、それぞれ、周方向に等間隔に開けられた4つの流路穴51a〜51d及び流路穴52a〜52dからなる第1流路穴群51及び第2開流路穴群52が形成されている。もう1つの制御板150A2にも、制御板150A1と同様、円筒体の互いに軸方向に隔てられた位置に設けられ、それぞれ、周方向に等間隔に開けられた4つの流路穴151a〜151d及び流路穴152a〜152dからなる第3流路穴群151及び第4開流路穴群152が形成されている。制御板50Aの第1〜第4流路穴群51,52,151,152の各流路穴は、周方向に同じ位相の位置に開けられている。
制御板150A1の第1及び第2流路穴群51,52の流路穴51a〜51d;52a〜52d及び制御板150A2の第3及び第4流路穴群151,152の流路穴151a〜151d;152a〜152dは、制御板150A1の第1及び第2流路穴群51,52の流路穴51a〜51d;52a〜52dと弁板40の第1及び第2開口部群41,42の開口部41a〜41d;42a〜42dとの軸方向の相対的位置関係(制御板150A1側の軸方向の相対的位置関係)と、制御板150A2の第3及び第4流路穴群151,152の流路穴151a〜151d;152a〜152dと弁板140の第3及び第4開口部群141,142の開口部141a〜141d;142a〜142dとの軸方向の相対的位置関係(制御板150A2側の軸方向の相対的位置関係)とが同じとなるように形成されている。制御棒53を軸方向に移動して弁板40,140と制御板50A(制御板150A1,150A2)の軸方向の相対位置を変化させるとき、それに応じて上記制御板150A1側の軸方向の相対的位置関係及び制御板150A2側の軸方向の相対的位置関係もそれぞれ変化する。このように制御板150A1側と制御板150A2側とでそれぞれ軸方向の相対的位置関係が変化しても、両者の軸方向の相対的位置関係の同一性は維持される。
制御板150A1の円筒体外周部の第1入力ポート11を挟んだ位置には、円形の外周端面形状を有する1対の突部50a,50bが形成され、制御板150A2の円筒体外周部の第2入力ポート111を挟んだ位置にも、同様に、円形の外周端面形状を有する1対の突部50c,50dが形成され、制御板50Aは、その突部50a〜50dの外周端面を外筒10Aの内周面に接して挿入され、弁板40は、その外周面を制御板50の内周面に接して挿入されている。また、弁板40には、その内部空間を第1開口部群41と第2開口部群42の間の位置で2つの空間に隔てる仕切り壁44が設けられ、弁板140には、その内部空間を第3開口部群141と第4開口部群142の間の位置で2つの空間に隔てる仕切り壁144が設けられている。これにより外蓋30により閉じられた外筒10Aの内部空間は、外筒10Aと制御板50Aとで区切られた第1の空間14と、外筒10Aと2つの弁板40,140で区切られた第2の空間115と、外筒10Aと弁板40で区切られた第3の空間16と、外筒10Aと制御板50Aで区切られた第4の空間114と、外筒10Aと弁板140で区切られた第5の空間116の5つの空間に分けられる。
第1の空間14は、第1入力ポート11、制御板150A1の第1流路穴群51及び第2流路穴群52と連通しており、制御板150A1の第1流路穴群51が弁板40の第1開口部群41と連通したときは、第1入力ポート11から第1流路穴群51、第1開口部群41、第2の空間115を経て第1出力ポート12に至る第1の流路が形成され、制御板150A1の第2流路穴群52が弁板40の第2開口部群42と連通したときは、第1入力ポート11から第2流路穴群52、第2開口部群42、第3の空間16を経て第2出力ポート13に至る第2の流路が形成される。
第4の空間114は、第2入力ポート111、制御板150A2の第3流路穴群151及び第4流路穴群152と連通しており、制御板150A2の第3流路穴群151が弁板140の第3開口部群41と連通したときは、第2入力ポート111から第1流路穴群151、第3開口部群141、第2の空間115を経て第1出力ポート12に至る第3の流路が形成され、制御板150A2の第4流路穴群152が弁板140の第4開口部群142と連通したときは、第1入力ポート111から第4流路穴群152、第4開口部群142、第5の空間116を経て第3出力ポート113に至る第4の流路が形成される。
また、制御板150A1の第1流路穴群51が弁板40の第1開口部群41と連通して第1の流路を形成するときは、これと同時に制御板150A2の第3流路穴群151が弁板140の第3開口部群41と連通して第3の流路が形成され、制御板150A1の第2流路穴群52が弁板40の第2開口部群42と連通して第2の流路を形成するときは、これと同時に制御板150A2の第4流路穴群152が弁板140の第4開口部群142と連通して第4の流路が形成される。
すなわち、制御板150A1は、外筒10Aの第1入力ポート11と円筒状の弁板(第1弁板)40との間に位置し、第1入力ポート11から弁板40の第1開口部群41を経由して第1出力ポート12に至る第1の流路及び第1入力ポート11から第2開口部群42を経由して第2出力ポート13に至る第2の流路を選択的に形成する第1連通制御部材を構成し、制御板150A2は、第1連通制御部材である制御板150A1に隣接しその制御板150A1と同軸的に外筒10Aの第2入力ポート111と円筒状の弁板(第2弁板)140との間に挿入され、第2入力ポート111から弁板140の第3開口部群141を経由して第2出力ポート12に至る第3の流路及び第2入力ポート111から弁板140の第4開口部群142を経由して第3出力ポート113に至る第4の流路を選択的に形成する第2連通制御部材を構成する。
以上のように構成した本実施の形態の液圧開閉弁VAにおいては、回転軸43Aを電動機に接続して弁板40,140を一定速度で回転させ、制御棒53を直線電動機に接続して制御板150A1,150A2を軸方向にスライドさせることにより、第1の実施の形態の液圧開閉弁Vと同じ動作原理に基づいて、2組の弁板40及び制御板150A1と弁板140及び制御板150A2のそれぞれにおいて通流率が制御され、油圧ポンプ1から油圧アクチュエータ2に供給される圧油の流量が制御される。これにより本実施の形態においても、今まで以上に高速な開閉動作が可能となり、PWM方式の制御により滑らかな流量制御を行うことができるなど、第1の実施の形態と同様の効果が得られるとともに、第1の実施の形態では得られない下記の効果が得られる。
本実施の形態においては、弁板40及び制御板150A1と弁板140及び制御板150A2の2組の弁板及び制御板により通流率を制御して流量制御をするので、1組の弁板及び連通制御部材を用いる第1の実施の形態に比べて原理上2倍の流量制御が可能となり、PWM制御により大流量の圧油を滑らかに流量制御することができる。
また、本実施の形態においては、弁板40及び制御板150A1と弁板140及び制御板150A2の2組の弁板及び制御板により通流率を制御し流量制御するので、弁板40と弁板140とに作用する軸方向の油圧力が互いに相殺し合い、回転軸43Aの軸受部(軸受17A,18A)に過大なスラスト荷重が作用することが防止される。
すなわち、制御板150A1の第1流路穴群51が弁板40の第1開口部群41と連通して第1の流路を形成し、かつこれと同時に制御板150A2の第3流路穴群151が弁板140の第3開口部群41と連通して第3の流路を形成するとき、第2の空間115に導かれた圧油により弁板40,140には軸方向の油圧力が作用するが、弁板40,140は同じ外径を有するためそれらの油圧力の大きさは同じであり、かつその方向は反対である(弁板40に作用する油圧力は図示左方向に作用し、弁板140に作用する油圧力は図示右方向に作用する)。その結果、両者の油圧力は相殺され、回転軸43Aの軸受部(軸受17A,18A)に過大なスラスト荷重が作用することはない。同様に、制御板150A1の第2流路穴群52が弁板40の第2開口部群42と連通して第2の流路を形成し、かつこれと同時に制御板150A2の第4流路穴群152が弁板140の第4開口部群142と連通して第4の流路を形成するときも、第3及び第4の空間16,116に導かれた圧油により弁板40,140には軸方向の油圧力が作用するが、第3及び第4の空間16,116に導かれた圧油の圧力は同じでありかつ弁板40,140は同じ外径を有するため、それらの油圧力の大きさは同じであり、かつその方向は反対である(弁板40に作用する油圧力は図示右方向に作用し、弁板140に作用する油圧力は図示左方向に作用する)。その結果、両者の油圧力は相殺され、回転軸43Aの軸受部(軸受17A,18A)に過大なスラスト荷重が作用することはない。
このように弁板40,140の軸方向に作用する油圧力が相殺され、回転軸43Aの軸受部(軸受17A,18A)に過大なスラスト荷重が作用することが防止されるので、軸受構造の簡素化が可能であり、かつ液圧開閉弁VAの耐久性が向上するとともに、液圧開閉弁VAの安定した動作が可能となる。
<第3の実施の形態>
本発明の第3の実施の形態を図9を用いて説明する。図中、図1及び図7に示した部材と同等の部材には同じ符号を付し、説明を省略する。本実施の形態は制御板を回転可能とし、弁板を軸方向にスライド可能としたものである。
図9において、本実施の形態の液圧開閉弁VBは、第1の実施の形態の液圧開閉弁Vと同様に円筒型の外筒10B及び逆止弁ブロック20を有する一方、外筒10Bの内部に軸方向にスライド可能に挿入された円筒状の弁板40Bと、外筒10Bと弁板40Bの間に回転可能に挿入された円筒状の制御板50Bとを有している。
また、外筒10B内には、制御板50Bと一体回転する円筒状の支持部材45,55が配置されている。支持部材45は、その中心軸に沿って外筒10Bの外蓋30Bを貫通して外部まで延びる回転軸43Bを有し、回転軸43Bは外蓋30Bに設けられたラジアル軸受18a,18bにより回転可能に支持されている。また、制御板50の両端は支持部材45,55上に連結され、支持部材45はラジアル軸受18cにより外筒10Bに回転可能に支持され、支持部材55はラジアル軸受17aにより外筒10Bに回転可能に支持されている。回転軸43Bを回転駆動することにより制御板50Bが回転駆動される。
弁板40Bはその中心部に弁板40Bと一体の制御棒53Bを有している。制御棒53Bは弁板40Bの中心軸に沿って左右両側に伸び、図示左側の軸部分の端部は支持部材45に設けられたラジアル軸受45aのインナーレース内に軸方向にスライド可能に支持され、図示右側の軸部分は外筒10Bのエンド部10bを貫通して外部まで伸び、かつこの制御棒53Bの軸部分は外筒10Bのエンド部10bに軸方向にスライド可能にスプライン結合されている。これにより制御板50が回転するとき弁板40Bの回転は拘束され、制御板50は弁板40Bに対して相対的に回転するとともに、制御棒53Bを軸方向に移動してその軸方向の位置を制御することにより、制御板50Bに対する弁板40Bの軸方向の位置が変わり、制御板50Bに対する弁板40Bの軸方向の位置を制御することができる。
弁板40Bにはそれぞれ4つの開口部からなる第1及び第2開口部群41,42が設けられ、制御板50Bにはそれぞれ4つの流路穴からなる第1及び第2流路穴群51,52が設けられており、これら開口部群及び流路穴群に関する構成の詳細は第1の実施の形態と同じである。
また、本実施の形態では、第2の実施の形態と同様、制御板50Bの外周面に外筒10Bと制御板50Bとの間に第1の空間14を形成するための突部50a,50bが設けられ、制御板50Bはその突部50a,50bを外筒10Bの内周面に接して挿入されている。
制御板50Bは、外筒10Bの入力ポート11と円筒状の弁板40Bとの間に位置し、入力ポート11から弁板40Bの第1開口部群41を経由して第1出力ポート12に至る第1の流路及び入力ポート11から第2開口部群42を経由して第2出力ポート13に至る第2の流路を選択的に形成する連通制御部材を構成する。
以上のように構成した本実施の形態の液圧開閉弁VBにおいては、回転軸43Bを電動機に接続して制御板50Bを一定速度で回転させ、制御棒53Bを直線電動機に接続して弁板40Bを軸方向にスライドさせることにより、第1の実施の形態の液圧開閉弁Vと同じ動作原理に基づいて、弁板40Bと制御板50B間の通流率が制御され、油圧ポンプ1から油圧アクチュエータ2に供給される圧油の流量が制御される。これにより本実施の形態においても、今まで以上に高速な開閉動作が可能となり、PWM方式の制御により滑らかな流量制御を行うことができるなど、第1の実施の形態と同様の効果が得られる。
<第4の実施の形態>
本発明の第4の実施の形態を図10を用いて説明する。本実施の形態は、本発明の第2の実施の形態において制御板50Aを回転可能とし、弁板40,140をスライド可能としたものである。
本発明の第4の実施の形態を図10を用いて説明する。図中、図1及び図7に示した部材と同等の部材には同じ符号を付し、説明を省略する。本実施の形態は、制御板を外筒と一体化し、弁板を回転可能でかつ軸方向にスライド可能としたものである。
図10において、本実施の形態の液圧開閉弁VCは、第1の実施の形態の液圧開閉弁Vと同様に円筒型の外筒10C及び逆止弁ブロック20を有する一方、外筒10Cの内部に回転可能でかつ軸方向にスライド可能に挿入された円筒状の弁板40Cを有している。
また、外筒10C内には、弁板40Cと一体に軸方向に移動可能な円筒状の支持部材55Cと、弁板40Cと一体に回転可能でかつ弁板40Cが相対的に軸方向に移動可能な円筒状の支持部材45Cが配置されている。支持部材45Cは、その中心軸に沿って外筒10Cの外蓋30Cを貫通して外部まで延びる回転軸43C1を有し、回転軸43C1は外蓋30Cに設けられたラジアル軸受18a,18bにより回転可能に支持されている。支持部材55Cは、その中心軸に沿って外筒10Cのエンド部10cを貫通して外部まで延びる制御棒53Cを有し、制御棒53Cは外筒10Cのエンド部10cに軸方向にスライド可能に支持されている。弁板40Cはその中心部に弁板40Cと一体の回転制御軸43C2を有している。回転制御軸43C2は弁板40Cの中心軸に沿って左右両側に伸び、図示左側の軸部分の端部は支持部材45C内に軸方向にスライド可能にスプライン結合され、図示右側の軸部分の端部は支持部材55Cにラジカル軸受17bにより回転可能に支持されている。回転軸43C1を回転することにより弁板40Cは回転し、制御棒53Cを軸方向に移動することにより、弁板40Cは軸方向にスライドする。
また、本実施の形態では、制御板50Cは外筒10Cの内周面部分に外筒10Cと一体に構成されており、外筒10C内の制御板50C部分の外周側に第1の空間14が形成されている。外筒10Cの内周面と制御板50Cの内周面とは面一に形成され、弁板40Cは、弁板40Cの円筒形状の外周面を外筒10Cの内周面と制御板50Cの内周面に接して挿入されている。
このような構成により、回転軸43C1を回転することにより弁板40Cは制御板50Cに対して相対的に回転するとともに、制御棒53Cを軸方向に移動してその軸方向の位置を制御することにより、制御板50Cに対する弁板40Cの軸方向の位置が変わり、制御板50Cに対する弁板40Cの軸方向の位置を制御することができる。
弁板40Cにはそれぞれ4つの開口部からなる第1及び第2開口部群41,42が設けられ、制御板50Cにはそれぞれ4つの流路穴からなる第1及び第2流路穴群51,52が設けられており、これら開口部群及び流路穴群に関する構成の詳細は第1の実施の形態と同じである。
制御板50Cは、外筒10Cの入力ポート11と円筒状の弁板40Cとの間に位置し、入力ポート11から弁板40Cの第1開口部群41を経由して第1出力ポート12に至る第1の流路及び入力ポート11から第2開口部群42を経由して第2出力ポート13に至る第2の流路を選択的に形成する連通制御部材を構成する。
以上のように構成した本実施の形態の液圧開閉弁VCにおいては、回転軸43C1を電動機に接続して弁板40Cを一定速度で回転させ、制御棒53Cを直線電動機に接続して弁板40Cを軸方向にスライドさせることにより、第1の実施の形態の液圧開閉弁Vと同じ動作原理に基づいて、弁板40Cと制御板50C間の通流率が制御され、油圧ポンプ1から油圧アクチュエータ2に供給される圧油の流量が制御される。これにより本実施の形態においても、今まで以上に高速な開閉動作が可能となり、PWM方式の制御により滑らかな流量制御を行うことができるなど、第1の実施の形態と同様の効果が得られる。
また、本実施の形態では、制御板50Cを外筒10Cと一体に構成したので、外筒10C内の部品点数が減るとともに液圧開閉弁VCの構造が簡素化され、コンパクトで安価な液圧開閉弁Vを提供することができる。
<第5及び第6の実施の形態>
以上に本発明の幾つかの実施の形態を説明したが、これら実施の形態は本発明の精神の範囲内で種々の変形が可能である。例えば、図8に示した本発明の第2の実施の形態は、図1に示した第1の実施の形態における液圧開閉弁の弁板及び制御板を2組配置し、弁板に作用する軸方向の油圧力(スラスト荷重)を相殺したものであるが、図9に示した第3の実施の形態及び図10に示した第4の実施の形態においても、第2の実施の形態と同様に、弁板及び制御板を2組配置し、弁板に作用する軸方向の油圧力(スラスト荷重)を相殺させることができる。図11及び図12は、そのような変形例を本発明の第5及び第6の実施の形態として示すものである。図11中、図8及び図9に示した部材と同等の部材には、図8及び図9の部材に付した符号の参照番号と同じ参照番号にアルファベットDを付して示し、図12中、図8及び図10に示した部材と同等の部材には、図8及び図10の部材に付した符号と同じ符号にアルファベットEを付して示している。
すなわち、図11に示す本発明の第5の実施の形態における液圧開閉弁VDは、2組の弁板40B,140D及び制御板150D1,150D2を有しており、制御板50Dの構成要素である制御板150D1は、外筒10Dの第1入力ポート11と円筒状の弁板(第1弁板)40Bとの間に位置し、第1入力ポート11から弁板40Bの第1開口部群41を経由して第1出力ポート12に至る第1の流路及び第1入力ポート11から第2開口部群42を経由して第2出力ポート13に至る第2の流路を選択的に形成する第1連通制御部材を構成し、制御板150D2は、第1連通制御部材である制御板150D1に隣接しその制御板150D1と同軸的に外筒10Dの第2入力ポート111と円筒状の弁板(第2弁板)140Dとの間に挿入され、第2入力ポート111から弁板140Dの第3開口部群141を経由して第2出力ポート12に至る第3の流路及び第2入力ポート111から弁板140Dの第4開口部群142を経由して第3出力ポート113に至る第4の流路を選択的に形成する第2連通制御部材を構成する。
同様に、図12に示す本発明の第6の実施の形態における液圧開閉弁VEも、2組の弁板40C,140E及び制御板50C,150Eを有しており、制御板50Cは、外筒10Eの第1入力ポート11と円筒状の弁板(第1弁板)40Cとの間に位置し、第1入力ポート11から弁板40Cの第1開口部群41を経由して第1出力ポート12に至る第1の流路及び第1入力ポート11から第2開口部群42を経由して第2出力ポート13に至る第2の流路を選択的に形成する第1連通制御部材を構成し、制御板150Eは、第1連通制御部材である制御板50Cに隣接しその制御板50Cと同軸的に外筒10Eの第2入力ポート111と円筒状の弁板(第2弁板)140Eとの間に挿入され、第2入力ポート111から弁板140Eの第3開口部群141を経由して第2出力ポート12に至る第3の流路及び第2入力ポート111から弁板140Eの第4開口部群142を経由して第3出力ポート113に至る第4の流路を選択的に形成する第2連通制御部材を構成する。
このように構成した液圧開閉弁VD,VEにおいても、2組の弁板40B,140D;40C,140E及び制御板150D1,150D2;50C,150Eを備えることにより図9に示した液圧開閉弁VBに比べて原理上2倍の流量制御が可能となり、PWM制御により大流量の圧油を滑らかに流量制御することができる。また、弁板40B,140D;40C,140Eに作用する軸方向の油圧力が相殺され、制御棒53Dの軸受部或いは制御棒53Dに連結される直線電動機(図11)、或いは回転制御軸43E及び制御棒53Cの軸受部或いは制御棒53Cに連結される直線電動機(図12)に過大なスラスト荷重が作用することが防止される。
<その他の実施の形態>
また、弁板に形成される第1及び第2開口部群及び制御板50Cに形成される第1及び第2流路穴群の個数、形状及び配置位置についても、適正な通流率の制御を可能とする範囲で種々の変形が可能である。例えば、図2(A)に示した弁板40の第1及び第2開口部群41,42の開口部41a〜41d及び42a〜42dは、弁板40の軸方向端部に縁部を有する閉じた開口形状とした。図13はその変形例を示すものであり、弁板40Fの第1及び第2開口部群641,642の開口部641a〜641d及び642a〜642dは、弁板40Fの軸方向端部に縁部を持たない開放型の切り欠き形状としたものである。弁板の軸方向端部に縁部を持つ図2(A)の構造の開口部の場合、PWM制御における通流率を完全に1にすることはできないが、図13の変形例のように切り欠き形状とすることにより、その通流率を完全に1にすることが可能になる。これにより通流率を0〜1(0%〜100%)の範囲で可変制御することができる。