JP4826471B2 - 記録装置 - Google Patents

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Description

本発明は、インクを吐出して被記録体に画像を形成するための記録装置に関し、特に、記録ヘッドと共に移動するサブタンクへ所定のタイミングでインクを補充するタイプの記録装置に関する。
例えばインクジェットプリンタなどの記録装置におけるインク供給方式の1つとして、ステーション供給方式(オンデマンド方式ともいう)というものがある。この方式の記録装置は、記録ヘッドと共に移動するサブタンクと、該サブタンクへインクを補充するインク補充部とを備え、所定のタイミングでインク補充部を動作させ、サブタンクへのインク補充を行なうようになっている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1では、1枚の被記録体への記録動作を中断してインク補充をしなければならなくなるのを回避すべく、この1枚への記録完了に最低必要なインク量を一律に設定してこれを閾値とし、サブタンク内のインク残量がこの閾値以下であると判断したときに、記録開始に先だってインク補充を実行するようになっている(特許文献1の段落0061参照)。
特開2000−334976号公報
ところで、記録装置により形成される画像には種々の画質モードや画像タイプが存在し、1枚の被記録体への記録が完了するまでに消費されるインク量がそれぞれ異なっている。上記特許文献1に開示された記録装置の場合、インク補充のタイミングを計る閾値の基準として低いインク残量を設定すると、例えば高画質モードでの記録動作中にインク補充が必要となってしまう可能性がある。従って、インク補充による記録動作の中断を適切に回避するためには、これらの画質モードや画像タイプのうち、最もインク消費量の多い画像の記録を想定して閾値を決定せざるを得ない。
しかしながら、このように閾値を決定すると、実際にはインク消費量が比較的少ない記録を実行しようとする場合であって、インク補充が必要ない程度にインク残量に余裕がある場合であっても、インク補充動作が実行される場合がある。その結果、複数枚の被記録体へ画像を記録する間、頻繁にインク補充動作が実行される可能性があり、記録待機時間が長くなってユーザに不快感を生じさせることとなる。このような事態は、ステーション供給方式に限らず、記録ヘッドと共に移動するサブタンクへインクを補充するタイプの記録装置において共通して生じることである。
そこで本発明は、インク補充による記録動作の中断を回避しつつ、インク補充動作の頻発を抑制して記録待機時間の低減を図ることができる記録装置を提供することを目的とする。
本発明は上述したような事情に鑑みてなされたものであり、本発明に係る記録装置は、インクを吐出して被記録体に画像を形成する記録ヘッドと、該記録ヘッドと共に移動して該記録ヘッドへ供給するインクを貯蔵するサブタンクと、該サブタンクへインクを補充するインク補充部と、該インク補充部の動作を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記サブタンクのインク残量が閾値以下になったときに前記サブタンクにインクを補充させるように前記インク補充部を動作させ、且つ、前記閾値を変更可能に構成されており、前記制御部は、複数枚の前記被記録体の各々に同一の画像の記録を行う場合には、一枚目の前記被記録体への記録に使用されたインク量に基づいて、二枚目以降の前記被記録体への記録に係る前記閾値を決定するように構成されていてもよい。
このような構成とすると、サブタンクのインク残量が閾値以下になったときにインク補充を行うことにより記録動作の中断を回避しつつ、状況に応じて閾値を柔軟に変更することによってインク補充動作の回数を極力低減し、インク補充による記録待機時間を低減することが可能となる。更に、このような構成とすることにより、複数枚の被記録体の各々に同一の画像を記録する場合、二枚目以降の被記録体への記録に際して、より高い精度で閾値を設定することができる。
また、前記制御部は、前記被記録体に形成する画像タイプに基づいて前記閾値を変更可能に構成されていてもよい。このような構成とすることにより、インク消費量の異なる種々の画像タイプでの記録動作に際し、この画像タイプに応じた閾値に基づいてインク補充動作を実行することができ、インク補充動作の回数を適切に低減することができる。
また、前記画像タイプには、文字・記号を主に記録するテキストタイプ、隙間無くインクが塗付される領域を含んだ記録を行うペイントグラフタイプ、及び写真画像を記録する写真タイプが含まれていてもよい。このような構成とすることにより、少なくともテキストタイプ、ペイントグラフタイプ、及び写真タイプでの記録動作に際し、各画像タイプに応じた閾値に基づいてインク補充動作を実行することができる。ここで、テキストタイプとは、上述したように文字・記号を主に記録する画像タイプであって、主に文章や数式から成る画像を意味している。また、ペイントグラフタイプとは、例えば抽象画のポスターを記録する際の画像タイプなどが相当し、画像を形成する全てのドットを比較的高い階調(即ち、ドットを形成するインク量が比較的多い)とする画像タイプを意味している。更に、写真タイプとはその名の通り写真を記録する際の画像タイプが相当し、画像を形成する各ドットの階調に高低がある(即ち、各ドット間に濃淡の違いがある)ような画像タイプを意味している。
また、前記閾値は、多い順に、前記ペイントグラフタイプ、前記写真タイプ、前記テキストタイプであってもよい。このような構成とすることにより、各画像タイプに応じて適切に閾値を設定することができる。
また、前記制御部は、前記被記録体に形成する画像の画質モードに基づいて前記閾値を変更可能に構成されていてもよい。このような構成とすることにより、インク消費量の異なる種々の画質モードでの記録動作に際し、この画質モードに応じた閾値に基づいてインク補充動作を実行することができ、インク補充動作の回数を適切に低減することができる。
また、前記制御部は、複数枚の前記被記録体の各々に同一の画像の記録を行う場合には、一枚目の前記被記録体への記録を行う前に前記サブタンク内のインク残量が最大となるまでインクを補充するよう前記インク補充部を動作させるべく構成されていてもよい。このような構成とすることにより、一枚目の被記録体への記録に必要な正確なインク消費量が明確でない場合であっても、予めサブタンク内のインク残量が最大となって余裕があるため、一枚目の被記録体への記録動作中にインク切れが生じることがない。
また、前記制御部は、複数枚の前記被記録体の各々に同一の画像の記録を行う場合には、一枚目の前記被記録体への記録を行う前に前記サブタンクのインク残量が第1の閾値以下であるときに、前記サブタンクにインクを補充させるように前記インク補充部を動作させ、一枚目の前記被記録体への記録が完了したら、その記録に使用されたインク量に基づいて第2の閾値を算出し、これを二枚目以降の前記被記録体への記録に係る新たな閾値として設定するよう構成されていてもよい。このような構成とすることにより、二枚目以降の被記録体への記録に際して高い精度で第2の閾値を設定することができると共に、最初の一枚目の被記録体への記録に際しても、これに適した第1の閾値に基づいてインク補充動作の要否を判断することができる。
また、前記第1の閾値は、少なくとも前記画像タイプに応じて決められるように成してあってもよい。このような構成とすることにより、既に説明したのと同様に、インク消費量の異なる種々の画像タイプでの記録動作に際して、少なくとも画像タイプに応じた閾値に基づいてインク補充動作を実行することができ、インク補充動作の回数を適切に低減することができる。
また、前記第1の閾値は、前記第2の閾値として算出される値の最大値よりも大きく成してあってもよい。このような構成とすることにより、一枚目の被記録体への記録時にインク切れが生じるのを防止でき、一枚目の被記録体への記録により消費したインク量を確実に取得することができる。
また、被記録体に記録された画像を読み取る読取手段を更に備え、前記制御部は、前記読取手段によって読み取られた画像を前記被記録体に記録する場合であって、且つインクを補充させる場合には、前記読取手段による画像の読み取りが行われている間にインクを補充するよう前記インク補充部を動作させるべく構成されていてもよい。このような構成とすることにより、読取手段(所謂スキャナ機能)を有する記録装置において、被記録体への記録に際してインク補充が必要な場合には、読取手段による画像の読み取り(スキャン)の最中にインク補充を済ませることができるため、時間的に効率よくインク補充を行うことができる。
また、前記インク補充部は、前記サブタンクへ補充するためのインクを貯蔵するメインタンクを有し、前記制御部は、前記サブタンクへのインク補充の際には、前記メインタンクを前記サブタンクへ連通させ、該サブタンク内の残留インクを前記メインタンクへ一旦回収してから、該メインタンクから前記サブタンクへインクを補充するよう前記インク補充部を動作させるべく構成されていてもよい。このような構成とすることにより、上述したようなインク補充による記録動作の中断の回避と、インク補充動作の頻発の抑制とを、所謂ステーション供給方式の記録装置においても実現することができる。
本発明に係る記録装置によれば、一枚の被記録体への記録動作がインク補充によって中断されるのを回避することができ、更に、インク補充動作が頻発して行われるのを抑制して記録待機時間の低減を図ることが可能となる。
以下、本発明の実施の形態に係る記録装置について、図面を参照しつつ具体的に説明する。
[記録装置の構成]
図1は、本発明の実施形態に係る記録装置1の外観構成を示す斜視図であり、本実施の形態では記録装置1として所謂複合機を図示している。図1に示すように記録装置1は、インクジェット方式によって画像を記録するプリンタ部2を、略直方体形状の筐体1aの下部に備え、且つスキャナ部3を筐体1aの上部に備えて構成された多機能装置であり、プリンタ機能、スキャナ機能、コピー機能、ファクシミリ機能を有している。
記録装置1は、パーソナルコンピュータ等の外部情報機器と接続されて、該コンピュータ等から送信されたデータに基づき、被記録体としての記録用紙にテキスト、写真、及びペイントグラフ等の画像を記録する。また、記録装置1は、デジタルカメラ等が接続されることにより、該デジタルカメラ等から出力されるデータに基づいて写真を記録用紙に記録したり、メモリカード等の各種記憶媒体が装填されることにより、該記憶媒体に記録されたデータに基づいて画像を記録用紙に記録したりすることも可能になっている。
図1に示すように記録装置1は、下部のプリンタ部2は正面(前側)に開口4を有しており、この開口4の内側には、下側の給紙トレイ5と上側の排紙トレイ6とが2段にして設けられている。給紙トレイ5には複数枚の記録用紙が収容でき、例えば、A4サイズ以下の各種サイズの記録用紙が複数枚収容できるようになっている。
プリンタ部2の正面の右下部分には扉7が開閉自在に設けられ、該扉7の内方にはメインタンク搭載部8(図3参照)が設けられている。従って、扉7が開かれるとメインタンク搭載部8が正面側に露出し、メインタンク(インクカートリッジ)9(図3参照)が着脱可能になる。メインタンク搭載部8は、使用されるインク色に対応した収容室が備えられている。本プリンタ部2では、5色のカラーインク、すなわち、染料インクであるシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、フォトブラック(PBk)と、顔料インクであるブラック(Bk)とが使用される。したがって、メインタンク搭載部8には5つの収容室が区画されており、各収容室に、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、フォトブラック(PBk)、ブラック(Bk)の各色インクを貯留するメインタンク9が収容される。
記録装置1の上部に設けられたスキャナ部3は、所謂フラットベッドスキャナとして構成されている。即ち、図1に示されるように記録装置1の上面には、該記録装置1の天板として開閉自在に設けられた原稿カバー10が備えられている。そして、原稿カバー10の下側に、原稿が載置されるプラテンガラスや原稿の画像を読み取るイメージセンサなどが配設されている。
記録装置1の正面上部には、プリンタ部2やスキャナ部3を操作するための操作パネル11が設けられている。操作パネル11は、各種操作ボタンや液晶ディスプレイから構成されており、記録装置1は、ユーザによる操作パネル11の操作の結果、該操作パネル11から出力される指示に基づいて動作可能になっている。また、記録装置1が外部のコンピュータに接続されている場合には、該コンピュータからプリンタドライバ又はスキャナドライバを介して送信される指示に基づいても記録装置1は動作する。
記録装置1の正面の左上部分にはスロット部12が設けられている。スロット部12には、記憶媒体である各種小型メモリカードが装填可能であり、操作パネル11において所定の操作を行うことにより、スロット部12に装填された小型メモリカードに記憶されたデータが読み出し可能となっている。読み出されたデータは、操作パネル11の液晶ディスプレイに表示させることも可能であり、この表示に基づいて任意に選択された画像をプリンタ部2により記録用紙に記録させることができる。
図2は、プリンタ部2の構成を示す模式的断面図である。図2に示すように、記録装置1の底部近傍には給紙トレイ5が設けられており、該給紙トレイ5の上方にはプラテン18が設けられている。このプラテン18の更に上方には、後に詳述するが記録ヘッド20及びサブタンク21等がキャリッジ19に搭載されて成る画像記録ユニット22が設けられている。また、給紙トレイ5の奥側部分からは用紙搬送路23が延設されている。該用紙搬送路23は、給紙トレイ5の奥側部分から上方へ向かい更に正面側へ向かうように湾曲した湾曲パス24と、該湾曲パス24の終点から前方へ延びるストレートパス25とから成り、画像記録ユニット22の配設箇所以外の部分では、所定間隔で対向する外側ガイド面と内側ガイド面とで構成されている。
給紙トレイ5の直上には、該給紙トレイ5内の記録用紙を用紙搬送路23へ供給する給紙ローラ26が設けられている。また、用紙搬送路23における湾曲パス24の下流部分近傍には、搬送ローラ27及びピンチローラ28から成る一対の搬送ローラ対29が、両ローラ27,28によって用紙搬送路23を上下から挟むようにして設けられている。更に、用紙搬送路23におけるストレートパス25の下流部分近傍には、排紙ローラ30及びピンチローラ31から成る一対の排紙ローラ対32が、両ローラ30,31によって用紙搬送路23を上下から挟むようにして設けられている。上述した記録ヘッド20とプラテン18とは、搬送ローラ対29と排紙ローラ対32との間にて、ストレートパス25を上下から挟むようにして設けられている。
従って、給紙トレイ5内の記録用紙は、給紙ローラ26によって用紙搬送路23へ供給され、続いて搬送ローラ対29によって用紙搬送路23上を湾曲パス24からストレートパス25へと搬送される。ストレートパス25に到達した記録用紙は、ここで記録ヘッド20から吐出するインクにより画像が記録され、記録が完了すると排紙ローラ対32によってストレートパス25から排出されて排紙トレイ6(図1参照)へ収容されるようになっている。
また、記録装置1は記録用紙への画像の記録の他、後述するようにサブタンク21へのインク補充処理や、記録ヘッド20のメンテナンス処理などを実行可能になっている。そして、画像記録ユニット22の前方には、後述するインク補充部88が設けられている。
図3は、プリンタ部2の主要構成を示す平面図であり、画像記録ユニット22がインクを補充するための所定のポジションに位置している状態を示している。図3に示すように、用紙搬送路23のストレートパス25(図2参照)の上方には、左右(記録用紙の搬送方向に直交する方向)に長寸の平板状を成す一対のガイドレール38,39が配置されている。これらガイドレール38,39は、前後方向(記録用紙の搬送方向)に所定距離を隔てて、ガイドレール38がガイドレール39の後方に位置するようにして設けられている。これらのガイドレール38,39は、記録装置1(図1参照)の筐体1a内に設けられて、プリンタ部2を構成する各構成要素を支持するフレームの一部をなしている。ガイドレール38,39には、画像記録ユニット22を構成するキャリッジ19が、ガイドレール38,39の延設方向(左右方向)に往復して摺動可能に支持されている。
図3に示すように、ガイドレール39の上面には、ベルト駆動機構40が配設されている。ベルト駆動機構40は、用紙搬送路23の幅方向の両端付近にそれぞれ設けられた駆動プーリ(図示せず)と従動プーリ43との間に、内側に歯が設けられた無端環状のタイミングベルト44が張架されて構成されている。駆動プーリ42の軸にはキャリッジモータ45が連結されており、該キャリッジモータ45から駆動力が入力されることで駆動プーリが回転される。この回転を受けて、タイミングベルト44が駆動プーリと従動プーリ43との間で周回運動する。
キャリッジ19は、その底部においてタイミングベルト44に固着されているため、タイミングベルト44の周回運動に従ってガイドレール38,39上を左右へ往復移動する。また、キャリッジ19には記録ヘッド20及びサブタンク21が搭載されているため(図2参照)、キャリッジ19の移動と共に記録ヘッド20は左右方向たる主走査方向に往復移動することとなる。
図3に示すように、平面視でガイドレール38,39の左端近傍はインク補充ポジション50となっており、該インク補充ポジション50にはメインタンク9がメインタンク搭載部8に装填された状態で配置されている。そして、ガイドレール38,39に沿って移動するキャリッジ19がこのインク補充ポジション50に位置すると(図3の状態)、後述するようにメインタンク9からサブタンク21へのインク補充処理が実行可能となっている。また、平面視でガイドレール38,39の右端近傍はメンテナンスポジション51となっており、該メンテナンスポジション51にはメンテナンス機構55が配設されている。従って、キャリッジ19がこのメンテナンスポジション51に位置すると(図3にて二点鎖線で示す状態)、メンテナンス機構55によって記録ヘッド20がパージ処理され、インク流路のメンテナンスが実行可能となっている。
[画像記録ユニットの構成]
次に、画像記録ユニット22及びメインタンク9の構成について説明する。図4は、主として画像記録ユニット22及びメインタンク9の構成を示す断面図であり、図3に示すプリンタ部2の一部を切断線IV−IVによって切断したときの構成を示している。
図4に示すように画像記録ユニット22は、矩形筐体を成すキャリッジ19に記録ヘッド20及びサブタンク21等が搭載されて構成されている。記録ヘッド20は複数のプレート(図示せず)が積層されて成り、内部にインク流路(図示せず)が形成され、該インク流路の下流側開口がインクを吐出するノズル孔(図示せず)を成している。
サブタンク21は左右方向寸法が前後方向寸法に比して小さい直方体形状を成し、各色に1つずつ合計5つ用意されている。図4に示すようにサブタンク21は所定容量のサブインク室21Aを有し、内底部の前側部分に設けられた第1連通口61と、内底部の後側部分に設けられた第2連通口62とを有している。サブタンク21は、第2連通口62を介して記録ヘッド20が有するインク流路の上流側開口に連通しており、サブインク室21A内のインクを記録ヘッド20へ供給可能となっている。
また、サブインク室21Aの前方には、インク補充時に該サブインク室21Aとメインタンク9のメインインク室9Aとを連通させるリフィルポート弁64が設けられている。より詳しくは、第1連通口61の前方に、該第1連通口61を介してサブインク室21Aと連通するリフィル室63が設けられ、該リフィル室63の下部には外部と連通するリフィルポート63Aが形成されている。そして、リフィルポート弁64は、リフィル室63内に収容されており、リフィルポート63Aに挿通されて上下動可能な弁体64Aと、リフィルポート63Aを閉じる方向(図5における下方)へ向けて弁体64Aを付勢するコイルスプリング64Bと、シール部材64Cとから構成されている。このリフィルポート弁64は、弁体64Aに外力が働かない状態ではコイルスプリング64Bの付勢力によりリフィルポート63Aを閉ざす一方、弁体64Aを上方(リフィル室63の内側)へ移動させるよう外力を付与すると、リフィルポート63Aを開放して外部とサブインク室21Aとを連通させる。
また、サブタンク21の前部には圧力調整部70が設けられている。この圧力調整部70は、サブタンク21の上側壁部の上面に形成されたラビリンス構造で断面積の小さい通路65を介してサブインク室21Aに連通する負圧調整室71と、該負圧調整室71の上方に位置する正圧調整室72とを有している。また圧力調整部70は、パージ時に負圧調整室71を介して外部とサブインク室21Aとを連通する負圧調整弁73と、正圧調整室72及び負圧調整室71を介して外部とサブインク室21Aとを連通す正圧調整弁74とを有している。
一方、メインタンク9は、図3に示すように左右方向寸法が前後方向寸法に比して小さい直方体形状を成し、各色に1つずつ合計5つ用意されている。また、図4に示すように、メインタンク9は所定容量のメインインク室9Aを有し、底部近傍にはこのメインインク室9Aに連通するインク供給口80が設けられ、上部には正圧調整弁81とポンプ82とが設けられている。
この正圧調整弁81は弁体81Aとこれを付勢するコイルスプリング81Bとを有し、メインインク室9Aの内圧を所定の正圧値以下に維持する。即ち、メインインク室9Aの内圧が所定の正圧値以下の状態ではメインインク室9Aと外部とを遮断し、内圧が所定の正圧値を超えると、メインインク室9Aと外部とを連通させる。また、正圧調整弁81が有する弁体81Aの端面からは、長寸棒状のプッシュロッド81Cが後方へ向かってポンプ82側へ延設されている。
ポンプ82は、後述するようにサブインク室21Aへのインク補充およびサブインク室21Aからのインク回収のため、メインインク室9Aの容積を変更するものであり、シリンダ83と、該シリンダ83内に収容された長寸棒状のピストン84と、該ピストン84を駆動するピニオンギヤ85とから構成されている。より詳しくは、ポンプ82を構成するピストン84は、その上部に形成されたラックギヤ84Aと、先端に設けられたピストンクラウン84Bとから構成されている。
ラックギヤ84Aはピニオンギヤ85と噛合し、ピストン84はピニオンギヤ85の回転駆動に伴ってシリンダ83内を前後方向へ往復動する。その際、ピストンクラウン84Bは、シリンダ83の内壁面に気密的に摺接しながら往復動する。また、シリンダ83の一端側の壁部には小径の孔が形成されており、正圧調整弁81が有するプッシュロッド81Cはこの孔を貫通してシリンダ83内まで延びている。従って、ピストン84が前方へ移動すると、ピストンクラウン84Bがプッシュロッド81Cを介して弁体81Aを前方へ押動し、正圧調整弁81は開放される。
メインタンク9の底部近傍に設けられたインク供給口80は、メインタンク9外に配設されたチューブ86を介し、サブタンク21に設けられたリフィルポート弁64にジョイントされるジョイント弁87が取り付けられている。このジョイント弁87は、上下方向へ可動な弁体87A、及び該弁体87Aを上方へ付勢するコイルスプリング87B等から構成されている。そしてジョイント弁87は、弁体87Aに外力が働いていない状態ではコイルスプリング87Bの付勢力により閉じられ、弁体87Aに下方向きの外力が働いてコイルスプリング87Bの付勢力に抗って弁体87Aが下方へ移動すると、メインインク室9Aはチューブ86及びジョイント弁87を通じて外部と連通する。
このようなジョイント弁87は、昇降機構104によって上下動されるようになっている。従って、画像記録ユニット22がインク補充ポジション50に位置するときに、この昇降機構104によりジョイント弁87を上昇させると、ジョイント弁87の弁体87Aとリフィルポート弁64の弁体64Aとが互いに押動し合い、両弁64,87は共に開放される。その結果、メインタンク9のメインインク室9Aとサブタンク21のサブインク室21Aとは、弁64,87を介して互いに連通する。
本実施の形態では、上述した構成のうち、メインインク室9A及びポンプ82等を備えるメインタンク9、チューブ86、ジョイント弁87、昇降機構104、ポンプ82と噛合するピニオンギヤ85、及び該ピニオンギヤ85を駆動するためのピニオンギヤ駆動回路105(図5参照)等により、インク補充部88が構成されている。
[記録装置の機能説明]
図5は、上述したような構成の記録装置1が有する機能を説明するためのブロック図である。図5に示すように、記録装置1は制御部100を備え、該制御部100は図示しないCPU(Central Processing Unit)、RAM(Random-Access Memory)、ROM(Read-Only Memory)、及び入出力インタフェース等から構成されている。制御部100には、既に説明したスキャナ部3、操作パネル11、及びスロット部12(図1参照)が接続されている。また制御部100には、搬送機構駆動回路101、記録ヘッド駆動回路102、キャリッジ駆動回路103、昇降機構104、及びピニオンギヤ駆動回路105等が接続されている。これらは制御部100からの指示信号に基づき、以下に説明するような動作を実行する。
搬送機構駆動回路101は、図示しないモータを駆動して該モータの出力軸に接続された搬送ローラ対29及び排紙ローラ対32(図2も参照)を回転させ、用紙搬送路23に沿って記録用紙を搬送させる。
記録ヘッド駆動回路102は、制御部100からの信号に基づいて決定されるインク量及び吐出タイミングで、記録ヘッド20から記録用紙へ向けてインクを吐出させる。また、記録ヘッド駆動回路102は、制御部100からの信号に基づき、記録用紙へ記録する画像の画質モードを変更可能であり、低画質が許容されるドラフトモード、高画質が要求されるファインモード、及び両モードの中間画質が要求されるノーマルモードのうちから選択された一のモードに従ってインクを吐出することができる。また、制御部100は、記録ヘッド駆動回路102へ出力した上述したような指示信号に基づき、各色のインクの吐出量の累積値を算出し、サブタンク21のインク残量を算出する。
キャリッジ駆動回路103は、キャリッジモータ45に接続されており、該キャリッジモータ45を回転駆動させることによってキャリッジ19を左右方向へ移動させる。昇降機構104は、制御部100からの信号に基づいて駆動し、ジョイント弁87を昇降動させる。また、ピニオンギヤ駆動回路105は、図示しないモータを駆動して該モータの出力軸に接続されたピニオンギヤ85を回転させ、ポンプ82を駆動してメインインク室9Aの容積を変更する。
更に制御部100は、外部情報機器としてのパーソナルコンピュータ(PC:以下、「コンピュータ」と略称する)106に接続されている。そして、コンピュータ106又は操作パネル11からの信号に基づいて指示信号を出力するようになっている。
次に、上述したような記録装置1の動作について説明する。
[インク補充処理]
はじめに、メインタンク9からサブタンク21へのインク補充処理に係る動作について説明する。記録装置1は、サブタンク21のサブインク室21A内のインク残量が所定の閾値以下に減ると制御部100によりインク補充部88を駆動し、インク補充処理を実行するが、本実施の形態に係る記録装置1はステーション供給方式を採用しており、この処理の実行に際して、サブタンク21からメインタンク9へ残留インクを一旦回収し、その後、メインタンク9からサブタンク21へインクを補充するという下記に詳説する一連の動作を行う。なお、本発明はステーション供給方式の記録装置1への適用に限定されるものではなく、例えば所謂チューブ方式の記録装置(メインタンクとサブタンクがチューブを介して常時繋がっているタイプの記録装置)であっても、記録ヘッドと共に移動するサブタンクへ所定のタイミングでインクを補充するようなタイプの記録装置であれば適用可能である。
図6は、インク補充処理に係る記録装置1の動作を説明するためのフローチャートである。図7は、インク補充処理中の画像記録ユニット22及びインク補充部88の状態変化を示す模式図であり、(a)はインク補充前のメインタンク9とサブタンク21とを連通した状態、(b)はサブタンク21からインクを一旦回収した状態、(c)はサブタンク21へインクを補充した状態を夫々示している。なお、既に示した図4は、インク補充前であってメインタンク9とサブタンク21とを連通させていない状態が示されている。
図6に示すように記録装置1は、記録用紙への画像の記録を行い(ステップ1)、1枚分の記録が完了した時点で(ステップ2)、サブタンク21内のインク残量が所定の閾値以下になったか否かを判断(この判断処理については後述する)する(ステップ3)。インク残量が閾値を超える値であれば(ステップ3:NO)ステップ1に戻って次の記録用紙への記録を行い、インク残量が閾値以下であると判断した場合は(ステップ3:YES)、キャリッジモータ45(図5参照)を駆動してキャリッジ19をインク補充ポジション50に位置させる(ステップ4)。このときメインタンク9とサブタンク21とは、図4に示す位置関係となっている。次に、インク補充部88を駆動してメインタンク9とサブタンク21とをジョイントする。即ち、昇降機構104を駆動してジョイント弁87を上昇させ、図7(a)に示すように該ジョイント弁87及びリフィルポート弁64を介してサブインク室21Aとメインインク室9Aとを連通させる(ステップ5)。
両インク室9A,21Aが連通すると、ピニオンギヤ85を回転させてピストン84を後方へ移動させ、メインインク室9A内を負圧にすることにより、図7(b)に示すようにサブインク室21A内の残留インクをメインインク室9Aへ一旦回収する(ステップ6)。回収処理の完了後、ピニオンギヤ85を逆回転させてピストン84を前方へ移動させ、メインインク室9A内を正圧とすることにより、図7(c)に示すようにメインインク室9Aからサブインク室21Aへインクを補充する(ステップ7)。そして、ピニオンギヤ85を所定角度(回転数)だけ回転させることによりインクの補充が完了すると、ステップ1に戻って次の記録用紙への記録を再開する。
このように、本実施の形態に係る記録装置1のインク補充処理においては、サブインク室21A内の残留インクを一旦回収するため、メインインク室9Aからのインクの補充時には、サブインク室21A内の空き容量が常に略一定となる。従って、サブタンク21にインク量を検出するためのセンサを設けることなく、サブインク室21Aの最大容量まで精度よくインクを補充することができる。
[画像タイプ・画質モードによる閾値決定]
本実施の形態に係る記録装置1では、上述した図6のステップ3での判断で参照するインク残量に関する閾値が変更可能になっており、画像タイプ及び画質モードに基づいて適切に設定されるようになっている。図8は、記録装置1において設定されている画像タイプ及び画質モードと閾値(第1の閾値)との関係を示す表であり、図9は、制御部100での閾値の決定処理手順を示すフローチャートである。
図8に示すように、記録装置1では画像タイプとして3種類が設定されており、文字・記号を主に記録するテキストタイプと、隙間無くインクが塗付される領域を含んだ記録を行うペイントグラフタイプと、写真画像を記録する写真タイプとがある。また、画質モードとしても3種類が設定されており、既に説明したように低画質が許容されるドラフトモードと、高画質が要求されるファインモードと、両モードの中間画質が要求されるノーマルモードとがある。そして、テキストタイプにおいては、ドラフトモード及びノーマルモードに対して順にTh(a1),Th(b1)(Th(a1)<Th(b1))という閾値が設定されている。ペイントグラフタイプにおいては、全ての画質モードに対して閾値が設定されており、ドラフトモード、ノーマルモード、ファインモードの順に、Th(a2),Th(b2),Th(c2)(Th(a2)<Th(b2)<Th(c2))という閾値が設定されている。写真タイプにおいては、ノーマルモード及びファインモードに対して順にTh(b3),Th(c3)(Th(b3)<Th(c3))という閾値が設定されている。
また、同一の画質モードでは、テキストタイプ<写真タイプ<ペイントグラフタイプの順にインク使用量が多くなるため、図8においても、ノーマルモードでの各画像タイプ間の閾値を比較すると、Th(b1)<Th(b3)<Th(b2)となっている。そして、画像タイプと画質モードの種々の組み合わせの中では、ペイントグラフタイプ且つファインモードでの画像記録が最もインク消費量が多く、従ってこの場合の閾値Th(b3)が最も大きな値を有する。
図9に示すように制御部100は、次に記録する画像のタイプがテキストであるか否かを判断し(ステップ10)、テキストであると判断すると(ステップ10:YES)、画質モードがドラフト及びノーマルの何れであるかを判断する(ステップ11)。その結果、ドラフトであれば閾値ThとしてTh(a1)を取得し(ステップ12)、ノーマルであれば閾値ThとしてTh(b1)を取得し(ステップ13)、閾値決定処理を終了する。
ステップ10にて画像タイプがテキストでないと判断した場合は(ステップ10:NO)、画像タイプがペイントグラフであるか否かを判断する(ステップ14)。ペイントグラフであると判断した場合は(ステップ14:YES)、画質モードがドラフト、ノーマル、及びファインのうちの何れであるかを判断する(ステップ15)。その結果、ドラフトであれば閾値ThとしてTh(a2)を取得し(ステップ16)、ノーマルであれば閾値ThとしてTh(b2)を取得し(ステップ17)、ファインであれば閾値ThとしてTh(c2)を取得し(ステップ18)、閾値決定処理を終了する。
ステップ14にて画像タイプがペイントグラフでないと判断した場合は(ステップ14:NO)、残りの写真タイプであることが確定され、画質モードがノーマル及びファインの何れであるかを判断する(ステップ19)。その結果、ノーマルであれば閾値ThとしてTh(b3)を取得し(ステップ20)、ファインであれば閾値ThとしてTh(c3)を取得し(ステップ21)、閾値決定処理を終了する。
以上のように、記録装置1は次に記録する画像のタイプ及び画質モードに基づいて、インク残量に関する閾値を適宜決定する。そして、図6を参照して説明したように、決定された閾値とインク残量とを比較して、サブタンク21へのインク補充処理を実行するか否かの判断が行われる(図6のステップ3参照)。従って、1枚の記録用紙に対する記録動作中のインク切れを防止しつつ、余剰インクが存在する状態でのインク補充の実行を抑制し、インク補充の動作回数を低減することができる。
[コピー処理における閾値決定]
同一の画像を複数枚に記録するコピー処理を実行する場合、記録装置1は、1枚目の記録用紙への記録で使用したインク量に基づき、2枚目以降の記録に先がけてインク補充処理(図6参照)を実行するか否かの判断基準たる閾値(第2の閾値)を決定することができる。以下、このコピー処理における動作について説明する。
図10は、コピー処理手順を示すフローチャートである。図10に示すように制御部100は、コンピュータ106からの信号又はユーザによる操作パネル11の操作に基づく信号により、コピー処理を実行する旨の指示を受けると(ステップ30)、1枚目の記録用紙への記録に先がけて閾値(第1の閾値)を決定する(ステップ31)。ここでの閾値決定は、図9を用いて説明した手順で行う。そして、サブタンク21のインク残量がこの閾値以下であるか否かを判断し(ステップ32)、閾値以下であればインク補充を行ってから(ステップ33)1枚目の記録用紙への記録を実行し(ステップ34)、閾値以下でなければインク補充をすることなく1枚目の記録用紙への記録を実行する(ステップ34)。また、1枚目の記録用紙への記録におけるインク使用量Vpを算出して取得しておく(ステップ35)。
次に、前記インク使用量Vpに基づいてサブタンク21のインク残量Vrを取得し(ステップ36)、全数の記録用紙への記録が完了したか否かを判断する(ステップ37)。完了していると判断した場合(ステップ37:YES)、インク残量Vrが所定の閾値Thx以下であるか否かを判断し(ステップ38)、閾値Thx以下であると判断すれば(ステップ38:YES)図6のステップ4〜7に示したインク補充処理を実行して(ステップ39)コピー処理を終了し、閾値Thx以下でないと判断すれば(ステップ38:NO)インク補充処理をすることなくコピー処理を終了する。なお、ステップ38での判断においては、次に行われる記録がどのようなものなのか不明な状態であるため、例えば、記録用紙1枚を全面にわたってファインモードで記録する場合のインク使用量を閾値Thxとすることができ、また、図8に示した閾値Th(a1),Th(b1),Th(a2),Th(b2),Th(c2),Th(b3),Th(c3)の何れかを閾値Thxとして採用してもよい。
一方、ステップ37にて全数の記録が未完了であると判断した場合(ステップ37:NO)、インク補充の要否判断の基準となる閾値(第2の閾値)Thとして、1枚目の記録用紙への記録におけるインク使用量Vpを設定する(ステップ40)。なお、第1の閾値と第2の閾値とを比較すると、第1の閾値>第2の閾値という関係になっている。
そして、ステップ36で取得したインク残量Vrが閾値Th(=Vp)以下であるか否かを判断する(ステップ41)。その結果、インク残量Vrが閾値Th(=Vp)以下であると判断した場合は(ステップ41:YES)、図6のステップ4〜7に示したインク補充処理を実行してから(ステップ42)2枚目の記録用紙への記録を実行し(ステップ43)、閾値Th(=Vp)より多いと判断した場合は(ステップ41NO)、インク補充処理を行うことなく2枚目の記録用紙への記録を実行する(ステップ43)。そして、ステップ36以降の処理を再び繰り返す。
このように記録装置1は、1枚目の記録用紙への記録におけるインク使用量Vpに基づき、2枚目の記録用紙への記録に際してインク補充処理を実行するか否かの判断基準となる閾値Thを決定する。従って、より精度の高い閾値設定が可能であり、余剰インクが存在する状態でのインク補充の実行を抑制し、インク補充の動作回数を低減することができる。
なお、図10を用いて説明した処理手順では、1枚目の記録用紙への記録に先がけて図10にて示した手順により閾値を決定し、該閾値に基づいてインク補充処理の要否を判断しているが(ステップ31〜33)、これに限られない。例えば、1枚目の記録用紙への記録に先がけて、サブタンク21のインク残量が最大値となるよう一律にインク補充処理を実行することとしてもよい。また、インク補充処理中のインク回収動作後に、サブタンク21に所定量のインクの残留を見込む場合には、上記第2の閾値Thは、厳密にはこの見込み量にVpを加算した値となる。
また、図10では1枚目の記録用紙に記録する画像と同じものを2枚目以降の記録用紙にも記録する場合の処理手順について説明したが、複数枚の記録用紙に記録した一連のドキュメントを複数部数作成するようなコピー処理においては、以下のようにしればよい。
即ち、1部目の全ての記録用紙への記録が完了するまで、各記録用紙についてステップ31〜35の処理を実行することにより、各記録用紙への記録に先がけてインク補充の要否を判断し、各記録用紙への記録におけるインク使用量を個別に取得する。そして、ステップ36以降の処理においては、2部目の記録用紙への記録に際し、既に取得した1部目の各記録用紙に対応するインク使用量に基づき、各記録用紙に対する閾値を個別に決定し、この閾値に基づいて、記録用紙1枚ごとにそれへの記録に先がけてインク補充処理の要否を判断する。
このような処理を実行することにより、複数枚の記録用紙に記録した一連のドキュメントを複数部数作成するコピー処理においても、各記録用紙への記録に先がけたインク補充処理の要否判断を、より高い精度で得た閾値に基づいて行うことができる。
[スキャン中のインク補充処理]
図1に示すように、本実施の形態に係る記録装置1はスキャナ部3を備えている。従って、スキャナ部3によりスキャンした画像を記録用紙に記録したり、この画像を複数枚の記録用紙に記録するコピー処理を実行することも可能である。この場合においても、記録用紙への記録に先がけて図9に示した閾値決定処理が行われ、必要に応じて図6のステップ4〜7に示したインク補充処理が実行される。
図11は、スキャンした画像を複数の記録用紙に記録するコピー処理において、インク補充処理の実行タイミングを説明するフローチャートである。図11に示すように、コンピュータ106からの信号又はユーザの操作による操作パネル11からの信号に基づき、制御部100がスキャン実行指示を受けると(ステップ50)、スキャン開始(ステップ51)の後に図9により説明した手順で閾値を決定し(ステップ52)、この閾値に基づいてインク補充処理の要否を判断する(ステップ53)。インク補充処理が必要であると判断した場合は(ステップ53:YES)、図6のステップ4〜7で説明した手順でインク補充処理を実行し(ステップ54)、その後、スキャン完了まで待機する(ステップ55)。
通常、1枚の記録用紙に記録された画像をスキャンし終えるまでには、比較的長い時間を要するため、ステップ52〜54の処理はスキャン中に完了する。従って、ステップ54のインク補充処理が完了した場合、及びステップ53にてインク補充処理が不要であると判断した場合(ステップ53:NO)は、スキャン完了まで待機する(ステップ55)。そして、スキャンが完了すると(ステップ56)、その後は図10に示したステップ34以降の処理を実行して、複数の記録用紙へ画像を記録する(ステップ57)。なお、スキャンした画像を1枚の記録用紙だけに記録する場合は、図11に示す手順においてスキャンが完了した後(ステップ56)、1枚の記録用紙へスキャン画像を記録して一連の処理を終了すればよい。
このようなタイミングで1枚目の記録用紙への記録に先がけたインク補充処理を実行することにより、必要な場合のインク補充処理を、比較的長い時間がかかるスキャン中に完了することができるため効率的である。
上述したような記録装置1によれば、既に説明したように、インク補充による記録動作の中断を回避しつつ、インク補充動作の頻発を抑制して記録待機時間の低減を図ることできる。そして更に、例えば1枚目の記録用紙への記録に際し、画像タイプ及び画質モードに基づいて閾値を決定しており、記録に必要な実際のインク量を算出しないため、内蔵メモリの大容量化によるコストアップを抑制でき、また、算出時間の削減による記録待機時間の削減を実現することができる。
本発明は、インク補充による記録動作の中断を回避しつつ、インク補充動作の頻発を抑制して記録待機時間の低減を図ることできる記録装置に適用することができる。
図1は、本発明の実施形態に係る記録装置の外観構成を示す斜視図である。 図1に示す記録装置が備えるプリンタ部の構成を示す模式的断面図である。 図2に示すプリンタ部の主要構成を示す平面図であり、画像記録ユニットがインクを補充するための所定のポジションに位置している状態を示している。 主として画像記録ユニット及びメインタンクの構成を示す断面図であり、図3に示すプリンタ部の一部を切断線IV−IVによって切断したときの構成を示している。 図1に示す記録装置が有する機能を説明するためのブロック図である。 インク補充処理に係る記録装置の動作を説明するためのフローチャートである。 インク補充処理中の画像記録ユニット及びインク補充部の状態変化を示す模式図であり、(a)はインク補充前のカートリッジとサブタンクとを連通した状態、(b)はサブタンクからインクを一旦回収した状態、(c)はサブタンクへインクを補充した状態を夫々示している。 記録装置において設定されている画像タイプ及び画質モードと閾値(第1の閾値)との関係を示す表である。 制御部での閾値の決定処理手順を示すフローチャートである。 制御部によるコピー処理手順を示すフローチャートである。 スキャンした画像を複数の記録用紙に記録するコピー処理において、インク補充処理の実行タイミングを説明するフローチャートである。
符号の説明
1 記録装置
2 プリンタ部
3 スキャナ部
9 メインタンク(インクカートリッジ)
9A メインインク室
11 操作パネル
12 スロット部
20 記録ヘッド
21 サブタンク
21A サブインク室
22 画像記録ユニット
50 インク補充ポジション
51 メンテナンスポジション
55 メンテナンス機構
82 ポンプ
84 ピストン
85 ピニオンギヤ
88 インク補充部
100 制御部
104 昇降機構
105 ピニオンギヤ駆動回路
106 コンピュータ
105 ピニオンギヤ駆動回路

Claims (11)

  1. インクを吐出して被記録体に画像を形成する記録ヘッドと、該記録ヘッドと共に移動して該記録ヘッドへ供給するインクを貯蔵するサブタンクと、該サブタンクへインクを補充するインク補充部と、該インク補充部の動作を制御する制御部とを備え、
    前記制御部は、前記サブタンクのインク残量が閾値以下になったときに前記サブタンクにインクを補充させるように前記インク補充部を動作させ、且つ、前記閾値を変更可能に構成されており、
    前記制御部は、複数枚の前記被記録体の各々に同一の画像の記録を行う場合には、一枚目の前記被記録体への記録に使用されたインク量に基づいて、二枚目以降の前記被記録体への記録に係る前記閾値を決定することを特徴とする記録装置。
  2. 前記制御部は、前記被記録体に形成する画像タイプに基づいて前記閾値を変更可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
  3. 前記画像タイプには、文字・記号を主に記録するテキストタイプ、隙間無くインクが塗付される領域を含んだ記録を行うペイントグラフタイプ、及び写真画像を記録する写真タイプが含まれることを特徴とする請求項2に記載の記録装置。
  4. 前記閾値は、多い順に、前記ペイントグラフタイプ、前記写真タイプ、前記テキストタイプであることを特徴とする請求項3に記載の記録装置。
  5. 前記制御部は、前記被記録体に形成する画像の画質モードに基づいて前記閾値を変更可能に構成されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の記録装置。
  6. 前記制御部は、複数枚の前記被記録体の各々に同一の画像の記録を行う場合には、一枚目の前記被記録体への記録を行う前に前記サブタンク内のインク残量が最大となるまでインクを補充するよう前記インク補充部を動作させるべく構成されていることを特徴とする請求項に記載の記録装置。
  7. 前記制御部は、複数枚の前記被記録体の各々に同一の画像の記録を行う場合には、一枚目の前記被記録体への記録を行う前に前記サブタンクのインク残量が第1の閾値以下であるときに、前記サブタンクにインクを補充させるように前記インク補充部を動作させ、一枚目の前記被記録体への記録が完了したら、その記録に使用されたインク量に基づいて第2の閾値を算出し、これを二枚目以降の前記被記録体への記録に係る新たな閾値として設定することを特徴とする請求項1乃至の何れかに記載の記録装置。
  8. 前記第1の閾値は、少なくとも前記画像タイプに応じて決められることを特徴とする請求項に記載の記録装置。
  9. 前記第1の閾値は、前記第2の閾値として算出される値の最大値よりも大きいことを特徴とする請求項7又は8に記載の記録装置。
  10. 被記録体に記録された画像を読み取る読取手段を更に備え、
    前記制御部は、前記読取手段によって読み取られた画像を前記被記録体に記録する場合であって、且つインクを補充させる場合には、前記読取手段による画像の読み取りが行われている間にインクを補充するよう前記インク補充部を動作させるべく構成されていることを特徴とする請求項1乃至の何れかに記載の記録装置。
  11. 前記インク補充部は、前記サブタンクへ補充するためのインクを貯蔵するメインタンクを有し、
    前記制御部は、前記サブタンクへのインク補充の際には、前記メインタンクを前記サブタンクへ連通させ、該サブタンク内の残留インクを前記メインタンクへ一旦回収してから、該メインタンクから前記サブタンクへインクを補充するよう前記インク補充部を動作させるべく構成されていることを特徴とする請求項1乃至10の何れかに記載の記録装置。
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