JP4826427B2 - 電食防止用絶縁転がり軸受及びその製造方法 - Google Patents

電食防止用絶縁転がり軸受及びその製造方法 Download PDF

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Description

この発明は、汎用或いは鉄道車両用の電動モータの回転軸、或いは発電機の回転軸の様に、電流が流れる可能性がある回転支持部に組み込む電食防止用絶縁転がり軸受及びその製造方法の改良に関する。
電動モータや発電機等、各種電気機器等の回転軸を支承する為の転がり軸受の場合、対策を講じないと、転がり軸受自体に、帰路電流、モータ軸電流等の電流が流れてしまう。転がり軸受に電流が流れた場合、電流の通路となる部分の腐食が進む、所謂電食が発生して、転がり軸受の寿命を著しく短縮してしまう。この様な電食の発生を防止する為、転がり軸受を構成する外輪や内輪の表面に絶縁層を形成する事で、転がり軸受に電流が流れない様にする電食防止用絶縁転がり軸受が、例えば特許文献1〜3に記載されている様に、従来から知られている。
これら各特許文献に記載された絶縁型の転がり軸受は何れも、転がり軸受を構成する軌道輪のうちで、相手部材の嵌合支持する部分に、セラミックス、合成樹脂等の絶縁層を形成して成るもので、例えば図10に示す様に構成されている。転がり軸受は、内輪1の外周面に形成した内輪軌道2と外輪3の内周面に形成した外輪軌道4との間に複数の転動体5を設ける事で、上記内輪1と外輪3との相対的回転を自在としている。そして、この外輪3の外周面及び軸方向両端面に、セラミックス溶射層である絶縁層6を形成している。この様な電食防止用絶縁転がり軸受の場合、上記外輪3を金属製のハウジングに内嵌支持した状態では、上記絶縁層6が、これら外輪3とハウジングとを絶縁する。この結果、これら外輪3とハウジングとの間に電流が流れなくなり、上記転がり軸受の構成各部材1、3、5に、上述した様な電食が発生しなくなる。
但し、上記特許文献1〜3に記載される等により従来から知られていた電食防止用絶縁転がり軸受の場合、絶縁性能の確保と耐久性の確保と低コスト化とを高次元で並立させる事が難しかった。この理由は、次の通りである。例えば、上記外輪3の表面に、セラミックス溶射層である上記絶縁層6を形成する場合、この外輪3の外周面7に沿って溶射ノズルを移動させる事によりこの外周面7にセラミックス溶射層を形成すると共に、この外輪3の軸方向両端面8、8に沿って溶射ノズルを移動させる事によりこれら軸方向両端面8、8にセラミックス溶射層を形成する。この様にして形成するセラミックス溶射層として従来は、アルミナ( Al23 )を94〜95重量%含むセラミックス材料の溶滴を噴射する事により、0.5mm以上(一般的には0.6〜0.7mm程度)の厚さ寸法を有するものを形成していた。
上述の様にして上記各面7、8にセラミックス溶射層を形成する為、軸方向両端面8、8と外周面7との間に存在する折れ曲がり連続部9、9には、両方のノズルから溶射されたセラミックスが付着する。この為、この折れ曲がり連続部9、9の厚さ寸法が、上記外周面7及び軸方向両端面8、8の厚さ寸法に比べて大きくなる。この結果、これら各面7、8の厚さ寸法を、絶縁性能確保の面から十分な値にすると、上記両折れ曲がり連続部9、9の厚さ寸法が過大になる。セラミックス溶射層は脆く、厚さ寸法が過大になると、割れ、欠け等の損傷を発生し易い。上記折れ曲がり連続部9、9自体は、ハウジング等の他の部分と接触しない為、上記セラミックス溶射層が破損しても、絶縁性確保の面からは問題を生じにくいが、欠落したセラミックスの破片が転がり軸受内部に入り込んだ場合、内輪軌道2及び外輪軌道4や各転動体5の転動面に圧痕等の損傷を発生し易い為、好ましくない。この為従来は、上記セラミックス溶射層のうちで上記折れ曲がり連続部9、9を覆っている部分も、研磨により厚さ寸法を低減していた。これら折れ曲がり連続部9、9の表面部分を研磨する事は、徒にコストが嵩む原因となる。
又、セラミックス製の絶縁層の損傷防止を図る為の技術として従来から、特許文献4〜5に記載された発明が知られている。このうちの特許文献4に記載された発明の場合には、セラミックス製の絶縁層中に合成樹脂を含浸させる事により、この絶縁層の靱性を向上させるものである。又、特許文献5に記載された発明は、セラミックス製の絶縁層を金属層で覆う事により、このセラミックス溶射層が欠落する事を防止するものである。但し、この様な特許文献4〜5に記載された発明の場合、何れも、製造作業が面倒で低コスト化を図る事はできない。
一方、特許文献6には、酸化チタン(TiO2 )を1重量%以下含有するグレイアルミナ製の絶縁層を有する電食防止用絶縁転がり軸受に関する発明が記載されている。この特許文献6に記載されている様に、絶縁層としての性能確保(絶縁抵抗値の確保)のみを考慮した場合には、酸化チタンを含まない純アルミナであるホワイトアルミナの方が、酸化チタンを含むグレイアルミナよりも優れている。但し、やはり上記特許文献6に記載されている様に、ホワイトアルミナの場合には、溶射層形成時の材料(アルミナ粒)の歩留が悪く、コストが嵩む。この為、上記特許文献6に記載された発明の場合には、上記組成を有するグレイアルミナを使用する事により、コスト上昇を抑えつつ絶縁性能を確保するとしている。
但し、本発明の発明者が行なった実験によると、上記特許文献6に記載された組成を有するグレイアルミナでは、必ずしも十分な絶縁性能を確保できない事が分かった。一方、ホワイトアルミナを使用した場合には、溶射するアルミナの粒径を適正に規制すれば、コスト上昇の程度は限られている反面、表面に色むらが発生し、製品としての見ばえが悪くなる事が分かった。即ち、アルミナの溶射層は、そのままでは内部に微細な空隙が存在し、この空隙に水分が入り込んだ場合には絶縁性能が劣化する。この為、アルミナの溶射層を形成した後は、特許文献7に記載されている様に、上記空隙を合成樹脂により塞ぎ、この空隙に水分が入り込まない様にする、封孔処理を行なう必要がある。上記溶射層をホワイトアルミナにより形成した場合には、この封孔処理に伴って、溶射層の表面に色むらが発生する。この様な色むらは、絶縁性能の面からは問題にならないが、製品の外観を悪くする為、好ましくない。
特開平1−182621号公報 特開平5−52223号公報 特開平5−312216号公報 実開昭60−85626号公報 実公平6−2030号公報 特開2005−133876号公報 特開2003−183806号公報
本発明は、上述の様な事情に鑑みて、絶縁性能の確保と、耐久性の確保と、低コスト化とを高次元で並立させる事ができ、しかも外観を良好にできる、電食防止用絶縁転がり軸受及びその製造方法を実現すべく発明したものである。
本発明の対象となる電食防止用絶縁転がり軸受は、何れも、例えば図1に示す様に、互いに同心に配置された、それぞれが金属製である1対の軌道輪(例えば内輪1及び外輪3)と、これら両軌道輪1、3の互いに対向する面に形成された1対の軌道面(例えば内輪軌道2及び外輪軌道4)同士の間に転動自在に設けられた、それぞれが金属製である複数個の転動体(例えば玉)5、5とを備える。そして、上記両軌道輪1、3のうちの少なくとも一方の軌道輪の表面のうちで軌道面を設けた面以外の面、即ち、ラジアル転がり軸受の場合には、図1の(A)又は(B)に示す様に、何れかの周面及び軸方向両端面を、スラスト転がり軸受の場合には何れかの軸方向片面及び内外両周面を、セラミックス製の絶縁層6により被覆している。
特に、請求項1に記載した電食防止用絶縁転がり軸受に於いては、上記絶縁層6を、アルミナ( Al23 )を99重量%以上、酸化チタンを0.01〜0.2重量%、それぞれ含有し、このうちのアルミナとして、厚さ寸法に関する精度及びこのアルミナの付着効率の向上を目的に、粒径が10〜50μmで、平均粒径が15〜25μmであるものを使用したセラミックス溶射層としている。又、上記絶縁層6を、上記両軌道2、4を設けた面以外に形成したセラミックス溶射層の表面を研磨する事により形成したものとしている。更に、このセラミックス溶射層の厚さを、隣り合う面同士の間の折れ曲がり連続部を除いて0.4mm以下とし、このセラミックス溶射層を研磨して得られた上記絶縁層の厚さを、0.25mm以上としている。
更に、請求項2に記載した電食防止用絶縁転がり軸受の製造方法に於いては、アルミナを99重量%以上、酸化チタンを0.01〜0.2重量%、それぞれ含有し、このうちのアルミナとして、厚さ寸法に関する精度及びこのアルミナの付着効率の向上を目的に、粒径が10〜50μmで、平均粒径が15〜25μmであるものを使用したセラミックス溶射層を、隣り合う面同士の間の折れ曲がり連続部を除いた部分の厚さを0.4mm以下に抑えて、上記軌道面を設けた面以外に形成する。その後、上記セラミックス溶射層のうちで上記折れ曲がり部を覆った部分以外の部分を研磨する事により、厚さが0.25mm以上である上記絶縁層とする。
上述の様に構成する本発明の電食防止用絶縁転がり軸受及びその製造方法によれば、絶縁性能の確保と、耐久性の確保と、低コスト化とを高次元で並立させる事ができる。
即ち、本発明の場合には、アルミナを99重量%以上含有するセラミックス溶射層を使用しているが、この様なセラミックス溶射層は、比較的電気抵抗値が大きい(優れた絶縁性を有する)。従って、研磨後の絶縁層の厚さを0.25mm以上確保すれば、用途が、汎用或いは鉄道車両用の電動モータの回転軸、或いは発電機の回転軸の回転支持部である限り、電食防止効果を十分に確保できる。
又、研磨後の絶縁層の厚さを0.25mm以上確保する為には、研磨前のセラミックス溶射層の厚さを0.4mm以下としても、十分に研磨代を確保できる。そして、このセラミックス溶射層の厚さを0.4mm以下に抑えられれば、隣り合う面同士の間の折れ曲がり連続部を覆ったセラミックス溶射層の厚さを0.48mm以下に抑えられる。厚さが0.48mm程度のセラミックス溶射層であれば、厚さ寸法が過大であるとは言えず、そのままであっても(研磨により厚さ寸法を小さくしなくても)、割れ、欠け等の損傷を発生しにくい。従って、上記セラミックス溶射層のうちで上記折れ曲がり連続部を被覆した部分を研磨する手間を省略して、コスト低減を図れる。又、コスト低減は、上記セラミックス溶射層の厚さを小さく(従来は0.5mm以上であったものを0.4mm以下に)抑えられる事によっても図れる。
又、本発明の電食防止用絶縁転がり軸受の発明及びその製造方法によれば、絶縁性能の確保と、耐久性の確保と、低コスト化と、良好な外観の確保とを、高次元で並立させる事ができる。
即ち、前述した通り、アルミナを主成分とするセラミックス溶射層のうち、酸化チタンを含まないホワイトアルミナの場合には、絶縁性能が優れている反面、封孔処理に伴って外観が悪化する。これに対して、本発明の場合には、0.01重量%以上の酸化チタンを含有している為、上記封孔処理に拘らず、外観悪化に結び付く様な色むらは発生しない。即ち、セラミックス溶射層内部に存在する微細な空隙を合成樹脂により塞ぐ為の封孔処理に伴って、この合成樹脂の一部が上記セラミックス溶射層の表面に表れる。表面の色彩が純白に近い、ホワイトアルミナの場合、この様に表面に現れた合成樹脂により、表面に色むらを生じて、製品の外観を悪くする。これに対して、0.01重量%以上の酸化チタンを含有したグレイアルミナの場合には、表面の色彩が灰色がかっている為、上記封孔処理に使用する合成樹脂として、適切な(灰色系統の)色彩のものを使用すれば、表面に、製品の外観を悪くする程の色むらを生じる事はない。
但し、上記酸化チタンを、0.2重量%を越えて含有させると、必要とする絶縁性能を確保する為に要する、上記セラミックス溶射層の厚さが大きくなる。そこで、上記酸化チタンの含有量を、0.01〜0.2重量%の範囲に規制する。
尚、セラミックス溶射層中に於ける、上記酸化チタンの含有量を、0.2重量%以下に抑える事により、溶射層形成時の材料(アルミナ粒)の歩留が多少は悪化する。但し、本発明の様に、粒径が10〜50μmで、平均粒径が15〜25μmであるアルミナを使用すれば、上記セラミックス溶射層を構成するアルミナの付着効率を向上させる事と合わせて、上記セラミックス溶射層の厚さ寸法に関する精度を向上させ、コスト上昇を抑えられる。即ち、付着効率の向上による材料費の節約と、寸法精度の向上による仕上加工の容易化(仕上加工時間の短縮化)とにより、電食防止用絶縁転がり軸受の製造コストの低廉化を図れる。
図2〜3は、本発明の実施の形態の1例を示している。本例の場合には、単列深溝型のラジアル玉軸受を構成する外輪3の外周面7及び軸方向両端面8、8に、絶縁層6aを形成している。この絶縁層6aは、アルミナを99重量%以上含むセラミックスの溶滴を上記外周面7及び軸方向両端面8、8に噴射して成る、セラミックス溶射層である。尚、上記絶縁層6aは、酸化チタンを0.01〜0.2重量%含有するアルミナの溶射層とする(酸化チタンの含有量を0.02〜0.2重量%としても良い)。この様なセラミックス溶射層である、上記絶縁層6aは、上記外周面7及び軸方向両端面8、8の他、この外周面7の軸方向両端縁とこれら軸方向両端面8、8の外周縁とを連続させる、断面四分の一円弧状の折れ曲がり連続部9、9の表面も覆っている。これら各面を覆っている、上記絶縁層6aの厚さ寸法T7 、T8 、T9 (図3参照)のうち、上記外周面7及び軸方向両端面8、8の表面を覆っている部分の厚さ寸法T7 、T8 に関しては、0.4mm以下に抑えている。そして、これら各部分の厚さ寸法T7 、T8 を0.4mm以下に抑える事により、上記両折れ曲がり連続部9、9の表面を覆っている部分の厚さ寸法T9 を、0.48mm以下に抑えている。
又、上記絶縁層6aのうち、上記外周面7及び軸方向両端面8、8の表面を覆っている部分を研磨する事により、これら各部分を平滑面とし、これら各面7、8と上記外輪3を内嵌固定するハウジングの内面とが密に当接する様にしている。この様な研磨に伴って、上記各面7、8を覆っている上記絶縁層6aの表面部分(図3の斜格子部分)が、図3に示した研磨取代δ分だけ除去されて、この絶縁層6aの厚さ寸法が、セラミックス溶射層を形成した状態よりも薄くなっている。但し、上記研磨取代δを除去した後の厚さt7 (=T7 −δ)、t8 (=T8 −δ)に関しても、0.25mm以上確保している。これに対して、上記絶縁層6aのうちで上記両折れ曲がり連続部9、9の表面を覆っている部分に関しては、研磨する事なく、そのままの(セラミックスの溶滴を噴射したままの)状態としている。
上述の様な電食防止用絶縁転がり軸受は、上記絶縁層6aの絶縁性能の確保と、耐久性の確保と、低コスト化とを、高次元で並立させる事ができる。
先ず、絶縁性能の確保は、上記絶縁層6aを構成するセラミックス溶射層として、アルミナを99重量%以上含有するものを使用する事により図れる。即ち、アルミナを99重量%以上含有するセラミックス溶射層は電気抵抗値が大きい(優れた絶縁性を有する)為、研磨後の(使用状態での)絶縁層の厚さを0.25mm以上確保すれば、用途が、汎用或いは鉄道車両用の電動モータの回転軸、或いは発電機の回転軸の様に、電位差が3000V程度までの回転支持部である限り、電食防止効果を十分に確保できる。例えば、研磨後の絶縁層の厚さ寸法を0.3mmとした場合、1000V印加の条件で、5000MΩ以上の絶縁抵抗値を確保できる。
又、研磨後の絶縁層6aの厚さを0.25mm以上確保する為には、研磨前のセラミックス溶射層の厚さを0.4mm以下としても、十分に(最大で0.15mm程度の) 研磨代を確保できる。即ち、上記絶縁層6aの表面と前記ハウジングの内面とを均一に当接させて、前記外輪3の姿勢を安定させると共に、上記絶縁層6aの一部に過大な力が加わる事を防止する為には、上記外周面7及び軸方向両端面8、8の表面を覆っている部分を研磨する必要がある。この場合でも、必要な研磨代は0.15mm以下であるから、上記研磨前のセラミックス溶射層の厚さを0.4mm以下に抑えても、研磨後の絶縁層6aの厚さを0.25mm以上確保できる。
そして、上記セラミックス溶射層の厚さを0.4mm以下に抑えられれば、前述した通り、前記両折れ曲がり連続部9、9の表面を覆っている部分の厚さ寸法T9 を、0.48mm以下に抑えられる。即ち、これら両折れ曲がり連続部9、9には、上記外周面7に径方向外方から噴射するセラミックス溶滴、及び、上記軸方向両端面8、8に軸方向外方から噴射するセラミックス溶滴が付着する。この為、上記両折れ曲がり連続部9、9を覆うセラミックス溶射層の厚さ寸法は、上記外周面7及び上記軸方向両端面8、8を覆うセラミックス溶射層の厚さ寸法よりも大きくなる。
そして、本発明者の行なった実験により、上記両折れ曲がり連続部9、9を覆うセラミックス溶射層の厚さ寸法が、上記外周面7及び上記軸方向両端面8、8を覆うセラミックス溶射層の厚さ寸法よりも大きくなる程度は、後述する図4に示す様に、これら各面7、8を覆うセラミックス溶射層の厚さ寸法を大きくする程著しくなる事が分かった。この図4に示す様に、これら各面7、8を覆うセラミックス溶射層の厚さ寸法を0.4mm程度にする場合には、上記両折れ曲がり連続部9、9を覆うセラミックス溶射層の厚さ寸法が大きくなる程度は1.2倍(0.48mm)程度に留る。これに対して、上記各面7、8を覆うセラミックス溶射層の厚さ寸法を0.5mm程度にする場合には、上記両折れ曲がり連続部9、9を覆うセラミックス溶射層の厚さ寸法が大きくなる程度は1.3倍(0.65mm)程度に達する。
本例の場合には、上記各面7、8を覆うセラミックス溶射層の厚さ寸法を0.4mm以下に抑えている為、上記両折れ曲がり連続部9、9を覆うセラミックス溶射層の厚さ寸法は0.48mm以下に抑えられる。厚さが0.48mm程度のセラミックス溶射層であれば、厚さ寸法が過大であるとは言えず、そのままであっても(研磨により厚さ寸法を小さくしなくても)、割れ、欠け等の損傷を発生しにくい。従って、上記セラミックス溶射層である前記絶縁層6aのうちで、上記両折れ曲がり連続部9、9を被覆した部分を研磨する手間を省略して、コスト低減を図れる。
又、本例の場合、0.01重量%以上の酸化チタンを含有している為、封孔処理に拘らず、外観悪化に結び付く様な色むらは発生しない。即ち、セラミックス溶射層内部に存在する微細な空隙を合成樹脂により塞ぐ為の封孔処理に伴って、この合成樹脂の一部が上記セラミックス溶射層の表面に表れる。0.01重量%以上の酸化チタンを含有したセラミックス材料の場合には、表面の色彩がグレー(灰色)がかっている為、上記封孔処理に使用する合成樹脂として、適切な色彩のものを使用すれば、表面に、製品の外観を悪くする程の色むらを生じる事はない。尚、表面の色彩をよりグレーがかったものとする為には、酸化チタンの含有量を0.02重量%以上とする事が好ましい。
但し、上記酸化チタンを、0.2重量%を越えて含有させると、必要とする絶縁性能を確保する為に要する、上記セラミックス溶射層の厚さが大きくなる。そこで、上記酸化チタンの含有量を、0.01〜0.2重量%の範囲に規制する。
尚、セラミックス溶射層中に於ける、上記酸化チタンの含有量を、0.2重量%以下に抑える事により、溶射層形成時の材料(アルミナ粒)の歩留が多少は悪化する。但し、粒径が10〜50μmで、平均粒径が15〜25μmであるアルミナを使用するので、上記セラミックス溶射層を構成するアルミナの付着効率を向上させる事と合わせて、上記セラミックス溶射層の厚さ寸法に関する精度を向上させ、コスト上昇を抑えられる。即ち、付着効率の向上による材料費の節約と、寸法精度の向上による仕上加工の容易化(仕上加工時間の短縮化)とにより、電食防止用絶縁転がり軸受の製造コストの低廉化を図れる。
本発明の要件のうち、セラミックス溶射層の厚さを0.4mm以下とし、このセラミックス溶射層を研磨して得られた絶縁層の厚さを0.25mm以上とする事、並びに、酸化チタンの含有量を0.01〜0.2重量%とする事の効果を確認する為に行なった実験に就いて説明する。先ず、セラミックス溶射層の厚さ、及び、このセラミックス溶射層中のアルミナの割合が、このセラミックス溶射層の厚さの不均一性や絶縁性に及ぼす影響を知る為に行なった実験に就いて説明する。この実験には、何れも、呼び番号が6316である単列深溝型の玉軸受(外径:170mm、内径:80mm、幅:39mm)を構成する外輪3(外輪の内径:142mm)を使用した。
先ず、この外輪3の外周面7と軸方向両端面8、8とに形成するセラミックス溶射層の厚さ寸法T7 、T8 が、上記両折れ曲がり連続部9、9の厚さ寸法T9 に及ぼす影響(厚さの不均一性)を知る為に行なった実験に就いて説明する。この実験では、上記外輪3の外周面7と上記軸方向両端面8、8とに形成するセラミックス溶射層の厚さ寸法T7 、T8 (T7 ≒T8 )を、0.15〜0.60mmの間で、8段階に変化させ、上記両折れ曲がり連続部9、9の厚さ寸法T9 を測定した。この様な実験の結果を、図4に示す。この図4から明らかな通り、上記各面7、8に形成するセラミックス溶射層の厚さ寸法T7 、T8 が小さい程、上記両折れ曲がり連続部9、9の厚さ寸法T9 も小さくなるが、上記各面7、8に形成するセラミックス溶射層の厚さ寸法T7 、T8 が大きくなると、上記両折れ曲がり連続部9、9の厚さ寸法T9 は、二次曲線的に大きくなる。この事から、これら両折れ曲がり連続部9、9の厚さ寸法T9 を抑える為に、上記各面7、8に形成するセラミックス溶射層の厚さ寸法T7 、T8 を抑える事が重要である事が確認できた。
次に、上記セラミックス溶射層としてアルミナを99重量%以上含むものを使用する事で、絶縁層6aの厚さ寸法を小さくしても、十分な絶縁性能を得られる事を確認する為に行なった実験に就いて説明する。アルミナを99重量%(酸化チタン含有量:0.04重量%)含み、封孔処理を施したセラミックス溶射層を研磨した後の絶縁層6aとして、厚さ寸法t7 、t8 (t7 ≒t8 )が0.15、0.25、0.35mmの3種類のものを使用した。又、従来の様に、アルミナの含有率(アルミナ含有量:94重量%、酸化チタン含有量:2.4重量%)が低いセラミックスの溶射層で、厚さ寸法が0.3mmのものと0.5〜0.6mmのものとを用意した。それぞれに就いて、絶縁層の両側に印加した直流電圧を次第に高くする耐電圧試験を行なった。印加する電圧の最大値は3000Vとした。試料は、同種のものを2個ずつ、合計10個用意した。又、上記封孔処理としては、前述の特許文献7の明細書中に実施例1として記載された、ビスフェノールF型エポキシ樹脂を主成分とするものを採用した。この様にして行なった実験の結果を図5に示す。
上記セラミックス溶射層としてアルミナを99重量%以上含むものを使用した場合でも、上記絶縁層6aの厚さ寸法t7 、t8 が0.15mmの場合には、1000V又は2700Vで沿面放電が確認され、この厚さ寸法t7 、t8 が0.15mmでは不足である事が分かった。これに対して、この厚さ寸法t7 、t8 が、0.25mmの場合と0.35mmの場合には、最大印加電圧である3000Vでも、十分な絶縁性を確保できた。この事から、上記セラミックス溶射層としてアルミナを99重量%以上含むものを使用し、上記厚さ寸法t7 、t8 を0.25mm以上確保すれば、十分な絶縁性を確保できる事が確認された。尚、アルミナの含有率が94重量%と、本発明の場合に比べて低いセラミックス溶射層製の絶縁層の場合には、電圧1100Vで絶縁破壊を起こす試料と3000Vでも絶縁破壊を生じないものとがあった。そして、アルミナの含有率が上述の程度低くても十分な絶縁性を確保する為には、絶縁層の厚さ寸法を0.5〜0.6mm程度確保しなければならない事が分かった。
更に、セラミックス溶射層中のアルミナの純度(割合)が、このセラミックス溶射層の吸水性に及ぼす影響を知る為に行なった実験に就いて説明する。この実験では、呼び番号が6316である単列深溝型の玉軸受の外輪3の表面に、予め前述の場合と同様の封孔処理を施したセラミックス溶射層を研磨する事により、所望厚さを有する絶縁層を形成した。アルミナの純度は、94重量%(酸化チタン含有量:2.4重量%)、98重量%(同:0.8重量%)、99重量%(同:0.04重量%)の3通りのものを用意し、形成直後の乾燥状態での抵抗値がほぼ5000MΩになる様に、純度に応じて厚さを適宜調節した。具体的には、94重量%の場合には0.3mm、98重量%及び99重量%の場合に0.25mmとした。これら3通りの試料を、80℃の温水中に1時間浸漬した後、表面に付着した水分を除去してから、上記外輪3の(絶縁層で覆われていない)内周面と、絶縁層で覆われている外周面との間の抵抗値を測定した。
この様にして行なった実験の結果を、図6に示す。この図6中、実線aはアルミナの純度が99重量%の場合を、破線bは同じく98重量%の場合を、鎖線c、dは同じく94重量%の場合を、それぞれ示している。上記実線aは、絶縁層中のアルミナの純度が99重量%の場合には、抵抗値測定開始直後から抵抗値が5000MΩに達した事を表している。又、破線bは、同じく98重量%の場合には、抵抗値測定開始後30秒程度経過してから抵抗値が5000MΩに達した事を表している。更に、鎖線c、dは、同じく94重量%の場合には、抵抗値測定開始後10分程度経過してから抵抗値が5000MΩに達したものもあるが、10分程度経過しても2000MΩ程度にまでしか上昇しなかったものもある事を表している。尚、時間の経過と共に抵抗値が上昇した理由は、抵抗測定に基づく電流による発熱で、絶縁層中に染み込んだ水分が蒸発した為と考えられる。
上述の様な、上記図6にその結果を表した実験から明らかな通り、絶縁層中のアルミナの純度が高い程、この絶縁層が吸水しにくくなる。特に、この純度が99重量%の場合には水分を殆ど吸着せず、水分が付着する可能性のある部位や、高湿度雰囲気中で使用する可能性がある場合にも、常に良好な絶縁性を得られる事が分かる。
本発明の要件のうち、セラミックス溶射層中の酸化チタンの含有量を0.01〜0.2重量%とする事、並びに、アルミナとして、粒径が10〜50μmで、平均粒径が15〜25μmであるものを使用する事の効果を確認する為に行なった実験に就いて説明する。先ず、セラミックス溶射層中の酸化チタンの混入量を抑え、アルミナの粒径を小さくする事により、セラミックス溶射層の厚さ寸法に関する精度の向上とアルミナの付着効率の向上とを図れる事を確認する為に行なった実験に就いて説明する。この実験に就いても、呼び番号が6316である単列深溝型の玉軸受(外径:170mm、内径:80mm、幅:39mm)を構成する外輪3(外輪の内径:142mm)を使用した。
上記玉軸受を構成する外輪の外周面と軸方向両端面とに、厚さが0.3mmの溶射層を形成する事を目指して、セラミックス溶射層の形成作業を行なった。この結果、材料の歩留を十分に確保しつつ、厚さのばらつきを0.04mm(外周面を被覆した溶射層の直径で0.08mm)以下に抑えられる事を確認できた。従来一般的に使用されていた、アルミナを主成分として酸化チタンを3重量%程度含むセラミックス溶射層の場合、必要な絶縁性能を確保する為には、厚さを0.7〜0.8mm程度にする必要があった。この程度の厚さを有するセラミックス溶射層を、粒径が30〜75μm程度のセラミックス粒子を使用して形成する場合、得られるセラミックス溶射層の厚さのばらつきが0.15〜0.2mm程度にも達する。セラミックス溶射層は、封孔処理後に表面に仕上加工を施す必要があるが、この仕上加工に要する手間は、上記厚さのばらつきが大きい程面倒になる。この事を考慮して上記実験結果を考察した場合、本発明の場合、加工コストを抑えられる事が分かる。
次に、酸化チタンの含有量が、セラミックス溶射層である絶縁層の絶縁抵抗に及ぼす影響を知る為に行なった実験に就いて説明する。この実験に就いても、呼び番号が6316である単列深溝型の玉軸受を構成する外輪3(図1〜3参照)を使用した。
この外輪3に、アルミナを主成分とし、それぞれ酸化チタンの含有量が0.01重量%(アルミナ含有量:99.7重量%を超える)、0.04重量%(アルミナ含有量:99.7重量%)、0.2重量%(同:99.3重量%)、0.4重量%(同:98.8重量%)、3重量%(同:95重量%)である、5種類の材料により、セラミックス溶射層製の絶縁層を形成した。絶縁層の厚さは0.3mm(目標値)とした。そして、それぞれの場合に就いて、1000V(DC)印加時の抵抗値を測定した。封孔処理は、先に説明した実施例1の場合と同じとした。
その結果、この抵抗値(体積固有抵抗値)は、酸化チタンの含有量が0.01重量%の場合に2.76×1014Ω・cm、同じく0.04重量%の場合に2.34×1014Ω・cm、同じく0.2重量%の場合に2.02×1014Ω・cm、同じく0.4重量%の場合に1.62×1014Ω・cm、同じく3重量%の場合に2.18×106 Ω・cmとなった。図7は、この様な条件で行なった実験の結果を示している。この図7に示した結果から明らかな通り、酸化チタンの含有量が多くなる程抵抗値は小さくなる(絶縁性能が低下する)が、この含有量が0.2重量%を越えた場合に低下の程度が大きくなり、特に、0.4重量%を越えた場合に、急激に低下する。即ち、上記抵抗値は、上記酸化チタンの含有量が0.01重量%である場合から0.04重量%の場合にかけて15%、0.04重量%から0.2重量%の場合にかけて14%、0.2重量%から0.4重量%にかけて20%低下する。0.04重量%から0.4重量%にかけては、31%低下する。0.4重量%から3重量%にかけては、桁違いに低下する。
この様な実験の結果から、セラミックス溶射層製の絶縁層の厚さを0.3mm程度に抑える場合、上記酸化チタンの含有量を0.2重量%以下に抑える事が、必要とする絶縁性能を確保する為に重要である事が分かる。即ち、0.4重量%の場合には、0.2重量%の場合に比べて、酸化チタンの混入量の増大に伴う絶縁性能の劣化が顕著になる。この為、安全性を考慮した場合には、この混入量を0.2重量%以下に抑える必要がある。
次に、セラミックス溶射層である絶縁層中の酸化チタンの含有量が、水分付着に基づく抵抗値低下に及ぼす影響を知る為に行なった実験に就いて説明する。この実験に就いても、呼び番号が6316である単列深溝型の玉軸受を構成する外輪3を使用した。
この外輪3に、アルミナを主成分とし、それぞれ酸化チタンの含有量が0.04重量%、0.4重量%である、2種類の材料により、セラミックス溶射層製の絶縁層を形成した。絶縁層の厚さは0.3mm(目標値)とした。そして、それぞれの場合に就いて、絶縁層の表面に10重量%の食塩水を(刷毛塗りにより)塗布してから、高湿度(ほぼ湿度100%)雰囲気中に長期間(180日間)放置した後、1000V(DC)印加時の抵抗値を測定した。封孔処理は、先に説明した実施例1の場合と同じとした。又、上記食塩水は、30日毎に(間隔で)塗布した。
図8は、この様にして行なった実験の結果を示している。即ち、上記酸化チタンの含有量が0.04重量%である試料の場合には、180日経過後に於いても、30000MΩ以上の抵抗値を示した。これに対して、上記含有量が0.4重量%である試料の場合には、180日経過後に於いて、5000MΩ以下の抵抗値しか示さなかった。この様な実験の結果から明らかな通り、水分付着に基づく抵抗値低下に関しても、酸化チタンの含有量を低く抑える事が有利である事を確認できた。
次に、セラミックス溶射層である絶縁層中の酸化チタンの含有量が、高温下での抵抗値低下に及ぼす影響を知る為に行なった実験に就いて説明する。この実験に就いても、呼び番号が6316である単列深溝型の玉軸受を構成する外輪3を使用した。
この外輪3に、アルミナを主成分とし、それぞれ酸化チタンの含有量が0.04重量%、0.4重量%である、2種類の材料により、セラミックス溶射層製の絶縁層を形成した。絶縁層の厚さは0.3mm(目標値)とした。そして、それぞれの場合に就いて、160℃の雰囲気中に長期間(90日間)放置した後、1000V(DC)印加時の抵抗値を測定した。封孔処理は、先に説明した実施例1の場合と同じとした。
図9は、この様にして行なった実験の結果を示している。この図9から明らかな通り、上記酸化チタンの含有量が0.04重量%である試料の場合には、90日経過後に於いても、30000MΩ以上の抵抗値を示した。これに対して、上記含有量が0.4重量%である試料の場合には、90日経過後に於いて、5000MΩ以下の抵抗値しか示さなかった。この様な実験の結果から明らかな通り、高温下での抵抗値低下に関しても、酸化チタンの含有量を低く抑える事が有利である事を確認できた。
以上の実験から明らかな通り、封孔処理に伴う外観の悪化を防止する為に、アルミナ中に酸化チタンを混入する場合でも、混入量を0.2重量%以下に抑えれば、必要とする絶縁抵抗を確保できる。特に、混入量を0.05重量%以下、更に好ましくは0.04重量%以下に抑えれば、相当に厳しい使用条件の下でも、十分な絶縁性能を確保できる。
本発明は、図示の様な単列深溝型のラジアル玉軸受に限らず、アンギュラ型、複列等、他の型式のラジアル玉軸受や、円すいころ軸受、円筒ころ軸受、自動調心ころ軸受、スラスト玉軸受或いはスラストころ軸受等、他の型式の転がり軸受で実施する事もできる。スラスト転がり軸受で実施する場合に絶縁層は、内外両周面と軸方向片面とに形成する。
本発明の実施状況の2例を示す断面図。 本発明の実施の形態の1例を示す部分断面図。 図2のA部拡大図。 セラミックス溶射層の目標厚さが、軌道輪の周面及び端面の厚さと折れ曲がり連続部の厚さとに及ぼす影響を示す線図。 本発明の効果を確認する為に行なった第一の実験の結果を示す棒グラフ。 同じく第二の実験の結果を示す線図。 酸化チタンの含有量が抵抗値に及ぼす影響を知る為に行なった実験の結果を示す線図。 同じく酸化チタンの含有量が、水分付着に基づく抵抗値低下に及ぼす影響を知る為に行なった実験の結果を示す線図。 同じく酸化チタンの含有量が、高温下での抵抗値低下に及ぼす影響を知る為に行なった実験の結果を示す棒グラフ。 従来構造の1例を示す半部断面図。
符号の説明
1 内輪
2 内輪軌道
3 外輪
4 外輪軌道
5 転動体
6、6a 絶縁層
7 外周面
8 端面
9 折れ曲がり連続部

Claims (2)

  1. 互いに同心に配置された、それぞれが金属製である1対の軌道輪と、これら両軌道輪の互いに対向する面に形成された1対の軌道面同士の間に転動自在に設けられた、それぞれが金属製である複数個の転動体とを備え、上記両軌道輪のうちの少なくとも一方の軌道輪の表面のうちで軌道面を設けた面以外の面を、セラミックス製の絶縁層により被覆した電食防止用絶縁転がり軸受に於いて、この絶縁層がアルミナを99重量%以上、酸化チタンを0.01〜0.2重量%、それぞれ含有し、このうちのアルミナとして、厚さ寸法に関する精度及びこのアルミナの付着効率の向上を目的に、粒径が10〜50μmで、平均粒径が15〜25μmであるものを使用したセラミックス溶射層であり、上記絶縁層は、上記軌道面を設けた面以外に形成した、このセラミックス溶射層の表面を研磨する事により形成したものであり、このセラミックス溶射層の厚さは、隣り合う面同士の間の折れ曲がり連続部を除いて0.4mm以下であり、このセラミックス溶射層を研磨して得られた上記絶縁層の厚さは0.25mm以上である事を特徴とする電食防止用絶縁転がり軸受。
  2. 互いに同心に配置された、それぞれが金属製である1対の軌道輪と、これら両軌道輪の互いに対向する面に形成された1対の軌道面同士の間に転動自在に設けられた、それぞれが金属製である複数個の転動体とを備えた転がり軸受を構成する、上記両軌道輪のうちの少なくとも一方の軌道輪の表面のうちで軌道面を設けた面以外の面を、セラミックス製の絶縁層により被覆する電食防止用絶縁転がり軸受の製造方法に於いて、アルミナを99重量%以上、酸化チタンを0.01〜0.2重量%、それぞれ含有し、このうちのアルミナとして、厚さ寸法に関する精度及びこのアルミナの付着効率の向上を目的に、粒径が10〜50μmで、平均粒径が15〜25μmであるものを使用したセラミックス溶射層を、隣り合う面同士の間の折れ曲がり連続部を除いた部分の厚さを0.4mm以下に抑えて、上記軌道面を設けた面以外に形成した後、上記セラミックス溶射層のうちで上記折れ曲がり部を覆った部分以外の部分を研磨する事により、厚さが0.25mm以上である上記絶縁層とする事を特徴とする電食防止用絶縁転がり軸受の製造方法。
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