JP2007333031A - 電食防止用絶縁転がり軸受 - Google Patents

電食防止用絶縁転がり軸受 Download PDF

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哲雄 渡邊
Takayuki Matsushita
貴之 松下
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Abstract

【課題】表面積の大きい大型の転がり軸受1bの外輪2に、セラミック製の絶縁皮膜4bを形成する場合でも、絶縁性能を十分に確保できる構造を実現する。
【解決手段】上記外輪2の外周面12及び軸方向両端面13、13に、アルミナを主成分としたセラミックス製の絶縁皮膜4bを形成する。この絶縁皮膜4bは、絶縁抵抗値を1000MΩ以上に、静電容量を27nF以下にそれぞれ規制されている。これにより、表面積が大きくても、上記絶縁皮膜4bの絶縁性能を十分に確保できる。
【選択図】図1

Description

この発明は、一般産業用汎用モータや発電機用ジェネレータ(風力発電機等)、鉄道車両用主電動機、医療機器(CTスキャナ装置等)の回転支持部に組み込む電食防止用絶縁転がり軸受の改良に関する。特に、本発明は、外径が200mm以上の大型の転がり軸受に好適である。
電動モータや発電機等、各種電気機器等の回転軸を支承する為の転がり軸受の場合、対策を講じないと、転がり軸受自体に、帰路電流、モータ軸電流等の電流が流れてしまう。転がり軸受に電流が流れた場合、電流の通路となる部分の腐食が進む、所謂電食が発生して、転がり軸受の寿命を著しく短縮してしまう。この様な電食の発生を防止する為、ハウジング或は軸に嵌合する面である、外輪の外周面或は内輪の内周面に、絶縁性に優れた合成樹脂製の絶縁皮膜を形成する技術が、従来から知られている。この様な絶縁性に優れた合成樹脂として、例えば、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリアミド66(PA66)、ポリアミド6(PA6)等が提案されている。但し、このうちのPA66やPA6は、吸水性が高く、空気中の水分を吸収する事により寸法が変化し易い。この為、精度が要求される軸受装置の嵌合面を被覆する材料としては好ましくない。又、上記PBTは、耐熱性や強度が不足する場合があり、やはり、上記嵌合面を被覆する材料としては好ましくない。
これに対して、例えば特許文献1には、絶縁皮膜を形成する為の材料として、ガラス繊維を含有したポリフェニレンサルファイド(PPS)を使用する技術が記載されている。即ち、図3に示す様に、転がり軸受1を構成する金属製の外輪2の外周面及び両端面と、金属製の内輪3の内周面及び両端面とに、それぞれガラス繊維を含有したPPS製の絶縁皮膜4を形成する。尚、図示の転がり軸受1は深溝型の玉軸受であり、この為に、上記外輪2の内周面に形成した外輪軌道5と、上記内輪3の外周面に形成した内輪軌道6との間に、金属製の玉7、7を複数個設置している。この様に構成される転がり軸受1は、上記外輪2を金属製のハウジング8に、上記絶縁皮膜4を介して内嵌固定すると共に、上記内輪3を図示しない金属製の軸に、やはり絶縁皮膜4を介して外嵌固定する。この結果、上記転がり軸受1に電流が流れる事を防止して、電食を防止できる。
又、上述した様なガラス繊維により強化されたPPSを、上記絶縁皮膜4として使用する事により、前述した、水分吸収による寸法変化及び耐熱性、強度の不足と言う問題を解消できる。但し、上述した様な合成樹脂材料は、転がり軸受の軌道輪やハウジング、軸等の材料となる、軸受鋼等の金属に比べて線膨張係数が大きい。従って、回転支持部で発生する熱により変形が生じ易い。
これに対して、特許文献2〜4には、線膨張係数の小さいセラミックス製の絶縁皮膜を外輪の外周面及び両端面に形成した技術が記載されている。このうちの特許文献2に記載された構造の場合、図4に示す様に、金属製の外輪2aの外周面及び両端面に、セラミックス製の絶縁皮膜4aを形成すると共に、この絶縁皮膜4aを金属層9により覆っている。尚、図示の転がり軸受1aは円筒ころ軸受であり、この為に、上記外輪2aの両端部内周面に鍔部10、10を形成すると共に、この外輪2aの中間部内周面でこれら両鍔部10、10の間に、円筒状の外輪軌道5aを形成している。又、金属製の内輪3aの中間部外周面には円筒状の内輪軌道6aを形成している。そして、これら外輪軌道5aと内輪軌道6aとの間に、金属製の円筒ころ11を複数個設置している。
上述の様に構成される転がり軸受1aの場合、絶縁皮膜4aを線膨張係数の小さいセラミックス製としている為、熱による変形を抑えられる。又、この絶縁皮膜4aを金属層9により覆っている為、上記外輪2aをハウジング等の相手部材に締り嵌めで内嵌固定する際に、上記絶縁皮膜4aが剥離する事を防止できる。但し、この様な構成を有する特許文献2に記載された構造の場合、上記金属層9を形成する分、製造コストが上昇する。又、特許文献3には、外輪の外周面及び両端面に第一の金属層を、この第一の金属層の上に絶縁皮膜を、それぞれ設け、更にこの絶縁皮膜の上に第二の金属層を設けた構造が記載されている。この様な特許文献3に記載された構造の場合も、やはりコストが高くなる事は避けられない。
ところで、上述した様な絶縁皮膜を施した転がり軸受を組み込む電動機や発電機は、一般的に、インバータ制御される。又、近年、スイッチング時の騒音を低減する為に、インバータのキャリア周波数を高くする傾向にある。これに伴い、上記転がり軸受に流れる電流は高周波となる。この為、上記絶縁皮膜は高インピーダンス(高絶縁抵抗値)である事が要求される。このインピーダンスは、次式から明らかな様に、静電容量(C)が大きくなる程小さくなる(小さくなる程大きくなる)。
Figure 2007333031
|Z|:インピーダンス(Ω)
R:抵抗値(Ω)
f:周波数(Hz)
C:静電容量(F)
従って、インピーダンス|Z|を高くする為には、絶縁皮膜の静電容量Cを小さくする必要がある。この静電容量Cは、次式から明らかな様に、面積(A)に比例する。
Figure 2007333031
εo :真空中の誘電率(8.854×10-12F/m)
εr :比誘電率
A:面積(m2
S:距離(m)
この為、絶縁皮膜の厚さ(距離S)が同じ場合、面積Aが小さい方が静電容量が小さくなる。従って、軸受サイズの異なる転がり軸受に同じ厚さの絶縁皮膜を施した場合、表面積が大きくなる、軸受サイズの大きい転がり軸受の方が、軸受サイズの小さい転がり軸受に比べて静電容量が大きくなる。従って、軸受サイズの大きい転がり軸受に施す絶縁皮膜のインピーダンスを高くする為には、この絶縁皮膜の厚さを厚くする必要があるが、皮膜を厚くすると材料のコストが高くなる。特に、この絶縁皮膜をセラミックスの溶射層とした場合、溶射作業時間が長くなり、この点からもコストの上昇を招く。
特許文献4には、セラミックス製の絶縁皮膜が、母材表面に直接形成した1層のみから成る構造が記載されているが、この特許文献4に記載された構造を、大型の転がり軸受に適用した場合、必ずしも十分な絶縁性能を得られない可能性がある。この理由は、上記特許文献4に記載された構造の場合、外径が120〜170mm程度の転がり軸受を対象としており、外径が200mm以上の大型の転がり軸受に就いては考慮していない為である。上述した様に、大型の転がり軸受の外輪に絶縁皮膜を形成する場合、表面積が大きくなる分、膜厚を大きくしなければならない。これに対し、膜厚を一定以上大きくすると、コストが高くなる割合に絶縁性能を良好にできない場合がある。従って、材料コストと溶射作業時間とを考慮した場合、絶縁皮膜の材質によっては、十分な絶縁性能を有する絶縁皮膜を得る事が難しい場合がある。
尚、本発明に関連する技術が記載された文献として、特許文献5、6がある。これら特許文献5、6には、高温でも軸受の寸法を安定化させる技術が、それぞれ記載されている。
特許第2779251号公報 特開2002−48145号公報 特開2002−181054号公報 特開2005−133876号公報 特許第3475497号公報 特許第2624337号公報
本発明は、上述の様な事情に鑑みて、大型の転がり軸受の外輪に、セラミックス製の絶縁皮膜を形成する場合でも、この絶縁皮膜の絶縁性能を十分に確保できる構造を実現すべく発明したものである。
本発明の電食防止用絶縁転がり軸受は、それぞれが金属製である、外輪と、内輪と、複数の転動体とを備える。
このうちの外輪は、内周面に外輪軌道を形成している。
又、上記内輪は、上記外輪の内側に配置され、外周面に内輪軌道を形成している。
又、上記各転動体は、これら外輪軌道と内輪軌道との間に、転動自在に設けられている。
特に、本発明の電食防止用絶縁転がり軸受に於いては、上記外輪の上記外輪軌道を除く表面のうち、少なくとも外周面に、アルミナ(Al2O3 )を主成分とするセラミックス製の絶縁皮膜を形成している。又、この絶縁皮膜の絶縁抵抗値が1000MΩ以上で、同じく静電容量が27nF以下である。
又、上記絶縁皮膜の絶縁抵抗値及び静電容量を、上述の様に規制する為に、例えば、請求項2に記載した様に、絶縁皮膜を、アルミナの含有量が99重量%以上で、酸化チタン(チタニア、TiO2)を0.01〜0.2重量%含有する絶縁層とし、膜厚を0.1〜0.7mmとする。
或は、請求項3に記載した様に、絶縁皮膜を、アルミナの含有量が97重量%以上で、ジルコニア(ZrO2)を0.1〜2.5重量%含有する絶縁層とし、膜厚を0.1〜0.7mmとする。
又、上述した各発明を実施する場合で、絶縁皮膜がプラズマ溶射により形成されたものである場合に、好ましくは、請求項4に記載した様に、転がり軸受を構成する両軌道輪のうち、少なくとも外輪として、高温寸法安定化処理を施されたものか、或は、高温寸法安定材製のものを用いる。このうちの高温寸法安定化処理として、例えば、前述の特許文献5に記載されている様に、高温焼き戻し処理や2回焼き戻し処理を施して、残留オーステナイト量を2容量%以下とする処理が挙げられる。又、上記高温寸法安定材として、例えば、高温軸受用高速度鋼であるAISI M50、M50NIL や、前述の特許文献6に記載されている様な、Si及びCuの含有量を、通常の軸受鋼(SUJ2、SUJ3等)よりも多くし、残留オーステナイト量を3容量%以下としたものが挙げられる。
又、請求項5に記載した様に、上述した各発明を、絶縁皮膜が外輪の表面に直接形成した1層のみから成り、転がり軸受の外径が200mm以上である構造に適用する事が好ましい。
上述の様に構成する本発明の電食防止用絶縁転がり軸受によれば、大型の転がり軸受の外輪に、セラミックス製の絶縁皮膜を形成する場合でも、この絶縁皮膜の絶縁性能を十分に確保できる。
即ち、絶縁皮膜の絶縁抵抗値を1000MΩ以上、同じく静電容量を27nF以下となる様に、アルミナを主成分とするセラミックス製の絶縁皮膜の材質及び膜厚を選定する事により、表面積の大きい、大型の転がり軸受の外輪に絶縁皮膜を形成する場合でも、この転がり軸受の高インピーダンス化を図れる。本発明者の実験データ等の各種データによれば、静電容量が27nFを超えると、十分なインピーダンス(絶縁抵抗値)を得られない場合がある。この為、絶縁皮膜の静電容量を27nF以下、好ましくは25nF、更に好ましくは23nF以下とする事により、この絶縁皮膜の絶縁性能を十分に確保できる。
又、上記絶縁皮膜を、例えば、請求項2に記載した様に、アルミナの含有量が99重量%以上で、酸化チタンを0.01〜0.2重量%含有する絶縁層により形成し、膜厚を0.1〜0.7mmとすれば、上述した様な高インピーダンスを有する絶縁皮膜を安価に得られる。即ち、アルミナの純度を高くする程、インピーダンスを高くできるが、このアルミナの純度を高くする事は、製造コストの上昇を招く。これに対して、不可避的に含まれるチタニアの含有量を0.01〜0.2重量の範囲に規制すれば、コスト上昇を抑えつつ、インピーダンスの高い絶縁皮膜を得られる。又、絶縁皮膜の膜厚を0.1mmよりも薄くすると絶縁抵抗が劣り、0.7mmよりも厚くしても、コストが高くなる割合には、絶縁性能の向上を望めない。従って、絶縁抵抗を確保すると共に製造コストの上昇を抑える為には、上記絶縁皮膜の膜厚を0.1〜0.7mm、好ましくは、0.2〜0.5mmとする。
又、上記絶縁皮膜を、例えば、請求項3に記載した様に、アルミナの含有量が97重量%以上で、ジルコニアを0.1〜2.5重量%含有する絶縁層により形成すれば、アルミナの純度を高くしてインピーダンスを高くできると共に、上記絶縁皮膜の金属表面への付着強度を向上させる事ができる。即ち、高強度、高靱性を有するジルコニアの含有量を0.1重量%未満とした場合、付着強度を十分に向上させる事ができない。一方、上記ジルコニアの含有量を2.5重量%よりも多くした場合、アルミナの純度が低くなり過ぎて、上記インピーダンスの低下を招く。尚、上述の様にジルコニアを含有した場合にも、上述したチタニアを含有した場合と同様に、上記絶縁皮膜の膜厚を0.1〜0.7mm、好ましくは、0.2〜0.5mmとすれば、絶縁抵抗の確保と製造コスト抑制とのバランスがとれる。
又、上記絶縁皮膜をプラズマ溶射により形成する場合に、請求項4に記載した様に、転がり軸受を構成する両軌道輪のうち、少なくとも外輪として、高温寸法安定化処理を施されたものか、或は、高温寸法安定材製のものを用いれば、この外輪の寸法精度を確保できる。即ち、上記高温寸法安定化処理を施すか、或は、高温寸法安定材を使用する事により、高温のプラズマの溶射ガスにより局部的に高温になった場合でも、上記外輪の寸法精度が維持される。
又、請求項5に記載した様に、本発明を、転がり軸受(を構成する外輪)の外径が200mm以上である構造に適用すれば、本発明の効果をより顕著に得られる。即ち、外径が200mm以上の転がり軸受は、外輪の表面積が著しく大きい為、この表面積の大きさを考慮せずに絶縁皮膜を形成しても、十分な絶縁性能を確保できない可能性がある。これに対して本発明の場合には、絶縁皮膜の静電容量を管理する事により、表面積が大きくても、確実にインピーダンスを高くして、十分な絶縁性能を確保できる。
又、本発明の場合、絶縁皮膜を1層としている為、前述の特許文献2〜3に記載された構造と比べて製造コストを低くできる。又、前述した様に、絶縁皮膜としてジルコニアを含有したものを使用すれば、この絶縁皮膜と外輪との密着力を高め、金属層を設けなくても絶縁皮膜の剥離を防止できる。
尚、本発明の電食防止用絶縁転がり軸受を、インバータ制御される電動機或は発電機の回転支持部に組み込めば、本発明の効果をより有効に得られる。即ち、前述した様に、インバータ制御される電動機等は、インバータのキャリア周波数を高くする傾向にある為、転がり軸受に流れる電流は高周波となる。この為、上記絶縁皮膜は高インピーダンス(高絶縁抵抗値)である事が要求される。これに対して本発明の場合、上述した様に、高インピーダンスを実現できる為、上記インバータ制御される電動機等に適する。
[実施の形態の1例]
図1は、本発明の実施の形態の1例を示している。尚、本発明の特徴は、大型の転がり軸受の外輪2側にセラミックス製の絶縁皮膜4bを形成した場合でも、十分な絶縁性能を得るべく、この絶縁皮膜4bの特性を規制する点にある。転がり軸受の基本的構造及び作用は、前述の特許文献1〜4等、従来から知られている転がり軸受と同様である。この為、従来構造と同様の部分に就いては、説明を省略若しくは簡略にし、以下、本例の特徴部分を中心に説明する。
本例の転がり軸受1bは、前述の図3に示した構造と同様に、それぞれが、軸受鋼(例えばSUJ2、SUJ3)等の金属製である、外輪2と、内輪3と、複数の玉7とを備える。又、本例の場合、このうちの外輪2に寸法安定化処理を施している。この寸法安定化処理として、例えば、焼き入れ後に高温(例えば240℃)で焼き戻しを行ない、残留オーステナイト量を2容量%以下としている。又、本例の場合、上記転がり軸受1bの外径R2 が200mm以上である。
特に、本例の場合、上記外輪2の外周面12と軸方向両端面13、13とを、アルミナを主成分とするセラミックス製の絶縁皮膜4bにより覆っている。尚、この絶縁皮膜4bは、1層とし、前述の特許文献2〜3に記載されている様な金属層は形成していない。又、上記絶縁皮膜4bは、プラズマ溶射により形成しており、アルミナの含有量が99重量%以上で、酸化チタンを0.01〜0.2重量%含有する絶縁層としている。又、上記絶縁皮膜4bは、上記外周面12及び軸方向両端面13、13の他、この外周面12の軸方向両端縁とこれら軸方向両端面13、13の外周縁とを連続させる、断面四分の一円弧状の外径側折れ曲がり連続部14、14の表面も覆っている。更に、本例の場合、上記両端面13、13の内周縁と上記外輪2の内周面の軸方向両端縁とを連続させる、断面四分の一円弧状の内径側折れ曲がり連続部15、15の表面も、上記絶縁皮膜4bにより覆っている。
又、本例の場合、上記外輪2の外周面12、両端面13、13を覆う上記絶縁皮膜4bの膜厚を、0.1〜0.7mmとしている。この様に、絶縁皮膜4bの膜厚を規制する為に、セラミックスの絶縁層を形成した後、表面を研磨する。又、上記絶縁皮膜4bの厚さは、少なくとも上記外周面12及び両端面13、13を覆う部分が0.1〜0.7mmであれば良い。即ち、上記絶縁皮膜4bのうちで上記外径側、内径側各折れ曲がり連続部14、15の表面を覆っている部分に関しては、コスト低減の為に、研磨する事なく、そのままの(セラミックスの溶滴を噴射したままの)状態としても良い。尚、好ましくは、上記外周面12及び両端面13、13を覆う部分の研磨後の膜厚を、0.5mm以下とする。これにより、研磨による削り代を含めても、研磨前の全体の膜厚を小さくでき、低コスト化を図れる。本例の場合、上述の様に、絶縁皮膜4bの材質及び膜厚を規制する事により、この絶縁皮膜4bの絶縁抵抗値を1000MΩ以上、静電容量を27nF以下としている。
又、前記転がり軸受1bは、インバータ制御される、例えば風車用発電機の回転支持部に組み込まれる。即ち、上記外輪2をこの回転支持部を構成する、金属製のハウジングに隙間嵌めで内嵌固定すると共に、前記内輪3をこの回転支持部を構成する、金属製の軸に締り嵌めで外嵌固定する。
上述の様に構成する本例の転がり軸受1bによれば、外径が200mm以上の大型の転がり軸受1bの外輪2に、セラミックス製の絶縁皮膜4bを形成する場合でも、この絶縁皮膜4bの性能を十分に確保できる。
即ち、本例の場合、上記絶縁皮膜4bを、アルミナの含有量が99重量%以上で、酸化チタンを0.01〜0.2重量%含有する絶縁層とし、膜厚を0.1〜0.7mmとして、上記絶縁皮膜4bの絶縁抵抗値を1000MΩ以上、静電容量を27nF以下としている。この為、表面積の大きい上記外輪2側に上記絶縁皮膜4bを形成しても、上記転がり軸受1bの高インピーダンス化を確実に図れる。
又、本例の場合、上記外輪2の表面のうち、内径側折れ曲がり連続部15、15の表面も上記絶縁皮膜4bにより覆っている為、沿面放電を避けて、インピーダンスをより高くできる。例えば、上記外輪2の端面13をハウジングの内周面に設けた段差に当接させる場合、絶縁皮膜4bが形成されていないこの外輪2の内周面端部とこの段差との距離が近くなる場合がある。この場合、この外輪2の軸方向端面13を上記絶縁皮膜4bにより覆っていたとしても、この外輪2の内周面を沿って、上記段差に電流が流れる可能性がある。これに対して、この外輪2の外周面両端縁と軸方向両端面13、13の外周縁とを連続させる上記内径側折れ曲がり連続部15、15の表面を上記絶縁皮膜4bにより覆えば、上記外輪2の内周面を沿って軸側に電流が流れる事を防止できる。
又、上記絶縁皮膜4bを、アルミナの含有量が99重量%以上で、酸化チタンを0.01〜0.2重量%含有する絶縁層により形成し、膜厚を0.1〜0.7mmとしている為、上述した様な高インピーダンスを有する絶縁皮膜4bを安価に得られる。本例の場合、この絶縁皮膜4bをプラズマ溶射により形成している為、高温のプラズマの溶射ガスにより局部的に高温になるが、上記絶縁皮膜4bを形成する外輪2に高温寸法安定化処理を施している為、プラズマ溶射により局部的に高温になっても、この外輪2の寸法精度を維持できる。
本発明の効果を確認する為に行なった計算に就いて説明する。この計算は、転がり軸受の外輪側にセラミックス製の絶縁皮膜を形成し、この絶縁皮膜の膜厚を変えた場合の、それぞれの静電容量を調べる事を目的としている。対象となる転がり軸受は、発電機や電動機で一般的に使用される深溝型玉軸受で、呼び番号が6336(内径180mm、外径380mm、幅75mm)である。この玉軸受の、外輪の外周面と両端面とを合わせた表面積は142780mm2 である。
本実施例では、先ず、絶縁皮膜の単位面積当たりの静電容量を測定した。即ち、アルミナの含有量が99.7重量%で、酸化チタンを0.04重量%含有するセラミックス製の絶縁皮膜の、単位面積(10mm×10mm)での静電容量を、膜厚が0.3mmと0.5mmとでそれぞれ測定した。これにより、図2に示す様な直線(実線及び破線)を求め、上記外輪の表面積の各膜厚に於ける静電容量を、それぞれ算出した。尚、絶縁皮膜の厚さが0.3mmのものを実線で、0.5mmのものを破線で、それぞれ示す。この図2から明らかな様に、絶縁皮膜の厚さを0.3mmとした場合でも、静電容量を27nF以下に抑えられる。
本発明の実施の形態の1例を示す、転がり軸受の部分断面図。 本発明の効果を調べる為に行なった計算の結果を示す線図。 従来構造の第1例を示す断面図。 同第2例を示す、転がり軸受の部分断面図。
符号の説明
1、1a、1b 転がり軸受
2、2a 外輪
3、3a 内輪
4、4a、4b 絶縁皮膜
5、5a 外輪軌道
6、6a 内輪軌道
7 玉
8 ハウジング
9 金属層
10 鍔部
11 円筒ころ
12 外周面
13 端面
14 外径側折れ曲がり連続部
15 内径側折れ曲がり連続部

Claims (5)

  1. 内周面に外輪軌道を形成した金属製の外輪と、この外輪の内側に配置され、外周面に内輪軌道を形成した金属製の内輪と、これら外輪軌道と内輪軌道との間に転動自在に設けられた、それぞれが金属製である複数個の転動体とを備えた電食防止用絶縁転がり軸受に於いて、上記外輪の上記外輪軌道を除く表面のうち、少なくとも外周面に、アルミナを主成分とするセラミックス製の絶縁皮膜を形成しており、この絶縁皮膜の絶縁抵抗値が1000MΩ以上で、同じく静電容量が27nF以下である電食防止用絶縁転がり軸受。
  2. 絶縁皮膜が、アルミナの含有量が99重量%以上で、酸化チタンを0.01〜0.2重量%含有する絶縁層であり、膜厚が0.1〜0.7mmである、請求項1に記載した電食防止用絶縁転がり軸受。
  3. 絶縁皮膜が、アルミナの含有量が97重量%以上で、ジルコニアを0.1〜2.5重量%含有する絶縁層であり、膜厚が0.1〜0.7mmである、請求項1に記載した電食防止用絶縁転がり軸受。
  4. 絶縁皮膜がプラズマ溶射により形成されたものであり、転がり軸受を構成する両軌道輪のうち、少なくとも外輪が、高温寸法安定化処理を施されるか、或は、高温寸法安定材製である、請求項1〜3のうちの何れか1項に記載した電食防止用絶縁転がり軸受。
  5. 絶縁皮膜が外輪の表面に直接形成した1層のみから成り、転がり軸受の外径が200mm以上である、請求項1〜4のうちの何れか1項に記載した電食防止用絶縁転がり軸受。
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WO2024071187A1 (ja) * 2022-09-28 2024-04-04 Ntn株式会社 絶縁転がり軸受

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