JP4825020B2 - 鉄道車両用車体の防振方法及び鉄道車両用車体 - Google Patents
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また、本発明においては、 前記屋根構造体が、車両前後方向に間隔を置いて多数配列された、車両左右方向に延びるたるきを含み、 前記粘弾性ダンパ部材が、前後のたるき間に、取り外し可能な方法で取り付けられていることも好ましい。
図9(A)は、左右同相一次曲げ振動を説明するための図であり、図9(B)は左右逆相一次曲げ振動を説明するための図である。
鉄道車両の車体では、図9(A)に示すように、左右の側はりが同位相(同方向)で曲げ変形を生じ、長手方向の中央部が振動の腹となる左右同相一次曲げ振動や、図9(B)に示すように、左右の側はりが逆位相(逆方向)で曲げ変形を生じる左右逆相一次曲げ振動が、乗り心地に対して支配的である場合が多いため、床構造体や屋根構造体の左右方向側寄りの部分にそれぞれ前記粘弾性ダンパ部材を取り付けると、車体の左右同相一次曲げ振動及び左右逆相一次曲げ振動の双方を減衰することが期待できる。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る鉄道車両の車体の構造を説明する図であり、図1(A)は側面断面図、図1(B)は底面図、図1(C)は粘弾性ダンパ部材が取り付けられた部分を示す側面図である。
図2は、粘弾性ダンパ部材を構成するダンパユニットの構造を示す図であり、図2(A)は平面図、図2(B)は側面図、図2(C)は正面図である。
図3は、図1の車体の底面に粘弾性ダンパ部材が取り付けられた様子を示す斜視図である。なお、図3では、横はりの断面形状がH型としてあるが、図1などに示すようにコの字型の場合も多い。
粘弾性ダンパ部材10は、複数(この例では8個)のダンパユニット11を車体前後方向に連結したものである。各ダンパユニット11は、図2に示すように、2枚の比較的長い剛性板(左右剛性板)13の間の両端に、左右剛性板13より短い剛性板(中剛性板)15を挟んで、これらの剛性板13、15を粘弾性材料17を介して貼り合せたサンドイッチ構造を有する。粘弾性材料17は各剛性板13、15に接着剤等によって貼り付けられている。
この例では、8連の粘弾性ダンパ部材10が4ヶ所で車体1の床構造体2の横はり6に固定されている。詳細には、粘弾性ダンパ部材11の前端のダンパユニット11Fから前方に突き出た中鋼板突出部、並びに、後端のダンパユニット11Bから後方に突き出た中鋼板突出部がL字型ブラケット23−1、23−9で固定されており、これに加えて、さらに前方から2個目と3個目のダンパユニット連結部をL字型ブラケット23−3で横はり6に固定し、後方から2個目と3個目のダンパユニット連結部が、L字型ブラケット23−7で横はり6に固定されている。
軽量ステンレス製車体(在来線通勤車両相当)を用いて定置加振試験を行い、加振力(N)・床上加速度(m/s2)間の周波数応答特性を求めた。車体1の試験条件として、図1に示す条件(取付条件Aという。粘弾性ダンパ部材10の前後端の2ヶ所で横はり6に固定したもの)と、図4に示す条件(取付条件Bという。粘弾性ダンパ部材10を4ヶ所で横はり6に固定したもの)の2種類を設定した。
図6は、図5のグラフの13Hz付近のピークを拡大して示すグラフである。
図6から、取付条件Aのピーク高さは未対策車体の約90%程度、取付条件Bのピーク高さは未対策車体の約78%程度であって、取付条件A、Bともに、未対策車体に比べてピーク高さが低くなっており、左右同相一次曲げ振動に対する本発明の防振作用が発揮されているといえる。
図8は、図7のグラフの各ピーク付近を拡大して示すものであり、図8(A)は13Hz付近のピーク、図8(B)は8Hz付近のピークを示す。
図8(A)から、取付条件Aのピーク高さは未対策車体の約90%程度、取付条件Bのピーク高さは未対策車体の約77%程度であって、取付条件A、Bともに、未対策車体に比べてピーク高さが低くなっており、左右同相一次曲げ振動に対する本発明の防振作用が発揮されているといえる。
図8(B)に示すように、取付条件Bのピーク高さは未対策車体とほとんど同じであるが、取付条件Aのピーク高さは未対策車体の約72%程度であり、左右逆相一次曲げ振動に対する本発明の作用が発揮されているといえる。
また、以上の説明においては、粘弾性ダンパを縦(垂直)に取り付ける場合について説明したが、取付スペースの都合、低減したい振動モードの形状によっては、横(水平)に取付けても良い。
3 側構造体 4 屋根構造体
5 床板 6 横はり
7 枕はり
10 粘弾性ダンパ部材 11 ダンパユニット
13 剛性板(左右剛性板) 15 短い剛性板(中剛性板)
17 粘弾性材料 19 貫通孔
23 L字型ブラケット
Claims (5)
- 車両進行前後方向に延びる床構造体、該床構造体の左右側縁から上方に立ち上がる側構造体、及び、左右の側構造体上に掛け渡されている屋根構造体を有する鉄道車両用車体の防振方法であって、
複数枚の剛性板と粘弾性材料層とを貼り合せたサンドイッチ構造を有し、前記複数の剛性板相互の相対変位による前記粘弾性材料のせん断変形によりダンピング作用を起こす粘弾性ダンパ部材を、前記床構造体及び/又は屋根構造体に、該構造体が上下振動することによって伸び縮みする方向に沿って取り付け、
前記構造体の上下方向曲げ振動を減衰させ、
前記床構造体が、車両前後方向に間隔を置いて多数配列された、車両左右方向に延びる横はりを含み、
前記粘弾性ダンパ部材を、前後の横はり間に、取り外し可能な方法で取り付けることを特徴とする鉄道車両用車体の防振方法。 - 車両進行前後方向に延びる床構造体、該床構造体の左右側縁から上方に立ち上がる側構造体、及び、左右の側構造体上に掛け渡されている屋根構造体を有する鉄道車両用車体の防振方法であって、
複数枚の剛性板と粘弾性材料層とを貼り合せたサンドイッチ構造を有し、前記複数の剛性板相互の相対変位による前記粘弾性材料のせん断変形によりダンピング作用を起こす粘弾性ダンパ部材を、前記床構造体及び/又は屋根構造体に、該構造体が上下振動することによって伸び縮みする方向に沿って取り付け、
前記構造体の上下方向曲げ振動を減衰させ、
前記屋根構造体が、車両前後方向に間隔を置いて多数配列された、車両左右方向に延びるたるきを含み、
前記粘弾性ダンパ部材を、前後のたるき間に、取り外し可能な方法で取り付けることを特徴とする鉄道車両用車体の防振方法。 - 前記床構造体又は屋根構造体の左右方向側寄りの部分にそれぞれ前記粘弾性ダンパ部材を取り付け、車体の左右同相一次曲げ振動及び左右逆相一次曲げ振動の双方を減衰することを特徴とする請求項1又は2記載の鉄道車両用車体の防振方法。
- 車両進行前後方向に延びる床構造体、該床構造体の左右側縁から上方に立ち上がる側構造体、及び、左右の側構造体上に掛け渡されている屋根構造体を有する鉄道車両用車体であって、
前記床構造体及び/又は屋根構造体に、複数枚の剛性板と粘弾性材料層とを貼り合せたサンドイッチ構造を有し、前記複数の剛性板相互の相対変位による前記粘弾性材料のせん断変形によりダンピング作用を起こす粘弾性ダンパ部材が、該構造体が上下振動することによって伸び縮みする方向に沿って取り付けられており、
前記構造体の上下方向曲げ振動を減衰し、
前記床構造体が、車両前後方向に間隔を置いて多数配列された、車両左右方向に延びる横はりを含み、
前記粘弾性ダンパ部材が、前後の横はり間に、取り外し可能な方法で取り付けられていることを特徴とする鉄道車両用車体。 - 車両進行前後方向に延びる床構造体、該床構造体の左右側縁から上方に立ち上がる側構造体、及び、左右の側構造体上に掛け渡されている屋根構造体を有する鉄道車両用車体であって、
前記床構造体及び/又は屋根構造体に、複数枚の剛性板と粘弾性材料層とを貼り合せたサンドイッチ構造を有し、前記複数の剛性板相互の相対変位による前記粘弾性材料のせん断変形によりダンピング作用を起こす粘弾性ダンパ部材が、該構造体が上下振動することによって伸び縮みする方向に沿って取り付けられており、
前記構造体の上下方向曲げ振動を減衰し、
前記屋根構造体が、車両前後方向に間隔を置いて多数配列された、車両左右方向に延びるたるきを含み、
前記粘弾性ダンパ部材が、前後のたるき間に、取り外し可能な方法で取り付けられていることを特徴とする鉄道車両用車体。
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