JP4823121B2 - 固体電解コンデンサの製造方法 - Google Patents
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Description
次いで洗浄液にコンデンサ素子1を浸漬して、コンデンサ素子1の洗浄を行う。前記洗浄液の溶質は、スルホン酸化合物またはシラン化合物である。前記スルホン酸化合物は特に限定されないが、酸化剤及び/またはドーパント材として機能しうる材料であることが好ましい。前記スルホン酸化合物が酸化剤及び/またはドーパント材であると、未反応の前記モノマーが前記洗浄液中の酸化剤で反応したり、コンデンサ素子1に付着していた不純物を取り除いてできる空隙部にドーパント材が入りこむことができる。しかし、スルホン酸化合物が酸化剤及び/またはドーパント材として機能しない材料であると、該スルホン酸化合物がコンデンサ素子に付着するのみで上記のようなことがおこらず、このコンデンサ素子を用いて作製された固体電解コンデンサの特性が悪化してしまう恐れがある。溶質にスルホン酸化合物を用いた場合、溶媒は純水であることが好ましい。スルホン酸化合物は純水への溶解性が高いので、溶媒が純水、溶質がスルホン酸化合物である洗浄液を用いると、洗浄効果をより向上させることができる。
酸化皮膜が形成されたアルミニウム箔からなる陽極箔と、アルミニウム箔からなる陰極箔をセパレータを介して巻回し、コンデンサ素子を作製した。尚、陽極箔には陽極リード線が、陰極箔には陰極リード線が夫々リードタブ端子を介して接続されている。
(実施例2)
洗浄液の濃度を10wt%にしたこと以外は実施例1と同様にして固体電解コンデンサを作製した。
(実施例3)
洗浄液の温度を50℃にしたこと以外は実施例1と同様にして固体電解コンデンサを作製した。
(実施例4)
洗浄液の温度を50℃にしたこと以外は実施例2と同様にして固体電解コンデンサを作製した。
(実施例5)
洗浄液として3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランのブタノール溶液を用いたこと以外は実施例1と同様にして固体電解コンデンサを作製した。
(実施例6)
洗浄液の濃度を10wt%としたこと以外は実施例5と同様にして固体電解コンデンサを作製した。
(実施例7)
洗浄液の温度を50℃にしたこと以外は実施例5と同様にして固体電解コンデンサを作製した。
(実施例8)
洗浄液の濃度を10wt%にしたこと以外は実施例7と同様にして固体電解コンデンサを作製した。
(比較例1)
洗浄液として純水をもちいたこと以外は実施例1と同様にして固体電解コンデンサを作製した。
(比較例2)
コンデンサ素子の切り口化成、加熱による炭化処理を行ったあと、モノマーとしてチオフェンを含む溶液に前記コンデンサ素子を浸漬し、その後酸化剤兼ドーパント材としてp−トルエンスルホン酸を含む溶液に前記コンデンサ素子を浸漬した。洗浄液やその他の工程は実施例1と同様にして固体電解コンデンサを作製した。
(比較例3)
洗浄液として50℃の10wt%p−トルエンスルホン酸水溶液とすること以外は比較例2と同様にして固体電解コンデンサを作製した。
(比較例4)
洗浄液をブタノール溶液にすること以外は実施例1と同様にして固体電解コンデンサを作製した。
(比較例5)
洗浄液として3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランのブタノール溶液を用いること以外は比較例2と同様にして、固体電解コンデンサを作製した。
(比較例6)
洗浄液として3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランのブタノール溶液を用いること以外は比較例3と同様にして固体電解コンデンサを作製した。
(比較例7)
コンデンサ素子の洗浄を行わないこと以外は実施例1と同様にして固体電解コンデンサを作製した。
、耐熱性(静電容量損失率及び封口ゴムの膨れ)、漏れ電流共に良好な性質を示している。これは、モノマーを含む溶液と酸化剤兼ドーパントを含む溶液に順次コンデンサ素子を浸漬した場合、モノマーと酸化剤兼ドーパントの混合溶液にコンデンサ素子を浸漬した場合に比べ、コンデンサ素子に付着している未反応の酸化剤の量が多く、不純物を洗浄しきれずリフローの際にセパレータ紙の分解による水分量が増大して封口ゴムが膨れてしまうと考えられる。また、酸化剤兼ドーパント材溶液に浸漬したとき、先に浸漬して付着していたモノマーがコンデンサ素子から除去され、モノマーが除去された箇所に未反応の酸化剤等の不純物が入り込むので、酸化皮膜と接触する不純物の数が著しく増大する。よって洗浄を行った際に発生する酸化皮膜の損傷も大きくなり、漏れ電流の著しい増加を招来したものと考えられる。本発明のような化学酸化重合法では、上述のようなことは起きないので、漏れ電流を小さく抑えられると共に、封口ゴムの膨れを抑え、静電容量損失の小さい、すなわち耐熱性に優れた固体電解コンデンサを提供できる。
表2より、洗浄液が3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランのブタノール溶液である本実施例は、洗浄液がブタノールのみである比較例に比べて漏れ電流特性に優れている。これは、コンデンサ素子に付着していた不純物が取り除かれ空隙となった箇所に3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランが付着し、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランは無機体である酸化皮膜と有機体である固体電解質層との密着性を向上させるので、誘電体皮膜の損傷を抑えられ、従って漏れ電流が小さく抑えられると考えられる。また、化学酸化重合をモノマー溶液と酸化剤兼ドーパント材溶液の2つの液にコンデンサ素子を浸漬する方法で行ったときに比べ、モノマーと酸化剤兼ドーパントの混合溶液にコンデンサ素子を浸漬する本実施例の方が静電容量変化率、封口ゴムの膨れ、漏れ電流特性ともに優れていることがわかる。これは、モノマーを含む溶液と酸化剤兼ドーパントを含む溶液に順次コンデンサ素子を浸漬した場合、モノマーと酸化剤兼ドーパントの混合溶液にコンデンサ素子を浸漬した場合に比べ、コンデンサ素子に付着している未反応の酸化剤の量が多く、不純物を洗浄しきれずコンデンサ素子に付着しているドーパント対イオンである鉄イオン存在下でリフローの際にセパレータ紙の分解による水分量が増大して封口ゴムが膨れてしまうと考えられる。また、酸化剤兼ドーパント材溶液に浸漬したとき、先に浸漬して付着していたモノマーがコンデンサ素子から除去され、モノマーが除去された箇所に未反応の酸化剤等の不純物が入り込むので、酸化皮膜と接触する不純物の数が著しく増大する。よって洗浄を行った際に発生する酸化皮膜の損傷も大きくなり、漏れ電流の著しい増加を招来したものと考えられる。それに対し本発明は、モノマーと酸化剤兼ドーパントの混合溶液を重合液として用いているので、前述のようなコンデンサ素子に付着したモノマーが除去されることがなく、誘電体皮膜の損傷を抑えられる。また、未反応の酸化剤の量も少ないので、洗浄効果が十分発揮できる。
・ 陽極箔
・ 陰極箔
・ セパレータ紙
・ 巻き止めテープ
・ リードタブ端子
・ 陽極リード線
・ 陰極リード線
・ アルミケース
10.封止用ゴムパッキング
11.座版
Claims (4)
- 固体電解質を形成する工程を有する固体電解コンデンサの製造方法において、
前記固体電解質を形成する工程は、少なくともモノマーと酸化剤及びドーパント材とを含む重合液にコンデンサ素子を浸漬するステップと、溶質としてシラン化合物を用いた洗浄液にコンデンサ素子を浸漬するステップを備えていることを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。 - 前記洗浄液の溶媒が有機溶媒であることを特徴とする請求項2に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
- 前記溶質は、前記洗浄液に対して1〜10wt%の量で含まれていることを特徴とする請求項1または2に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
- 前記洗浄液の温度が10〜50℃であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の固体電解コンデンサの製造方法。
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