JP4822233B2 - 柿の脱渋方法 - Google Patents

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本発明は、渋味を持つ柿の風味を損ねずに渋味を大幅に低減できる柿の脱渋方法の改良に関するものである。
柿は、その種類と産地によって様々なものがあるが、大きく分けて甘柿と渋柿とに分けられる。甘柿は成熟した実の段階で既に柿渋である柿タンニンが不溶性の化合物に変化していることで渋味はないが、渋柿は柿タンニンが水溶性のまま存在するために渋味が強くそのままでは食用にはならない。甘柿も未成熟のものは渋味が残るが、渋味を持つ柿は渋抜きと呼ばれる処理をして食用にされている。
渋抜きには古来より様々な方法がとられてきた。焼酎などのアルコールを吹きかけ一定期間密封することで渋を抜く方法や、収穫の前の柿に袋を被せて、この中の固形アルコールを封入する方法(特許文献1)、あるいは二酸化炭素を使う方法、皮をむいて長期間、天日や遠赤外線にさらす方法などがあり、いずれも柿渋の分子構造を変化させて不溶化し不活性にするものである。
しかしながら、これらの方法は渋抜きに数日から数ヶ月と長期間を要することと、渋を抜いてから加工する段階で、特にジャムやプリンを製造する場合に加熱を伴うと、渋戻りという渋味が戻ってしまうという現象が頻繁に起こることから、食材としての加工性に少なからぬ障害があるという不具合があった。
また粉砕した果肉に、ゼラチンや牛乳、卵白、大豆蛋白などの蛋白質を加えて加熱攪拌する方法(特許文献2)も提案されている。しかしながらこの方法はゲル化する性質があり、粘性が強いなど性状的に良好に混合できないという操作的な不具合がある。しかも、添加剤としては大量に加える必要があることなどが原因となり、本来の柿の味が大幅に損なわれたり、新たに悪味を生じ、そのままでは渋味を無くす添加剤として実用には至っていない。
またアルコールに酢酸、アミノカルボン酸やオキシカルボン酸を加えた溶液で処理する方法(特許文献3)も提案されている。しかしながら、この方法も加熱により渋味が戻り、後味が悪くなる問題があった。表1に脱渋していない渋柿と、蛋白質を添加して処理した場合の残留する柿タンニンの量と官能評価の結果を示した。

表1の結果からアミノ酸や、ミルクカゼインは、悪味があり食品としては不適であった。またゼラチンを10重量%添加したものは、渋味は少ないが粘性が高く混合不良であった。
またアルコールで脱渋した渋柿を加熱した場合に、渋戻りする現象に対して、タンパク質などを添加しておいて、渋戻り防止した場合の、残留する柿タンニンの量と官能評価の結果を表2に示す。
表2の結果からアルコールで脱渋した渋柿の柿タンニンの量は1.4(mg/g)であるが、これを加熱すると2.1(mg/g)に増加して渋戻りする。卵白タンパク質、アミノ酸、大豆タンパク質、大豆粉末を脱渋剤とし添加して加熱したものは柿タンニンの量が1.6〜2.6(mg/g)で何れも程度の差こそあれ、渋味を感じるまでに渋戻りしている。
特開平7−59464号公報 特開昭60−248150号公報 特開昭60−110243号公報
本発明は上記問題を改善し、少量の添加で、柿の風味を損ねずに、短時間で簡単な操作により渋味を無くし、さらに脱渋後の加熱による渋戻りの現象を防止した柿の脱渋方法を提供するものである。
本発明の請求項1記載の柿の脱渋方法は、柿渋である柿タンニンを含む柿に、コラーゲンペプチドを加え、粉砕・混合して水溶化している柿タンニンを1.2mg/g以下に調整することを特徴とするものである。
本発明の請求項2記載の柿の脱渋方法は、請求項1において、コラーゲンペプチドの平均分子量が3000〜5000であること特徴とするものである。
本発明に係る請求項1記載の柿の脱渋方法によれば、渋柿に含まれる柿タンニンに対して相当するコラーゲンペプチドを加え、過不足無く反応させて、水溶化している柿タンニンを1.2mg/g以下に調整することにより、脱渋工程の手間と脱渋後の熱加工などによる渋戻りの現象を大きく改善することができる。
更に添加剤として使用するコラーゲンペプチドは、摂取された場合に人体に必要なコラーゲンの原料となるアミノ酸やペプチドを効率的に補給することができるため皮膚の状態を改善する効果があるとされており、多く摂取したり例え未反応なものを摂取したりしても人体に安全でむしろ有益である。
また請求項2記載の柿の脱渋方法によれば、コラーゲンペプチドの平均分子量を3000〜5000に規定することにより、水に溶けやすく、ゲル化せず、極めて高い安定性と保水力を有すると共に、悪味の発生を防止することができる。
本発明は、柿にコラーゲンペプチドを加え、粉砕・混合して水溶化している柿タンニンを1.2mg/g以下に調整するものである。
柿渋は一般にタンニンと呼ばれる化合物の1つであり、図1のような分子構造を持っている。このタンニンの性質の1つでタンパク質と良好に反応するという特徴がある。その反応機構は、タンニンと加えるタンパク質の組み合わせにより様々であると考えられているが、その1つとしてタンニンのフェノール性水酸基とタンパク質のアミノ基との間で静電的に強固な結合が生じて分子同士が絡み合うというものがある。
すなわち、図1の水酸基(−OH)が−Oとなり、タンパク質のアミノ基が−NH となり結合を形成するというものである。一般にタンニンの渋味はフェノール性水酸基に由来するものとされているため、この反応により脱渋ができることとなる。
本発明は、渋味を持つ柿への添加剤として、食用となる化合物で、アミノ基を有した反応に有効な分子構造を持つコラーゲンペプチドを用いることにより、加熱後も渋戻りせず、柿の風味を保持することができる。
本発明で利用するコラーゲンペプチドは、近年になり酵素分解、酸分解や発酵によりタンパク質を低分子化する技術が開発され、コラーゲン、ゼラチンを原料として低分子化し、余分な成分が取り除かれたものである。
一般的にコラーゲンペプチドといっても様々なものがあるが、本発明で使用できるものは、タンパク質の構成化合物であるアミノ酸が50残基以下でつながったものを指し、平均分子量が3000〜5000のものに限られる。このコラーゲンを分解して作るコラーゲンペプチドは、水に溶けやすく、ゲル化せず、極めて高い安定性と保水力を有する。
コラーゲンペプチドの平均分子量が3000以上としたのは、添加剤が食用となるタンパク質由来であっても、反応に有効な分子構造を多く持ち、味に変化を生じない程度の分子量を持つもので、アミノ酸をはじめとして分子量が小さすぎるものは化学反応自体には優位であるが、添加剤自体が悪味となり味覚に悪影響を及ぼすからである。また分子量が5000を超える大きいものは柿との混合操作に影響するため、化学反応に不均一が生じる上、製造過程での操作に負担がかかり添加量も多くなるので、上記範囲が好ましい。
渋味を持つ柿に対するコラーゲンペプチドの添加量は、その柿が含有する柿タンニンの量に応じて決められる。処理後の柿に残留する水溶性の柿タンニンの量が1.2mg/g以下になるようにコラーゲンペプチドで過不足無く反応させることにより、渋味が残らず、加熱による渋戻りを防止することができる。なお、処理後の柿に残留する水溶性の柿タンニンの量が1.2mg/gを超えると、強い渋味が残るので上記範囲に規定した。
処理する柿は、収穫したままの渋柿でも、アルコールで渋抜きした柿を用いても良い。この原料となる柿に、コラーゲンペプチドを柿の重量に対して0.5〜3.0%程度の少量を添加して、粉砕・混合することにより、短時間で渋抜きすることができる。
さらに、使用するコラーゲンペプチドは、摂取された場合に人体に必要なコラーゲンの原料となるアミノ酸やペプチドを効率的に補給することができるため皮膚の状態を改善する効果があるとされており、多く摂取したり、例え未反応なものを摂取したりしても人体に安全でむしろ有益である。
脱渋していない渋味を持つ柿に対してコラーゲンペプチドを加えることで脱渋をする試験を行った。コラーゲンペプチドは平均分子量3000のものを用い、柿の重量に対して0.2〜2.5%まで添加し、残留する柿タンニンの量を測定し、分析の数値では補えない微妙な渋味の判定については官能評価を併せて行ない、その結果を表3および図2に示した。柿タンニンの定量はFolin−Denis法により行なった。
表3の結果からは、当初、柿タンニンを10.1mg/g含む渋味を持つ柿に対してコラーゲンペプチドを0.7%以上添加することにより残留する柿タンニンの残留量が1.2mg/g以下となり、やや渋味が残るが、アルコールで脱渋した渋柿の1.4mg/gに比べれば渋味が少なく、柿の風味もほとんど変化がなかった。特にコラーゲンペプチドを1.7%以上添加したものは、ほとんど渋味は感じられなかった。コラーゲンペプチドを0.5%以下添加した比較例のものは、残留する柿タンニンの量が1.5mg/g以上で、渋かった。また図2のグラフからコラーゲンペプチドを1.5%以上添加しても柿タンニン残留量が1.1mg/g程度でほとんど効果は変わらず、本発明では柿タンニンの残留量が1.2mg/g以下のものに規定した。
次に渋戻りを防止する効果についての試験をした。アルコールで脱渋した渋柿にコラーゲンペプチドを0.5%、0.7%、1.0%添加して、粉砕した後、沸騰水中に浸漬して、中心温度が85℃に達してから30分間保持する加熱処理を行なった。この加熱後に柿に残留する柿タンニンの量を測定し、その結果を表4および図3に示した。
表4の結果からは、アルコール脱渋した渋味を持つ柿を加熱すると、比較例のように柿タンニンの量が2.1mg/gに増加するが、コラーゲンペプチドを加えることにより、加熱によっても残留する柿タンニンの量が1.2mg/g以下で渋戻りしないことが確認された。
本発明は、柿タンニンと類似の構造を持つタンニンを含む食品に対してもこの技術を応用することが可能であり、脱渋を伴う食品加工に広く利用できる可能性がある。
柿タンニンの主成分であるShibuolの分子構造である。 実施例で説明したコラーゲンペプチドの添加量と、残留する柿タンニン量との関係を示すグラフである。 アルコールで脱渋した渋柿にコラーゲンペプチドを添加して処理した柿に残留する柿タンニン量を示すグラフである。

Claims (2)

  1. 柿渋である柿タンニンを含む柿に、コラーゲンペプチドを加え、粉砕・混合して水溶化している柿タンニンを1.2mg/g以下に調整することを特徴とする柿の脱渋方法。
  2. コラーゲンペプチドの平均分子量が3000〜5000であること特徴とする請求項1記載の柿の脱渋方法。

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