本発明は、垂直共振器型面発光半導体レーザ装置および光送信モジュールおよび光伝送装置および光スイッチング方法に関する。
近年、光伝送技術は、幹線系伝送網だけでなく、LANやアクセス系、ホームネットワークにも展開されてきている。例えば、イーサネットにおいては、10Gbpsの伝送容量が開発されてきている。将来的には更なる伝送容量の増加が求められており、10Gbpsを超えた光伝送システムが期待されている。
伝送容量が10Gbps以下の光伝送用光源においては、半導体レーザの注入電流を変調することで出力光強度を変調する直接変調方式が主に用いられている。しかしながら、在来の半導体レーザを直接変調により10GHzを超えた変調周波数で動作させることは困難である。そこで、10Gbpsを超えた光伝送用光源としては、半導体レーザから出力された光を外部変調器で変調する方式が開発されている。しかし、外部変調方式では、モジュールサイズが大きく、また部品点数が多いためコストが高いというデメリットがある。そのため、外部変調器を備えた光伝送技術は、幹線系のような高価なシステムには用いられても、LANやホームネットワークのような一般ユーザが用いるシステムには不向きとなっている。
また、LANや光インターコネクション用の光源として、垂直共振器型面発光半導体レーザ装置(VCSEL)が用いられるようになってきている。VCSELは、従来の端面発光型半導体レーザに比べて、低消費電力であり、また製造工程で劈開が不用でウエハ状態で素子の検査が可能であるため、低コスト化に優れた特徴を有している。そのため、10Gbpsを超えた大容量の光LANや光インターコネクション用光源として、直接変調によるVCSELが期待されている。
VCSELを高速に変調する方法としては、これまで、例えば特許文献1,特許文献2,非特許文献4に示されているような報告がなされている。
すなわち、特許文献1には、VCSELの上部多層膜反射鏡の途中に光吸収層を設け、光吸収層に逆バイアスを加えて吸収係数を変化させる外部変調器付き面発光レーザが提案されており、特許文献1では、活性層への定常的な電流注入によって得られるレーザ光を、外部変調器の光吸収率を変化させて出力光をオン・オフしている。
また、特許文献2では、VCSELの一対の分布ブラッグ反射器の一方の屈折率を、電界あるいはキャリア注入あるいは光注入で変化させて、分布ブラッグ反射器の共振波長を変化させるようにしており、分布ブラッグ反射器の共振波長と発光波長との波長差が変化することにより、レーザ光強度を高速に変調している。
また、非特許文献1では、光学的に結合した2重共振器を有するVCSELにおいて、一方の共振器内には活性層を備え、他方の共振器にはGaAs吸収層を備えている。活性層には直流電流を加え、GaAs吸収層に逆バイアスをかけて、レーザ光出力強度を2GHzで変調(光スイッチング)している。
特開平5−152674号公報
特開平5−63301号公報
Appl.Phys.Lett. 76, pp.1975−1977 (2000)
上述した特許文献1に記載された素子においては、光吸収層の上下に多層膜反射鏡を設けて、その共鳴効果で光の吸収率を増加させて変調している。そのため、共鳴波長と一致する波長の光については吸収率を大きく変化させられるが、共鳴波長と異なる波長の光に対しては、光吸収層の層厚が薄いため吸収率の変化が小さくなっている。従って、上記素子を有効に動作させるためには、VCSELの発振波長と光吸収層の共鳴波長とを厳密に一致させる必要があり、作製が困難である。
また、特許文献2,非特許文献1に記載された素子は、いずれも活性層に注入する電流を一定にしておいて、共振器の吸収損失や屈折率を変化させることによって、レーザ光出力強度を変調している。このとき、素子内部の光出力の変化によって、誘導放出レートが変化するため、活性層に注入する電流は一定であっても、活性層内部のキャリア密度は増減している。そのため、活性層にキャリアを蓄積するための時間が必要であり、変調速度を律速する原因となっている。
本発明は、活性層のキャリア密度変動を抑制し、従来よりも高速変調可能な垂直共振器型面発光半導体レーザ装置および光送信モジュールおよび光伝送装置および光スイッチング方法を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、基板上に、第1の半導体多層膜反射鏡と、第2の半導体多層膜反射鏡と、第3の半導体多層膜反射鏡と、前記第1の半導体多層膜反射鏡と前記第2の半導体多層膜反射鏡との間に設けられた第1の共振器と、前記第2の半導体多層膜反射鏡と前記第3の半導体多層膜反射鏡との間に設けられた第2の共振器とを備える垂直共振器型面発光半導体レーザ装置において、
前記第1の共振器と前記第2の共振器のいずれか一方にのみに活性層が設けられ、他方には光吸収層が設けられ、
前記第1の共振器および前記第2の共振器は、レーザ発振波長の光学長に基づいて構成され、
前記活性層に対して電流を注入する電流注入手段と、前記光吸収層に対して電界を印加するための電界印加手段とがさらに設けられ、
前記第1の共振器と前記第2の共振器とが光学的に結合していることにより、異なる二つの共鳴波長を有しており、
前記活性層は、長波長側の共鳴波長よりも短波長側の共鳴波長の方が高い利得を有しており、
前記光吸収層は、電界を印加しない場合には二つの共鳴波長で吸収係数が小さく、電界を印加した場合には長波長側の共鳴波長よりも短波長側の共鳴波長の方が吸収係数が大きいことを特徴としている。
また、請求項2記載の発明は、基板上に、第1の半導体多層膜反射鏡と、第2の半導体多層膜反射鏡と、第3の半導体多層膜反射鏡と、前記第1の半導体多層膜反射鏡と前記第2の半導体多層膜反射鏡との間に設けられた第1の共振器と、前記第2の半導体多層膜反射鏡と前記第3の半導体多層膜反射鏡との間に設けられた第2の共振器とを備える垂直共振器型面発光半導体レーザ装置において、
前記第1の共振器と前記第2の共振器のいずれか一方にのみに活性層が設けられ、他方には光吸収層が設けられ、
前記第1の共振器および前記第2の共振器は、レーザ発振波長の光学長に基づいて構成され、
前記活性層に対して電流を注入する電流注入手段と、前記光吸収層に対して電界を印加するための電界印加手段とがさらに設けられ、
前記第1の共振器と前記第2の共振器とが光学的に結合していることにより、異なる二つの共鳴波長を有し、長波長側の共鳴波長よりも短波長側の共鳴波長の方が低い反射損失を有しており、
前記光吸収層は、電界を印加しない場合には二つの共鳴波長で吸収係数が小さく、電界を印加した場合には長波長側の共鳴波長よりも短波長側の共鳴波長の方が吸収係数が大きいことを特徴としている。
また、請求項3記載の発明は、請求項1または請求項2記載の垂直共振器型面発光半導体レーザ装置において、前記光吸収層は、多重量子井戸構造で構成されていることを特徴としている。
また、請求項4記載の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の垂直共振器型面発光半導体レーザ装置において、第1の半導体多層膜反射鏡及び第3の半導体多層膜反射鏡の導電型がn型であり、第2の半導体多層膜反射鏡の導電型がp型であることを特徴としている。
また、請求項5記載の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の垂直共振器型面発光半導体レーザ装置において、第1の半導体多層膜反射鏡及び第3の半導体多層膜反射鏡が低キャリア濃度層で構成されていることを特徴としている。
また、請求項6記載の発明は、請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の垂直共振器型面発光半導体レーザ装置において、活性層に注入する電流を狭窄する電流狭窄手段と、光吸収層に対して電界を印加する領域中において導電部の周囲を囲む高抵抗領域とを有していることを特徴としている。
また、請求項7記載の発明は、請求項6記載の垂直共振器型面発光半導体レーザ装置において、活性層に電流を狭窄する電流狭窄手段は、水平横方向に屈折率差を有する構造であり、光吸収層に対して電界を印加する領域中の高抵抗領域は、イオン注入により形成されたものであることを特徴としている。
また、請求項8記載の発明は、請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の垂直共振器型面発光半導体レーザ装置において、活性層及び光吸収層は、窒素と他のV族元素を含む混晶半導体で構成されていることを特徴としている。
また、請求項9記載の発明は、請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載の垂直共振器型面発光半導体レーザ装置において、二つの共鳴波長を掃引する波長掃引機構を有していることを特徴としている。
また、請求項10記載の発明は、請求項1乃至請求項9のいずれか一項に記載の垂直共振器型面発光半導体レーザ装置と、前記垂直共振器型面発光半導体レーザ装置から出射される二つの共鳴波長のいずれかを選択する波長選択手段とを備えていることを特徴とする光送信モジュールである。
また、請求項11記載の発明は、請求項1乃至請求項9のいずれか一項に記載の垂直共振器型面発光半導体レーザ装置と、光ファイバと、垂直共振器型面発光半導体レーザ装置から出射される二つの共鳴波長のいずれかを選択する波長選択手段と、受光素子とを有していることを特徴とする光伝送装置である。
また、請求項12記載の発明は、基板上に、第1の半導体多層膜反射鏡と、第2の半導体多層膜反射鏡と、第3の半導体多層膜反射鏡と、前記第1の半導体多層膜反射鏡と前記第2の半導体多層膜反射鏡との間に設けられた第1の共振器と、前記第2の半導体多層膜反射鏡と前記第3の半導体多層膜反射鏡との間に設けられた第2の共振器とを備える垂直共振器型面発光半導体レーザ装置において、
前記第1の共振器と前記第2の共振器のいずれか一方にのみに活性層が設けられ、他方には光吸収層が設けられ、
前記第1の共振器および前記第2の共振器は、レーザ発振波長の光学長に基づいて構成され、
前記活性層に対して電流を注入する電流注入手段と、前記光吸収層に対して電界を印加するための電界印加手段とがさらに設けられ、
前記第1の共振器と前記第2の共振器とが光学的に結合していることにより、異なる二つの共鳴波長を有しており、
前記活性層は、長波長側の共鳴波長よりも短波長側の共鳴波長の方が高い利得を有しており、
前記光吸収層は、電界を印加しない場合には二つの共鳴波長で吸収係数が小さく、電界を印加した場合には長波長側の共鳴波長よりも短波長側の共鳴波長の方が吸収係数が大きくなっており、
短波長側の共鳴波長の光を出射させるときには、光吸収層には電界を印加せず、長波長側の共鳴波長の光を出射させるときには、光吸収層に電界を印加して、垂直共振器型面発光半導体レーザ装置から出射される光の波長を切替えることを特徴とする光スイッチング方法である。
また、請求項13記載の発明は、基板上に、第1の半導体多層膜反射鏡と、第2の半導体多層膜反射鏡と、第3の半導体多層膜反射鏡と、前記第1の半導体多層膜反射鏡と前記第2の半導体多層膜反射鏡との間に設けられた第1の共振器と、前記第2の半導体多層膜反射鏡と前記第3の半導体多層膜反射鏡との間に設けられた第2の共振器とを備える垂直共振器型面発光半導体レーザ装置において、
前記第1の共振器と前記第2の共振器のいずれか一方にのみに活性層が設けられ、他方には光吸収層が設けられ、
前記第1の共振器および前記第2の共振器は、レーザ発振波長の光学長に基づいて構成され、
前記活性層に対して電流を注入する電流注入手段と、前記光吸収層に対して電界を印加するための電界印加手段とがさらに設けられ、
前記第1の共振器と前記第2の共振器とが光学的に結合していることにより、異なる二つの共鳴波長を有し、長波長側の共鳴波長よりも短波長側の共鳴波長の方が低い反射損失を有しており、
前記光吸収層は、電界を印加しない場合には二つの共鳴波長で吸収係数が小さく、電界を印加した場合には長波長側の共鳴波長よりも短波長側の共鳴波長の方が吸収係数が大きくなっており、
短波長側の共鳴波長の光を出射させるときには、光吸収層には電界を印加せず、長波長側の共鳴波長の光を出射させるときには、光吸収層に電界を印加して、垂直共振器型面発光半導体レーザ装置から出射される光の波長を切替えることを特徴とする光スイッチング方法である。
請求項1,請求項12記載の発明によれば、基板上に、第1の半導体多層膜反射鏡と、第2の半導体多層膜反射鏡と、第3の半導体多層膜反射鏡と、前記第1の半導体多層膜反射鏡と前記第2の半導体多層膜反射鏡との間に設けられた第1の共振器と、前記第2の半導体多層膜反射鏡と前記第3の半導体多層膜反射鏡との間に設けられた第2の共振器とを備える垂直共振器型面発光半導体レーザ装置において、
前記第1の共振器と前記第2の共振器のいずれか一方にのみに活性層が設けられ、他方には光吸収層が設けられ、
前記第1の共振器および前記第2の共振器は、レーザ発振波長の光学長に基づいて構成され、
前記活性層に対して電流を注入する電流注入手段と、前記光吸収層に対して電界を印加するための電界印加手段とがさらに設けられ、
前記第1の共振器と前記第2の共振器とが光学的に結合していることにより、異なる二つの共鳴波長を有しており、
前記活性層は、長波長側の共鳴波長よりも短波長側の共鳴波長の方が高い利得を有しており、
前記光吸収層は、電界を印加しない場合には二つの共鳴波長で吸収係数が小さく、電界を印加した場合には長波長側の共鳴波長よりも短波長側の共鳴波長の方が吸収係数が大きいので、
光吸収層に電界を加えない場合には、VCSELは短波長側の共鳴波長でレーザ発振し、一方、光吸収層に電界(逆バイアス)を印加すると、短波長側の共鳴波長に対して吸収係数が大きくなるため、VCSELの発振波長は長波長側の共鳴波長にシフトする。従って、光吸収層に加える電界(バイアス)を変調することにより、VCSELのレーザ光を波長変調することが可能となる。
光吸収層に電界を加えたときの吸収係数変化の速度は、半導体レーザの緩和振動周波数よりも高くできる。また、波長変調では常にレーザ発振状態が維持されており、活性層内のキャリア密度変化を抑制することができるため、一層高速に変調することができる。これにより、チャンネル当たりの伝送容量が10Gbpsを超える大容量伝送に適した光源を、外部変調器を用いない簡易な構成で実現することができる。
また、請求項2,請求項13記載の発明によれば、基板上に、第1の半導体多層膜反射鏡と、第2の半導体多層膜反射鏡と、第3の半導体多層膜反射鏡と、前記第1の半導体多層膜反射鏡と前記第2の半導体多層膜反射鏡との間に設けられた第1の共振器と、前記第2の半導体多層膜反射鏡と前記第3の半導体多層膜反射鏡との間に設けられた第2の共振器とを備える垂直共振器型面発光半導体レーザ装置において、
前記第1の共振器と前記第2の共振器のいずれか一方にのみに活性層が設けられ、他方には光吸収層が設けられ、
前記第1の共振器および前記第2の共振器は、レーザ発振波長の光学長に基づいて構成され、
前記活性層に対して電流を注入する電流注入手段と、前記光吸収層に対して電界を印加するための電界印加手段とがさらに設けられ、
前記第1の共振器と前記第2の共振器とが光学的に結合していることにより、異なる二つの共鳴波長を有し、長波長側の共鳴波長よりも短波長側の共鳴波長の方が低い反射損失を有しており、
前記光吸収層は、電界を印加しない場合には二つの共鳴波長で吸収係数が小さく、電界を印加した場合には長波長側の共鳴波長よりも短波長側の共鳴波長の方が吸収係数が大きいので、
光吸収層に電界を加えない場合には、VCSELは短波長側の共鳴波長でレーザ発振し、一方、光吸収層に電界(逆バイアス)を印加すると、短波長側の共鳴波長に対して吸収係数が大きくなるため、VCSELの発振波長は長波長側の共鳴波長にシフトする。従って、光吸収層に加える電界(バイアス)を変調することにより、VCSELのレーザ光を波長変調することが可能となる。
光吸収層に電界を加えたときの吸収係数変化の速度は、半導体レーザの緩和振動周波数よりも高くできる。また、波長変調では常にレーザ発振状態が維持されており、活性層内のキャリア密度変化を抑制することができるため、一層高速に変調することができる。これにより、チャンネル当たりの伝送容量が10Gbpsを超える大容量伝送に適した光源を、外部変調器を用いない簡易な構成で実現することができる。
また、請求項3記載の発明によれば、請求項1または請求項2記載の垂直共振器型面発光半導体レーザ装置(VCSEL)において、前記光吸収層は、多重量子井戸構造で構成されているので、バルク光吸収層に比べて急峻な光吸収端を得ることができる。従って、光吸収層に電界(逆バイアス)を印加したときに、短波長側の共鳴波長と長波長側の共鳴波長とで吸収係数の違いを大きくとることができ、波長変調が安定に動作する。
また、請求項4記載の発明によれば、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の垂直共振器型面発光半導体レーザ装置(VCSEL)において、第1の半導体多層膜反射鏡及び第3の半導体多層膜反射鏡の導電型がn型であり、第2の半導体多層膜反射鏡の導電型がp型であることにより、素子抵抗を下げて、VCSELの消費電力を低減することができる。
また、請求項5記載の発明によれば、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の垂直共振器型面発光半導体レーザ装置(VCSEL)において、第1の半導体多層膜反射鏡及び第3の半導体多層膜反射鏡が低キャリア濃度層で構成されていることにより、VCSELの内部吸収損失を減らして、VCSELの閾値電流低減や、外部量子効率を増加させることができる。
また、請求項6記載の発明によれば、請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の垂直共振器型面発光半導体レーザ装置(VCSEL)において、活性層に注入する電流を狭窄する電流狭窄手段と、光吸収層に対して電界を印加する領域中において導電部の周囲を囲む高抵抗領域とを有しているので、寄生容量を低減して光吸収層に印加する電界の電気的な変調帯域を向上させることができる。
また、請求項7記載の発明によれば、請求項6記載の垂直共振器型面発光半導体レーザ装置(VCSEL)において、活性層に電流を狭窄する電流狭窄手段は、水平横方向に屈折率差を有する構造であり、光吸収層に対して電界を印加する領域中の高抵抗領域は、イオン注入により形成されたものであり、活性層に注入する電流を狭窄する電流狭窄手段として水平横方向に屈折率差を有する構造を用いているので、VCSEL内部での回折損失が抑制され、閾値電流が低減される。また、光吸収層に対して電界を印加する領域中の高抵抗領域をイオン注入により形成したことにより、高抵抗領域の厚さを厚く形成することができ、寄生容量が一層低減され、光吸収層の電気的な変調帯域をさらに増加させることができる。
また、請求項8記載の発明によれば、請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の垂直共振器型面発光半導体レーザ装置(VCSEL)において、活性層及び光吸収層は、窒素と他のV族元素を含む混晶半導体で構成されており、活性層及び光吸収層を窒素と他のV族元素を含む混晶半導体で構成したことにより、石英光ファイバの伝送に適した長波長帯のVCSELをGaAs基板上に形成できる。そのため、半導体多層膜反射鏡として、高反射率で熱伝導性に優れたGaAs/AlGaAs系DBRを用いることができ、高性能のVCSELを形成することができる。
また、石英光ファイバの分散がゼロである波長1.31μm近傍でVCSELを動作させることができるため、レーザ光を波長変調動作させた場合でも、石英光ファイバ伝送後の波長分散による信号劣化を抑制することができる。
また、請求項9記載の発明によれば、請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載の垂直共振器型面発光半導体レーザ装置(VCSEL)において、二つの共鳴波長を掃引する波長掃引機構を有しているので、活性層の利得ピーク波長と共振モード波長との差や、多層膜反射鏡の高反射帯域と共振モード波長との差や、光吸収層の吸収端波長と共振モード波長との差を素子ごとに調節して最適化することが可能となり、変調動作を安定化させることができる。
また、請求項10記載の発明によれば、請求項1乃至請求項9のいずれか一項に記載の垂直共振器型面発光半導体レーザ装置(VCSEL)と、前記垂直共振器型面発光半導体レーザ装置(VCSEL)から出射される二つの共鳴波長のいずれかを選択する波長選択手段とを備えているので、単チャンネル当たり10Gbpsを超えて(例えば40Gbpsで)VCSELを直接電圧駆動し、レーザ光出力強度を高速変調することができる。従って、大容量伝送に用いられる光送信モジュールを小型,低コストで形成することができる。
また、請求項11記載の発明によれば、請求項1乃至請求項9のいずれか一項に記載の垂直共振器型面発光半導体レーザ装置(VCSEL)と、光ファイバと、垂直共振器型面発光半導体レーザ装置(VCSEL)から出射される二つの共鳴波長のいずれかを選択する波長選択手段と、受光素子とを有しているので、外部変調器を用いることなく単チャンネル当たりの伝送容量が10Gbpsを超える(例えば40Gbpsの)光信号伝送が可能である。
また、環境温度変化によるVCSELの発振波長の変化に比べて、十分大きな波長変調を行うことができるため、電子冷却素子による精密な温度制御が不要であり、VCSELを低コストで製造することができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
(第1の形態)
本発明の第1の形態は、基板上に、第1の半導体多層膜反射鏡、第1の共振器、第2の半導体多層膜反射鏡、第2の共振器、第3の半導体多層膜反射鏡を備え、第1の共振器と第2の共振器のいずれか一方には活性層が設けられ、他方には光吸収層が設けられ、活性層に対して電流を注入する電流注入手段と、光吸収層に対して電界を印加するための電界印加手段とを有している垂直共振器型面発光半導体レーザ装置(VCSEL)において、上記垂直共振器型面発光半導体レーザ装置(VCSEL)は、第1の共振器と第2の共振器とが光学的に結合していることにより、異なる二つの共鳴波長を有しており、前記活性層は、長波長側の共鳴波長よりも短波長側の共鳴波長の方が高い利得を有しており、前記光吸収層は、電界を印加しない場合には二つの共鳴波長で吸収係数が小さく、電界を印加した場合には長波長側の共鳴波長よりも短波長側の共鳴波長の方が吸収係数が大きいことを特徴としている。
本発明の第1の形態では、光吸収層に電界を加えない場合には、VCSELは短波長側の共鳴波長でレーザ発振し、一方、光吸収層に電界(逆バイアス)を印加すると、短波長側の共鳴波長に対して吸収係数が大きくなるため、VCSELの発振波長は長波長側の共鳴波長にシフトする。従って、光吸収層に加える電界(バイアス)を変調することにより、VCSELのレーザ光を波長変調することが可能となる。
光吸収層に電界を加えたときの吸収係数変化の速度は、半導体レーザの緩和振動周波数よりも高くできる。また、波長変調では常にレーザ発振状態が維持されており、活性層内のキャリア密度変化を抑制することができるため、一層高速に変調することができる。これにより、チャンネル当たりの伝送容量が10Gbpsを超える大容量伝送に適した光源を、外部変調器を用いない簡易な構成で実現することができる。
(第2の形態)
本発明の第2の形態は、基板上に、第1の半導体多層膜反射鏡、第1の共振器、第2の半導体多層膜反射鏡、第2の共振器、第3の半導体多層膜反射鏡を備え、第1の共振器と第2の共振器のいずれか一方には活性層が設けられ、他方には光吸収層が設けられ、活性層に対して電流を注入する電流注入手段と、光吸収層に対して電界を印加するための電界印加手段とを有している垂直共振器型面発光半導体レーザ装置において、上記垂直共振器型面発光半導体レーザ装置は、第1の共振器と第2の共振器とが光学的に結合していることにより、異なる二つの共鳴波長を有しており、長波長側の共鳴波長よりも短波長側の共鳴波長の方が低い反射損失を有しており、前記光吸収層は、電界を印加しない場合には二つの共鳴波長で吸収係数が小さく、電界を印加した場合には長波長側の共鳴波長よりも短波長側の共鳴波長の方が吸収係数が大きいことを特徴としている。
本発明の第2の形態では、光吸収層に電界を加えない場合には、VCSELは短波長側の共鳴波長でレーザ発振し、一方、光吸収層に電界(逆バイアス)を印加すると、短波長側の共鳴波長に対して吸収係数が大きくなるため、VCSELの発振波長は長波長側の共鳴波長にシフトする。従って、光吸収層に加える電界(バイアス)を変調することにより、VCSELのレーザ光を波長変調することが可能となる。
光吸収層に電界を加えたときの吸収係数変化の速度は、半導体レーザの緩和振動周波数よりも高くできる。また、波長変調では常にレーザ発振状態が維持されており、活性層内のキャリア密度変化を抑制することができるため、一層高速に変調することができる。これにより、チャンネル当たりの伝送容量が10Gbpsを超える大容量伝送に適した光源を、外部変調器を用いない簡易な構成で実現することができる。
(第3の形態)
本発明の第3の形態は、第1または第2の形態の垂直共振器型面発光半導体レーザ装置(VCSEL)において、前記光吸収層は、多重量子井戸構造で構成されていることを特徴としている。
本発明の第3の形態では、前記光吸収層は、多重量子井戸構造で構成されているので、バルク光吸収層に比べて急峻な光吸収端を得ることができる。従って、光吸収層に電界(逆バイアス)を印加したときに、短波長側の共鳴波長と長波長側の共鳴波長とで吸収係数の違いを大きくとることができ、波長変調が安定に動作する。
(第4の形態)
本発明の第4の形態は、第1乃至第3のいずれかの形態の垂直共振器型面発光半導体レーザ装置(VCSEL)において、第1の半導体多層膜反射鏡及び第3の半導体多層膜反射鏡の導電型がn型であり、第2の半導体多層膜反射鏡の導電型がp型であることを特徴としている。
本発明の第4の形態では、第1の半導体多層膜反射鏡及び第3の半導体多層膜反射鏡の導電型がn型であり、第2の半導体多層膜反射鏡の導電型がp型であることにより、素子抵抗を下げて、VCSELの消費電力を低減することができる。
(第5の形態)
本発明の第5の形態は、第1乃至第3のいずれかの形態の垂直共振器型面発光半導体レーザ装置(VCSEL)において、第1の半導体多層膜反射鏡及び第3の半導体多層膜反射鏡が低キャリア濃度層で構成されていることを特徴としている。
本発明の第5の形態では、第1の半導体多層膜反射鏡及び第3の半導体多層膜反射鏡が低キャリア濃度層で構成されていることにより、VCSELの内部吸収損失を減らして、VCSELの閾値電流低減や、外部量子効率を増加させることができる。
(第6の形態)
本発明の第6の形態は、第1乃至第5のいずれかの形態の垂直共振器型面発光半導体レーザ装置(VCSEL)において、活性層に注入する電流を狭窄する電流狭窄手段と、光吸収層に対して電界を印加する領域中において導電部の周囲を囲む高抵抗領域とを有していることを特徴としている。
本発明の第6の形態では、光吸収層に対して電界を印加する領域中において導電部の周囲を囲む高抵抗領域とを有しているので、寄生容量を低減して光吸収層に印加する電界の電気的な変調帯域を向上させることができる。
(第7の形態)
本発明の第7の形態は、第6の形態の垂直共振器型面発光半導体レーザ装置(VCSEL)において、活性層に電流を狭窄する電流狭窄手段は、水平横方向に屈折率差を有する構造であり、光吸収層に対して電界を印加する領域中の高抵抗領域は、イオン注入により形成されたものであることを特徴としている。
本発明の第7の形態では、活性層に注入する電流を狭窄する電流狭窄手段として水平横方向に屈折率差を有する構造を用いているので、VCSEL内部での回折損失が抑制され、閾値電流が低減される。また、光吸収層に対して電界を印加する領域中の高抵抗領域をイオン注入により形成したことにより、高抵抗領域の厚さを厚く形成することができ、寄生容量が一層低減され、光吸収層の電気的な変調帯域をさらに増加させることができる。
(第8の形態)
本発明の第8の形態は、第1乃至第7のいずれかの形態の垂直共振器型面発光半導体レーザ装置(VCSEL)において、活性層及び光吸収層は、窒素と他のV族元素を含む混晶半導体で構成されていることを特徴としている。
本発明の第8の形態では、活性層及び光吸収層を窒素と他のV族元素を含む混晶半導体で構成したことにより、石英光ファイバの伝送に適した長波長帯のVCSELをGaAs基板上に形成できる。そのため、半導体多層膜反射鏡として、高反射率で熱伝導性に優れたGaAs/AlGaAs系DBRを用いることができ、高性能のVCSELを形成することができる。
また、石英光ファイバの分散がゼロである波長1.31μm近傍でVCSELを動作させることができるため、レーザ光を波長変調動作させた場合でも、石英光ファイバ伝送後の波長分散による信号劣化を抑制することができる。
(第9の形態)
本発明の第9の形態は、第1乃至第8のいずれかの形態の垂直共振器型面発光半導体レーザ装置(VCSEL)において、二つの共鳴波長を掃引する波長掃引機構を有していることを特徴としている。
本発明の第9の形態では、二つの共鳴波長を掃引する波長掃引機構を有しているので、活性層の利得ピーク波長と共振モード波長との差や、多層膜反射鏡の高反射帯域と共振モード波長との差や、光吸収層の吸収端波長と共振モード波長との差を素子ごとに調節して最適化することが可能となり、変調動作を安定化させることができる。
(第10の形態)
本発明の第10の形態は、第1乃至第9のいずれかの形態の垂直共振器型面発光半導体レーザ装置(VCSEL)と、前記垂直共振器型面発光半導体レーザ装置(VCSEL)から出射される二つの共鳴波長のいずれかを選択する波長選択手段とを備えていることを特徴とする光送信モジュールである。
本発明の第10の形態では、第1乃至第9のいずれかの形態の垂直共振器型面発光半導体レーザ装置(VCSEL)と、前記垂直共振器型面発光半導体レーザ装置(VCSEL)から出射される二つの共鳴波長のいずれかを選択する波長選択手段とを備えているので、単チャンネル当たり10Gbpsを超えて(例えば40Gbpsで)VCSELを直接電圧駆動し、レーザ光出力強度を高速変調することができる。従って、大容量伝送に用いられる光送信モジュールを小型,低コストで形成することができる。
(第11の形態)
本発明の第11の形態は、第1乃至第9のいずれかの形態の垂直共振器型面発光半導体レーザ装置(VCSEL)と、光ファイバと、垂直共振器型面発光半導体レーザ装置(VCSEL)から出射される二つの共鳴波長のいずれかを選択する波長選択手段と、受光素子とを有していることを特徴とする光伝送装置である。
本発明の第11の形態では、第1乃至第9のいずれかの形態の垂直共振器型面発光半導体レーザ装置(VCSEL)と、光ファイバと、垂直共振器型面発光半導体レーザ装置(VCSEL)から出射される二つの共鳴波長のいずれかを選択する波長選択手段と、受光素子とを有しているので、外部変調器を用いることなく単チャンネル当たりの伝送容量が10Gbpsを超える(例えば40Gbpsの)光信号伝送が可能である。
また、環境温度変化によるVCSELの発振波長の変化に比べて、十分大きな波長変調を行うことができるため、電子冷却素子による精密な温度制御が不要であり、VCSELを低コストで製造することができる。
(第12の形態)
本発明の第12の形態は、基板上に、第1の半導体多層膜反射鏡、第1の共振器、第2の半導体多層膜反射鏡、第2の共振器、第3の半導体多層膜反射鏡を備え、第1の共振器と第2の共振器のいずれか一方には活性層が設けられ、他方には光吸収層が設けられている垂直共振器型面発光半導体レーザ装置(VCSEL)において、上記垂直共振器型面発光半導体レーザ装置(VCSEL)は、第1の共振器と第2の共振器とが光学的に結合していることにより、異なる二つの共鳴波長を有しており、前記活性層は、長波長側の共鳴波長よりも短波長側の共鳴波長の方が高い利得を有しており、前記光吸収層は、電界を印加しない場合には二つの共鳴波長で吸収係数が小さく、電界を印加した場合には長波長側の共鳴波長よりも短波長側の共鳴波長の方が吸収係数が大きくなっており、短波長側の共鳴波長の光を出射させるときには、光吸収層には電界を印加せず、長波長側の共鳴波長の光を出射させるときには、光吸収層に電界を印加して、垂直共振器型面発光半導体レーザ装置(VCSEL)から出射される光の波長を切替えることを特徴とする光スイッチング方法である。
本発明の第12の形態では、光吸収層に電界を加えない場合には、VCSELは短波長側の共鳴波長でレーザ発振し、一方、光吸収層に電界(逆バイアス)を印加すると、短波長側の共鳴波長に対して吸収係数が大きくなるため、VCSELの発振波長は長波長側の共鳴波長にシフトする。従って、光吸収層に加える電界(バイアス)を変調することにより、VCSELのレーザ光を波長変調することが可能となる。
光吸収層に電界を加えたときの吸収係数変化の速度は、半導体レーザの緩和振動周波数よりも高くできる。また、波長変調では常にレーザ発振状態が維持されており、活性層内のキャリア密度変化を抑制することができるため、一層高速に変調することができる。これにより、チャンネル当たりの伝送容量が10Gbpsを超える大容量伝送が可能になる。
(第13の形態)
本発明の第13の形態は、基板上に、第1の半導体多層膜反射鏡、第1の共振器、第2の半導体多層膜反射鏡、第2の共振器、第3の半導体多層膜反射鏡を備え、第1の共振器と第2の共振器のいずれか一方には活性層が設けられ、他方には光吸収層が設けられている垂直共振器型面発光半導体レーザ装置(VCSEL)において、上記垂直共振器型面発光半導体レーザ装置(VCSEL)は、第1の共振器と第2の共振器とが光学的に結合していることにより、異なる二つの共鳴波長を有しており、長波長側の共鳴波長よりも短波長側の共鳴波長の方が低い反射損失を有しており、前記光吸収層は、電界を印加しない場合には二つの共鳴波長で吸収係数が小さく、電界を印加した場合には長波長側の共鳴波長よりも短波長側の共鳴波長の方が吸収係数が大きくなっており、短波長側の共鳴波長の光を出射させるときには、光吸収層には電界を印加せず、長波長側の共鳴波長の光を出射させるときには、光吸収層に電界を印加して、垂直共振器型面発光半導体レーザ装置(VCSEL)から出射される光の波長を切替えることを特徴とする光スイッチング方法である。
本発明の第13の形態では、光吸収層に電界を加えない場合には、VCSELは短波長側の共鳴波長でレーザ発振し、一方、光吸収層に電界(逆バイアス)を印加すると、短波長側の共鳴波長に対して吸収係数が大きくなるため、VCSELの発振波長は長波長側の共鳴波長にシフトする。従って、光吸収層に加える電界(バイアス)を変調することにより、VCSELのレーザ光を波長変調することが可能となる。
光吸収層に電界を加えたときの吸収係数変化の速度は、半導体レーザの緩和振動周波数よりも高くできる。また、波長変調では常にレーザ発振状態が維持されており、活性層内のキャリア密度変化を抑制することができるため、一層高速に変調することができる。これにより、チャンネル当たりの伝送容量が10Gbpsを超える大容量伝送が可能になる。
図1は、本発明の実施例1の垂直共振器型面発光半導体レーザ装置(VCSEL)を示す図である。図1を参照すると、第1導電型の半導体単結晶基板101上には、第1導電型の下部分布ブラッグ反射鏡(DBR)102、第1のスペーサ層103、活性層104、第2のスペーサ層105、第2導電型のDBR 106、第3のスペーサ層107、光吸収層108、第4のスペーサ層109、第1導電型の上部DBR110が順次に積層されている。
ここで、DBRは、高屈折率層と低屈折率層とが発振波長の4分の1の光学長で交互に積層されて形成されている。第1導電型の下部DBR102と第2導電型のDBR106とではさまれた領域は、発振波長の1波長分の光学長になる厚さとなっており、第1の共振器を構成している。また、第2導電型のDBR106と第1導電型の上部DBR110とではさまれた領域は、発振波長の1波長分の光学長になる厚さとなっており、第2の共振器を構成している。第1の共振器と第2の共振器は共振器長を等しくしているが、間に設けられた第2導電型のDBR106の積層周期数を、例えば10周期以下と薄くすることにより、第1の共振器と第2の共振器は光学的に結合して、二つの共鳴波長を形成している。
また、上記積層構造の表面から第2導電型のDBR106の途中までエッチングされて、メサ構造が形成されている。第1導電型の上部DBR110の表面には、光出射部を除いて第1の電極111が形成されている。そして、メサ構造の底面には、第2の電極112が形成されている。また、基板101の裏面には、第3の電極113が形成されている。
第2の電極112と第3の電極113との間に順方向電流を流すことにより、活性層104にキャリアが注入されて発光する。また、第1の電極111と第2の電極112との間に逆方向バイアスを加えることにより、フランツ・ケルディッシュ効果で光吸収層の吸収端が長波長側にシフトする。
以下、本実施例1の構成を、より具体的な例を用いて説明する。第1導電型の半導体単結晶基板101はp型GaAs基板で構成されており、第1導電型の下部DBR102は、p型Al0.2Ga0.8Asとp型AlAsとを交互に30.5周期積層して形成されている。また、第1のスペーサ層103は、Al0.2Ga0.8Asで形成され、活性層104は、GaAs/Al0.2Ga0.8As多重量子井戸構造で形成され、第2のスペーサ層105は、Al0.2Ga0.8Asで形成されている。また、第2導電型のDBR106は、n型Al0.2Ga0.8Asとn型AlAsとを交互に8.5周期積層して形成されている。また、第3のスペーサ層107は、Al0.2Ga0.8Asで形成され、光吸収層108は、Al0.08Ga0.92Asで形成され、第4のスペーサ層109は、Al0.2Ga0.8Asで形成され、第1導電型の上部DBR110は、p型Al0.2Ga0.8Asとp型AlAsとを交互に15周期積層して形成されている。
本実施例1では、第1の共振器と第2の共振器とが光学的に結合して形成された二つの共鳴波長は、例えば850nmと860nmとになっている。光吸収層108は、電界を加えない場合、長波長側の共鳴波長(860nm)と短波長側の共鳴波長(850nm)の両方に対してほぼ透明となっているが、活性層104の利得ピーク波長は、短波長側の共鳴波長(850nm)以下になるように構成されている(図10(a)参照)。従って、活性層104の利得は、長波長側の共鳴波長(860nm)よりも短波長側の共鳴波長(850nm)の方が高くなっているため、通常、VCSELは短波長側の共鳴波長(850nm)でレーザ発振する。
これに対し、光吸収層108に逆バイアスを印加すると、光吸収層108の吸収端が長波長側にシフトすることにより、短波長側の共鳴波長(850nm)に対して吸収係数が増加する。一方、長波長側の共鳴波長(860nm)では、短波長側の共鳴波長(850nm)に比べて吸収係数が小さく、ほぼ透明のままとなる(図10(b)参照)。従って、短波長側の共鳴波長(850nm)においては、VCSELの内部吸収損失が増加してしまうため、VCSELの発振波長は長波長側の共鳴波長(860nm)にシフトする。
これより、本実施例1のVCSELにおいては、活性層104に注入する電流を閾値電流よりも高い値で一定にしておき、光吸収層108に加えるバイアスを変調することにより、VCSELの発振波長を短波長側の共鳴波長(850nm)と長波長側の共鳴波長(860nm)との間で、高速に波長変調(スイッチング)することが可能となる。
光吸収層108に電界を加えたときの吸収係数変化の速度は、半導体レーザの緩和振動周波数よりも高く、40GHz以上で高速変調させることが可能である。さらに、本実施例1では、レーザ光出力強度ではなく発振波長を変調しているため、常にレーザ発振状態が維持されており、活性層内のキャリア密度変化を抑制することができる。そのため、活性層にキャリアを蓄積する時間が不要であり、一層高速に変調することができる。
以上の動作により、本実施例1では、チャンネル当たりの伝送容量が10Gbpsを超える大容量伝送に適したVCSELを、外部変調器を用いない1つの素子で形成することができる(すなわち、簡易な構成で実現することができる)。
光吸収層108の吸収端(エネルギーバンドギャップに対応)は、電界を印加しない場合には短波長側の共鳴波長よりも短波長に位置し、電界を印加した場合には短波長側の共振モードと長波長側の共振モードとの間に位置することが好ましい。この場合に、電界印加による光吸収係数の変化を最も大きくすることができる。
電界を印加しない場合の光吸収層108の吸収端は短波長側の共鳴波長よりも短波長に位置するが、光吸収層108の吸収端と短波長側の共鳴波長に対応するエネルギー差は30meV以下が好ましい。これにより、光吸収層108に印加する電圧を3V以下の低電圧で駆動することができる。
また、従来の電界吸収型光変調器は連続的にレーザ発振している光を光吸収層で吸収することで光強度を減衰させている。そのため、光強度変調のS/N比を大きくとるためには、光吸収層の光吸収係数を大きくしたり、光吸収領域を長くする必要があった。これに対し、本発明では、短波長側の共鳴波長よりも長波長側の共鳴波長を優先して発振させられる程度に光吸収させることで動作する。従って、光吸収係数の変化を従来よりも小さくすることができ、低い電圧で変調動作させることが可能である。
なお、前述の特許文献2においても、VCSELの一対の分布ブラッグ反射器の一方の屈折率を、電界あるいはキャリア注入あるいは光注入で変化させることで、分布ブラッグ反射器の共振波長を変化させている。しかしながら、上記屈折率の変化量は微量であるため、波長シフト量を数nm以下でしか実現することができない。これに対し、本実施例1では、二つの共振器が光学的に結合した二つの共鳴波長間で波長スッチングを行うため、波長変化量を、例えば10〜20nmと大きくとることができる。従って、環境温度変化によるVCSEL発振波長の変化に比べて、十分大きな波長変調を行うことができ、VCSELをペルチェ素子等で温度制御する必要がない。
なお、本実施例1においては、活性層104を基板側の第1の共振器内に設け、光吸収層108を光出射側の第2の共振器内に設けているが、本発明の原理上、活性層104を第2の共振器内に設け、光吸収層108を第1の共振器内に設けることも可能である。
図2は、本発明の実施例2の垂直共振器型面発光半導体レーザ装置(VCSEL)を示す図である。図2を参照すると、第1導電型の半導体単結晶基板201上には、第1導電型の下部DBR202、第1のスペーサ層203、活性層204、第2のスペーサ層205、第2導電型のDBR206、第3のスペーサ層207、光吸収層208、第4のスペーサ層209、第1導電型の上部DBR210が順次に積層されている。
ここで、積層構成は、実施例1と基本的に同様である。
以下、本実施例2の構成を、より具体的な例を用いて説明する。第1導電型の半導体単結晶基板201はp型GaAs基板で構成されており、第1導電型の下部DBR202は、p型GaAsとp型AlAsとを交互に30.5周期積層して形成されている。また、第1のスペーサ層203は、Al0.2Ga0.8Asで形成され、活性層204は、GaInAs/Al0.2Ga0.8As多重量子井戸構造で形成され、第2のスペーサ層205は、Al0.2Ga0.8Asで形成されている。また、第2導電型のDBR206は、n型GaAsとn型AlAsとを交互に8.5周期積層して形成されている。また、第3のスペーサ層207は、Al0.2Ga0.8Asで形成され、光吸収層208は、GaAsで形成され、第4のスペーサ層209は、Al0.2Ga0.8Asで形成され、第1導電型の上部DBR210はp型GaAsとp型AlAsとを交互に15周期積層して形成されている。
本実施例2では、第1の共振器と第2の共振器とが光学的に結合して形成された二つの共鳴波長は、例えば900nmと910nmとになっている。活性層204の利得は、短波長側の共鳴波長(900nm)と長波長側の共鳴波長(910nm)とでほぼ同じとなっている。
また、光吸収層208の吸収端は、電界を加えない場合、短波長側の共鳴波長(900nm)よりも短波長側に位置しており、長波長側の共鳴波長(910nm)と短波長側の共鳴波長(900nm)の両方に対して透明となっているが、第1導電型の上部DBR210の反射中心波長は、短波長側の共鳴波長(900nm)よりも短波長側となっている。従って、第1導電型の上部DBR210の反射率は、長波長側の共鳴波長(910nm)よりも短波長側の共鳴波長(900nm)の方が高くなっている(図11(a)参照)。そのため、長波長側の共鳴波長(910nm)よりも短波長側の共鳴波長(900nm)の方が低い反射損失を有しており、通常、VCSELは短波長側の共鳴波長(900nm)でレーザ発振する。
これに対し、光吸収層208に逆バイアスを印加すると、光吸収層208の吸収端が長波長側にシフトすることにより、短波長側の共鳴波長(900nm)に対しては吸収係数が大きくなり、長波長側の共鳴波長(910nm)に対しては透明のままとなる(図11(b)参照)。従って、短波長側の共鳴波長(900nm)においては、VCSELの内部吸収損失が増加してしまうため、VCSELの発振波長は長波長側の共鳴波長(910nm)にシフトする。
これより、本実施例2のVCSELにおいては、活性層204に注入する電流を閾値電流よりも高い値で一定にしておき、光吸収層208に加えるバイアスを変調することにより、VCSELの発振波長を短波長側の共鳴波長(900nm)と長波長側の共鳴波長(910nm)との間で、高速に波長変調(スイッチング)することが可能となる。
本実施例2では、第1導電型の上部DBR210の反射中心波長を短波長側の共鳴波長(900nm)よりも短波長になるように設定しているが、第1導電型の下部DBR202、または第2導電型のDBR206の反射中心波長を短波長側の共鳴波長よりも短波長にすることによって、同様に長波長側の共鳴波長よりも短波長側の共鳴波長のほうが低い反射損失となるように構成することも可能である。
また、活性層204の利得を短波長側の共鳴波長と長波長側の共鳴波長とでほぼ同じとなるようにするために、利得ピーク波長が異なる量子井戸層を複数積層した多重量子井戸構造で活性層204を構成することも可能である。
図3は、本発明の実施例3の垂直共振器型面発光半導体レーザ装置(VCSEL)を示す図である。図3を参照すると、第1導電型の半導体単結晶基板301上には、第1導電型の下部DBR302、第1のスペーサ層303、活性層304、第2のスペーサ層305、第2導電型のDBR306、第3のスペーサ層307、量子井戸光吸収層308、第4のスペーサ層309、第1導電型の上部DBR310が順次に積層されている。
ここで、積層構成は、実施例1と基本的に同様である。
以下、本実施例3の構成を、より具体的な例を用いて説明する。第1導電型の半導体単結晶基板301はp型GaAs基板で構成されており、第1導電型の下部DBR302は、p型GaAsとp型AlAsとを交互に30.5周期積層して形成されている。また、第1のスペーサ層303は、Al0.2Ga0.8Asで形成され、活性層304は、GaInAs/Al0.2Ga0.8As多重量子井戸構造で形成され、第2のスペーサ層305は、Al0.2Ga0.8Asで形成されている。また、第2導電型のDBR306は、n型GaAsとn型AlAsとを交互に8.5周期積層して形成されている。また、第3のスペーサ層307は、Al0.2Ga0.8Asで形成され、量子井戸光吸収層308は、GaInAs/Al0.2Ga0.8As多重量子井戸構造で形成され、第4のスペーサ層309は、Al0.2Ga0.8Asで形成され、第1導電型の上部DBR310は、p型GaAsとp型AlAsとを交互に15周期積層して形成されている。
本実施例3では、第1の共振器と第2の共振器とが光学的に結合して形成された二つの共鳴波長は、例えば970nmと990nmとになっている。光吸収層308の吸収端は、電界を加えない場合、短波長側の共鳴波長(970nm)よりも短波長側に位置しており、長波長側の共鳴波長(990nm)と短波長側の共鳴波長(970nm)の両方に対して透明となっているが、活性層304の利得ピーク波長は、短波長側の共鳴波長(970nm)以下になるように構成されている。従って、活性層304の利得は、長波長側の共鳴波長(990nm)よりも短波長側の共鳴波長(970nm)の方が高くなっているため、通常、VCSELは短波長側の共鳴波長(970nm)でレーザ発振する。
これに対し、光吸収層308に逆バイアスを印加すると、光吸収層308の吸収端は、量子閉じ込めシュタルク効果により、短波長側の共鳴波長(970nm)と長波長側の共鳴波長(990nm)との間にシフトする。これにより、短波長側の共鳴波長(970nm)に対しては吸収係数が大きくなり、長波長側の共鳴波長(990nm)に対しては透明のままとなる。従って、短波長側の共鳴波長(970nm)においては、VCSELの内部吸収損失が増加してしまうため、VCSELの発振波長は長波長側の共鳴波長(990nm)にシフトする。
これより、本実施例3のVCSELにおいては、活性層304に注入する電流を閾値電流よりも高い値で一定にしておき、光吸収層308に加えるバイアスを変調することにより、VCSELの発振波長を短波長側の共鳴波長(970nm)と長波長側の共鳴波長(990nm)との間で、高速に波長変調(スイッチング)することが可能となる。
本実施例3では、光吸収層308として、GaInAs/Al0.2Ga0.8As多重量子井戸構造を用いていることを特徴としている。光吸収層308として、GaInAs/Al0.2Ga0.8As多重量子井戸構造を用いるときには、GaInAs量子井戸層に励起子が閉じ込められることで、逆バイアスを加えた場合でも、バルク光吸収層に比べて急峻な光吸収端を得ることができる。従って、光吸収層308に逆バイアスを印加したときに、短波長側の共鳴波長(970nm)と長波長側の共鳴波長(990nm)とで吸収係数の違いを大きくとることが可能となる(図12参照)。
なお、本実施例3では、光吸収層として、井戸層に歪を含むGaInAs/Al0.2Ga0.8As多重量子井戸構造を用いたが、歪を含まない多重量子井戸構造や、井戸層と障壁層が反対方向の歪を有する歪補償構造や、単一量子井戸構造を用いることも可能である。
図4は、本発明の実施例4の垂直共振器型面発光半導体レーザ装置(VCSEL)を示す図である。図4を参照すると、n型の半導体単結晶基板401上には、n型の下部DBR402、第1のスペーサ層403、活性層404、第2のスペーサ層405、p型のDBR406、第3のスペーサ層407、光吸収層408、第4のスペーサ層409、n型の上部DBR410が順次に積層されている。
以下、本実施例4の構成を、より具体的な例を用いて説明する。n型の半導体単結晶基板401はn型GaAs基板で構成されており、n型の下部DBR402は、n型GaAsとn型AlAsとを交互に30.5周期積層して形成されている。また、第1のスペーサ層403は、Al0.2Ga0.8Asで形成され、活性層404は、GaInAs/Al0.2Ga0.8As多重量子井戸構造で形成され、第2のスペーサ層405は、Al0.2Ga0.8Asで形成されている。また、p型のDBR406は、p型GaAsとp型AlAsとを交互に8.5周期積層して形成されている。また、第3のスペーサ層407は、Al0.2Ga0.8Asで形成され、光吸収層408は、GaInAs/Al0.2Ga0.8As多重量子井戸構造で形成され、第4のスペーサ層409は、Al0.2Ga0.8Asで形成され、n型の上部DBR410は、n型GaAsとn型AlAsとを交互に15周期積層して形成している。
本実施例4の特徴は、基板の導電型をn型とし、npn構造とした点である。この点を除いて、実施例3と構成,動作は同様である。
下部DBR402及び上部DBR410は、VCSELの閾電流を低減するために、高反射率にする必要があるため、DBRを構成する高屈折率層と低屈折率層の積層周期が多くなる。一方、第1の共振器と第2の共振器の間に設けられたDBR406は、二つの共振器が光学的に結合する必要があるため、積層周期を10周期以下と少なくする必要がある。
屈折率の異なる半導体層を積層すると界面にヘテロ障壁が形成される。半導体層において、正孔の有効質量は電子の有効質量よりも約1桁大きいため、正孔はヘテロ障壁をトンネルすることが困難である。そのため、p型半導体を積層したDBRの抵抗は、n型半導体層を積層したDBRよりも抵抗が高くなる。
そこで、本実施例4では、高反射率が必要であるために積層数が多くなる基板に隣接した下部DBR402及び上部DBR410をn型で形成することにより、素子の抵抗を低減させている。これにより、VCSELの消費電力を低減することができる。
図5は、本発明の実施例5の垂直共振器型面発光半導体レーザ装置(VCSEL)を示す図である。図5を参照すると、単結晶基板501上には、低キャリア濃度の下部DBR502、第1のスペーサ層503、活性層504、第2のスペーサ層505、p型またはn型のDBR506、第3のスペーサ層507、光吸収層508、第4のスペーサ層509、低キャリア濃度の上部DBR510が順次に積層されている。
上記積層構造の表面から第4のスペーサ層509の表面までエッチングされて、第1のメサ構造が形成されている。さらに、第1のメサ構造よりも大きいサイズで、p型またはn型のDBR506の途中までエッチングされて、第2のメサ構造が形成されている。さらに、第2のメサ構造よりも大きいサイズで、第1のスペーサ層503までエッチングされて、第3のメサ構造が形成されている。
そして、第1のメサ構造底面(第2のメサ構造最表面)には、第1の電極111が形成されている。また、第2のメサ構造底面(第3のメサ構造最表面)には、第2の電極112が形成されている。また、第3のメサ構造底面には、第3の電極113が形成されている。
第2の電極112と第3の電極113との間に順方向電流を流すことにより、活性層504にキャリアが注入されて発光する。また、第1の電極111と第2の電極112との間に逆方向バイアスを加えることにより、光吸収層508の吸収端が長波長側にシフトする。
以下、本実施例5の構成を、より具体的な例を用いて説明する。単結晶基板501は半絶縁性GaAs基板で構成されており、下部DBR502は、低キャリア濃度GaAsと低キャリア濃度AlAsとを交互に30.5周期積層して形成されている。また、第1のスペーサ層503は、p型Al0.2Ga0.8Asで形成され、活性層504は、GaInAs/Al0.2Ga0.8As多重量子井戸構造で形成され、第2のスペーサ層505は、Al0.2Ga0.8Asで形成されている。また、DBR506は、n型GaAsとn型AlAsとを交互に8.5周期積層して形成されている。また、第3のスペーサ層507は、Al0.2Ga0.8Asで形成され、光吸収層508は、GaInAs/Al0.2Ga0.8As多重量子井戸構造で形成され、第4のスペーサ層509は、n型Al0.2Ga0.8Asで形成され、上部DBR510は、低キャリア濃度GaAsと低キャリア濃度AlAsとを交互に15周期積層して形成されている。
本実施例5の特徴は、上部DBRと下部DBRを低キャリア濃度層とし、上部DBRと下部DBR層中を電気が通らない構造とした点である。第1の電極111は、n型の第4スペーサ層509上に形成されており、第3の電極113はn型の第1スペーサ層503中に形成されている。この点を除いて、実施例3と構成,動作は同様である。
DBRを構成する半導体層のキャリア濃度が増加すると、自由キャリアによる光吸収が増加する。さらにp型半導体層では、正孔濃度が増加すると、自由キャリア吸収に加えて、価電子帯間吸収やオージェ再結合による光吸収が増加してしまう。
基板に隣接した下部DBR502及び最表面側の上部DBR510は、VCSELの閾電流を低減するために、高反射率にする必要があり、多層膜反射鏡の積層周期数を多くしている。積層周期数が多い下部DBR502及び上部DBR510において、各半導体層のキャリア濃度を低減させることにより、VCSELの内部吸収損失を効果的に低減することができる。従って、VCSELの閾電流をさらに低減でき、また外部量子効率も増加させることができる。
低キャリア濃度層のキャリア濃度としては、半導体層中の自由キャリア吸収を10(1/cm)未満に低減して、光吸収損失の影響を抑制できるようにするために、1E+18(1/cm3)以下であることが望ましい。
低キャリア濃度層は、半導体層の結晶成長時にドーパントを供給せずに成長することにより形成することができる。あるいは、ドナーとアクセプター濃度を制御して補償し、キャリア濃度を低減することによって形成したり、キャリアを不活性化する不純物を添加して形成することも可能である。
図6は、本発明の実施例6の垂直共振器型面発光半導体レーザ装置(VCSEL)を示す図である。図6を参照すると、第1導電型の半導体単結晶基板601上には、第1導電型の下部DBR602、Alを含む半導体層611、第1のスペーサ層603、光吸収層604、第2のスペーサ層605、第2導電型のDBR606、第3のスペーサ層607、活性層608、第4のスペーサ層609、Alを含む半導体層612、第1導電型の上部DBR610が順次に積層されている。
上記積層構造の表面から第2導電型のDBR606の途中までエッチングされて、第1のメサ構造が形成されている。また、第1のメサ構造よりも大きいサイズで、第1導電型の下部DBR602の途中までエッチングされて、第2のメサ構造が形成されている。
第1のメサ構造及び第2のメサ構造の側面から、Alを含む半導体層611,612が選択的に酸化されてAl酸化層613が形成されている。
第1導電型の上部DBR610の表面には、光出射部を除いて第1の電極111が形成されている。そして、第1のメサ構造底面(第2のメサ構造最表面)には、第2の電極112が形成されている。また、基板101裏面には、第3の電極113が形成されている。
第1の電極111と第2の電極112との間に順方向電流を流すことにより、活性層608にキャリアが注入されて発光する。また、第2の電極112と第3の電極113との間に逆方向バイアスを加えることにより、光吸収層604の吸収端が長波長側にシフトする。
以下、本実施例6の構成を、より具体的な例を用いて説明する。第1導電型の半導体単結晶基板601はp型GaAs基板で構成されており、下部DBR602は、p型GaAsとp型Al0.9Ga0.1Asとを交互に30.5周期積層して形成されている。また、Alを含む半導体層611は、p型AlAsで形成され、第1のスペーサ層603は、Al0.2Ga0.8Asで形成され、光吸収層604は、GaInAs/Al0.2Ga0.8As多重量子井戸構造で形成され、第2のスペーサ層605は、Al0.2Ga0.8Asで形成されている。また、第2導電型のDBR606は、n型GaAsとn型Al0.9Ga0.1Asとを交互に8.5周期積層して形成されている。また、第3のスペーサ層607は、Al0.2Ga0.8Asで形成され、活性層608は、GaInAs/Al0.2Ga0.8As多重量子井戸構造で形成され、第4のスペーサ層609は、Al0.2Ga0.8Asで形成され、Alを含む半導体層612は、p型AlAsで形成され、上部DBR610は、p型GaAsとp型Al0.9Ga0.1Asとを交互に15周期積層して形成されている。
p型AlAs層612が選択的に酸化されたAl酸化領域613は絶縁層となっており、第1の電極111と第2の電極112との間に順方向電流を流してキャリアを活性層608に注入するときに、キャリアをメサ構造の中央部に狭窄する働きをしている。また、p型AlAs層611が選択的に酸化されたAl酸化領域613は容量を形成するが、直列に接続されるため、系全体の容量は低下する。従って、電極112と電極113との間にバイアスを印加して光吸収層604にかかる電圧を変調させる場合に、CR時定数を減少させて、光吸収層604に変調電圧を印加するときの電気的な変調帯域を高くすることができる。
なお、p型AlAs層611を全面的に酸化してしまうと光吸収層604にかかる電界が低下してしまうため、電極112と電極113との間に外部から印加したバイアスが同じでも光吸収層の吸収変化が小さくなってしまう。従って、p型AlAs層611において、非酸化領域を中央部に形成する必要がある。
本実施例6においては、活性層に対する電流狭窄手段、及び光吸収層に対して電界を印加する領域に設けた絶縁領域として、Al酸化層を用いているが、この他に、特定の半導体層を側面から選択的にサイドエッチングしたエアギャップ構造や、イオン注入により形成した高抵抗領域を用いることも可能である。
図7は、本発明の実施例7の垂直共振器型面発光半導体レーザ装置(VCSEL)を示す図である。図7を参照すると、第1導電型の半導体単結晶基板701上には、第1導電型の下部DBR702、第1のスペーサ層703、光吸収層704、第2のスペーサ層705、第2導電型のDBR706、Alを含む半導体層711、第3のスペーサ層707、活性層708、第4のスペーサ層709、第1導電型の上部DBR710が順次に積層されている。
上記積層構造の表面から第2導電型のDBR706の途中までエッチングされて、メサ構造が形成されている。そして、メサ構造の側面から、Alを含む半導体層711が選択的に酸化されてAl酸化層712が形成されている。また、メサ構造底面からイオン注入を行い、メサ部周辺の光吸収層704近傍に高抵抗領域713が形成されている。
また、第1導電型の上部DBR110表面には、光出射部を除いて第1の電極111が形成されている。そして、メサ構造底面には、第2の電極112が形成されている。また、基板101裏面には、第3の電極113が形成されている。
以下、本実施例7の構成を、より具体的な例を用いて説明する。第1導電型の半導体単結晶基板701はn型GaAs基板で構成されており、下部DBR702は、n型GaAsとn型Al0.9Ga0.1Asとを交互に30.5周期積層して形成されている。第1のスペーサ層703は、Al0.2Ga0.8Asで形成され、光吸収層704は、GaInAs/Al0.2Ga0.8As多重量子井戸構造で形成され、第2のスペーサ層705は、Al0.2Ga0.8Asで形成されている。また、Alを含む半導体層711は、p型AlAsで形成され、第2導電型のDBR706は、p型GaAsとp型Al0.9Ga0.1Asとを交互に8.5周期積層して形成されている。また、第3のスペーサ層707は、Al0.2Ga0.8Asで形成され、活性層708は、GaInAs/Al0.2Ga0.8As多重量子井戸構造で形成され、第4のスペーサ層709は、Al0.2Ga0.8Asで形成され、上部DBR710は、n型GaAsとn型Al0.9Ga0.1Asとを交互に15周期積層して形成されている。
本実施例7においては、活性層708に注入する電流を狭窄する手段として、Alを含む半導体層711を側面から選択的に酸化するAl酸化狭窄構造が用いられている。Al酸化狭窄構造では、Alを含む半導体層711を酸化することで、絶縁体であるAl酸化層712が形成されるため、酸化された領域は電流が流れなくなる。これにより、電流を酸化されていない領域に狭窄することができる。
また、酸化されていない領域は酸化された領域よりも屈折率が高くなるため、横方向に屈折率差が生じる。そのため、水平横方向に対して、光を酸化されていない領域に閉じ込める作用を有しており、VCSEL内部での回折損失が抑制される。これにより、VCSELの閾値電流が低減される。
また、光吸収層704に対して電界を印加する領域中に中央部を除いて設けられる半絶縁領域には、イオン注入により形成された高抵抗領域713が用いられている。プロトンや酸素、Cr,Fe等の重金属を半導体層にイオン注入することにより、注入された領域を高抵抗化することができ、電界をイオン注入していない領域に狭窄することができる。イオン注入により形成された高抵抗領域713は、Al酸化狭窄構造に比べて、積層方向の厚さが1桁以上厚くなる。従って、高抵抗領域713に形成される容量は、Al酸化狭窄構造を用いた場合に比べて低減される。これにより、光吸収層704に印加する電界を変調するときのCR時定数が低減され、電気的な変調帯域を増加させることができる。
なお、本実施例7においては、活性層708に注入する電流を狭窄する手段として、Al酸化狭窄構造を用いているが、水平横方向に屈折率差が形成される電流狭窄手段であればよい。水平方向に屈折率差が形成される電流狭窄手段としては、Alを含む半導体層を側面から選択的に酸化するAl酸化狭窄構造の他に、例えば特定の半導体層を側面から選択的にサイドエッチングするエアギャップ構造等がある。エアギャップ構造では、電流はサイドエッチングされていない半導体層にのみ流れることで狭窄される。そして、エッチングされていない半導体層は、エッチングされた領域(空気,真空など)よりも屈折率が高くなるため、光を水平横方向に閉じ込める作用を有する。
図8は、本発明の実施例8の垂直共振器型面発光半導体レーザ装置(VCSEL)を示す図である。図8を参照すると、第1導電型の半導体単結晶基板801上には、第1導電型の下部DBR802、第1のスペーサ層803、光吸収層804、第2のスペーサ層805、第2導電型のDBR806、Alを含む半導体層711、第3のスペーサ層807、窒素と他のV族元素との混晶半導体活性層808、第4のスペーサ層809、第1導電型の上部DBR810が順次に積層されている。
本実施例8の特徴は、活性層808の材料として、窒素と他のV族元素との混晶半導体を用いている点である。この点を除いて、基本的に構成,動作は実施例7と同様である。窒素と他のV族元素との混晶半導体としては、例えばGaNAs、GaInNAs、GaNAsP、GaInNAsP、GaNAsSb、GaInNAsSb、GaNAsPSb、GaInNAsPSb等がある。上記混晶半導体は、GaAs基板上に結晶成長可能な長波長帯材料系であることを特徴としている。
以下、本実施例8の構成を、より具体的な例を用いて説明する。第1導電型の半導体単結晶基板801はn型GaAs基板で構成されており、下部DBR802は、n型GaAsとn型Al0.9Ga0.1Asとを交互に35.5周期積層して形成されている。第1のスペーサ層803は、GaAsで形成され、光吸収層804は、GaInNAs/GaAs多重量子井戸構造で形成され、第2のスペーサ層805は、GaAsで形成されている。また、Alを含む半導体層711は、p型AlAsで形成され、第2導電型のDBR806は、p型GaAsとp型Al0.9Ga0.1Asとを交互に8.5周期積層して形成されている。また、第3のスペーサ層807は、GaAsで形成され、活性層808は、GaInNAs/GaAs多重量子井戸構造で形成され、第4のスペーサ層809は、GaAsで形成され、上部DBR810は、n型GaAsとn型Al0.9Ga0.1Asとを交互に20周期積層して形成されている。
下部DBR802と第2導電型のDBR806とにはさまれた第1の共振器と、第2導電型のDBR806と上部DBR810とにはさまれた第2の共振器とは、光学的に結合しており、二つの共鳴波長(1290nm,1310nm)を形成している。
窒素と他のV族元素との混晶半導体であるGaInNAsはGaAs等の障壁層との伝導帯電子の閉じ込め障壁高さを300meV以上と高くすることができるため、井戸層からの電子オーバーフローが抑制され、良好な温度特性を有している。また、GaAsとAlAs、またはGaAsとAlGaAsを積層した、高反射率,高熱伝導性のDBR上にエピタキシャル成長することができ、長波長帯で良好な性能のVCSELを形成可能である。
また、GaInNAs等の窒素と他のV族元素との混晶半導体を活性領域に用いることで、石英光ファイバの分散がゼロである波長1.31μm近傍でVCSELを動作させることができる。本発明では、二つの波長間でVCSELの波長変調を実施しているが、波長分散が小さい1.3μm帯を用いることで、石英光ファイバ伝送後の波長分散による信号劣化を抑制することができる。
図13(a)は、実施例9の光送信モジュールを示す図である。図13(a)を参照すると、光送信モジュール901においては、光源906として実施例1〜8のいずれかに記載の垂直共振器型面発光半導体レーザ装置(VCSEL)を用いている。また、直流電源904は、VCSEL906の活性層に一定電流を注入し、レーザ発振させるようになっている。また、変調バイアス電源905は、外部から入力された電気信号に応じて、VCSEL906の光吸収層に加える逆バイアスを変調させるようになっている。これにより、VCSELの発振波長を変調することができる。
また、VCSEL906から出力されたレーザ光は、波長選択素子907において特定の選択された波長のみが外部に出力されるようになっている。これにより、波長変調信号が光強度変調信号に変換される。
図13(b)は、光送信モジュール901のVCSEL906と波長選択素子907の構造を、より具体的に示した図である。図13(b)において、VCSEL906は、実施例8記載のVCSELと同じ構造となっている。VCSEL906から出力された光は、波長選択素子907に入射される。ここで、波長選択素子907として、誘電体多層膜フィルタを用いている。誘電体多層膜フィルタ907では、VCSEL906の二つの共鳴波長(1290nm,1310nm)のうち、1290nmの光は透過し、1310nmの光を反射するように形成されている。これにより、光吸収層804に電界が印加されない場合には、誘電体多層膜フィルタ907を透過してレーザ光が出力され、光吸収層804に電界が印加された場合には、光強度がオフとなる。なお、誘電体多層膜フィルタ907は、VCSEL906の出射方向と垂直な方向に対して傾斜して配置されており、誘電体多層膜フィルタ907で反射された光がVCSEL906に戻らない構造となっている。
上記構造により、単チャンネル当たり40GbpsでVCSEL906を直接電圧駆動することで、出力されるレーザ光強度を高速に変調することができる。従って、モジュールサイズが小さく、低コストの光送信モジュールを形成できる。
本実施例9では、波長選択素子907として、誘電体多層膜フィルタを用いたが、この他に、共振器構造,回折格子,干渉計等を用いることも可能である。
また、本実施例9では、光源部と駆動回路を1つのモジュールにパッケージングした例で示しているが、実施例1〜8のいずれかに記載の垂直共振器型面発光半導体レーザ装置(VCSEL)と波長選択素子のみをパッケージングしてモジュールを構成することも可能である。
本実施例9の光送信モジュールは、光ファイバを用いたシリアル伝送システムだけでなく、パラレル伝送システム,波長多重伝送システムにも用いることができる。また、光ファイバを用いない空間光伝送システムに用いることも可能である。
図9は、実施例10の光伝送装置の構成を示す図である。図9を参照すると、光送信部901において、電気信号が光信号に変換されて光ファイバケーブル902に導入される。光ファイバケーブル902を導波した光は、光受信部903で再び電気信号に変換されて出力される。
光送信部901においては、光源906として実施例8記載の垂直共振器型面発光半導体レーザ装置(VCSEL)を用いている。また、直流電源904は、VCSEL906の活性層808に一定電流を注入し、レーザ発振させるようになっている。また、変調バイアス電源905は、光送信部に外部から入力された電気信号に応じて、VCSEL906の光吸収層804に加える逆バイアスを変調させるようになっている。これにより、単チャンネル当たり40Gbpsの伝送容量で、VCSEL906の発振波長を高速変調することができる。
光受信部903では、光ファイバケーブル902から出力された光信号を、波長選択素子907で波長ごとに分離し、特定の選択された波長が受光素子908で受光される。波長選択素子907を通ることによって、波長変調信号が光強度変調信号に変換される。受光素子908で受光された光信号は電気に変換され、受信回路909において、信号増幅,波形整形等がなされて、光受信部903から外部に出力される。
ここで、波長選択素子907としては、多層膜フィルタ,共振器構造,回折格子,干渉計等を用いることが可能である。また、本実施例10では、波長選択素子を光受信部902内において受光素子908の直前に設けているが、光送信部901内におけるVCSEL906と光ファイバケーブル902との間や、光ファイバケーブル902の途中に設けることも可能である。
本実施例10の光伝送装置では、光送信部901の光源906として、実施例8記載のVCSELを用いているため、外部変調器を用いることなく40Gbpsの光信号伝送が可能となっている。また、変化させる波長シフト量を、例えば10〜20nmと大きくとることができるため、環境温度変化によるVCSEL発振波長の変化に比べて、十分大きな波長変調を行うことができる。従って、電子冷却素子による精密な温度制御が不要であり、低コストで製造することができる。これにより、チャンネル当たり40Gbpsの大容量光伝送装置を、低コストで構築することができる。
図14は、本発明の実施例11の垂直共振器型面発光半導体レーザ装置(VCSEL)を示す図である。図14を参照すると、第1導電型の半導体単結晶基板401上には、第1導電型の下部DBR402、第1のスペーサ層403、活性層404、第2導電型の第2スペーサ層405、アンドープDBR406、第2導電型の第3スペーサ層407、光吸収層408、第4のスペーサ層409、第1導電型の上部DBR410が順次に積層されている。
上記積層構造の表面から第3のスペーサ層407の途中までエッチングされて、第1のメサ構造が形成されている。さらに、第1のメサ構造よりも大きいサイズで第2のスペーサ層405の途中までエッチングされて、第2のメサ構造が形成されている。第1導電型の上部DBR410表面には、光出射部を除いて第1の電極1401が形成されている。そして、第1のメサ構造底面には第2の電極1402が形成されている。また、第2のメサ構造底面には第3の電極1403が形成されており、基板401裏面には第4の電極1404が形成されている。
第3の電極1403と第4の電極1404との間に順方向電流を流すことにより、活性層404にキャリアが注入されて発光する。また、第1の電極1401と第2の電極1402との間に逆方向バイアスを加えることにより、光吸収層408の吸収端が長波長側にシフトする。
本実施例11の特徴は、第2の電極1402と第3の電極1403との間に電圧を印加することにより、アンドープDBR406に電界をかけて、アンドープDBR406の屈折率を変化させることができる点である。電界印加によりアンドープDBR406の屈折率が増加すると、アンドープDBR406のブラッグ波長が長波長にシフトする。これにより、第1の共振器と第2の共振器とが光学的に結合して形成された二つの共鳴波長をシフトさせることができる。これにより、活性層404の利得ピーク波長と共鳴波長との差や、第1導電型の上部DBR410の反射スペクトルと共鳴波長との関係や、光吸収層408の吸収端波長と共鳴波長波長との差を電気的に調節して最適化することができる。これにより、波長変調動作を安定化させることができる。
本実施例11では、共鳴波長を掃引するために、中央のDBR406に電界を印加して屈折率を変化させたが、この他に上部DBR410や下部DBR402に電界を印加して屈折率を変化させることも可能である。
本発明は、光通信システムや光インターコネクションシステムなどに利用可能である。
本発明の実施例1の垂直共振器型面発光レーザ装置を示す図である。
本発明の実施例2の垂直共振器型面発光レーザ装置を示す図である。
本発明の実施例3の垂直共振器型面発光レーザ装置を示す図である。
本発明の実施例4の垂直共振器型面発光レーザ装置を示す図である。
本発明の実施例5の垂直共振器型面発光レーザ装置を示す図である。
本発明の実施例6の垂直共振器型面発光レーザ装置を示す図である。
本発明の実施例7の垂直共振器型面発光レーザ装置を示す図である。
本発明の実施例8の垂直共振器型面発光レーザ装置を示す図である。
本発明の実施例10の光伝送装置の構成を示す図である。
実施例1の垂直共振器型面発光レーザ装置の動作を説明するための図である。
実施例2の垂直共振器型面発光レーザ装置の動作を説明するための図である。
実施例3の垂直共振器型面発光レーザ装置における光吸収層の動作を説明するための図である。
実施例9の光送信モジュールの構成を示す図である。
本発明の実施例10の垂直共振器型面発光レーザ装置を示す図である。
符号の説明
101,201,301,401,501,601,701,801 基板
102,202,302,402,502,602,702,802 下部DBR
103,203,303,403,503,603,703,803 第1のスペーサ層
104,204,304,404,504,608,708,808 活性層
105,205,305,405,505,605,705,805 第2のスペーサ層
106,206,306,406,506,606,706,806DBR
107,207,307,407,507,607,707,807 第3のスペーサ層
108,208,308,408,508,604,704,804 光吸収層
109,209,309,409,509,609,709,809 第4のスペーサ層
110,210,310,410,510,610,710,810 上部DBR
111 第1の電極
112 第2の電極
113 第3の電極
611,612,711 Alを含む半導体層
613,712 Al酸化領域
713 高抵抗領域
901 光送信部
902 光ファイバケーブル
903 光受信部
904 直流電源
905 変調バイアス電源
906 VCSEL
907 波長選択素子
908 受光素子
909 受信回路
1401 第1の電極
1402 第2の電極
1403 第3の電極
1404 第4の電極