JP4820220B2 - 静止形無効電力補償装置の制御方式 - Google Patents

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Description

この発明は、各相毎にリアクトルの電流をサイリスタで位相制御して無効電力を制御する静止形無効電力補償装置の制御方式に関するものである。
各相毎にリアクトルの電流をサイリスタで位相制御して無効電力を制御する静止形無効電力補償装置(以下「SVC」と略記する)においてリアクトル電流の大きさをサイリスタ変換器で位相制御する際に、高調波電流が発生することは知られており、例えば非特許文献1のFigure 3.9に高調波電流の発生が記載されている。TCR(Thyristor Controlled Reactor)から発生する3次の高調波電流が大きいため、非特許文献1のFigure3.11に示されているように、TCRをデルタ接続することにより3次の高調波電流の系統側への流出を抑制するようにしている。
電力系統電圧が三相平衡状態にある場合には、3次高調波電流はデルタ接続により打ち消されて、系統側にはほとんど流出しないが、系統電圧に三相不平衡成分が含まれている場合には、打ち消されずに系統側に3次高調波電流が流出する。電力系統が3次付近で共振特性を有する場合には、TCRより流出した3次高調波電流により系統の3次高調波電圧歪が拡大され、SVCの健全運転が阻害されるという問題や、系統に接続されている他の機器に悪影響を与えるという問題が生じる。
このような場合の対策として、従来は、非特許文献1に記載の例ではTCRに並列に3次高調波フィルタを接続して系統側に流出する3次高調波電流を吸収するようにしている。
また、TCRの各相の基本波電流の大きさを各相で同じ大きさに揃えるようにTCRの各相の電流を制御する方法も非特許文献1や特許文献1(特許文献1ではTCRではなくSVCとして記載されている)に記載されているが、単に基本波電流の大きさを揃えるだけでは効果がなく、逆に3次高調波電流を拡大する場合があることも特許文献1と非特許文献1に記載されている。この理由は、SVCの基本波電流と3次高調波電流発生量とは、図4に示すように非線形特性を有しており、さらにある位相角α0を境にαの変化に対する3次高調波発生感度特性K3の極性が反転するので、制御が不安定になるためである。
特開昭61−221533号公報(図1及びその説明) R.Mohan Mathur, Rajiv K.Varma:"Thyristor-based FACTS controllers for electrical transmission systems",Wiley-Interscience社出版,2002 ,P47−55
従来のSVCでは系統電圧の不平衡時には3次高調波電流が系統側に流出するため、3次高調波電圧の歪が生じて系統に接続されている他の機器に悪影響を与えるという問題や、3次高調波フィルタを設ける必要があるため、高価になるという問題点があった。
また、3次高調波電流を抑制するために三相間の電流を揃えるように制御すると不安定になり逆に3次高調波を拡大するという問題点がある。
この発明は、前述のような実情に鑑みてなされたもので、系統側に3次高調波電流が流出するのを安価な方式で抑制することを目的とするものである。
この発明に係る静止形無効電力補償装置の制御方式は、各相毎にリアクトルの電流をサイリスタで位相制御して無効電力を制御する静止形無効電力補償装置において、当該静止形無効電力補償装置がその各相で発生する3次高調波電流の発生量が等しくなるように各相の前記サイリスタを制御する静止形無効電力補償装置であって、記各で発生する3次高調波電流を検出する検出手段を各相毎に設け、この検出手段によって検出された各相で発生する3次高調波電流に基づいて各相の3次高調波電流の発生量が等しくなるように各相の前記サイリスタの制御角を制御することを特徴とする静止形無効電力補償装置の制御方式である。
この発明は、各相毎にリアクトルの電流をサイリスタで位相制御して無効電力を制御する静止形無効電力補償装置において、当該静止形無効電力補償装置がその各相で発生する3次高調波電流の発生量が等しくなるように各相の前記サイリスタを制御する静止形無効電力補償装置であって、記各で発生する3次高調波電流を検出する検出手段を各相毎に設け、この検出手段によって検出された各相で発生する3次高調波電流に基づいて各相の3次高調波電流の発生量が等しくなるように各相の前記サイリスタの制御角を制御するので、従来のSVCにおける3次高調波フィルタを設ける必要があるため高価になるという問題点や従来のSVCにおける3次高調波電流を抑制するために三相間の電流を揃えるように制御すると不安定になり逆に3次高調波を拡大するという問題点に鑑みて系統側に3次高調波電流が流出するのを安価な方式で抑制することができる効果がある。
実施の形態1.
以下この発明の実施の形態1を図1〜図5により説明する。図1はSVCの事例を電力系統に設置した電力系統の構成例および3次高調波抑制制御回路の事例を示すブロック図、図2はSVCを流れる3次高調波電流量の検出手段の一例を示す回路図、図3はSVCの3次高調波電流発生量とサイリスタ制御位相角との関係の事例をグラフで示す図、図4はサイリスタ制御角αの変化に対するSVCの3次高調波電流発生量の変化を表す感度係数の事例をグラフで示す図、図5は図4の感度係数の非線形な関係を線形化するための線形化関数の一例をグラフで示す図である。なお、各図中、同一符合は同一部分を示す。
この発明の実施の形態1は、リアクトル電流の大きさをサイリスタ変換器で位相制御することにより無効電力の大きさを調整するようにしたTCR方式の静止形無効電力補償装置(SVC)においてSVCから発生する3次高調波電流の抑制制御方式に関するものであり、SVCを電力系統に接続した際に電力系統に存在する3相不平衡電圧成分によりSVCから系統側に流出する3次高調波電流を最小にできる静止形無効電力補償装置の制御方式を例示するものであり、また、SVCから系統側に流出する3次高調波電流を抑制するようにし、かつ、SVCの各相に流れる3次高調波電流成分を検出して、検出した3次高調波電流の各相間のアンバランスを減少させるようにSVC各相のサイリスタ変換器の制御角を補正することにより系統側に3次高調波電流が流出するのを抑制するようにし、かつ、3次高調波発生量とSVCの制御位相角の間に存在する非線形な関係を補正する制御回路を導入することにより、安定動作が可能な3次高調波電流抑制制御方式を得る静止形無効電力補償装置の制御方式を例示するものである。
以下、具体的に説明する。
図1において、3相電力系統1に接続された変電所母線2にSVC3が接続されている。SVC3は、リアクトル4、5,6とサイリスタ変換器7,8,9をそれぞれ直列に接続した主回路要素をデルタ接続して構成している。
母線2には母線電圧を測定するPT10が接続されている。
上記PTで測定された母線2の電圧信号がSVC制御部の電圧センサ(VS)100に入力されて三相電圧実効値に変換されたのち、電圧信号VMとして上記SVC制御内に取込まれる。
上記電圧信号VMは、減算回路101において予め制御回路内で設定された電圧基準値(Vref)から減算され、偏差分ΔV(=Vref−VM)が次段のAVR回路102に入力される。
このAVR回路102は、比例制御と積分制御の合成回路で構成されており、電圧偏差ΔVが定常的に0付近になるようにSVCに流れる無効電力量をフィードバック制御する役割を有する。
このAVR回路102の出力QAは、次段の制御位相角演算回路(Gα)103に入力され、必要な無効電力量を得るためのSVCのサイリスタ制御角αを演算する。
この演算は、例えば非特許文献1の(13.8)式に従って、所望の無効電力量を出力するのに必要なサイリスタ制御角αが演算される。なお、このαは三相間の各相に対して同一の共通の値である。
一方、デルタ接続のSVC3の各相に流れる電流IU,IV,IWは、CT11,12,13により検出され、電流センサ(CS−U)104a、電流センサ(CS−V)104b,電流センサ(CS−W)104cにより各相の3次高調波電流の大きさが演算される。
この電流センサとしては、例えば図2に示す回路が用いられる。図2において、U相の電流IUは3次に同調したバンドパスフィルタ201に入力され、3次電流のみが抽出される。さらに、抽出した3次電流を整流回路202で整流することにより、3次高調波電流の大きさに比例した電圧出力(IU3)を作成している。また、V相、W相も同様の構成である。
本実施の形態の事例では、SVC3は、リアクトル4a,4bとサイリスタ変換器7との直列回路で構成された第1の直列回路と、リアクトル5a,5bとサイリスタ変換器8との直列回路で構成された第2の直列回路と、リアクトル6a,6bとサイリスタ変換器9との直列回路で構成された第3の直列回路とから成り、前記第1の直列回路と前記第2の直列回路と前記第3の直列回路とをデルタ接続して構成される。
これらの3次電流検出値IU3、IV3,IW3を平均値回路(CS−AV)105に入力し、3相の平均値を求めて平均値IAV3を求める。
さらに、電流偏差演算回路(合成回路)106a,106b,106cにおいて、各相の3次高調波電流値IU3、IV3,IW3と平均高調波電流値IAV3との偏差が次式により求められる。
ΔIU3=IU3−IAV3
ΔIV3=IV3−IAV3
ΔIW3=IW3−IAV3
一方、SVC3の発生する3次高調波電流とサイリスタ制御角αとの関係は図3に示すとおりであり、次の関係を有する。
α<α0の期間: αが大きいほど3次高調波電流は大きくなる。
α>α0の期間: αが大きいほど3次高調波電流は小さくなる。
図3からサイリスタ制御角αの変化に対する3次高調波発生量の変化を示す感度係数K3を求めると図4となる。
ただし、K3=d(I3)/d(α)
但し、I3は、3次高調波電流の実効値を示す。
図4から明らかのようにサイリスタ制御角αの変化に対する高調波発生量の変化を示す感度係数Kは非線形であり、α0を境にその極性が反転する。このため、各相の位相角を補正して3相間の3次高調波電流の大きさを揃えるようにαを正確に制御するには、K3の特性を線形化することが必要である。
この目的のために、3次高調波偏差信号ΔIU3、ΔIV3、ΔIW3を乗算回路107a,107b,107cに入力して、次式の演算を行う。
ΔIUA=F(α)*ΔIU3
ΔIUA=F(α)*ΔIV3
ΔIUA=F(α)*ΔIW3
ただし、F(α)は図4に示す感度係数K3を線形化するための線形化関数であり、この実施例では近似的に図5の関数を用いている。
上記の電流偏差信号ΔIUA、ΔIVA、ΔIWAを補正角演算回路(PHC−U,PHC−V,PHC−W)108a,108b,108cに入力して、制御角補正信号ΔαU、ΔαV、ΔαWを出力する。この補正角演算回路108a,108b,108cは比例制御機能と積分制御機能の合成で構成され、ΔIUA、ΔIVA、ΔIWAを0に近づけるように各相のサイリスタ制御角をフィードバック制御により補正する役割を有する。
上記の制御角補正信号ΔαU、ΔαV、ΔαWを合成回路110a,110b,110cに入力して、各相の制御角の次式を用いて補正を行い、各相毎のサイリスタ制御角αU,αV,αWを得る。
αU=αA+ΔαU
αV=αA+ΔαV
αW=αA+ΔαW
ここで、αAは、前記非特許文献1の(3.8)式で得られる各相共通のサイリスタ制御角である。
上式で得た各相毎のサイリスタ制御角αU,αV,αWを、次段のゲートパルス発生回路(GPG-U,GPG-V,GPG-W)111a,111b,111cに入力して、サイリスタ制御角αU,αV,αWに応じたゲートパルスをサイリスタ変換器7,8,9に与えて、当該サイリスタ変換器を各相毎に制御する。
このような構成において上記母線2に不平衡電圧がある場合に、SVCではサイリスタ制御時に発生する3次高調波電流を3相間でその大きさを等しく揃えるように制御するので、これらの3次高調波電流はSVCのΔ接続内で相殺され、系統側に流出する3次高調波電流は抑制される。また、制御に線形化関数F(α)を導入することにより制御の不安定性は解消され、安定した制御を行うことができる。
このように、実施の形態1によるこの発明では、母線2の電圧に不平衡成分がある場合にでも、SVC3から系統側に流出する3次高調波電流を最小にでき、電力系統の電圧歪を低減するとともに、3次高調波フィルタを不要にできるという効果がある。
この発明の実施の形態1を示す図で、SVCの事例を電力系統に設置した電力系統の構成例および3次高調波抑制制御回路の事例を示すブロック図である。 この発明の実施の形態1を示す図で、SVCを流れる3次高調波電流量の検出手段の一例を示す回路図である。 この発明の実施の形態1を示す図で、SVCの3次高調波電流発生量とサイリスタ制御位相角との関係の事例をグラフで示す図である。 この発明の実施の形態1を示す図で、サイリスタ制御角αの変化に対するSVCの3次高調波電流発生量の変化を表す感度係数の事例をグラフで示す図である。 この発明の実施の形態1を示す図で、図4の感度係数の非線形な関係を線形化するための線形化関数の一例をグラフで示す図である。
符号の説明
1 3相電力系統、 2 変電所母線、
3 静止形無効電力補償装置(SVC)、
4a,4b,5a,5b,6a,6b リアクトル、
7,8,9 サイリスタ変換器、 10 PT、
11,12,13 CT、 100 電圧検出回路、
101 減算回路、 102 AVR制御回路、
103 関数回路、
104a,104b,104c 3次高調波検出回路、
105 均値演算回路、
106a,106b,106c 合成回路、
107a,107b,107c 乗算回路、
108a,108b,108c 補正角演算回路、
109 線形化関数、
110a,110b,110c 合成回路、
111a,111b,111c ゲートパルス発生回路。

Claims (3)

  1. 各相毎にリアクトルの電流をサイリスタで位相制御して無効電力を制御する静止形無効電力補償装置において、当該静止形無効電力補償装置がその各相で発生する3次高調波電流の発生量が等しくなるように各相の前記サイリスタを制御する静止形無効電力補償装置であって、記各で発生する3次高調波電流を検出する検出手段を各相毎に設け、この検出手段によって検出された各相で発生する3次高調波電流に基づいて各相の3次高調波電流の発生量が等しくなるように各相の前記サイリスタの制御角を制御することを特徴とする静止形無効電力補償装置の制御方式。
  2. 請求項1に記載の静止形無効電力補償装置の制御方式において、前記サイリスタの制御角と前記3次高調波電流発生量との間の非線形な関係を補正手段により補正することを特徴とする静止形無効電力補償装置の制御方式。
  3. 請求項1または請求項2に記載の静止形無効電力補償装置の制御方式において、前記各相の3次高調波電流の平均値と前記各相の3次高調波電流との偏差が各相で0に近づくように前期各相の前記サイリスタの制御角を制御することを特徴とする静止形無効電力補償装置の制御方式。
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