JP4818887B2 - 車両用サブフレーム構造 - Google Patents

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Description

本発明は、車両用サブフレーム構造に関するものである。
車両の前面衝突時にフロントサブフレームを脱落させることで、衝突エネルギーを吸収するためのストロークを稼ぐ手法が従来から用いられている。特許文献1の車両のシャシ取付構造は、車両前後方向に延びる両サイドメンバ(サイドフレーム)のそれぞれの間に掛け渡されて取り付けられるシャシフレーム(フロントサブフレーム)を、その前端から所定の脱落荷重以上の衝撃力が入力されると両サイドメンバから脱落させる脱落手段を備える。これにより、両サイドメンバの挫屈変形に支障を与えていたシャシフレームを脱落させるので、サイドメンバの挫屈変形が促進されると記載されている。
特開2005−112197号公報
しかしながら、特許文献1の車両のシャシ取付構造では、脱落したシャシフレームがフロアパネルに衝突してスタックする(引っかかる)場合がある。この場合には、スタックしたシャシフレームがサイドメンバの座屈変形を妨害するので、衝突エネルギーの吸収に必要なストロークが確保できなくなるという問題がある。またシャシフレームがフロアパネルにスタックしたままストロークすることで、フロアパネルが変形するという問題がある。
図4は、従来技術に係る車両用サブフレーム構造の説明図である。脱落したフロントサブフレーム10をフロアパネル4の下方に案内するため、フロアパネル4の前方および/またはフロントサブフレーム10の後方に、滑り台状の傾斜面4a,10aを形成することが考えられる。しかしながら、この場合でも、フロントサブフレーム10との衝突時にフロアパネル4が変形するという問題がある。なお、フロアパネル4の面剛性を確保するため厚板を貼り付けると、車両重量の増加を招くことになる。また、脱落したフロントサブフレーム10との衝突を回避するためフロア面を上げると、車室内空間が狭くなる。
そこで本発明は、衝突時に車体パネルの変形を防止し、安定したエネルギー吸収ストロークを確保することが可能な、車両用サブフレーム構造の提供を課題とする。
上記課題を解決するために、請求項1に係る発明は、車両前部のサイドフレーム(例えば、実施形態におけるサイドフレーム2)の下方に取り付けられるサブフレーム(例えば、実施形態におけるフロントサブフレーム10)の構造であって、前記サブフレームは、一対のサイドフレームの車幅方向内側に沿って車両前後方向に伸びる一対のサブサイドフレーム(例えば、実施形態におけるサブサイドフレーム12)と、前記一対のサブサイドフレームの前端部に設けられた、前記サブフレームの第1車体取付部(例えば、実施形態における車体取付部18)と、前記一対のサブサイドフレームの後端部に設けられた、前記サブフレームの第2車体取付部(例えば、実施形態における車体取付部20)と、前記第2車体取付部の後方に設けられた回転自在なガイドローラ(例えば、実施形態におけるガイドローラ40)と、を備え、前記ガイドローラは、車両後方から前方に向かって立ち上がる車体パネルの傾斜面(例えば、実施形態におけるダッシュボードロアパネル3の傾斜面3aまたはフロアパネル4の傾斜面4a)と対峙されていることを特徴とする。
請求項1に係る発明によれば、車両の前面衝突時によりフロントサブフレームが脱落すると、回転自在なガイドローラが車体パネルに衝突する。このガイドローラは車体パネルに沿って回転するので、フロントサブフレームが車体パネルにスタックすることがない。これにより、フロントサブフレームがスタックしたままストロークすることによる車体パネルの変形を防止することができる。
また、ガイドローラが車体パネルに沿って回転しながら下方に移動するので、脱落したフロントサブフレームが車体パネルの下方に案内される。これにより、サイドフレームの座屈変形を促進させることが可能になり、衝突エネルギーを吸収するためのストロークを確保することができる。
以下、本発明の実施形態につき図面を参照して説明する。
図1は、車体前部の底面図である。車体1の前部から後部にわたって、車体骨格を構成する左右一対のサイドフレーム2が設けられている。一対のサイドフレーム2の前端部を連結するように、バンパビーム2aが設けられている。車体1の中部におけるサイドフレーム2の上方には、フロアパネル4が配置されている。
車体1の前部におけるサイドフレーム2の下方には、フロントサブフレーム(以下「サブフレーム」という。)10が取り付けられている。このサブフレーム10には、ステアリング装置(不図示)等が搭載されている。なお燃料電池自動車の場合には、燃料電池スタックに空気を送給するコンプレッサや走行用の駆動モータ等からなるポンプモータユニットなどを、サブフレーム10に搭載することが可能である。
サブフレーム10は、サイドフレーム2に沿って車両前後方向に伸びる一対のサブサイドフレーム12を備えている。また、一対のサブサイドフレーム12は前方において前側サブクロスフレーム14により連結され、後方において後側サブクロスフレーム15により連結されている。各フレームを構成するフレーム部材は、金属材料の押出し成形等により、中空の閉断面構造または開断面構造に形成されている。その各フレーム部材を溶接等で接合することにより、サブフレーム10が枠状骨格に形成されている。
サブフレーム10における一対のサブサイドフレーム12の前端部には、サブフレーム10の車体取付部18が設けられている。また、一対のサブサイドフレーム12の後端部にも、車体取付部20が設けられている。これにより、枠状骨格のサブフレーム10は、その四隅において車体1に取り付けられている。
図2は、サブフレーム後端部の車体取付部20を斜め上方から見た斜視図である。サブサイドフレーム12の後端部には、円筒部24を備えたブラケット22が接合されている。ブラケット22は、金属材料の押出し成形等によって形成されている。ブラケット22は、円筒部24の中心軸が車両上下方向に配置されるように、溶接等によりサブサイドフレーム12に接合されている。
図3は、図1のA−A線(図2のB−B線に相当する部分)における断面図である。図3に示すように、円筒部24の上下開口部は、一対のカラーナット26により閉塞されている。カラーナット26は、円筒部24の内径と略同径の小径部26aと、円筒部24の外径と略同径の大径部26bとを、軸方向に連続配置して構成されている。その小径部26aが円筒部24の内側に挿入され、大径部26bの表面周縁部が円筒部24の端面に当接されて、円筒部24の開口部が閉塞されている。各カラーナット26の中央には、貫通孔27が形成されている。
図2に示すように、サブフレーム10後部の車体取付部20の後方に、ガイドローラ40が設けられている。具体的には、ブラケット22から後方に向かって、一対の支持部材42が立設されている。支持部材42は金属平板等で構成され、溶接等によりブラケット22に接合されている。一対の支持部材42は、水平方向に並んで平行に配置されている。各支持部材42の先端には貫通孔が形成されている。一方の支持部材42の外側から、両支持部材42の貫通孔にボルト44が挿入され、他方の支持部材42の外側に配置されたナット(不図示)に螺合している。このボルト44を中心軸として自在に回転しうるように、ガイドローラ40が設けられている。ガイドローラ40は、金属材料の押出し成形等によって形成されている。
図3に示すように、サイドフレーム2の上方には、各種車体パネルが配置されている。車体中部のサイドフレーム2の上方にはフロアパネル4が配置され、車体前部のサイドフレーム2の上方にはダッシュボードロアパネル3が配置されている。フロアパネル4の前端部には、車両後方から前方に向かって立ち上がる傾斜面4aが形成されている。またダッシュボードロアパネル3の後端部にも、フロアパネル4と同様の傾斜面3aが形成されている。フロアパネル4の傾斜面4aとダッシュボードロアパネル3の傾斜面3aとは、重なるように配置されている。
ダッシュボードロアパネル3の裏側には、レインフォース5が設けられている。レインフォース5は、主に垂直配置された側壁5aおよび水平配置された底壁5bで構成されている。側壁5aの上端部はダッシュボードロアパネル3に接合され、底壁5bの後端部はフロアパネル4の前端部に接合されている。レインフォース5の内側には、底壁5bと平行に中間壁5cが配置されている。中間壁5cの前端部は側壁5aに接合され、フロアパネル4の前端部に接合されている。
レインフォース5の底壁5bおよび中間壁5cには、貫通孔が形成されている。両壁5b,5cの貫通孔を連結するように、両壁5b,5cの間にスペーサ34が配置されている。このスペーサ34により、両壁5b,5cの間の距離が固定されている。また中間壁5cの上面には、ナット32が固定されている。このナット32は、中間壁5cの貫通孔と同軸状に配置されている。
そして、サブフレーム10の円筒部24の下方から上方に向かって、一対のカラーナット26の貫通孔27を連通するように、取付けボルト30が挿入されている。この取付けボルト30が、レインフォース5の底壁5b、スペーサ34および中間壁5cを貫通して、ナット32に螺合している。これにより、サブフレーム10の後端部が車体に取り付けられている。なお図1に示すように、サブフレーム10の前端部も、上述した後端部と同様の取付け構造によって、サイドフレーム2に取り付けられている。
これにより図3に示すように、車体パネルと対峙するようにガイドローラ40が配置される。具体的には、フロアパネル4の傾斜面4a(ダッシュボードロアパネル3の傾斜面3a)と平行に、ボルト44が水平配置されている。そして、そのボルト44を中心軸として回転自在にガイドローラ40が配置されている。
次に、本実施形態に係る車両用サブフレーム構造の、車両の前面衝突時における作用につき、図3を用いて説明する。
車両の前面衝突時には、サブフレーム10に対して前方から衝撃荷重が入力される。すると、サブフレーム10に固定されたボルト30から、レインフォース5に固定されたナット32に対して、コジリ力が作用する。レインフォース5を構成する中間壁5cおよび底壁5bは、このコジリ力によって破断するように、材料や板厚、形状等が設定されている。そのため、図3において二点鎖線で示すように、ボルト30がナット32やスペーサ34等とともにレインフォース5から分離する。これにより、サブフレーム10が車体から脱落する。
サブフレーム10には前方から衝撃荷重が入力されているので、車体から脱落したサブフレーム10は後方に移動し、車体パネル(フロアパネル4またはダッシュボードロアパネル3)に衝突する。本実施形態では、サブフレーム10後部の車体取付部20の後方にガイドローラ40が設けられているので、このガイドローラ40が最初に車体パネルに衝突する。ガイドローラ40は回転自在に構成されているので、車体パネルの表面に沿って回転する。したがって、サブフレーム10が車体パネルにスタックする(引っかかる)ことがない。これにより、サブフレーム10がスタックしたままストロークすることによる車体パネルの変形を防止することができる。
ガイドローラ40は、車両後方から前方に向かって立ち上がる車体パネルの傾斜面(フロアパネル4の傾斜面4aまたはダッシュボードロアパネル3の傾斜面3a)と対峙されている。そのためガイドローラ40は、傾斜面に沿って回転しながら下方に移動する。これにより、脱落したサブフレーム10がフロアパネル4の下方に案内される。その結果、車両の前面衝突時にサイドフレームの座屈変形を促進させることが可能になり、衝突エネルギーを吸収するためのストロークを確保することができる。
また、脱落したサブフレーム10がフロアパネル4の下方に案内されるので、サブフレーム10との衝突による車体パネルの変形を防止することが可能になる。これに伴って、衝突の影響が車室内に及ぶのを抑制することができる。また、車体パネルの面剛性を上げるため厚板等を貼り付ける必要がなくなり、車両重量の増加を防止することができる。さらに、脱落したフロントサブフレーム10との衝突を回避するためフロア面を上げる必要がなくなり、車室内の空間を広げることができる。
なお、本発明の技術範囲は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上記実施形態に種々の変更を加えたものを含む。すなわち、上記実施形態で挙げた具体的な材料や構成などはほんの一例に過ぎず、適宜変更が可能である。
例えば、車体パネルにガイドローラ40と同幅の溝を設けてもよい。この場合には、ガイドローラ40が溝に沿って移動するので、サブフレーム10の脱落方向を制御することができる。
車体前部の底面図である。 実施形態に係る車両用サブフレーム構造の後端部を斜め上方から見た斜視図である。 図1のA−A線における断面図である。 従来技術に係る車両用サブフレーム構造の説明図である。
符号の説明
4…フロアパネル 4a…傾斜面 10…フロントサブフレーム 20…車体取付部 40…ガイドローラ

Claims (1)

  1. 車両前部のサイドフレームの下方に取り付けられるサブフレームの構造であって、
    前記サブフレームは、
    一対のサイドフレームの車幅方向内側に沿って車両前後方向に伸びる一対のサブサイドフレームと、
    前記一対のサブサイドフレームの前端部に設けられた、前記サブフレームの第1車体取付部と、
    前記一対のサブサイドフレームの後端部に設けられた、前記サブフレームの第2車体取付部と、
    前記第2車体取付部の後方に設けられた回転自在なガイドローラと、
    を備え、
    前記ガイドローラは、車両後方から前方に向かって立ち上がる車体パネルの傾斜面と対峙されていることを特徴とする車両用サブフレーム構造。
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