次に、本発明に係る端末装置の一実施形態について図面を参照して説明する。まず、本発明に係る端末装置の一実施形態である携帯電話について図1を参照して説明する。図1は、本発明に係る端末装置を、携帯電話に適用した一実施形態の展開図である。なお、図1に示される状態で携帯電話の各部材が組みつけられた場合、組み付け後の携帯電話は上部筐体と下部筐体とが閉じられた状態となる。
図1に示される携帯電話は、トルク発生側のヒンジ108とダミーヒンジとなるヒンジ支持部材109とに、LCDフロントケース107に一体形成されたヒンジ嵌合部110が相対的に回動自在に嵌め込まれることにより、上部筐体122と下部筐体121とが相対的に回動自在に連結されている。ヒンジ108とヒンジ支持部材109とは、ヒンジ嵌合部110の長手方向の端部にそれぞれ形成され、ヒンジ嵌合部110は、LCDフロントケース107の長手方向端部に一体形成されている。
ヒンジ108はトルクを発生するヒンジユニット(不図示)を内部に有する。そして、ヒンジ嵌合部110は、このヒンジユニットを開閉動作の軸部として回動自在に構成されている。
また、ヒンジ支持部材109は、内部にヒンジユニットを有しないダミーヒンジである。このヒンジ支持部材109は、ヒンジ嵌合部110に嵌合され、ヒンジ嵌合部110が回動する際の軸部となる。
ここで、ヒンジ機構には、少なくとも、ヒンジ108、ヒンジ支持部材109、及び、ヒンジ108及びヒンジ支持部材109とをそれぞれ嵌合するヒンジ嵌合部110を含む。
また、本実施形態の携帯電話は、携帯電話に電源を供給するバッテリ102を備えると共に、バッテリ102を携帯電話に格納する際のバッテリ格納部の蓋となるバッテリリッド101を備える。また、キーリアケース103の外部には、バッテリ格納部を構成する凹部120を備え、この凹部120にバッテリ102が格納される。バッテリ102は、キーリアケース103の表面に対する略垂直方向側から嵌め込まれることにより、キーリアケース103に格納される。
また、本実施形態の携帯電話は、下部筐体のケースとなるキーリアケース103と、CPU等が搭載されるメイン基板104と、CPU等へのノイズの侵入及びノイズ輻射を防止するためのシールドケース105と、キー操作部119と、下部筐体のケースとなるキーフロントケース106とを備える。
キーリアケース103と、CPU等が搭載されるメイン基板104と、CPU等へのノイズの侵入及びノイズ輻射を防止するためのシールドケース105と、キー操作部119と、下部筐体のケースとなるキーフロントケース106とは、それぞれ、携帯電話が閉じられた状態における、下部筐体から上部筐体へ向かう方向へ、この順序で、積層される。
メイン基板104には、キー操作部119側の表面の長手方向端部に、バッテリ102からの電力を供給するためのタブ117を備える。また、キーフロントケース106は、上部筐体と下部筐体とが開閉動作を行う際にトルクを発生させるヒンジ108と、下部筐体を支持するためのダミーヒンジとなるヒンジ支持部材109と、ヒンジ支持部材109が嵌め込まれるネジ受け部118とを備える。ヒンジ108及びヒンジ支持部材109は、キーフロントケース106において、キー操作部119側の表面の長手方向端部に設けられている。
また、キーフロントケース106は、ヒンジ支持部材109が嵌め込まれ、ヒンジ支持部材109の位置を規定するネジ受け部118を備える。このネジ受け部118は、キーフロントケース106の内面において、ヒンジ支持部材109が形成されている位置に突出して形成されている。
また、本実施形態の携帯電話は、上部筐体のケースとなるLCDフロントケース107と、メインとなるLCDを搭載するLCD基板111と、サブとなるLCD112と、上部筐体のケースとなるLCDリアケース113とを備える。LCDフロントケース107と、メインとなるLCDを搭載するLCD基板111と、サブとなるLCD112と、上部筐体のケースとなるLCDリアケース113とは、それぞれ、携帯電話が閉じられた状態における、下部筐体から上部筐体へ向かう方向へ、この順序で、積層される。
LCDフロントケース107には、ヒンジ108及びヒンジ支持部材109と相対的に回動自在に嵌合するヒンジ嵌合部110が、長手方向端部に一体形成されている。
また、LCD基板111には、付勢手段であるバネを有するバネ端子116が、長手方向端部に設けられている。バネ端子116は、LCD基板111に設けられた基準電位部と接続されるアース用端子114と、上部筐体側に電力を供給するための電力供給用端子115とを備える。また、アース用端子114と電力供給用端子115とは、LCDフロントケース107側を向くように設けられている。
また、本実施形態の携帯電話は、バッテリリッド101と、キーリアケース103と、メイン基板104に設けられた基準電位部と接続されるシールドケース105と、キーフロントケース106とが下部筐体121を構成し、LCDフロントケース107と、LCDリアケース113とが上部筐体122を構成する。
また、本実施形態の携帯電話では、下部筐体121と上部筐体122との間において情報の送受信が電波を用いた無線通信により行われている。ここで、無線通信は上部筐体122と下部筐体121とのそれぞれに備えられた不図示のアンテナを介して行われ、例えば、下部筐体のCPUにおいて制御データや画像データを作成し、これら作成したデータを電波により上部筐体に送信する。
この電波を用いた無線通信により、本実施形態の携帯電話では、下部筐体121と上部筐体122との間において情報の送受信を行うためのケーブルが不要となる。また、本実施形態で使用する無線通信には電波を用いた無線通信を利用するが、本発明に係る無線端末装置では、下部筐体121と上部筐体122との間において情報の送受信を行うための無線通信は、赤外線や、赤外線以外の光などその他の無線通信技術を用いた無線通信であっても良い。
次に、図1に示されるヒンジ支持部材109の構成について図2及び図3を参照して説明する。図2は、図1に示されるヒンジ支持部材109の分解斜視図であり、図3の(a)は、図1に示されるヒンジ支持部材109の斜視図であり、図3の(b)は、図1に示されるヒンジ支持部材109をキーフロントケース106側から見た概略図である。
図2に示されるように、図1に示されるヒンジ支持部材109は、アース(接地)用部材201と、絶縁用部材202と、電力供給用部材203とを備える。アース用部材201と、絶縁用部材202と、電力供給用部材203とは、この順序で積層され、組み付けられる。
アース用部材201は、ヒンジ機構の軸部を構成する断面が略半円形状の筒部201aと、この筒部201aの端部に設けられ、筒部201aの軸に略垂直な方向に伸びて、絶縁用部材202及び電力供給用部材203を間に介して、キーフロントケース106に載置される略直方形の載置部201bとを備える。
また、載置部201bは、キーフロントケース106に設けられたネジ受け部118に嵌め込まれる、略円形の切り欠き部である、略中央に設けられた嵌め込み部201cと、筒部201aの軸方向に平行に延設された、絶縁用部材202の窪み部202bに嵌め込まれる半円筒形の嵌め込み部201dと、絶縁用部材202及び電力供給用部材203と共締めされる、載置部201bのシールドケース105側表面に形成された接続部201eとを備える。この接続部201eは、電磁シールド用のシールドケース105と共締めされる。
また、絶縁用部材202には、筒部201aの軸方向に平行に延設され、アース用部材201と電力供給用部材203との間に介在する介装部材202aと、筒部201aの軸方向に略垂直に延設され、アース用部材201の載置部201bが載置されると共に、電力供給用部材203を間に介して、キーフロントケース106に載置される略直方形の載置部202cとを備える。
また、介装部材202aは、アース用部材201の嵌め込み部201dが嵌め込まれる、筒部201aの軸方向に延設された半円筒形の窪み部202bを備える。また、載置部202cは、その略中央に、キーフロントケース106に設けられたネジ受け部118に嵌め込まれる、略円形の切り欠き部である嵌め込み部202dが設けられている。この嵌め込み部202dの周囲には、載置部201bの絶縁用部材202に対する載置面側に設けられた不図示の嵌合部と嵌合して、アース用部材201と絶縁用部材202との位置ズレを防止するための位置ズレ防止部202eが設けられている。
また、電力供給用部材203には、筒部201aの軸方向と略平行に延設され軸部の外装を形成する外装部材203aと、この外装部材203aの端部に設けられ、筒部201aの軸方向に略垂直に延設され、絶縁用部材202の載置部202cが載置されると共に、キーフロントケース106に載置される載置部203cとを備える。
また、外装部材203aには、絶縁用部材202の窪み部202bが嵌め込まれる、筒部201aの軸方向に延設された半円筒形の窪み部203bが設けられている。また、載置部203cの略中央には、キーフロントケース106に設けられたネジ受け部118に嵌め込まれる、略半円形の切り欠き部である嵌め込み部203dが設けられている。この嵌め込み部203dは、載置部203cの側面からネジ受け部118が挿入可能なように、載置部203cの側面に対して開口している形状となっている。また、載置部203cの長手方向端部かつ短手方向端部にはメイン基板104に設けられたタブ117と接触する接点203eが設けられている。
アース用部材201と電力供給用部材203とは亜鉛(Zn)ダイキャストにより形成され導電性を有し、絶縁用部材202は、樹脂製の絶縁用部材により形成されている。このように、ヒンジ支持部材109は3つの部材で構成される。そして、アース用部材201と電力供給用部材203とが亜鉛等の金属で形成されることにより、ヒンジ支持部材109は、ヒンジの支持に必要な高い剛性を持つと同時に導電性を有する。
もちろん、本発明に係る端末装置に使用されるアース用部材201と電力供給用部材203に使用される材料としては金属に限定されるものではなく、導電性を有する材料であれば、亜鉛以外の材料であってよいし、アース用部材201と電力供給用部材203とに異なった材料を用いてもよい。
また、本実施形態のように、アース用部材201と電力供給用部材203に使用される材料としては剛性を高めるために、金属により形成することが好ましい。
また、本発明に係る端末装置に使用されるアース用部材201と電力供給用部材203とは、ダイキャスト以外の方法により作成されるとしても良い。また、本発明に係る端末装置に使用される絶縁用部材202に使用される材料としては樹脂に限定されるものではなく、その他の絶縁材料を用いることができる。
このように、アース用部材201は、上部筐体122の接地用のケーブルの機能を有し、電力供給用部材203は、下部筐体121から上部筐体122への電力を供給する電力供給用のケーブルの機能を有する。そして、アース用部材201と電力供給用部材203との間に樹脂製の絶縁用部材202を挟むことによって、アース用部材201と電力供給用部材203とを組み付けたとしても、両者は電気的に絶縁される。
また、アース用部材201と、絶縁用部材202と、電力供給用部材203とは、下部筐体121と上部筐体122とを閉じた状態における下部筐体121から上部筐体122に向かってこの順序で積層されて組み付けられる。この組み付け後の状態は、図3に示される。図3の(a)は、アース用部材201と、絶縁用部材202と、電力供給用部材203とを組み付けた後の、ヒンジ支持部材の斜視図であり、図3の(b)は、図3の(a)に示されるヒンジ支持部材109がキーフロントケース106に組み付けられた場合において、このヒンジ支持部材109をキーフロントケース106側から見た場合の概略図である。
ヒンジ支持部材109は、キーフロントケース106側において、アース用部材201と、絶縁用部材202と、電力供給用部材203との、それぞれの少なくとも一部が、外部に露出している構造となっている。アース用部材201と、絶縁用部材202と、電力供給用部材203とは、それぞれ、ヒンジ機構の軸方向に略垂直な方向に露出した部分201A,202A,203Aを備える。そして、後述する図4に示されるように、部分201A及び203Aには、それぞれ、アース用端子114及び電力供給用端子115が接触する。
ここで、アース用部材201と、絶縁用部材202と、電力供給用部材203において、図3の(a)に示される円柱表面形状を有する部分がヒンジ機構の軸部301となる。この軸部301にヒンジ嵌合部110が回動自在に組み付けられる。このように、アース用部材201と、絶縁用部材202と、電力供給用部材203とが組み付けられて組み付け体となり、ヒンジ機構の軸部301が構成される。
次に、本実施形態の携帯電話の下部筐体121と上部筐体122との電気的接続方法について図4及び図5を参照して説明する。図4及び図5は、図1に示される携帯電話における下部筐体121と上部筐体122との電気的接続方法を示す概略図である。そして、図4が、上部筐体122の電気的接続方法の概略図であり、図5が、下部筐体121の電気的接続方法の概略図である。
図4に示されるように、上部筐体122では、アース用部材201がLCD基板111に設けられたバネ端子116に設けられた略円筒形のアース用端子114に接触し、電力供給用部材203が、LCD基板111に設けられたバネ端子116に設けられた略円筒形の電力供給用端子115に接触する。
また、アース用端子114はバネ端子116により、アース用部材201の半径方向に向かってアース用部材201に付勢されている。同様に、電力供給用端子115はバネ端子116により、電力供給用部材203の半径方向に向かって電力供給用部材203に付勢されている。
また、アース用端子114は、アース用部材201と接する部分からLCD基板111へと至る部分の経路において導電性を有するため、アース用部材201とLCD基板111のグランド部とは、アース用端子114を介して導通されている。
また、電力供給用端子115は、電力供給用部材203と接する部分からLCD基板111へと至る部分の経路において導電性を有するため、電力供給用部材203とLCD基板111の配線部とは、電力供給用端子115を介して導通されている。
バネ端子116はケース状の筐体を有し、この筐体の内部にバネと付勢板とを備え、バネの一端がLCD基板111側の面を付勢し、バネの他端が付勢板を付勢する。そして付勢板がバネの付勢力によりアース用端子114と電力供給用端子115とを付勢することにより、アース用端子114と電力供給用端子115とが、それぞれ、アース用部材201と電力供給用部材203とに付勢される。
図4に示される例では、バネ端子116が、アース用端子114、及び、電力供給用端子115の双方を付勢しているが、本発明はこのように、1つのバネ端子116で、アース用端子114、及び、電力供給用端子115の双方を付勢する場合に限定されるものではなく、アース用端子114を付勢する第1のバネ端子、及び、電力供給用端子115を付勢する第2のバネ端子というように、それぞれのバネ端子(114,115)を付勢するバネ端子を別個に設けるとしても良いし、アース用端子114及び電力供給用端子115の少なくともいずれか一方を2以上のバネ端子で付勢するとしても良い。
なお、本発明に係る端末装置において、上部筐体122を接地するためのアース用端子114と、上部筐体122に電力を供給するための電力供給用端子115とを備えるバネ端子116は、LCD基板111に設けられている場合に限定されるものではなく、アース用部材201と電力供給用部材203とをそれぞれLCD基板111に導通可能であり、それぞれ、アース用部材201及び電力供給用部材203に、アース用端子114及び電力供給用端子115を付勢することができれば、LCD基板111以外の部材に設けられていても良い。
また、アース用部材201とアース用端子114との接点部、及び、電力供給用部材203と電力供給用端子115との接点部における、アース用部材201及び電力供給用部材203の形状は円柱表面形状である。なお、アース用部材201及び電力供給用部材203は、この円柱表面形状の部分において、円柱の半径方向に平行な断面をとった場合に、この断面が円の全体の形状となっている必要はなく、円の一部の形状となっていても良い。
また、本実施形態では、アース用部材201とアース用端子114との接点部、及び、電力供給用部材203と電力供給用端子115との接点部における、アース用部材201及び電力供給用部材203のそれぞれの形状が円柱表面形状であり、アース用端子114及び電力供給用端子115がヒンジ機構の軸部を中心として下部筐体121に対して相対的に回動し、かつ、アース用端子114と電力供給用端子115とがバネ端子116により、アース用部材201及び電力供給用部材203の半径方向に対して付勢されているため、上部筐体122と下部筐体121との開閉動作に伴う携帯電話の開閉動作に対して、アース用部材201とアース用端子114、及び、電力供給用部材203と電力供給用端子115との電気的な接続状態を維持することができる。
また、アース用部材201は、図5に示されるように、下部筐体121のアース用部材201の接続部201eがシールドケース105と共締めされることにより、シールドケース105と電気的に接続されて接地される。また、下部筐体121の電力供給用部材203は、バッテリ102からの電力が供給されるメイン基板104に設けられたタブ117と、電力供給用部材203に形成されたタブとの接点203eとが電気的に接続することにより電力が供給される。
より詳細に本実施形態の携帯電話の下部筐体121と上部筐体122との電気的接続方法について説明する。上部筐体122には、LCD基板111長手方向端部にバネ端子116が設けられている。このバネ端子116は、LCDフロントケース107側に向かって延設されている電力供給用端子115と、アース用端子114とを備える。
電力供給用端子115は、上部筐体122と下部筺体121とが開状態の間、閉状態の間、及び開閉動作がなされている間のいずれの間においても、電力供給用部材203に接するように、バネにより付勢されて電力供給用部材203に電気的に接続している。また、アース用端子114は、上部筐体122と下部筺体121とが開状態の間、閉状態の間、及び開閉動作がなされている間のいずれの間においても、アース用部材201に接するように、バネにより付勢されてアース用部材201に電気的に接続している。
ここで、本実施形態では、電力供給用端子115及びアース用端子114を付勢する部材としてバネを用いたが、本発明の端末装置は、電力供給用端子115及びアース用端子114を付勢する部材としてバネに限定されるものではなく、ゴムその他の付勢手段を用いても良い。
また、図5に示されるように、本実施形態の携帯電話の下部筐体121は、メイン基板104上の、長手方向及び短手方向端部にタブ117が形成され、このタブ117が、電力供給用部材203に形成された接点203eと接触し、電気的に接続されることにより、バッテリ102からの電力が導電性の電力供給用部材203及び電力供給用端子115を介して上部筐体122に供給される。
また、本実施形態の携帯電話の下部筐体121では、アース用部材201にシールドケース105と共締めするための接続部201eが設けられている。この接続部201eは、シールドケース105と共締めされることにより、シールドケース105と電気的に接続される。そして、シールドケース105が接地されていることから、接続部201eを介してアース用部材201も接地される。したがって、上部筐体122は、アース用端子114とアース用部材201とが電気的に接続されることにより接地がなされる。
このように、本発明に係る端末装置の一実施形態の携帯電話によれば、携帯電話の上部筐体122と下部筐体121とを開閉自在に連結するヒンジ機構にアース用部材201と電力供給用部材203とを設け、上部筐体122に設けられた電力供給用端子115が電力供給用部材203と電気的に接続され、アース用端子114がアース用部材201と電気的に接続されることにより、ケーブル等を用いずにヒンジ機構の軸部を介して下部筐体121のバッテリ102からの電力を上部筐体122に供給可能としている。そのため、本実施形態の携帯電話では、上部筐体122と下部筐体121との間に電力供給用及び接地用のケーブル等が不要となる。
また、本発明に係る端末装置の一実施形態の携帯電話によれば、電力供給用端子115及びアース用端子114が、バネ端子116により付勢されてヒンジ機構の円柱表面形状の部分に、この円柱の軸を中心として回動自在に接触しているため、上部筐体122と下部筺体121とが開状態の間、閉状態の間、及び開閉動作がなされている間のいずれの間においてもバッテリを有する下部筐体121から上部筐体122へ電力を供給することができると共に、これらのいずれの間においても上部筐体122を接地することができる。また、本発明に係る端末装置の一実施形態の携帯電話によれば、上部筐体122と下部筐体121との間における、ケーブル等による導通を、ヒンジ機構を介した導通に置き換えているため、ケーブル等を用いて導通を行っている場合に比べて、組み付け性を向上させることができる。
本実施形態ではヒンジ支持部材109を、アース用部材201と電力供給用部材203との間に絶縁性の樹脂部材である絶縁用部材202を挟んだ3つの部材で構成することにより、ヒンジ機構を構成するヒンジ支持部材109の1つの部材で、2つの筐体間における電源供給用の部材の機能とアース用の部材の機能との2つの機能を実現する。
また、本発明に係る端末装置の一実施形態では、上部筐体122と下部筐体121との間において、情報の送受信が電波を用いた無線通信により行われているため、ケーブルを用いずに情報の送受信を行うことができる。なお、これに対して、本発明に係る端末装置では、上部筐体と下部筐体との間において、情報の送受信をケーブル等を用いて行うとしても良い。この場合、情報の送受信はケーブル等を用いて行うが、電力の供給がヒンジ機構の軸部を介して行われケーブル等が不要となるため、この不要となったケーブル等の分において、筐体の組み付け性の向上を図ることができる。
このように、本発明に係る端末装置の一実施形態の携帯電話では、上部筐体122と下部筐体121との間における電力の供給をケーブルを用いずに行うことができる。
また、本発明に係る端末装置の一実施形態の携帯電話では、ヒンジ機構のヒンジ支持部材109の軸部に、従来技術のような電力供給用のケーブルを通過させるための中空部分を設ける必要がなくなり、中空部を小さく又は中実とすることができるため、ヒンジ軸部の剛性を維持しつつ、ヒンジ機構の薄型化、小型化が可能となる。したがって、このヒンジ機構を用いた携帯電話の薄型化、小型化も可能となる。
また、本発明に係る端末装置の一実施形態の携帯電話では、上部筐体122と下部筐体121との間における電力の供給をケーブルを用いずに行うことができるため、従来技術で必要であった電力供給用や接地用のケーブル等を設けるために必要なコストを削減し、電力供給用や接地用のケーブル等を形成するための製造工数を削減することができる。
また、本発明に係る端末装置の一実施形態では、上部筐体122に設けられた電力供給用端子115とアース用端子114とが、それぞれ、バネ端子116により付勢されつつ、電力供給用部材203とアース用部材201の円柱形状部分に、この円柱の軸を中心として相対的に回動自在に電気的に接するため、ヒンジ機構が回転動作を行い、ヒンジ機構の軸を中心として上部筐体122と下部筐体121とが開閉動作を行う場合であっても、電力供給用端子115及びアース用端子114の電力供給用部材203及びアース用部材201への電気的な接続状態を維持することができ、下部筐体側から上部筐体側への電力の供給を継続させることができる。
また、ヒンジ機構には上部筐体122と下部筐体121との開閉動作に伴い高負荷が発生するので、ヒンジ機構のヒンジ支持部には金属製の部材を使用することが必要となるが、本発明に係る端末装置の一実施形態では、ヒンジ支持部材109のアース用部材201及び電力供給用部材203を金属で形成することによりこの要件を満足している。
なお、本発明に係る端末装置の一実施形態では、図1及び図2に示されるように、ヒンジ機構は、本実施形態の携帯電話が閉じられている状態において、上部筐体側から下部筐体側へと向かう方向に、電力供給用部材203、絶縁用部材202及びアース用部材201という順序で組み付けられているが、本発明の端末装置はこのような場合に限定されるものではなく、下部筐体側から上部筐体側へと向かう方向に、電力供給用部材、絶縁用部材及びアース用部材という順序で組み付けられていても良い。
なお、上記本発明に係る端末装置の一実施形態である携帯電話では、バッテリ102を、ヒンジ機構の軸部を構成するヒンジ支持部材109を有する筐体側である下部筐体側に設けているが、本発明はこのような場合に限定されるものではなく、バッテリをヒンジ機構の軸部を構成するヒンジ支持部材(実施形態でのヒンジ支持部材109に該当)を有していない方の筐体に設けるとしても良い。
さらに、本発明に係る端末装置の一実施形態である携帯電話では、上部筐体122と下部筐体121との間における情報の送受信を無線電波による無線通信により行うとしているが、本発明はこのような場合に限定されるものではなく、上部筐体122と下部筐体121との間の情報の送受信を、光ファイバを用いて行うとしても良い。この光ファイバの心数は、1つでも複数でも良い。この上部筐体122と下部筐体121との間の情報の送受信を、光ファイバを用いて行う場合について図6を参照して説明する。
図6は、図1に示されるヒンジ支持部材109の変形例の構成図である。なお、この光ファイバを用いる構成では、ヒンジ機構の軸部301に光ファイバ601を通過させるための中空部分602を設ける構成とした以外は、前述の図1から図5を用いて説明した携帯電話の実施形態と同様の構成であり、前述の図1から図5を用いて説明した携帯電話の実施形態と同様の説明が成り立つため、その説明を省略する。
図6に示されるように、光ファイバ601を上部筐体122と下部筐体121との間の情報の送受信に用いる場合、ヒンジ支持部材109には、光ファイバ601により上部筐体122と下部筐体121との間を接続するため、光ファイバ601を通過させるための中空部分602が軸部301の略軸中心の位置に設けられている。この中空部分602は軸部301の軸方向に向かって略直線状に貫通しており、内部に光ファイバ601を挿入させることができるようになっている。
光ファイバ601により上部筐体122と下部筐体121との間で情報の送受信を行う場合であっても、本発明によれば、電力供給用や接地用のケーブル等は不要であり、光ファイバ601の径は小さいため、光ファイバ601を通過させるための中空部分602がヒンジ機構の軸部301に存在したとしても、ヒンジ機構の剛性を高く確保でき、かつ、ヒンジ機構の薄型化、小型化を図ることができる。
また、上述の本発明に係る端末装置の一実施形態である携帯電話では、上部筐体122と下部筐体121との間において電力の供給を行うケーブルによる導通手段をヒンジ機構の軸部を介した導通手段に置き換えているが、本発明に係る端末装置はこのような場合に限定されるものではない。すなわち、本発明に係る端末装置は、信号の送受信をヒンジ機構の軸部を用いて行うとしても良い。この場合、例えば、図4に示されるアース用部材201とアース用端子114、及び、電力供給用部材203と電力供給用端子115の少なくともいずれか一方が、上部筐体122と下部筐体121との間において信号を送受信するための信号線となる。
すなわち、信号の送受信をヒンジ機構の軸部を用いて行う場合、上述の説明のように、アース用部材201とアース用端子114とが電気的に接続されて上部筐体122と下部筐体121とを導通させて信号線となり、電力供給用部材203と電力供給用端子115とが電気的に接続されて上部筐体122と下部筐体121とを導通させて信号線となる。この場合であっても、上部筐体122と下部筐体121との間で信号の送受信を行ためのケーブルをヒンジ機構の軸による導通手段に置き換えているため、ケーブル等を用いて導通を行っている場合に比べて、組み付け性を向上させることができる。なお、この信号の送受信をヒンジ機構の軸部を用いて行う場合、上部筐体122と下部筐体121との間の電力の供給をケーブルを用いて行う。