JP4817420B2 - 水素製造装置及び方法 - Google Patents

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Description

本発明は、デカリンやパーヒドロアントラセン等の水素化芳香族化合物を脱水素反応させて水素ガスを製造する装置と方法に関するものである。
自動車、並びに、家庭や事務所向け燃料電池用の燃料水素の供給方法として、シクロへキサンやデカリン等に代表される水素化芳香族化合物の脱水素反応による水素ガスの供給が検討されている。非特許文献1には、水素化サイトにおいて、ナフタレンを水素ガスと反応させてデカリンを主成分とする水素化生成物を得、これをタンクローリー等で家庭用燃料油卸売店・小売店、又はガソリン元売店・スタンドに運搬し、運搬先でデカリン脱水素反応器によってデカリンからナフタレンと水素とを生成させ、この水素を自動車等に供給し、ナフタレンはタンクローリーで再び水素化サイトへ運搬することについての記載がある。しかしながら、脱水素反応の圧力条件については記載がない。
特許文献1には、水素ガスの貯蔵、運搬媒体としてベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレンなどの単環式芳香族化合物、ナフタレン、メチルナフタレンなどの2環式芳香族化合物、アントラセンなどの3環式芳香族化合物を用いることが記載されており、また、それらの脱水素触媒反応の反応条件としては、反応温度が50〜350℃(好ましくは80〜250℃)であり、反応圧力が0.1〜10気圧(好ましくは1〜5気圧)であるとしている。
特許文献2には、芳香族化合物を水素ガスの貯蔵、運搬媒体として利用する水素貯蔵・供給システムにおいて、水素化反応と脱水素反応との双方に優れた触媒活性を有する触媒であって、担持金属としてはニッケル、パラジウム、白金、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、モリブテン、レニウム、タングステン、バナジウム、オスミウム、クロム、コバルト、及び鉄からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属をアルミナ、シリカ等の担体に担持させた触媒が提案されている。
そして、水素化反応及び脱水素反応の条件としては、温度50〜500℃、水素分圧0.1〜50気圧が記載されているが、段落0069には脱水素反応については前期水素分圧範囲内の低圧側が好ましいことが記載されている。
特許文献3には、芳香族化合物を水素ガスの貯蔵、運搬媒体として利用する水素貯蔵・供給システムであって、水素貯蔵体の水素化と脱水素とを単一容器内で行わせることができるものが記載されており、その反応条件については、温度を20〜500℃(好ましくは50〜350℃)、反応圧力を0.1〜50気圧(好ましくは1〜10気圧)とすることが記載されている。
特許文献4ではナフテン系炭化水素を触媒層を通して気相脱水素して水素を製造するにあたり、触媒層の平均温度270〜500℃、ナフテン含有率95%以上、LHSVを0.5〜10で行っている。圧力については常圧〜2MPa、ナフテンはメチルシクロへキサンまたはシクロへキサンを使用している。触媒はPt、Pd、Ir、Rh、Auなどを想定している。
ところで、水素化芳香族化合物の脱水素反応は、水素ガスが発生する反応であるため、一般的には常圧以下で行われる。これを例えば、ナフタレンを水素化して得られるデカリンについてみると、デカリンの脱水素反応は次の式で表すことができ、非特許文献1(図2参照)に記載されているように、通常は240℃以上の温度で触媒の存在の下で行われる。
Figure 0004817420
即ち、この反応は右辺では水素ガスが5分子発生し容積が増大するために、一般的には常圧(1気圧)以下で行われるのが普通である。また、この反応は平衡値Kp=1の時の温度がほぼ240℃(510K)であり、それ以上の温度で反応を起させることが望ましいことが化学平衡論から明らかである。
しかしながら、この脱水素反応を常圧以下の圧力で行った場合、発生した水素をボンベに高圧充填する場合は数百気圧まで加圧する必要があり、相当の設備と圧縮のための電力を要するという問題がある。上記従来技術を示す文献には、発生した水素を高圧まで加圧しなければならないという観点から反応条件を検討した旨の記載はない。
非特許文献2では、反応系に分離膜を組み込んだメンブレンリアクターについての記述があり、そのP.161には水素を選択的に透過する分離膜を組み込んだメンブレンリアクターの記述がある。これは、反応と同時に生成物である水素の分離を可能とするものである。水素を分離することにより反応式(1)を右辺へ進行させることができる。しかしながら、用いている分離膜はPd膜であり、この膜を組み込んだメンブレンリアクターが非常に高価になることが問題である。
非特許文献3では、メタンの水蒸気改質による下記の反応式(2)の中に水素を引抜く分離膜に関する記述がある。
Figure 0004817420
この文献では分離膜に多孔質無機膜を使っている。無機膜は水素のみ透過できる0.3nmの細孔をあけ、水素と他のガス(H2O、CO、CH4、Cl2など)を分離する方式を採用している。この無機膜は水素選択透過性に優れているものの、透過流速が小さく、大量に消費される水素の製造に適しているとは言えない。
特開2001−110437号公報 特開2001−198469号公報 特開2002−134141号公報 特開2004−203712号公報 ECOIndustry Vol.7 No.8(2002) P.29−35 平成12年度 新エネルギー・産業技術総合開発機構委託事業 "次世代化学プロセス技術開発成果報告" NEDO "高効率高温水素分離膜の開発プロジェクト"
本発明は、水素化芳香族化合物を水素ガスの貯蔵、運搬媒体として利用する水素貯蔵・供給システムにおいて、脱水素化工程で発生した水素をボンベに高圧で加圧充填するための作業等を不要、または簡素化することにより、設備、電力のコストダウンを図り、効率的な水素貯蔵・供給システムを提供することを目的とする。また、本発明は、自動車、住宅用等の燃料電池において用いられる水素を供給することを目的とする。
本発明者等は、水素化芳香族の脱水素プロセスを高圧下で行わせて高圧の水素を発生させることにより上記の課題が解決できることを見出し、本件発明を完成させたものである。
すなわち、本発明は次の構成を有する。
原料である水素化芳香族化合物の脱水素反応に活性な触媒の存在下、高圧下で運転することが可能な脱水素反応器に、該脱水素反応器内の水素分圧を低下させることができる手段を組み合わせたことを特徴とする、水素化芳香族化合物の脱水素による水素製造装置である。
また、脱水素反応器内の水素分圧を低下させることができる手段が、原料の流れ方向に2段以上に分割された脱水素触媒層と、分割された該触媒層の中間に設置された気液分離装置と、生成した水素ガスを該気液分離装置から抜出す配管と、原料である水素化芳香族化合物と脱水素反応生成物である芳香族化合物とから成る油相を該脱水素反応器に還流させる配管とから構成される装置群とすることを特徴とする。さらに、前記脱水素触媒層の中間に設置された気液分離装置が、脱水素反応生成物である油相と、油相に分散した水素気泡とを捕集することができる下端が開放した筒状の構造体であり、該構造体の中間部にミスト分離装置を備えることによって水素ガス溜りを生成させるようにした装置であることを特徴とする。
前記原料の流れ方向に2段以上に分割された脱水素触媒層の中間に設置された気液分離装置が、凝縮分離装置、遠心分離装置、圧縮装置から選ばれる少なくとも一つであることを特徴とする。
また、脱水素反応器内の水素分圧を低下させることができる手段が、脱水素触媒層の上部から原料である水素化芳香族化合物を供給する配管と、該触媒層の下部から脱水素反応生成物である芳香族化合物を抜出す配管と、該触媒層の上部から生成した水素ガスを抜出す配管とから構成される配管群であることを特徴とする。
また、本発明の水素製造方法は、水素化芳香族化合物がシクロヘキサン、メチルシクロへキサン、デカリン、メチルデカリン、テトラリン、メチルテトラリンから選ばれる化合物の少なくとも1つであり、脱水素反応器の運転圧力が0.5MPa以上、10MPa以下とし、前記いずれかの態様に係る水素製造装置を用いて脱水素させることを特徴とする。
本発明によれば、水素化芳香族化合物の脱水素反応において高圧の水素ガスを高い反応率で得ることができるので、これを直接利用する(例えば、そのままボンベ等に充填する)ことにより、常圧の水素ガスを高圧充填するための設備を不要、または簡素化することができ、経済的に高圧水素ガスを製造することができる。
以下に、本発明の水素化芳香族化合物の脱水素による水素製造装置、及びそれを用いる水素の製造方法について、詳細に説明する。
図1は本発明の水素製造装置の一般的構成を説明するための概念図である。原料である水素化芳香族化合物は、タンク31からバルブ50、ポンプ51を介して脱水素反応器30に送られる。脱水素反応器30には、本発明の特徴である水素分圧低下手段33が接続されている。この水素分圧低下手段は、脱水素反応器内部に設置することが一般的であるが、外部に設置することもできる。また、図1は概念図であるため水素分圧低下手段は1個しか示していないが、数個設置することもできる。これらの水素分圧低下手段の上部には、分離した水素を抜出す配管が接続されており、これによって、反応器内の水素分圧が下がり、平衡を超える高い反応率で水素を発生させることができる。
水素分圧低下手段の下部からは原料である水素化芳香族化合物と脱水素反応生成物である芳香族化合物とから成る油相を脱水素触媒層に還流させる配管が接続されている。脱水素反応器の上部には冷却器を設置し、水素分圧低下手段によって分離した水素と合流した後、圧力調整弁52を経た後、必要があれば水素精製装置34に送られる。なお、水素精製装置は、一般的には活性炭吸着層が用いられるが、何ら限定的ではない。
本発明では高圧の水素ガスが得られるため、直接ボンベ等に充填することも可能であるが、水素タンク35に貯蔵した後、適宜出荷することもできる。また、脱水素された芳香族化合物は、タンクローリーで水素化サイトに運搬されて再度水素化された後、タンク31に戻される。
図2は、本発明の水素分圧低下手段として気液分離装置を用いた態様の一例を示している。反応器内部に下部が開放された筒状の構造物を設置し、その中間部にミスト分離装置が設置されている。これによって、ミスト分離装置の下部に水素ガス溜りが発生する。水素ガス溜り中には油相微粒子が混在するが、それらはミスト分離装置でろ過・除去される。一方、水素ガスはミスト分離装置を通過できるため、反応器内の水素分圧を低下させ、平衡を超える高い反応率が達成される。また、筒状構造物の下部は開放されているため、油相は触媒層側へと拡散していくことができる。なお、図2においては、原料である水素化芳香族化合物を上部から供給し、脱水素反応生成物である芳香族化合物は下部から抜出すとしているが、本態様においては供給・抜出し口を上下逆とすることもできる。
ミスト分離装置としては、金網を積層させたデミスターが単純な構造で、圧力損失も少ないため好適に用いられるが、水素と油相ミストを分離できるものであれば用いることができ、何ら限定的ではない。これには、撥油性の(コーティングを施した)ろ布、多孔質セラミックス板や多孔質金属板などを例示することができる。また、図2では反応器内部に気液分離装置を設置しているが、外部に設置することもできる。外部に設置する場合、装置が大きくなる欠点を有しているものの、ノックアウトドラムやオイルーガスセータのような一般的な気液分離装置を転用できる利点がある。
なお、ミスト分離装置の上部から配管によって製品である水素を分離するが、水素中に含まれる芳香族化合物などの有機化合物蒸気圧や水素精製装置34の設置有無によって、分離した水素を冷却して、さらに有機化合物蒸気を除去すべきかが決定される。また、脱水素触媒の分割数は2段以上であれば良く、何ら限定的ではないが、あまりに段落が多いと装置が大きくなるばかりでなく、設備の保守・点検等に要する手間も多くなり経済的ではないため、5段以下が好ましい。分割された層の間隔は気液分離装置を設置できる空間ができればよい。
図3は、脱水素触媒層の上部から原料である水素化芳香族化合物を供給し、該触媒層の下部から脱水素反応生成物である芳香族化合物を抜出し、該触媒層の上部から生成した水素ガスを抜出すことにより、反応器内の水素分圧を低下させた本発明の態様の一例を示している。本態様においては、上部から原料を供給し、下部から芳香族を抜出し、上部から水素ガスを抜出すことが不可欠である。これは水素化芳香族化合物の脱水素は、脱水素反応が進行するに従い、反応速度が遅くなるため、反応器流れ方向後半で水素分圧を低下させることによって、より高い反応率を達成できることによる。例えばデカリンの場合、3分子の水素が脱水素するテトラリンまでは比較的容易に反応が進行するが、テトラリンからナフタレンへと、さらに2分子の水素を脱水素させるには、水素分圧の低下が非常に有効である。テトラリンからナフタレンへの脱水素のような脱水素反応の後半領域は、触媒層の後半で進行する。水素ガスは、浮力によって反応器上部へと移動するため、後半の脱水素反応が起こる領域での水素分圧が顕著に低下し、高い反応率が達成されるのである。これは、図3の態様に限らず、本発明全般についていえることである。すなわち、原料は下降流として、水素は触媒層の途中あるいは上方から、好ましくは上方から、より好ましくはその両方から抜き出すのがよい。
図3においては、連続した1段の触媒層を用いている。しかし、これを原料の流れ方向で2段以上に分割して用いることもできる。この場合、分割した各触媒層の温度を別々に制御することができ、好ましい。特に、後半の脱水素反応が起こる触媒層の温度を、水素化芳香族化合物や脱水素触媒の種類によって変化するので何ら限定的ではないが、前半より5〜30℃程度高く設定することにより接触時間が短くなり経済的である。この温度差は触媒層が3段以上の場合には入口に面した層と出口に面した層の間のものである。ただし、あまり温度を高く設定するとカーボン質の蓄積等により触媒寿命が短くなるので、好ましくない。このような態様に用いることのできる装置としては、棚段式精留塔を例示することができる。棚段上に脱水素触媒層を充填することにより、本発明の水素製造装置となり装置設計が簡便になる。
なお、図2に示した気液分離装置を用いる態様においては、原料である水素化芳香族化合物を上部から供給し、脱水素反応生成物である芳香族化合物は下部から抜出すとしている。この場合、図3に示した態様も併せ持った装置となっている。したがって、原料・生成物の供給・抜出しを上下逆にした場合に比べ、より高い反応率になる。しかし、気液分離装置は強制的に水素を分離するものであり効率が高いことから、その差は比較的小さい。
気液分離装置は、これらに限らず、コンデンサーなどの凝縮分離装置、サイクロンなどの遠心力分離装置、コンプレッサーなどの圧縮装置を用いるものであってもよい。
本発明においては、脱水素反応の原料である水素化芳香族化合物として、シクロヘキサン、メチルシクロへキサン、デカリン、メチルデカリン、テトラリン、メチルテトラリンから選ばれる化合物の少なくとも1つであることが好ましく、図3に示した態様においては、デカリン、メチルデカリン、テトラリン、メチルテトラリンから選ばれる化合物の少なくとも1つであることが特に好ましい。
脱水素反応器の運転圧力は0.5MPa以上、好ましくは0.8MPa以上、より好ましくは、1.1MPa以上であり、10MPa以下、好ましくは8MPa以下が望ましい。運転圧力が0.5MPa未満では、水素化芳香族化合物や生成物である芳香族化合物が、気体として存在する割合が高く、水素分圧の低下効果が不十分となり好ましくない。圧力が10MPa越えでは、反応率の低下が大きく経済的ではないため、好ましくない。
本発明の水素製造装置、及びそれを用いる水素製造方法においては、水素化芳香族化合物を高圧反応器内で脱水素して、高圧水素ガスを得る。得られた高圧水素ガスは、直接高圧状態で利用される。なお、本発明でいう「直接利用する」とは、高圧水素ガスをそのまま、または再加圧、あるいは適宜減圧して利用することをいい、利用の形態としては水素タンクや水素ボンベなどに供給し、充填することを挙げることができる。その結果として、高圧充填するための設備を不要、または大幅に簡素化することができ、経済的に高圧水素ガスを製造することができるのである。
反応温度は原料の種類、運転圧力に応じて最適範囲が変化するため限定的ではないが、100〜400℃程度が好ましい。100℃未満では反応速度が遅く、現実的ではない。400℃越えでは反応速度は速いものの、触媒に炭素質が析出し触媒寿命が短くなるため、好ましくない。
脱水素触媒としては公知の触媒を用いることができ、何ら限定的ではない。例えば、パラジウム、白金、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、オスミウム、モリブテン、レニウム、タングステン、バナジウム、ニッケル、クロム、コバルト、及び鉄からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属を含む触媒を用いることができる。これらの金属は、ニッケルスポンジのように無担持の状態で用いることもできるが、より好ましくは触媒担体に担持されて用いられる。触媒担体としては、アルミナ、シリカ、ジルコニア、ゼオライト、チタニア、活性炭、珪藻土等を例示することができる。これらの中でも、脱水素活性が高く、活性金属のリサイクル技術が確立されているパラジウム、白金、ロジウム、イリジウム等の貴金属をアルミナや活性炭に担持した触媒が特に好ましい。また、これらの担持貴金属触媒に、レニウム、スズ、ランタン等の助触媒成分を添加することもできる。なお、活性金属成分の担持量は、何ら限定的ではないが、0.01〜20重量%、好ましくは0.05〜15重量%程度が適当である。
脱水素触媒の形状は、何ら限定的ではないが、粉末状、粒状、ペレット状、ハニカム状などを例示することができる。この中でも触媒層の圧力損失が小さくなることから、粒状、ペレット状、ハニカム状が特に好ましい。活性金属成分の担体への担持方法としては、含浸法、イオン交換法、ディップコート法、CVD法など任意の調製法を用いることができ、何ら限定的ではない。
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。
実施例1
脱水素反応器として内径49.4mmの直管を用意し、垂直に設置した。これに、脱水素触媒として、1inch2 (約6.45cm あたりのセル数(cpsi)が400cpsi(約62セル/cm で外径49.2mm、高さ20mmの円柱型メタルハニカム担体(材質:Fe−Cr−Al系合金)に、脱水素反応活性成分としてPtを、担体嵩容積あたりの担持量で表して2g/L担持した触媒3個を用意し、それぞれ40mmずつ離して3段に触媒を充填した。反応器最上段の触媒と2段目の触媒との間、並びに、2段目の触媒と3段目の触媒との間に、図2内の拡大図に示したようなワイヤーメッシュデミスターから成る気液分離装置をそれぞれ2個ずつ、反応器に溶接して連続した(断面内設置方向:最上段と2段目との間は0℃と180℃、2段目と3段目との間は90℃と270℃)。気液分離装置の大きさは、高さ20mm、幅15mmとし、高さ方向のほぼ中央にSUS304製500メッシュ(目開き58μm)の金網を4層積層させたデミスターを取り付けた。また、各気液分離装置上部の位置に、図2に示すような生成した水素ガスを抜出す配管を接続し、各水素ガス抜出し配管にはバルブを取り付けた。図2と同様、反応器上部には冷却器を、水素ガスの抜出し配管合流点の下流には背圧弁を取り付けた。反応器外側にはシーズヒーターを巻きつけ、反応器軸方向のほぼ中心位置に挿入した熱電対により、反応速度を制御した。
脱水素反応原料はデカリン(トランス体とシス体の1:1混合物)とし、これを反応器最上部から供給するようにし、また、最下部からは脱水素生成物(ナフタレン等)を抜出すよう配管を接続した。なお、本実施例では、各気液分離装置から水素ガスを抜出す配管のバルブを全開とした。デカリンの供給速度を2.1mL/min(=1.87g/min)とし、反応温度380℃、全圧5MPaでデカリンの脱水素実験を行ったところ、デカリン転化率66%であった。気液分離装置による水素分圧低下の効果は著しく、本実施例で得られた転化率は、本反応条件における平衡転化率(40%)の1.65倍であった。本実験における脱水素反応前後の炭素原子収支、並びに、収支は、それぞれ、97%、103%と良く一致しており、デカリン転化率に相当する水素ガスが発生した。発生した水素ガスの純度は約99%であった。
比較例1
各気液分離装置から水素ガスを抜出す配管のバルブを全閉とした以外は実施例1と同様にして脱水素実験を行った。各バルブを全閉としたことにより、気液分離装置は機能しなくなり、図3に示す態様と同様の脱水素装置となった。その結果、水素分圧低下の効果はやや低くなったものの、デカリン転化率55%であった。これは、本反応条件における平衡転化率の1.38倍であり、簡単な装置によっても高い反応率が得られることが示された。
比較例
デカリンを反応器最下部から供給し、脱水素生成物を最上部から抜出すとした以外は比較例1と同様にして脱水素実験を行った。本実験では、気液分離装置は機能せず、かつ、油相の流れを上下逆としたことにより水素分圧低下の効果がなく、デカリン転化率は38%と、ほぼ平衡転化率に一致する結果となった。
本発明の水素製造装置および製造方法は、高圧水素を利用するプロセスに広く適用の可能性があり、住宅用や自動車用の燃料電池等への利用が考えられる。
本発明の水素製造装置の一般的構成を示す概念図である。 本発明の水素製造装置の一態様を示す概略図である。 本発明の水素製造装置の一態様を示す概略図である。

Claims (2)

  1. 原料である水素化芳香族化合物の脱水素反応に活性な触媒の存在下、高圧下で運転することが可能な脱水素反応器と、
    前記脱水素反応器の内部に、原料の流れ方向に2段以上に分割された脱水素触媒層と、
    前記分割された脱水素触媒層の間に設けられ、脱水素触媒層において脱離した水素ガスを脱水素反応生成物のミストから分離する気液分離装置と、
    前記分離された水素ガスを前記脱水素反応器から抜き出す配管と、を有し、
    前記気液分離装置が下部が開放された筒状の構造物であり、その中間部にミスト分離装置が設置されている
    ことを特徴とする水素製造装置
  2. 請求項1に記載の水素製造装置を用いた水素製造方法であって、
    前記水素化芳香族化合物がシクロヘキサン、メチルシクロへキサン、デカリン、メチルデカリン、テトラリン、メチルテトラリンから選ばれる化合物の少なくとも1つであり、
    前記脱水素反応器の運転圧力が0.5MPa以上、10MPa以下である水素製造方法
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