JP2003246603A - 水素発生装置 - Google Patents
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Abstract
と。 【解決手段】 水素発生体を触媒30に接触させて脱水
素反応を行い、芳香族化合物と水素を発生させる水素発
生装置であって、触媒30を担持させた触媒担持材料3
1を、円柱若しくは平板形状のヒータ14に巻き付けた
構成、または触媒30を円柱若しくは平板形状のヒータ
14に塗布した構成の水素発生装置とすること。
Description
素反応を利用して水素を発生させる水素発生装置に関す
る。
に都市部では発電所からの電力供給が追いつかなくなる
等の問題が発生している。現在、日本の電力は、その約
半分を火力発電に、約3割〜4割を原子力に、残りを水
力発電や風力発電等に依存している。
石燃料であるため、その供給に限りがある。さらに、石
油を燃やした後に発生する二酸化炭素、NOX等の排ガ
スは、地球温暖化をはじめとする地球環境悪化の元凶と
なっている。また、原子力は、放射性廃棄物の処理ある
いは発電所における事故が問題視されている。
維持するには、ある程度の環境問題や放射線発生のリス
クに目をつぶり、火力発電や原子力発電に頼らざるを得
ないというのが、日本のみならず世界の現状である。な
お、水力発電は、季節による電力供給の不安定さ、発電
所建設に伴う森林伐採、発電効率の低さが問題であり、
電力供給方法としては衰退してきている。また、風力発
電や地熱発電は、まだまだコスト的に高いものであり、
小規模に留まっている。
在、ガソリン、軽油、プロパンガス等の炭化水素系の燃
料が主として用いられている。最近では、「環境にやさ
しい」ことがキャッチフレーズになってきており、排ガ
スをできるだけ抑えるべく、電気とガソリンの両方で切
換走行できるハイブリッド自動車が実用化されている。
しかし、ハイブリッド自動車の場合でも、依然としてガ
ソリン等の炭化水素燃料を使用せざるを得ない。
最近、水素燃料が注目されてきている。水素は、水の電
気分解により生成できる。このため、海水や河川の水を
電気分解することを考えれば、水素燃料は無尽蔵に存在
することになる。また、水素は、燃焼後に二酸化炭素を
発生しないクリーンなエネルギー源である。このような
長所から、水素は、ガソリン、石油のような炭化水素燃
料の代替燃料として注目されている。
体や固体に比べて、貯蔵や運搬が難しい。しかも、水素
は可燃性物質であり、空気と所定の混合比になると、ち
ょっとした電気火花の存在下でも爆発してしまう。この
ため、水素は、取り扱いに極めて注意を要する燃料であ
る。水素を気体の状態で高圧ボンベに貯蔵することも可
能であるが、貯蔵量が限られると共に高圧封入にコスト
がかかる。
7−192746号公報に開示されるように、水素吸蔵
合金に水素を反応させて貯蔵する方法が知られている。
しかし、La−Ni系、Ti−Fe系等の水素吸蔵合金
は重く、可搬式の水素貯蔵装置としては問題がある。ま
た、既存の水素吸蔵合金は、吸蔵できる水素量が多くて
も約3重量%に過ぎず、貯蔵する水素量をもっと多くし
たいとの要求もある。さらに、水素吸蔵合金が高価であ
ることも問題である。
スト化にすぐれた水素貯蔵方法として、ベンゼンやナフ
タレンのような炭化水素が注目されている。これらの炭
化水素は、運搬性に優れているという長所を有してい
る。
有する環状炭化水素であるが、ベンゼンは炭素同士の結
合が二重結合である不飽和炭化水素であるのに対し、シ
クロヘキサンは二重結合を持たない飽和炭化水素であ
る。ベンゼンの水素付加反応によりシクロヘキサンが得
られ、シクロヘキサンの脱水素反応によりベンゼンが得
られる。また、ナフタレンの水素付加反応によりデカリ
ンが得られ、デカリンの脱水素反応によりナフタレンが
得られる。すなわち、これらの炭化水素の水素付加・脱
水素反応を利用することにより、水素の貯蔵および供給
が可能となるのである。このような水素の貯蔵あるいは
供給の技術において、現在、特に着目されている技術
は、シクロヘキサンあるいはデカリン等の飽和炭化水素
原料の脱水素反応により水素を発生させ、その水素を燃
やした時の熱エネルギーを動力に変える技術であり、自
動車の動力として期待されている。
水素発生技術には、次のような問題がある。第1の問題
点は、シクロヘキサン等の飽和炭化水素と触媒との化学
的作用が低く、そのことが実用化の障壁となっているこ
とである。
あるいは水素発生体から芳香族化合物への転化率の制御
が難しいということである。特に、低コスト化を維持さ
せつつ、制御性を高めることが困難である。
ず、脱水素反応により生成された芳香族化合物、反応に
よって得られた熱エネルギーの利用を図るシステムが確
立されていないことである。したがって、廃棄物問題、
熱エネルギーの放出による温暖化という環境問題が残さ
れている。これらの問題は、水素発生体の脱水素反応に
より得られた水素をエネルギー源として実用化を図る際
に、大きな問題となる。
のであり、水素発生にあたり、その反応効率を高めるこ
とを目的とする。また、別の発明は、水素発生の制御性
を高めることを目的とする。また、別の発明は、エネル
ギーの有効活用と環境を保護することを目的とする。
に、本発明は、水素発生体を触媒に接触させて脱水素反
応を行い、芳香族化合物と水素を発生させる水素発生装
置であって、触媒を担持させた触媒担持材料を、円柱若
しくは平板形状のヒータに巻き付けた構成、または触媒
を円柱若しくは平板形状のヒータに塗布した構成とする
水素発生装置としている。このため、ヒータで直に加熱
された触媒あるいは触媒担持材料に担持された触媒で脱
水素反応が行われることになる。この結果、触媒の加熱
効率が良くなり、脱水素反応の反応率が高まる。また、
ヒータと触媒あるいは触媒担持材料とが一体的な構成と
なっているため、脱水素反応の反応率を制御したい場合
に、ヒータの位置を変更しさえすれば良い。このため、
水素発生の際の条件に応じて、装置内のレイアウトを簡
便に実行できる。
触させて脱水素反応を行い、芳香族化合物と水素を発生
させる水素発生装置であって、円柱状のヒータと、その
上方にあって、脱水素反応により生成した生成物の内、
水素を除く生成物を冷却して液化させるための冷却部と
を備え、冷却部の下面に凹凸をつけた水素発生装置とし
ている。このため、冷却部にて冷やされた水素以外の生
成物が、冷却部の下面からほぼ均一の直径の滴となって
触媒に供給される。この際、凹凸の部分を特定の場所に
設けると、当該水素以外の生成物の滴下位置を決めるこ
とが出来る。また、凹凸部分を冷却部の下面に均一に設
けると、当該水素以外の生成物は、均一な分布で触媒に
供給される。
触させて脱水素反応を行い、芳香族化合物と水素を発生
させる水素発生装置であって、脱水素反応により生成し
た生成物の内、水素を除く生成物を冷却して液化させる
ための冷却部と、触媒あるいは触媒を担持させた触媒担
持材料とを任意の順番に配置可能とするための交換式ス
ロットを複数備えた水素発生装置としている。このた
め、水素の発生量の制御、水素発生体から芳香族化合物
への転化率を制御するため、冷却部と触媒担持材料の各
交換式スロットの位置を変更したり、これらの数を変え
たりすることが簡単に出来るようになる。具体的には、
水素の発生量を増加させたい場合には、触媒担持材料の
交換式スロットを多くし、転化率を増大させたい場合に
は、冷却部の交換式スロットを多くすることができる。
さらに、制御条件に応じて、触媒担持材料の交換式スロ
ットと冷却部の交換式スロットを交互に配置したり、触
媒担持材料の交換式スロット2本(あるいは2枚)に対
して、冷却部の交換式スロットを1本(あるいは1枚)
の割合で設置したり、逆に、冷却部の交換式スロット2
本(あるいは2枚)に対して、触媒担持材料の交換式ス
ロットを1本(あるいは1枚)の割合で設置したりする
ことが出来る。
触させて脱水素反応を行い、芳香族化合物と水素を発生
させる水素発生装置であって、触媒を担持させた触媒担
持材料の下方に、水素発生体をポンプで供給する供給部
を設け、供給部に水素発生体を加熱するヒータを備えた
水素発生装置としている。このように、ポンプを用いて
水素発生体を供給しているので、正確な供給が可能とな
る。また、供給部にヒータを備えているので、噴霧ある
いはシャワー状に供給された水素反応体を冷えにくくす
ることができ、脱水素反応の反応率を高めることができ
る。
触させて脱水素反応を行い、芳香族化合物と水素を発生
させる水素発生装置であって、触媒を担持させた触媒担
持材料の上方に、水素発生体を貯蔵する貯蔵部を設け、
貯蔵部の孔から、触媒担持材料に水素発生体を落下させ
て脱水素反応を行わせるようにした水素発生装置として
いる。このため、ポンプ等の供給手段を用いなくても、
水素発生体の供給が可能となる。したがって、装置の低
コスト化を図ることが出来る。
部に、水素発生体を加熱するヒータを設けた水素発生装
置としている。このため、上記作用に加えて、水素発生
体の脱水素反応をより効果的に行わせることができる。
触させて脱水素反応を行い、芳香族化合物と水素を発生
させる水素発生装置であって、発生した水素と、芳香族
化合物を含むその他生成物とを分離して水素濃度を高め
るための水素分離装置と、水素分離装置からの水素と、
酸素との反応により電気エネルギーと熱エネルギーを生
み出す燃料電池と、水素分離装置からの芳香族化合物を
燃やす内燃機関とを備え、燃料電池および内燃機関の内
の少なくともいずれか1つから発生した熱エネルギーを
脱水素反応に利用する水素発生装置としている。このた
め、水素を用いた発電で発生した熱エネルギーあるいは
燃料電池で発生した熱エネルギーの有効利用と、脱水素
反応の副産物である芳香族化合物の有効利用とを図るこ
とが出来る。したがって、資源保護と環境保護が実現で
きる。
芳香族化合物として、ベンゼン、トルエン、キシレン、
メシチレン、ナフタレン、メチルナフタレン、アントラ
セン、ビフェニル、フェナスレン、およびこれらのアル
キル置換体の内の、いずれか1つまたはこれらのいずれ
かの任意の組み合わせを用いた水素発生装置としてい
る。このため、本装置の使用に際し、特殊な原料を用い
る必要はなく、低コストの運転が可能となる。
触媒として、白金、ロジウム、パラジウム、イリジウ
ム、ルテニウム、モリブデン、レニウムおよびタングス
テンの内、少なくとも1つを用いた水素発生装置として
いる。このため、本装置の使用に際し、特殊な触媒を用
いる必要はなく、低コストの運転が可能となる。
触媒を担持する触媒担持材料を備え、触媒担持材料は、
炭素繊維、活性炭、アルミナ、シリカ、ゼオライト、メ
ソ多孔質材、カーボンナノチューブの内の少なくとも1
つとした水素発生装置としている。このため、本装置の
使用に際し、特殊な触媒担持材料を用いる必要はなく、
低コストの運転が可能となる。
施の形態について、図面に基づいて説明する。
水素を発生する物質を意味する。また、以下の実施の形
態では、水素発生体としてシクロヘキサンを用いた脱水
素反応により、芳香族化合物としてのベンゼンと水素と
を生成させる例を説明するが、シクロヘキサン以外の水
素発生体を用いても良い。
ン、トルエン、キシレン、メシチレン、ナフタレン、メ
チルナフタレン、アントラセン、ビフェニル、フェナス
レン、およびこれらのアルキル置換体の内のいずれか1
つを生成したり、1つまたは複数の水素発生体を使用す
ることにより、上記芳香族化合物のいずれかの任意の組
み合わせを生成することも可能である。
な実施の形態の構成を模式的に示す図である。本発明の
水素発生装置は、反応容器1と、原料タンク2と、回収
タンク3と、活性炭フィルタ4と、液体窒素トラップ5
と、ポンプ6とから、主に構成されている。
クロヘキサンの脱水素反応により、水素と、芳香族化合
物の一例であるベンゼンとを生成させる装置である。こ
の反応容器1には、最下段から上方に向かって順番に、
供給部としての液供給管10、触媒管11、冷却管1
2、触媒管11、冷却管12、触媒管11が配置されて
いる。液供給管10および触媒管11の各内部には、原
料加熱ヒータ13および触媒加熱ヒータ14がそれぞれ
備えられている。また、液供給管10には、小さな孔が
あけられており、シクロヘキサンが反応容器1内に噴霧
あるいはシャワー状に供給可能となっている。
14は、温度制御コントローラ15によって、温度制御
される。反応容器1の内部、液供給管10の内部および
冷却管12の内部には、それぞれ、内部の温度を測定す
る温度計(熱電対も含む)16が挿入されている。ま
た、液供給管10および反応容器1には、圧力計17が
接続されており、内圧上昇による管あるいは容器の破損
を防止するようにしている。反応容器1の上部には、ド
ラフト解放用のバルブ18が設けられている。
液体)を入れおくタンクである。また、回収タンク3
は、回収タンク3aと回収タンク3bとから構成され
る。回収タンク3aは、反応容器1の下部に接続される
タンクであり、反応容器1内における脱水素反応により
生成し、反応容器1内で液化したベンゼンを回収するタ
ンクである。
部から、後述の冷却器を経由して接続されるタンクであ
り、脱水素反応により生成し、気化したまま水素と共に
反応容器1の上部に運ばれたベンゼンを回収するタンク
である。
ら、後述する冷却器を経由した後、回収タンク3bとは
別の経路に配置されている。活性炭フィルタ4は、内部
を通過する水素から不純物を除き、高純度の水素を得る
ためのフィルタである。なお、活性炭フィルタ4は、活
性炭以外の吸着性の高い物質をつめたフィルタであって
も良い。
の下流側に配置され、活性炭フィルタ4で除外できなか
った物質をトラップする装置である。ポンプ6は、原料
タンク2と液供給管10との間の経路に配置され、原料
のシクロヘキサンを液供給管10に送る液体ポンプであ
る。
水循環装置21が設けられている。冷却器20は、反応
容器1の上部と接続されている。冷却水循環装置21
は、冷却器20と冷却管12に接続されている。冷却管
20は、冷却水が流れる管と、ベンゼンおよび水素が流
れる管とから構成される二重構造を有する管であり、ま
だ気化したままのベンゼンを液化して、水素と分離させ
る作用を有する。冷却水循環装置21は、冷却管20と
冷却管12に冷却水を循環させる装置である。
および液体窒素トラップ5の下流側の経路には、それぞ
れ、水素の流量を測定可能な流量計22および流量計2
3が接続されている。
接続されている。水素ボンベ24の水素は、触媒の活性
を維持するために用いられる。また、原料タンク2、回
収タンク3および反応容器1には、窒素ボンベ25が接
続されている。窒素ボンベ25の窒素は、配管および容
器内のパージに用いられる。なお、窒素に換えて、アル
ゴン等の窒素以外の不活性ガスを用いても良い。
シクロヘキサンから水素とベンゼンとを得るための手順
を説明する。
を、ポンプ6によって液供給管10に加圧搬送する。ポ
ンプ6を使用してシクロヘキサンを供給するので、正確
な供給が可能となる。液供給管10のシクロヘキサン
は、原料加熱ヒータ13によって加熱され、蒸気となっ
て、液供給管10の孔から反応容器1内に供給される。
シクロヘキサンは、液供給管10の上方に設置される触
媒管11の触媒表面において脱水素される。この結果、
主として、水素とベンゼンとが生成する。
に接触して、水素とベンゼンに気液分離される。すなわ
ち、気体の水素は上方に、液体のベンゼンは下方に落下
する。ただし、原料のシクロヘキサンは、完全に水素と
ベンゼンに転化されるわけではなく、未反応のシクロヘ
キサンや中間体(以後、未反応のシクロヘキサン等とい
う)も存在しうる。このため、ベンゼンのみが冷却管1
2に触れて液化するのではなく、未反応のシクロヘキサ
ン等も液化する。上方の冷却管12で冷やされて液化し
たベンゼンと未反応のシクロヘキサン等の混液は、その
下方の触媒管11に接触する。すると、未反応のシクロ
ヘキサン等は、脱水素されて、ベンゼンと水素に転化さ
れる。
媒管11と冷却管12とが交互に配置されているので、
未反応のシクロヘキサン等の脱水素反応を起こす機会が
増え、シクロヘキサンのベンゼンと水素への転化率を高
めることができる。この結果、多くのベンゼンは、反応
容器1の下部から回収タンク3aに回収され、水素は、
反応容器1の上部から外部に送られることになる。
て反応容器1の上部に移動した気体の中には、水素のみ
ならず、蒸気のベンゼンや、その他未反応のシクロヘキ
サン等もわずかに存在しうる。これら水素以外の物質
は、冷却器20で冷やされて、回収タンク3bに回収さ
れる。また、冷却器20で冷やされてもなお存在する不
純物は、活性炭フィルタ4および、その下流側の液体窒
素トラップ5で除外される。液体窒素トラップ5を通過
した高純度の水素は、流量計23で流量計測された後、
ガスクロマトグラフィにて濃度の分析に供される。
冷却管12の詳細な構成について、図2に基づいて説明
する。
の触媒加熱ヒータ14に、触媒30を担持したニット状
の炭素繊維製の触媒担持材料31を巻き付けた構成を有
している。触媒加熱ヒータ14が、棒状ではなく板状で
あっても、この触媒担持材料31を巻くことが可能であ
る。また、この実施の形態では、触媒担持材料31を、
炭素繊維を編んだニット状のものとしているが、炭素繊
維以外の触媒担持材料を用いたものでも良い。例えば、
活性炭、アルミナ、シリカ、ゼオライト、メソ多孔質
材、カーボンナノチューブの内、少なくとも1つを用い
た触媒担持材料31を採用可能である。このような触媒
担持材料31を用いることによって、水素発生装置の使
用に際し、特殊な触媒担持材料を用いる必要はなく、低
コストの運転が可能となる。
形態であっても良い。すなわち、触媒管11は、棒状の
触媒加熱ヒータ14に、触媒担持材料31の一例である
酸化アルミニウムをコーティングして、そこに白金等の
触媒30を担持させた構成であっても良い。さらに、棒
状の触媒加熱ヒータ14に、触媒担持材料31を用いず
に、直接、白金等の触媒30を塗布しても良い。また、
触媒加熱ヒータ14は、棒状ではなく板状であっても良
い。
14と触媒30とを一体化させることによって、ヒータ
で直に加熱された触媒30で、脱水素反応が行われるこ
とになる。この結果、触媒30の加熱効率が良くなり、
脱水素反応の反応率が高まる。また、触媒加熱ヒータ1
4と触媒30とが一体的な構成となっているため、脱水
素反応の反応率を制御したい場合に、触媒加熱ヒータ1
4の位置を変更しさえすれば、触媒30の配置を別個変
更しなくても良い。したがって、水素発生の際の条件に
応じて、水素発生装置内のレイアウトを簡便に実行でき
る。
ウム、パラジウム、イリジウム、ルテニウム、モリブデ
ン、レニウムおよびタングステンの内、少なくとも1つ
を用いても良い。この結果、水素発生装置の使用に際
し、特殊な触媒30を用いる必要はなく、低コストの運
転が可能となる。
び12Cに示すように、気液分離した液体を、下方にあ
る触媒30表面に均一滴下させるのに適した構造として
いる。具体的に説明すると、12Aの例は、冷却管12
に串12a貫通させた構造を示す例である。当然、冷却
管12を流れる水が串12aを通じて外部に漏れないよ
うな構造としている。12Bの例は、冷却管12の下面
に下に凸の凸部12bを設けた構造を示す例である。ま
た、12Cの例は、冷却管12の下面に下に凸の尖頭部
12cを設けた構造を示す例である。なお、この実施の
形態では、冷却管12を管状としているが、平板状の冷
却部としても、平板に串12aを貫通させたり、平板の
下面に凸部12bあるいは尖頭部12cを設けて、12
A、12Bおよび12Cに示す構造とすることもでき
る。
成させることにより、冷却された水素以外の生成物(ベ
ンゼン、未反応のシクロヘキサン等)が、冷却管12の
下面からほぼ均一の直径の小さな滴となって、触媒管1
1へと落下する。また、凹凸部分を冷却管12の下面に
均一に設けると、水素以外の生成物は、均一な分布で触
媒30へと供給される。したがって、触媒30の表面積
を有効に利用して、液体の滴下に伴う局部的な温度低下
を防止するとともに、触媒30上での脱水素反応の許容
量を超えることなく、水素以外の生成物を滴下させるこ
とができるので、未反応のシクロヘキサン等の脱水素反
応の反応効率を高めることが出来る。また、この際、凹
凸の部分を特定の場所に設けると、滴下させたい位置を
決めることも可能となる。
方向で入れ替え可能な交換式スロット35を示す反応容
器1の図である。触媒管11と冷却管12を反応容器1
内部で入れ替え可能な構成とすることにより、用いる原
料の種類、水素の発生量、原料の転化率等の条件に対応
した装置を実現できる。例えば、通常の条件では、触媒
管11と冷却管12とを上下方向に交互にほぼ同数配置
しているが、水素発生量を高くしたい場合には、冷却管
12を多くして、触媒管11、冷却管12、冷却管1
2、触媒管11、冷却管12、冷却管12といった順番
に上下方向に配置し、未反応のシクロヘキサン等を下方
に戻して、再び脱水素反応を起こすようにすることがで
きる。
は水素)への転化率を高めたい場合には、触媒管11を
多くして、触媒管11、触媒管11、冷却管12、触媒
管11、触媒管11、冷却管12といった順番に上下方
向に配置し、脱水素反応の機会を増やすことができる。
なお、交換式スロット35を、横長の反応容器1の横方
向に配列し、触媒管11と冷却管12を、左右に自由に
配置可能としても良い。
反応容器1の上部に配置した構造を説明するための図で
ある。図4に示す構造によれば、図1に示す水素反応装
置のポンプ6を設けずに、原料タンク2内のシクロヘキ
サンを自重で反応容器1内に落下させることができる。
すなわち、シクロヘキサンは、原料タンク2の下部にあ
けられた細孔2aから小さな滴40の状態で、冷却管1
2および触媒管11に供給される。このため、ポンプ6
が不要になり、水素発生装置の低コスト化を図ることが
可能である。
置を接続した水素発生装置につき、図5に基づいて説明
する。
その上流側の原料タンク2に加えて、反応容器1の下流
側の水素分離装置50と、水素分離装置50の下流側の
燃料電池60と、水素分離装置50から燃料電池60の
方向と異なる方向に分岐した位置にある凝固防止装置7
0と、凝固防止装置70から下流側にある内燃機関80
とを備えている。水素分離装置50は、活性炭フィルタ
4および液体窒素トラップ5の内、少なくとも1つを採
用した装置としても良い。なお、図5は、原料に、デカ
リンを用いて、水素とナフタレンを生成する例を示す。
物(主に、ナフタレン)との混合蒸気は、水素分離装置
50で、水素と芳香族化合物に分離される。分離後の高
純度水素は、燃料電池60で、外部から導入される酸素
と反応し、電気をつくる。この際発生する熱エネルギー
は、反応容器1に送られ、反応容器1内における脱水素
反応に利用される。
族化合物(主に、ナフタレン)は、凝固防止装置70で
加温され、凝固しないようにして保存される。その後、
ナフタレンは、必要に応じて、原料タンク2からのデカ
リンと共に内燃機関80に送られて、動力エネルギーと
熱エネルギーに変換される。この際発生した熱エネルギ
ーの一部または全部は、反応容器1に送られて、反応容
器1内における脱水素反応に利用される。
した水素反応装置におけるシクロヘキサンの供給量と転
化率との関係、およびシクロヘキサンの供給量と水素発
生量との関係を、それぞれ図6および図7に基づいて説
明する。
れて、水素とベンゼンに転化される割合を100分率で
示す転化率である。図6に示すように、シクロヘキサン
の供給量を少なくするほど、また、触媒30の加熱温度
を高くするほど、転化率が高くなる傾向が見られる。
加熱する温度が同じ350℃でも、触媒管11を2本配
置した方(図中、黒菱形で表示)が、触媒管11を1本
配置した方(図中、白抜き四角で表示)よりも転化率が
高い点である。図1に示すような触媒管11を反応容器
1内に多段に配置すると、ある段の触媒管11で脱水素
しきれなかった未反応のシクロヘキサン等を、別の段に
ある触媒管11で脱水素させることができ、結果的に転
化率が高くなることがわかる。
の供給量を多くするほど、また、触媒30の加熱温度を
高くするほど、水素発生量が多くなる傾向が見られる。
る温度が同じ350℃でも、触媒管11を2本配置した
方(図中、黒菱形で表示)が、触媒管11を1本配置し
た方(図中、白抜き四角で表示)よりも水素発生量が多
い点である。この結果からも、ある段の触媒管11で脱
水素しきれなかった未反応のシクロヘキサン等を、別の
段にある触媒管11で脱水素させることができ、結果的
に転化率が高くなることがわかる。
発生装置の好適な実施の形態の一つであるが、本発明
は、これに限定されることなく、上記の実施の形態に種
々の変形を加えた実施の形態で実施可能である。
れる冷却管12とを1本づつ備える反応容器1を採用し
ても良い。また、触媒管11あるいは冷却管12の管断
面形状を、円形以外の形状として楕円や角形としても良
い。また、貯蔵部としての原料タンク2内に、必ずしも
ヒータを備えなくても良い。また、図5における燃料電
池60あるいは内燃機関80のいずれか1つからの熱エ
ネルギーのみを、反応容器1での脱水素反応に利用して
も良い。
の反応効率を高めることができる。また、別の発明によ
れば、水素発生の制御性を高めることができる。また、
別の発明によれば、エネルギーの有効活用と環境を保護
することができる。
の構成を模式的に示す図である。
の詳細な構成を示す図である。
入れ替え可能な交換式スロットを示す反応容器を説明す
るための図である。
器の上部に配置した構造を有する反応容器を説明するた
めの図である。
に加えて、水素分離装置と、燃料電池と、凝固防止装置
と、内燃機関とを備えた水素発生装置のシステム図であ
る。
装置におけるシクロヘキサンの供給量と転化率との関係
を示すグラフである。
装置におけるシクロヘキサンの供給量と水素発生量との
関係を示すグラフである。
Claims (10)
- 【請求項1】水素発生体を触媒に接触させて脱水素反応
を行い、芳香族化合物と水素を発生させる水素発生装置
であって、上記触媒を担持させた触媒担持材料を円柱若
しくは平板形状のヒータに巻き付けた構成、または上記
触媒を円柱若しくは平板形状のヒータに塗布した構成と
することを特徴とする水素発生装置。 - 【請求項2】水素発生体を触媒に接触させて脱水素反応
を行い、芳香族化合物と水素を発生させる水素発生装置
であって、円柱状のヒータと、その上方にあって、上記
脱水素反応により生成した生成物の内、水素を除く生成
物を冷却して液化させるための冷却部とを備え、上記冷
却部は、その下面に凹凸を有することを特徴とする水素
発生装置。 - 【請求項3】水素発生体を触媒に接触させて脱水素反応
を行い、芳香族化合物と水素を発生させる水素発生装置
であって、上記脱水素反応により生成した生成物の内、
水素を除く生成物を冷却して液化させるための冷却部
と、上記触媒あるいは上記触媒を担持させた触媒担持材
料とを任意の順番に配置可能とするための交換式スロッ
トを複数備えたことを特徴とする水素発生装置。 - 【請求項4】水素発生体を触媒に接触させて脱水素反応
を行い、芳香族化合物と水素を発生させる水素発生装置
であって、上記触媒を担持させた触媒担持材料の下方
に、上記水素発生体をポンプで供給する供給部を設け、
上記供給部に上記水素発生体を加熱するヒータを備えた
ことを特徴とする水素発生装置。 - 【請求項5】水素発生体を触媒に接触させて脱水素反応
を行い、芳香族化合物と水素を発生させる水素発生装置
であって、上記触媒を担持させた触媒担持材料の上方
に、上記水素発生体を貯蔵する貯蔵部を設け、上記貯蔵
部の孔から、上記触媒に上記水素発生体を落下させて上
記脱水素反応を行わせるようにしたことを特徴とする水
素発生装置。 - 【請求項6】前記貯蔵部に、前記水素発生体を加熱する
ヒータを設けたことを特徴とする請求項5記載の水素発
生装置。 - 【請求項7】水素発生体を触媒に接触させて脱水素反応
を行い、芳香族化合物と水素を発生させる水素発生装置
であって、 発生した水素と、上記芳香族化合物を含むその他生成物
とを分離して水素濃度を高めるための水素分離装置と、 上記水素分離装置からの水素と、酸素との反応により電
気エネルギーと熱エネルギーを生み出す燃料電池と、 上記水素分離装置からの上記芳香族化合物を燃やす内燃
機関と、を備え、 上記燃料電池および上記内燃機関の内の少なくともいず
れか1つから発生した熱エネルギーを上記脱水素反応に
利用することを特徴とする水素発生装置。 - 【請求項8】前記芳香族化合物は、ベンゼン、トルエ
ン、キシレン、メシチレン、ナフタレン、メチルナフタ
レン、アントラセン、ビフェニル、フェナスレン、およ
びこれらのアルキル置換体の内の、いずれか1つまたは
これらのいずれかの任意の組み合わせとしたことを特徴
とする請求項1から7のいずれか1項記載の水素発生装
置。 - 【請求項9】前記触媒は、白金、ロジウム、パラジウ
ム、イリジウム、ルテニウム、モリブデン、レニウムお
よびタングステンの内、少なくとも1つであることを特
徴とする請求項1から8のいずれか1項記載の水素発生
装置。 - 【請求項10】前記触媒を担持する触媒担持材料を備
え、その触媒担持材料は、炭素繊維、活性炭、アルミ
ナ、シリカ、ゼオライト、メソ多孔質材、カーボンナノ
チューブの内、少なくとも1つであることを特徴とする
請求項1から9のいずれか1項記載の水素発生装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002051337A JP2003246603A (ja) | 2002-02-27 | 2002-02-27 | 水素発生装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002051337A JP2003246603A (ja) | 2002-02-27 | 2002-02-27 | 水素発生装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003246603A true JP2003246603A (ja) | 2003-09-02 |
Family
ID=28663330
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002051337A Pending JP2003246603A (ja) | 2002-02-27 | 2002-02-27 | 水素発生装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2003246603A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006104000A (ja) * | 2004-10-01 | 2006-04-20 | Tokyo Univ Of Science | 水素ガス生成装置 |
JP2006130375A (ja) * | 2004-11-02 | 2006-05-25 | Bridgestone Corp | 水素貯蔵及び発生用触媒構造体並びにそれを用いた水素の貯蔵及び発生方法 |
JP2007169072A (ja) * | 2005-12-19 | 2007-07-05 | National Institute Of Advanced Industrial & Technology | 水素製造装置及び方法 |
-
2002
- 2002-02-27 JP JP2002051337A patent/JP2003246603A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP4662534B2 (ja) * | 2004-10-01 | 2011-03-30 | 株式会社新エネルギー研究所 | 水素ガス生成装置 |
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