JP5061847B2 - ガスの分離方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ガスの分離方法に関し、より詳細には、高分子系分離膜を用いた芳香族化合物等の微量不純物を含むガスの分離方法に関する。
混合ガスからのガスの分離は、従来、深冷分離法、吸着分離法(PSA)、化学/物理吸収法により行われてきた。しかしながらこれらの技術は分離に際し、極低温状態、高圧状態、吸収溶液の再生操作を必要とするため多大なエネルギーを必要としてきた。そのため省エネルギー的観点から装置構成も簡便な分離膜法が盛んに研究されてきた。膜分離法で使用される膜としては、高分子系分離膜、透析膜、限外ろ過膜、精密ろ過膜、逆浸透膜、液体膜、イオン交換膜等が挙げられるが、ガス分離において広く用いられているものは高分子系分離膜である。一般的に高分子系分離膜で使用される分離膜には、ポリイミド、ポリアラミド、ポリアミド、ポリエーテルスルホン、シリコン、炭化ケイ素、窒化ケイ素、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、パラジウム系、シリカ・アルミナ・チタニア・ジルコニア等の酸化物及びそれらの複合酸化物、ゼオライト等が挙げられる。それぞれ分離目的に合わせて、耐熱性、耐久性、耐薬品性、機械的強度、透過速度、分離係数等から最適な膜素材を選定する。この中でも特に混合ガス中からのガス状目的物の分離にはポリイミドやポリアラミドの有機高分子系分離膜が使用されており、石油産業等における実施例も多い。これら有機高分子系分離膜は、ガス状目的物の分離係数が高いといった特徴を持ち、中空糸モジュールとして使用されることが多い。高分子系分離膜の選択的なガスの分離原理は、溶解−拡散モデルで説明され、膜素材に対するガスの溶解性及び膜中の拡散のし易さがガス状目的物の分離に際して重要となってくる。そのため膜性能を評価する各種ガスの透過速度(P)は溶解度係数(S)と拡散係数(D)の積となる。
〔数1〕
P = D × S ・・・・・・・・・・・(1)
また、高分子系分離膜によるガスの透過速度は、膜厚及び入出の圧力差にも大きく影響する。例えば、二酸化炭素、メタン、窒素、酸素、ヘリウム、または水素等の透過速度は(2)式で計算できる。
〔数2〕
透過速度= (気体の透過量×膜厚)/(膜面積×透過時間×圧力差)
・・・・・・・・・・・(2)
これまでガス分離膜は、石油精製における各種工程からの水素回収・油中の水分除去、化学工業における各種反応プロセス中の水素/一酸化炭素比率調整・水素回収・高純度水素の製造、天然ガスやランドフィルガスからの二酸化炭素分離、天然ガスからのヘリウム回収・酸性ガス除去等に適用されてきた。ランドフィルガスとは、廃棄物の埋立場から発生するガスを言い、約40%がメタンである。しかしながら、ガス状目的物の分離は、ガス中に存在する各成分の透過速度に大きく影響することからコークス炉ガスや石炭ガス化ガス等の多くの微量不純物を含むガスを高分子系分離膜によって分離しようとすると、高分子系分離膜におけるガス状目的物の分離回収率等の性能低下が激しく、検討はなされているものの工業的には実用化されていなかった。これら微量不純物を含むガスを高分子系分離膜によって分離する際に問題となる性能低下の原因は、分離膜素材の耐熱性、耐久性、耐薬品性、機械的強度及び分離膜素材に対する劣化物質の吸着/付着である。そのため高分子系分離膜の性能低下/劣化に対して多くの検討がなされている。例えば、特開平6−39274号公報では、液体混合物のパーベーパレーション法において高分子系分離膜に熱負荷が掛かり、それに伴って原料中の溶存酸素で分離膜の酸化反応等による劣化が起こるとしている。パーベーパレーション法とは、高分子系分離膜を用いて液体混合物を分離する方法であり、高分子系分離膜の高圧側(1次側)に処理すべき液体を供給し、透過し易い物質を低圧側(2次側)に蒸気として選択的に透過させる分離方法である。本号においては原料を窒素、ヘリウム、メタン等の不活性ガスでシールすることにより原料中の溶存酸素を除去し、分離膜の酸化反応等による劣化を軽減する方法を提供している。また特開平7−68121号公報では、分離ガス中の窒素が分離膜に蓄積していき、膜品質の劣化を生じるとしている。本号では、蓄積した窒素を所定温度まで加熱して、窒素を脱着する方法を提供している。また、特開平2002−1046号公報には、空気からのポリイミド分離膜による酸素分離において、空気中の低炭化水素(炭素数≦5)がポリイミド分離膜の急激な性能低下に繋がるとしている。本号では、ポリイミド分離膜上流に特定の活性炭を設置し、低炭化水素(炭素数≦5)を吸着除去する方法を提供している。
特開平6−39274号公報 特開平7−68121号公報 特開平2002−1046号公報 特開平6−79151号公報 特開平2003−95612号公報
本発明の課題は、芳香族化合物等の微量不純物を含むガスを膜分離する上で高分子系分離膜の性能低下が抑制され、工業的に実用可能な高分子系分離膜を用いたガス分離方法を提供することにある。
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、高分子系分離膜に混合ガスを流通する前に、混合ガス中から芳香族化合物を除去することにより上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明の要旨は下記(1)〜(6)に存する。
(1) ガス状目的物、ガス状非目的物、及び芳香族化合物を含有する原料ガスから、高分子系分離膜を用いてガス状目的物を分離する方法であって、該原料ガスから高分子系分離膜によりガス状目的物を分離する工程の前に、該原料ガスから芳香族化合物を低減する工程を設けることを特徴とするガスの分離方法。
(2) 芳香族化合物を低減する工程において、ガス状目的物、ガス状非目的物、及び芳香族化合物を含有する原料ガス中の高沸点芳香族化合物を原料ガス量に対して10体積ppm以下まで低減することを特徴とする上記(1)に記載のガスの分離方法。
(3) ガス状目的物、ガス状非目的物、及び芳香族化合物を含有するガスが、コークス炉ガス、石炭ガス化ガス、石油系オフガス又は石油コークスガス化ガスであり、ガス状目的物が水素、酸素、一酸化炭素、二酸化炭素又はメタンであることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載のガスの分離方法。
(4) 芳香族化合物の低減が、ガス状目的物、ガス状非目的物、及び芳香族化合物を含有するガスを、吸着分離、ろ過分離、吸収分離、凝縮分離、又は化学反応することにより行われることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載のガスの分離方法。
(5) 高分子系分離膜が、ポリイミド又はポリアラミドからなる有機高分子系分離膜であることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載のガスの分離方法。
(6) 芳香族化合物を低減する工程において、ガス状目的物、ガス状非目的物、及び芳香族化合物を含有する原料ガス中のナフタレン類を原料ガス量に対して8体積ppm以下まで低減することを特徴とする上記(1)及び(3)〜(5)のいずれかに記載のガスの分離方法。
本発明により、高分子系分離膜の性能低下が抑制され、工業的に実用可能な高分子系分離膜を用いたガスの分離方法を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の代表例であり、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。
本発明におけるガスの分離方法は、ガス状目的物、ガス状非目的物、及び芳香族化合物を含有するガスから、高分子系分離膜を用いてガス状目的物を分離する方法であって、上記ガスから高分子系分離膜によりガス状目的物を分離する工程の前に、上記ガスから芳香族化合物を低減する工程を設けることを特徴とする。
本発明における「ガス状目的物、ガス状非目的物、及び芳香族化合物を含有するガス」(以下「原料ガス」と称することがある)は、芳香族化合物を含有するガスであり、芳香族化合物以外に、分離目的のガス状目的物と、該ガス状目的物以外のガス状物質(ガス状非目的物)を含んでいるものであればよい。具体的には、天然に存在する石油、石炭、天然ガスなどの化石燃料や鉄鉱石、銅鉱石、ボーキサイト、天然アスファルトなどの鉱物から化学的又は物理的処理を行う上で発生するガスが挙げられ、脱硫、脱油や脱ダストなどの常法の精製を施し、火力発電や各種燃料として用いられるエネルギー的ガス及び化学プラントにおける反応副生物として発生した水素、酸素、一酸化炭素、二酸化炭素又はメタンなどの燃料電池や化成品等への有効利用可能なガスを含む排ガスを指す。このようなガスの中で好ましくはコークス炉ガス、石炭ガス化ガス、石油系オフガス又は石油コークスガス化ガスであるが、例えば、環状化合物の脱水素反応、炭化水素の芳香族化反応又は芳香族化合物のアルキル化反応などの各種反応によって芳香族化合物を生成し、それを含有するガスもこれに当てはまる。本発明がより効果的なのは、芳香族化合物を多く含むコークス炉ガスである。
本発明において、ガス状目的物、ガス状非目的物、及び芳香族化合物を含有するガスから、高分子系分離膜を用いてガス状目的物を分離する方法としては、
(A)ガス状目的物を高分子系分離膜の透過物として分離して回収する方法
(B)ガス状非目的物を高分子系分離膜の透過物として分離し、ガス状目的物を高分子系分離膜の非透過物として回収する方法
の両方とも採用できる。これらの方法は、目的に応じて使い分ければよく、例えば、水素がガス状目的物であり、高分子系分離膜が水素分離膜である場合は、上記(A)の方法により水素を分離回収すればよい。
本発明において「ガス状目的物」とは、分離する前のガス(コークス炉ガス、石炭ガス化ガス、石油系オフガス又は石油コークスガス化ガス等の「原料ガス」)から有効成分として回収する目的物を意味する。該ガス状目的物は、ガス分離の目的に応じて決定すればよいが、具体的には、水素、酸素、一酸化炭素、二酸化炭素、メタン、プロパンやオルト−/メタ−異性体からのパラキシレン等が挙げられ、より具体的には、「原料ガス」がコークス炉ガス、石炭ガス化ガス、石油系オフガス又は石油コークスガス化ガスの場合は、水素、酸素、一酸化炭素、二酸化炭素、メタンが挙げられる。好ましくは該ガス中に高濃度で存在する水素、一酸化炭素、メタンである。ガス状目的物は単独であっても複数であってもよい。
本発明における「ガス状非目的物」とは、分離する前のガス中の、「ガス状目的物」並びに「芳香族化合物」以外のガス状成分を意味する。具体的には、「原料ガス」がコークス炉ガス、石炭ガス化ガス、石油系オフガス又は石油コークスガス化ガスの場合は、水素、酸素、一酸化炭素、二酸化炭素、メタン・エタン・プロパン・ブタンのC1〜C4の炭化水素、窒素、水蒸気等が挙げられる。(「ガス状目的物」の例示と「ガス状非目的物」の例示は一部重複しているが、個々のケースではガス状目的物が何になるかが決まっているので、個々のケースでは重複することはない。)
本発明における「芳香族化合物」とは、例えばベンゼン、トルエン、キシレン異性体、ナフタレン、1−メチルナフタレン、2−メチルナフタレン、(1,2−、1,3−、1,4−、1,5−、1,6−、1,7−、1,8−、2,3−、2,5−、2,6−)ジメチルナフタレン、ビフェニル、アセナフテン、ジベンゾフラン、フルオレン、インドール、フェナンスレン、アントラセン等が挙げられる。また、本発明における「高沸点芳香族化合物」とは、1気圧における沸点200℃以上の芳香族化合物であり、本発明における「芳香族化合物」において好ましくは、「高沸点芳香族化合物」であるナフタレン、1−メチルナフタレン、2−メチルナフタレン、(1,2−、1,3−、1,4−、1,5−、1,6−、1,7−、1,8−、2,3−、2,5−、2,6−)ジメチルナフタレン、ビフェニル、アセナフテン、ジベンゾフランであり、特に好ましくはナフタレン、1−メチルナフタレン、2−メチルナフタレン、(1,2−、1,3−、1,4−、1,5−、1,6−、1,7−、1,8−、2,3−、2,5−、2,6−)ジメチルナフタレン等のナフタレン類であり、もっとも好ましくはナフタレン、1−メチルナフタレン、2−メチルナフタレンである。これらは本発明における分離前のガス(原料ガス)中において、ガス状及び/又はミスト状で存在する。
本発明においては、「ガス状目的物、ガス状非目的物、及び芳香族化合物を含有するガス」から、高分子系分離膜を用いてガス状目的物を分離するが、上記ガスから高分子系分離膜によりガス状目的物を分離する工程の前に、上記原料ガス(ガス状目的物、ガス状非目的物、及び芳香族化合物を含有するガス)から芳香族化合物を低減する工程を設けることを必須とする。
「ガス状目的物、ガス状非目的物、及び芳香族化合物を含有するガス」から芳香族化合物を低減する工程は、少しでも「芳香族化合物」を低減すれば低減しただけの効果(高分子系分離膜の性能低下の抑制効果)が発現する。「芳香族化合物」の中でも、特に「高沸点芳香族化合物濃度」を原料ガス量に対して10体積ppm以下まで低減すれば、格段の効果が発現し、より好ましくは5体積ppm以下までの低減である。「高沸点芳香族化合物」の低減化は、より低減化した方が、効果があり好ましいが、経済的観点から通常3体積ppm以上である。
なお、本発明においては、芳香族化合物の低減工程において、ガス状目的物、ガス状非目的物、及び芳香族化合物を含有するガス中のナフタレン類を吸着分離、ろ過分離、吸収分離、凝縮分離、又は化学反応等によって原料ガス量に対して8体積ppm以下まで低減すれば、それに伴いナフタレン類よりも重質な高沸点芳香族化合物も低減化され、高沸点芳香族化合物濃度を原料ガス量に対して10体積ppm以下まで低減することができ、高分子系分離膜の性能低下が充分抑制できる。そのためナフタレン類濃度を管理基準にした低減操作が可能である。ここで言うナフタレン類とは、ナフタレン、1−メチルナフタレン、2−メチルナフタレン、(1,2−、1,3−、1,4−、1,5−、1,6−、1,7−、1,8−、2,3−、2,5−、2,6−)ジメチルナフタレンを指す。
芳香族化合物を低減させる方法としては、例えば、「原料ガス」を吸着分離、ろ過分離、吸収分離、凝縮分離、又は化学反応等にかける方法が挙げられ、これらはどれか1つであってもよいし、複数の方法を用いてもよい。ここで言う化学反応としては、改質反応、水添反応、酸化反応、熱分解などが挙げられ、これらの化学反応によって「芳香族化合物」と他の化学物質とを反応させて別の物質に変換することにより、「芳香族化合物」の低減を行う。この中でも「高沸点芳香族化合物濃度」を原料ガス量に対して10体積ppm以下まで低減するといった観点から、「高沸点芳香族化合物」濃度の調整が比較的容易な吸着分離、ろ過分離、吸収分離が好ましく、吸着剤や吸収剤が容易に再生可能であるといった経済面から吸着分離、吸収分離が特に好ましい。
吸着分離に用いられる吸着剤には、活性炭、シリカゲル、アルミナゲル、ゼオライトやアンチゴライト等がある。アンチゴライトとは、化学式(Mg,Fe2+Si(OH)で表される蛇紋石の一種である。この中で一般的なものは活性炭である。例えば活性炭の場合、通常、運転温度100℃以下で、25Å以下の細孔径が細孔容積の50%以上を占め、比表面積700m/g以上のものが使用される。好ましくは、運転温度50℃以下で、15Å以下の細孔径が細孔容積の50%以上を占め、比表面積800m/g以上のものが良い。特に好ましくは、運転温度35℃以下で、10Å以下の細孔径が細孔容積の50%以上を占め、比表面積900m/g以上のものである。これらの吸着剤条件は、長期的な連続運転を考えた場合に「芳香族化合物」をより多く吸着除去できる条件であるため、比表面積が大きく、吸着細孔径の小さいものが望ましい。また温度条件に関しては「芳香族化合物」の脱着防止を考慮して、より低温が望ましく、通常は10〜60℃の範囲で運転される。配管内部での「芳香族化合物」の析出を考慮すると、運転温度を10℃以下にはしない方が好ましい。また一般的に、活性炭充填量に対する原料ガス流量を示す空間速度(SV)は、400〜5000h−1であり、好ましくは1000〜3000h−1に設計する。SVの調整で芳香族化合物中の「高沸点芳香族化合物」の濃度を0〜10体積ppmの範囲(ナフタレン類濃度を0〜8体積ppmの範囲)に調整することも可能である。
ろ過分離に用いられるろ過剤は、セラミックフィルター、SUS316等の焼結金属フィルター、ポリエチレン・ポリプロピレン・ポリテトラフルオロエチレン・ナイロン66等のメンブレンフィルター等が挙げられ、特に細かなろ過粒度を要することからSUS316等の焼結金属フィルター、ポリプロピレン・ポリテトラフルオロエチレン・ナイロン66等のメンブランフィルターが好ましい。例えば、ナイロン66のメンブランフィルターの場合、材質の耐温の問題から50℃以下で使用されるが、どのろ過剤を使用する場合でも、「芳香族化合物」の凝集を促進させるため、35℃以下が好ましく、特に好ましくは、20℃以下である。フィルター細孔部やフィルター入口配管での「芳香族化合物」の閉塞による圧力損失増大を考慮すると、運転温度は10℃以上が好ましい。運転圧力に関しても同様な理由から、1.0MPaG以上の圧力が好ましく、特に好ましくは、1.5〜3.5MPaGの範囲である。ろ過粒度は、通常、1.0μm程度のものを用いるが、好ましくは0.5μm以下が良く、より好ましくは0.2μm以下である。ろ過粒度を細かくすれば、より微細なミスト状芳香族化合物の除去率も向上するが、ミスト状芳香族化合物による細孔閉塞で、圧力損失が増大する危険性があるため、0.05μm未満のフィルターは使用しないほうが好ましい。ろ過分離による原料ガス中の芳香族化合物の低減は、主にミスト状芳香族化合物の低減に効果があるが、ポリプロピレン・ポリテトラフルオロエチレン・ナイロン66等の有機高分子系フィルターを用いれば、ガス状芳香族化合物の吸着効果により、ガス状芳香族化合物の低減も期待できる。
吸収分離に用いられる吸収液には、灯油、軽油、重油、粗成ベンゼン、石炭系洗浄油、不飽和炭化水素油等があり、「芳香族化合物」を溶解できる吸収液であればいずれでも良いが、液滴の飛沫同伴や運転条件における蒸気圧分の吸収液が下流に流れるのを極力防止するため、比重が重く、吸収能力の高い重油や石炭系洗浄油が好ましい。また、吸収分離を行う際の吸収塔は、スプレー塔、充填塔、棚段塔等があるが、その中でも省エネ・省コストの観点から液ホールドアップ量の少ない、充填塔が好ましい。塔内部には、ガスと吸収液の接触面積を増加する目的でラシヒリング、テラレット又は木格子などの充填物が充填される。充填物によっては圧力損失が増大するものもあるので、好ましくは空間率の大きいテラレット又は木格子を使用する。例えば、重油を用いる吸収分離の場合、通常、温度は50℃以下、圧力は0.5〜1.5MPaGの範囲で運転される。吸収温度が低く、吸収圧力が高い方が、吸収液に対する「芳香族化合物」の溶解度が高いため、好ましくは35℃以下、0.8MPaG以上で運転する。運転温度が低い方が吸収効率のアップに繋がるが、低い温度では芳香族化合物の析出による配管閉塞の恐れがあるため、10℃以下では運転を行わないほうが好ましい。また、原料ガス量に対する吸収液量は、原料ガス量400〜500mに対して吸収液量1mで使用される。ただし、上記量関係は、使用する吸収液の種類によって変動する。
凝縮分離は、低圧の「原料ガス」を昇圧して、ガス状芳香族化合物を凝縮させて分離する方法である。ミスト状芳香族化合物は、昇圧することで芳香族化合物のミストが大きく成長して凝縮し、凝縮分離容器内でボトムから取り除かれる。凝縮分離容器の温度、圧力によってガス状芳香族化合物の飽和蒸気圧が変化するため、それを利用し、ガス中のガス状芳香族化合物濃度を調整できる。ガス状及びミスト状芳香族化合物濃度、特に高沸点芳香族化合物濃度を原料ガス量に対して10体積ppm以下まで低減するためには、通常、運転温度0〜25℃、運転圧力0.9〜3.5MPaGの範囲で操作される。好ましくは運転温度0〜15℃、運転圧力1.0〜2.5MPaGの範囲で操作すれば、7体積ppm以下まで高沸点芳香族化合物濃度を低減できる。
化学反応による芳香族化合物の低減方法には、改質反応、水添反応、酸化反応、又は熱分解などの方法が挙げられる。改質反応では、無触媒反応の場合、600〜1000℃の高温で酸素を熱源として添加し、芳香族化合物を一酸化炭素と水素の合成ガスに改質する。低い圧力ほど反応は促進されるが、反応させるガス容量が大きくなるため、0.5〜1.0MPaG程度の圧力で操作することが好ましい。触媒を用いる改質反応の場合、400〜700℃の温度で反応させる。好ましくは、500〜600℃であり、触媒を長期間使用することができる。400℃以下で反応させると芳香族化合物の転化率の低下及び触媒への吸着による触媒劣化に繋がる。また、700℃以上で反応させるとシンタリングと言われる触媒粒子の凝集や芳香族化合物のコーキングによる触媒劣化を起こす危険性があるため、好ましくない。反応圧力は、上記と同様の理由から0.5〜1.0MPaGが好ましい。また省エネルギーの観点から改質反応においては、触媒を用いる反応が好ましい。
水添反応では、原料ガス中の芳香族化合物を水素化し、環状有機化合物もしくは脂肪族有機化合物に変換する。一般的に運転条件は触媒の存在化、温度30〜400℃、圧力0.5〜7.0MPaGで反応させる。触媒の種類により運転条件は様々であるが、白金などの貴金属触媒を用いた場合には、30〜150℃の低温度での反応が可能である。運転の操作性、触媒コスト、その他ランニングコストを考慮すると温度100〜350℃、圧力1.0〜3.0MPaGで水添反応が可能な触媒を選定することが好ましい。
酸化反応では、原料ガス中の芳香族化合物を酸化し、ケトン、カルボン酸、二酸化炭素と水などに変換する。一般的な運転条件は触媒の存在化、温度100〜600℃、圧力は常圧〜5.0MPaGで反応させる。触媒を用いて芳香族化合物を酸化して二酸化炭素と水に変換する場合には、温度150〜400℃、圧力は常圧〜0.5MPaGの範囲が好ましいが、原料ガス中のガス状目的物がオレフィンの場合、オレフィンの酸化も同様に起こるため、ガス状目的物の種類に合わせた触媒及び運転条件の選定が必要となる。
熱分解は、原料ガス中の芳香族化合物を水蒸気や酸素(または空気)、水素などと反応させて熱分解し、メタンやエタン、オレフィンなどの脂肪族炭化水素や一酸化炭素、二酸化炭素などに変換する。一般的な運転条件は、温度600〜1600℃、圧力は常圧〜15.0MPaGの範囲である。芳香族化合物、その中でも特に高沸点芳香族化合物は難分解性のため、熱分解には1000℃以上の高温を要するが、触媒を用いた場合には1000℃以下での熱分解が可能となる。しかしながら、触媒を用いた熱分解では、カーボンの析出が促進され、触媒の劣化や配管内部の閉塞などの原因となるため好ましくない。そのため運転上の操作性や芳香族化合物の反応性を考慮すると温度1000〜1300℃、圧力は1.0〜5.0MPaGが好ましい。
これらの芳香族化合物低減方法で示した操作条件は、該低減方法を単独で利用した場合の操作条件であり、経済性や省エネルギー・省コストの観点から、芳香族化合物を低減するために、いくつかを組み合わせて、それに合わせた操作条件を選択することもできる。
なお、本発明において「芳香族化合物を低減する」とは、芳香族化合物を含有するガスから各低減工程を用いて、少なくとも原料ガス量に対して5体積ppm以上の濃度に該当する芳香族化合物量を低減することを示唆しており、低減量が少なすぎると、芳香族化合物の低減前のガスと低減後のガスにおいて、高分子系分離膜に対する芳香族化合物の低減効果に大きな差は現れない。
また、本発明は、各低減工程を用いて原料ガス量に対して5体積ppm以上の濃度に該当する芳香族化合物量を低減することにあり、好ましくは「原料ガス」中の芳香族化合物、その中でも特に「高沸点芳香族化合物濃度」を原料ガス量に対して10体積ppm以下(ナフタレン類濃度8体積ppm以下)の濃度まで低減することである。より好ましくは原料ガス量に対して5体積ppm以下(ナフタレン類濃度4体積ppm以下)の濃度まで低減することである。芳香族化合物をできるだけ低減した方が効果的であるが、各低減工程における運転コストと、使用する高分子系分離膜の劣化による寿命との経済的観点から、通常、原料ガス量に対して3〜10体積ppmの濃度の範囲になるように高沸点芳香族化合物の低減を行う。
なお、本発明においては、高沸点芳香族化合物の低減化に伴ってナフタレン類よりも重質な高沸点芳香族化合物も同時に低減化されるため、芳香族化合物の低減工程における高沸点芳香族化合物の低減化を、ナフタレン類の濃度に基づいて管理することも可能である。具体的には、「ガス状及びミスト状ナフタレン類濃度」を原料ガス量に対して8体積ppm以下まで低減すれば、格段の効果が発現し、より好ましくは4体積ppm以下までの低減である。「ナフタレン類」の低減化は、より低減化した方が効果があり好ましいが、通常2体積ppm以上である。また、本発明は、各低減工程を用いて原料ガス量に対して5体積ppm以上の濃度に該当するナフタレン類量を低減することにある。
本発明では、上記の「芳香族化合物を低減する工程」に「ガス状目的物、ガス状非目的物、及び芳香族化合物を含有するガス」をかけた後、高分子系分離膜を用いてガス状目的物を分離する。本発明で用いることができる高分子系分離膜は、ガス状目的物を分離する能力を有するものであれば特に限定はなく、例えばポリイミド、ポリアラミド、ポリアミド、ポリエーテルスルホン、シリコン、炭化ケイ素、窒化ケイ素、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、パラジウム系、シリカ・アルミナ・チタニア・ジルコニア等の酸化物及びそれらの複合酸化物、ゼオライト等が挙げられ、好ましくはポリイミド、ポリアラミド又はポリアミドからなる有機高分子系分離膜が挙げられ、特に好ましくはポリイミド、ポリアラミドである。ポリアラミドとは、主鎖に芳香族基を有する芳香族ポリアミドを言う。ここでいうポリアミドとは、脂肪族ポリアミドを指しており、芳香族ポリアミドであるポリアラミドとは分けて記載している。
ポリイミドとは、下記一般式(I)に示すようなイミド基の繰り返し構造を有する化合物を指す。下記一般式(I)中のRやRに組み込まれる官能基によって、分離膜の細孔径や分子の伸縮振動等を制御し、目的とするガスの分子径や分離膜に対する親和性から効率的な分離を行う。



(上記一般式(I)中、R、Rは、それぞれ独立して芳香族系の官能基を表す。)
高分子系分離膜を用いて、芳香族化合物含有ガスを分離する場合、一般的に芳香族化合物の分子径が、これらの高分子系分離膜の細孔径よりも大きく、分離膜細孔を閉塞させるため、ガス状目的物の分離を阻害する。特にポリイミドやポリアラミド等の有機高分子系分離膜に至っては、上記一般式(I)中のR及びRに芳香族環を含むことが多いため、芳香族化合物との相互作用・親和性により、芳香族化合物が有機高分子系分離膜の細孔に強固に吸着・付着する。そのため、本発明における芳香族化合物の低減効果は、有機高分子系分離膜、特にポリイミドやポリアラミドに対して効果が大きい。
上記理由から上記一般式(I)中のRやRが芳香族系の官能基の場合に芳香族化合物の低減効果が大きく、例えば、芳香族系の官能基とは、ベンゼン、ビフェニル、ベンゾフラン、ジベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェンや、これら化合物にエステル基、アルキル基、ビニル基、エーテル基、スルホン酸基、カルボキシル基、ニトロ基、アミノ基などの様々な官能基が付与したものが挙げられる。これらの官能基は、ガス目的物の透過速度に影響する因子であり、芳香族系の官能基であれば、官能基の違いによる芳香族化合物の低減効果に差異は無い。
高分子系分離膜を用いてガス状目的物を分離する場合、その運転条件は用いる高分子系分離膜の素材や膜厚、膜面積等によって異なる。一般的には、ポリイミドやポリアラミド、ポリアミドでは、20〜200℃、ポリプロピレンでは、20〜180℃、ポリエチレンでは、20〜140℃、ポリカーボネートでは、20〜270℃、ポリエーテルスルホンでは、20〜225℃、パラジウム系及びシリカ・アルミナ・チタニア・ジルコニア等の酸化物及びそれらの複合酸化物では、50〜600℃、炭化ケイ素・窒化ケイ素・ゼオライトでは、50〜800℃、シリコンでは、20〜120℃の温度範囲で使用される。また、使用圧力は高分子系分離膜の膜厚を変化させたり、分離膜素材の構造を変化させることで変わってくるが、一般的にはどの高分子系分離膜に対しても入口ガス圧力とガス状目的物透過側圧力の差圧が0.1〜3.0MPaGの範囲で使用される。高分子系分離膜を使用する上での最適な温度及び圧力は、ガス状目的物の透過性を満足する高分子系分離膜素材を選び、膜厚、膜面積及び高分子系分離膜の中空糸モジュールの本数を変更することによって決まるため、用いる原料ガスの状態や運転の操作性などによって最適な温度及び圧力を選定する、もしくは運転したい条件に合わせて高分子系分離膜を設計する必要がある。
本発明における「芳香族化合物の濃度測定」並びに「芳香族化合物の低減量の算出」は、具体的には以下の実施例に記載の方法にて測定並びに算出すればよい。
なお、芳香族化合物の濃度測定に際し、各芳香族化合物の検量線が無い場合には、測定したガスクロマトグラムのチャート紙に検出されたピーク面積から相対的な濃度割合を算出する面積百分率法を用いればよい。また、ガスクロマトグラムにより各芳香族化合物の濃度割合を算出し、芳香族化合物を吸収したトルエン吸収液中のトルエンを110℃で蒸発させ、残渣の重量及びサンプリングのためにトルエン吸収液に流通させた原料ガスの量から原料ガス中の芳香族化合物濃度を算出することもできる。
以下実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明は実施例に何ら限定されない。
本発明は、図1の通り、芳香族化合物含有ガス(原料ガス)昇圧工程、芳香族化合物を低減する工程、ガス状目的物分離工程からなる。
外部から供給する原料ガスは、常法に従って、脱硫、脱ダスト、脱アンモニア、脱油、脱湿処理を行ったコークス炉ガスを使用した。
<高沸点芳香族化合物の濃度測定方法>
実施例における芳香族化合物の濃度規定は、その主成分である高沸点芳香族化合物に対して次の方法によりサンプリングし、分析を実施した。
測定における原料ガスのサンプリングは、トルエン吸収法を用いて行った。サンプリング方法は、トルエン吸収液30mlを氷冷しながら、原料ガスをトルエン吸収液にバブリングさせた。原料ガス流量は湿式ガスメーターを用いて測定し、原料ガス流速を4.5l/minに調整した。この際、原料ガス圧力、温度、気温、気圧を記録し、原料ガス流量の補正に用いた。トルエン吸収液への原料ガスの流通時間は、通常6時間程度であるが、その都度、作成した検量線に載るような流通時間を決定した。
高沸点芳香族化合物の分析に当たっては、内標準法によって定量した。原料ガス中の高沸点芳香族化合物をトルエン吸収液に吸収後、原料ガスサンプリング口からトルエン吸収液までのラインをトルエン+ノルマルヘプタデカンの混合液5mlで洗浄した。ここで用いるノルマルヘプタデカンは内標準物質であり、原料ガス中の高沸点芳香族化合物が0〜10体積ppmと予想される時には、トルエン+ノルマルヘプタデカン5mlに対して0.01体積%、10〜200体積ppmと予想される時には、0.05体積%を添加した。
原料ガス中の高沸点芳香族化合物を吸収したトルエン吸収液2μlをガスクロマトグラムに注入し、原料ガス中の高沸点芳香族化合物濃度を測定した。測定に際して、ガスクロマトグラムに用いるカラムは、充填物FFAP(Free Fatty Acid Phase)10%、担体Chromosorb WAW DMCS 60〜80meshであり、窒素をキャリアガスとして、カラム温度160℃で測定した。
<高沸点芳香族化合物の低減量の算出>
原料ガス中の高沸点芳香族化合物の低減量は、該低減工程の前後で上述の測定方法に従い、高沸点芳香族化合物濃度を測定して、その濃度差から低減量を測定した。
実施例1
芳香族化合物濃度が0.3体積%、その中に含まれる高沸点芳香族化合物濃度が20体積ppmであるコークス炉ガスを高沸点芳香族化合物低減工程に供給した。即ち、前期コークス炉ガスを1.7MPaGまで昇圧し、圧力1.7MPaG、温度30℃、流量(F1)1Nm/hでメンブレンフィルター(日本ポール(株)製、型番MCY1001Y005H、定格ろ過精度0.05μm、ポリテトラフルオロエチレン製メンブレンフィルター)に流通させ、ろ過分離した。高沸点芳香族化合物低減工程後のガスは、高沸点芳香族化合物濃度が原料ガス量に対して10体積ppm(ナフタレン類濃度8体積ppm)まで低減された。
上記高沸点芳香族化合物低減化工程後のガスを、ガス状目的物分離工程に供給した。ガス状目的物分離工程で使用した高分子系分離膜は、宇部興産(株)製、UMS−B5のポリイミド系水素分離膜であり、この水素分離膜によってコークス炉ガス中の水素を分離した。該ガス状目的物分離工程の操作条件は、水素分離膜モジュールにおいて高い分離性能を持たせるために、分離膜メーカーの設計に従って、減圧弁及び背圧弁において水素分離膜モジュールのコークス炉ガス入口圧力0.5MPaG、ガス状非目的物圧力0.45MPaG、ガス状目的物圧力0.03MPaGに圧力調整し、分離膜前ヒーターによってコークス炉ガスを60℃に昇温して、水素分離膜モジュールに流通した。
実施例2
実施例1において、高沸点芳香族化合物低減工程で、ろ過分離の後に活性炭を用いる吸着分離を行った以外は実施例1と同様にした。吸着分離に用いた活性炭は、日本エンバイロケミカル(株)製、粒状白鷺G2Xの7〜12メッシュ、比表面積960m/g、10Å以下のマイクロポアが細孔容積の60%のものであり、操作条件は、温度30℃、SV=1600h−1であった。この高沸点芳香族化合物低減工程により、高沸点芳香族化合物濃度は原料ガス量に対して0.1体積ppm(ナフタレン類濃度0.1体積ppm)にまで低減した。
比較例1
実施例1における高沸点芳香族化合物低減工程を定格ろ過精度0.2μmのメンブレンフィルター(日本ポール(株)製、型番MCY1001FREH13、ポリテトラフルオロエチレン製メンブレンフィルター)を用いるろ過分離で実施した以外は実施例1と同様にした。この高沸点芳香族化合物低減工程により、高沸点芳香族化合物濃度は原料ガス量に対して15体積ppm(ナフタレン類濃度12体積ppm)にまで低減した。
<考察1>
高沸点芳香族化合物低減工程における効果を確認する手段として、水素分離膜において分離したガス状目的物の流量(F2)を測定し、水素分離膜入口ガス及び透過ガス中の水素濃度(C1、C2)から透過率(Q)を算出し、経時変化を観察した。
〔数3〕
Q =(F2 × C2)/(F1 × C1)× 100
Q:透過率(%)、F1:水素分離膜入口ガス流量(Nm/h)、 F2:透過ガス流量(Nm/h)、C1:コークス炉ガス水素濃度(mol%)、C2:透過ガス水素濃度(mol%)
図2に示す通り、比較例1のろ過分離により高沸点芳香族化合物濃度を原料ガス量に対して15体積ppm(ナフタレン類濃度12体積ppm)の濃度まで低減させ水素分離膜モジュールに流通させたコークス炉ガスは、ガス中の高沸点芳香族化合物が水素分離膜のガス分離層に吸着/付着することにより、水素透過率の減少率が10時間で50%を示した。
対して実施例1のろ過分離により高沸点芳香族化合物濃度を原料ガス量に対して10体積ppm(ナフタレン類濃度8体積ppm)の濃度まで低減させたコークス炉ガスは、水素透過率の減少率を10時間で30%にまで低減する効果が見られた。さらに、実施例2のろ過分離及び吸着分離により、コークス炉ガス中の高沸点芳香族化合物濃度を0.1体積ppm(ナフタレン類濃度0.1体積ppm)まで低減させると水素透過率の減少率は、10時間で8%にまで低減した。尚、この水素透過率の減少率8%は、コークス炉ガス中のベンゼン、トルエン、キシレン異性体によるものだとわかった。
このように、本発明は高分子系分離膜に対して、著しくガス状目的物の透過率を減少させる高沸点芳香族化合物を、吸着分離、ろ過分離、吸収分離、凝縮分離、又は化学反応などを用いて、高沸点芳香族化合物濃度を原料ガス量に対して10体積ppm以下に低減し、分離膜モジュールに流通させることで高分子系分離膜に特別な処理をすることなしに高分子系分離膜のガス分離性能を長期的に維持できることがわかる。
実施例4
実施例2の通り精製されたコークス炉ガスの一部を図1cの活性炭充填塔出口から抜出し、図3のような装置によってコークス炉ガス中のベンゼン、トルエン、キシレン異性体の除去効果を確認した。
コークス炉ガスの流量は、12cc/min、水素分離膜の圧力は0.5MPaG、温度は60℃、透過水素圧力は0.0MPaGに調整し、透過する水素の流量を観察した。
コークス炉ガス中のベンゼン、トルエン、キシレン異性体は、実施例1と同種の活性炭を、図3に示すように25ml充填した容器を2器直列に用いる芳香族化合物低減工程にて、温度25℃の下、8体積ppmまで吸着分離した。
芳香族化合物を低減したコークス炉ガスを、宇部興産(株)製水素分離膜1本、長さ430mmに導入した。
参考例1
図3の装置から芳香族化合物低減工程の活性炭を除き、実施例4と同様な運転条件において、水素分離膜にコークス炉ガスを導入した。
<考察2>
図4に示す通り、芳香族化合物であるベンゼン、トルエン、キシレン異性体の濃度を8体積ppm以下まで低減したコークス炉ガス(実施例4:BTXなし)は、水素透過量の低
下がほとんど見られず、対して芳香族化合物であるベンゼン、トルエン、キシレン異性体を低減しなかったコークス炉ガスは運転6.7時間(400分)でおよそ8%の水素透過量の減少が確認された(参考例1:BTXあり)。
このように、高沸点芳香族化合物だけでなく、ベンゼン、トルエン、キシレン異性体などの芳香族化合物を低減することで、高分子系分離膜のガス分離性能をさらに長期的に維持できることがわかる。
本発明の実施形態の一つの例を示す概略図。 本発明の高沸点芳香族化合物低減効果によるガス透過率の経時変化を示す説明図。 本発明の実施形態の例を示す概略図。 本発明の芳香族化合物低減効果による水素透過量の経時変化を示す説明図。
符号の説明
1 高沸点芳香族化合物含有ガス(原料ガス)
2 ガス状目的物
3 ガス状非目的物
11 芳香族化合物含有ガス(原料ガス)
12 ガス状目的物
13 ガス状非目的物
A 高沸点芳香族化合物含有ガス(原料ガス)昇圧工程
B 高沸点芳香族化合物低減工程
C ガス状目的物分離工程
D 芳香族化合物低減工程
E ガス状目的物分離工程
a 昇圧ポンプ
b メンブレンフィルター
c 活性炭充填塔
d 減圧弁
e 水素分離膜プレヒーター
f 高分子系水素分離膜モジュール
g 背圧弁
h 背圧弁
i 第1の活性炭充填容器
j 第2の活性炭充填容器
k 高分子系水素分離膜(1本)
l 背圧弁

Claims (4)

  1. 原料ガスが、コークス炉ガス、石炭ガス化ガス、石油系オフガス又は石油コークスガス化ガスであって、該原料ガスから、高分子系分離膜を用いてガス状目的物として、水素、酸素、一酸化炭素、二酸化炭素又はメタンを分離する方法であって、該原料ガスから高分子系分離膜によりガス状目的物を分離する工程の前に、該原料ガスから芳香族化合物を低減する工程を設け、且つ該芳香族化合物を低減する工程において、該原料ガス中の高沸点芳香族化合物を原料ガス量に対して10体積ppm以下まで低減することを特徴とするガスの分離方法。
  2. 前記芳香族化合物の低減が、前記原料ガスを、吸着分離、ろ過分離、吸収分離、凝縮分離、又は化学反応することにより行われることを特徴とする請求項1に記載のガスの分離方法。
  3. 高分子系分離膜が、ポリイミド又はポリアラミドからなる有機高分子系分離膜であることを特徴とする請求項1又は2に記載のガスの分離方法。
  4. 前記芳香族化合物を低減する工程において、原料ガス中のナフタレン類を原料ガス量に対して8体積ppm以下まで低減することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のガスの分離方法。
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