JP4814462B2 - 緊急通報装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両において事故等の緊急事態が発生した場合に、これに関する情報を自動的に緊急通報相手局へ送信し、早期の対処を可能とする緊急通報装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、情報通信技術の発達に伴い、車両用の緊急通報システムが実施化されている。これは、衝突事故等によるエアバッグの作動や車両の転倒を、車の各部に設置された加速度センサが検出し、これを契機に、車両に搭載された緊急通報装置が、車両番号、車両位置情報をサービスセンター、警察署、消防署等の緊急通報相手局に自動送信するものである。緊急通報相手局は、その情報を警察署、消防署に連絡し、緊急車両が事故現場に向かう。このシステムによって、事故発生後、緊急車両が事故現場へ向かうまでの時間を短縮化することができ、負傷者をより迅速に救助することが可能となる。
【0003】
このような緊急通報システムに用いられる車載用の緊急通報装置としては、例えば、次のようなものが提案されている。すなわち、図4に示すように、緊急通報装置は、車両用コンピュータ100に接続された主制御装置110と、主制御装置110によって制御される通信装置120とを有している。車両用コンピュータ100には、エアバッグやシートベルト・テンショナーを作動させる衝撃、車両の横転等を検出するための加速度センサ101、自動車の現在位置を検出するためのGPS(グローバルポジショニングシステム)受信装置102等が接続されている。この車両用コンピュータ100には、通信制御線103を介して、緊急通報装置の主制御装置110が接続されている。
【0004】
主制御装置110には、緊急通報相手局に通報するための緊急情報を格納するメモリ111と、緊急情報を通信装置120に出力する緊急情報出力部112と、主制御装置110及び通信装置120の操作や設定変更を行なうための制御スイッチ113を有している。緊急情報には、あらかじめ登録された車台番号の他、上記のGPS受信装置102によって示される事故発生位置情報等が含まれる。なお、事故発生位置の情報は、車載用のナビゲーションシステムから取得することもできる。
【0005】
そして、主制御装置110は、シリアルインタフェース104を介して、通信装置120に接続されている。通信装置120は、電話アンテナ107を介して、緊急通報相手局への接続を確立し、情報の送受信を可能とする通信制御部121と、受話器108を介した音声信号の調整、増幅等の処理を行なう通話音声制御部122とを有している。通信制御部121としては、内蔵型携帯電話モジュール等を使用することができる。通話音声制御部122には、受信音声及び送話音声を増幅する増幅回路、周囲雑音をカットして人声のみ通過させるフィルタ回路等によって構成されている。さらに、主制御装置110及び通信装置120は、それぞれ車載バッテリー109を電源としている。なお、図5に示すように、ラジオ等のオーディオ機能部114と、上記のメモリ111、制御スイッチ113、通信制御部121及び通話音声制御部122とが、ケースに一体的に構成された緊急通報装置Eも提案されている。
【0006】
以上のような従来の緊急通報装置では、事故の発生により、加速度センサ101が検出したエアバッグの作動や車両の転倒の信号は、車両用コンピュータ100に入力され、事故の検出信号及びGPS受信装置102により検出される現在位置情報が、通信制御線103を介して主制御装置110へ入力され、メモリ111に格納される。主制御装置110においては、あらかじめ登録された車台番号、現在位置である事故発生位置等の緊急情報等が、緊急情報出力部112から通信装置120へ出力される。通信装置120においては、入力された緊急情報が、通信制御部121によって、緊急通報相手局へ送信される。
【0007】
緊急通報相手局においては、受信した車台番号と事故発生位置に基づいて、あらかじめデータベースに登録された位置情報(事故現場の住所、事故現場近辺の目標物、前後の交差点の名称等)、車両情報(車両の登録ナンバー、車種、車両の色等)、個人情報(運転手の氏名、住所、電話番号、生年月日、血液型等)が検索され、事故現場への移動、応急処置の便に活用される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述の図4に示した緊急通報装置においては、主制御装置110と通信装置120とが別体で構成されている。そして、事故時等に車両用コンピュータ100から出力される信号は、主制御装置110にのみ入力される。このため、事故発生とともに主制御装置110が故障してしまった場合、事故の検出信号や現在位置情報等が得られず、緊急通報を行なうことができない。
【0009】
一方、図5に示すように、緊急通報装置Eがラジオ等のオーディオ機能部114とともに、ケースに一体的に構成されている場合、運転席近くに設置されるため、事故発生時に故障する確率が高い。このような場合に故障が発生すると、装置全体が使用不能となるため、緊急通報装置Eとしての役目を果せない可能性がある。
【0010】
本発明は、上記のような従来技術の問題点を解決するために提案されたもので、その目的は、主制御装置が使用不能となった場合であっても、緊急通報を確実に行なうことができる緊急通報装置を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、請求項1記載の発明は、緊急情報の送信を行う通信装置と、車両の緊急情報が入力される第1の通信制御線が接続され、前記第1の通信制御線から車両の緊急情報が入力された場合に、前記通信装置による緊急情報の送信が行なわれるように、通信装置を制御する主制御装置と、を有する緊急通報装置において、前記通信装置には、車両の緊急情報が入力される第2の通信制御線が接続され、前記通信装置は、前記第2の通信制御線から車両の緊急情報が入力された場合に、前記主制御装置が作動しなくても、緊急情報を送信する通信制御部を有することを特徴とする。
以上のような請求項1記載の発明では、事故時に主制御装置が故障して使用不能となった場合であっても、通信装置は、第2の通信制御線から入力された緊急情報を得て、送信を行なうことができる。
また、第1の通信制御線及び第2の通信制御線のいずれか一方が切断された場合であっても、緊急通報が可能となるので、種々の事故の態様に対処できる。
【0012】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の緊急通報装置において、前記主制御装置及び前記通信装置には、それぞれ別の電源が接続されていることを特徴とする。
以上のような請求項2記載の発明では、主制御装置側の電源が電圧低下等で使用不能となっても、これとは別の電源によって、通信装置を作動させることができる。
【0013】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の緊急通報装置において、前記通信装置の電源は、内蔵電池であることを特徴とする。
以上のような請求項3記載の発明では、通信装置は、車載バッテリーとは異なる内蔵電池を使用できるので、事故の影響を受け難い。
【0014】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の緊急通報装置において、前記通信装置は、前記主制御装置の故障を検出する故障検出部を有し、前記主制御装置と前記通信装置との間には、前記主制御装置の故障を前記通信装置に伝達する第3の通信制御線が接続されていることを特徴とする。
以上のような請求項4記載の発明では、主制御装置の故障に応じて、通信装置が即座に対応動作を行うことができる。
【0015】
請求項5記載の発明は、請求項4記載の緊急通報装置において、前記故障検出部が前記主制御装置の故障を検出した場合に、これを通知する通知手段を有することを特徴とする。
以上のような請求項5記載の発明では、主制御装置が故障しても、通信部が単独で緊急通報を行なう旨が通知されるので、ユーザは安心である。
【0017】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態(以下「実施形態」と呼ぶ)について図面を参照して具体的に説明する。
〔1.実施形態の構成〕
まず、本実施形態の構成を、図1を参照して説明する。図1は、本実施形態の機能ブロック図であり、本発明は、これらの各機能をコンピュータによって実現するためのソフトウェアとして把握することもできる。なお、図4及び図5で示した従来技術と同様の構成部分は、説明を省略する。
【0018】
すなわち、図1に示すように、本実施形態は、車両用コンピュータ100に接続された主制御装置110、通信装置120によって構成されている。主制御装置110は、図4で示した構成に加えて、通信装置起動スイッチ115が設けられ、通信装置120と通信制御線(請求項の第3の通信制御線)106で接続されている。
【0019】
通信装置120は、図4で示した構成に加えて、故障検出部123、電圧検出部124、電源供給部125、内蔵電池126、警報制御部127及びブザー128、メモリ129を備え、車両用コンピュータ100と通信制御線(請求項の第2の通信制御線)105を介して接続されている。故障検出部123は、主制御装置110の故障を通信制御線106を介して検出する手段である。なお、通信装置起動スイッチ115の切り替えによっても、故障検出部123によって故障が検出される。電圧検出部124は、車両のバッテリー電源電圧の低下や異常を検出する手段である。
【0020】
電源供給部125は、内蔵電池126による電源を供給する手段であり、電圧検出部124によって車載バッテリー109の電圧異常を検出した場合に、作動するように設定されている。内蔵電池126は、車載バッテリーの電圧低下等の異常事態が発生しても、通信装置120を単独で作動させることができる電源である。特に、車載バッテリー109によって電源供給を受けている場合と同様に、通信制御部121による緊急情報の送信のみならず、通話音声制御部122による通話も可能な電圧のものが用いられる。
【0021】
警報制御部127は、主制御装置110の故障に応じて、ブザー128に警報音を出力させる手段である。ブザー128は、警報音を出力することによって、主制御装置110に故障が発生したこと、通信装置120のみによる通報が可能であることを、ユーザに通知する手段である。メモリ129は、主制御装置110のメモリ111と同様に、緊急通報相手局に通報するための緊急情報を格納する手段である。さらに、通信装置120と車両用コンピュータ100とを接続する通信制御線105は、主制御装置110の通信制御線(請求項の第1の通信制御線)103と同様に、事故の検出信号及びGPS受信装置102により検出される現在位置情報を入力するためのものである。
【0022】
〔2.実施形態の作用〕
以上のような本実施形態の作用を図2及び図3のフローチャートを参照して説明する。すなわち、車両のアクセサリースイッチをONにすると、緊急通報装置が起動し、その後車両が走行を開始する。そして、事故の発生により、加速度センサ101が検出したエアバッグの作動や車両の転倒の信号は、車両用コンピュータ100に入力される。すると、車両用コンピュータ100から、事故の検出信号及び現在位置情報が、通信制御線103を介して主制御装置110へ入力され(ステップ401)、メモリ111に格納される。主制御装置110において、あらかじめ登録された車台番号、事故発生位置等の緊急情報が、緊急情報出力部112によって通信装置120へ出力され、通信装置120における通信制御部121によって緊急通報相手局へ送信される(ステップ501)。
【0023】
また、事故が発生しても、車両用コンピュータ100からの事故の検出信号及び現在位置情報が、通信制御線105を介してのみ、通信装置120に入力された場合には(ステップ402)、これがメモリ129に格納される。そして、故障検出部123によって、主制御装置110の故障が検出されない場合には(ステップ502)、上記と同様に、通信装置120から緊急情報が緊急通報相手局へ送信される(ステップ501)。
【0024】
故障検出部123によって、主制御装置110の故障が検出された場合には、電圧検出部124によって、車載バッテリー109が電圧低下等、異常でないかが検出される(ステップ503)。車載バッテリー109が電圧異常である場合には、電源供給部125は電源供給部125をONとし(ステップ504)、内蔵電池126を電源として、通信装置120が緊急情報を緊急通報相手局へ送信する(ステップ505)。このとき、警報制御部127が、ブザー128を鳴らすことによって、主制御装置110に故障が発生したが、通信装置120による通信が可能であることを、ユーザに通知する(ステップ506)。また、ユーザは、受話器108を利用して、緊急通報相手局との音声通話が可能となる。通信装置120が、送信を終了した場合には(ステップ507)、電源供給部125をOFFとする(ステップ508)。
【0025】
ステップ503において、車載バッテリー109が電圧異常でない場合には、通信装置120が緊急情報を緊急通報相手局へ送信する(ステップ509)。この過程で、車載バッテリー109の電圧異常が発生した場合に、電圧検出部124によって検出されると(ステップ510)、ステップ504以降の処理が行なわれる。電圧異常が発生せずに、通信装置120が送信を終了した場合には(ステップ510)、処理を終了する。
【0026】
さらに、通信制御線103,105からの入力がなくても、通信装置起動スイッチ115をユーザが押した場合(ステップ403)、緊急通報装置が起動していない状態で、通信装置起動スイッチ115をユーザが押した場合(ステップ512)、ステップ502以降の処理が行なわれる。なお、通信制御線103,105からの入力がなく、通信装置起動スイッチ115の操作もない場合には、ユーザが、アクセサリースイッチをOFFにして緊急通報装置を停止させるまで、通常の待ち受け動作が継続する(ステップ404,405)。
【0027】
〔3.実施形態の効果〕
以上のような本実施形態によれば、事故が発生した際に、主制御装置110が故障した場合であっても、通信装置120のみで、緊急情報を緊急通報相手局へ送信することができるので、通報が遅れることが防止される。特に、通信装置120を、事故の影響を受け難い場所、例えば車両のトランクルームに設置することによって、緊急通報装置が使用不能となる可能性を大幅に減少させることができる。
【0028】
また、通信制御線103,105のいずれか一方が切断されても、主制御装置110及び通信装置120による送信、若しくは通信装置120のみによる送信ができる。さらに、通信制御線103,105の双方が切断されても、これを故障検出部123が検出して、例えば、通信装置120のメモリ129にあらかじめ登録された情報を送信し、より詳しい情報を受話器108を介して緊急通報相手局に知らせることができるので、種々の態様の事故に対処できる。これは、車両用コンピュータ100と主制御装置110の双方が故障した場合でも同様である。
【0029】
また、車載バッテリー109に異常があったり、電源が切断されても、内蔵電池によって、通信装置120による緊急情報の送信や、受話器108を介した通話が可能となるので、通報不可能となる可能性を、より一層低減することができる。
【0030】
また、ユーザが病気等の場合に、主制御装置110が正常であれば、制御スイッチ113によって通信装置120を手動で作動させて、緊急通報を行なうことができるが、主制御装置110が作動しない場合でも、通信装置起動スイッチ115を操作することによって、通信装置120を作動させて緊急通報を行なうことができる。また、このとき、受話器108を用いて通話することもできるので、詳細情報を知らせることが可能となる。
【0031】
また、主制御装置110に故障が発生したこと、通信装置120による通報は可能であることを、ユーザにブザー128で通知することができるので、通報が確実に行なわれているかどうか、ユーザが不安になることがない。
【0032】
〔4.他の実施形態〕
なお、本発明は、上記のような実施形態に限定されるものではない。例えば、主制御装置110と通信装置120とは、完全に2つに分かれていなくてもよく、一体のケースに入っており、内部で2つに分かれているものでもよい。また、車両コンピュータからの通信制御線は、通信装置120にのみ接続されていてもよい。この場合、主制御装置110での制御を行なう際には、通信制御線106を介して信号をやり取りすることができる。また、車両の位置情報は、主制御装置110若しくは通信装置120が直接取得できるようにしてもよい。その場合、ナビゲーションシステムを利用することもできる。
【0033】
また、通信制御部121として、ユーザの携帯電話、PHS、PDAその他の電話機能を備えたコンピュータを利用することができる。また、ラジオ等のオーディオ機能を通信装置120若しくは主制御装置110に設けることもできる。
この場合、オーディオ信号等のやり取りは、シリアルインタフェース104を介して行なうことができる。また、通信装置120の作動を継続させるための電源は、主制御装置110と別個であればよく、内蔵電池126でなくても、外部電池でもよい。また、ブザーの音色、発音パターンは自由に設定可能である。ユーザへの通知手段としては、ブザーの他にも、スピーカからのサイレン等、発光体によるもの等、種々のものが適用可能である。さらに、車両の外部へ通知できるように、外部へ向かってブザー音やサイレン音が鳴らされたり、発光表示が行なわれるようにしてもよい。
【0034】
【発明の効果】
以上のような本発明によれば、主制御装置が使用不能となった場合であっても、緊急通報を確実に行なうことができる緊急通報装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の構成例を示す機能ブロック図である。
【図2】本発明の実施形態における緊急通報処理の全体の流れを示すフローチャートである。
【図3】本発明の実施形態における緊急通報処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】従来の緊急通報装置の一例を示す機能ブロック図である。
【図5】従来の緊急通報装置の他の一例を示す機能ブロック図である。
【符号の説明】
100…車両用コンピュータ
101…加速度センサ
102…GPS受信装置
103,105,106…通信制御線
104…シリアルインタフェース
107…電話アンテナ
108…受話器
109…車載バッテリー
110…主制御装置
111,129…メモリ
112…緊急情報出力部
113…制御スイッチ
114…オーディオ機能部
115…通信装置起動スイッチ
120…通信装置
121…通信制御部
122…通話音声制御部
123…故障検出部
124…電圧検出部
125…電源供給部
126…内蔵電池
127…警報制御部
128…ブザー
Claims (5)
- 緊急情報の送信を行う通信装置と、車両の緊急情報が入力される第1の通信制御線が接続され、前記第1の通信制御線から車両の緊急情報が入力された場合に、前記通信装置による緊急情報の送信が行なわれるように、通信装置を制御する主制御装置と、を有する緊急通報装置において、
前記通信装置には、車両の緊急情報が入力される第2の通信制御線が接続され、
前記通信装置は、前記第2の通信制御線から車両の緊急情報が入力された場合に、前記主制御装置が作動しなくても、緊急情報を送信する通信制御部を有することを特徴とする緊急通報装置。 - 前記主制御装置及び前記通信装置には、それぞれ別の電源が接続されていることを特徴とする請求項1記載の緊急通報装置。
- 前記通信装置の電源は、内蔵電池であることを特徴とする請求項2記載の緊急通報装置。
- 前記通信装置は、前記主制御装置の故障を検出する故障検出部を有し、
前記主制御装置と前記通信装置との間には、前記主制御装置の故障を前記通信装置に伝達する第3の通信制御線が接続されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の緊急通報装置。 - 前記故障検出部が前記主制御装置の故障を検出した場合に、これを通知する通知手段を有することを特徴とする請求項4記載の緊急通報装置。
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