JP4813685B2 - ポンプ装置及びその能力制御方法 - Google Patents
ポンプ装置及びその能力制御方法Info
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、たとえば冷凍機の冷却水ポンプなどに適用されるポンプ装置及びその能力制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、ポンプ装置の吐出圧力(流量)を制御する能力制御には、ポンプを一定の回転速度で運転して圧力調整弁の弁開度を調整する弁開度制御と、ポンプの回転速度を調整するポンプ回転速度制御とがあり、それぞれのポンプ装置においていずれか一方が独立して用いられていた。
【0003】
ポンプを一定の回転速度で運転するポンプ一定速運転の場合、ポンプ吐出側に設けた圧力調整弁の開度を調整する弁開度制御が一般的である。このような弁開度制御では、ポンプ吐出圧力が所定値より高くなった場合に圧力調整弁の弁開度を小さく閉じ(絞り)、反対にポンプ吐出圧力が所定値より低くなった場合に圧力調整弁の弁開度を大きく開いて、圧力調整弁下流における圧力を所定の値に維持する。
また、ポンプの回転数を変化させて運転することができるポンプ可変速運転では、ポンプ吐出圧力が所定値より高くなった場合にポンプの回転速度を降速させて(下げて)、反対にポンプ吐出圧力が所定値より低くなった場合にポンプの回転速度を昇速させて(上げて)、ポンプ吐出側における圧力を所定の値に維持する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来のポンプ装置では、上述した弁開度制御及びポンプ回転速度制御はそれぞれ個別の能力制御として独立しており、両者を生かして適切に併用しているポンプ装置の能力制御は見当たらない。
しかしながら、近年の省エネルギ化に伴い、圧力調整弁を用いた弁開度制御の既設ポンプ装置に対し、インバータ制御を用いた電動機を導入することがある。このような既設ポンプ装置では、インバータ制御によりポンプの可変速運転を行うことが可能となるため、従来より備えている弁開度制御及びインバータ制御の電動機によるポンプ回転速度制御を共に生かすと共に、より信頼性が高く優れた能力制御及び省エネルギを両立させることが望まれる。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、信頼性が高く優れた能力制御と省エネルギとを両立させることができるポンプ装置及びその能力制御方法の提供を目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用した。
請求項1に記載のポンプ装置は、駆動源を備えたポンプ本体と、ポンプ吐出側に設けた圧力調整弁と、ポンプ回転速度の可変制御手段と、前記圧力調整弁の下流側に設けた圧力検出手段とを具備し、前記圧力検出手段で検出した圧力に基づいて前記圧力調整弁の開度を調整する弁開度制御と、前記圧力調整手段で検出した圧力に基づいて前記可変制御手段によりポンプ回転数を調整するポンプ回転速度制御とを用いて、前記圧力調整弁の下流を所定圧力に維持し、前記ポンプ回転数速度制御が前記弁開度制御より僅かに低い圧力で開始されるようにして、前記弁開度制御と前記ポンプ回転速度制御とを併用することを特徴とするものである。
【0007】
このようなポンプ装置によれば、弁開度制御とポンプ回転速度制御とを用いて能力制御を行うので、弁開度制御を単独で、ポンプ回転速度制御を単独で、あるいは、弁開度制御及びポンプ回転速度制御を併用して、ポンプの能力制御を行うことができる。従って、いずれか一方に不都合が生じて制御不可能な状態になっても、残る一方により能力制御を継続することができるので、信頼性を向上させることができる。また、弁開度制御とポンプ回転速度制御とを併用して能力制御を行うことで、能力制御を行う圧力範囲を広げることができる。
この場合、前記ポンプ回転数速度制御が前記弁開度制御より僅かに低い圧力で開始されるようにして、弁開度制御とポンプ回転速度制御とを併用することが望ましく、これにより、通常はポンプ回転速度制御による能力制御が行われるため省エネルギの面で有利になる。
【0008】
請求項2に記載のポンプ装置の能力制御方法は、駆動源を備えたポンプ本体と、ポンプ吐出側に設けた圧力調整弁と、ポンプ回転速度の可変制御手段と、前記圧力調整弁の下流側に設けた圧力検出手段とを具備してなるポンプ装置の能力制御方法であって、前記可変制御手段によりポンプ回転数を調整するポンプ回転速度制御が開始される圧力を前記圧力調整弁の開度を調整する弁開度制御が開始される圧力より僅かに低く設定し、前記ポンプ回転速度制御及び前記弁開度制御を併用して前記圧力調整弁の下流を所定の圧力に維持することを特徴とするものである。
【0009】
このようなポンプ装置の能力制御方法によれば、弁開度制御とポンプ回転速度制御とを併用して能力制御を行い、可変制御手段によりポンプ回転数を調整するポンプ回転速度制御が開始される圧力を圧力調整弁の開度を調整する弁開度制御が開始される圧力より僅かに低く設定して能力制御を行うので、弁開度制御とポンプ回転速度制御との併用により能力制御範囲を広げることができる。
また、いずれか一方に不都合が生じて制御不可能な状態になっても、残った制御方式単独でも能力制御を継続できる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るポンプ装置及びその能力制御方法の一実施形態を、図面に基づいて説明する。
図1に示す第1の実施形態において、符号の1はポンプ本体、2は逆止弁、3は圧力調整弁、4a,4bは圧力調整弁3の下流側に設けられた圧力検出手段、5はポンプ本体1を駆動する動力(駆動源)となる電動機、6は電動機5のインバータ制御部、7は開閉弁である。
【0011】
このポンプ装置は、たとえば冷凍機の冷却水ポンプとして用いられる。ポンプ本体1は電動機5を駆動源として回転し、紙面左側から導入した流体を加圧して紙面右側の逆止弁2及び圧力調整弁3側へ送出する。
ここで使用する電動機5は、ポンプ回転速度の可変制御手段として設けたインバータ制御部6により制御される。この結果、ポンプ本体1の回転速度を調整することができ、ポンプ本体1の吐出圧力(流量)を制御する能力制御が可能となる。インバータ制御部6には、圧力検出手段4bで検出した圧力調整弁3の下流側で検出した流体の圧力(圧力調整弁出口圧力)P2が入力され、この圧力P2を所定の値に維持するようポンプ本体1の回転数をフィードバック制御により調整する。
【0012】
すなわち、圧力P2が所定値より低い場合には、電動機5の回転数を上げてポンプ本体1の回転速度を昇速し、反対に、圧力P2が所定値より高い場合には、電動機5の回転数を下げてポンプ本体1の回転速度を降速することで、圧力を一定に維持してポンプ能力を調整する。なお、ポンプ本体1には圧力と吐出量との関係を示す固有の性能曲線があるため、圧力を所定値に維持すれば流量も同様に所定の値に維持される。
【0013】
圧力調整弁3は、圧力検出手段4aで検出した下流側における流体圧力(圧力調整弁出口圧力)P1を受け、この圧力P1を所定の値に維持するよう弁開度を調整する。すなわち、圧力P1が所定値より低い場合には、圧力調整弁3の弁開度を増す方向に開操作して流路抵抗を下げ、反対に、圧力P1が所定値より高い場合には、圧力調整弁3の弁開度を下げる方向に閉操作して流路抵抗を上げることで、圧力を一定に維持してポンプ能力を調整する。
【0014】
このように、ポンプ本体1の能力制御は、圧力調整弁3による弁開度制御と、インバータ制御部6によるポンプ回転速度制御とを備えているので、いずれか一方のみを単独で使用した制御及び両方を併用した制御が可能となる。
弁開度制御を単独で実施する場合は、バックアップの商用電源を使用するなどインバータ制御を解除してポンプ本体1を一定速度で運転すればよい。また、ポンプ回転速度制御を単独で実施する場合は、圧力調整弁3を全開にして、ポンプ回転速度の調整のみを行えばよい。
【0015】
そして、弁開度制御及びポンプ回転速度制御を併用して能力制御を実施する場合には、図1(b)に示すように、インバータ制御部6の回転数を調整する圧力P2が、圧力調整弁3の弁開度を調整する圧力P1より僅かに低い値で制御を開始するように設定する。すなわち、弁開度制御を開始する圧力とポンプ回転速度制御を開始する圧力との間には常に一定の圧力差ΔPが存在し、しかも、弁開度制御を開始する圧力が高くなるように設定されている。
【0016】
具体的な例で説明すると、同一位置またはほぼ同一位置に設けられる圧力検出手段4a,4bで検出する圧力P1,P2は実質的には同じ値となるが、圧力検出手段4bの圧力P2が昇速または降速を開始するする圧力(たとえば5kg/cm2 G)では圧力調整弁3の開閉による弁開度制御は作動しない。この時、圧力調整弁3の開閉を開始して弁開度を調整する圧力検出手段4aの圧力P1は、たとえば5.2kg/cm2 Gに設定されており、0.2kg/cm2 Gと僅かな圧力差(ΔP)が設けられている。なお、この圧力差(ΔP)は、維持するポンプ能力(圧力調整弁3の下流側圧力)の所定値が変わっても、同じ制御系では常に一定に維持される値である。
【0017】
このため、ポンプの能力制御は、低い圧力で制御を開始するポンプ回転速度制御が先に機能するため、通常は圧力調整弁3が全開となり、ポンプ回転速度制御のみで能力制御が行われるのと実質的に同じ制御となる。このため、省エネルギには極めて有利なインバータ制御部6による電動機5のインバータ制御運転が可能となり、弁開度制御による能力制御を残したまま、ポンプ装置の省エネルギ化を達成することができる。
なお、上述したポンプ回転速度制御と弁開度制御とを併用した能力制御では、いずれか一方が故障した場合でも、残る一方を用いることで単独制御が可能であるから、ポンプ装置の停止時間を最小限にできるという利点もある。
【0018】
続いて、図2に基づいて、本発明の第2の実施形態を説明する。なお、図1に示した実施形態と同一の部材には同じ符号を付してある。
この実施形態では、主となるインバータ制御のポンプ本体1がメンテナンスや故障等により運転できないときに使用する予備ポンプとして、予備ポンプ本体1Aがポンプ本体1と並列に接続されている。この予備ポンプ本体1Aは、インバータ制御部6を備えておらず、従って、電動機5Aによる一定速度運転がなされるポンプである。
【0019】
図示のように、並列に接続したポンプ本体1及び予備ポンプ本体1Aの下流側には、両ポンプ本体1,1Aに共用の圧力制御弁3A及び圧力検出手段4a,4bを設けてある。このポンプ装置の場合、通常は予備ポンプ本体1Aの運転は停止され(開閉弁7Aは閉)、ポンプ本体1のみを運転することとなる。従って、このような通常運転では、ポンプ本体1、逆止弁2、圧力制御弁3Aを直列に接続した第1の実施形態と同様の構成となるため、上述したインバータ制御部6によるポンプ回転速度制御主体の能力制御が行われる。
【0020】
一方、予備ポンプ本体1を単独で運転する場合(開閉弁7は閉)には、圧力制御弁3Aによる弁開度制御を行ってポンプ能力の制御が行われる。この場合の構成は、予備ポンプ本体1A、逆止弁2A、圧力制御弁3Aを直列に接続したものとなり、予備ポンプ本体1Aは電動機5Aによる一定速度運転とよる。このような運転状態では、圧力調整弁3の弁開度制御による能力制御が実施される。
また、予備ポンプ本体1Aを立ち上げるため、2台のポンプ1,1Aを並列運転する場合、すなわち、ポンプ本体1の単独運転から予備ポンプ本体1Aの単独運転にポンプ能力を落とすことなくスムーズに切り換える場合には、予備ポンプ1Aが所定の一定速度運転になるまで、ポンプ回転速度制御と弁開度制御とを併用する。この結果、予備ポンプ本体1A側の能力が所定値に近づくことに対応してポンプ本体1の回転速度を降速させ、最終的にはポンプ本体1を停止させることができるので、スムーズな切換が可能になる。
【0021】
さらに、上述した第1の実施形態及び第2の実施形態においては、弁開度制御によるポンプ能力制御とポンプ回転速度制御によるポンプ能力制御とを併用し、両制御の制御範囲を適切に配分して分担させるようにすれば、両制御が自動的に切り換えられて広い範囲のポンプ能力制御を実施することも可能になる。
【0022】
上述したように、本発明のポンプ装置及びその能力制御方法を採用することにより、弁開度制御の単独、ポンプ回転速度制御の単独、そして弁開度制御及びポンプ回転速度制御の併用という3種類のポンプ能力制御を実施することが可能となり、インバータ制御の電動機5を採用した省エネルギを優先したポンプ能力制御を選択するなど、運転状況や目的に応じた最適のポンプ能力制御を実施できるようになる。
特に、上述した本発明は、一定速度運転の電動機5Aを駆動源とし、圧力調整弁3Aの弁開度制御でポンプの能力制御を実施している既設のポンプ設備を、既設の圧力調整弁3Aの機能を生かしたままで、ポンプ回転速度制御が可能なインバータ化する改造に有効である。すなわち、既存の制御系を特別改造することなく、電動機5のインバータ制御化と圧力検出手段4bの増設とにより、容易に改造を実施することができる。
【0023】
なお、本発明の構成は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において適宜組合せたり変更したりすることが可能である。
【0024】
【発明の効果】
本発明のポンプ装置及びその能力制御方法によれば、弁開度制御、ポンプ回転速度制御及び両者の併用によるポンプの能力制御が可能になり、運転状況などに応じて適宜切り換えることができるため、信頼性が高く優れたポンプ能力制御が可能になる。また、インバータ制御の電動機を使用し、ポンプ装置の省エネルギ化を両立させて達成することも可能になる。
【0025】
この他、本発明の採用により、以下の効果を奏する。
(1)既設ポンプ装置の回転速度制御化を行う場合、既存の弁開度制御系をそのまま残して改造することができる。
(2)バックアップでの商用電源による一定速運転にした場合も、弁開度制御による従来通りのポンプ能力制御が可能となる。
(3)一定速運転の予備ポンプを立ち上げる場合、ポンプ回転速度制御のポンプと並列運転をしながら、ポンプ能力を落とすことなくスムーズに予備ポンプ単独運転に移行することが可能である。
(4)ポンプ回転速度制御のみでは対応不可能な場合、自動的に圧力調整弁との併用制御が可能になるため能力制御範囲を広げることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るポンプ装置及びその能力制御方法の第1の実施形態を示す図で、(a)は要部の系統図、(b)は能力制御の説明図である。
【図2】 本発明に係るポンプ装置及びその能力制御方法の第2の実施形態を示す図で、(a)は要部の系統図、(b)は能力制御の説明図である。
【符号の説明】
1 ポンプ本体
2,2A 逆止弁
3,3A 圧力調整弁
4a,4b 圧力検出手段
5,5A 電動機(駆動源)
6 インバータ制御部
7,7A 開閉弁
Claims (2)
- 駆動源を備えたポンプ本体と、ポンプ吐出側に設けた圧力調整弁と、ポンプ回転速度の可変制御手段と、前記圧力調整弁の下流側に設けた圧力検出手段とを具備し、前記圧力検出手段で検出した圧力に基づいて前記圧力調整弁の開度を調整する弁開度制御と、前記圧力調整手段で検出した圧力に基づいて前記可変制御手段によりポンプ回転数を調整するポンプ回転速度制御とを用いて、前記圧力調整弁の下流を所定圧力に維持し、前記ポンプ回転数速度制御が前記弁開度制御より僅かに低い圧力で開始されるようにして、前記弁開度制御と前記ポンプ回転速度制御とを併用することを特徴とするポンプ装置。
- 駆動源を備えたポンプ本体と、ポンプ吐出側に設けた圧力調整弁と、ポンプ回転速度の可変制御手段と、前記圧力調整弁の下流側に設けた圧力検出手段とを具備してなるポンプ装置の能力制御方法であって、前記可変制御手段によりポンプ回転数を調整するポンプ回転速度制御が開始される圧力を前記圧力調整弁の開度を調整する弁開度制御が開始される圧力より僅かに低く設定し、前記ポンプ回転速度制御及び前記弁開度制御を併用して前記圧力調整弁の下流を所定の圧力に維持することを特徴とするポンプ装置の能力制御方法。
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JP2001154327A JP4813685B2 (ja) | 2001-05-23 | 2001-05-23 | ポンプ装置及びその能力制御方法 |
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2001
- 2001-05-23 JP JP2001154327A patent/JP4813685B2/ja not_active Expired - Lifetime
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