JP4810448B2 - 建具 - Google Patents
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Description
特許文献1に記載された内倒し兼内開き窓は、窓枠と、窓枠に支持された障子とを備えて構成されている。そして、障子の吊り元側の縦枠下部と下枠との交差部には、鉛直軸(内開き軸用回動軸)および水平軸(内倒し軸用回動軸)の二軸回りに障子を回動支持する二軸支持部が設けられ、吊り元側の縦枠上部と上枠との交差部には、鉛直軸(内開き軸用回動軸)回りに障子を回動支持可能な内開き用支持部が設けられ、下枠には、水平軸(内倒し軸用回動軸)回りに障子を回動支持可能な内倒し用支持部が設けられている。一方、障子の戸先側縦框には、閉鎖位置、内倒し位置および内開き位置の各位置間を回動操作可能にされた操作ハンドルと、この操作ハンドルの回動操作に連動して戸先側縦框、下框および吊り元側縦框の障子外周に沿って移動する連動部材とが設けられている。そして、連動部材における前記内開き用支持部位置には、その鉛直軸と係脱可能な第1係合部が設けられ、連動部材における前記内倒し用支持部位置には、その水平軸と係脱可能な第2係合部が設けられている。
また、下部支持手段において、下部支持ベース部材の規制部によって下部支持回動部材の基端側の上方への移動を規制することで、下部支持回動部材の先端側で支持する障子の重量を梃子の作用により確実に支持することができる。すなわち、下部支持回動部材の先端側が室内側に回動し、吊り元側の縦框が室内側に移動するような縦辷り出し窓と同様の開閉形式を採用した場合でも、下部支持回動部材の基端側に作用する偏心モーメントを規制部から下部支持ベース部材および下枠に確実に伝達し、内開き時の障子の垂れ下がりを防止することができる。
さらに、本発明の建具では、前記下部支持ベース部材における立上片の室外面および室内面の少なくとも一方には、前記挿通孔の上辺部に沿った補強片が固定されていることが好ましい。
このような構成によれば、下部支持ベース部材の立上片に挿通孔を設けて規制部を構成し、下部支持回動部材の基端側に設けた被規制部を挿通孔に挿通して上辺部に当接させるだけの簡単な構造により障子の重量を確実に支持することができる。そして、挿通孔の上辺部に沿った補強片を立上片に固定すれば、下部支持ベース部材全体や立上片全長の板厚を厚くしなくても、被規制部が当接する挿通孔の上辺部近傍のみを補強することができ、安価かつ確実に規制部の支持強度を高めることができる。
このような構成によれば、下部支持回動部材と第1〜第3のリンク部材とを組み合わせて下部支持手段を構成し、内開き時に障子の吊元側の縦框が縦枠から離れつつ室内側に移動するように構成したことで、縦辷り出し窓と同様の開閉形式とすることができる。従って、障子の室内面において上框、下框、および左右の縦框から見付け方向外方に延びる突片を設けるとともに、これらの突片と窓枠との間に気密ラインを設けた気密構造を採用した場合でも、突片が窓枠と干渉することなく、円滑に障子の開閉を実施することができる。さらに、突片によって上部支持手段および下部支持手段や連動部材を隠蔽することもでき、建具の意匠性を良好なものにすることができる。
このような構成によれば、上部リンク機構や上部支持回動部材によって縦辷り出し窓と同様の開閉形式となるように上部支持手段を構成したことで、気密ラインを構成する突片を障子に設けた場合でも、突片が窓枠と干渉することなく、円滑に障子の開閉を実施することができる。さらに、上部支持回動部材に設けた係合長孔と上連動部材の連動ピンとの係合または係合解除によって、上部支持手段の閉鎖、内倒しおよび内開きの各状態を切り替えるように構成したことで、操作ハンドルの回動操作に応じて各状態を確実に切り替えることができる。
図1は、本発明の実施形態に係る建具である内倒し兼内開き窓1を示す室内側正面から見た断面図である。図2および図3は、それぞれ内倒し兼内開き窓1の動作を示す斜視図であり、図2は、内倒し開放状態を示す斜視図であり、図3は、内開き開放状態を示す斜視図である。
図1〜図3において、内倒し兼内開き窓1は、戸建て住宅等の建物の外壁開口部に設けられるものであって、外壁開口部に固定される窓枠2と、この窓枠2の内側に支持された障子10とを備えて構成されている。
図4は、内倒し時の第2支持装置30を示す斜視図であり、図5は、内倒し時の第1支持装置20を示す斜視図である。図6は、内開き時の第2支持装置30を示す斜視図であり、図7は、内開き時の第1支持装置20を示す斜視図である。図8および図9は、それぞれ内開き時の第1支持装置20を示す平面図および断面図である。
一方、障子10の内開き時において、連動ピン171が係合長孔331に係合した状態で、上部支持回動部材33の先端側が室内側に回動するとともに、この上部支持回動部材33と一体で上部支持取付部材34が回動して障子10が内開き開放される。この際、上部支持回動部材33の基端部である第1リンク部材35との連結位置(回動軸)が、第1〜第3リンク部材35,36,37の作用で縦枠5から離れつつ室内側に移動し、つまり吊元側の縦框13が縦枠5から離れる方向でかつ室内側に移動しつつ障子10が内開きされる。すなわち、一般的な縦辷り出し窓と同様の開閉形式で障子10が開閉されるようになっている。
(1)すなわち、第2支持装置30を介して障子10の上框11が上枠3に連結、支持され、第1支持装置20を介して障子10の下框12が下枠4に連結、支持されているので、従来のようなヒンジ部材が室内側に露出することなく、第2支持装置30および第1支持装置20が室内側に露出しないように隠蔽でき、内倒し兼内開き窓1の意匠性を向上させることができる。そして、第1支持装置20および第2支持装置30によって障子10が縦辷り出し窓と同様の開閉形式で支持可能になり、多様な障子の開閉形式に対応させることができるようになる。
例えば、前記実施形態においては、内倒し兼内開き窓1について説明したが、本発明の建具は、内開き兼内倒し窓であってもよい。すなわち、操作ハンドルの回動操作が閉鎖位置から内開き位置、内倒し位置の順に設定され、これに対応して第2支持装置30や第3支持装置40における係脱順が設定された内開き兼内倒し窓に、前記第1支持装置20を適用してもよい。
これと同様に、第2支持装置30において、上部支持回動部材33の回動動作を上部リンク機構32で規定する構成に限らず、他の機構で上部支持回動部材の回動動作を規定する構成や、あるいは上部支持回動部材の回動動作を規定しない構成であってもよい。
また、前記実施形態では、下部支持ベース部材21の立上片211、挿通孔212および補強片213によって規制部を構成したが、規制部としては、挿通孔に限らず、下部支持回動部材の基端側の上方への移動を規制できるものであればよく、任意の構成が採用可能である。
従って、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
Claims (5)
- 上枠、下枠、および左右の縦枠を有する窓枠と、この窓枠に支持されて内倒し開閉かつ内開き開閉可能な障子とを備えた建具であって、
前記障子は、上框、下框、および左右の縦框を四周框組みした内部に設けられた面材を有して構成されるとともに、前記上框が上部支持手段を介して前記上枠に連結され、前記下框が下部支持手段を介して前記下枠に連結されており、
前記左右の縦框のうち、内開き時に開放側となる一方の縦框には、閉鎖位置、内倒し位置および内開き位置の各位置間を回動操作可能にされた操作ハンドルと、この操作ハンドルの回動操作に連動して当該一方の縦框の長手方向に沿って移動する縦連動部材とが設けられ、
前記上框には、前記縦連動部材に連結されて当該上框の長手方向に沿って移動し、かつ前記上部支持手段まで延びた上連動部材が設けられ、前記上部支持手段は、前記操作ハンドルの回動操作に伴う前記上連動部材の移動に対応して閉鎖、内倒しおよび内開きの各状態に切り替え可能に構成され、
前記下部支持手段は、前記下枠に固定される下部支持ベース部材と、この下部支持ベース部材に基端側が回動自在に連結される下部支持回動部材と、この下部支持回動部材の先端側に連結されかつ前記障子に固定される下部支持取付部材とを少なくとも有するとともに、前記障子の内倒し時において前記下部支持取付部材が前記下部支持回動部材に対して室内側に倒れ、前記障子の内開き時において前記下部支持回動部材が室内側に回動するように構成され、
前記下部支持ベース部材には、前記下部支持回動部材の回動軸よりも室外側にて当該下部支持回動部材の上方への移動を規制する規制部が設けられている建具。 - 前記下部支持ベース部材の規制部は、当該下部支持ベース部材に設けられた立上片と、この立上片に設けられた挿通孔とを有して構成され、
前記下部支持回動部材の基端側には、前記挿通孔に挿通されて当該挿通孔の上辺部に当接可能な被規制部が設けられている請求項1に記載の建具。 - 前記下部支持ベース部材における立上片の室外面および室内面の少なくとも一方には、前記挿通孔の上辺部に沿った補強片が固定されている請求項2に記載の建具。
- 前記下部支持手段は、前記下部支持ベース部材と、前記下部支持回動部材と、前記下部支持取付部材と、前記下部支持ベース部材に一端が軸支される下部支持第1リンク部材と、前記下部支持回動部材の基端部に一端が軸支され他端が前記下部支持第1リンク部材の中間位置に軸支される下部支持第2リンク部材と、前記下部支持回動部材の先端側および前記下部支持第1リンク部材の他端に回動自在に連結される下部支持第3リンク部材とを有して構成され、前記下部支持第3リンク部材に前記下部支持取付部材が連結され、
前記障子の内開き時において、前記下部支持第1リンク部材の他端側が室内側に回動するとともに、前記下部支持回動部材の基端部の回動軸が前記下部支持第1リンク部材の一端側にスライドしつつ当該下部支持回動部材が室内側に回動し、これらの下部支持第1リンク部材および下部支持回動部材の回動に連動して前記下部支持第3リンク部材、下部支持取付部材が回動し、前記障子の吊元側となる他方の縦框が縦枠から離れつつ室内側に移動して当該障子が内開きされる請求項1から請求項3のいずれかに記載の建具。 - 前記上部支持手段は、前記上枠に固定される上部支持ベース部材と、この上部支持ベース部材に上部リンク機構を介して基端側が連結されて先端側が室内側に回動自在に支持される上部支持回動部材と、この上部支持回動部材の先端側に連結されかつ前記障子の上框に固定される上部支持取付部材とを少なくとも有して構成され、
前記上部支持取付部材には、前記上連動部材に固定された連動ピンを挿通可能な長孔が形成され、前記上部支持回動部材には、前記操作ハンドルが閉鎖位置および内開き位置にある場合に前記上連動部材の連動ピンと係合可能で、前記操作ハンドルが内倒し位置にある場合に前記連動ピンとの係合が外れる係合長孔が形成され、
前記障子の内倒し時において、前記上部支持回動部材の先端側が室内側に回動するとともに、前記連動ピンと前記係合長孔との係合が外れることで前記上部支持回動部材に対して前記上部支持取付部材が回動し、前記上框が前記上枠に略平行な状態で前記障子が内倒しされ、
前記障子の内開き時において、前記上部支持回動部材の先端側が室内側に回動するとともに、前記連動ピンと前記係合長孔との係合により前記上部支持回動部材と一体に前記上部支持取付部材が回動し、前記障子の吊元側となる他方の縦框が縦枠から離れつつ室内側に移動して当該障子が内開きされる請求項1から請求項4のいずれかに記載の建具。
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