以下、本発明を適用した画像形成装置の一実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。同図において、潜像担持体としてのドラム状の感光体49は、図中時計回り方向に回転駆動される。
操作者がコンタクトガラス90に図示しない原稿を載置し、図示しないプリントスタートスイッチを押すと、原稿照明光源91及びミラー92を具備する第1走査光学系93と、ミラー94,95を具備する第2走査光学系96とが移動して、原稿画像の読み取りが行われる。
走査された原稿画像がレンズ97の後方に配設された画像読み取り素子98で画像信号として読み込まれ、読み込まれた画像信号はデジタル化された後に画像処理される。そして、処理後の信号でレーザーダイオード(LD)が駆動され、このレーザーダイオードからのレーザー光がポリゴンミラー99で反射した後、ミラー80を介して感光体49を走査する。この走査に先立って、感光体49は帯電装置50によって一様に帯電せしめられており、レーザー光による走査により、感光体49の表面に静電潜像が形成される。
この静電潜像は、現像装置1によってトナーが付着せしめられてトナー像に現像された後、感光体49の回転に伴って、転写チャージャー60との対向位置である転写位置に搬送される。この転写位置に対しては、感光体49上のトナー像と同期するように、第1給紙コロ70aを具備する第1給紙部70、又は第2給紙コロ71aを具備する第2給紙部71から記録紙Pが送り込まれる。そして、感光体49上のトナー像は、転写チャージャー60のコロナ放電によって記録紙P上に転写される。
このようにしてトナー像が転写された記録紙Pは、分離チャージャー61のコロナ放電によって感光体49表面から分離された後、搬送ベルト75によって定着装置76に向けて搬送される。そして、定着装置76内において、図示しないハロゲンランプ等の発熱源を内包する定着ローラ76aと、これに向けて押圧される加圧ローラ76bとの当接による定着ニップに挟み込まれる。その後、定着ニップ内での加圧や加熱によってトナー像が表面に定着せしめられた後、機外の排紙トレイ77に向けて排紙される。
上述の転写位置を通過した感光体49表面に付着している転写残トナーは、クリーニング装置45によって感光体49表面から除去される。このようにしてクリーニング処理が施された感光体49表面は、除電ランプ44によって除電されて次の潜像形成に備えられる。
図2は、本実施形態に係る画像形成装置における感光体49と現像装置1とを示す概略構成図である。同図において、潜像担持体たるドラム状の感光体49は、図示しない駆動手段によって図中時計回り方向に回転駆動される。そして、この感光体49の図中右側方には、筒状のトナー担持体2を有する現像装置1が配設されている。
現像装置1は、図中時計回り方向に回転駆動される第1搬送スクリュウ12を収容する第1収容部13と、図中反時計回りに回転駆動される第2搬送スクリュウ14を収容する第2収容部15とを有しており、両収容部は仕切壁16によって仕切られている。そして、これら収容部はそれぞれ、図示しない磁性キャリアとマイナス帯電性のトナーとが混合された混合剤を収容している。
第1搬送スクリュウ12は、その回転駆動によって第1収容部13内の混合剤を回転撹拌しながら、図紙面に直交する方向における手前側から奥側へと搬送する。このとき、搬送途中の混合剤は、第1収容部13の底部に固定されたトナー濃度センサ17によってそのトナー濃度が検知される。そして、図中奥側の端部付近まで搬送された混合剤は、仕切壁16の奥側端部付近に設けられた図示しない第1連通口を経て、第2収容部15内に進入する。
第2収容部15は、後述するトナー供給ロール18を収容する磁気ブラシ形成部21に連通しており、第2搬送スクリュウ14とトナー供給ロール18とは所定の間隙を介して互いに軸線方向を平行にする姿勢で対向している。第2収容部15内の第2搬送スクリュウ14は、その回転駆動によって第2収容部15内の混合剤を回転撹拌しながら、図中奥側から手前側へと搬送する。この過程において、第2搬送スクリュウ14によって搬送される混合剤の一部は、トナー供給ロール18のトナー供給スリーブ19によって汲み上げられる。そして、図中反時計回り方向のトナー供給スリーブ19の回転駆動に伴って、後述するトナー供給位置を通過した後、トナー供給スリーブ19の表面から離脱して、再び第2収容部15内に戻される。その後、第2搬送スクリュウ14によって図中手前側の端部付近まで搬送された混合剤は、仕切壁16の図中手前側端部付近に設けられた図示しない第2連通口を経て第1収容部13内に戻される。
上述したトナー濃度センサ17は、透磁率センサからなる。このトナー濃度センサ17による混合剤の透磁率の検知結果は、電圧信号として図示しない制御部に送られる。混合剤の透磁率は、混合剤のKトナー濃度と相関を示すため、トナー濃度センサ17はトナー濃度に応じた値の電圧を出力することになる。
本プリンタの図示しない制御部はRAM(Random Access Memory)を備えており、この中にトナー濃度センサ17からの出力電圧の目標値であるVtrefを格納している。そして、トナー濃度センサ17からの出力電圧値と、RAM内のVtrefとを比較して、比較結果に応じた時間だけ図示しないトナー供給装置を駆動させる。この駆動により、現像に伴うトナーの消費によってトナー濃度を低下させた混合剤に対し、第1収容部13内に適量のトナーが供給される。このため、第2収容部15内の混合剤のトナー濃度が所定の範囲内に維持される。
トナー供給ロール18は、図中反時計回り方向に回転駆動される非磁性材料からなる筒状のトナー供給スリーブ19と、これに連れ回らないように内包されるマグネットローラ20とを有している。筒状のトナー供給スリーブ19は、アルミニウム、真鍮、ステンレス、導電性樹脂などの非磁性体が円筒形に形成されたものである。また、マグネットローラ20は、図示のように、回転方向に並ぶ複数の磁極(図中12時の位置から反時計回り方向に順にN極、S極、N極、S極、N極、S極)を有している。これら磁極により、トナー供給スリーブ19の周面上に混合剤が吸着せしめられて、磁力線に沿って穂立ちした磁気ブラシとなる。
トナー供給スリーブ19の表面によって汲み上げられた混合剤は、トナー供給スリーブ19の回転に伴って図中反時計回り方向に回転する。そして、自らの先端をトナー供給スリーブ19の表面に対して所定の間隙を介して対向させている規制部材22との対向位置である担持量規制位置に進入する。このとき、規制部材22とスリーブ表面との間隙を通過することで、スリーブ表面上における担持量が規制される。
トナー供給スリーブ19の図中左側方では、トナー担持体たるトナー担持ローラ2がトナー供給スリーブ19表面と所定の間隙を介して対向しながら、図示しない駆動手段によって図中反時計回り方向に回転駆動されている。
トナー供給スリーブ19の回転に伴って上述の担持量規制位置を通過した混合剤は、トナー担持ローラ2との接触位置であるトナー供給位置に進入して、磁気ブラシ先端を摺擦せしめながら移動する。この摺擦や、トナー供給スリーブ19とトナー担持ローラ2との電位差などにより、磁気ブラシ中のトナーがトナー担持ローラ2の表面上に供給される。なお、トナー供給スリーブ19には、供給バイアス電源24により、供給バイアスが印加されている。この供給バイアスは、トナーの帯電極性と同極性の直流電圧でもよいし、かかる直流電圧に交流電圧を重畳したものでもよい。
トナー供給位置を通過したトナー供給スリーブ19上の磁気ブラシ(混合剤)は、スリーブの回転に伴って第2収容部15との対向位置まで搬送される。この対向位置の付近には、マグネットローラ20に磁極が設けられておらず、混合剤をスリーブ表面に引き付ける磁力が作用していないため、混合剤はスリーブ表面から離脱して第2収容部15内に戻る。
なお、本プリンタにおいては、マグネットローラ20として、6つの磁極を有するものを用いたが、磁極の個数はこれに限られるものではない。8極、12極などであってもよい。
トナー供給ロール18から供給されたトナーを担持するトナー担持ローラ2は、現像装置1のケーシング11に設けられた開口から周面の一部を露出させている。この露出箇所は、感光体49に対して数十〜数百[μm]の間隙を介して対向している。このようにトナー担持ローラ2と感光体49とが対向している位置が、本プリンタにおける現像位置となっている。
トナー担持ローラ2の表面上に供給されたトナーは、後述する理由により、トナー担持ローラ2の表面上でホッピングしながら、トナー担持ローラ2の回転に伴って、トナー供給位置から現像位置に向けて搬送される。そして、現像位置において、感光体49上の静電潜像に付着して、それをトナー像に現像する。
図3は、トナー担持ローラ2を示す斜視図である。このトナー担持ローラ2は、ローラ部の周面上において、ローラ軸線方向に延在しつつローラ周方向に所定のピッチで並ぶ複数の電極を有している。より詳しく説明すると、これら複数の電極は、図4に示すように、A相電極3aと、B相電極3bとがローラ周方向に交互に並べられたものである。
先に示した図3において、トナー担持ローラ2のローラ部における軸線方向の一端部には、A相共通電極4aがローラ部の全周に渡って延在するように設けられており、これには複数のA相電極3aの一端部がそれぞれ接続されている。また、ローラ部における軸線方向の他端部には、B相共通電極4bがローラ部の全周に渡って延在するように設けられており、これには複数のB相電極3bの他端部がそれぞれ接続されている。
便宜上、図3や図4には示していなかったが、複数のA相電極3aやB相電極3bの上には、図5に示すように、非導電性の材料からなる表面層5が被覆されており、この表面層5によってそれら電極とトナーとの接触が回避される。但し、図3に示したA相共通電極3aやB相共通電極3bの上には表面層が設けられておらず、それら共通電極は剥き出しの状態になっている。そして、トナー担持ローラ2の回転に伴って無端移動するA相共通電極4aには、ケーシング(11)に固定された図示しないA相ブラシ接点部材が摺擦する。パルス電源25から出力されるA相パルス電圧Vaが、このA相ブラシ接点部材とA相共通電極4aとを介して、各A相電極3aに印加される。また、トナー担持ローラ2の回転に伴って無端移動するB相共通電極4bには、ケーシングに固定された図示しないB相ブラシ接点部材が摺擦する。パルス電源25から出力されるB相パルス電圧Vbは、このB相ブラシ接点部材とB相共通電極4bとを介して、各B相電極3bに印加される。
なお、以下、A相パルス電圧Vaが印加される複数のA相電極3aの集合をA相電極群という。また、B相パルス電圧が印加される複数のB相電極3bの集合をB相電極群という。A相電極3aとB相電極3bとは交互に配設されているため、複数のA相電極3aはローラ周方向における所定位置からの並び順が何れも、奇数番目又は偶数番目となる。また、複数のB相電極3bの並び順は、A相電極3aの並び順が奇数番目である場合には偶数番目、A相電極3aの並び順が偶数番目である場合には偶数番目となる。
A相電極群に印加されるA相パルス電圧Vaは、例えば図6に示すように、所定の電位を中心として所定周期で立ち上がりと立ち下がりとを繰り返す矩形波状の特性を有している。これに対し、B相電極群に印加されるB相パルス電圧Vbは、例えば図6に示すように、立ち上がりや立ち下がりの位相がA相パルス電圧Vaと逆位相になる矩形波状の特性を有している。このようなパルス電圧が印加されると、トナー担持ローラ(2)上のトナーは、A相電極3aの真上から浮上して放物線を描くようにして隣のB相電極3bの真上に着地した後、B相電極3bの真上から浮上して放物線を描くようにして隣のA相電極3a上に逆戻りするという、ホッピングによる往復移動を繰り返す。
このようにしてホッピングによる往復移動を繰り返しているトナーは、トナー担持ローラ(2)の回転駆動によって現像位置まで搬送される。そして、現像位置にて、その放物線状のホッピング軌跡の頂点付近で感光体(3)の静電潜像の近傍に至ると、静電潜像の静電気力によって引かれながらホッピング軌跡から外れて、静電潜像に付着する。これに対し、放物線状のホッピング軌跡の頂点付近で感光体(3)の地肌部の近傍に至ると、ホッピング軌跡から外れることなく下降して、トナー担持ローラ(2)の表面に着地する。
かかる構成においては、ホッピングによってトナー担持ローラ(2)との吸着力が解かれた状態のトナーを現像に用いることで、従来の1成分現像方式や二成分現像方式では実現が望めなかったほどの低電位現像を実現することができる。なお、以下、本画像形成装置のようにトナー担持体の電極間でトナーをホッピングによって往復移動させながら、トナー担持体の表面移動によって現像位置まで搬送して現像を行う方式をフレア(Flare)現像方式という。
本実施形態に係るプリンタにおいては、A相パルス電圧VaやB相パルス電圧Vbとして、ピーク・ツウ・ピーク電圧Vppが200〜1000[V]であって、且つ周波数fが0.5〜5[kHz]であるものを用いている。A相パルス電圧Va、B相パルス電圧は互いに、ピーク・ツウ・ピーク電圧Vpp、振幅の中心電位、及び周波数fが同じ値である。振幅の中心電位については、感光体49の潜像電位や地肌部電位との間の値に設定している。
A相電極群やB相電極群に印加するパルス電圧としては、図7に記載のような矩形波からなるA相パルス電圧Vaと、これの振幅の中心値であるDC電圧Vbあるいは0[V]との組合せを採用してもよい。また、この組合せにおけるA相、B相の関係を逆にして採用してもよい。また、パルス電圧の波形としては、矩形波以外のもの、例えばサイン波、時定数を持った三角波、時定数に相当する正弦波などを採用してもよい。
先に示した図2において、現像位置で現像に寄与しなかったトナーは、トナー担持ローラ2の回転に伴ってケーシング11内に戻った後、上述のトナー供給位置に進入する。このトナー供給位置においても、トナーはホッピングによってローラ表面との付着力を発揮していないので、トナー担持ローラ2に対してカウンター方向に摺擦する磁気ブラシによって容易に掻き取られたり均されたりする。同時に、新しいトナーがトナー供給スリーブ19上の磁気ブラシから供給される。このような掻き取り回収、均し、及び供給の相乗作用により、トナー供給位置を通過した後のトナー担持ローラ12表面上には均一量のトナーがホッピングするようになる。
先に示した図5において、A相電極3aやB相電極3bは、絶縁性の支持基板6上に形成された導電性材料からなる導電層が、フォトリソグラフィー法などによって所要の電極形状に加工されたものである。支持基板6としては、ガラス基板、樹脂基板、セラミックス基板、ポリイミド基板等の絶縁性材料からなる基板、あるいはSUS等の導電性材料からなる基板にSiO2、BaTiO2、TiO2、TiO4、SiON、BN、TiN、Ta2O5等からなる絶縁膜を成膜した基板などを用いることが可能である。
同図において、Rは、A相電極3aとB相電極17Bとの間の隙間を示している。また、Lは、それら電極の短手方向の長さである幅を示している。電極の配設ピッチPについては、隙間R+幅Lで表すことができる。ローラ表面上において、電極間に位置している図示しないMトナーは、電極の並び方向に向けて延びる電気力線に沿って、ほぼローラ表面を舐めるようにして移動する。これに対し、電極(3a、3b)上に位置しているMトナーは、電極間で放物線を描くようにして形成される電気力線に沿ってホッピングするため、ローラ表面に対して接離する。また、電極の幅方向端部の付近に位置しているMトナーは、隣の電極を飛び越えるようにホッピングすることがある。このため、幅Lが比較的大きい場合には、電極端部付近の上に乗るMトナー粒子の数が比較的多くなることから、移動距離の大きいトナーが比較的多くなる。但し、幅Lが大きすぎると、電極中央付近の電界強度が比較的弱くなるために、ホッピング効率が悪くなる。低電圧で効率よくトナーをホッピングさせるための適正な幅Lの値が存在するのである。
また、隙間Rは、電極間の電界強度を左右する1要素であり、電極に印加されるパルス電圧の大きさ(振幅)が一定である場合、隙間Rが小さくなるほど電極間の電界強度は強くなってホッピング速度が上昇する。但し、電極の真上から隣の電極の真上にホッピングするMトナーでは、ホッピング1回あたりの移動距離が比較的短くなる。このため、パルス電圧の周波数fを高めに設定しないと、浮上している時間よりも着地している時間の方が長くなって効率が悪くなる。よって、低電圧で効率よくトナーをホッピングさせるための適切な隙間Rの値も存在する。
更に、表面層5の厚さもローラ表面上での電界強度を左右する一要素となる。特に、垂直方向成分の電気力線への影響が大きく、ホッピングの効率に大きな影響を与える。即ち、幅L、隙間R、表面層厚さをそれぞれ適正に設定することが、低電圧で効率的なホッピングを行わせるための重要な要素となる。
なお、本実施形態に係る画像形成装置では、トナーとして、負帯電性のものを用いているが、正帯電性のものを用いてもよい。
次に、本実施形態に係る画像形成装置の特徴的な構成について説明する。
一般に、トナー粉末を摩擦すると、そのトナー粉末中における個々のトナー粒子の摩擦帯電量は一定にならず、帯電量が正規分布曲線を示す。また、この正規分布曲線には反映されず、正規極性とは逆極性に摩擦帯電してしまう逆帯電トナー粒子も、少なからず発生してしまう。
図8は、本実施形態に係る画像形成装置のトナー担持ローラ2とその周囲構成とを示す拡大構成図である。同図において、符号Ar0が付された領域は、トナー担持ローラ2と、トナー供給手段たるトナー供給ロール18のトナー供給スリーブ19の表面に形成された図示しない磁気ブラシとが摺擦するトナー供給位置を示している。また、符号Ar2が付された領域は、現像位置を示している。また、符号Ar1が付された領域は、トナー担持ローラ2の表面の回転方向(無端移動方向)における全領域のうち、トナー供給位置Ar0を通過した後、現像位置Ar2に進入する前の領域としての現像前搬送領域を示している。また、符号Ar3が付された領域は、現像位置Ar2を通過した後、トナー供給位置Ar0に進入する前の領域としての現像後搬送領域を示している。
なお、現像領域Ar2は、感光体49とトナー担持ローラ2が対向している領域のうち、感光体49がその曲率によってトナー担持ローラ2にかなり近づいている領域である。このような現像位置Ar2におけるローラ回転方向の長さについては、次のようにして測定することが可能である。即ち、現像位置Ar2とその前後近傍とにおけるトナーの挙動を高倍率高速度カメラで撮影しながら、感光体49上に形成したベタ画像を現像する。そして、そのベタ画像の感光体回転方向の上流端に付着したトナー粒子がトナー担持ローラ2表面上で最後にホッピングした位置と、ベタ画像の感光体回転方向の下流端に付着したトナー粒子がトナー担持ローラ2表面上で最後にホッピングした位置との距離を測定する。この距離が現像領域Ar2におけるローラ回転方向の長さとなる。
現像前搬送領域Ar1でホッピングする個々のトナー粒子は、トナー担持ローラ2の回転に伴って現像位置Ar2に徐々に近づいていくが、その中には逆帯電トナー粒子が含まれている。また、平均的なトナー帯電量よりも正規極性側に大きくしている逆帯電トナー粒子も含まれている。これら逆帯電トナー粒子や高帯電量トナー粒子が現像位置Ar2まで搬送されると、感光体49の非画像部(地肌部)に付着して地汚れを引き起こしてしまう。
そこで、本実施形態に係る画像形成装置においては、現像前搬送領域Ar1にてトナー担持ローラ2表面上でホッピングしているトナー粒子のうち、逆帯電トナー粒子及び高帯電量トナー粒子を回収する現像前トナー回収手段を設けている。この現像前トナー回収手段は、トナー担持ローラ2の表面における回転方向の全領域のうち、現像前搬送領域Ar1に対して、所定の間隙を介して対向する現像前対向電極26を有している。また、この現像前対向電極26に現像前回収バイアスを供給するための電圧供給手段たる現像前回収バイアス電源27も有している。
現像前対向電極26は、トナー担持ローラ2の回転方向における上流側端部から下流側端部にかけて、トナー担持ローラ2との間隙が均一になるように、少なくともトナー担持ローラ2との対向面が湾曲している。この間隙は、現像位置Ar2における感光体49とトナー担持ローラ2との最小間隙である現像ギャップと同じ値に設定されている。
現像前回収バイアス電源27は、感光体49の地肌部(一様帯電電位)を同じ極性且つ値の直流電圧からなる現像前対向バイアスを出力する。つまり、現像前対向バイアスの印加により、現像前対向電極26の電位は感光体49上の地肌部電位と同じ極性且つ同じ値になる。
上述した現像前トナー回収手段は、現像前対向電極26や現像前回収バイアス電源27の他、この電源からの現像前回収バイアスの出力のオンオフを制御する図示しない制御部も有している。そして、現像動作中(静電潜像の現像に寄与し得るトナーを現像前搬送領域Ar1及び現像位置Ar2内で搬送している状態)には、現像前対向電極26に対して現像前回収バイアスを印加する。かかる構成では、現像前搬送領域Ar1内でホッピングしている無数のトナー粒子のうち、現像位置Ar2で感光体49の地肌部に付着して地汚れを引き起こしてしまう地汚れトナー、即ち、逆帯電トナー粒子及び高帯電量トナー粒子を、現像前対向電極26に選択的に付着させる。そして、これにより、現像前搬送領域Ar1内で搬送されるトナーの中から、地汚れトナーを選択的に分離する。
現像動作(連続プリント時においては連続現像動作)が終了すると、上記制御部は制御信号により、現像前回収バイアス電源27からの出力電圧を、上述の分離バイアスから、これよりもトナーの帯電極性側に大きな(本例ではマイナス側に大きな)吐き出しバイアスに切り替える。また、感光体49の一様帯電電位を、通常のプリント時よりもトナーの帯電極性側に大きくすべく、帯電装置(50)を制御する。これにより、現像前対向電極26に付着した逆帯電トナー粒子や高帯電量トナー粒子が現像前対向電極26から離脱してトナー担持ローラ2の表面上に吐き出される。そして、現像位置Ar2と現像後搬送領域Ar3とを経由した後、トナー供給位置Ar0で磁気ブラシ内に回収される。
現像前搬送領域Ar1上で搬送される高帯電量トナー粒子は、他のトナー粒子に比べて帯電量が大きいことから、他のトナー粒子よりも高くホッピングする。すると、ホッピングによる最高レベル到達時に、多量のトナー粒子からなるトナークラウドを自らの下方に位置させ、その反発力によってトナー担持ローラ2上の電界による拘束力の及ばない範囲まで飛散してしまうことがある。現像前対向電極26を設けたことで、このような高帯電量トナー粒子の飛散を防止することもできる。
現像前対向電極26としては、金属等の導電性材料からなる電極層の表面(トナー担持ローラ2との対向面)に、絶縁性材料からなる絶縁層を被覆したものを用いることが望ましい。かかる構成によれば、トナー粒子と、現像前対向電極26の導電性の無垢表面とを直接接触させることによるトナー粒子に対する電荷注入や、トナー粒子の電荷の電極層へのリークを回避することができる。
また、現像前対向電極26としては、トナー担持ローラ2との対向面におけるローラ回転方向に直交する方向の長さを、トナー担持ローラ2における現像前対向電極26との対向面の同方向の長さ以上にしたもの、を用いている。かかる構成では、現像前搬送領域Ar1でホッピングしているトナーに対し、前記直交する方向の全領域にて、逆帯電トナー粒子や高帯電量トナー粒子の分離処理を施すことができる。
また、現像前対向電極26としては、トナー担持ローラ26との対向面におけるローラ回転方向の長さを、現像位置Ar2のローラ回転方向の長さ以上にしたもの、を用いている。かかる構成では、現像位置Ar2のローラ回転方向の長さ未満にした場合とは異なり、現像前対向電極26の直下においてトナーを現像位置通過時間よりも長い時間搬送することで、現像位置Ar2で地汚れトナーとなってしまう逆帯電トナー粒子や高帯電量トナー粒子を確実に分離することができる。
現像前搬送領域Ar1のうち、トナー担持ローラ2と現像前対向電極26とが対向する領域(以下、この領域を現像前回収領域という)におけるトナーホッピング条件については、現像位置Ar2におけるトナーホッピング条件と同じに設定している。かかる構成では、現像前回収領域におけるトナーホッピング条件を現像位置Ar2とは異ならせることに起因する逆帯電トナー粒子や高帯電量トナー粒子の分離・回収精度の悪化を回避することができる。なお、ここで言うトナーホッピング条件は、電極(3a、3b)の幅、電極の配設ピッチ、各電極に印加するパルス電圧の特性、及び表面層(5)の厚みの組合せである。
図9は、実施形態に係る画像形成装置の第1変形例装置における現像装置1を感光体49とともに示す拡大構成図である。この現像装置1は、ケーシング11内のトナー収容部に収容している非磁性トナーを2つの撹拌パドル31の回転によって後述するトナー供給ローラ30に向けて搬送している。
トナー供給ローラ30は、撹拌パドル31から送られてくる非磁性トナーを表面に担持しながら、図示しない駆動手段によって図中反時計回りに回転駆動される。トナー供給ローラ30の表面に担持された非磁性トナーは、ローラの回転に伴ってローラと規制部材22との当接位置に進入する際に、摩擦帯電が促されるとともに、トナー供給ローラ30上における層厚が規制される。
このようにして層厚が規制された非磁性トナーは、トナー供給ローラ30の回転に伴って、トナー担持ローラ2とトナー供給ローラ30とが対向するトナー供給位置に進入する。そして、供給バイアス電源24によって供給バイアスが印加されるトナー供給ローラ30と、トナー担持ローラ2との電位差により、トナー供給ローラ30上からトナー担持ローラ2上に転移する。その後、トナー担持ローラ2の回転に伴って搬送される過程において、現像前搬送領域(Ar1)で逆帯電トナー粒子や高帯電量トナー粒子が現像前対向電極26上に回収される。
図10は、実施形態に係る画像形成装置の第2変形例装置における現像装置1を感光体49とともに示す拡大構成図である。この現像装置1は、トナー供給ローラ30におけるスポンジ等の弾性材料からなるローラ部をトナー担持ローラ2に接触させながら、接触部でローラ部表面をトナー担持ローラ2とは逆方向に移動させるように、トナー供給ローラ30を回転させている。トナー供給ローラ30上のトナーは、トナー担持ローラ2とトナー供給ローラ30との接触部で摺擦せしめられて摩擦帯電が促されながら、トナー担持ローラ2上に転移する。その後、トナー担持ローラ2の回転に伴って搬送される過程において、現像前搬送領域(Ar1)で逆帯電トナー粒子や高帯電量トナー粒子が現像前対向電極26上に回収される。
図11は、実施形態に係る画像形成装置の第3変形例装置におけるトナー担持ローラ2を示す拡大断面図である。このトナー担持ローラ2は、支持基板6と表面層5との間に、絶縁性材料からなる中間層7が形成されている。そして、支持基板6の表面上には、A相電極3aとB相電極3bとが形成されており、これら電極の上や、支持基板6の非電極形成面の上に、中間層7が積層されている。
中間層7の上には、C相電極3cが形成されている。そして、このC相電極3cの上や、中間層7の非電極形成面の上に、表面層5が被覆されている。
トナー担持ローラ2の表面移動方向(図中矢印方向)においては、A相電極3a、B相電極3b、C相電極3cが順に所定ピッチで並ぶようになっている。そして、3つの並びが繰り返されるように、各電極が配設されている。
各A相電極3aの一端部は、図12に示すように、ローラ全周に渡って延在しているA相共通電極4aにそれぞれ接続されている。また、各B相電極3bの一端部は、A相共通電極4aの隣においてA相共通電極4aに対して非接触でローラ全周に渡って延在しているB相共通電極4bにそれぞれ接続されている。また、各C相電極3cの他端部は、ローラ部の他端部においてローラ全周に渡って延在しているC相共通電極4cにそれぞれ接続されている。
A相電極群、B相電極群、C相電極群に対しては、図13に示すようなA相パルス電圧Va、B相パルス電圧Vb、C相パルス電圧Vcが印加される。これらパルス電圧は、互いにピーク・ツウ・ピーク電圧Vpp、振幅の中心電位、及び周波数fが同じになっている。但し、その位相はそれぞれずれている。このようなパルス電圧が印加されると、トナー担持ローラ2の表面上のトナーは、往復移動するホッピングではなく、図中矢印方向に向かって順次移動するホッピングを行う。これにより、トナーは、トナー担持ローラ2の表面移動に加えて、自らのホッピングによっても、現像位置に向けて搬送されるようになる。この搬送の過程において、実施形態に係る画像形成装置と同様にして、逆帯電トナー粒子や高帯電量トナー粒子が現像前搬送領域で回収される。
次に、実施形態に係る画像形成装置に、より特徴的な構成を付加した各実施例の画像形成装置について説明する。なお、以下に特筆しない限り、各実施例に係る画像形成装置の構成は、実施形態と同様である。
[第1実施例]
図14は、第1実施例に係る画像形成装置の現像装置(1)におけるトナー担持ローラ2と、その周囲構成とを拡大して示す拡大構成図である。同図において、トナー担持ローラ2の表面の回転方向における全領域のうち、現像後搬送領域Ar3に対しては、所定の間隙を介して現像後対向部材たる現像後対向電極28が対向している。この現像後対向電極28も、現像前対向電極26と同様に、ローラ回転方向における上流側端部から下流側端部にかけて、トナー担持ローラ2との間隙が均一になるように、少なくともトナー担持ローラ2との対向面が湾曲している。
かかる構成では、現像後搬送領域Ar3でホッピングしているトナー粒子の飛散を現像後対向電極28によって防止することができる。なお、現像後対向電極28には、導通線を介して現像後バイアス電源29が接続されている。この現像後バイアス電源29は、現像後対向電極28に対して、トナーの帯電極性と同極性の現像後バイアスを出力する。かかる構成では、現像後対向電極28と、トナー担持ローラ2上でホッピングしているトナーとを現像後バイアスによって静電的に反発させることで、現像後対向電極28とホッピングしたトナー粒子との接触を抑えることができる。これにより、トナー粒子の現像後対向電極28への付着を抑えることができる。
なお、現像後対向電極28としては、現像前対向電極26と同様の理由により、金属等の導電性材料からなる電極層の表面に、絶縁性材料からなる絶縁層を被覆したものを用いることが望ましい。また、トナー担持ローラ2との対向面におけるローラ回転方向に直交する方向の長さを、トナー担持ローラ2の同方向の長さ以上にしたもの、を用いることが望ましい。更には、トナー担持ローラ2との対向面におけるローラ回転方向の長さを、現像位置Ar2のローラ回転方向の長さ以上にしたもの、を用いることが望ましい。
また、現像後バイアスについては、その値を大きくしすぎるとトナー担持体2表面上のホッピング電界を潰してしまい、トナーの良好な搬送を妨げてしまう。よって、ホッピング電界を潰さない程度の大きさにしている。
[第2実施例]
図15は、第2実施例に係る画像形成装置を示す概略構成図である。この画像形成装置は、マゼンタ,シアン,イエロー,ブラック(以下、M,C,Y,Kという)のトナー像を重ね合わせてフルカラー画像を形成することができる。そして、ベルトユニット81、4色にそれぞれ個別に対応する4つのプロセスユニット、4つの光書込ユニット100M,C,Y,K、レジストローラ対79、転写ローラ87、定着装置76、給紙カセット78などを備えている。
ベルトユニット81は、潜像担持体たる無端ベルト状の感光体49を、水平方向よりも鉛直方向にスペースをとる縦長の姿勢で張架しながら図中反時計回り方向に無端移動せしめる。より詳しくは、無端ベルト上の感光体49を、駆動ローラ83、テンションローラ84、転写バックアップローラ85、及び4つの現像対向ローラ86M,C,Y,Kによって裏面側から支えながら張架している。そして、図示しない駆動手段によって図中反時計回り方向に回転駆動せしめられる駆動ローラ83の回転によって感光体49を無端移動せしめる。この感光体49における図中左側の張架面(以下、左側張架面という)は、ほぼ鉛直方向に延在する姿勢になっている。
感光体49の左側張架面の図中左側方には、M,C,Y,K用のプロセスユニットが鉛直方向に並ぶように配設されており、それぞれ感光体49の左側張架面に対向している。これら4つのプロセスユニットは、それぞれ、現像装置(1M,C,Y,K)と、感光体49を一様帯電せしめる帯電装置(50M,C,Y,K)とを1つのユニットとして図示しない共通の保持体に保持している。そして、図16に示すように、プリンタ筺体に対して現像装置及び帯電装置が一体的に着脱されるようになっている。
先に示した図15において、4つの現像装置1M,C,Y,Kのうち、鉛直方向の最も下側に位置するK用の現像装置1Kの上方には、K用の帯電装置50Kが感光体49の左側張架面に対向するように配設されている。また、K用の現像装置1Kの真上に配設されたY用の現像装置1Yの上方には、Y用の帯電装置50Yが感光体49の左側張架面に対向するように配設されている。また、Y用の現像装置1Yの真上に配設されたC用の現像装置1Cの上方には、C用の帯電装置50Cが感光体49の左側張架面に対向するように配設されている。更に、Y用の現像装置1Yの真上に配設されたM用の現像装置1Mの上方には、M用の帯電装置50Mが感光体49の左側張架面に対向するように配設されている。
鉛直方向に並ぶ4つの現像装置1M,C,Y,Kの図中左側方には、4つの光書込ユニット100M,C,Y,Kが鉛直方向に並ぶように配設されている。これら光書込ユニット100M,C,Y,Kは、外部の図示しないパーソナルコンピュータやスキャナから送られてくる画像情報に基づいて、図示しない4つの半導体レーザーを駆動してM,C,Y,K用の書込光Lm,Lc,Ly,Lkを出射する。そして、これらを図示しないポリゴンミラーによって偏向せしめながら、図示しない反射ミラーで反射させたり光学レンズに通したりすることで感光体49に対する光走査を行う。かかる構成のものに代えて、LEDアレイによって光走査を行うものを用いてもよい。なお、光走査は暗中にて行われる。
感光体49は、自らを張架している複数の張架ローラのうち、最も下方に位置する駆動ローラ83と、最も上方に位置するテンションローラ84との間では、鉛直方向上方から下方に向けてほぼ真っ直ぐに移動する。この過程において、まず、M用の帯電装置50Mとの対向位置を通過する際に、例えば負極性に一様帯電せしめられる。そして、M用の書込光Lmによる光走査によってM用の静電潜像を担持した後、M用の現像装置1Mとの対向位置を通過する。この際、感光体49に書き込まれたM用の静電潜像がM用の現像装置1Mによって現像されてMトナー像になる。
Mトナー像が形成された感光体49は、鉛直方向上方から下方に向けての移動に伴って、C用の帯電装置50Cによって再び一様帯電せしめられた後、C用の書込光Lcによる光走査によってC用の静電潜像を担持する。このC用の静電潜像は、C用の現像装置1Cによって現像されてCトナー像となる。このとき、Cトナー像の全領域又は一部領域は、既に感光体49上に形成されているMトナー像に重ね合わせて現像される。そして、その重ね合わせ箇所は、M及びCによる2次色部となる。
Cトナー像が形成された感光体49は、鉛直方向上方から下方に向けての移動に伴って、Y用の帯電装置50Yによって再び一様帯電せしめられた後、Y用の書込光Lyによる光走査によってY用の静電潜像を担持する。このY用の静電潜像は、Y用の現像装置1Yによって現像されてYトナー像となる。このとき、Yトナー像の全領域又は一部領域は、既に感光体49上に形成されているMトナー像、Cトナー像、あるいはMC2次色部の上に重ね合わせた状態で現像される。そして、その重ね合わせ箇所は、MY2次色部、CY2次色部、あるいはMCY3次色部となる。
Yトナー像が形成された感光体49は、鉛直方向上方から下方に向けての移動に伴って、K用の帯電装置50Kによって再び一様帯電せしめられた後、K用の書込光Lkによる光走査によってK用の静電潜像を担持する。このK用の静電潜像は、K用の現像装置1Kによって現像されてKトナー像となる。
以上のようなM,C,Y,Kトナー像の重ね合わせ現像により、感光体49のおもて面(ループ外面)には、4色重ね合わせトナー像が形成される。なお、M,C,Y,K用の帯電装置50M,C,Y,Kとしては、それぞれコロナ放電によって感光体49を一様帯電せしめるものが用いられている。
K用の現像装置1Kとの対向位置であるK用の現像位置を通過した感光体49は、駆動ローラ83に対する掛け回し箇所を通過すると、今度は相対的に鉛直方向下方から上方に向けて移動するようになる。そして、転写バックアップローラ85に対する掛け回し箇所に進入する。この掛け回し箇所の一部に対しては、転写ローラ87がおもて面側から当接して転写ニップを形成している。転写バックアップローラ85は接地されているのに対し、導電性の転写ローラ87には図示しないバイアス印加手段によって転写バイアスが印加されている。これにより、転写ニップを間に挟んでいる転写バックアップローラ85と転写ローラ87との間には、感光体49上のトナー像を転写バックアップローラ85側から転写ローラ87側に静電移動させる転写電界が形成されている。
一方、給紙カセット78は、所定のタイミングで給紙ローラ78aを回転駆動させることで、カセット内に収容している記録紙Pを給紙路に向けて送り出す。送り出された記録紙Pは、転写ニップの図中下方に配設されたレジストローラ対79のローラ間に挟み込まれる。レジストローラ対79は、記録紙Pの先端部を挟み込むとすぐに回転駆動を一時停止する。そして、記録紙Pを感光体49の4色重ね合わせトナー像と同期させ得るタイミングで回転駆動を再開して、記録紙Pを転写ニップに送り出す。
転写ニップで記録紙Pに密着せしめられた4色重ね合わせトナー像は、ニップ圧や転写電界の作用によってベルトから記録紙Pに一括転写され、記録紙Pの白色と相まってフルカラー画像となる。このようにしてフルカラー画像が形成された記録紙Pは、転写ニップから定着装置76に送り込まれた後、機外へと排出される。
図17は、K用のプロセスユニットを感光体49とともに示す拡大構成図である。同図の現像装置1Kにおいて、トナー担持ローラ2Kの現像後搬送領域に対向する現像後対向電極28Kは、振動子32Kに片持ち支持されており、その自由端側をトナー担持ローラ2Kに対向させている。
現像位置(Ar2)で現像に寄与しなかったKトナーは、トナー担持ローラ2Kの現像後搬送領域(Ar3)まで進んだ後、現像後バイアスが印加される現像後対向電極28Kの表面に転移する。この転移により、トナー担持ローラ2Kの現像後搬送領域(Ar3)からKトナーが回収される。
プリントジョブ後などといった、現像動作が行われないタイミングが到来すると、上述の現像後バイアスの印加が停止される。この後、現像後対向電極28Kに接続されている図示しないリレースイッチの作動により、現像後対向電極28Kが接地された状態で、加振手段たる振動子32Kが作動して現像後対向電極28Kの表面上からKトナーが振り落とされる。そして、自重によってトナー供給スリーブ19K上の磁気ブラシとの接触位置まで落下して、磁気ブラシ内に取り込まれる。
なお、現像後対向電極28Kについては、その表面上からのKトナーの滑り落ちを促す目的で、図示のようにトナー付着面に傾斜を設けた姿勢で配設することが望ましい。
また、プリントジョブ後などのタイミングで、現像後対向電極28Kに印加するバイアスをKトナーと同極性のバイアスに切り替えて、現像後対向電極28KKからトナー担持ローラ2KにKトナーを再転移させるものを用いてもよい。
K用の現像装置1Kについて詳しく説明してきたが、他色用の現像装置(1M,C,Y)は、K用のものと同様の構成になっているので、説明を省略する。また、帯電装置の他に、あるいは帯電装置に加えて、クリーニング手段、感光体などを一体的にしてプロセスユニットを構成してもよい。
[第3実施例]
図18は、第3実施例に係る画像形成装置におけるK用のプロセスユニットを感光体49とともに示す拡大構成図である。この画像形成装置は、各色の現像装置(1M,C,Y,K)の構成が第2実施例に係る画像形成装置と異なっているが、その他の点は第2実施例に係る画像形成装置と同様になっている。
同図において、現像装置1Kは、現像後対向電極としての現像後対向ローラ33Kを有している。この現像後対向ローラ33Kは、現像後バイアス電源29KによってKトナーとは逆極性の現像後バイアスが印加されながら、図示しない駆動手段によって図中反時計回り方向に回転駆動される。
現像位置で現像に寄与しなかったKトナーは、現像後搬送領域(Ar3)において、トナー担持ローラ2Kの表面上から現像後対向ローラ33Kの表面上に転移する。そして、現像後対向ローラ33Kの回転に伴って、現像後対向ローラ33Kと、分離手段たるクリーニングブレード34Kとの当接部に至ると、クリーニングブレード34Kによって現像後対向ローラ33Kの表面から掻き落とされる。その後は、自重によってトナー供給スリーブ2Kの表面上における磁気ブラシとの接触位置まで落下して、磁気ブラシ内に取り込まれる。
現像後対向ローラ33Kについては、図示のように、トナー担持ローラ2Kとの対向位置においてその表面をトナー担持ローラ2Kの表面と同方向に移動させる向きで回転させることことが望ましい。更に、現像後対向ローラ33Kの線速(表面移動速度)については、トナー担持ローラ2Kの線速よりも速くすることが望ましい。このようにすることで、現像後対向ローラ33Kとの対向位置に進入してきたトナー担持ローラ2K上のKトナーに対し、現像後対向ローラ33Kにおけるトナー付着のない無垢の表面を対向させて、その無垢の表面にトナーを良好に転移させることができるからである。
[第4実施例]
図19は、第4実施例に係る画像形成装置におけるK用のプロセスユニットを感光体49とともに示す拡大構成図である。この画像形成装置も、各色の現像装置(1M,C,Y,K)の構成が第2実施例に係る画像形成装置と異なっているが、その他の点は第2実施例に係る画像形成装置と同様になっている。
同図において、現像装置1Kは、現像後対向電極の代わりに、回収ブラシローラ35Kを有している。そして、この回収ブラシローラ35Kは、軸受けによって回転自在に支持される金属製の回転軸部材と、これの周面に立設せしめられた複数の導電性の起毛からなるブラシ部とを具備している。
現像後バイアス電源29KによってKトナーとは逆極性のバイアスが回転軸部材に印加されている回収ブラシローラ35Kは、複数の起毛からなるブラシ部の先端をトナー担持ローラ2Kの現像後搬送領域(Ar3)に接触させながら、その接触部でブラシ部をトナー担持ローラ2Kの表面移動方向とは逆方向に移動させる向きで回転駆動される。これにより、ブラシ部とトナー担持ローラ2Kとが接触している位置では、トナー担持ローラ2K上のKトナーがブラシ部によって掻き取られながら、バイアスの作用によってブラシ内に転移、捕捉される。
ブラシ部内に捕捉されたKトナーは、ブラシ回転軸線方向に延在しながらブラシ部に接触するように配設された分離手段たるフリッカー棒36Kによって起毛が弾かれる際の衝撃により、ブラシ部内から振り落とされる。フリッカー棒36Kの代わりにバイアスローラをブラシ先端に接触させてもよい。フリッカー棒36Kによってブラシ部から振り落とされたKトナーは、自重によってトナー供給スリーブ2Kの表面上における磁気ブラシとの接触位置まで落下して、磁気ブラシ内に取り込まれる。
[第5実施例]
図20は、第5実施例に係る画像形成装置におけるK用のプロセスユニットを感光体49とともに示す拡大構成図である。この画像形成装置も、各色の現像装置(1M,C,Y,K)の構成が第2実施例に係る画像形成装置と異なっているが、その他の点は第2実施例に係る画像形成装置と同様になっている。
同図において、現像装置1Kは、現像後対向電極の代わりに、吸引部材たる吸引ノズル37Kを有している。
吸引ノズル37Kには、中継管を介して吸引ポンプ39Kの吸引部が接続されている。この吸引ポンプ39Kの吐出部には排気管が接続されており、更にこの排気管の末端部は、現像装置1Kの第1収容部13Kに接続されている。
吸引ポンプ39Kが作動すると、吸引ノズル37Kの吸引口の付近にある空気が、吸引口内に吸い込まれる。このとき、トナー担持ローラ2Kの現像後搬送領域上において、吸引口の付近でホッピングしているKトナーが空気とともに吸引口内に吸い込まれて、トナー担持ローラ2K上から回収される。そして、中継管、吸引ポンプ39K、吐出管内を順次経た後、現像装置1Kの第1収容部13Kに戻される。
吸引ノズル37Kの吸引口回りにおけるトナー搬送方向下流側には、シール部材38Kを片持ち支持させており、これの自由端側をトナー担持ローラ2Kに接触させている。これにより、トナー供給スリーブ19KKの周りの空気を磁気ブラシ内のKトナーとともに吸引してしまうといった事態が回避されている。更に、ホッピングしながらトナー供給スリーブ2Kとともに回転するKトナーをシール部材38Kとの突き当たりによって堰き止めて、吸引口との対向位置に拘束している。
吸引ノズル37Kの先端と。トナー担持ローラ2Kの表面との間隙については、数十〜数百[μm]であって、且つトナー担持ローラ2Kの表面上におけるKトナーのホッピング高さよりも小さい値、にすることが望ましい。
吸引ポンプ39Kとしては、ダイアフラムポンプ、モーノポンプなど、Kトナーのような粉体を吸引することができるものを採用している。
なお、中間転写ベルト、転写ドラム、中間転写ドラムなどを用いたカラ−画像形成装置、モノクロ画像形成装置などにも本発明の適用が可能である。
以上、実施形態に係る画像形成装置、各変形例装置、各実施例に係る画像形成装置においては、現像前トナー回収手段として、逆帯電トナー粒子と高帯電量トナー粒子との両方を回収するもの、を用いている。かかる構成では、何れか一方のトナー粒子だけを回収する場合に比べて、地汚れの発生を抑えることができる。
また、実施形態に係る画像形成装置、各変形例装置、各実施例に係る画像形成装置においては、現像前トナー回収手段として、トナー担持体たるトナー担持ローラの現像前搬送領域に対して所定の間隙を介して対向する現像前対向電極を有するものであって、且つ、現像前搬送領域の表面上でホッピングしている逆帯電トナー粒子及び高帯電量トナー粒子を現像前対向電極に付着させて回収するもの、を用いている。かかる構成では、現像前回収領域でホッピングしトナーのうち、逆帯電トナー粒子及び高帯電量トナー粒子を現像前対向電極に付着させて、他のトナー粒子から分離することができる。
また、第1、第2、第3実施例に係る画像形成装置においては、トナー担持ローラの表面の無端移動方向における全領域のうち、現像位置を通過した後、トナー供給位置に進入する前の領域である現像後搬送領域に対して、所定の間隙を介して対向する現像後対向部材を設けている。かかる構成では、現像後搬送領域内で搬送されるトナー粒子の飛散を現像後対向部材によって防止することができる。
また、実施形態に係る画像形成装置、各変形例装置、各実施例に係る画像形成装置においては、現像前トナー回収手段として、現像前対向電極に対して潜像担持体たる感光体49の地肌部電位と同じ値の分離バイアスを供給することで、トナー担持ローラの現像前搬送領域の表面上でホッピングしているトナーの中から、逆帯電トナー粒子及び高帯電量トナー粒子をその現像前対向電極に付着させて分離するもの、を用いている。かかる構成では、トナー粒子との帯電極性や帯電量の違いにより、逆帯電トナー粒子及び高帯電量トナー粒子を他のトナー粒子から分離することができる。
また、実施形態に係る画像形成装置、各変形例装置、各実施例に係る画像形成装置においては、現像前対向電極として、トナー担持ローラとの対向面における無端移動方向(回転方向)に直交する方向の長さが、トナー担持ローラにおける現像前対向電極との対向面の同方向の長さ以上のもの、を用いている。かかる構成では、トナー担持ローラの現像前搬送領域の表面上でホッピングするトナーに対し、ローラ表面の無端移動方向と直交する方向の全領域にて、逆帯電トナー粒子や高帯電量トナー粒子の分離処理を施すことができる。
また、実施形態に係る画像形成装置、各変形例装置、各実施例に係る画像形成装置においては、現像前対向電極として、トナー担持ローラとの対向面におけるローラ表面の無端移動方向の長さが、現像位置の同無端移動方向の長さ以上のもの、を用いている。かかる構成では、現像前対向電極の直下においてトナーを現像位置通過時間よりも長い時間搬送することで、現像位置で地汚れトナーとなってしまう逆帯電トナー粒子や高帯電量トナー粒子を確実に分離することができる。
また、実施形態に係る画像形成装置、各変形例装置、各実施例に係る画像形成装置においては、現像前トナー回収手段として、現像前対向電極に供給するバイアスを上記分離バイアスから別の値の吐き出しバイアスに所定のタイミングで切り替えることで、現像前対向電極に付着した逆帯電トナー粒子及び高帯電量トナー粒子をトナー担持ローラの表面上に戻すもの、を用いている。かかる構成では、現像前対向電極上における逆帯電トナー粒子や高帯電量トナー粒子の過剰な蓄積に起因して、現像動作中にそれらトナー粒子を現像前対向電極からトナー担持ローラに逆転移させてしまう、といった事態を回避することができる。
なお、吐き出しバイアスとして、直流電圧のみからなるものを現像前対向電極に供給するように、現像前トナー回収手段を構成した場合、現像前対向電極からトナー担持ローラに向けてトナーを真っ直ぐに再転移させることができる。これに対し、吐き出しバイアスとして、直流電圧に交流電圧を重畳したものを現像前対向電極に供給するように、現像前トナー回収手段を構成した名愛、現像前対向電極とトナー担持ローラとの間でトナーを往復移動させながら、最終的にトナー担持ローラに再転移させることができる。
また、実施形態に係る画像形成装置、各変形例装置、各実施例に係る画像形成装置においては、トナー担持ローラと現像前対向電極との間隙を、現像位置における感光体49とトナー担持ローラとの間隙と同じ大きさにしている。かかる構成では、前者の間隙が後者の間隙と異なることに起因する逆帯電トナー粒子や高帯電量トナー粒子の回収精度の悪化を回避することができる。
また、実施形態に係る画像形成装置、各変形例装置、各実施例に係る画像形成装置においては、トナー担持ローラと現像前対向電極とが対向する現像前回収領域におけるトナーホッピング条件を、現像位置におけるトナーホッピング条件と同じにしている。かかる構成では、トナーホッピング条件の違いによる逆帯電トナー粒子や高帯電量トナー粒子の回収精度の悪化を回避することができる。
なお、バイアス供給手段たる現像前回収バイアス電源として、現像後対向電極に対してトナーの正規帯電極性とは逆極性のバイアスを供給するものを用いた場合には、現像後搬送領域でホッピングしたトナー粒子の現像後対向電極への付着を抑えることができる。