JP3782638B2 - 画像形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、像担持体と、磁性粒子と磁性粒子を磁気拘束して担持するために磁性部材を有する磁性粒子担持体とを有し、現像されるトナーの極性と同極性の電圧が印加され、磁性粒子が像担持体と接触して像担持体を帯電する帯電手段と、を有し、像担持体上のトナー像が転写材に転写された後の像担持体上のトナーを前記帯電手段が回収、吐き出しする画像形成装置に関する。
【0003】
【従来の技術】
近年、例えば電子写真装置等のように被記録画像に対応して感光ドラム等の像担持体に形成された静電潜像を現像剤により現像して用紙等に記録する画像形成装置はその小型化が進んできたが、帯電、露光、現像、転写、定着、クリーニング等の作像プロセスの個々の工程手段がそれぞれ小型になるだけでは限界があった。
【0004】
また、転写残トナーはクリーナによって回収されるが、この廃トナーは環境保護の面からも無いことが好ましい。そこで、クリーナを取り外し現像装置によって現像同時クリーニングを行う、クリーナレスシステムの画像形成装置も出現している。
【0005】
現像同時クリーニングとは、転写後に像担持体上に若干残留したトナーを次工程以後の現像時にかぶり取りバイアスによって回収する方法である。この方法によれば、転写残トナーは回収されて次工程以後用いられるため、廃トナーをなくし、メンテナンスに手を煩わせることも少なくすることができる。またスペースの面での利点も大きく、画像形成装置を大幅に小型化できるようになる。
【0006】
更に、低オゾン、低電力等の利点を有することから被帯電体の一様帯電手段として接触帯電装置、すなわち被帯電体に対し電圧を印加した帯電部材を当接させ、被帯電体の帯電を行う方式の接触帯電装置が実用化されている。
【0007】
このような接触帯電装置としては磁気ブラシ方式の帯電装置が帯電接触の安定性という点から好ましく用いられている。
【0008】
磁気ブラシ方式の帯電装置では、導電性の磁性粒子を直接マグネット、あるいはマグネットを内包するスリーブ上に磁気ブラシとして磁気的に拘束させ、これを接触帯電部材として、停止、あるいは回転しながら被帯電体に接触させ、これに電圧を印加することによって帯電が開始される。
【0009】
特に、磁気ブラシ方式の帯電装置を用い、被帯電体である像担持体として通常の有機感光体上に導電性微粒子を分散させた表層を有するものや、アモルファスシリコン感光体などをもちいると接触帯電部材である磁気ブラシに印加したバイアスのうちの直流成分と略同等の帯電電位を像担持体表面に得ることが可能である。このような帯電方法のことを注入帯電と称する。この注入帯電を用いれば、被帯電体への帯電がコロナ帯電器を用いて行われるような放電現象を利用しないので完全なオゾンレスかつ、低電力消費型帯電が可能となり注目されてきている。
【0010】
【発明が解決しようとしている課題】
しかしながら、上記の注入帯電方式においては、接触帯電部材である磁気ブラシを構成している磁性粒子が磁気ブラシ中から離散(離脱)し、被帯電体上に付着(以下、キャリア付着と記す)する問題が生じる。このキャリア付着は、被帯電体と磁気ブラシとの接触部である帯電ニップ部、特に被帯電体回転方向下流端部からの離散が顕著であり、その部分での磁性粒子に対する磁性粒子担持体の磁気拘束力が不足しているためである。
【0011】
キャリア付着が発生すると画像形成装置にあっては以下のような弊害が考えられる。
【0012】
1)磁性粒子の離散で磁気ブラシが痩せて像担持体ヘの接触ニップ量が低下することによる帯電不良および転写残トナーの回収不良。
【0013】
2)離散磁性粒子の像担持体に付着した部分での像露光および現像不良。
【0014】
3)離散磁性粒子が現像装置に回収された場合の現像剤中のトナー濃度不良。
【0015】
4)転写部における被転写材への離散磁性粒子の転写。
【0016】
5)転写電流印加時の像担持体ヘの逆極性帯電(画像メモリ)もしくは絶縁破壊。
【0017】
6)磁性粒子付着時および上記3)〜5)において像担持体表面層傷(ドラム傷)の発生に伴う帯電および画像不良。
【0018】
7)カラー画像形成等において、像担持体もしくは転写部を通じて他のプロセスカートリッジ(他の画像形成部)ヘの上記と同様の1)〜6)の弊害の併発。
【0019】
そこで本発明は、像担持体と、磁性粒子と磁性粒子を磁気拘束して担持するために磁性部材を有する磁性粒子担持体とを有し、現像されるトナーの極性と同極性の電圧が印加され、磁性粒子が像担持体と接触して像担持体を帯電する帯電手段と、を有し、像担持体上のトナー像が転写材に転写された後の像担持体上のトナーを前記帯電手段が回収、吐き出しする画像形成装置において、キャリア付着を防止して帯電装置及び画像形成装置の長寿命化を図り、長期にわたって安定して良好な画像形成が行えるようにする事を目的としてなされたものである。
【0020】
【課題を解決するための手段】
本発明は下記の構成を特徴としている画像形成装置である。
【0021】
像担持体と、磁性粒子と磁性粒子を磁気拘束して担持するために磁性部材を有する磁性粒子担持体とを有し、現像されるトナーの極性と同極性の電圧が印加され、磁性粒子が像担持体と接触して像担持体を帯電する帯電手段と、を有し、像担持体上のトナー像が転写材に転写された後の像担持体上のトナーを前記帯電手段が回収、吐き出しする画像形成装置において、
像担持体の回転方向に対して転写部よりも下流側で帯電手段よりも上流側に位置し、現像されるトナーの極性と逆極性の電圧が印加される補助帯電手段を有し、磁性部材の像担持体と対向する磁極のピーク位置は、像担持体の回転方向の下流側に磁性粒子担持体と像担持体との最近接位置から磁性粒子担持体の中心を移動中心として5°から10°動かした位置にあることを特徴とする画像形成装置。
【0036】
〈作 用〉
1)像担持体の回転方向に対して転写部よりも下流側で帯電手段よりも上流側に位置し、現像されるトナーの極性と逆極性の電圧が印加される補助帯電手段が存在することで、正規極性の転写残トナーは補助帯電手段を通過し、逆極性の転写残トナーは一時的に補助帯電手段に捕獲され、除電された後に再び像担持体上に送り出される。これにより転写残トナーは磁性粒子を有する帯電手段方向へより取り込まれやすくなり、ゴーストが発生する要因が除去される。
2)また、磁性部材の像担持体と対向する磁極のピーク位置(帯電主極位置角度)は、像担持体の回転方向の下流側に磁性粒子担持体と像担持体との最近接位置から磁性粒子担持体の中心を移動中心として5°から10°動かした位置にあることにより、磁性粒子と像担持体とが接触している領域近傍で磁性粒子が像担持体に電界により付着する方向に力が働くところを磁気拘束力で付着を防止することができる。
上記1と2)の構成により、磁性粒子中のトナー混入率が高い帯電部材であっても、磁性粒子が像担持体に付着する問題を防止することができる。その結果、キャリア付着を実質的に防止して帯電装置及び画像形成装置の長寿命化を図り、長期にわたって安定して良好な画像形成が行えた。
【0037】
【発明の実施の形態】
〈実施例1〉
(1)画像形成装置例の概略構成
図1は本発明に従う画像形成装置例の概略構成図である。本例の画像形成装置は、転写式電子写真プロセス、磁気ブラシ帯電方式、反転現像方式、クリーナレスシステム、プロセスカートリッジ着脱式のレーザープリンターである。Aはプリンター本体、Bはこのプリンター本体の上に搭載した画像読み取り装置(イメージスキャナー)である。
【0038】
a)画像読み取り装置B
画像読み取り装置Bにおいて、15は装置上面に固定配設した原稿台ガラスであり、この原稿台ガラスの上面に原稿Gを複写すべき面を下向きにして載置し、その上に不図示の原稿圧着板を被せてセットする。
【0039】
16は画像読み取りユニットであり、原稿照射用ランプ・短焦点レンズアレイ・CCDセンサー等を配設してある。この画像読み取りユニット16は、不図示のコピーボタンが押されることで、原稿台ガラス15の下側において該ガラスの右辺側の実線示のホームポジションから左辺側にガラス下面に沿って往動駆動され、所定の往動終点に達すると復動駆動されて始めの実線示のホームポジションに戻される。
【0040】
該ユニット16の往動駆動過程において、原稿台ガラス15上の載置セット原稿Gの下向き画像面がユニット16の原稿照射用ランプにより右辺側から左辺側にかけて順次に照明走査され、その照明走査光の原稿面反射光が短焦点レンズアレイによってCCDセンサーに結像入射する。
【0041】
CCDセンサーは受光部、転送部、出力部より構成されている。CCD受光部において光信号が電荷信号に変えられ、転送部でクロックパルスに同期して順次出力部へ転送され、出力部において電荷信号を電圧信号に変換し、増幅、低インピーダンス化して出力する。このようにして得られたアナログ信号を周知の画像処理を行なってデジタル信号に変換してプリンター本体Aに送る。
【0042】
即ち、画像読み取り装置Bにより原稿Gの画像情報が時系列電気デジタル画素信号(画像信号)として光電読み取りされる。
【0043】
b)プリンター本体A
プリンター本体Aにおいて、1は像担持体としての回転ドラム型の電子写真感光体(以下、感光ドラムと記す)である。本例の感光ドラム1は表面に電荷注入層を有する、負帯電性のOPC感光体である。この感光体については(2)項で詳述する。
【0044】
感光ドラム1は中心支軸を中心に矢印の時計方向に所定の周速度をもって回転駆動され、コピー信号が入力されると接触帯電装置2により帯電部位(帯電領域、帯電ニップ部)aにて本例の場合は−700Vの一様な帯電処理を受ける。本例における接触帯電装置2は磁気ブラシ帯電装置(注入帯電器)である。この帯電装置2については(3)項で詳述する。
【0045】
そして該回転感光ドラム1の一様帯電面に対して、画像情報書き込み装置としてのレーザー走査部(レーザースキャナー)3から出力される、画像読み取り装置Bからプリンター本体A側に送られた画像信号に対応して変調されたレーザー光による走査露光Lが露光部位bにおいてなされることで、回転感光ドラム1面には画像読み取り装置Bにより光電読み取りされた原稿Gの画像情報に対応した静電潜像が順次に形成されていく。
【0046】
レーザー走査部3は、発光信号発生器、固体レーザー素子、コリメーターレンズ系、回転多面鏡(ポリゴンミラー)等からなる。このレーザー走査部3により回転感光ドラム面をレーザー走査露光Lする場合には、まず入力された画像信号に基づき発光信号発生器により、固体レーザー素子を所定タイミングで明滅(ON/OFF)させる。そして固体レーザー素子から放射されたレーザー光は、コリメーターレンズ系により略平行な光束に変換され、更に高速回転する回転多面鏡により走査されると共にfθレンズ群により感光ドラム面1にスポット状に結像される。この様なレーザー光走査により感光ドラム面1には画像一走査分の露光分布が形成され、更に感光ドラム1の回転により各走査毎に感光ドラム面が前記走査方向とは垂直に所定量だけスクロールされ、回転感光ドラム面上に画像信号に応じた露光分布が得られる。
【0047】
その感光ドラム1面の形成静電潜像が現像装置4により現像部位cにて順次にトナー像として本例の場合は反転現像されていく。本例の現像装置4は2成分接触現像方式の装置である。この現像装置4については(4)項で詳述する。
【0048】
一方、給紙カセット7内に収納の記録媒体としての被転写材Pが給紙ローラー71により一枚宛繰り出されてシートパス72を通してプリンター本体A内に給送され、レジストローラー73によりシートパス74を通して所定の制御タイミングにて、感光ドラム1と転写手段としてのベルト型転写装置5との接触部である転写部位(転写ニップ部)dに給紙される。
【0049】
転写部位dに給紙された被転写材Pの面に感光ドラム1面側のトナー像が転写ベルト51の内側に配設した転写帯電ブレード54により順次に静電転写される。この転写装置5については(5)項で詳述する。
【0050】
転写部位dを通りトナー像の転写を受けた転写材Pは感光ドラム1の面から順次に分離され、転写装置5の転写ベルト延長部で定着装置8へ搬送され、トナー像の熱定着を受けて排紙ローラー9から機外の排紙トレイ10上に画像形成物(コピー、プリント)として出力される。
【0051】
6は補助帯電器としての導電性ブラシであり、転写部位dよりも感光ドラム回転方向下流側で帯電部位aよりも感光ドラム回転方向上流側において感光ドラム1に当接させてある。eはこの導電性ブラシ6と感光ドラム1との接触部位である。
【0052】
クリーナレスシステム、及び上記の導電性ブラシ6については(6)項で詳述する。
【0053】
本例のプリンター本体Aは、感光ドラム1、帯電装置2、現像装置4、導電性ブラシ6の4つのプロセス機器を共通の枠体に包含させてプリンター本体Aに対して一括して着脱交換自在のプロセスカートリッジ11としてある。12・12はこのプロセスカートリッジ11のプリンター本体Aに対する着脱ガイド兼位置決め支持部材である。プロセスカートリッジ11はプリンター本体Aに対して所定に装着されることで、プリンター本体Aと機械的・電気的に結合してプリンター本体Aの作像動作が可能になる。プロセスカートリッジ11に内包させるプロセス機器の組み合わせは上記に限られるものではない。
【0054】
ここで、プロセスカートリッジとは、帯電手段、現像手段またはクリーニング手段と電子写真感光体とを一体的にカートリッジ化し、そのカートリッジを画像形成装置本体に対して着脱可能とするものである。及び帯電手段、現像手段、クリーニング手段の少なくとも一つと電子写真感光体とを一体的にカートリッジ化して画像形成装置本体に着脱可能とするものである。更に、少なくとも現像手段と電子写真感光体とを一体的にカートリッジ化して画像形成装置本体に着脱可能とするものをいう。
【0055】
(2)感光ドラム1
像担持体としての感光ドラム1としては、通常用いられている有機感光体等を用いることができるが、望ましくは、有機感光体上にその抵抗が109 〜1014Ω・cmの材質を有する表面層を持つものや、アモルファスシリコン感光体どを用いると、電荷注入帯電を実現でき、オゾン発生の防止、ならびに消費電力の低減に効果がある。また、帯電性についても向上させることが可能となる。
【0056】
本例において使用の感光ドラム1は、図2の層構成模型図のように、表面に電荷注入層を設けた、負帯電の有機感光体であり、直径30mmのアルミニウム製のドラム基体(以下、アルミ基体と記す)1a上に下記の第1〜第5の5つの層1b〜1fを下から順に設けたものである。
【0057】
第1層1b;下引き層であり、アルミ基体1aの欠陥等をならすために設けられている厚さ20μmの導電層である。
【0058】
第2層1c;正電荷注入防止層であり、アルミ基体1aから注入された正電荷が感光体表面に帯電された負電荷を打ち消すのを防止する役割を果たし、アミラン樹脂とメトキシメチル化ナイロンによって1×106 Ω・cm程度に抵抗調整された厚さ1μmの中抵抗層である。
【0059】
第3層1d;電荷発生層であり、ジスアゾ系の顔料を樹脂に分散した厚さ約0.3μmの層であり、露光を受けることによって正負の電荷対を発生する。
【0060】
第4層1e;電荷輸送層であり、ポリカーボネート樹脂にヒドラゾンを分散したものであり、P型半導体である。従って、感光体表面に帯電された負電荷はこの層を移動することができず、電荷発生層1dで発生した正電荷のみを感光体表面に輸送することができる。
【0061】
第5層1f;電荷注入層であり、絶縁性樹脂のバインダーに導電性粒子1gとしてのSnO2 超微粒子を分散した材料の塗工層である。具体的には絶縁性樹脂に光透過性の絶縁フィラーであるアンチモンをドーピングして低抵抗化(導電化)した粒径約0.03μmのSnO2 粒子を樹脂に対して70重量パーセント分散した材料の塗工層である。
【0062】
このように調合した塗工液をディッピング塗工法、スプレー塗工法、ロール塗工法、ビーム塗工法等の適当な塗工法にて厚さ約3μmに塗工して電荷注入層とした。
【0063】
(3)磁気ブラシ帯電装置2
図3は本例における磁気ブラシ帯電装置2の概略構成図である。
【0064】
21は帯電容器(装置ハウジング)、22はこの帯電容器21内に配設した接触帯電部材としての磁気ブラシ帯電部材である。本例の磁気ブラシ帯電部材22は回転スリーブタイプのものであり、非回転に固定支持させた、磁界発生部材としてのマグネットローラー23と、このマグネットローラーの外回りに同心に回転自由に外嵌させた、外径16mmの導電性・非磁性のスリーブ(帯電スリーブ、注入スリーブ:以下、帯電スリーブと記す)24と、この帯電スリーブ24の外周面に帯電スリーブ内部のマグネットローラー23の磁力により吸着保持させて形成させた導電性の磁性粒子(注入磁性粒子、注入帯電磁性粒子、帯電キャリア:以下、帯電キャリアと記す)の磁気ブラシ25等からなる。26は磁気ブラシ25の層厚規制用ブレードであり、ハウジング21に固定して配設してある。27は帯電容器21内の帯電スリーブ上面側に配設した攪拌部材である。
【0065】
αは帯電スリーブ24と層厚規制用ブレード26との最接近隙間部(S−Bギャップ)であり、本例では800μmに設定してある。βは帯電スリーブ24と感光ドラム1との最接近隙間部(S−Dギャップ)であり、本例では500μmに設定してある。
【0066】
帯電装置2は磁気ブラシ帯電部材22の磁気ブラシ25を感光ドラム1面に接触させて感光ドラム1と略並行にして配設してある。この場合、感光ドラム1に対して形成される磁気ブラシ25の接触ニップ幅(=帯電部位aの幅)が所定になるように調整して配設した。本実施例では感光ドラム1に対して形成されるニップ幅を略6mmになるように調整した。
【0067】
磁気ブラシ25を構成させる帯電キャリアとしては、平均粒径が10〜100μm、飽和磁化が20〜250kA/m(emu/cm3 )、抵抗が1×102 〜1×1010Ω・cmのものが好ましい。感光ドラム1にピンホールのような絶縁欠陥が存在することを考慮すると、抵抗が1×106 Ω・cm以上のものを用いることが好ましい。帯電性能を良くするにはできるだけ抵抗の小さいものを用いる方がよいので、本例においては、平均粒径25μm、飽和磁化200kA/m、抵抗が5×106 Ω・cmの帯電キャリアを用いた。
【0068】
ここで、帯電キャリアの抵抗値は、底面積が228mm2 の金属セルに帯電キャリアを2g入れた後、荷重6.6kgを加え、100Vの電圧を印加して測定している。
【0069】
帯電キャリアとしては、樹脂中に磁性材料としてマグネタイトを分散し、導電化、及び抵抗調整のためにカーボンブラックを分散して形成した樹脂キャリア、あるいは、フェライト等のマグネタイト単体表面を酸化、還元処理して抵抗調整を行なったもの、あるいはフェライト等のマグネタイト単体表面を樹脂でコーティングし抵抗調整を行なったもの等が用いられ得る。
【0070】
磁気ブラシ帯電部材22の帯電スリーブ24は帯電部位aにおいて感光ドラム1の回転方向とは逆方向(カウンター方向)となる矢印の時計方向に回転させた。本実施例においては、感光ドラム1の回転速度100mm/secに対し帯電スリーブ24は150mm/secで回転している。
【0071】
この帯電スリーブ24の回転に伴い帯電キャリアの磁気ブラシ25も同方向に回転搬送され、層厚規制用ブレード26の位置で層厚規制を受け、磁気ブラシ25と感光ドラム1との接触部である帯電部位aにおいて感光ドラム1面が磁気ブラシ25でまんべんなく摺擦される。
【0072】
攪拌部材27は帯電部位aから帯電容器21内の帯電キャリア溜まり部25aに戻し搬送されてきた磁気ブラシ25の帯電キャリアを帯電スリーブ面から剥ぎ取り、帯電キャリア溜り部25aの帯電キャリアに攪拌・混入させる働きをする。
【0073】
帯電スリーブ24にはバイアス電源E1から所定の帯電バイアスを印加することにより磁気ブラシ25の帯電キャリアから電荷が感光ドラム1上に与えられ、帯電電圧に対応した電位に帯電される。回転速度については速いほど帯電均一性が良好になる。
【0074】
本例では−700Vの直流電圧DCと交番電圧(交流電圧)ACを重畳した振動電圧を帯電バイアスとして印加した。
【0075】
本例の場合は前述したように感光ドラム1はその表面に電荷注入層1fを具備させたものであるから、電荷注入帯電により感光ドラム1の帯電処理がなされる。即ち、帯電スリーブ24に印加したDC+ACバイアスのうちの直流成分DC(−700V)とほぼ同等の帯電電位を感光ドラム表面に得ることができる。
【0076】
帯電スリーブ24内に非回転に固定して配設したマグネットローラー23において、S1、N1、S2、N3、N2は該マグネットローラー23の円周に沿って着磁した磁極である。S1極は帯電主極であり、帯電スリーブ24と感光ドラム1との最近接位置であるS−Dギャップ部βにほぼ対応する位置にある。N1極、S2極、N3極、N2極は磁気ブラシ(帯電キャリア)搬送極である。帯電スリーブ24の回転に伴い帯電部位aから帯電容器21内の帯電キャリア溜まり部25aに戻し搬送されてきた磁気ブラシ25はマグネットローラー23の同極であるN3極・N2極間の反発磁界により帯電スリーブ24上から剥離作用を受け、更にその剥離磁気ブラシの帯電キャリアが前記の攪拌部材27により帯電スリーブ面から剥ぎ取られ、帯電キャリア溜り部25aの帯電キャリアに攪拌されて混入する。
【0077】
上記の帯電主極S1極の上部、即ち帯電主極S1極の位置よりも帯電スリーブ回転方向上流側の位置には、帯電スリーブ24との間に800μmの隙間(S−Bギャップ)αを開けて層厚規制用ブレード26が設けられ、この層厚規制用ブレード26の帯電容器側内の帯電キャリア溜まり部25aに溜まっている帯電キャリアを帯電スリーブ24に薄層にコーティングする。
【0078】
このような磁気ブラシ25を用いた帯電は本構成のように層厚規制用ブレード26を用いないで、ちょうど帯電スリーブ1周分の帯電キャリアをコーティングする構成でも帯電はできるが、帯電キャリアを多めに帯電容器21内に貯留させ層厚規制用ブレード26によって帯電スリーブ24に薄層にコーティングするようにすれば、帯電キャリアが多少漏れてもコーティング量は変わらず、磁気ブラシ25と感光ドラム1の帯電ニップ部aの安定性が得られる。
【0079】
また、本実施例のプリンターのようにクリーナレスシステムの場合は転写残トナーが磁気ブラシ帯電部材22の磁気ブラシ25に混入することになるので、そのトナーによる帯電キャリアの汚染が発生する。この汚染に対しては、当然帯電キャリアの量が多ければ多いほど単位量あたりの汚染は軽減するはずである。しかし、この帯電キャリアのトナーによる汚染は層厚規制用ブレード26の上流の帯電キャリア溜まり部25aでのシェア(領域、部分、範囲)で発生するので、帯電キャリアの量を増やすと帯電キャリア溜まり量が増えてしまい、逆にシェアが増加し汚染は良化しない。
【0080】
そこで帯電スリーブ24に磁気ブラシ25として担持された帯電キャリアをはぎ取って帯電容器21内に保持するようにし、帯電容器21に保持された帯電キャリアは帯電スリーブ24上の帯電キャリアと入れ替えることにより、層厚規制用ブレード上流の帯電キャリア溜まり量を増やすことなく帯電キャリアの量を増やすことができ、トナーによる帯電キャリアの汚染を抑制し、帯電キャリアが多少漏れても帯電スリーブ24に対する帯電キャリアのコーティング量は変わらず帯電キャリアの磁気ブラシ25と感光ドラムの1の帯電ニップ部aの安定性が得られる。
【0081】
磁気ブラシ25と感光ドラム1との接触部である帯電部位aにおける帯電キャリアはマグネットローラー23の磁気力で帯電スリーブ24側に磁気拘束されるが、前述したように帯電キャリアの一部が磁気ブラシ中から離散し、感光ドラム1上に付着するキャリア付着の問題が生じる。これは帯電ニップ部aの特に感光ドラム回転方向下流端部からの離散が顕著であり、その部分での帯電キャリアに対する帯電スリーブ24側の磁気拘束力が不足しているためである。
【0082】
ここで、帯電ニップ部aに対応させている帯電主極S1についてその位置を変えて帯電主極位置変更に対する帯電キャリアの離散状況を調べた。
【0083】
即ち、マグネットローラー23の中心と感光ドラム1の中心を結ぶ線xを0°基線とし、この基線xと、マグネットローラー23の中心とS1極の中心(磁束密度のピーク位置)とを結ぶ線yとのなす角度θを帯電主極位置角度とし、その角度θについて基線xよりも帯電スリーブ回転方向上流側の角度をマイナス方向、基線xよりも帯電スリーブ回転方向下流側の角度をプラス方向として、その角度θを振って帯電主極位置変更に対する帯電キャリアの離散状況を定量化したもので、その結果を図4に示す。
【0084】
帯電キャリア(注入磁性粒子)の離散量は、現像装置4内の現像剤を除去し通紙を行うことにより、磁気ブラシ帯電部材22の磁気ブラシ25から離散し感光ドラム1に付着した帯電キャリアを現像装置4の現像スリーブにて回収し、その量を測定したものである。
【0085】
図4から分かるように、帯電主極位置角度θがマイナス方向に進むのに対し、帯電キャリアの離散量は大きく低減している。これは帯電主極S1の持つ磁気拘束力が帯電ニップ部aの感光ドラム回転方向下流端部に強く作用するようになることで、その下流端部部分からの帯電キャリア離散が防止されるためである。
【0086】
また、帯電主極位置角度θがプラス方向にある場合では、通紙枚数に伴い単位時間当りの離散量は増加している。ここで、離散した帯電キャリアを回収し抵抗値を測定したが、通電劣化に伴い所定値よりも徐々に低くなっていた。
【0087】
これにより、帯電主極位置角度θがマイナス方向であることで帯電キャリアの離散量の経時変化が少ないことから、帯電主極位置即ち帯電主極S1の磁束密度のピーク位置を帯電スリーブ24と感光ドラム1との最接近位置(S−Dギャップβ位置)よりも感光ドラム回転方向に対して下流側に設定することで 帯電キャリアの抵抗値変化にも十分対応できることがわかる。
【0088】
本実施例においては、帯電主極S1の磁束密度のピーク位置を帯電スリーブ24と感光ドラム1との最接近位置よりも感光ドラム回転方向に対して下流側に設定して、キャリア付着を実質的に防止して帯電装置及び画像形成装置の長寿命化を図り、長期にわたって安定して良好な画像形成が行えた。
【0089】
(4)現像装置4
静電潜像のトナー現像方法としては、一般に次のa〜dの4種類に大別される。
【0090】
a.非磁性トナーについてはブレード等でスリーブ上にコーティングし、磁性トナーは磁気力によってコーティングして搬送し感光ドラムに対して非接触状態で現像する方法(1成分非接触現像)
b.上記のようにコーティングしたトナーを感光ドラムに対して接触状態で現像する方法(1成分接触現像)
c.トナー粒子に対して磁性のキャリアを混合したものを現像剤として用いて磁気力によって搬送し感光ドラムに対して接触状態で現像する方法(2成分接触現像)
d.上記の2成分現像剤を非接触状態にして現像する方法(2成分非接触現像)
画像の高画質化や高安定性の面から、2成分接触現像法が多く用いられる。
【0091】
図5は本実施例で用いた現像装置4の概略構成を示すものである。本例の現像装置4は、非磁性のネガトナー粒子と磁性のキャリア粒子(現像キャリア)を混合したものを現像剤として用い、該現像剤を現像剤担持体に磁気力によって磁気ブラシ層として保持させて現像部に搬送し感光ドラム1面に接触させて静電潜像をトナー像として反転現像する2成分磁気ブラシ接触現像方式の装置である。
【0092】
41は現像容器、42は現像剤担持体としての現像スリーブ、43はこの現像スリーブ42内に固定配置された磁界発生部材としてのマグネットローラー、44は現像スリーブ表面に現像剤の薄層を形成するための現像剤層厚規制ブレード、45は現像剤攪拌搬送スクリュー、46は現像容器41内に収容した2成分現像剤であり、非磁性のネガトナー粒子tと磁性のキャリア粒子Cを混合したものである。
【0093】
本実施例において用いた2成分現像剤46は、トナー粒子tは懸濁重合法によって生成された平均粒径6μmのネガ帯電トナーに対して平均粒径20nmの酸化チタンを重量比1%外添したものを用い、現像用磁性キャリアCとしては飽和磁化が205kA/mの平均粒径25μmの磁性キャリアを用いた。そしてこのトナーtと現像用磁性キャリアを重量比7:93で混合したものである。
【0094】
重合法で生成されたトナーは球形に近い形状であるため外添剤が均一にコートされる。このため、感光ドラムに対する離型性が極めてよい。
【0095】
現像スリーブ42は少なくとも現像時においては、感光ドラム1に対し最近接距離(隙間)が約500μmになるように配置され、該現像スリーブ42の外面に担持させた現像剤磁気ブラシ薄層46aが感光ドラム1の面に接触するように設定されている。この現像剤磁気ブラシ層46aと感光ドラム1の接触部が現像部位cである。
【0096】
現像スリーブ42は固定配設のマグネットローラー43の外回りを矢示の反時計方向に所定の回転速度で駆動され、現像容器41内においてスリーブ外面にマグネットローラー43の磁力により現像剤46の磁気ブラシが形成される。その現像剤磁気ブラシはスリーブ42の回転とともに搬送され、ブレード44により層厚規制を受けて所定層厚の現像剤磁気ブラシ薄層46aとして現像容器外に持ち出されて現像部位cへ搬送されて感光ドラム1面に接触し、引き続くスリーブ42の回転で再び現像容器41内に戻し搬送される。
【0097】
即ち、先ず、現像スリーブ42の回転に伴いマグネットローラー43のN3極で汲み上げられた現像剤46はS2極→N1極と搬送される過程において、現像スリーブ42に対して垂直に配置された規制ブレード44によって規制されて、現像スリーブ42上に現像剤46の薄層46aが形成される。薄層形成された現像剤層46aが現像部の現像主極S1に搬送されてくると磁気力によって穂立ちが形成される。この穂状に形成された現像剤層46aによって感光ドラム1の静電潜像がトナー像として現像され、その後N2極−N3極の反発磁界によって現像スリーブ42上の現像剤は現像容器41内に戻される。
【0098】
現像スリーブ42と感光ドラム1の導電性ドラム基体との間には現像バイアス印加電源E2により、本例では、負の直流電圧:−500Vと、交番電圧:振幅Vpp=1500V、周波数Vf=2000Hzを重畳した振動電圧を現像バイアスとして印加している。
【0099】
一般に2成分現像法においては交番電圧を印加すると現像効率が増し、画像は高品位になるが、逆にかぶりが発生しやすくなるという危険も生じる。このため、通常、現像装置4に印加する直流電圧と感光ドラム1の表面電位間に電位差を設けることによって、かぶりを防止することを実現している。このかぶり防止のための電位差をかぶり取り電位(Vback)と呼ぶが、この電位差によって現像時に感光ドラム1の非画像領域にトナーが付くのを防止する。
【0100】
現像容器41内の現像剤46のトナー濃度(キャリアとの混合割合)はトナー分が静電潜像の現像に消費されて逐次減少していく。現像容器41内の現像剤46のトナー濃度は不図示の検知手段により検知されて所定の許容下限濃度まで低下するとトナー補給部47から現像容器内の現像剤46にトナーtの補給がなされて現像容器41内の現像剤46のトナー濃度を常に所定の許容範囲内に保つようにトナー補給制御される。
【0101】
(5)転写装置5
転写装置5は本例では前述のように転写ベルトタイプである。51は無端状の転写ベルトであり、駆動ローラー52と従動ローラー53間に懸回張設してあり、感光ドラム1の回転方向に順方向に感光ドラム1の回転周速度とほぼ同じ周速度で回動される。54は転写ベルト51の内側に配設した転写帯電ブレードであり、転写ベルト51の上行側ベルト部分を感光ドラム1に加圧して転写部位dを形成するとともに、転写バイアス印加電源E3から転写バイアスが印加されることで、被転写材Pの裏面からトナーと逆極性の帯電を行なう。これにより転写部位dを通る被転写材Pの面に感光ドラム1側のトナー像が順次に静電転写されていく。
【0102】
本例においてはベルト51として膜厚75μmのポリイミド樹脂からなるものを用いた。ベルト51の材質としてはポリイミド樹脂に限定されるものではなく、ポリカーボネート樹脂や、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリウレタン樹脂などのプラスチックや、フッ素系、シリコン系のゴムを好適に用いることができる。厚みについても75μmに限定されるわけではなく、大略25〜2000μm、好ましくは50〜150μmのものが好適に用いられ得る。
【0103】
さらに転写帯電ブレード54としては、抵抗が1×105 〜1×107 Ω、板厚が2mm、長さ306mmのものを用いた。この転写帯電ブレード54に+15μAのバイアスを定電流制御により印加して転写を行った。
【0104】
(6)クリーナレスシステム
▲1▼.被転写材Pに対するトナー像転写後の感光ドラム1面に残留する転写残トナーは引き続く感光ドラム1面の回転で、転写部位dと帯電部位aとの間において感光ドラム1の面に接触させて設けた補助帯電器としての導電性ブラシ6に持ち運ばれる。
【0105】
本例の導電性ブラシ6は毛足長さが6mm、導電性繊維のレーヨンブラシでありる。導電性ブラシ6と感光ドラム1との接触部位eの当接ニップは7mmである。この導電性ブラシ6には電源E4より帯電極性とは逆極性のプラス500Vの直流電圧を印加している。
【0106】
転写残トナーには、正規の帯電極性であるマイナスに帯電しているトナー、転写時の転写バイアスや剥離放電等により帯電極性がプラスに反転しているトナー、マイナス帯電が弱められたり除電状態になっているトナーが混在している。この転写残トナーは導電性ブラシ6と感光ドラム1との接触部位eにおいて導電性ブラシ6により攪乱され、かつ正規の帯電極性であるマイナスに帯電しているトナー、マイナス帯電が弱められたり除電状態になっているトナー、プラスに反転しているトナーでもその帯電が弱いトナーは導電性ブラシ6のプラスの印加バイアスによる電気的引力で導電性ブラシ6に積極的に付着・混入しブラシとの摩擦やプラスの印加バイアスにより帯電極性がプラスに反転帯電され、そのプラスに反転帯電されたトナーが導電性ブラシ6に対するプラスの印加バイアスとの電気的反発力で導電性ブラシ6から感光ドラム1面に吐き出されて再び付着する。
【0107】
従って、転写残トナーは導電性ブラシ6で帯電極性が正規帯電極性のマイナスとは逆極性のプラスに実質的に揃えられて、引き続く感光ドラム1との回転で帯電部位aに持ち運ばれる。
【0108】
▲2▼.帯電部位aに持ち運ばれた感光ドラム1上の転写残トナーは磁気ブラシ帯電部材22の磁気ブラシ25に取り込まれて帯電同時一時回収される。この場合、帯電部位aに持ち運ばれた転写残トナーは上記のように帯電極性がプラスに実質的に揃えられているので、帯電部位aにおいて感光ドラム1面から、マイナスの帯電バイアスが印加されている磁気ブラシ帯電部材22に対して電気的引力により効率的に一時回収される。このとき、交番電圧を磁気ブラシ帯電部材22に印加すると感光ドラム1ー注入スリーブ24間の電界による振動効果によって、磁気ブラシ25への転写残トナーの取り込みが容易に行なわれる。
【0109】
磁気ブラシ25に一時回収された転写残トナーは磁気ブラシ帯電部材22に印加のマイナスの帯電バイアスにより、また磁気ブラシ25との摩擦により、プラスの反転帯電状態から正規帯電極性であるマイナスの帯電状態に効率的に戻し帯電される。
【0110】
そしてその磁気ブラシ25に一時回収されて正規帯電極性であるマイナスの帯電状態に効率的に戻し帯電された転写残トナーは磁気ブラシ帯電部材22に印加のマイナスの帯電バイアスとの電気的反発力で磁気ブラシ25から感光ドラム1面に吐き出されて付着する。
【0111】
▲3▼.磁気ブラシ25から感光ドラム1面に吐き出された、正規帯電極性であるマイナスの帯電状態に戻し帯電されているトナーは、引き続く感光ドラム1の回転で、像露光装置3による像露光部位bを通って現像装置4の現像部位cに至り、現像装置4の現像部材で現像同時クリーニング(現像同時回収)される。
【0112】
ここで、帯電装置2の磁気ブラシから感光ドラム1面へのトナーの吐き出しは均一な分布でなされ、量的にも少なくて、像露光部位bを通っても実質的に像露光の妨げにはならない。
【0113】
現像同時クリーニングは、転写後の感光ドラム1上に残留した転写残トナーを次行程以降の現像時、即ち引き続き感光ドラム1を帯電し、像露光して潜像を形成し、該潜像の現像時にかぶり取りバイアス(現像装置4に印加する直流電圧と感光ドラム1の表面電位間の電位差であるかぶり取り電位差Vback)によって回収する方法である。反転現像の場合では、この現像同時クリーニングは、感光ドラムの暗部電位部分から現像部材にトナーを回収する電界と、現像部材から感光ドラム1の明部電位部分へトナーを付着させる電界の作用でなされる。現像同時回収は、感光ドラム回転方向の画像領域が、感光ドラム1の周長よりも長い場合には、その他の帯電、露光、現像、転写といった画像形成行程と同時進行で行われる。
【0114】
上記▲1▼〜▲3▼のクリーナレスシステムについて今少し説明する。クリーナレスシステムは、上述したように、転写残トナーを現像部位cにおいて現像装置4で現像同時クリーニングにより回収するのであるが、トナー像転写後の感光ドラム1の面の転写残トナーはまず、そのまま帯電装置2の帯電部位aを通過させると前述のゴーストが発生してしまう。すなわち感光ドラム1と接触した磁気ブラシ下を転写残トナーが通過しても、ほとんどの場合前画像の形状を留めたままであり、適正な帯電条件における磁気ブラシの設定下では均一に分散しているようなことはなかった。
【0115】
そこで、感光ドラム1の回転に伴い帯電部位aに到達した転写残トナーを磁気ブラシ25にとりこみ、前画像の履歴を消してしまうことが必要となる。このとき、直流電圧を磁気ブラシ帯電部材22に印加するのみでは磁気ブラシ25へのトナーの取り込みは十分に行われないが、交番電圧を磁気ブラシ帯電部材22に印加すると感光ドラム1−注入スリーブ24間の電界による振動効果によって、比較的磁気ブラシ25へのトナーの取り込みが容易に行なわれる。
【0116】
しかしながら、帯電部位aに到達した転写残トナーの帯電量によって磁気ブラシ25ヘの取り込みが非常に困難な場合が生じる。つまり転写残トナーが帯電している以上、磁気ブラシ25と感光ドラム1間の電位差や、トナーと感光ドラム間の鏡映カが取り込み性に大きく効いてくるのである。
【0117】
ここで、磁気ブラシ帯電部材22の印加電圧に対し、通過する感光ドラムの表面電位は等しく帯電されることが理想であるが、実際には磁気ブラシ25と感光ドラム1の接触部である帯電部位aにも幅があり、最終的にはほぼ等しい電位に帯電されるとしても、帯電部位通過初期には十分な帯電が得られていないため、そこに磁気ブラシと感光ドラム間の電位差が生じている。本実施例の場合、磁気ブラシ帯電装置のVdc(暗部電位)を−700Vと設定しているため、帯電部位通過初期で感光ドラム表面電位がそれより低い領域では、正帯電トナーは磁気ブラシ方向へ取り込まれ易いが、負荷電トナーは取り込まれない。また、転写残トナーの帯電量が極端に大きく、感光ドラムとの鏡映力が大さすぎてもドラム上に残ってしまう。よって本来負帯電性のトナーではあるが転写残トナーは正帯電されていることが望ましい。但し正帯電されていなくても、帯電量の絶対値が十分小さければ、磁気ブラシによって強制的にかきとられる効果は期待できる。
【0118】
実際、転写残トナーは転写時の剥離放電等により、帯電極性が反転してしまうことも多いが、等しい転写効率であっても、転写電流によって転写残トナーの帯電量分布は大きく異なり、また長期にわたり使用すると現像剤自体が劣化し、転写効率が低下してくるため、負荷電のまま感光ドラム上に残るトナー比率も増えてくる。そこで転写電流を強めたり、転写残トナーを反対極性に帯電せしめる手段を持つことが好ましい。
【0119】
そこで本実施例では、転写部位dと帯電部位aとの間において感光ドラム1に補助帯電器としての導電性ブラシ6を当接させ、帯電バイアスと逆極性のバイアスを印加する。正極性の転写残トナーは導電性ブラシ6を通過し、負極性の転写残トナーは一時的に導電性ブラシ6に捕獲され、除電された後に再び感光ドラム1上に送り出される。これにより転写残トナーは磁気ブラシ方向へより取り込まれやすくなり、ゴーストが発生する要因が除去される。
【0120】
補助帯電器としての導電性ブラシ6は導電性ゴムローラー等他の形態の補助帯電器であっても良い。
【0121】
〈実施例2〉
上記実施例1の画像形成装置において、帯電装置2の帯電主極位置変更の効果を実際の作像行程を用いて通紙試験を行った。
【0122】
確認項目としては、
1)通紙試験終了時の帯電装置2内の帯電キャリア残量(1%減までOK)
2)像露光不良による記録紙(被転写材)上画像白抜け
3)現像装置4内のトナー濃度変動
4)記録紙上での画像メモリ
5)記録紙上でのドラム傷画像
である。
【0123】
以上において、画像duty10%で100,000枚の通紙試験を行い、1,000枚おきに1)〜5)の項目を確認した結果を表1に示す。これにより、それぞれの確認項目において帯電装置2の帯電主極位置変更の効果が再現された。また、帯電主極位置角度θが0°、すなわち帯電主極S1が丁度S−Dギャップβの位置の場合でも50,000枚までなら十分対応できる事も確認している。
【0124】
【表1】
【0125】
〈実施例3〉
本実施例はタンデム式のフルカラー画像形成装置である。図6はその画像形成装置の概略構成模型図である。
【0126】
I・II・III ・IVは画像形成装置本体内に右側から左側に順にタンデム方式で配列した第1〜第4のプロセスカートリッジである。各プロセスカートリッジI・II・III ・IVを含む作像機構はそれぞれ、実施例1のプリンターAと同様に、転写式電子写真プロセス、磁気ブラシ帯電方式、レーザー走査露光方式、反転現像方式、クリーナレスシステムの機構である。そして各プロセスカートリッジI・II・III ・IVはそれぞれ実施例1のプリンターAと同様に感光ドラム1・磁気ブラシ帯電装置2・現像装置4・導電性ブラシ6を包含させたものである。
【0127】
第1のプロセスカートリッジIにおいては像露光装置3より感光ドラム1面にフルカラー画像のイエロー成分像に対応する像露光Lがなされてその静電潜像が形成され、現像装置4によりイエロートナー画像として反転現像される。同様に、第2のプロセスカートリッジIIにおいては感光ドラム1面にマゼンタ成分像に対応する像露光Lがなされてその静電潜像が形成され、マゼンタトナー画像として反転現像される。第3のプロセスカートリッジIII においては感光ドラム1面にシアン成分像に対応する像露光Lがなされてその静電潜像が形成され、シアントナー画像として反転現像される。第4のプロセスカートリッジIVにおいては感光ドラム1面に黒成分像に対応する像露光Lがなされてその静電潜像が形成され、黒トナー画像として反転現像される。
【0128】
一方、給紙カセット7内に積載収納されている被転写材Pが給紙ローラー71により一枚宛繰り出されて給送され、シートパス72を通って、レジストローラー73により所定の制御タイミングにて転写ベルト装置5の転写ベルト51の上行側ベルト上に給紙される。第1〜第4のプロセスカートリッジI〜IVにそれぞれ対応する第1〜第4の転写位置d1〜d4の各転写帯電ブレード54にはそれぞれ不図示の転写バイアス印加電源より所定の転写バイアスが所定の制御タイミングで印加される。
【0129】
転写ベルト51上に給紙された被転写材Pはベルト面に静電吸着保持されて転写ベルト51の回動に伴い第1〜第4の転写位置d1〜d4を順次に搬送され、第1の転写位置d1において第1のプロセスカートリッジIの感光ドラム1面のイエロートナー画像の転写、第2の転写位置d2において第2のプロセスカートリッジIIの感光ドラム1面のマゼンタトナー画像の転写、第3の転写ニップ部d3において第3のプロセスカートリッジIII の感光ドラム1面のシアントナー画像の転写、第4の転写ニップ部d4において第4のプロセスカートリッジIVの感光ドラム1面の黒トナー画像の転写の都合4回のトナー画像の重畳転写を受ける。これにより被転写材面には目的のフルカラートナー画像が合成形成される。
【0130】
転写ベルト51で搬送され、最終の第4の転写ニップ部d4を通過した被転写材Pは転写ベルト51上から分離されて熱定着装置8へ導入され、被転写材面の未定着のフルカラートナー画像が熱と圧力で永久固着画像として定着される。
【0131】
前述したように、このようなタンデム方式の画像形成装置においては被転写材の搬送方向に対し、上流側に配置されたプロセスカートリッジで帯電キャリアの離散が発生した場合、転写ベルト51を介して下流側のプロセスカートリッジを汚染する。すなわち、下流側のプロセスカートリッジになるにつれ帯電キャリア離散の弊害は増える事になる。
【0132】
そこで、最下流に配置された第4のプロセスカートリッジIVについて、実施例2と同様の試験結果を表2に示す。
【0133】
前記表1の結果は最上流の第1のプロセスカートリッジIに対応するものでもあり、表2の第4のプロセスカートリッジIVについての結果は第1のプロセスカートリッジIに対し効果が低下しているものの、帯電主極位置角度θが0°〜−15°においては、目標である通紙試験50,000枚は十分達成できる。
【0134】
【表2】
【0135】
〈その他〉
1)磁気ブラシ帯電部材22はスリーブ回転タイプではなく、非回転の部材にすることもできる。
【0136】
2)像担持体(被帯電体)としての感光体は表面が109 〜1014Ω・cmの低抵抗層を持つことが、電荷注入帯電を実現でき、オゾンの発生防止の面から望ましいが、上記以外の有機感光体等でもよい。即ち接触帯電は実施例の電荷注入帯電方式に限らず、放電現象が支配的な接触帯電系であってもよい。
【0137】
3)現像装置は2成分接触現像法について述べたが、他の現像方法でもよい。好ましくは、現像剤を感光体に対して接触させて潜像を現像する1成分接触現像や2成分接触現像がより現像剤の同時回収を高めるのに効果がある。
【0139】
4)帯電装置2や現像装置4に対する印加バイアスにAC成分(交番電圧、交流電圧)を加える場合のAC成分波形としては、正弦波、矩形波、三角波等適宜使用できる。また、直流電源を周期的にオン/オフすることによって形成された矩形波であってもよい。このように交番電圧の波形としては周期的にその電圧値が変化するようなバイアスが使用できる。
【0140】
5)画像形成装置の作像プロセスは実施例に限らず任意である。クリーナレスシステムでなくてもよい。即ちクリーナを具備させた画像形成装置であってもよい。像担持体からトナー画像の転写を受ける被転写材は中間転写ドラム・中間転写ベルト等の中間転写体であってもよい。転写方式でなく、直接方式の画像形成装置であってもよい。
【0141】
像担持体にトナー画像を形成しその画像部を表示部に位置させて閲読に供する画像表示装置(ティスプレイ装置)のような画像形成装置であってもよい。
【0142】
6)静電潜像形成のための画像露光手段としては、実施例のレーザー走査露光手段に限定されるものではなく、通常のアナログ的な画像露光やLEDなどの他の発光素子装置でもよいし、蛍光灯等の発光素子と液晶シャッター等の組み合わせ装置など、画像情報に対応した静電潜像を形成できるものであるなら構わない。
【0143】
7)像担持体は静電記録誘電体等であってもよい。この場合は、該誘電体面を所定の極性・電位に一様に一次帯電した後、除電針ヘッド・電子銃等の除電手段で選択的に除電して画像情報の静電潜像を書き込み形成する。
【0144】
8)転写手段は実施例の転写ベルト装置に限らず、コロナ帯電器(コロナ放電転写)、帯電ローラー(ローラー転写)、導電性ブラシ、導電性ブレードなど任意である。
【0146】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、磁気ブラシ方式の帯電装置を像担持体の帯電手段として具備した画像形成装置において、キャリア付着を防止して帯電装置及び画像形成装置の長寿命化を図り、長期にわたって安定して良好な画像形成が行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1の画像形成装置の概略構成模型図
【図2】 感光ドラムの層構成模型図
【図3】 磁気ブラシ帯電装置の概略構成模型図
【図4】 注入帯電磁性粒子の磁気ブラシからの離散を定量化したグラフ
【図5】 現像装置の概略構成模型図
【図6】 実施例2のフルカラー画像形成装置の概略構成模型図
【符号の説明】
A・・プリンター本体、B・・画像読み取り装置、1・・感光ドラム(像担持体、被帯電体)、2・・磁気ブラシ帯電装置、3・・像露光装置、4・・現像装置、5・・転写ベルト装置、6・・導電性ブラシ、7・・給紙カセット、8・・定着装置、22・・磁気ブラシ帯電部材、23・・マグネットローラー、24・・帯電スリーブ、25・・磁気ブラシ、26・・層厚規制ブレード
Claims (1)
- 像担持体と、磁性粒子と磁性粒子を磁気拘束して担持するために磁性部材を有する磁性粒子担持体とを有し、現像されるトナーの極性と同極性の電圧が印加され、磁性粒子が像担持体と接触して像担持体を帯電する帯電手段と、を有し、像担持体上のトナー像が転写材に転写された後の像担持体上のトナーを前記帯電手段が回収、吐き出しする画像形成装置において、
像担持体の回転方向に対して転写部よりも下流側で帯電手段よりも上流側に位置し、現像されるトナーの極性と逆極性の電圧が印加される補助帯電手段を有し、磁性部材の像担持体と対向する磁極のピーク位置は、像担持体の回転方向の下流側に磁性粒子担持体と像担持体との最近接位置から磁性粒子担持体の中心を移動中心として5°から10°動かした位置にあることを特徴とする画像形成装置。
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