JP5625802B2 - 現像剤担持体、現像装置、画像形成装置及びプロセスユニット - Google Patents

現像剤担持体、現像装置、画像形成装置及びプロセスユニット Download PDF

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本発明は、現像剤を担持する外周面が表面移動することにより現像剤を現像領域へ搬送するための現像剤担持体、この現像剤担持体を備えた現像装置、この現像装置を備えた画像形成装置及びプロセスユニットに関するものである。
従来、互いに異なる電圧が印加される複数の電極を備えた現像剤担持体及びこれを有する現像装置が知られている(例えば、特許文献1〜4参照)。
例えば、現像剤担持体上の現像剤を感光体等の潜像担持体に直接接触させないで、現像剤を潜像担持体上の潜像に供給して現像を行う現像装置がある。そして、この現像装置の一例としては、現像剤担持体上の一成分現像剤(トナー)をクラウド化させることによってトナーを潜像担持体上に供給する方式を採用するものがある。この方式に使用される現像剤担持体は、外周面に沿って複数種類の電極が所定のピッチで配置され、その複数種類の電極の外周面側を保護層で覆ったものである。この複数種類の電極に対し、時間的に変化する互いに異なる電圧をそれぞれ印加して、時間的に変化する電界を互いに近接する複数種類の電極間に形成すると、この電界により現像剤担持体上のトナーを互いに近接する複数種類の電極間で飛翔させることができる(このようにトナーが飛翔する現象を、以下「フレア」と呼ぶ。)。これにより、現像剤担持体の外周面近傍の空間でトナーがクラウド化した状況となる。
この方式の現像装置において、トナーが現像剤担持体の外周面に付着することなくフレアするためには、現像剤担持体の外周面において、互いに近接する複数種類の電極間に形成されるフレア用電界からトナーが受ける力F1と、トナーと現像剤担持体の外周面との間の付着力F2との大小関係が重要となってくる。F1よりF2の方が大きいと、トナーは現像剤担持体外周面との付着力から逃れることができず、フレアしない。F2よりF1の方が大きければ、トナーはフレアすることができ、このときのF2とF1との差が大きいほど、安定したフレアを実現できる。F1を大きくすればこの差を大きくできるので安定したフレアを実現できるが、F1を大きくするためには現像剤担持体の外周面上に形成されるフレア用電界を大きくすることが必要となる。
特許文献1には、フレア用電界を形成するための2種類の電極が中空ローラ状の部材(以下「円筒状の基体」ともいう。)をなす現像剤担持体(トナー担持ローラ)における同心円上に設けられている現像装置が開示されている。この現像装置で使用する現像剤担持体は、2種類の櫛歯状の電極を、互いの櫛歯部分が相手の櫛歯部分の間に入り込むように外周面に沿って配置したものである。そして、各種類の電極に上述した電圧をそれぞれ印加することにより、櫛歯部分間でトナーを飛翔させ、フレアさせることができる。
また、特許文献2には、フレア用電界を形成するために3種類の電極を備えた中空ローラ状の部材をなす現像剤担持体(トナー担持ローラ)が開示されている。この現像剤担持体は、3種類の電極のうちの2種類の電極は同心円上に設けられているが、残りの1種類の電極は上記2種類の電極よりも外周面側に配置されている。この現像剤担持体を用いた現像装置でも、各種類の電極に互いに位相が異なる3相の電圧をそれぞれ印加することにより、各種電極間でトナーを飛翔させ、フレアさせることができる。
また、互いに異なる電圧が印加される複数の電極を備えた現像剤担持体を有する現像装置の他の例としては、例えば、特許文献3に記載されたものが知られている。この特許文献3には、現像剤担持体上のトナーを振動させて帯電させる交番電界(帯電用電界)を形成するための2種類の電極が現像剤担持体に設けられている。この現像装置で使用される現像剤担持体は、2種類の電極間に空気を介在させることで、これらの電極間は空気による絶縁がなされている。ただし、電極間を絶縁材で覆うような処理は施されていない。
特許文献4には、互いに異なる電圧が印加される複数の電極を備えた現像剤担持体において、特許文献1〜3の問題点を解消すべく、すなわち複数の電極部材間で界面やトナーを通じたリークが生じないようにする目的の下で、現像剤担持体としてのトナー担持ローラは、内側電極(第2の電極部材)と、これよりも外周面側に位置し、内側電極へ印加される内側電圧とは異なる外側電圧が印加される外側電極(第1の電極部材)と、内側電極と外側電極との間を絶縁するための絶縁層と、外側電極の外周面側を覆う表層とを有し、絶縁層を挟んだ両側にはそれぞれ内側電極及び外側電極以外の電極部材を隣接させていない構成が開示されている。
特許文献4記載の技術によれば、円筒状の基体であるトナー担持ローラ表面に、複数種類の電極としての第1の電極部材と第2の電極部材とを、絶縁体層を介してそれぞれ別々の層に設けた構成にすることで、多数の電極パターンを円筒状の基体上に形成する製造工程でパターン不良によって電極間隔が狭い領域、またはショート状態のパターンが発生した場合においても、A相用電極とB相用電極との間の層に絶縁体層を形成しているため、A相用電極とB相用電極の間に電気的なリークは発生しないため歩留まりが向上し、また使用耐久の高信頼性化が可能となる。
しかしながら、特許文献1、2及び4記載の技術のように、複数種類の電極としての2種類の電極を、ローラ表面の同一絶縁体の表面上に形成する構成においては、多数の電極パターンを円筒状の基体上に形成しようとすると、電極等の形成面を平面状態にすることができないため、その製造工程でパターン不良が発生しやすかった。パターン不良としてショート状態のパターンが残った場合には、初期不良による歩留まり低下という問題点が、電極間隔が狭い領域が発生した場合には、経時・耐久による電気的な絶縁抵抗低下により電気的リークが稼働中に発生するという問題点がある。
また、特許文献4記載の技術における上記した電極パターンの構成ではトナー担持ローラ表面にある第1の電極部材と第2の電極部材とは、絶縁体層を介してそれぞれ外側と内側の位置関係に配置した構成となるため、ローラ端部は安定した絶縁体層の形成が難しいものとなる。また、感光体との現像ギャップが僅かしかないため給電するための配線をトナー担持ローラ表面に配線することは困難である。それ故に、トナー担持ローラ表面の外周にある第1の電極部材にローラ端部より外側のフランジ部より給電するための配線を形成すると、ローラ端部とフランジ部の境界部分で絶縁抵抗不良による電気的リークが発生するという問題点がある。
本発明は、以上の背景に鑑みてなされたものであり、互いに異なる電圧が印加される複数の電極を備えた現像剤担持体において、多数の電極パターンを形成する際に、パターン不良が発生することのない現像剤担持体、現像装置、画像形成装置及びプロセスユニットを提供することを主な目的とする。
上述した課題を解決するとともに上述した目的を達成するために、請求項ごとの発明では、以下のような特徴ある手段・発明特定事項(以下、「構成」という。)を採っている。
請求項1記載の発明は、第1の電極部材と、該第1の電極部材に対して絶縁体を介して配置された第2の電極部材とを備え、第1の電極部材と第2の電極部材とを外周面法線方向で互いに異なる位置に配置し、上記外周面法線方向の各電極部材の間に上記絶縁体を設け、第1の電極部材及び第2の電極部材のうち少なくとも外周側に位置する電極部材は、上記外周面に沿って複数に分割された電極部材とされ、第1の電極部材と第2の電極部材との間に、電位差が時間的に反転する電圧を印加することにより現像剤をクラウド化し、表面が移動することによって上記クラウド化した現像剤を現像領域へ搬送する現像剤担持体において、第1の電極部材及び第2の電極部材のうち内周側に位置する内周側電極部材は、一体化された金属製薄肉管部材であって、第1の電極部材、第2の電極部材及び上記絶縁体は、薄肉管部材として構成されていることを特徴とする現像剤担持体。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の現像剤担持体において、上記薄肉管部材は、上記外周側に位置する電極部材の表面に、該表面を覆う表面コート層を有することを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の現像剤担持体において、上記薄肉管部材の一端部の一部は、上記外周面より内側に曲げられて曲げ部を形成していることを特徴とする。
請求項記載の発明は、請求項記載の現像剤担持体において、上記曲げ部の外周側に位置する電極部材の一部が、絶縁層を介して形成されていることを特徴とする。
請求項記載の発明は、請求項1ないしの何れか一つに記載の現像剤担持体において、上記内周側電極部材の少なくとも一部は、第1の電極部材及び第2の電極部材のうち外周側に位置する外周側電極部材の電極間領域に対向する電極面が、該外周側電極部材の電極に対向する電極面よりも、外周側に位置することを特徴とする。
請求項記載の発明は、請求項1ないしの何れか一つに記載の現像剤担持体において、上記内周側電極部材は、上記薄肉管部材に形成された弾性変形可能な薄肉管電極部材であり、該薄肉管電極部材のさらに内周側に配置される基材は、弾性体であることを特徴とする。
請求項記載の発明は、請求項1または2記載の現像剤担持体において、上記内周側電極部材は、第1の電極部材及び第2の電極部材のうち外周側に位置する外周側電極部材の電極間領域に対向する位置に複数に分割されて配置されていることを特徴とする。
請求項記載の発明は、現像剤担持体の外周面に現像剤を担持させ、該現像剤担持体を表面移動させることにより現像領域内における潜像担持体上の潜像に現像剤を供給して該潜像を現像する現像装置において、上記現像剤担持体として、請求項1ないしの何れか一つに記載の現像剤担持体を用い、各電極部材に対して互いに異なる電圧を給電するための給電部を有することを特徴とする。
請求項記載の発明は、請求項記載の現像装置において、上記現像剤として、所定極性に帯電したトナーからなる一成分現像剤を用い、上記現像剤担持体として、請求項1ないしの何れか一つに記載の現像剤担持体を用いたことを特徴とする。
請求項10記載の発明は、潜像担持体上に形成された潜像に対して現像装置により現像剤を供給することにより該潜像を現像して得られる画像を、最終的に記録材上に転移させて、該記録材上に画像を形成する画像形成装置において、上記現像装置として、請求項または記載の現像装置を用いたことを特徴とする。
請求項11記載の発明は、潜像担持体と、該潜像担持体上に形成される潜像を現像剤で現像する現像装置とを、1つのユニットとして共通の保持体に保持させて画像形成装置本体に対して一体的に着脱可能に構成したプロセスユニットにおいて、上記現像装置として、請求項または記載の現像装置を用いたことを特徴とする。
本発明によれば、第1の電極部材及び第2の電極部材のうち内周側に位置する内周側電極部材は、一体化された金属製薄肉管部材であって、第1の電極部材、第2の電極部材及び絶縁体は、薄肉管部材として構成されていることにより、従来のような肉厚の厚い円筒状の基体(中空状のローラ)や曲面上に各電極部材を形成する場合と比較して、電極形成面を変形させ平面状にしながら多数の高精度な電極パターンを容易に形成することができることで、パターン不良が低減し、歩留まりを軽減できて低コスト化を図れるとともに、多数の電極パターンを形成する場合で熱処理を行うときには熱容量が低減され、さらにパターン不良が低減して歩留まりが向上する。また、薄肉で軽量のため管理が容易になるという種々の顕著な効果を奏する。
本発明の一実施形態に係る複写機を示す概略構成図である。 同複写機における感光体と現像装置とを示す概略構成図である。 同現像装置のトナー担持ローラの電極配置を説明するためにトナー担持ローラを回転軸に対して直交する方向から見たときの模式図である。 同トナー担持ローラを、その回転軸に対して直交する面に沿って切断したときの断面を展開して模式的に表した部分断面図である。 (a)、(b)は、金属薄肉管を使用して電極を形成する場合の製造方法を説明する説明図である。 (a)、(b)、(c)は、トナー担持ローラの製造例を説明する説明図である。 同トナー担持ローラの外側電極への給電構成を、回転軸線に沿って切断したときのトナー担持ローラ一端部側の断面図である。 同トナー担持ローラの一端部の同給電構成を模式的に示す平面図である。 同トナー担持ローラの内側電極及び外側電極にそれぞれ印加する内側電圧と外側電圧の一例を示すグラフである。 内側電極及び外側電極へ印加する内側電圧と外側電圧の他の例を示すグラフである。 内側電極及び外側電極へ印加する内側電圧と外側電圧のさらに他の例を示すグラフである。 変形例1における現像装置を示す模式図である。 変形例1における現像装置の要部を拡大して示す断面図である。 変形例2におけるトナー担持ローラを、その回転軸に対して直交する面に沿って切断したときの断面を展開して模式的に表した部分断面図である。 (a)は、変形例3におけるトナー担持ローラを展開した状態で示す模式的平面図、(b)は、同トナー担持ローラのS15−S15の模式的断面図である。
以下、図を参照して実施例を含む本発明の実施の形態(以下、「実施形態」という)を詳細に説明する。実施形態および各変形例等に亘り、同一の機能等を有する構成要素(部材や構成部品等)については、形状の多少の違いや配置位置の違いがあっても混同の虞がない限り同一符号を付すこととする。図および説明の簡明化を図るため、図に表されるべき構成要素であっても、その図において特別に説明する必要がない構成要素は適宜断わりなく省略することがある。
以下、本発明を、電子写真方式の画像形成装置である複写機について適用した一実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る複写機を示す概略構成図である。
潜像担持体としてのドラム状の感光体49は、図中時計回り方向に回転駆動される。操作者がコンタクトガラス90に図示しない原稿を装置し、図示しないプリントスタートスイッチを押すと、原稿照明光源91及びミラー92を具備する第1走査光学系93と、ミラー94,95を具備する第2走査光学系96とが移動して、原稿画像の読み取りが行われる。走査された原稿画像がレンズ97の後方に配設された画像読み取り素子98で画像信号として読み込まれ、読み込まれた画像信号はデジタル化された後に画像処理される。そして、画像処理後の信号でレーザーダイオード(LD)が駆動され、このレーザーダイオードからのレーザー光がポリゴンミラー99で反射した後、ミラー80を介して感光体49を走査する。この走査に先立って、感光体49は帯電装置50によって一様に帯電され、レーザー光による走査により感光体49の表面に静電潜像が形成される。
感光体49の表面に形成された静電潜像には現像装置1の現像処理によってトナーが付着し、これによりトナー像が形成される。このトナー像は、感光体49の回転に伴って、転写チャージャー60との対向位置である転写位置に搬送される。この転写位置に対しては、感光体49上のトナー像と同期するように、第1給紙コロ70aを具備する第1給紙部70、又は第2給紙コロ71aを具備する第2給紙部71から記録紙Pが送り込まれる。そして、感光体49上のトナー像は、転写チャージャー60のコロナ放電によって記録紙P上に転写される。
このようにしてトナー像が転写された記録紙Pは、分離チャージャー61のコロナ放電によって感光体49表面から分離され、その後、搬送ベルト75によって定着装置76に向けて搬送される。そして、定着装置76内において、図示しないハロゲンランプ等の発熱源を内包する定着ローラ76aと、これに向けて押圧される加圧ローラ76bとの当接による定着ニップに挟み込まれる。その後、定着ニップ内での加圧及び加熱によってトナー像が表面に定着せしめられた後、機外の排紙トレイ77に向けて排紙される。
上述の転写位置を通過した感光体49表面に付着している転写残トナーは、クリーニング装置45によって感光体49表面から除去される。このようにしてクリーニング処理が施された感光体49表面は、除電ランプ44によって除電されて次の潜像形成に備えられる。
図2は、本実施形態に係る複写機における感光体49と現像装置1とを示す概略構成図である。
ドラム状の感光体49は、図示しない駆動手段によって図中時計回り方向に回転駆動される。そして、この感光体49の図中右側方には、現像剤担持体であるトナー担持ローラ2を有する現像装置1が配設されている。現像装置1は、図中時計回り方向に回転駆動される第1搬送スクリュー12を収容する第1収容部13と、図中反時計回りに回転駆動される第2搬送スクリュー14を収容する第2収容部15とを有しており、両収容部は仕切壁16によって仕切られている。そして、これら収容部はそれぞれ、図示しない磁性キャリアとマイナス帯電性のトナーとが混合された混合剤を収容している。
第1搬送スクリュー12は、その回転駆動によって第1収容部13内の混合剤を回転撹拌しながら、図中手前側から図中奥側へと搬送する。このとき、搬送途中の混合剤は、第1収容部13の底部に固定されたトナー濃度センサ17によってそのトナー濃度が検知される。そして、図中奥側の端部付近まで搬送された混合剤は、仕切壁16の奥側端部付近に設けられた図示しない第1連通口を経て、第2収容部15内に進入する。第2収容部15は、現像剤供給部材としての後述するトナー供給ロール18を収容する磁気ブラシ形成部21に連通しており、第2搬送スクリュー14とトナー供給ロール18とは所定の間隙を介して互いに軸線方向を平行にする姿勢で対向している。第2収容部15内の第2搬送スクリュー14は、その回転駆動によって第2収容部15内の混合剤を回転撹拌しながら、図中奥側から図中手前側へと搬送する。この過程において、第2搬送スクリュー14によって搬送される混合剤の一部は、トナー供給ロール18のトナー供給スリーブ19上に汲み上げられる。そして、図中反時計回り方向のトナー供給スリーブ19の回転駆動に伴って、後述するトナー供給位置を通過した後、トナー供給スリーブ19の表面から離脱して、再び第2収容部15内に戻される。その後、第2搬送スクリュー14によって図中手前側の端部付近まで搬送された混合剤は、仕切壁16の図中手前側端部付近に設けられた図示しない第2連通口を経て第1収容部13内に戻される。
上述したトナー濃度センサ17は、透磁率センサからなる。このトナー濃度センサ17による混合剤の透磁率の検知結果は、電圧信号として図示しない制御部に送られる。混合剤の透磁率は、混合剤のKトナー濃度と相関を示すため、トナー濃度センサ17はトナー濃度に応じた値の電圧を出力することになる。
本複写機の図示しない制御部はRAM(Random Access Memory)を備えており、この中にトナー濃度センサ17からの出力電圧の目標値であるVtrefを格納している。そして、トナー濃度センサ17からの出力電圧値と、RAM内のVtrefとを比較して、比較結果に応じた時間だけ図示しないトナー補給装置を駆動させる。この駆動により、現像に伴うトナーの消費によってトナー濃度を低下させた混合剤に対し、トナー補給口13aから第1収容部13内に適量のトナーが補給される。このため、第2収容部15内の混合剤のトナー濃度が所定の範囲内に維持される。
トナー供給ロール18は、図中反時計回り方向に回転駆動される非磁性材料からなる筒状のトナー供給スリーブ19と、これに内包される固定配置されたマグネットローラ20とを有している。筒状のトナー供給スリーブ19は、アルミニウム、真鍮、非磁性のステンレス、導電性樹脂などの非磁性体を円筒形に成型したものである。また、マグネットローラ20は、図示のように、回転方向に並ぶ複数の磁極(図中真上の位置から反時計回り方向に順にN極、S極、N極、S極、N極、S極)を有している。これら磁極により、トナー供給スリーブ19の周面上に混合剤が吸着し、磁力線に沿って穂立ちした磁気ブラシが形成される。
トナー供給スリーブ19の表面によって汲み上げられた混合剤は、トナー供給スリーブ19の回転に伴って図中反時計回り方向に回転する。そして、トナー供給スリーブ19の表面に対して所定の間隙を介して対向配置されている規制部材22との対向位置である担持量規制位置に進入する。このとき、規制部材22とスリーブ表面との間隙を通過することで、スリーブ表面上における混合剤の担持量が規制される。
トナー供給スリーブ19の図中左側方では、トナー担持ローラ2がトナー供給スリーブ19表面と所定の間隙を介して対向しながら、図示しない駆動手段によって図中反時計回り方向に回転駆動されている。トナー供給スリーブ19の回転に伴って上述の担持量規制位置を通過した混合剤は、トナー担持ローラ2との接触位置であるトナー供給位置に進入する。これにより、混合剤からなる磁気ブラシ先端がトナー担持ローラ2の表面を摺擦する。この摺擦やトナー供給スリーブ19とトナー担持ローラ2との電位差などの作用を受けて、磁気ブラシ中のトナーがトナー担持ローラ2の表面上に供給される。なお、トナー供給スリーブ19には、供給バイアス電源24により、供給バイアスが印加されている。この供給バイアスは、トナー担持ローラ2側にトナーを移動させる電界が形成できるようなものであれば、直流電圧でもよいし、かかる直流電圧に交流電圧を重畳したものでもよい。
トナー供給位置を通過したトナー供給スリーブ19上の混合剤は、スリーブの回転に伴って第2収容部15との対向位置まで搬送される。この対向位置の付近には、マグネットローラ20に磁極が設けられておらず、混合剤をスリーブ表面に引き付ける磁力が作用していないため、混合剤はスリーブ表面から離脱して第2収容部15内に戻る。なお、本複写機においては、マグネットローラ20として、6つの磁極を有するものを用いたが、磁極の個数はこれに限られるものではない。8極、12極などであってもよい。
トナーが供給されたトナー担持ローラ2は、現像装置1のケーシング11に設けられた開口から外周面の一部を露出させている。この露出箇所は、感光体49に対して数十〜数百[μm]の間隙を介して対向している。このようにトナー担持ローラ2と感光体49とが対向している位置が、本複写機における現像位置となっている。
トナー担持ローラ2の表面上に供給されたトナーは、後述する理由により、トナー担持ローラ2の表面上でホッピングしながら、トナー担持ローラ2の回転に伴って、トナー供給位置から現像位置の現像領域に向けて搬送される。現像領域まで搬送されたトナーは、トナー担持ローラ2と感光体49上の静電潜像との間の現像電界によって、感光体表面上の静電潜像部分に付着し、これにより現像が行われる。現像に寄与しなかったトナーは、ホッピングしながらトナー担持ローラ2の回転によってさらに搬送され、繰り返し利用される。
次に、本実施形態におけるトナー担持ローラ2の具体的構成について説明する。
図3は、本実施形態におけるトナー担持ローラ2の電極配置を説明するためにトナー担持ローラ2を回転軸に対して直交する方向から見たときの模式図である。なお、図の簡明化のため、表層6や絶縁層5は図示していない。
図4は、本実施形態におけるトナー担持ローラ2を、その回転軸に対して直交する面に沿って切断したときの断面を模式的に表した部分断面図である。
本実施形態のトナー担持ローラ2は、図4に示すように、シームレスの金属製薄肉管電極部材10aとローラ基材9とで構成されている。金属製薄肉管電極部材10aは、その内周側に位置する第2の電極部材・内周側電極部材であるとともに金属製薄肉管部材としての金属薄肉管10からなる内側電極3aと、最外周側に位置していて内側電極3aへ印加される電圧(内側電圧)とは異なる電圧(外側電圧)が印加される第1の電極部材・最外周電極部材ないし外周電極部材としての櫛歯状の外側電極4aとを備えている。また、内側電極3aと外側電極4aとの間には、これらの間を絶縁するための絶縁体としての絶縁層5が設けられている。また、外側電極4aの外周面側を覆う保護層としての表面コート層(以下、「表層」という。)6も設けられている。すなわち、本実施形態のトナー担持ローラ2は、内周側からこの順に、ローラ基材9、内側電極3a(金属薄肉管10)、絶縁層5、外側電極4a、表層6の5層構造となっている。金属製薄肉管電極部材10aは、内側電極3a(金属薄肉管10)、絶縁層5、外側電極4a及び表層6からなる。
内側電極3aは、一体化された金属製薄肉管部材としての括弧を付して示す金属薄肉管10で形成しており、具体的にはステンレススチール(以下、「SUS」とも記述する。)やアルミニウム等の導電性材料を円筒状に成型した肉厚tが0.05mmから0.2mm程度までのシームレス金属薄肉管で形成している。実施例的には、SUSを引き抜き加工することにより作製した肉厚0.05mmのシームレス金属薄肉管であり、その直径が10mmから20mm、長さが210mmから280mmまでに設定している。また、金属薄肉管10の表面粗さは、JIS算術平均粗さRa0.1で加工されている。
内側電極3aの外周面側は絶縁層5に覆われている。本実施形態において、この絶縁層5は、ポリカーボネート(PC)やアルキッドメラミン等で形成されている。また、本実施形態においては、金属薄肉管10の状態でローラ基材9に接合する前に、絶縁層5はスプレー法やディップ法等によって金属薄肉管10上に均一な膜厚で形成する(後述する図5(b)参照)。金属薄肉管10の状態で絶縁層5を形成することにより、後工程における膜を定着するための熱処理工程で、薄肉であることから熱容量を低減できる。また、薄肉で軽量のため管理が容易になる。
また、本実施形態において、絶縁層5の厚みは、特許文献4に開示されていると同様に、3μm以上50μm以下の範囲内が好ましい。3μmよりも小さくなると、内側電極3aと外側電極4aとの間の絶縁性が十分に保てなくなり、内側電極3aと外側電極4aとの間でリークが発生してしまう可能性が高くなる。一方、50μmよりも大きくなると、内側電極3aと外側電極4aとの間で作られる電界が表層6よりも外側に形成されにくくなり、表層6の外側に強いフレア用電界(外部電界)を形成することが困難となる。本実施形態では、メラミン樹脂からなる絶縁層5の厚みを20μmとしている。
絶縁層5の上には、櫛歯状の外側電極4aが形成される。本実施形態において、この外側電極4aは、アルミニウム、銅、銀などの金属で形成されている。櫛歯状の外側電極4aの形成方法としては、種々の方法がある。例えば、絶縁層5の上にメッキや蒸着によって金属膜を形成し、フォトレジスト・エッチングによって櫛歯状の電極を形成するという方法が挙げられる。また、インクジェット方式やスクリーン印刷によって導電ペーストを絶縁層5の上に付着させて櫛歯状の電極を形成するという方法でもよい。本実施形態においては、金属薄肉管10を使用して電極を形成する際に、電極形成面を変形させて平面状態にすることができるため、従来のように円筒状状態で成型する場合と比べて容易に電極をパターン形成することができる(後述する図5(b)参照)。
外側電極4a及び絶縁層5の外周面側は、表層6により覆われている。トナーは、表層6上でホッピングを繰り返す際、この表層6との接触摩擦によって帯電する。トナーに正規帯電極性(本実施形態ではマイナス極性)を与えるため、本実施形態では、表層6の材料として、シリコーン、ナイロン(登録商標)、ウレタン、アルキッドメラミン、ポリカーボネート等が使用される。本実施形態ではポリカーボネートを採用している。
また、表層6は、外側電極4aを保護する役割も持ち合わせているので、表層6の膜厚としては、3μm以上40μm以下の範囲内が好ましい。3μmよりも小さいと、経時使用による膜削れ等で外側電極4aが露出し、トナー担持ローラ2上に担持されたトナーやトナー担持ローラ2に接触するその他の部材を通じてリークしてしまうおそれがある。
一方、40μmよりも大きいと、内側電極3aと外側電極4aとの間で作られる電界が表層6よりも外側に形成されにくくなり、表層6の外側に強いフレア用電界を形成することが困難となる。本実施形態では、表層の膜厚は20μmとしている。表層6は、絶縁層5と同様にスプレー法やディッピング法等によって形成することができる。絶縁層5を形成する場合と同様に、金属薄肉管10の状態で表層6を形成することにより、後工程における膜を定着するための熱処理工程で、従来のように円筒状状態で形成する場合と比べて薄肉のため熱容量を低減できる(後述する図5(b)参照)。
本実施形態では、内側電極3aと外側電極4aとの間で作られる電界、より詳しくは、内側電極3aの外側電極4aとは対向していない部分(外側電極4aの櫛歯間に位置する内側電極3aの部分)と外側電極4aの櫛歯部分との間で作られる図4中の矢印で示す電界が、表層6の外側に形成されることで、トナー担持ローラ2上のトナーをホッピングさせ、これによりトナーをクラウド化させる。このとき、トナー担持ローラ2上のトナーは、内側電極3aに絶縁層5を介して対向した表層部分と、これに隣接する外側電極4aに対向した表層部分との間を、飛翔しながら往復移動するように、ホッピングすることになる。
トナーを安定してクラウド化させるためには、相応する大きさのフレア用電界を形成することが重要となるが、このような大きなフレア用電界を形成するためには内側電極3aと外側電極4aとの間に大きな電位差を形成する必要がある。しかし、このような大きな電位差を安定して形成するためには、内側電極3aと外側電極4aとの間を安定かつ有効に絶縁し、リークを防止することが重要である。従来のように、フレア用電界を形成するための2種類の電極をそれぞれ櫛歯状に形成して同心円上に配置し、互いの櫛歯部分が相手の櫛歯間に入り込むように構成した場合、その櫛歯状電極の形成品質が悪いと、2種類の電極間の絶縁性が著しく低下し、リークが起きやすい。具体的には、例えば、エッチングで電極形成する場合には除去すべき金属膜の一部が残存していたり、インクジェット法やスクリーン印刷法で電極形成する場合には電極間に導電ペーストが付着してしまったりする事態が起こり得る。このような事態が生じると、2種類の電極間でリークが起きやすくなり、適正なフレア用電界を形成することができなくなる。また、従来構成においては、ローラの樹脂表面上に櫛歯状電極を高い質で形成したとしても、2種類の櫛歯状電極を形成した後にその外周面側を絶縁材で覆うことにより電極間に絶縁材を充填して電極間の絶縁性を得るため、電極間にはローラの樹脂表面と絶縁材との界面が形成され、この界面を通じたリークが生じやすく、比較的大きな電圧を印加すると電極間の絶縁性が著しく低下する。
図5を参照して、金属薄肉管を使用して電極を形成する製造方法・工程の一例を説明する。図5は、金属薄肉管を使用して電極を形成する場合の製造方法・工程例を説明する説明図である。
本実施形態においては、金属薄肉管を使用して図4に示した各電極3a,4a、絶縁層5及び表層6を形成する際に、例えば図5(a)に示すように、紙面に直交する方向に長い金属薄肉管10の内部に2つの裏当て部材30を配置する。各裏当て部材30は、金属薄肉管10と同様に紙面に直交する方向に長い円柱状をなす回転可能な部材であり、図5(b)に示すように、図示しない駆動手段を備えた移動手段及び案内手段によって両矢印で示す水平方向の所定の距離内(金属薄肉管10を延ばし過ぎて切断したり、肉厚が公差内よりも薄くなったりしない移動距離を意味する)で往復移動可能に構成されている。図5(b)に示すように、金属薄肉管10を平面状態に支持することが可能な支持面を備えた裏当て部材31を配置し、所定の位置を占めて停止した各裏当て部材30及び裏当て部材31で平面状態の金属薄肉管10上に、上述したような電極及び膜形成方法で各電極3a,4a、絶縁層5、表層6を形成することができる。所定範囲の形成が終了すると、各裏当て部材30を回転させることで金属薄肉管10を回転・移動方向に送り、上記したと同様に各電極3a,4a、絶縁層5、表層6を形成することができる。
ローラ基材9は、図4および図6等に示すように、シリコーンゴム、ウレタンゴム、ブタジエンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、天然ゴムやこれらのスポンジ等の弾性体からなる弾性体層で形成されている。図6は、トナー担持ローラ2の製造例を説明する説明図である。
トナー担持ローラ2は、図4を参照して説明したように、内側電極3a(金属薄肉管10)、絶縁層5、外側電極4a及び表層6からなる金属製薄肉管電極部材10aとローラ基材9とで構成されている。トナー担持ローラ2の組み付けは、上述した製造工程で製作された図6(a)に示す金属製薄肉管電極部材10aを準備するとともに、図6(b)に示すように、ローラ軸・回転軸でもある芯金3b,4bの外周に、例えばシリコーンゴムスポンジを弾性体層として製造されたローラ基材9を形成し準備する。次に、ローラ基材9のシリコーンゴムスポンジ層表面にシリコーンゴム系の接着剤で被覆した後、図6(c)に示すように、接着剤で被覆されたローラ基材9を金属製薄肉管電極部材10a内に挿入し、加熱接着することによって、金属製薄肉管電極部材10aをローラ基材9の弾性体層に固定するという方法により製造される。このような製造方法で得たトナー担持ローラ2は、弾性体層からなるローラ基材9の外周部の金属製薄肉管電極部材10aが弾性変形可能であるので、電極表層(金属製薄肉管電極部材10a)にも弾性をもたすことができる。
回転軸でもある芯金3b,4bは、被給電部を構成すべく導電性部材、例えば金属薄肉管10と同様の金属で形成されている。芯金3b,4bとローラ基材9との固定方法の一例としては、芯金3b,4bを保持する図示しない側型に固定し、この状態で金属製薄肉管電極部材10aの内側と同様の形状を備えた円筒金型(図示せず)の環状空間内にシリコーンゴム材料を高圧で注入充填し、その充填圧力でスリーブを拡張させながら上記円筒金型の内周面に密着させるとともに、シリコーンゴム材料に芯金3b,4bを一体化させるという方法で製造されている。
ローラ基材9の上記弾性体層のゴム硬度に関して、JIS規格K6301のA型硬度計で計測したゴム硬度を70度以下にした。同硬度計で計測した上記弾性体層のゴム硬度が70度以上になると、地肌汚れの発生が目視できるようになり画質が悪化する。この原因については明確になっていないが、ゴム硬度が低い領域では、トナー帯電が十分に行われると同時にトナーのホッピングが活発に行われるのに対し、ゴム硬度が高い領域では、トナー帯電が不十分になると同時にトナーのホッピングが減少するためと推察される。従って、上記弾性体層のゴム硬度を70度以下にすることにより、画像濃度の低下と地肌汚れとを防止でき、良好な画像を形成することができる。
図3、図7、図8を参照して、トナー担持ローラ2端部の給電構成を説明する。
図7は、本実施形態における外側電極4aへの給電構成を、回転軸線に沿って切断したときのトナー担持ローラ2一端部側の断面図である。なお、図の簡明化のため、絶縁層5、外側電極4a及び表層6の図示を省略している。
図8は、本実施形態におけるトナー担持ローラ2の一端部の同給電構成を模式的に示す平面図である。なお、図の簡明化のため、絶縁層5、外側電極4a及び表層6の図示を省略している。
図7及び図8に示すように、上記した各電極部材3a,4a等を形成した金属製薄肉管電極部材10aの一端部の一部は、外周面より内側に曲げられて曲げ部10bが形成されている。上記したトナー担持ローラ2を製造する過程において、トナー担持ローラ2の一端部には、端板部材としてのフランジ26が弾性体層よりなるローラ基材の一端部に固着され、かつ、金属製薄肉管電極部材10aの一端部内部に固着されている。フランジ26は、例えば絶縁性の樹脂等からなる絶縁体で形成されている。
図8に示すように、金属製薄肉管電極部材10aの一端部における多数の外側電極4aの一端部端末は、図中黒い太線で示す電極結線部としてのバスライン4cに接続・結線されている。金属製薄肉管電極部材10aの一端部における曲げ部10b近傍の多数の外側電極4aの一端部及びバスライン4cは、この図では省略されている絶縁層(図4の絶縁層5参照)上にパターン・形成されている。バスライン4cは、さらに、絶縁体で形成されたフランジ26の外周面より凹の部分(曲げ部10bに対応した部分)において、金属製で弾性ばね性を備えた給電端子8を介して芯金4bに接続・配線されている。これにより、芯金4bを、外側電極4aへ給電する被給電部として構成することができる。なお、給電端子8と接続している黒丸状接点部のバスライン4cの表面には、電気的導通を図るべく図4に示す表層6が形成されていないことは無論である。
一方、図8には図示していない反対側の芯金3b(図3参照)を、特許文献4の図3に開示されていると同様に、内側電極3aへ給電される被給電部として構成することができる。この場合、金属製薄肉管電極部材10aにおける内側電極3aを構成する金属薄肉管10の他端部は、図示しない端板部材としての金属製のフランジが芯金3b(図3参照)に接続固定される。
図3において、本実施形態における内側電極3a及び外側電極4aへの給電構成において、内側電極3aを構成する金属薄肉管10の他端部(図3の右端部)は、図示しない金属製のフランジに固定された芯金3bに接続されており、その芯金3bのローラ軸端面が被給電部となる。芯金3bのローラ軸端面で構成される被給電部には、パルス電源25Aに接続された第1給電部材としての給電ブラシ7Aが当接している。
一方、図8を参照して説明したように、金属薄肉管10の一端部(図3の左端部)の外側電極4aは、バスライン4c及び給電端子8を介して芯金4bに接続されており、その芯金4bのローラ軸端面が被給電部となる。芯金4bのローラ軸端面で構成される被給電部には、パルス電源25Bに接続された第2給電部材としての給電ブラシ7Bが当接している。
また、本実施形態によれば、特許文献4の段落「0037」に記載されていると同様の効果を奏する。すなわち、内側電極3aの上に絶縁層5を設け、その絶縁層上に櫛歯状の外側電極4aを形成した構成であるため、これらの電極間にリークの原因となり得るような界面は存在しない。また、トナー担持ローラ2の製造段階において、リークの原因となり得る導電材が電極間に介在する可能性も非常に少なくできる。したがって、本実施形態によれば、内側電極3aと外側電極4aとの間を安定かつ有効に絶縁することができ、比較的大きな電圧を印加する場合でもリークを効果的に防止することができる。
次に、内側電極3a及び外側電極4aに印加する電圧について説明する。
トナー担持ローラ2上の内側電極3a及び外側電極4aには、それぞれパルス電源25A,25Bから第1電圧である内側電圧及び第2電圧である外側電圧が印加される。パルス電源25A,25Bが印加する内側電圧及び外側電圧は、矩形波が最も適している。ただし、これに限らず、例えばサイン波でも三角波でもよい。また、本実施形態では、フレア用電極を形成するための電極が内側電極3a及び外側電極4aの2相構成であり、各電極3a,4aには互いに位相差πをもった電圧がそれぞれ印加される。
図9は、内側電極3a及び外側電極4aにそれぞれ印加する内側電圧と外側電圧の一例を示すグラフである。
本実施形態において、各電圧は矩形波であり、内側電極3aと外側電極4aとに対応して印加される内側電圧と外側電圧とは、互いに位相がπだけズレた同じ大きさ(ピークトゥピーク電圧Vpp)の電圧である。よって、内側電極3aと外側電極4aとの間には、常にVppだけの電位差が生じる。この電位差によって電極間に電界が発生し、この電界のうち表層6の外側に形成されるフレア用電界によって表層6上をトナーがホッピングする。本実施形態において、Vppは100V以上2000V以下の範囲内であるのが好ましい。Vppが100Vより小さいと、十分なフレア用電界を表層6上に形成できず、トナーを安定してホッピングさせるのが困難となる。一方、Vppが2000Vより大きいと、経時使用により電極間でリークが発生する可能性が高くなる。本実施形態では、Vppを500Vに設定している。
また、本実施形態において、内側電圧と外側電圧の中心値V0は、画像部電位(静電潜像部分の電位)と非画像部電位(地肌部分の電位)との間に設定され、現像条件によって適宜変動する。
本実施形態において、内側電圧と外側電圧の周波数fは、0.1kHz以上10kHz以下であるのが好ましい。0.1kHzより小さいと、トナーのホッピングが現像速度に追いつかなくなるおそれがある。一方、10kHzより大きいと、トナーの移動が電界の切り替わりに追従できなくなり、トナーを安定してホッピングさせるのが困難となる。本実施形態では、周波数fを500Hzに設定している。
図10は、内側電極3a及び外側電極4aへ印加する内側電圧と外側電圧の他の例を示すグラフである。
この例では、内側電極3aについては、図9に示したものと同様の内側電圧が印加されるが、外側電極4aについては、直流電圧が印加される。この場合、電極間の電位差はVpp/2となる。よって、この例におけるVppの好適な範囲は、200V以上4000V以下である。この例によれば、内側電極3aと外側電極4aとの位相差を考慮する必要がなく、電源コストが安くなる。
図11は、内側電極3a及び外側電極4aへ印加する内側電圧と外側電圧の更に他の例を示すグラフである。
この例では、外側電極4aについては、図9に示したものと同様の内側電圧が印加されるが、内側電極3aについては、直流電圧が印加される。この場合も、電極間の電位差はVpp/2となる。よって、この例におけるVppの好適な範囲は、200V以上4000V以下である。この例も、内側電極3aと外側電極4aとの位相差を考慮する必要がなく、電源コストが安くなる。
以上説明した本実施形態においては、重複説明を避ける上からその説明を省略したが、特許文献4の段落「0038」に記載されていると同様の外側電極4aの電極幅(各櫛歯部分の幅)の寸法構成、特許文献4の段落「0039」に記載されていると同様の外側電極4aの電極ピッチ(櫛歯部分間の距離)構成、特許文献4の段落「0040」に記載されていると同様の、外側電極4aの電極ピッチを、トナー担持ローラ2の周方向にわたって一定となるように設定されている構成等を採用することで、同様の効果を奏するように構成できることは無論である。
以上述べたように、本実施形態によれば、第1の電極部材としての外側電極4a及び第2の電極部材としての内側電極3aは、共に薄肉管部材としての一体化された金属薄肉管10(金属製薄肉管部材)上に形成されていて、内周側電極部材としての内側電極3aは、金属薄肉管10であることにより、従来のような肉厚の厚い円筒状の基体(中空状のローラ)を用いずに、肉厚の薄い金属薄肉管10を使用しているため、図5に示したように裏当て部材31等で金属薄肉管10を部分的に裏当て等をして電極形成面を変形させ平面状にしながら多数の電極パターンを容易に形成することができることで、電極の製造においてパターン化の設備が簡素化されるとともにトナー担持体ローラ2の配線も簡素化され、低コスト化を図れる。また、本実施形態によれば、従来のように曲面に電極を形成させる場合と比べて、電極形成の位置精度が向上することで高精度な電極パターンを形成することができるとともに、内側電極3aの製造においてパターン化のプロセス、工法を必要としないため、パターン不良が低減し、歩留まりを軽減できる。また、上述したとおり、金属薄肉管10上に多数の電極パターン形成する場合で熱処理を行うときには熱容量が低減され、歩留まりが向上する。また、軽量のため管理が容易になるという種々の顕著な効果を奏するものである。
また、本実施形態によれば、金属薄肉管10(金属製薄肉管部材)の一端部の一部を外周面より内側に曲げて曲げ部10bを形成し、トナー担持ローラ2の一端部表面の外周側にある外側電極4a及びバスライン4cを曲げ部10bに絶縁層を介して形成させ、フランジ26部分より給電部材としての給電端子8で芯金4bに接続することにより、特許文献4のような従来構成ではローラ端部とフランジ部の境界部分で絶縁抵抗不良により発生する虞のある電気的リークを未然に防止できる。また、内側電極3a及び外側電極4aへの給電構成が上述のとおりであるから、特許文献4のような外側電極4aへ給電するための給電コロ等の配置が不要となることで、内側電極3a及び外側電極4aへの給電構成が簡素化され、一層の低コスト化が図れるとともに歩留まりも向上する。なお、本実施形態では、上述したように特許文献4記載の技術をベースにしているため該特許文献4記載の発明の効果を奏することは無論である。
また、別の観点からの本実施形態によれば、トナー担持ローラ表面に第1の電極部材と第2の電極部材を、絶縁体層を介してそれぞれ別々の層に設けた構成であるため、多数の電極パターンを形成する製造工程でパターン不良によって電極間隔が狭い領域、またはショート状態のパターンが発生した場合においても、A相用電極とB相用電極の間の層に絶縁体層を形成しているため、A相用電極とB相用電極の間に電気的なリークは発生しないため歩留まりが向上、また使用耐久の高信頼性化が可能となる。
さらに、本実施形態においてはトナー担持ローラ表面にある第1の電極部材と第2の電極部材は、絶縁体層を介してそれぞれ外側と内側の位置関係に配置した構成であるが、電極幅、電極の間隔、絶縁体層、表面コート層の寸法を適正に設定することで、第1の電極と第2の電極への印加電圧の電位差による電界が表面コート層の上方向位置においても大きく影響する構成、すなわち、第1の電極と第2の電極との間に形成される電気力線が表面コート層の上方向位置にも十分到達する構成である。従って、電極間の電位差が時間的に反転する電圧を印加することで、トナー担持体表面から上方に飛翔するトナークラウドの形成が容易となる。また、本実施形態においては、第1の電極と第2の電極との間に形成されるクラウド電界の対称性が上がり、トナー担持体ローラ表面のトナーをクラウド化する効率を上げることができる。
(変形例1)
次に、トナー担持ローラ2にトナーを供給する構成の他の変形例(以下、本変形例を「
変形例1」という。)について説明する。
図12は、本変形例1における現像装置を示す模式図である。
本変形例1は、上記実施形態と比較して、磁性キャリアを用いないでトナー担持ローラ2にトナーを供給する、一成分現像剤としてのトナーを用いた現像装置1Aである点が主に相違する。具体的には、本変形例1では、トナー収容部15’内にスポンジローラ18’を設け、スポンジローラ18’の表面をトナー担持ローラ2の表面に当接させている。これにより、トナー収容部15’内でスポンジローラ18’の表面に付着したトナーは、トナー担持ローラ2の表面との当接部で摺擦を受けて摩擦帯電し、これにより静電的にトナー担持ローラ2上へ供給される。スポンジローラ18’は、トナー担持ローラ2に一成分現像剤としてのトナーを供給する現像剤供給部材として機能する。
本変形例1では、スポンジローラ18’をトナー担持ローラ2に対してトレーリング方向に回転駆動しているが、カウンター方向でもよい。本変形例1の場合、スポンジローラ18’に接続された供給バイアス電源24’により印加される供給バイアスによって、トナー担持ローラ2へ供給するトナーの量を制御することができる。この供給バイアスは、直流電圧でも交流電圧でもよいし、また直流電圧に交流電圧を重畳させたバイアスでもよい。
本変形例1によれば、上記実施形態の効果に加えて、トナー担持ローラ2のローラ基材にゴムやスポンジのような弾性体を使用していることにより、金属製薄肉管電極部材10aは弾性変形が可能となるので電極表層に弾性をもたすことができ、これによりトナー規制部にニップを形成できるのでムラのないトナー薄層を形成することができる。
(変形例2)
次に、内側電極3aの一変形例(以下、本変形例を「変形例2」という。)について説明する。
一般に、複数種類の電極部材(内側電極3a及び外側電極4a)をトナー担持ローラ2の外周面法線方向で互いに異なる位置に配置し、各電極部材間に絶縁層を介在させた上述したような構成においては、上記特許文献1〜3に記載された現像装置のようにローラ同心円上に複数種類の電極を備えた構成よりも、電極部材間の静電容量が大きくなってしまう。これは、主として、電極部材間の対向面積の違いによるものである。これらの電極部材に対して供給される交流電流は静電容量に比例して増大するため、これらの電極部材間の静電容量が大きいと、これらの電極部材に対して給電するための電源として、出力電流の大きな電源が必要になる。交流電源は、通常、出力電流が大きいほどコストが大きくなる。したがって、電極部材間の静電容量、すなわち、内側電極3aと外側電極4aとの間の静電容量を、なるべく小さくすることが望まれる。
ここで、内側電極3aと外側電極4aとの間の静電容量を小さくするための方法としては、内側電極3aと外側電極4aとの間の対向面積を小さくする方法と、内側電極3aと外側電極4aとの間の距離を大きくする方法とが考えられる。このうち、前者の方法をとる場合には、構造が複雑化して製造コストが増大してしまう。一方、後者の方法をとる場合、内側電極3aと外側電極4aとの間に介在する絶縁層5の層厚を大きくするというような簡易な構造を採用できるので製造コストが増大することはないが、この構造では、表層6の外側に強いフレア用電界(外部電界)を形成することが困難となるので、結局、電源コストの増大を招く。
本変形例2では、内側電極3aと外側電極4aとの間の静電容量を簡易な構造で小さくしつつ、表層6の外側に強いフレア用電界を形成することが容易な構成を提案する。
図14は、本変形例2におけるトナー担持ローラ2Aを、その回転軸に対して直交する面に沿って切断したときの断面を模式的に表した部分断面図である。
本変形例2のトナー担持ローラ2Aの基本構造は、図4に示した上記実施形態のものと同様に4層構造であるが、本変形例2では最内周電極部材としての内側電極3aの構成が異なっている。具体的には、トナー担持ローラ表面移動方向における内側電極3aの少なくとも一部分について、図14に示すように、最外周電極部材としての外側電極4aの電極間部分に対向する内側電極3aの電極面(外周側の面)が、外側電極4aに対向する内側電極3aの電極面よりも、トナー担持ローラ外周面側に位置するように構成されている。これにより、外側電極4aとこれに対向する内側電極3aの電極部分との距離については、上記実施形態における距離B’よりも、本変形例2における距離Bの方を長くすることができる。その結果、本変形例2によれば、内側電極3aと外側電極4aとの間の静電容量を上記実施形態のものよりも小さくすることができる。
一方で、外側電極4aの電極間部分に対向する内側電極3aの電極部分は、上記実施形態と同じままとなっている。すなわち、外側電極4aの電極間部分とこれに対向する内側電極3aの電極部分との間の絶縁層の厚さAは同じである。表層6の外側に形成されるフレア用電界は、主に、外側電極4aの電極間部分に対向する内側電極3aの電極部分と、外側電極4aとによって形成される。本変形例2では、外側電極4aの電極間部分に対向する内側電極3aの電極部分と、外側電極4aとの位置関係は上記実施形態のものと同じままになっているので、上記実施形態のものと同じ電源で、上記実施形態のものと同程度の矢印で示す強いフレア用電界を形成することができる。
図14に示すような内側電極3aを形成する方法としては、例えば、上記実施形態の内側電極のように、外周面側が平滑な金属薄肉管10の外周面側に対し、外側電極4aの電極間部分と対向することになる部分を、フォトレジスト・エッチング等の公知の方法により削り取る処理を行う方法がある。本変形例では、内側電極3aの凹凸ピッチを160μmとし、削り幅を80μmとし、削り深さを80μmとしている。
なお、本変形例2では、トナー担持ローラ2Aの軸方向に延びる各外側電極4aに沿うように内側電極3aを削り取って、各外側電極4aの全長にわたって外側電極4aの電極間部分とこれに対向する内側電極3aの電極部分との距離を離しているが、これに限られない。すなわち、外側電極4aの電極間部分と対向する内側電極3aの少なくとも一部分を削り取れば内側電極3aと外側電極4aとの間の静電容量を上記実施形態のものよりも小さくすることができる。
ここで、本変形例2の構成において、外側電極4aとこれに対向する内側電極3aの電極部分との距離Bを変化させたときの静電容量を計測する実験を行った結果について説明する。
本実験では、図4に示した上記実施形態のトナー担持ローラ2A、すなわち、内側電極3aを削り取っていない比較例(絶縁層5の層厚=10μm)に対し、上記距離Bが15μmとなるように削り取った構成例1と、上記距離Bが20μmとなるように削り取った構成例2とについて、静電容量がどの程度小さくなるかを計測した。その結果、構成例1の静電容量は、比較例の静電容量に対して80%となり、構成例2の静電容量は、比較例の静電容量に対して70%となった。
本変形例2によれば、上記実施形態と同様の効果を奏する他、トナー担持ローラ2Aの低コスト化、歩留まり向上、及び電極間容量が小さくでき、クラウドパルス生成の電源容量を低下できるとともに電源の低コスト化も図れる。
(変形例3)
図15を参照して、本実施形態に係る現像装置に用いられるトナー担持ローラ2Bについて用いて説明する。
図15(a)は、トナー担持ローラ2Bを展開した状態で示す模式的平面図、図15(b)は、トナー担持ローラ2BのS15−S15の模式的断面図である。図15(a)において、外側電極4aは黒色帯状に、内側電極3aは灰色帯状模様で示す。
この変形例3は、トナー担持ローラ表面にそれぞれ複数電極としての2種類の内側電極3a、外側電極4aを別々の層に設け、その電極間にπ(180°)だけ位相の異なる2相パルス(上記実施形態と同じ図9参照)を印加して、電極相互の電界で吸引と反発とを繰り返すトナー担持ローラの例である。
本変形例3のトナー担持ローラ2Bは、図15(a)、図15(b)に示すように、シームレスの薄肉管電極部材10Aaとローラ基材9とで構成されている。薄肉管電極部材10Aaは、薄肉管部材としてのシームレスの薄肉管10Aと、この薄肉管10A上に直接積層するように形成された絶縁体としての絶縁層5と、この絶縁層5の表面上に直接積層するように形成され、第2の電極部材・内周側電極部材としての櫛歯状の内側電極3aと、さらに内側電極3aを被覆するように形成された絶縁体としての絶縁層5aと、この絶縁層5aの表面上に直接積層するように形成され、第1の電極部材・最外周電極部材ないし外周電極部材としての櫛歯状の外側電極4aと、外側電極4aの外周面側を覆う保護層としての表層6とから主に構成されている。
すなわち、本変形例3のトナー担持ローラ2Bは、内周側から順に、ローラ基材9、薄肉管10A、絶縁層5、内側電極3a、絶縁層5a、外側電極4a、表層6の7層構造となっている。薄肉管電極部材10Aaは、薄肉管10A、絶縁層5、内側電極3a、絶縁層5a、外側電極4a及び表層6からなる。このように本変形例3のトナー担持ローラ2Bは、図4等に示した上記実施形態のトナー担持ローラ2と比較して、金属薄肉管10に代えて、樹脂を含む材料で形成される薄肉管10Aを用いる点、これに伴い櫛歯状の内側電極3aを絶縁層5の外周面側に形成する点、内側電極3aの上層に外側電極4aを形成すべく絶縁層5aを新規に形成する点が主に相違する。この相違点以外は、トナー担持ローラ2Bは、図4等に示した上記実施形態のトナー担持ローラ2と同様である。
薄肉管10Aは、ポリアセタール(POM)やポリカーボネート(PC)等の樹脂、アルミニウム、鉄材、銅等の金属材料を円筒状に薄肉成型した肉厚tが0.05mmから0.2mm程度までのシームレスの薄肉管である。薄肉管10Aの表面に設けた絶縁層5、及び絶縁層5aは、ポリカーボネートやアルキッドメラミン等で形成されている。絶縁層5及び絶縁層5aの製造は、薄肉管10Aの状態でローラ基材9に接合する前に、スプレー法やディップ法等によって薄肉管10Aの表面に均一な膜厚で形成することができる。薄肉管10Aの材質が、絶縁性樹脂等の絶縁体であれば絶縁層5は特に設ける必要はない。
本変形例3において、内側電極3a及び外側電極4aは、アルミニウム、銅あるいは銀などの金属で形成されている。内側電極3a及び外側電極4aの製造方法は、種々の方法がある。例えば、各絶縁層5,5aの上にメッキや蒸着によって金属膜を形成し、フォトレジスト・エッチングによって電極を形成するという方法が挙げられる。また、インクジェット方式やスクリーン印刷によって導電ペーストを各絶縁層5,5aの上に付着させて櫛歯状の電極を形成するという方法でもよい。
外側電極4aの外周面側を覆っている最表面の表層6の材料、及びその形成方法は、上記実施形態と同様である。本変形例3のように、トナー担持ローラ表面にそれぞれ複数の内側電極3a、外側電極4aを別々の層に設けた構成においては、多数の電極パターンを形成する製造工程で多少のパターン不良があって電極間隔が狭い領域、またはショート状態のパターンがあったとしても、内側電極3aと外側電極4aとの間の層に絶縁層5aを形成しているため、内側電極3aと外側電極4aとの間に電気的なリークは発生しないため、高信頼性化が可能である。
本変形例3では、内側電極3a及び外側電極4aとの間で形成される電界が、最表面の表層6の外側に形成されることで、トナー担持ローラ2B上のトナーをホッピングさせ、これによりトナーをクラウド化させる。このとき、トナー担持ローラ2B上のトナーは、内側電極3a及び外側電極4aに対向した表層部分で飛翔しながら往復移動するように、ホッピングすることになる。
次に、トナー担持ローラ2Bの内側電極3aと外側電極4aに印加する電圧は、上記図9と同様にパルス電圧印加手段としての図示しないパルス電源から印加される。本変形例3では、内側電極3aと外側電極4aともに絶縁層5,5aを介してトナーの搬送方向と直交する方向に微細なピッチで平行に設けられており、両サイドには共通のバスライン3c,4cで外部の2相パルス出力回路(図示せず)を備えた上記図示しないパルス電源にそれぞれ接続されている。バスライン3c,4cの上記図示しないパルス電源への接続構成例としては、例えば特許文献4の図10〜図12に開示されている給電ブラシを介して接続する例が挙げられる。上記図示しないパルス電源が印加する電圧は、矩形波が最も適している。ただし、これに限らず、例えばサイン波でも三角波でもよい。また、本変形例3では、クラウド用電極を形成するための内側電極3aと外側電極4aとには、2相構成で互いに位相差πをもった電圧が印加される。
本変形例3においても、薄肉管10Aを使用して電極を形成する際に、電極形成面を変形させて平面状態にすることができるため、従来のように円筒状状態で成型する場合と比べて容易に電極をパターン形成することができる(上記した図5(b)参照)。
本変形例3によれば、電極間容量を小さくでき、クラウドパルス生成の電源容量を低下、低コスト化が可能となる。
以上述べたとおり、本発明を特定の実施形態や変形例等について説明したが、本発明が開示する技術は、上述した実施例を含む実施形態や変形例等に例示されているものに限定されるものではなく、特許文献4に開示されている技術を含め、それらを適宜組み合わせて構成してもよく、本発明の範囲内において、その必要性および用途等に応じて種々の実施形態や変形例あるいは実施例を構成し得ることは当業者ならば明らかである。
本発明は、上記実施形態に限定されず、例えば、上記実施形態として図7及び図8に示した曲げ部10bを、上記変形例3にも適用することが可能である。その場合、薄肉管電極部材10Aaあるいは薄肉管10Aの一端部を金型で曲げ成型することなどで形成すればよい。
1 現像装置
2、2A、2B トナー担持ローラ(現像剤担持体)
3a 内側電極(内周側電極部材、第2の電極部材)
3b 芯金(被給電部)
4a 外側電極(外周側電極部材、第1の電極部材)
4b 被給電部芯金(被給電部)
3c、4c バスライン
5、5a 絶縁層(絶縁体)
6 表層(表面コート層)
7A、7B 給電ブラシ
8 給電端子
9 ローラ基材(基材)
10 金属薄肉管(金属製薄肉管部材)
10a 金属製薄肉管電極部材
10b 曲げ部
10A 薄肉管(薄肉管部材)
10Aa 薄肉管電極部材
11 ケーシング
15’ トナー収容部
18 トナー供給ロール(現像剤供給部材)
18’ スポンジローラ(現像剤供給部材)
19 トナー供給スリーブ
20 マグネットローラ
22 規制部材
24 供給バイアス電源
25A、25B パルス電源(パルス電圧印加手段)
26 フランジ
30、31 裏当て部材
49 感光体(潜像担持体)
P 記録紙(記録材、シート状記録媒体)
特開2007−133388号公報 特開2008−116599号公報 特公平1−31611号公報 特開2010−164932号公報

Claims (11)

  1. 第1の電極部材と、該第1の電極部材に対して絶縁体を介して配置された第2の電極部材とを備え、第1の電極部材と第2の電極部材とを外周面法線方向で互いに異なる位置に配置し、上記外周面法線方向の各電極部材の間に上記絶縁体を設け、第1の電極部材及び第2の電極部材のうち少なくとも外周側に位置する電極部材は、上記外周面に沿って複数に分割された電極部材とされ、第1の電極部材と第2の電極部材との間に、電位差が時間的に反転する電圧を印加することにより現像剤をクラウド化し、表面が移動することによって上記クラウド化した現像剤を現像領域へ搬送する現像剤担持体において、
    第1の電極部材及び第2の電極部材のうち内周側に位置する内周側電極部材は、一体化された金属製薄肉管部材であって、第1の電極部材、第2の電極部材及び上記絶縁体は、薄肉管部材として構成されていることを特徴とする現像剤担持体。
  2. 請求項1記載の現像剤担持体において、
    上記薄肉管部材は、上記外周側に位置する電極部材の表面に、該表面を覆う表面コート層を有することを特徴とする現像剤担持体。
  3. 請求項1または2記載の現像剤担持体において、
    上記薄肉管部材の一端部の一部は、上記外周面より内側に曲げられて曲げ部を形成していることを特徴とする現像剤担持体。
  4. 請求項記載の現像剤担持体において、
    上記曲げ部の外周側に位置する電極部材の一部が、絶縁層を介して形成されていることを特徴とする現像剤担持体。
  5. 請求項1ないし4の何れか一つに記載の現像剤担持体において、
    上記内周側電極部材の少なくとも一部は、第1の電極部材及び第2の電極部材のうち外周側に位置する外周側電極部材の電極間領域に対向する電極面が、該外周側電極部材の電極に対向する電極面よりも、外周側に位置することを特徴とする現像剤担持体。
  6. 請求項1ないし5の何れか一つに記載の現像剤担持体において、
    上記内周側電極部材は、上記薄肉管部材に形成された弾性変形可能な薄肉管電極部材であり、該薄肉管電極部材のさらに内周側に配置される基材は、弾性体であることを特徴とする現像剤担持体。
  7. 請求項1または2記載の現像剤担持体において、
    上記内周側電極部材は、第1の電極部材及び第2の電極部材のうち外周側に位置する外周側電極部材の電極間領域に対向する位置に複数に分割されて配置されていることを特徴とする現像剤担持体。
  8. 現像剤担持体の外周面に現像剤を担持させ、該現像剤担持体を表面移動させることにより現像領域内における潜像担持体上の潜像に現像剤を供給して該潜像を現像する現像装置において、
    上記現像剤担持体として、請求項1ないし7の何れか一つに記載の現像剤担持体を用い、
    各電極部材に対して互いに異なる電圧を給電するための給電部を有することを特徴とする現像装置
  9. 請求項8記載の現像装置において、
    上記現像剤として、所定極性に帯電したトナーからなる一成分現像剤を用い、
    上記現像剤担持体として、請求項1ないし7の何れか一つに記載の現像剤担持体を用いたことを特徴とする現像装置。
  10. 潜像担持体上に形成された潜像に対して現像装置により現像剤を供給することにより該潜像を現像して得られる画像を、最終的に記録材上に転移させて、該記録材上に画像を形成する画像形成装置において、
    上記現像装置として、請求項8または9記載の現像装置を用いたことを特徴とする画像形成装置
  11. 潜像担持体と、該潜像担持体上に形成される潜像を現像剤で現像する現像装置とを、1つのユニットとして共通の保持体に保持させて画像形成装置本体に対して一体的に着脱可能に構成したプロセスユニットにおいて、
    上記現像装置として、請求項8または9記載の現像装置を用いたことを特徴とするプロセスユニット
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