本発明は上述した課題に対処するためになされたものであって、その目的の一つは、潜像形成面上に現像剤により形成される像の質を高めることが可能な現像剤搬送体を提供することにある。
かかる目的を達成するため本発明に係る現像剤搬送体は、
潜像担持体の表面であって同表面の電位により静電潜像が形成される潜像形成面と対向するように配置された搬送面を有する基材と、
前記搬送面上に供給される現像剤を、同搬送面と前記潜像形成面との間の距離が最短となる同搬送面上の位置である最接近位置を同現像剤が通過するように、所定の上流領域から所定の下流領域へ向けて搬送する電界を形成する搬送電界形成手段と、を備える現像剤搬送体である。
更に、前記搬送面は、
前記現像剤と接触することにより同現像剤を帯電させるとともに、前記上流領域から前記下流領域へ向かう方向である現像剤搬送方向における下流側の端部が前記最接近位置を含む所定領域内に位置する第1の構成面と、
前記現像剤搬送方向にて前記第1の構成面よりも下流側の領域であって同第1の構成面に隣接した隣接領域に配置されるとともに、同隣接領域に同第1の構成面が配置されたと仮定した場合よりも同隣接領域における前記現像剤の帯電量の絶対値を小さくする第2の構成面と、を含む。
これによれば、第1の構成面は、現像剤搬送方向における下流側の端部が最接近位置近傍に位置するように配置され、同第1の構成面に続いて第2の構成面が配置される。そして、第1の構成面が配置された領域(第1領域)を現像剤が通過する際に同現像剤が同第1の構成面と接触することにより、同現像剤は帯電させられる。この現像剤は、最接近位置近傍において、潜像形成面の電位と搬送面の電位との間の差(電位差)により生じる比較的強い電界と、現像剤の電荷(帯電量)と、に基づく静電力によって同潜像形成面に向けて移動させられる。そして、現像剤が同潜像形成面に到達して付着することにより同潜像形成面上に現像剤による像が形成される。
一方、第2の構成面が配置された領域(第2領域)においては、第1の構成面が配置されたと仮定した場合と比較して、現像剤の帯電量の絶対値は小さくなる。従って、第1領域において現像剤の帯電量の絶対値が比較的大きくされても、第2領域においては、現像剤が搬送面に付着すること及び現像剤が凝集することを抑制することができるので、搬送面上の現像剤をスムーズに搬送することができる。この結果、最接近位置近傍において現像剤が不均一に分布することを防止することができ、潜像形成面上に現像剤により形成される像の質が低下することを防止することができる。
換言すると、第1領域において、現像剤の帯電量の絶対値を大きくできるので、上記静電力以外の力(外乱力)にかかわらず、現像剤を上記静電力の向きに移動させることができる。その結果、現像剤を潜像形成面のうちの静電潜像に応じた適切な位置にて同潜像形成面に付着させることができる。即ち、潜像形成面上に現像剤により形成される像の質を高めることができる。
この場合、前記第1の構成面の前記現像剤搬送方向における下流側の端部は、
前記搬送面と前記潜像形成面との間の距離が最短となる同潜像形成面上の位置と前記最接近位置とを通る投影方向にて、前記潜像担持体を同搬送面に対して投影することにより同搬送面上に形成される投影領域内に位置することが好適である。
搬送面と潜像形成面との間の距離が比較的短くなる領域にて、潜像形成面の電位と搬送面の電位との間の差により生じる電界は比較的強くなる。また、上記投影領域は、搬送面から潜像形成面までの距離が比較的短い領域である。従って、投影領域内の現像剤は、搬送面から潜像形成面に向けて移動させられやすい。
そこで、上記構成のように、第1の構成面の現像剤搬送方向における下流側の端部を投影領域内に位置させることにより、少なくとも同投影領域の一部において、現像剤の帯電量の絶対値を比較的大きくすることができる。この帯電量の絶対値が大きい現像剤が同潜像形成面に到達して付着することにより、同潜像形成面上に現像剤により形成される像の質を高めることができる。
更に、投影領域よりも現像剤搬送方向における下流側の領域においては、第2の構成面が配置されることになるから、第1の構成面が配置されたと仮定した場合と比較して、現像剤の帯電量の絶対値は小さくなる。この結果、現像剤が搬送面に付着すること及び現像剤が凝集することを抑制することができるので、搬送面上の現像剤をスムーズに搬送することができる。
この場合、前記現像剤搬送体は、貫通した現像剤通過孔が形成された孔形成壁を有する筐体に収容され、
前記孔形成壁は、前記現像剤通過孔が前記搬送面と対向するように、且つ、同搬送面と前記潜像形成面との間の距離が最短となる同潜像形成面上の位置と前記最接近位置とを通る直線が同現像剤通過孔を通過するように、同潜像形成面と同搬送面との間に配置され、
前記第1の構成面の前記現像剤搬送方向における下流側の端部は、前記搬送面が前記現像剤通過孔と対向している現像剤通過孔対向領域(前記現像剤通過孔を前記投影方向にて前記搬送面に対して投影することにより同搬送面上に形成される領域)内に位置することが好適である。
上記現像剤通過孔対向領域は、上記投影領域と同様に、搬送面から潜像形成面までの距離が比較的短い領域である。従って、現像剤通過孔対向領域においては、潜像形成面の電位と搬送面の電位との間の差により生じる電界が比較的強くなるから、現像剤は、搬送面から潜像形成面に向けて移動させられやすい。
更に、現像剤通過孔対向領域内の現像剤が潜像形成面へ向けて移動する際、現像剤の移動は筐体の孔形成壁により阻止されない。そこで、上記構成のように、第1の構成面の現像剤搬送方向における下流側の端部を現像剤通過孔対向領域内に位置させることにより、少なくとも同現像剤通過孔対向領域の一部において、現像剤の帯電量の絶対値を比較的大きくすることができる。この帯電量の絶対値が大きい現像剤が、現像剤通過孔を通過し、潜像形成面に到達して付着することにより、潜像形成面上に現像剤により形成される像の質を高めることができる。
この場合、前記第1の構成面の前記現像剤搬送方向における下流側の端部は、
前記最接近位置又は同最接近位置よりも前記現像剤搬送方向における下流側に位置することが好適である。
最接近位置においては、搬送面と潜像形成面との間の距離が最も短くなるので、潜像形成面の電位と搬送面の電位との間の差により生じる電界は最も強くなる。従って、最接近位置の近傍においては、現像剤が搬送面から潜像形成面に向けて移動させられやすい。
そこで、上記構成のように、第1の構成面の現像剤搬送方向における下流側の端部を最接近位置又は同最接近位置よりも現像剤搬送方向における下流側に位置させることにより、少なくとも同最接近位置において、現像剤の帯電量の絶対値を比較的大きくすることができる。この帯電量の絶対値が大きい現像剤が同潜像形成面に到達して付着することにより、同潜像形成面上に現像剤により形成される像の質を高めることができる。
この場合、前記基材は、その表面に形成された表面膜により前記第1の構成面及び前記第2の構成面のうちの少なくとも一方を構成してなることが好適である。
これによれば、現像剤を帯電させる程度(帯電特性)が1つの部材(基材)上の位置によって異なる搬送面を容易に作成することができる。
また、本発明の目的の他の一つは、潜像形成面上に現像剤により形成される像の質を高めることが可能なプロセスユニットを提供することにある。
かかる目的を達成するため本発明に係るプロセスユニットは、
上述した現像剤搬送体のうちのいずれかと、
前記潜像担持体と、
を備え、前記搬送される現像剤を前記潜像形成面に供給することにより同潜像形成面上に同現像剤による像を形成するプロセスユニットである。
これによれば、上述したように、第1の構成面が配置された領域(第1領域)において、現像剤の帯電量の絶対値を比較的大きくすることができる。従って、上記静電力以外の力(外乱力)にかかわらず、現像剤を同静電力の向きに移動させることができるので、現像剤を潜像形成面のうちの静電潜像に応じた適切な位置にて同潜像形成面に付着させることができる。即ち、潜像形成面上に現像剤により形成される像の質を高めることができる。
一方、第2の構成面が配置された領域(第2領域)においては、第1の構成面が配置されたと仮定した場合と比較して、現像剤の帯電量の絶対値は小さくなる。従って、第2領域においては、現像剤が搬送面に付着すること及び現像剤が凝集することを抑制することができるので、搬送面上の現像剤をスムーズに搬送することができる。
以上のように、本プロセスユニットによれば、静電潜像に従って潜像形成面上に現像剤により形成される像の質を高めることができる。
一方、本発明の目的の他の一つは、記録媒体上に形成される像の質を高めることが可能な画像形成装置を提供することにある。
かかる目的を達成するため本発明に係る画像形成装置は、
上述した現像剤搬送体のうちのいずれかと、
前記潜像担持体と、
前記現像剤を前記潜像形成面の所定位置に静電力により付着させるための前記静電潜像を同潜像形成面に形成する静電潜像形成手段と、
前記潜像形成面上に形成された前記現像剤による像を記録媒体に転写することにより同記録媒体上に像を形成する画像形成手段と、
を備える画像形成装置である。
これによれば、上述したように、潜像形成面上に現像剤により形成される像の質を高めることができるから、その像を記録媒体に転写することにより記録媒体上に形成される像の質も高めることができる。
<構成>
以下、本発明の実施形態に係る現像剤搬送体を備えるプロセスユニットについて、図面を参照しながら説明する。このプロセスユニットは、図1に概略側断面を示したモノクロ印刷を行うレーザプリンタ(画像形成装置)10に適用される。
レーザプリンタ10は、図1に示したように、一対のレジストローラ21,22と、潜像担持体としての感光体ドラム31と、トナーボックス32と、帯電器41と、スキャナユニット42と、転写ローラ51と、を含んでいる。なお、感光体ドラム31と、トナーボックス32と、はプロセスユニットを構成している。また、帯電器41と、スキャナユニット42と、は静電潜像形成手段を構成している。
レーザプリンタ10は、図示しない給紙トレイ内に用紙Pを積み重ねた状態にて収容している。レーザプリンタ10は、その収容された用紙Pを1枚ずつレジストローラ21,22に向けて送り出すようになっている。レジストローラ21,22は、送られてきた用紙Pを所定のタイミングにて感光体ドラム31と転写ローラ51との間に向けて送り出すようになっている。
感光体ドラム31は、図2にてその一部を示したように、Z軸と平行な中心軸Cを有する円筒状のドラム本体31aと、ドラム本体31aの周面(側面)に形成された感光層31bと、からなる。ドラム本体31aは、導電性材料(本例では、金属)からなり、所定のバイアスが印加されている(本例では、電位が0Vとなるように接地されている)。感光層31bは、負帯電性の感光体からなる(本例では、ポリカーボネートを主成分とした材料からなる)。即ち、感光層31bは、負極性に略均一に帯電(負帯電)している状態において露光されたとき、露光された部分が感光してその露光された部分の帯電量の絶対値(大きさ)を減少させる感光層である。感光体ドラム31は、図1及び図2における反時計方向に回転するようになっている。なお、感光層31bの外径側の表面は、本明細書において潜像形成面LSとも呼ばれる面である。
トナーボックス32は、図2に拡大して示したように、筐体32aを備えていて、更に、筐体32aの内部に現像剤搬送体33と、攪拌子34と、を備えている。
筐体32aは、1つの頂板(孔形成壁)32b、1つの底板32c及び4つの側板32d(図2においてはこのうちの2つの側板32dのみが示されている。)を有する略直方体の箱状の部材である。筐体32aは、その頂板32bがX軸及びX軸と直交するZ軸を含む平面(X−Z平面)と平行になるとともに潜像形成面LSと対向するように配置されている。
頂板32bには、正面視においてZ軸方向(感光体ドラム31の中心軸方向)における感光体ドラム31の長さと略同じ長さの長辺であってZ軸と平行な長辺を有するとともにX軸と平行な短辺を有する長方形状を有し、且つ、X軸及びZ軸の両軸と直交するY軸方向に貫通した現像剤通過孔32eが形成されている。頂板32bの外側の面(潜像形成面LSと対向している面である潜像対向面)FSを含む平面における現像剤通過孔32eの短辺の中心は、潜像対向面FSを含む平面と潜像形成面LSとの間のY軸方向における距離が最短となる潜像対向面FSを含む平面上の位置と一致している。
底板32cは、X軸負方向に向けてY軸負方向に傾斜している。筐体32aの内部には、ポリエステルを主成分とする現像剤(本例では、非磁性1成分の重合トナー)であって黒色の現像剤Tが充填されている。
現像剤搬送体33は、所定の厚さを有する板状の部材である。現像剤搬送体33は、その一部が現像剤通過孔32eと対向するように配置されている。現像剤搬送体33は、中央構成部33aと、上流側構成部33bと、下流側構成部33cと、からなる。
中央構成部33aは、正面視において、感光体ドラム31の長さと略同じ長さの長辺であってZ軸と平行な長辺を有するとともに感光体ドラム31の直径よりも長い短辺であってX軸と平行な短辺を有する長方形状を有している。中央構成部33aは、X軸方向における中心が現像剤通過孔32eのX軸方向における中心と一致するように、頂板32bの内側の面(搬送体対向面)GSと平行に且つ搬送体対向面GSと対向するように配置されている。これにより、中央構成部33aの一部は、現像剤通過孔32eと対向している。
上流側構成部33bは、中央構成部33aのX軸負方向側の端部からX軸負方向に向けて延設されている。上流側構成部33bは、X軸負方向に向けてY軸負方向に傾斜している。上流側構成部33bのX軸負方向側の端部は、筐体32aの底板32cの内側の面(トナーボックス32の底板上面)32c1の近傍であって筐体32aのX軸負方向側の側板32dの近傍(即ち、筐体32aの最深部近傍)まで伸びている。これにより、上流側構成部33bのX軸負方向側端部は、現像剤Tの量が僅かになった場合であっても、現像剤Tの中に埋没するようになっている。
下流側構成部33cは、中央構成部33aのX軸正方向側の端部からX軸正方向に向けて延設されている。下流側構成部33cは、X軸正方向に向けてY軸負方向に傾斜している。下流側構成部33cのX軸正方向側の端部は、トナーボックス32の底板上面32c1の近傍であって筐体32aのX軸正方向側の側板32dの近傍(即ち、筐体32aの最浅部近傍)まで伸びている。
現像剤搬送体33は、図3にその一部を拡大して示したように、各層が所定の厚さを有する3つの層からなる3層構造を有している。即ち、現像剤搬送体33は、潜像形成面LSから最も遠い層(最下層)を構成する基板33dと、基板33dに次いで潜像形成面LSから遠い層(中間層)を構成する電極形成層33eと、潜像形成面LSと最も近い層(最上層)を構成する表面膜33fと、からなる。
基板33dは、絶縁性材料(本例では、絶縁性の樹脂)からなる。
電極形成層33eは、搬送電界形成手段の一部を構成する複数の電極33e1(又は、EA,EB,EC,ED)と、電極間絶縁体33e2と、からなる。
複数の電極33e1は、導電性材料(本例では、金属)からなる。各電極33e1は、平面視においてZ軸と平行な長辺を有するとともにZ軸と直交する方向であって基板33dの潜像形成面LS側の面に沿った方向である基板面方向(図3に示した中央構成部33aの場合、X軸方向)に伸びる短辺を有する長方形状を有し、且つ、所定の高さを有する略直方体状である。電極33e1は、基板33dの潜像形成面LS側の面上において、その基板面方向にて等間隔に配置されている。
各電極33e1には、電源回路VA〜VDのいずれか1つがX軸正方向に進むにつれて順に繰り返し接続されている。即ち、電源回路VAが接続された電極33e1(電極EA)のX軸正方向側にて隣接する電極33e1(電極EB)には、電源回路VBが接続されている。電極EBのX軸正方向側にて隣接する電極33e1(電極EC)には、電源回路VCが接続されている。電極ECのX軸正方向側にて隣接する電極33e1(電極ED)には、電源回路VDが接続されている。電極EDのX軸正方向側にて隣接する電極33e1(電極EA)には、電源回路VAが接続されている。
電極間絶縁体33e2は、絶縁性材料(本例では、絶縁性の樹脂)からなる。電極間絶縁体33e2は、2つの互いに隣接する電極33e1の間に充填されている。電極間絶縁体33e2の上面は、電極33e1の上面と同一の面を構成している。このような構成により、電極間絶縁体33e2は、隣接する電極33e1同士が短絡することを防止する。
表面膜33fは、中間層としての電極形成層33e(電極33e1及び電極間絶縁体33e2)の潜像形成面LS側の面上に塗布されることにより同面上に形成された表面膜である。なお、表面膜33fの潜像形成面LS側の面である搬送面TSのうちの現像剤通過孔32eと対向している部分は、潜像形成面LSとも対向している。
表面膜33fは、第1の構成面としての上流側表面膜33f1と、第2の構成面としての下流側表面膜33f2と、からなる。
上流側表面膜33f1は、現像剤搬送体33の現像剤搬送方向における上流側(X軸負方向側)の端部から、潜像形成面LSと搬送面TSとの間の(Y軸方向における)距離が最短となる搬送面TS上の位置である最接近位置P0まで、の部分を構成している。
ここで、現像剤搬送方向は、表面膜33fの潜像形成面LS側の面に沿った方向であって表面膜33fのX軸負方向側の端部からX軸正方向側の端部へ向かう方向である。
上流側表面膜33f1は、現像剤Tが有する帯電量の絶対値が比較的大きくなるように上流側表面膜33f1と現像剤Tとの間の摩擦(接触)により同現像剤Tを負極性に帯電(負帯電)させる(上流側表面膜33f1と現像剤Tとの間の摩擦により同現像剤Tを比較的強く負帯電させる)材料からなる。本例では、上流側表面膜33f1は、図4に示した摩擦帯電列において現像剤Tの主成分であるポリエステルよりも正の側に位置する材料としてのナイロンからなる。ここで、摩擦帯電列は、2種類の物質を互いに摩擦させた際に、正極性(+)に帯電する物質を正側に位置させるとともに、負極性(−)に帯電する物質を負側に位置させた系列である。
下流側表面膜33f2は、最接近位置P0から現像剤搬送体33の現像剤搬送方向における下流側(X軸正方向側)の端部までの部分を構成している。即ち、下流側表面膜33f2は、現像剤搬送方向において上流側表面膜33f1よりも下流側の領域であって上流側表面膜33f1に隣接した隣接領域に配置されている。
下流側表面膜33f2は、上記隣接領域に上流側表面膜33f1が配置されたと仮定した場合よりも同隣接領域における現像剤Tの帯電量の絶対値を小さくする材料からなる。本例では、下流側表面膜33f2は、現像剤Tの主成分であるポリエステルからなる。
このように、電極形成層33e(電極33e1及び電極間絶縁体33e2)の潜像形成面LS側の面上に上流側表面膜33f1及び下流側表面膜33f2を形成することにより、現像剤Tを帯電させる程度(帯電特性)が1つの部材(基板33dと、電極間絶縁体33e2と、表面膜33fと、からなる基材)上の位置によって異なる搬送面TSを容易に作成することができる。
再び図2を参照すると、攪拌子34は、現像剤搬送体33のX軸負方向側の端部の近傍であって、トナーボックス32の底板上面32c1の近傍に配置されている。攪拌子34は、現像剤Tを攪拌して流動させることにより現像剤Tと上流側構成部33bの上流側表面膜33f1とを摩擦させるようになっている。
再び図1を参照すると、帯電器41は、潜像形成面LSと対向するように配置されている。帯電器41は、図示しないバイアス用回路に接続されていて、バイアスが印加されることにより潜像形成面LSを一様に負帯電させる負帯電用の帯電器(本例では、スコロトロン型の帯電器)である。
スキャナユニット42は、図示しないレーザ発光部を備えていて、そのレーザ発光部により画像データに基づいてレーザビームLBを生成するようになっている。スキャナユニット42は、生成されたレーザビームLBを、潜像形成面LS上の位置であって帯電器41よりも感光体ドラム31の回転方向(図1における反時計方向)における下流側の位置且つトナーボックス32よりも上流側の位置にて結像させる(露光する)ようになっている。更に、スキャナユニット42は、潜像形成面LS上にてレーザビームLBが結像される位置をZ軸と略平行な所定の走査方向において等速度にて移動させる(走査する)ようになっている。
転写ローラ51は、図1における時計方向に回転するようになっている。転写ローラ51の周面は、感光体ドラム31の潜像形成面LSと当接するように配置されている。転写ローラ51は、図示しないバイアス用回路に接続されていて、バイアスが印加されることにより、用紙Pが転写ローラ51の周面と潜像形成面LSとの間に挟まれた状態において潜像形成面LS上に付着している現像剤Tを用紙Pの表面上に転写させるようになっている。なお、転写ローラ51は、画像形成手段の一部を構成している。
更に、レーザプリンタ10は、図示しない定着部と、排紙部と、制御部と、を備えている。
定着部は、現像剤Tが転写された用紙Pを加熱しながら加圧することにより、同現像剤Tを用紙P上に定着させるようになっている。なお、定着部は、画像形成手段の一部を構成している。
排紙部は、排紙トレイを備えていて、定着部を通過した用紙Pを排紙トレイへ向けて搬送するとともに、搬送された用紙Pを排紙トレイ内に保持するようになっている。
制御部は、レーザプリンタ10の各可動部を駆動するための各種のモータ、アクチュエータ及びセンサ等、スキャナユニット42に備えられたレーザ発光部、各種のバイアス用回路並びに各種の電源回路と電気的に接続されていて、これらに対して所定のタイミングにて指示信号を送出するようになっている。
<作動>
次に、上記のように構成されたレーザプリンタ10の作動について、ユーザがレーザプリンタ10に対して画像データを含む印刷指示信号を送出した時点から説明する。
制御部が印刷指示信号を受信すると、制御部は、感光体ドラム31と、転写ローラ51と、を回転している状態(回転状態)に制御する。更に、制御部は、帯電器41を所定の帯電バイアス(本例では、−5000V)が印加されている状態(バイアス印加状態)に制御する。これにより、潜像形成面LS(感光体ドラム31の周面)のうちの帯電器41と対向している部分は、負極性に帯電(負帯電)される。そして、感光体ドラム31が回転することにより、潜像形成面LSのうちの帯電器41よりも感光体ドラム31の回転方向(図1における反時計方向)における下流側の部分は、一様に負帯電する。即ち、潜像形成面LSの電位は、同部分内のすべての位置において所定の負の基準電位(本例では、−1000V)となる。加えて、制御部は、転写ローラ51を所定の転写バイアス(本例では、+5000V)が印加されている状態(バイアス印加状態)に制御する。
また、制御部は、攪拌子34を回転している状態(回転状態)に制御する。これにより、現像剤Tと上流側構成部33bの上流側表面膜33f1とが摩擦することにより、現像剤Tが負極性に帯電させられる。また、上述したように、現像剤搬送体33の(上流側構成部33bの)現像剤搬送方向における上流側(X軸負方向側)の端部が現像剤Tの中に埋没しているので、トナーボックス32の底板上面32c1上に貯留されている現像剤Tは、搬送面TS上に常に供給される。
更に、制御部は、現像剤搬送体33の電極33e1に接続された各電源回路VA〜VDに電力を供給することにより、図5に示したように、各電源回路VA〜VDにおいて、所定の負の電圧(本例では、−500V)を平均電圧とする一定周期の矩形状波形を有する電圧を発生させる。ここで、各電源回路VA〜VDが発生する電圧の波形は、位相が90°ずつ異なっている。即ち、電源回路VAから電源回路VDに向かう順に電圧の位相は、90°ずつ遅れている。なお、電源回路VA〜VDにおいて発生する電圧は、搬送電界形成手段の一部を構成している。
これにより、例えば、時点t1においては、図6の(A)に示したように、電極EAの方が電極EBよりも低電位であるので、電極EAと電極EBとの間の搬送面TS上の空間にて現像剤搬送方向と逆向き(X軸負方向)の電界EF1が形成される。これにより、同空間内に位置する負帯電した現像剤Tは、現像剤搬送方向(X軸正方向)の静電力を受けるから現像剤搬送方向に移動させられる。
また、電極EBと電極ECとが等電位であるので、電極EBと電極ECとの間の搬送面TS上の空間にて現像剤搬送方向及び現像剤搬送方向と逆向きの方向の両方向(現像剤往来方向、即ち、X軸方向)の電界は比較的弱い。従って、同空間内にて現像剤Tは、現像剤往来方向の静電力を殆ど受けない。
また、電極ECの方が電極EDよりも高電位であるので、電極ECと電極EDとの間の搬送面TS上の空間にて現像剤搬送方向(X軸正方向)の電界EF2が形成される。これにより、同空間内に位置する負帯電した現像剤Tは、現像剤搬送方向と逆向き(X軸負方向)の静電力を受けるから現像剤搬送方向と逆向きに移動させられる。
更に、電極EDと電極EAとが等電位であるので、電極EDと電極EAとの間の搬送面TS上の空間にて現像剤往来方向の電界は比較的弱い。従って、同空間内にて現像剤Tは、現像剤往来方向の静電力を殆ど受けない。
以上により、時点t1においては、負帯電した現像剤Tが電極EBと電極ECとの間の搬送面TS上の空間内に集められる。
同様に、時点t2においては、図6の(B)に示したように、負帯電した現像剤Tが電極ECと電極EDとの間の搬送面TS上の空間内に集められる。
また、時点t3においては、図6の(C)に示したように、負帯電した現像剤Tが電極EDと電極EAとの間の搬送面TS上の空間内に集められる。
このように、負帯電した現像剤Tが集められる領域が時間の経過に伴って、搬送面TSに沿って現像剤搬送方向(X軸正方向)に移動していく。従って、負帯電した現像剤Tは、時間の経過に伴って、現像剤搬送方向に移動させられる。
このようにして、搬送面TS上に供給された現像剤Tのうちの負帯電した現像剤Tは、搬送面TSの現像剤搬送方向と逆向き(X軸負方向)側の端部(所定の上流領域)から搬送面TSの現像剤搬送方向(X軸正方向)側の端部(所定の下流領域)へ向けて同搬送面TS上を搬送される。
このとき、上述したように、現像剤搬送体33の現像剤搬送方向における上流側の端部から最接近位置P0までの表面膜33fである上流側表面膜33f1は、現像剤Tとの間の摩擦により現像剤Tを比較的強く負帯電させる材料である。従って、現像剤Tが搬送面TS上を上記端部から最接近位置P0まで搬送される間に、現像剤Tは比較的強く負帯電させられる。その結果、最接近位置P0の近傍における現像剤Tの帯電量の絶対値は比較的大きくなる。
ところで、制御部が印刷指示信号を受信した直後の時点では、潜像形成面LSの電位は、いずれの位置においても基準電位(−1000V)である。一方、電極33e1の電位は、基準電位よりも高い電位(−550V〜−450V)である。従って、電極33e1と潜像形成面LSとの間には、潜像形成面LS内のいずれの位置に対しても電極33e1から潜像形成面LSへ向かう電界が形成される。その結果、負帯電した現像剤Tは、潜像形成面LSから搬送面TSへ向かう静電力を受ける。この結果、現像剤Tは、潜像形成面LSへ向けて移動することなく搬送面TS上を移動する。
更に、上述したように、最接近位置P0から現像剤搬送体33の現像剤搬送方向における下流側の端部までの表面膜33fである下流側表面膜33f2は、現像剤Tの主成分と同じ材料からなっている。従って、現像剤Tが最接近位置P0を通過した後は、現像剤Tと下流側表面膜33f2との間の摩擦により現像剤Tの帯電量の絶対値が増加することはない。即ち、現像剤Tが最接近位置P0を通過した後は、下流側表面膜33f2に代えて上流側表面膜33f1が配置されたと仮定した場合よりも帯電量の絶対値が小さくなる。この結果、現像剤Tが搬送面TSに付着すること及び現像剤Tが凝集することを抑制することができるので、同仮定した場合よりも搬送面TS上の現像剤Tをスムーズに搬送することができる。
そして、現像剤Tが搬送面TSの現像剤搬送方向における下流側の端部に到達すると、現像剤Tは同端部からトナーボックス32の底板上面32c1上へ戻される。
このような状態において、制御部は、所定のタイミングにて、スキャナユニット42により画像データに基づいてレーザビームLBを出力させる。出力されたレーザビームLBは、潜像形成面LS上の画像データに対応した位置にて結像する。これにより、潜像形成面LSは、レーザビームLBが結像した位置にて感光して同位置における帯電量の絶対値が減少する。その結果、感光した位置にて潜像形成面LSの電位が上昇して基準電位(−1000V)よりもドラム本体31aの電位(0V)に近い電位(本例では、−100V)となる。このようにして、潜像形成面LSの電位による静電潜像が潜像形成面LS上に形成される。
図7に示したように、搬送面TSと潜像形成面LSとの間の距離が最短となる潜像形成面LS上の位置P1と最接近位置P0とを通る投影方向(即ち、Y軸方向)にて感光体ドラム31を搬送面TSに対して投影することにより搬送面TS上に形成される投影領域A1においては、搬送面TSと潜像形成面LSとの間の距離が比較的短くなる。特に、最接近位置P0においては、搬送面TSと潜像形成面LSとの間の距離が最短となる。
また、本例のように現像剤搬送体33が筐体32aに収容されている場合、上記投影領域A1のうちの搬送面TSが現像剤通過孔32eと対向している図8に示した現像剤通過孔対向領域A2においては、現像剤Tが搬送面TSから潜像形成面LSへ向けて移動する際に筐体32aの頂板(孔形成壁)32bにより現像剤Tの移動が阻止されない。
従って、感光体ドラム31が回転することにより、形成された静電潜像が潜像対向面FS(頂板32b)に形成された現像剤通過孔32eと対向すると、静電潜像のうちのレーザビームLBにより感光させられた位置(露光された位置)に対して潜像形成面LSから電極33e1(即ち、搬送面TS)へ向かう電界の大きさが比較的大きくなる(電界が比較的強くなる。)。更に、搬送面TSから潜像形成面LSへの現像剤Tの移動が頂板32bにより阻止されない。その結果、現像剤Tは、この電界と、同現像剤Tの電荷(帯電量)と、に基づく静電力によって搬送面TSから潜像形成面LSへ向けて移動し、現像剤通過孔32eを通過して潜像形成面LSに到達する。即ち、現像剤Tが潜像形成面LSに供給される。
そして、潜像形成面LSに到達した現像剤Tは、潜像形成面LSのうちのレーザビームLBにより感光させられた(露光された)位置のみに付着する。このようにして、潜像形成面LS上に形成された静電潜像が現像剤Tにより現像されて潜像形成面LS上に現像剤Tによる像が形成される。
また、上述したように、上流側表面膜33f1の現像剤搬送方向における下流側の端部は、最接近位置P0に位置している。従って、搬送面TS上を搬送されて最接近位置P0近傍に到達した現像剤Tの帯電量の絶対値は十分に大きくされている。これにより、上記静電力以外の力(外乱力)にかかわらず、現像剤Tを同静電力の向きに移動させることができる。従って、現像剤Tを潜像形成面LSのうちの静電潜像に応じた適切な位置にて潜像形成面LSに付着させることができる。即ち、潜像形成面LS上に現像剤Tにより形成される像の質を高めることができる。
また、制御部は、レジストローラ21,22を制御することにより、潜像形成面LS上に形成された現像剤Tによる像と、同像を転写すべき用紙P上の位置と、を適合させる所定のタイミングにて用紙Pを感光体ドラム31と転写ローラ51との間に向けて搬送する。
そして、用紙Pが転写処理位置(潜像形成面LSと転写ローラ51の周面とが当接する位置)に到達する(用紙Pが感光体ドラム31の潜像形成面LSと、転写ローラ51の周面と、の間に挟まれる)と、同転写処理位置にて潜像形成面LS上に付着していた現像剤Tは、用紙P上に移動して同用紙Pに付着する。このようにして、潜像形成面LS上に現像された現像剤Tによる像が、用紙P上に転写される。
次に、用紙Pが定着部に到達すると、用紙P上に転写された現像剤Tは、加熱されるとともに加圧される。その結果、用紙P上に転写された現像剤Tは、用紙P上に定着させられる。
その後、用紙Pが搬送されて排紙部に到達すると、用紙Pは、排紙トレイに向けて排出される。
用紙Pの排出が完了すると、制御部は、回転状態に制御されている感光体ドラム31、攪拌子34及び転写ローラ51の回転を停止させる。更に、制御部は、バイアス印加状態に制御されている帯電器41及び転写ローラ51をバイアスが印加されていない状態(バイアス非印加状態)に制御する。
このようにして、レーザプリンタ10は、ユーザにより送出された印刷指示信号が含む画像データにより表される像(画像)を用紙P上に形成する(用紙Pに印刷する)。
以上、説明したように、本発明による現像剤搬送体の実施形態によれば、上流側表面膜33f1(第1の構成面)が配置された領域(第1領域)において、現像剤Tの帯電量の絶対値を比較的大きくすることができる。従って、上記静電力以外の力(外乱力)にかかわらず、現像剤Tを同静電力の向きに移動させることができるので、現像剤Tを潜像形成面LSのうちの静電潜像に応じた適切な位置にて潜像形成面LSに付着させることができる。即ち、潜像形成面LS上に現像剤Tにより形成される像の質を高めることができる。
一方、下流側表面膜33f2(第2の構成面)が配置された領域(第2領域)においては、上流側表面膜33f1が配置されたと仮定した場合と比較して、現像剤Tの帯電量の絶対値は小さくなる。従って、第2領域においては、現像剤Tが搬送面TSに付着すること及び現像剤Tが凝集することを抑制することができるので、搬送面TS上の現像剤Tをスムーズに搬送することができる。
以上のように、本現像剤搬送体によれば、静電潜像に従って潜像形成面LS上に現像剤Tにより形成される像の質を高めることができる。更に、その像を用紙P(記録媒体)に転写することにより用紙P上に形成される像の質も高めることができる。
加えて、上記実施形態によれば、上流側表面膜33f1の現像剤搬送方向における下流側の端部が最接近位置P0に位置しているので、潜像形成面LSと搬送面TSとの間の距離が短くなることにより潜像形成面LSの電位と搬送面TSの電位との間の差(電位差)により生じる電界が比較的強くなる領域における現像剤Tの帯電量の絶対値を確実に大きくすることができる。この結果、潜像形成面LS上に現像剤Tにより形成される像の質をより確実に高めることができる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、上記実施形態における現像剤搬送体は、プロセスユニット及びスキャナユニットの組を複数備え、カラー印刷を行うことが可能なレーザプリンタに適用されてもよい。
また、上記実施形態は、上流側表面膜33f1の現像剤搬送方向における下流側(X軸正方向側)の端部が最接近位置P0に位置するように構成されていたが、最接近位置P0を含む所定領域内に位置するように構成されていればよく、最接近位置P0よりも上流側又は下流側に位置するように構成されていてもよい。
例えば、上流側表面膜33f1の現像剤搬送方向における下流側の端部が位置する所定領域は、現像剤Tが潜像形成面LSに向かって移動するために搬送面TSを離れる領域であることが好適である。この場合、潜像形成面LSに向けて移動させられる現像剤Tの帯電量の絶対値をより確実に大きくすることができるとともに、その領域よりも下流側においては、現像剤Tを確実にスムーズに搬送することができる。この結果、潜像形成面LS上に現像剤Tにより形成される像の質をより確実に高めることができる。
また、所定領域は、図7に示した投影領域A1や図8に示した現像剤通過孔対向領域A2であることが好適である。上述したように、投影領域A1においては、現像剤Tを搬送面TSから潜像形成面LSに向けて移動させるための電界が強くなる。また、現像剤通過孔対向領域A2においては、現像剤Tを搬送面TSから潜像形成面LSに向けて移動させるための電界が一層強くなるとともに現像剤Tが搬送面TSから潜像形成面LSに向けて移動する際にその移動が阻止されない。従って、これらの領域は、現像剤Tが潜像形成面LSに向かって移動するために搬送面TSを離れる領域と略対応している。従って、この場合においても、潜像形成面LSに向けて移動させられる現像剤Tの帯電量の絶対値をより確実に大きくすることができるとともに、その領域よりも下流側においては、現像剤Tを確実にスムーズに搬送することができる。この結果、潜像形成面LS上に現像剤Tにより形成される像の質をより確実に高めることができる。
一方、上記実施形態においては、搬送面TSは、材料が互いに異なる2種類の表面膜(上流側表面膜33f1及び下流側表面膜33f2)からなっていたが、材料が互いに異なる3種類以上の表面膜からなっていてもよい。
この場合、例えば、図9に示したように、現像剤搬送体33は、表面膜33fに代えて表面膜101を備える。表面膜101は、現像剤搬送体33の現像剤搬送方向における上流側の端部から現像剤通過孔対向領域(搬送面TSが現像剤通過孔32eと対向している搬送面TS上の領域)A2における最も上流側の位置までの部分を構成する上流側表面膜101aと、現像剤通過孔対向領域A2の最も上流側の位置から現像剤通過孔対向領域A2の最も下流側の位置までの部分を構成する中央部表面膜101bと、現像剤通過孔対向領域A2の最も下流側の位置から現像剤搬送体33の現像剤搬送方向における下流側の端部までの部分を構成する下流側表面膜101cと、からなる。
上流側表面膜101aは、現像剤Tと接触することにより同現像剤Tを帯電させる材料からなる。中央部表面膜101bは、中央部表面膜101bが配置された領域に上流側表面膜101aが配置されたと仮定した場合よりも同領域における現像剤Tの帯電量の絶対値を小さくする材料からなる。下流側表面膜101cは、下流側表面膜101cが配置された領域に中央部表面膜101bが配置されたと仮定した場合よりも同領域における現像剤Tの帯電量の絶対値を小さくする材料からなる。この場合、上流側表面膜101aが第1の構成面を構成するとともに中央部表面膜101bが第2の構成面を構成すると言うこともでき、中央部表面膜101bが第1の構成面を構成するとともに下流側表面膜101cが第2の構成面を構成すると言うこともできる。
なお、中央部表面膜101bは、中央部表面膜101bが配置された領域に上流側表面膜101aが配置されたと仮定した場合よりも同領域における現像剤Tの帯電量の絶対値を大きくする材料からなっていてもよい。この場合、中央部表面膜101bが第1の構成面を構成するとともに、下流側表面膜101cが第2の構成面を構成すると言うことができる。
また、上記実施形態においては、下流側表面膜33f2は、現像剤Tの主成分と同じ材料からなっていたが、下流側表面膜33f2に代えて上流側表面膜33f1が配置されたと仮定した場合よりも現像剤Tの帯電量の絶対値が小さくなるように下流側表面膜33f2と現像剤Tとの間の摩擦により同現像剤Tを負帯電させる(下流側表面膜33f2と現像剤Tとの間の摩擦により同現像剤Tを上流側表面膜33f1よりも弱く負帯電させる)材料からなっていてもよい。例えば、下流側表面膜33f2は、図4に示した摩擦帯電列において現像剤Tの主成分であるポリエステルよりも正の側であってナイロンよりも負の側に位置する材料としてのポリスチレンからなっていてもよい。
更に、上記実施形態においては、下流側表面膜33f2は、現像剤Tの主成分と同じ材料からなっていたが、下流側表面膜33f2に代えて上流側表面膜33f1が配置されたと仮定した場合よりも現像剤Tの帯電量の絶対値が小さくなるように下流側表面膜33f2と現像剤Tとの間の摩擦により同現像剤Tを正極性に帯電(正帯電)させる材料からなっていてもよい。例えば、下流側表面膜33f2は、図4に示した摩擦帯電列において現像剤Tの主成分であるポリエステルよりも負の側であってポリエステルの比較的近くに位置する材料としてのポリエチレン又はテフロン(登録商標)からなっていてもよい。
また、上記実施形態は、上流側表面膜33f1を構成する材料と下流側表面膜33f2を構成する材料とを相違させることにより、現像剤Tと搬送面TSとの間の摩擦により現像剤Tが帯電する程度(帯電特性)が両者間で相違するように構成されていたが、上流側表面膜33f1を構成する材料と下流側表面膜33f2を構成する材料とを同一の材料とするとともに、現像剤Tの帯電量を制御するための帯電制御剤を少なくとも一方の表面膜に混入することにより、或いは、少なくとも一方の表面膜の表面改質を行うことにより、両者の帯電特性が相違するように構成されていてもよい。
一方、上記実施形態は、現像剤Tと表面膜33fとの間の摩擦により現像剤Tが帯電する程度(帯電特性)に対して現像剤Tに混入された物質(例えば、現像剤Tの帯電量を制御するための帯電制御剤(荷電制御剤、CCA)や外添剤等)が与える影響が現像剤Tの主成分よりも大きい場合、混入された物質の材料と摩擦帯電列とに基づいて表面膜の材料を選択することが好適である。
また、上記実施形態は、現像剤Tが上流側表面膜33f1との間の摩擦により負帯電させられるように構成されていたが、正帯電させられるように構成されていてもよい。この場合、感光層31bが正帯電性の感光体からなるとともに、帯電器41及び転写ローラ51に印加されるバイアスの極性が上記実施形態の場合と逆の極性にされ、且つ、電源回路VA〜VDにおいて発生する電圧の極性も上記実施形態の場合と逆の極性にされることが好適である。加えて、この場合、上流側表面膜33f1は、現像剤Tが有する帯電量の絶対値が比較的大きくなるように上流側表面膜33f1と現像剤Tとの間の摩擦により同現像剤Tを正帯電させる材料からなるとともに、下流側表面膜33f2は、下流側表面膜33f2に代えて上流側表面膜33f1が配置されたと仮定した場合よりも現像剤Tが有する帯電量の絶対値を小さくする材料からなることが好適である。
一方、上記実施形態において、各電源回路VA〜VDが発生する電圧の波形は、矩形状波形であったが、正弦波状波形や三角状波形等の他の形状の波形であってもよい。
また、上記実施形態は、4つの電源回路VA〜VDを備えるとともに各電源回路VA〜VDが発生する電圧の位相が90°ずつ異なるように構成されていたが、3つの電源回路を備えるとともに各電源回路が発生する電圧の位相が120°ずつ異なるように構成されていてもよい。
更に、上記実施形態の搬送電界形成手段が形成する電界は、帯電した現像剤Tを搬送面TS上の所定の領域に集める電界であり且つその領域を搬送面TSに沿って現像剤搬送方向に移動させる電界であったが、搬送面TS上に供給される現像剤Tが最接近位置P0を通過するように同現像剤Tを現像剤搬送方向に搬送する電界であればどのような電界であってもよい。
10…レーザプリンタ、21,22…レジストローラ、31…感光体ドラム、31a…ドラム本体、31b…感光層、32…トナーボックス、32a…筐体、32b…頂板、32c…底板、32c1…底板上面、32d…側板、32e…現像剤通過孔、33…現像剤搬送体、33a…中央構成部、33b…上流側構成部、33c…下流側構成部、33d…基板、33e…電極形成層、33e1,EA,EB,EC,ED…電極、33e2…電極間絶縁体、33f…表面膜、33f1…上流側表面膜、33f2…下流側表面膜、34…攪拌子、41…帯電器、42…スキャナユニット、51…転写ローラ、101…表面膜、101a…上流側表面膜、101b…中央部表面膜、101c…下流側表面膜、A1…投影領域、A2…現像剤通過孔対向領域、C…中心軸、EF1,EF2…電界、FS…潜像対向面、GS…搬送体対向面、LB…レーザビーム、LS…潜像形成面、P…用紙、P0…最接近位置、P1…位置、T…現像剤、TS…搬送面、VA、VB,VC,VD…電源回路。