まず、本発明者らが行った実験について説明する。図1に示すように、ガラス基板1上にアルミニウムを蒸着することによって、p[μm]のピッチで移動方向に配列された複数の電極21、22、23・・・からなる電極バターン2を形成し、その上に保護層3として厚み約3[μm]、体積抵抗率約1010[Ω・cm]の樹脂コートを施したものを形成してトナー担持体としての基板4を構成し、この基板4の上には、帯電させたトナー層5を形成する。
このトナー層5は、基板4に対して図示しない二成分現像器によってベタ画像を薄層に現像することによって形成した。トナーはポリエステル系の粒径約6[μm]のものを使い、基板4上に薄層に形成された状態でのトナーの帯電量は約−22[μC/g]であった。この状態のトナー層5に対して、図2に示すように、奇数番目の電極21、23・・・の集合体である奇数番目電極群に交流電源6から交流電圧を印加する一方で、偶数番目の電極22・・・の集合体である偶数番目電極群に前記交流電圧とは逆位相の交流電圧を印加すると、トナー5は奇数番目電極群21、23・・・と偶数番目電極群22・・・を往復するような運動を行う。この現象を以下、フレア(あるいはフレア現象)と呼ぶ。また、フレア現象を引き起こしている状態をフレア状態という。
電極21、22、23・・・のピッチがそれぞれ50、100、200及び400[μm]である4種類の基板4を用いて、交流電源6から電極21、22、23・・・間に印加する交流電圧のプラス側ピーク値とマイナス側ピーク値との差分の絶対値であるVmax[V]を何点かに振りながら(変えながら)、フレアの活性度を高速度カメラで観察したところ、図3に示すような結果を得た。因みに、電極21、22、23・・・の幅と、電極21、22、23・・・の隣同士の距離は、電極21、22、23・・・のピッチの1/2となるようにした。
ここで、フレアの活性度とは、基板4の表面に張り付いて動かないトナーの様子を観察することで約5段階の官能評価により求められたものである。図3から、Vmaxやpの値に関わらず、Vmax[V]/p[μm]によってフレアの活性度がほぼ一義的に得られることが確認できる。そして、Vmax[V]/p[μm]>1の時にフレアが活性化し始めて、Vmax[V]/p[μm]>3ではフレアが完全に活性化していることが分かる。
また、基板4表面の電気的特性の影響を調べるために、基板4の表層3の体積抵抗率を何点か振って(変えて)、同様にフレア活性度を確認した。表層3に用いた材料はシリコーン系樹脂であり、そこに分散されるカーボン微粒子の量を変更することにより、107〜1014[Ω・cm]の体積抵抗率の保護層(厚みは約5[μm])3を形成した。代表的なものとして、電極21、22、23・・・のピッチが50[μm]のものを使って、上述と同様の実験をしたところ、図4に示す結果を得た。
この結果から、表層3の体積抵抗率が109〜1012[Ω・cm]の範囲にあることが適正であることが確認できる。これは、体積抵抗率が非常に高い表層3を用いると、飛翔を繰り返すトナーと表層3との摩擦によって基板4の表面が帯電したままになってしまう。そして、この帯電により、基板の表面電位が変動して、現像に寄与するバイアスを不安定にしてしまう。また、逆にあまりに表層3の導電性が高いと、電極21、22、23・・・間で電荷のリーク(ショート)が発生してしまうために、効率的なバイアス効果が得られなくなるからである。表層3は、基板4の表面に蓄積した電荷が電極群21、22、23・・・にうまく逃げられるように、適当な抵抗率(体積抵抗率で109〜1012[Ω・cm])となっている必要がある。なお、この体積抵抗率の最適範囲は、図2に示す装置を具備する実験設備を用いた実験によって得られたものである。図2に示す装置に代えて、図11に示す現像ローラ(詳細は後述する)を備える現像装置の場合には、最適範囲が前述のものと変わってくることもある。このような場合には、その現像装置における体積抵抗率の最適範囲を実験によって調べた上で、適切な体積抵抗率に調整することが望ましい。
本発明者らは、基板4の表面の摩擦帯電特性の影響を調べるために、表層3をシリコーン系樹脂及びフッ素系樹脂の2種類として上記と同様なフレア活性度観察を行った。表層3は、カーボン微粒子を微量分散させることにより、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂のいずれのコート層としても体積抵抗率を1011〜1012[Ω・cm]とした。交流電源6から電極21、22、23・・・に交番バイアスを印加してフレア活性度を観察すると、表層3がシリコーン系樹脂の場合は長時間フレア状態を維持していたが、表層3がフッ素系樹脂の場合は直ぐにフレアが消滅しトナーが基板4に張り付いたままとなってしまった。
観察後に、基板4上のトナーの帯電量を測定したところ、表層3がシリコーン系樹脂の場合には基板4上のトナーの帯電量は初期に比べて若干の低下がみられただけであったが、表層3がフッ素系樹脂の場合には基板4上のトナーの帯電量はトナーの電荷がほとんど無くなっていた。試しに、帯電していないトナーをそれぞれの表層3の表面に擦り付けてみたところ、表層3がシリコーン系樹脂の場合にはトナーが正規の極性の摩擦電荷を得られたのに対し、表層3がフッ素系樹脂の場合にはほとんど摩擦電荷を得られないばかりか若干逆の極性となっていた。つまり、フレア現象は、トナーと基板4の表面とが無数回衝突するプロセスであるため、表層3の材料はトナーの電荷を奪ってしまうものではなく、トナーに正規の電荷を与えられる材質であることが好ましいことが理解できる。これは材料の摩擦帯電系列に習うものであり、表層3の材料としては、例えばガラス系のものや、二成分現像剤のキャリアコートに使用されている材料を用いることが好ましい。
次に、図5に示すような系での実験結果について説明する。基板Aはアルミニウムからなる基板7の上に厚み約20[μm]の樹脂層(これは感光体を想定したもの)8を形成することで構成する。基板7は接地し、樹脂層8にはベタ画像相当の0.4[mg/cm2]のトナー層9を形成する。このトナー層9は図示しない二成分現像器によって樹脂層8に対してベタ現像をすることで形成したものである。
この基板Aに間隔d[μm]で対向するように基板Bを設置する。この基板Bは基板4と同様に構成され、表層3は以降の作業によってここに転移するトナーの量を光学的な測定装置(反射光濃度測定器)によって計測しやすいように白色のコート層とする。図3から、Vmax[V]/p[μm]=4であればいずれの条件でも安定なフレアを形成できるので、Vmax[V]/p[μm]=4となる4種の条件を用いて、基板Bへのトナー転移量の現像ギャップ(d[μm])依存性を調べると、図6に示すような結果が得られた。図6のグラフの縦軸は、基板Bにおける表層3の光学濃度増加量を示しており、表層3にトナーが全く付着していない状態では、光学濃度増加量が0となる。同グラフにおいて、光学濃度増加量が0よりも大きくなっている結果が含まれているが、これは基板Aの樹脂層8に付着していたトナー層9における一部のトナーが基板B上に形成される電界の影響を受けてトナー層9から基板Bの表層3に転移したためである。このような転移が発生すると、重ね合わせ現像において、先行する現像時に潜像担持体(例えば感光体)上に形成されたトナー層のトナーが、後続の現像時に後続色の現像装置内に転移して混色を引き起こしてしまう。また、先行する現像で得られた潜像担持体上の画像を乱してしまう。このような混色や画像の乱れを回避し得るのは、同グラフにおいて光学濃度増加量が0となっている条件である。そして、同グラフにより、かかる条件は、ピッチ間距離pが現像ギャップdより小さいこと、すなわちp<dであることがわかる。
これは、トナー担持体(基板B)上に形成される電界カーテンの影響が、潜像担持体(基板A)上の静電潜像電場やトナー像に対して及ばない条件であると考えることができる。このような条件のもとでは、例えば1200[dpi]や2400[dpi]の孤立ドットをスキャベンジなしで正確に現像できるばかりでなく、上述したように、潜像担持体(基板A)上でのトナー像重ねのような作像プロセスを利用する際にも、先に潜像担持体上に形成されているトナー像を乱すこと無く、且つ、現像装置内のトナーの混色を招くことも無く、非常に高画質なトナー像重ねを実現することができる。
ところで、従来、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に用いられる現像装置には、二成分現像方式や一成分現像方式などがある。二成分現像方式は、高速現像に非常に適しており、現在の中速や高速の画像形成装置の主流方式である。この二成分現像方式では、高画質を狙うためには、潜像担持体上の静電潜像との接触部における現像剤の状態を非常に緻密にする必要がある。そのために、現在はキャリア粒子の小径化が進んでおり、商用レベルでは30[μm]程度のキャリアも使われ始めている。
一成分現像方式は、機構が小型軽量になることから、現在の低速の画像形成装置の主流方式である。この一成分現像方式では、現像ローラ等の現像剤担持体の表面に担持したトナーをホッピングさせずに現像に用いる。具体的には、現像ローラ上にトナー薄層を形成するために、ブレードやローラなどのトナー規制部材を現像ローラ上のトナーに当接させ、そのときに現像ローラやトナー規制部材とトナーとの摩擦によってトナーは帯電される。現像ローラ上に薄層に形成された帯電トナー層は、現像部に運ばれて潜像担持体上の静電潜像を現像する。ここでの一成分現像方式には大きく分けて接触型と非接触型があり、前者は現像ローラと潜像担持体とが接触するものであり、後者は現像ローラと潜像担持体とが非接触であるものである。
上記二成分現像方式と一成分現像方式との欠点を補い合うべく、特開平3−100575号公報に記載のものなどのように二成分現像方式と一成分現像方式とをハイブリッド化したハイブリッド化方式も幾つか提案されている。
高解像度の微小均一ドットを現像する方法としては、例えば特開平3−113474号公報に記載の方式がある。この方式は、上記ハイブリッド化方式に対して、現像部に高周波バイアスを印加したワイヤを設置することにより、現像部でのトナークラウド化を行い、高解像度のドット現像性を実現するものである。
また、特開平3−21967号公報(特許文献1)には、最も効率良く、且つ安定なトナークラウドを形成するために、回転ローラ上に電界カーテンを形成する方法が提案されている。
また、進行波電界による電界カーテンで現像剤を搬送する現像装置が特開2003−15419号公報に記載されている。また、現像ローラの周面上にほぼ1層のキャリアをほぼ均等に吸着する複数の磁極を有する現像装置が特開平9−269661号公報に記載されている。また、特開2003−84560号公報には、非磁性トナーを担持する現像剤担持体表面に、絶縁部を介して周期的な導電性電極パターンを設け、該電極に所定のバイアス電位を与えることで現像剤担持体表面近傍に電界勾配を発生せしめ、前記現像剤担持体上に前記非磁性トナーを付着搬送させる現像装置が記載されている。
従来の二成分現像方式では、高画質化に対する要求が益々高まっており、必要とされる画素のドットサイズ自身が現状のキャリア粒子径と同等もしくはそれよりも小さい必要があるために、孤立ドットの再現性という意味では更にキャリア粒子を小さくする必要がある。しかし、キャリア径を小さくしていくと、キャリア粒子の透磁率が低下するために、現像ローラからのキャリア離脱が生じやすくなり、離脱したキャリア粒子が潜像担持体に付着した場合には、キャリア付着そのものによる画像欠陥が生じるだけでなく、それを起点として潜像担持体に傷をつけてしまうなどいろいろな副作用が生じる。
このキャリア離脱を防止するために、材料面からキャリア粒子の透磁率を上げる試みや、現像ローラに内包されるマグネットの磁力を強くする試みが進められているが、低コスト化及び高画質化との兼ね合いの中で開発は困難を極めている。また、小型化の煽りを受けて、現像ローラは益々小径化の一途をたどっていることからも、キャリア離脱を完全に抑止できるような強力な磁場構成を有した現像ローラ設計が困難となっている。
そもそも二成分現像方式は、磁気ブラシと呼ばれる二成分現像剤の穂を静電潜像に対して擦り付けるようにしてトナー像を形成するプロセスであるために、どうしても穂の不均一性によって、孤立ドットの現像性にムラが生じやすい。現像ローラと潜像担持体との間に交番電界を形成することで画質の向上は可能であるが、現像剤の穂のムラといった根本的な画像ムラを完全に消滅させることは困難である。
また、潜像担持体上の現像されたトナー像を転写する工程や、転写後に潜像担持体上に残存するトナーをクリーニングする工程において、転写効率やクリーニング効率を向上させるためには、潜像担持体とトナーとの非静電的付着力を極力下げる必要がある。潜像担持体とトナーとの非静電的付着力を下げる方法としては、潜像担持体表面の摩擦係数を下げることが効果的であることが知られているが、この場合、二成分現像剤の穂が滑らかに現像部をすり抜けてしまうために現像効率やドット再現性が非常に悪くなってしまう。
一成分現像方式では、トナー規制部材により薄層化された現像ローラ上のトナー層は、現像ローラ上に十分に圧接されてしまっているために、現像部での電場に対するトナー応答性が非常に悪い。よって、通常は高画質を得るために、現像ローラと潜像担持体との間に強力な交番電場を形成するのが主流であるが、この交番電場の形成をもってしても静電潜像に対して一定量のトナーを安定して現像することは困難であり、高解像度の微小ドットを均一に現像することは難しい。また、この一成分現像方式は、現像ローラへのトナー薄層形成時にトナーに対して非常に大きなストレスをかけてしまうため、現像装置内を循環するトナーの劣化が非常に早い。トナーの劣化に連れて、現像ローラへのトナー薄層形成の工程でもムラなどが生じやすくなり、一成分現像方式は一般には高速や高耐久の画像形成装置としては向かない。
ハイブリッド化方式(特開平3−100575号公報)では、現像装置そのものの大きさや部品点数は増えてしまうものの、幾つかの課題は克服される。しかし、現像部においてはやはり一成分現像方式と同様の問題があり、つまり高解像度の微小均一ドットを現像することには難が残る。
特開平3−113474号公報に記載の方式は、高安定且つ高画質な現像が実現できるものと考えられるが、現像装置の構成が複雑になる。
また、特開平3−21967号公報(特許文献1)に記載の方法は、小型且つ高画質の現像を得るには非常に優れたものと解釈できるが、本発明者らが鋭意研究した結果、理想的な高画質を得るためには、形成する電界カーテンや現像などの条件を限定しなくてはならないことが発見された。すなわち、適正な条件から外れた条件で作像を行ってしまうと、全く効果が得られないばかりか、返って粗悪な画質を提供してしまうことになる。また、この方式はトナー担持体上でホッピングするトナーをトナー担持体の表面移動によって現像領域まで搬送するものであるが、トナー担持体を表面移動させずに、ホッピングよる移動のみによってトナーを現像領域まで搬送する特開2002−341656号公報に記載の方式でも、同様のことが言える。
また、潜像担持体に第一のトナー像が形成され、その上に順次に第二のトナー像、第三のトナー像を形成していくような作像プロセスにおいては、先に潜像担持体上に形成されているトナー像を乱さないような現像方式でなくてはいけない。非接触一成分現像方式や、3−113474号公報に記載のトナークラウド現像方式を用いることで、潜像担持体上に順次に各色トナーを形成していくことは可能であるが、何れの方式も、潜像担持体と現像ローラとの間には交番電界が形成されてしまうために、潜像担持体上に先に形成されたトナー像からトナーの一部が引き剥がされて現像装置に入り込んでしまう。これによって、潜像担持体上の画像が乱されてしまうばかりでなく、現像装置内のトナーが混色するという問題も生じてしまう。これらは高画質画像を得るには致命的であり、この問題を解決する方法としては潜像担持体と現像ローラとの間には交番電場を形成しない方法で、クラウド現像を実現する必要がある。
このようなクラウド現像を実現できる方法としては、先に挙げた特開平3−21967号公報(特許文献1)や特開2002−341656号公報に記載の方式が有効と考えられるが、これらに関しては先にも述べた通り、適当な条件の元で利用しないと全く効果が無い。具体的には、条件が不適切であると、トナーをクラウド化させることができなくなる。更には、トナーをクラウド化させたとしても、重ね合わせ現像においては、先行する現像で得られた潜像担持体上のトナー層中のトナーを後続色の現像装置内に転移させ、画像の乱れや混色を引き起こしてしまう。
次に、本発明を適用した現像装置を搭載した電子写真方式の画像形成装置の実施形態について説明する。図7は、実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。同図において、潜像担持体としてのドラム状の感光体200は、従来から周知の一般的な有機感光体であり、図示しない駆動手段によって図中時計回り方向に回転駆動せしめられる。
操作者がコンタクトガラス90に図示しない原稿を載置し、図示しないプリントスタートスイッチを押すと、原稿照明光源91及びミラー92を具備する第1走査光学系93と、ミラー94,95を具備する第2走査光学系96とが移動して、原稿画像の読み取りが行われる。
走査された原稿画像がレンズ97の後方に配設された画像読み取り素子98で画像信号として読み込まれ、読み込まれた画像信号はデジタル化された後に画像処理される。そして、処理後の信号でレーザーダイオード(LD)が駆動され、このレーザーダイオードからのレーザー光がポリゴンミラー99で反射した後、ミラー80を介して感光体200を走査する。この走査に先立って、感光体200は帯電装置62によって一様に帯電せしめられており、レーザー光による走査により、感光体200の表面に静電潜像が形成される。
この静電潜像は、現像装置100によってトナーが付着せしめられてトナー像に現像された後、感光体200の回転に伴って、転写チャージャー60との対向位置である転写位置に搬送される。この転写位置に対しては、感光体200上のトナー像と同期するように、第1給紙コロ70aを具備する第1給紙部70、又は第2給紙コロ71aを具備する第2給紙部71から記録紙Pが送り込まれる。そして、感光体200上のトナー像は、転写チャージャー60のコロナ放電によって記録紙P上に転写される。
このようにしてトナー像が転写された記録紙Pは、分離チャージャー61のコロナ放電によって感光体200表面から分離された後、搬送ベルト75によって定着装置76に向けて搬送される。そして、定着装置76内において、図示しないハロゲンランプ等の発熱源を内包する定着ローラ76aと、これに向けて押圧される加圧ローラ76bとの当接による定着ニップに挟み込まれる。その後、定着ニップ内での加圧や加熱によってトナー像が表面に定着せしめられた後、機外の排紙トレイ77に向けて排紙される。
上述の転写位置を通過した感光体200表面に付着している転写残トナーは、クリーニング装置45によって感光体200表面から除去される。このようにしてクリーニング処理が施された感光体200表面は、除電ランプ44によって除電されて次の潜像形成に備えられる。
感光体200としては、厚み数十[μm]の有機感光層を具備するものを用い、これを帯電装置62によって−300〜−500[V]に一様に帯電させて有機感光層を一様な地肌部とする。そして、地肌部に対して、1200[dpi]解像度で光走査を行って静電潜像を形成する。静電潜像の電位は、0〜−50[V]程度である。
実施形態に係る現像装置100においては、上述した実験の結果に鑑みて、Vmax[V]/p[μm]>1という条件を具備させている。かかる構成では、トナーを確実にクラウド化せしめることができる。よって、本実施形態によれば、従来技術よりも高画質を実現でき、且つより小型にできる。
なお、特開2002−341656号公報に記載の方式などの様に、トナー担持体の機械的な駆動を無くし、3相以上の交互電場によってトナーを静電的に搬送し現像する方法においても、上記条件を具備させることで、トナーを確実にクラウド化せしめることが可能であると考えられる。しかしながら、同公報に記載の方法によれば、何かのきっかけで静電搬送できなくなったトナーを起点として、搬送基板上にトナーが堆積してしまい、結果として機能しなくなる問題を抱えてしまう。このような問題を解決すべく、例えば特開2004−286837号公報に記載の方式のように固定搬送基板とその表面を移動するトナー担持体の組合せのような構造も提案されているが、機構が非常に複雑になってしまう。これに対し、本画像形成装置のように、トナーをホッピングによって電極間で往復移動させながら、トナー担持体の表面移動によって現像領域に搬送する方式では、前述のようなトナーの堆積や機構の複雑化を回避することができる。
図8は、実施形態に係る画像形成装置における感光体200と現像装置100とを示す概略構成図である。同図において、感光体200の図中右側方には、筒状のトナー担持ローラ102を有する現像装置100が配設されている。
現像装置100は、図中時計回り方向に回転駆動される第1搬送スクリュウ112を収容する第1収容部113と、図中反時計回りに回転駆動される第2搬送スクリュウ114を収容する第2収容部115とを有しており、両収容部は仕切壁116によって仕切られている。そして、これら収容部はそれぞれ、図示しない磁性キャリアとマイナス帯電性のトナーとが混合された混合剤を収容している。
第1搬送スクリュウ112は、その回転駆動によって第1収容部113内の混合剤を回転撹拌しながら、図紙面に直交する方向における手前側から奥側へと搬送する。このとき、搬送途中の混合剤は、第1収容部113の底部に固定されたトナー濃度センサ117によってそのトナー濃度が検知される。そして、図中奥側の端部付近まで搬送された混合剤は、仕切壁116の奥側端部付近に設けられた図示しない第1連通口を経て、第2収容部115内に進入する。
第2収容部115は、後述するトナー供給ロール118を収容する磁気ブラシ形成部121に連通しており、第2搬送スクリュウ114とトナー供給ロール118とは所定の間隙を介して互いに軸線方向を平行にする姿勢で対向している。第2収容部115内の第2搬送スクリュウ114は、その回転駆動によって第2収容部115内の混合剤を回転撹拌しながら、図中奥側から手前側へと搬送する。この過程において、第2搬送スクリュウ114によって搬送される混合剤の一部は、トナー供給ロール118の筒状のトナー供給スリーブ119によって汲み上げられる。そして、トナー供給スリーブ119の図中反時計回り方向の回転駆動に伴って、後述するトナー供給領域を通過した後、トナー供給スリーブ119の表面から離脱して、再び第2収容部115内に戻される。その後、第2搬送スクリュウ114によって図中手前側の端部付近まで搬送された混合剤は、仕切壁116の図中手前側端部付近に設けられた図示しない第2連通口を経て第1収容部113内に戻される。
上述したトナー濃度センサ117は、透磁率センサからなる。このトナー濃度センサ117による混合剤の透磁率の検知結果は、電圧信号として図示しない制御部に送られる。混合剤の透磁率は、混合剤のKトナー濃度と相関を示すため、トナー濃度センサ117はトナー濃度に応じた値の電圧を出力することになる。
本プリンタの図示しない制御部はデータ記憶手段としてのRAM(Random Access Memory)を備えており、この中にトナー濃度センサ117からの出力電圧の目標値であるVtrefを格納している。そして、トナー濃度センサ117からの出力電圧値と、RAM内のVtrefとを比較して、比較結果に応じた時間だけ図示しないトナー供給装置を駆動させる。この駆動により、現像に伴うトナーの消費によってトナー濃度を低下させた混合剤に対し、第1収容部113内に適量のトナーが供給される。このため、第2収容部115内の混合剤のトナー濃度が所定の範囲内に維持される。
トナー供給ロール118は、図中反時計回り方向に回転駆動される非磁性材料からなる筒状のトナー供給スリーブ119と、これに連れ回らないように内包されるマグネットローラ120とを有している。筒状のトナー供給スリーブ119は、アルミニウム、真鍮、ステンレス、導電性樹脂などの非磁性体が円筒形に形成されたものである。また、マグネットローラ120は、図示のように、回転方向に並ぶ複数の磁極(図中12時の位置から反時計回り方向に順にN極、S極、N極、S極、N極、S極)を有している。これら磁極により、トナー供給スリーブ119の周面上に混合剤が吸着せしめられて、磁力線に沿って穂立ちした磁気ブラシとなる。
トナー供給スリーブ119の表面によって汲み上げられた混合剤は、トナー供給スリーブ119の回転に伴って図中反時計回り方向に回転する。そして、自らの先端をトナー供給スリーブ119の表面に対して所定の間隙を介して対向させている規制部材122との対向位置である担持量規制位置に進入する。このとき、規制部材122とスリーブ表面との間隙を通過することで、スリーブ表面上における担持量が規制される。
トナー供給スリーブ119の図中左側方では、トナー担持体たるトナー担持ローラ102がトナー供給スリーブ119表面と所定の間隙を介して対向しながら、図示しない駆動手段によって図中反時計回り方向に回転駆動されている。
トナー供給スリーブ119の回転に伴って上述の担持量規制位置を通過した混合剤は、トナー担持ローラ102との接触位置であるトナー供給領域に進入して、磁気ブラシ先端を摺擦せしめながら移動する。この摺擦や、トナー供給スリーブ119とトナー担持ローラ102との電位差などにより、磁気ブラシ中のトナーがトナー担持ローラ102の表面上に供給される。なお、トナー供給スリーブ119には、供給バイアス電源124により、供給バイアスが印加されている。この供給バイアスは、トナーの帯電極性と同極性の直流電圧でもよいし、かかる直流電圧に交流電圧を重畳したものでもよい。
トナー供給領域を通過したトナー供給スリーブ119上の磁気ブラシ(混合剤)は、スリーブの回転に伴って第2収容部115との対向位置まで搬送される。この対向位置の付近には、マグネットローラ120に磁極が設けられておらず、混合剤をスリーブ表面に引き付ける磁力が作用していないため、混合剤はスリーブ表面から離脱して第2収容部115内に戻る。
なお、本実施形態においては、マグネットローラ120として、6つの磁極を有するものを用いたが、磁極の個数はこれに限られるものではない。8極、12極などであってもよい。
トナー供給ロール118から供給されたトナーを担持するトナー担持ローラ102は、現像装置100のケーシング111に設けられた開口から周面の一部を露出させている。この露出箇所は、感光体200に対して数十〜数百[μm]の間隙を介して対向している。このようにトナー担持ローラ102と感光体200とが直接対向している領域が、本プリンタにおける現像領域となっている。
トナー担持ローラ102の表面上に供給されたトナーは、後述する理由により、トナー担持ローラ102の表面上でホッピングしながら、トナー担持ローラ102の回転に伴って、トナー供給領域から現像領域に向けて搬送される。そして、現像領域において、感光体200上の静電潜像に付着して、それをトナー像に現像する。
図9は、現像装置100のトナー担持ローラ102を軸線方向の一端側から示す斜視図である。また、図10は、トナー担持ローラ102を示す正面図である。これらの図において、トナー担持ローラ102は、ローラ部102cや、これの軸線方向の両端面からそれぞれ突出する軸部材102d,102eなどを有している。ローラ部102cの周面には、ローラ軸線方向に延在する形状の複数の並設電極が、周方向(回転方向)に所定のピッチで並ぶように形成されている。これら並設電極のうち、周方向において1個おきに並んでいるもの同士は、互いに同じ電位状態にされる電気的に同相の並設電極になっている。具体的には、A相並設電極102aとB相並設電極102bとが周方向に交互に並ぶように配設されている。ローラ部102cの軸線方向の一端部には、周方向の全域に渡って延在するリング状のA相共通電極102fが形成されている。軸線方向に延在している複数のA相並設電極102aは、ローラ部102cの軸線方向の一端側で、それぞれこのA相共通電極102fに繋がっている。一方、ローラ部102cの軸線方向の他端部には、周方向の全域に渡って延在するリング状のB相共通電極102gが形成されている。軸線方向に延在している複数のB相並設電極102bは、ローラ部102cの軸線方向の他端側で、それぞれこのB相共通電極102gに繋がっている。
A相並設電極102a、B相並設電極102bの短手方向(電極並び方向)の長さは、ともに40[μm]に設定されている。また、互いに隣り合うA相並設電極102aとB相並設電極102bとの間の電極間距離は40[μm]に設定されている。
複数のA相並設電極102aには、A相共通電極102fを介して、図11に示すA相交番電圧が印加される。また、複数のB相並設電極102bには、B相共通電極102gを介して、図11に示すB相交番電圧が印加される。A相交番電圧と、B相交番電圧とは、図示のように互いに逆位相になっており、単位時間あたりにおける平均電位は互いに同じである。このような交番電圧が印加されると、トナー担持ローラ102におけるローラ部102cの表面上のトナーが、A相並設電極102a上とB相並設電極102b上との間を往復移動するように繰り返しホッピングする。以下、トナー担持ローラ102の表面上でトナーが所定の周期でホッピングを繰り返している状態をフレア(Flare)という。
A相交番電圧やB相交番電圧のピーク・ツウ・ピーク電圧(以下、Vppと記す)については、100〜1000[V]の範囲に設定することが望ましい。Vppが100[V]を下回ると、並設電極間に十分な強度の交番電界を形成することができずに、トナーのホッピングが良好に得られなくなるからである。また、Vppが1000[V]を超えると、並設電極間で放電を発生させる可能性がでてくる。放電が発生すると、並設電極間に交番電界を形成することができずに、トナーがホッピングしなくなる。
A相交番電圧やB相交番電圧の周波数fについては、0.1〜10[kHz]の範囲に設定することが望ましい。周波数fが0.1[kHz]を下回ると、ホッピングによるトナーの並設電極間における往復移動速度が現像速度に追いつかなくなってしまうからである。また、周波数fが10[kHz]を上回ると、トナーのホッピングが並設電極間における交番電界の向きの切り替わり速度に追従できなくなってしまう。
A相交番電圧やB相交番電圧の中心値については、後述する感光体の潜像電位と地肌部電位との間の値に設定する。なお、図示のような矩形波状の交番電圧では、極性が瞬時に切り替わるため、トナーに対して大きな静電力を付与することが可能である。但し、サイン波状の交番電圧や三角波状の交番電圧を採用してもよい。
図12に示すように、A相並設電極102aとB相並設電極102bとのうち、一方に対して周波数fの矩形波状の交番電圧を印加する一方で、もう一方には、交番電圧の平均電位となる直流電圧を印加しても、逆位相のパルス電圧を採用する場合と同様に、フレア現象を生起せしめることが可能である。この場合、並設電極間の最大電位差はVppの半分になるため、パルス電圧のVppを上述した交番電圧の倍の200〜2000[V]に設定することが望ましい。互いに異なる2つの交番電圧の位相を逆位相にするという制御が要らなくなるので、電源コストを低く抑えることができる。
ローラ部102cの周面におけるA相並設電極102a上とB相並設電極102bとの間をホッピングで繰り返し往復移動してフレアを形成しているトナーは、トナー担持ローラ102の回転駆動によって現像領域まで搬送される。そして、現像領域にて、その放物線状のホッピング軌跡の頂点付近で感光体(200)の静電潜像の近傍に至ると、静電潜像の静電気力によって引かれながらホッピング軌跡から外れて、静電潜像に付着する。これに対し、放物線状のホッピング軌跡の頂点付近で感光体(200)の地肌部の近傍に至ると、ホッピング軌跡から外れることなく下降して、ローラ部102cの表面に着地する。
ホッピングによってローラ部102cとの吸着力が解かれた状態のトナーを現像に用いることで、現像ローラや現像スリーブを用いる1成分現像方式や二成分現像方式では実現が望めなかったほどの低電位現像を実現することができる。
次に、実施形態に係る画像形成装置の特徴的な構成について説明する。
図13は、ローラ部材102hを示す正面図である。このローラ部材102iは、トナー担持ローラ102の前駆体である。樹脂等の絶縁性材料からなり、円柱状の基体102hと、これの軸線方向における両端面の中心からそれぞれ突出する回転軸部材102d,102eとが一体成型されたものである。かかるローラ部材102iを構成する絶縁性材料としては、ポリアセタール(POM)、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド(PA)、変性ポリフェニレンエーテル(m−PPE)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、GF強化ポリエチレンテレフタレート(GF−PET)、超高分子量ポリエチレン(UHPE)、非昌ポリアリレート(PAR)、ポリスルホン(PSF)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド(PEI)、フッ素樹脂、液晶ポリマー(LCP)などを例示することができる。本実施形態では、ポリアセタール(POM)を用いている。
ローラ部材102iの基体102hの表面に対して、上述したA相並設電極、A相共通電極、B相並設電極及びB相共通電極を形成することで、これら電極を備えるローラ部(図10の102c)を具備するトナー担持ローラを製造する。各電極については、アルミや銅などの金属層をスパッタリングによって形成した後、フォトレジスト及びエッチングの技術によってパターン加工することで得る。電極の金属材料としては、本実施形態ではアルミを用いている。
A相並設電極102a、B相並設電極102bの上には、図14に示すように絶縁性材料からなる絶縁層102jを被覆している。この絶縁層102jにより、ローラ部102cの表面上に担持されたトナーと、A相並設電極102aやB相並設電極102bとの直接接触を回避することで、並設電極からトナーへの電荷注入の発生を防止している。本実施形態では、絶縁層102jの材料として、シリコーン系樹脂を用いている。
本発明者らは、このように、円柱状の基体102hと回転軸部材102d,102eとを絶縁性材料で一体成型したものを用いて製造したトナー担持ローラ102を、図8に示した現像装置100と同様の構成の試験機に搭載して連続プリント試験を行った。すると、トナー担持ローラ102について、十分に実用に耐え得るほどの寿命となることを確認することができた。
そこで、実施形態に係る現像装置100においては、トナー担持ローラ102として、図13に示したローラ部材102iの基体102h上に複数の電極を形成したものを用いている。よって、樹脂製の円柱基体に金属製の回転軸部材を圧入するという手間のかかる工程を経て製造した高価なトナー担持ローラを用いていた従来に比べて、現像装置の製造コストを低減することができる。
図15は、トナー担持ローラ102を後述する給電部材とともに示す正面図である。トナー担持ローラ102のローラ部においては、図中A1で示す領域に対して上述した絶縁層が被覆されている。具体的には、複数のA相並設電極102aや複数のB相並設電極102bは、その長手方向の全領域が絶縁層によって被覆されている。これに対し、ローラ部の一端部に形成されたリング状のA相共通電極102fや、ローラ部の他端部に形成されたリング状のB相共通電極102gは、ローラ軸線方向の中央側の領域だけが絶縁層で被覆されており、端側の領域は無垢の電極表面が露出している。以下、このように露出している箇所を露出箇所という。
回転するトナー担持ローラ102のA相共通電極102fにおける露出箇所には、図15に示すように、現像装置ケーシングに固定された金属からなるA相給電部材108が当接している。このA相給電部材108と、A相共通電極102fとを介して、複数のA相並設電極102aに対してそれぞれA相交番電圧が印加される。また、回転するトナー担持ローラ102のB相共通電極102gの露出箇所に対しては、現像装置ケーシングに固定された金属からなるB相給電部材109が当接している。このB相給電部材109と、B相共通電極102gとを介して、複数のB相並設電極102bに対してそれぞれA相交番電圧が印加される。
かかる構成においては、ローラ部102cの周面に当接させたA相給電部材108やB相給電部材により、ローラ部102cのA相並設電極102aやB相並設電極102bに電圧を印加することができる。
次に、実施形態に係る画像形成装置の各変形例について説明する。なお、以下に特筆しない限り、各変形例に係る画像形成装置の構成は、実施形態と同様である。
[第1変形例]
図16は、第1変形例に係る画像形成装置に搭載されたトナー担持ローラ102の軸線方向における一端部を示す縦断面図である。同図において、絶縁性材料によって回転軸部材102dと一体形成された基体としてのローラ部102cには、軸線方向の一端において実施形態と同様のリング状のA相共通電極102fが形成されている。同図では、このA相共通電極102fに対して一体的に繋がっているA相並設電極102aも示しているが、図中一点鎖線よりも左側がA相共通電極102fであるのに対し、右側がA相並設電極102aになっている。
A相共通電極102fは、ローラ部102cの一端側の周面だけに形成されているのではなく、図示のように、ローラ部102cの一端側の端面にも形成されている。第1変形例では、図示のように、端面の全域をA相共通電極102fで覆っているが、一部領域だけを覆ってもよい。但し、一部領域だけを覆う場合、少なくとも端面の半径方向における所定領域では、全周に渡ってA相共通電極102fが続くドーナッツ状の形状にする必要がある。
A相共通電極102fのうち、ローラ部102cの端面箇所の領域には、第1給電部材108が当接している。このA相給電部材108と、A相共通電極102fとを介して、複数のA相並設電極102aに対してそれぞれA相交番電圧が印加される。
絶縁層102iは、ローラ部102cの周面における全領域に被覆されている。但し、ローラ部102cの端面には絶縁層102iを設けていない。つまり、A相共通電極102iの全領域のうち、ローラ部102cの周面上の領域については絶縁層102iで覆っているのに対し、ローラ部102cの端面上の領域については絶縁層102iで覆わずに、無垢の電極表面を露出させ、その露出箇所にA相給電部材108を当接させている。
なお、同図では、ローラ部102cの軸線方向の一端部だけを示しているが、他端部においても、同様にして、ローラ部102cの端面にB相共通電極(102g)が形成されている。そして、図17に示すように、B相共通電極102gが形成されたローラ部102c他端面には、B相給電部材(109)が当接している。
このように、第1変形例においては、ローラ部102cの周面の全領域(A2)を絶縁層で覆っているので、周面上でA相共通電極102fやB相共通電極102gを露出させていた実施形態に比べて、共通電極露出箇所との接触によるトナーへの電荷注入の発生を抑えることができる。
[第2変形例]
図18は、第2変形例に係る画像形成装置に搭載されたトナー担持ローラ102の軸線方向における一端部を示す縦断面図である。このトナー担持ローラ102も、第1変形例と同様に、ローラ部102cの周面の一端部と、ローラ部102cの一端面の全領域とにA相共通電極102fが形成されており、周面から端面にかけてA相共通電極102fが連続している。更に、その一端面から突出している回転軸部材102dの周面の全領域にも、A相共通電極102fが形成されている。これにより、回転軸部材102dの周面上から、ローラ部102cの端面を経て、ローラ部102cの周面上まで、A相共通電極102fが続いている。
A相共通電極102fのうち、回転軸部材102dの周面上の領域には、第1給電部材108が当接している。このA相給電部材108と、A相共通電極102fとを介して、複数のA相並設電極102aに対してそれぞれA相交番電圧が印加される。
絶縁層102iは、ローラ部102cの周面における全領域(図19のA2)に被覆されている。さらに、ローラ部102cの端面の全領域にも絶縁層102iが被覆されている。但し、回転軸部材102dの周面上には絶縁層102iを設けおらず、A相共通電極102fを回転軸部材102dの周面上の領域で露出させている。そして、その露出箇所にA相給電部材108を当接させている。
なお、同図では、ローラ部102cの軸線方向の一端部だけを示しているが、他端部においても、同様にして、ローラ部102cの端面の全領域と、回転軸部材102eの周面の全領域とにB相共通電極(102g)が形成されている。そして、図19に示すように、B相共通電極102gが形成されたB相共通電極102gにおける回転軸部材102e上の露出箇所に対して、B相給電部材(109)が当接している。
このように、第2変形例においては、A相交番電圧やB相交番電圧を回転軸部材上の共通電極を介してA相並設電極102aやB相並設電極102bを印加している。かかる構成では、A相給電部材108やB相給電部材109として、金属製の軸受けを利用することができる。
[第3変形例]
図20は、第3変形例に係る画像形成装置に搭載されたトナー担持ローラ102の軸線方向における一端部を示す縦断面図である。このトナー担持ローラ102も、第2変形例と同様に、ローラ部102cの周面の一端部と、ローラ部102cの一端面の全領域と、回転軸部材102dの周面の全領域とにA相共通電極102fが形成されている。更に、回転軸部材102dの端面にも、A相共通電極102fが形成されている。これにより、回転軸部材102dの周面上から、ローラ部102cの端面上と、回転軸部材102dの周面上とを経て、回転軸部材102dの端面上まで、A相共通電極102fが続いている。
A相共通電極102fのうち、回転軸部材102dの端面上の領域には、第1給電部材108が当接している。このA相給電部材108と、A相共通電極102fとを介して、複数のA相並設電極102aに対してそれぞれA相交番電圧が印加される。
絶縁層102iは、ローラ部102cの周面の全領域と、回転軸部材102dの周面の全領域とに渡って(図21のA3)に被覆されている。但し、回転軸部材102dの端面上には絶縁層102iを設けおらず、A相共通電極102fを回転軸部材102dの端面上の領域で露出させている。そして、その露出箇所にA相給電部材108を当接させている。
なお、同図では、ローラ部102cの軸線方向の一端部だけを示しているが、他端部においても、同様にして、ローラ部102cの端面の全領域と、回転軸部材102eの周面の全領域と、回転軸部材102eの端面上とに、B相共通電極(102g)が形成されている。そして、図21に示すように、B相共通電極102gが形成されたB相共通電極102gにおける回転軸部材102e上の露出箇所に対して、B相給電部材(109)が当接している。
このように、第3変形例においては、A相交番電圧やB相交番電圧を回転軸部材の端面上の共通電極を介してA相並設電極102aやB相並設電極102bを印加している。かかる構成では、回転軸部材の端面に当接させた給電部材によって並設電極に電圧を印加することができる。
[第4変形例]
図22は、第4変形例に係る画像形成装置の感光体200と現像装置100とを示す要部構成図である。現像装置100内のトナー収容部には、非磁性トナーが収容されており、この非磁性トナーは回転駆動される2本の撹拌ローラ159によって撹拌される。そして、互いに当接しながら回転する2本の撹拌ローラ159の当接部で摺擦さしめられることで摩擦帯電する。摩擦帯電した非磁性トナーは、回転するトナー供給ローラ130の表面に汲み上げられる。そして、自らの自由端側をトナー供給ローラ130に当接させている規制部材22に押し付けられて、層厚が規制される。この後、トナー供給ローラ130の回転に伴って、トナー担持ローラ102に対向するトナー供給領域まで搬送される。
トナー供給ローラ130には、供給バイアス電源24によって供給バイアスが印加されている。この供給バイアスは、直流電圧でも交流電圧でもよい。また直流電圧に交流電圧を重畳させた電圧でもよい。トナー供給領域においては、トナー担持ローラ102の各電極に印加される交番電圧の平均値と、供給バイアスとの電位差により、非磁性トナーをトナー供給ローラ130側からトナー担持ローラ側に向けて移動させる供給電界が形成されている。この供給電界により、トナー供給ローラ130の表面上の非磁性トナーがトナー担持ローラ102のローラ部の表面に移動する。
トナー供給領域にてトナー担持ローラ102のローラ部の表面に供給された非磁性トナーは、ローラ部の表面上でホッピングしてフレアを形成しながら、トナー担持ローラ102の回転に伴って現像領域に向けて搬送される。そして、フレアを形成している非磁性トナーの一部は、現像領域で現像に寄与する。現像に寄与しなかった非磁性トナーは、トナー担持ローラ102のローラ部の表面で引き続きフレアを形成しながら、トナー担持ローラ102の回転に伴ってケーシング111内に戻る。そして、図示しない回収手段によってローラ部の表面上から回収される。回収された非磁性トナーは、トナー収容部内に戻された後、再びトナー担持ローラ102のローラ部に供給される。
[第5変形例]
図23は、第5変形例に係る画像形成装置を示す概略構成図である。この画像形成装置は、マゼンタ,シアン,イエロー,ブラック(以下、M,C,Y,Kという)のトナー像を重ね合わせてフルカラー画像を形成することができる。そして、ベルトユニット81、4色にそれぞれ個別に対応する4つのプロセスユニット、4つの光書込ユニット300M,C,Y,K、レジストローラ対79、転写ローラ87、定着装置76、給紙カセット78などを備えている。
ベルトユニット81は、潜像担持体たる無端ベルト状の感光体200を、水平方向よりも鉛直方向にスペースをとる縦長の姿勢で張架しながら図中反時計回り方向に無端移動せしめる。より詳しくは、無端ベルト状の感光体200を、駆動ローラ83、テンションローラ84、転写バックアップローラ85、及び4つの現像対向ローラ86M,C,Y,Kによって裏面側から支えながら張架している。そして、図示しない駆動手段によって図中反時計回り方向に回転駆動せしめられる駆動ローラ83の回転によって感光体200を無端移動せしめる。この感光体200における図中左側の張架面(以下、左側張架面という)は、ほぼ鉛直方向に延在する姿勢になっている。
感光体200の左側張架面の図中左側方には、M,C,Y,K用のプロセスユニットが鉛直方向に並ぶように配設されており、それぞれ感光体200の左側張架面に対向している。これら4つのプロセスユニットは、それぞれ、現像装置(100M,C,Y,K)と、感光体200を一様帯電せしめる帯電装置(62M,C,Y,K)とを1つのユニットとして図示しない共通の保持体に保持している。そして、図24に示すように、プリンタ筺体に対して現像装置及び帯電装置が一体的に着脱されるようになっている。
先に示した図23において、4つの現像装置100M,C,Y,Kのうち、鉛直方向の最も下側に位置するK用の現像装置100Kの上方には、K用の帯電装置62Kが感光体200の左側張架面に対向するように配設されている。また、K用の現像装置100Kの真上に配設されたY用の現像装置100Yの上方には、Y用の帯電装置62Yが感光体200の左側張架面に対向するように配設されている。また、Y用の現像装置100Yの真上に配設されたC用の現像装置100Cの上方には、C用の帯電装置62Cが感光体200の左側張架面に対向するように配設されている。更に、Y用の現像装置100Yの真上に配設されたM用の現像装置100Mの上方には、M用の帯電装置62Mが感光体200の左側張架面に対向するように配設されている。
鉛直方向に並ぶ4つの現像装置100M,C,Y,Kの図中左側方には、4つの光書込ユニット300M,C,Y,Kが鉛直方向に並ぶように配設されている。これら光書込ユニット300M,C,Y,Kは、外部の図示しないパーソナルコンピュータやスキャナから送られてくる画像情報に基づいて、図示しない4つの半導体レーザーを駆動してM,C,Y,K用の書込光Lm,Lc,Ly,Lkを出射する。そして、これらを図示しないポリゴンミラーによって偏向せしめながら、図示しない反射ミラーで反射させたり光学レンズに通したりすることで感光体200に対する光走査を行う。かかる構成のものに代えて、LEDアレイによって光走査を行うものを用いてもよい。なお、光走査は暗中にて行われる。
感光体200は、自らを張架している複数の張架ローラのうち、最も下方に位置する駆動ローラ83と、最も上方に位置するテンションローラ84との間では、鉛直方向上方から下方に向けてほぼ真っ直ぐに移動する。この過程において、まず、M用の帯電装置62Mとの対向位置を通過する際に、例えば負極性に一様帯電せしめられる。そして、M用の書込光Lmによる光走査によってM用の静電潜像を担持した後、M用の現像装置100Mとの対向位置を通過する。この際、感光体200に書き込まれたM用の静電潜像がM用の現像装置100Mによって現像されてMトナー像になる。
Mトナー像が形成された感光体200は、鉛直方向上方から下方に向けての移動に伴って、C用の帯電装置62Cによって再び一様帯電せしめられた後、C用の書込光Lcによる光走査によってC用の静電潜像を担持する。このC用の静電潜像は、C用の現像装置100Cによって現像されてCトナー像となる。このとき、Cトナー像の全領域又は一部領域は、既に感光体200上に形成されているMトナー像に重ね合わせて現像される。そして、その重ね合わせ箇所は、M及びCによる2次色部となる。
Cトナー像が形成された感光体200は、鉛直方向上方から下方に向けての移動に伴って、Y用の帯電装置62Yによって再び一様帯電せしめられた後、Y用の書込光Lyによる光走査によってY用の静電潜像を担持する。このY用の静電潜像は、Y用の現像装置100Yによって現像されてYトナー像となる。このとき、Yトナー像の全領域又は一部領域は、既に感光体200上に形成されているMトナー像、Cトナー像、あるいはMC2次色部の上に重ね合わせた状態で現像される。そして、その重ね合わせ箇所は、MY2次色部、CY2次色部、あるいはMCY3次色部となる。
Yトナー像が形成された感光体200は、鉛直方向上方から下方に向けての移動に伴って、K用の帯電装置62Kによって再び一様帯電せしめられた後、K用の書込光Lkによる光走査によってK用の静電潜像を担持する。このK用の静電潜像は、K用の現像装置100Kによって現像されてKトナー像となる。
以上のようなM,C,Y,Kトナー像の重ね合わせ現像により、感光体200のおもて面(ループ外面)には、4色重ね合わせトナー像が形成される。なお、M,C,Y,K用の帯電装置62M,C,Y,Kとしては、それぞれコロナ放電によって感光体200を一様帯電せしめるものが用いられている。
K用の現像装置100Kとの対向位置であるK用の現像領域を通過した感光体200は、駆動ローラ83に対する掛け回し箇所を通過すると、今度は相対的に鉛直方向下方から上方に向けて移動するようになる。そして、転写バックアップローラ85に対する掛け回し箇所に進入する。この掛け回し箇所の一部に対しては、転写ローラ87がおもて面側から当接して転写ニップを形成している。転写バックアップローラ85は接地されているのに対し、導電性の転写ローラ87には図示しないバイアス印加手段によって転写バイアスが印加されている。これにより、転写ニップを間に挟んでいる転写バックアップローラ85と転写ローラ87との間には、感光体200上のトナー像を転写バックアップローラ85側から転写ローラ87側に静電移動させる転写電界が形成されている。
一方、給紙カセット78は、所定のタイミングで給紙ローラ78aを回転駆動させることで、カセット内に収容している記録紙Pを給紙路に向けて送り出す。送り出された記録紙Pは、転写ニップの図中下方に配設されたレジストローラ対79のローラ間に挟み込まれる。レジストローラ対79は、記録紙Pの先端部を挟み込むとすぐに回転駆動を一時停止する。そして、記録紙Pを感光体200の4色重ね合わせトナー像と同期させ得るタイミングで回転駆動を再開して、記録紙Pを転写ニップに送り出す。
転写ニップで記録紙Pに密着せしめられた4色重ね合わせトナー像は、ニップ圧や転写電界の作用によってベルトから記録紙Pに一括転写され、記録紙Pの白色と相まってフルカラー画像となる。このようにしてフルカラー画像が形成された記録紙Pは、転写ニップから定着装置76に送り込まれた後、機外へと排出される。
図25は、第5変形例に係る画像形成装置のK用のプロセスユニットを感光体200とともに示す拡大構成図である。同図の現像装置100Kにおいて、トナー担持ローラ102Kの現像後搬送領域に対向する現像後対向電極128Kは、振動子32Kに片持ち支持されており、その自由端側をトナー担持ローラ102Kに対向させている。
現像領域で現像に寄与しなかったKトナーは、トナー担持ローラ102Kの回転に伴ってケーシング111K内に戻った後、回収バイアスが印加される回収電極128Kの表面に転移する。この転移により、トナー担持ローラ102Kの表面上からKトナーが回収される。
プリントジョブ後などといった、現像動作が行われないタイミングが到来すると、上述の回収バイアスの印加が停止される。この後、回収電極128Kに接続されている図示しないリレースイッチの作動により、回収電極128Kが接地された状態で、加振手段たる振動子132Kが作動して回収電極128Kの表面上からKトナーが振り落とされる。そして、自重によってトナー供給スリーブ119K上の磁気ブラシとの接触位置まで落下して、磁気ブラシ内に取り込まれる。
なお、回収電極128Kについては、その表面上からのKトナーの滑り落ちを促す目的で、図示のようにトナー付着面に傾斜を設けた姿勢で配設することが望ましい。
また、プリントジョブ後などのタイミングで、回収電極128Kに印加するバイアスをKトナーと同極性のバイアスに切り替えて、回収電極128Kからトナー担持ローラ102KにKトナーを再転移させるものを用いてもよい。
K用の現像装置100Kについて詳しく説明してきたが、他色用の現像装置(100M,C,Y)は、K用のものと同様の構成になっているので、説明を省略する。また、帯電装置の他に、あるいは帯電装置に加えて、クリーニング手段、感光体などを一体的にしてプロセスユニットを構成してもよい。
[第6変形例]
第6変形例に係る画像形成装置は、以下に説明する点の他が、第5変形例に係る画像形成装置と同様の構成になっている。
図26は、第6変形例に係る画像形成装置におけるK用のプロセスユニットを感光体200とともに示す拡大構成図である。同図において、現像装置100Kは、回収ローラ133Kを有している。この回収ローラ133Kは、回収電源129KによってKトナーとは逆極性の現像後バイアスが印加されながら、図示しない駆動手段によって図中反時計回り方向に回転駆動される。
現像領域で現像に寄与しなかったKトナーは、トナー担持ローラ102Kの回転駆動に伴って、ケーシング111K内に戻った後、トナー担持ローラ102Kの表面上から回収ローラ133Kの表面上に転移する。そして、回収ローラ133Kの回転に伴って、回収ローラ133Kと、分離手段たるクリーニングブレード134Kとの当接部に至ると、クリーニングブレード134Kによって回収ローラ133Kの表面から掻き落とされる。その後は、自重によってトナー供給スリーブ102Kの表面上における磁気ブラシとの接触位置まで落下して、磁気ブラシ内に取り込まれる。
回収ローラ133Kについては、図示のように、トナー担持ローラ102Kとの対向位置においてその表面をトナー担持ローラ102Kの表面と同方向に移動させる向きで回転させることことが望ましい。更に、回収ローラ133Kの線速(表面移動速度)については、トナー担持ローラ102Kの線速よりも速くすることが望ましい。このようにすることで、回収ローラ133Kとの対向位置に進入してきたトナー担持ローラ102K上のKトナーに対し、回収ローラ133Kにおけるトナー付着のない無垢の表面を対向させて、その無垢の表面にトナーを良好に転移させることができるからである。
[第7変形例]
図27は、第7変形例に係る画像形成装置におけるK用のプロセスユニットを感光体200とともに示す拡大構成図である。この画像形成装置も、各色の現像装置(100M,C,Y,K)の構成が第5変形例に係る画像形成装置と異なっているが、その他の点は第5変形例に係る画像形成装置と同様になっている。
同図において、現像装置100Kは、回収電極の代わりに、回収ブラシローラ135Kを有している。そして、この回収ブラシローラ135Kは、軸受けによって回転自在に支持される金属製の回転軸部材と、これの周面に立設せしめられた複数の導電性の起毛からなるブラシ部とを具備している。
現像後バイアス電源129KによってKトナーとは逆極性のバイアスが回転軸部材に印加されている回収ブラシローラ135Kは、複数の起毛からなるブラシ部の先端をトナー担持ローラ102Kの現像後搬送領域にソフトタッチさせながら、ブラシ部をトナー担持ローラ102Kの表面移動方向とは逆方向に移動させる向きで回転駆動される。これにより、ブラシ部とトナー担持ローラ102Kとがソフトタッチしている位置では、トナー担持ローラ102K上のKトナーがブラシ部によって掻き取られながら、バイアスの作用によってブラシ内に転移、捕捉される。
ブラシ部内に捕捉されたKトナーは、ブラシ回転軸線方向に延在しながらブラシ部に接触するように配設された分離手段たるフリッカー棒136Kによって起毛が弾かれる際の衝撃により、ブラシ部内から振り落とされる。フリッカー棒136Kの代わりにバイアスローラをブラシ先端に接触させてもよい。フリッカー棒136Kによってブラシ部から振り落とされたKトナーは、自重によってトナー供給スリーブ102Kの表面上における磁気ブラシとの接触位置まで落下して、磁気ブラシ内に取り込まれる。
[第8変形例]
図28は、第8変形例に係る画像形成装置におけるK用のプロセスユニットを感光体200とともに示す拡大構成図である。この画像形成装置も、各色の現像装置(100M,C,Y,K)の構成が第5変形例に係る画像形成装置と異なっているが、その他の点は第5変形例に係る画像形成装置と同様になっている。
同図において、現像装置100Kは、回収電極の代わりに、吸引部材たる吸引ノズル137Kを有している。この吸引ノズル137Kには、中継管を介して吸引ポンプ139Kの吸引部が接続されている。この吸引ポンプ139Kの吐出部には排気管が接続されており、更にこの排気管の末端部は、現像装置100Kの第1収容部113Kに接続されている。
吸引ポンプ139Kが作動すると、吸引ノズル137Kの吸引口の付近にある空気が、吸引口内に吸い込まれる。このとき、トナー担持ローラ102Kの現像後搬送領域上において、吸引口の付近でホッピングしているKトナーが空気とともに吸引口内に吸い込まれて、トナー担持ローラ102K上から回収される。そして、中継管、吸引ポンプ139K、吐出管内を順次経た後、現像装置100Kの第1収容部113Kに戻される。
吸引ノズル137Kの吸引口回りにおけるトナー搬送方向下流側には、シール部材138Kを片持ち支持させており、これの自由端側をトナー担持ローラ102Kに接触させている。これにより、トナー供給スリーブ119Kの周りの空気を磁気ブラシ内のKトナーとともに吸引してしまうといった事態が回避されている。更に、ホッピングしながらトナー供給スリーブ102Kとともに回転するKトナーをシール部材138Kとの突き当たりによって堰き止めて、吸引口との対向位置に拘束している。
吸引ノズル137Kの先端と。トナー担持ローラ102Kの表面との間隙については、数十〜数百[μm]であって、且つトナー担持ローラ102Kの表面上におけるKトナーのホッピング高さよりも小さい値、にすることが望ましい。
吸引ポンプ139Kとしては、ダイアフラムポンプ、モーノポンプなど、Kトナーのような粉体を吸引することができるものを採用している。
なお、中間転写ベルト、転写ドラム、中間転写ドラムなどを用いたカラ−画像形成装置、モノクロ画像形成装置などにも本発明の適用が可能である。
[第9変形例]
図26は、第9変形例に係る画像形成装置の感光体200と現像装置100とを示す要部構成図である。この画像形成装置は、実施形態に係る画像形成装置と同様に、単色の画像を形成するものであり、感光体200と現像装置100とを1つずつ有している。
現像装置100は、トナー収容部にトナーを収容している。トナー収容部には、トナーの他、トナー供給ローラ130が収容されている。トナー供給ローラ130におけるスポンジ等の弾性材料からなるローラ部をトナー担持ローラ102にソフトタッチさせながら、ローラ部表面をトナー担持ローラ102とは逆方向に移動させるように、トナー供給ローラ130を回転させている。トナー供給ローラ130上のトナーは、トナー担持ローラ102とトナー供給ローラ130とのソフトタッチ部で摺擦せしめられて摩擦帯電が促されながら、トナー担持ローラ102上に転移する。
同図では、トナー供給ローラ130の表面をトナー担持ローラ102との接触部でトナー担持ローラ102の表面とは逆方向に移動させる構成を示しているが、順方向に移動させてもよい。トナー供給ローラ130には供給バイアス電源124によって供給バイアスが印加されている。この供給バイアスの調整により、トナー供給ローラ130からトナー担持ローラ102へのトナー供給量を制御することが可能である。この供給バイアスは、直流電圧でも交流電圧でもよい。また直流電圧に交流電圧を重畳させた電圧でもよい。