以下、本発明を理解する上で参考になる電子写真方式の画像形成装置であるレーザープリンタ(以下、単にプリンタという)の第1参考形態について説明する。図1は、本第1参考形態に係るプリンタを示す概略構成図である。このプリンタは、ドラム状の感光体11の周りに、帯電手段12、光書込ユニット7、現像装置100、レジストローラ対15、転写ローラ16、定着装置19、ドラムクリーニング装置22、除電ランプ23などを備えている。また、プリンタ筐体の上部に配設された排紙ローラ対20や、プリンタ筐体に対して着脱可能に構成された給紙手段たる給紙カセット13なども備えている。
感光体11は、図示しない駆動手段によって図中時計回りに回転せしめられる。このようにして回転駆動される感光体11の表面は、帯電手段12との対向位置を通過する際に、帯電手段12からのコロナ放電等によって一様に帯電せしめられる。光書込ユニット7は、図示しないパーソナルコンピュータ等から送られてくる画像信号に基づいて、一様帯電後の感光体11の表面に対してレーザー光Lによる光走査を行う。これにより、感光体11の露光部には静電潜像が形成される。この静電潜像は、感光体11の回転に伴って現像装置100との対向領域である現像位置まで搬送される。そして、現像装置100から飛翔してくるトナーの付着によってトナー像に現像された後、感光体11と、少なくとも表面が弾性材料からなる転写ローラ16との当接によって形成される転写ニップに送られる。
一方、給紙カセット13は、記録体たる転写紙Pを、複数枚重ねた転写紙束の状態で収容しており、その一番上の転写紙Pに給紙ローラ13aを押し当てている。そして、所定のタイミングで給紙ローラ13aを図中反時計回りに回転させて、一番上の転写紙Pを給紙路に向けて送り出す。送り出された転写紙Pは、給紙路の末端に配設されたレジストローラ対15のローラ間に挟まれる。レジストローラ対15は、転写紙Pの先端側を挟み込むと、すぐに両ローラの回転を停止させる。そして、転写紙Pを上記転写ニップにて感光体11上のトナー像に重ね合わせ得るタイミングで再び両ローラを回転させて、転写紙Pを上記転写ニップに向けて送り込む。送り込まれた転写紙Pは、感光体11上のトナー像と重ね合わされる。
上記転写ニップ内においては、図示しない電源によって転写バイアスが印加される転写ローラ16と、感光体11上の静電潜像領域との間に転写電界が形成される。感光体11上のトナー像は、この転写電界やニップ圧の影響を受けて感光体11表面から転写紙P表面に転写される。そして、感光体11や転写ローラ16の回転に伴って、転写紙Pとともに定着装置19に送られる。
定着装置19は、ハロゲンランプ等の熱源を内包する定着ローラ19aと、これに所定の圧力で当接する加圧ローラ19bとによって定着ニップを形成しながら、両ローラを互いにニップ内で同方向に移動させるように回転させる。上記転写ニップから定着装置19内に送り込まれた転写紙Pは、この定着ニップに挟まれながら、搬送される過程で、加熱や加圧によってその表面にトナー像が定着せしめられる。定着後の転写紙Pは、排紙ローラ対20のローラ間を経由した後、機外へと排出されてスタックされる。
上記転写ニップを通過した後の感光体11表面には、転写紙Pに転写されずに残ってしまった転写残トナーが付着している。この転写残トナーは、感光体11の表面移動に伴ってドラムクリーニング装置22との対向領域を通過する際に、クリーニングブラシによってドラム表面から機械的に掻き取り除去される。このようにしてクリーニングされた感光体11表面は、除電ランプ23からの光照射によって除電された後、帯電手段によって再び一様帯電せしめられる。なお、帯電手段12として、コロトロン等によるチャージャー方式のものを設けた例について説明したが、帯電バイアスが印加される帯電ローラ等による方式のものでもよい。
図2は、感光体11と、現像装置(100)の静電搬送基板101とを示す拡大構成図である。現像装置(100)内では、図示しない領域にて、後述するトナー供給部から静電搬送基板101上にトナーが供給される。静電搬送基板101は、ガラス等からなる絶縁性基板101dに対して、複数の短冊状の搬送電極が基板長手方向(図の左右方向)に所定のピッチで並ぶように配設されている。これら搬送電極は幅寸法(基板長手方向における寸法)が30[μm]になっており、互いに30[μm]の間隙を介して平行配設されている。このような配設により、絶縁性基板上では短冊状の搬送電極がストライプ状に並べられた構成になっている。なお、絶縁性基板101や各搬送電極の上には、絶縁性材料からなる図示しない絶縁層が被覆されている。
各搬送電極について更に詳しく述べると、それらはA群、第B群、第C群の3種類に分類され、同じ群に属する電極同士は互いに電気的に接続された状態になっている。そして、絶縁性基板101d上では、図中左側から右側に向けて、A群に属するA搬送電極101a、B群に属するB搬送電極101b、C群に属するC搬送電極101cという順序が繰り返されるように、各搬送電極が配設されている。各A搬送電極101a、各B搬送電極101b、各C搬送電極101cに対しては、駆動電源回路30からA相駆動バイアス、B相駆動バイアス、C相駆動バイアスがそれぞれ印加される。なお、同図において、トナーはマイナス極性に帯電しており、静電搬送基板101上にて図中右側から左側に向けて搬送される。
図3は、上述のA相駆動バイアス、B相駆動バイアス及びC相駆動バイアスの波形を示す波形図である。各相では、それぞれ電圧−100[V]、持続時間501[μsec]の直流パルス波が501[μsec]の間隔をおいて出力される。ここで、まず上記C搬送電極(101c)に印加されるC相駆動バイアスに着目してみると、時点t0においては0[V]になっている。このとき、上記C搬送電極(101c)に対してトナー搬送方向上流側で隣り合っている上記A搬送電極(101a)も0[V]になっている(C相駆動パルス参照)。また、トナー搬送方向下流側で隣り合っている上記B搬送電極(101a)には、−100[V]の電圧が印加されている(B相駆動バイアス参照)。このような状態において、時点t0における上記C搬送電極(101c)上のトナーは、殆ど動かずにそこに留まっている。
その後、334[μsec]が経過して時点t1が到来すると、上記C搬送電極(101c)には、−100[V]の電圧が印加される。すると、上記C搬送電極(101c)上に存在しているマイナス極性のトナーに対して、C搬送電極(101c)と反発する静電気力が作用する。このとき、上記C搬送電極に対してトナー搬送方向上流側で隣り合っている上記A搬送電極(101a)にも、−100[V]の電圧が印加されている。一方、トナー搬送方向下流側で隣り合っている上記B搬送電極(101b)は、0[V]になっている。このため、上記C搬送電極(101c)上に存在しているマイナス極性のトナーは、上記B搬送電極(101b)に向けて静電移動する。
その後、更に約334[μsec]が経過して時点t2が到来すると、それまで0[V]であった上記B搬送電極(101b)に、−100[V]の電圧が印加される。そして、上記C搬送電極(101c)上からの静電移動によって上記B搬送電極(101b)上に存在するようになったトナーに対して、B搬送電極(101b)と反発する静電気力が作用する。このとき、B搬送電極(101b)に対してトナー搬送方向上流側で隣り合っているC搬送電極(101c)にも、−100[V]の電圧が印加されている。一方、トナー搬送方向下流側で隣り合っているA搬送電極(101a)は、0[V]になっている。このため、B搬送電極(101b)上のトナーは、A搬送電極(101a)に向けて静電移動する。
その後、更に約334[μsec]が経過して時点t3が到来すると、それまで0[V]であったA搬送電極(101a)に、−100[V]の電圧が印加される。そして、B搬送電極(101b)からの静電移動によってA搬送電極(101a)上に存在するようになったトナーに対して、A搬送電極と反発する静電気力が作用する。このとき、A搬送電極(101a)に対してトナー搬送方向上流側で隣り合っているB搬送電極(101b)にも、−100[V]の電圧が印加されている。一方、トナー搬送方向下流側で隣り合っているC搬送電極(101c)は0[V]になっている。このため、A搬送電極(101a)上のトナーは、C搬送電極(101c)に向けて静電移動する。
以上のような静電移動の繰り返しにより、先に示した図2において、静電搬送手段たる静電搬送基板101は、トナーを静電気力によって自らの表面に対して図中右側から左側に向けて相対移動させて搬送する。そして、静電搬送基板101と感光体11とが所定の間隙を介して対向している現像領域に進入させる。この現像領域において、感光体11の画像部11aは0[V]になっているのに対し、非画像部11bは−100[V]になっている。すると、トナーは現像領域中を図中右側から左側に向けて静電移動する過程で、感光体11の画像部11aに付着して静電潜像を現像する。
なお、潜像担持体たる感光体11の非画像部11bについては、静電搬送基板101の各搬送電極に印加する駆動バイアスの電位平均値よりも、トナーの帯電極性側に大きな電位を帯びさせる必要がある。例えば、図3に示した各相の駆動バイアスは、それぞれ、持続時間501[μsec]の−100[V]の電位と、持続時間501[μsec]の0[V]の電位との繰り返しであるので、電位平均値は−50[V]になる。一方、図2における感光体11の非画像部11bの電位は、この−50[V]よりもマイナス極性側に大きな−100[V]になっている。このような電位の関係では、現像領域で静電搬送基板101と感光体11の非画像部11bとの間に存在するトナーが、相対的に静電搬送基板101に向けて静電移動するため、非画像部11bへの付着が阻止される。ところが、非画像部11bの電位を駆動バイアスの電位平均値よりもマイナス極性側に小さくしてしまうと、トナーを相対的に非画像部11bに向けて静電移動させ、付着させてしまうおそれがある。そこで、非画像部11bの電位を駆動バイアスの電位平均値よりもトナーの帯電極性側に大きくするのである。
図4は、本プリンタの現像装置100を感光体11とともに示す拡大構成図である。同図において、この現像装置100は、静電搬送基板101、トナー補給部120、トナー供給手段たるトナー供給部140、クリーニング装置160等からなるトナー搬送装置を有している。
図5、図6、図7は、それぞれ、上記トナー供給部140を示す平断面図、縦断面図、横断面図である。トナー供給部140は、図示しないトナーと摩擦促進物質との混合物を収容する混合物収容部たる収容室を有しており、この収容室は仕切壁141によって第1収容室142、第2収容室143の2つに仕切られている。第1収容室142内には、図示しない駆動手段によって回転駆動される第1搬送スクリュウ144が設けられている。また、第2収容室143内には、図示しない駆動手段によって回転駆動される第2搬送スクリュウ145が設けられている。これら第1搬送スクリュウ144,第2搬送スクリュウ145は、回転軸144a,145aの表面に螺旋突起144b,145bが突設せしめられた構造になっている。それぞれ、スクリューピッチ120[mm]、螺旋突起厚み1.5[mm]になっている。また、回転軸144a,145aは、螺旋突起144b,145bの先端を60[mm/sec]の周速で移動させるように回転せしめられる。また、各スクリュウは、アルミ等の導電性材料からなる基材の表面に、厚さ1[μm]程度の絶縁性材料たるポリイミド樹脂層がコーティングされている。
収容室の両端付近には、それぞれ長さL2(例えば25mm)に渡って仕切壁141の設けられていない連通スペースがあり、2つの収容室(142、143)がここで連通している。図5において、第1搬送スクリュウ144は、図示しないスクリュウ駆動系によって回転駆動されるのに伴って、第1収容室142に収容されている上記混合物を図中左側から右側に向けて攪拌搬送する。これによって第1収容室142の図中右側の連通スペースまで搬送された混合物は、第2収容室143内に進入する。そして、スクリュウ駆動系によって回転駆動される第2搬送スクリュウ143によって今度は図中右側から左側に向けて搬送され、第2収容室143の図中左側の連通スペースを経由して第1収容室142内に戻る。このようにして、収容室内では、混合物が攪拌搬送されながら図中反時計回りに循環する。第2収容室143には、図示しないトナー濃度検知手段が配設されており、第2収容室143内の混合物のトナー濃度を検知してトナー濃度信号を図示しない制御部に出力する。この制御部は、トナー濃度信号に応じて、上記トナー補給部(図4の120)を駆動制御することで、適量のトナーを第1収容室142に補給させる。これにより、収容室内の混合物のトナー濃度が所定範囲内に維持される。第2収容室143内に新たに補給されたトナーは、混合物に取り込まれた後、攪拌搬送に伴って摩擦促進物質に摺擦せしめられながら、第1収容室142に送られる。
図6に示すように、第1収容室142の底には、メッシュ146が設けられている。第1収容室142内では、混合物が第1搬送スクリュウ144によって攪拌搬送されながらメッシュ146の上を通過する。このメッシュ146は、厚さ0.08[mm]のステンレス等からなる金属製板状部材に、長径0.2[mm]且つ短径0.15[mm]の複数の孔が約50[%]の開口率になるように設けられたものである。各孔は、その短径方向をスクリュウ軸線方向に沿わせるような姿勢で設けられている。第1搬送スクリュウ144の螺旋突起144b先端と、メッシュ146との間には、所定の間隙が保持されている。この間隙については、トナーの直径の1/5〜10倍程度の範囲に設定することが望ましい。望ましくはキャリア径の1/3〜2倍程度であると、混合物の入れ替え効率や混合攪拌効率が良くなる。本実施形態のプリンタにおいては、0.7〜1.0[mm]程度に設定されている。第1搬送スクリュウ144の螺旋突起144bの先端と、メッシュ146との間には、所定のギャップを設けることが望ましい。
図7に示すように、第1搬送スクリュウ144のアルミ等からなる導電性基材には、スクリュウ電源回路190が接続されている。また、メッシュ146には、メッシュ電源回路191が接続されている。これら電源回路は、何れもスクリュウやメッシュにマイナス極性の電位を生じせしめるものであり、図示しないメイン制御部によってそれぞれ出力電圧が制御される。トナー供給部140から図示しない上述の静電搬送基板(図4の101)にトナーが供給される際には、これら電源回路からの出力によって第1搬送スクリュウ144、メッシュ146がそれぞれトナーと同極性の電位を帯びる。詳しくは、第1搬送スクリュウ144は、メッシュ146よりもトナーと同極性側(マイナス極性側)に大きな電位を帯びる。また、メッシュ146は、図示しない静電搬送基板(101)の各搬送電極に印加される駆動バイアスの平均電圧値よりも、トナーと同極性側に大きな電位を帯びる。
この駆動バイアスの平均電圧値とは、単位時間あたりにおける駆動バイアスの波形の積分値のことである。例えば、ピークツウピークが0〜−100[V]、デューティー50[%]の矩形波の場合には、駆動歯椅子の平均電圧値が−50[V]となる。デューティーが50[%]よりも高くなる、即ち、−100[V]の出現時間が0[V]の出現時間よりも長くなると、平均電圧値は−50[V]よりもマイナス側に大きくなる。また、ディーティーが50[%]よりも低くなる、即ち、−100[V]の出現時間が0[V]の出現時間よりも短くなると、平均電圧値は−50[V]よりも小さくなる。なお、本発明者らの実験によれば、次に掲げる条件下では、メッシュ146に−0.05〜−3.5[kV]、好ましくは−0.2〜−2.5[kV]のメッシュ電圧を印加すると効果的であった。
・第1搬送スクリュウ144の螺旋突起144bの先端との間隙:1[mm]
・駆動バイアスの平均電圧値:−50[V]
・第1搬送スクリュウ144の電位:接地
トナーとして正帯電性のものを用いる場合に、例えば駆動バイアスの平均電位値が−50[V]であれば、−50[V]よりもプラス側に大きな値のメッシュ電圧をメッシュ146に印加すればよい。より詳しくは、0〜−49[V]のメッシュ電圧である。
第1搬送スクリュウ144に対してメッシュ146よりもマイナス極性側に大きな電位を帯びさせ、且つメッシュ146に対して駆動バイアスの平均電圧値よりもマイナス極性側に大きな電位を帯びさせると図8に示すような電界が形成される。同図において、第1搬送スクリュウ(144)とメッシュ146との間には、スクリュウの螺旋突起144b先端からメッシュ146の孔146a内に向けて延びる電気力線が形成される。また、メッシュ146と図示しない静電搬送基板(101)との間には、孔146aの出口付近から基板に向けて延びる電気力線が形成される。第1搬送スクリュウ(144)によって攪拌搬送される混合物中のトナーは、まず、前者の電気力線の影響を受けて、摩擦帯電粒子の表面から離脱して孔146内に静電移動する。次に、後者の電気力線の影響を受けて孔146を通過した後、静電搬送基板(101)に向けて静電移動する。このような静電移動により、図7に示した第1収容室142内で攪拌搬送される混合物中のトナーが、摩擦帯電物質から分離されて静電搬送基板(101)に供給される。なお、メッシュ146を通過した後のトナーは、メッシュ146の電位よりも平均電圧値の小さい基板上の各搬送電極に向けて相対的に静電移動しながら、基板上でトナー搬送方向にも相対的に静電移動していく。
第1搬送スクリュウ144の螺旋突起144b先端と、メッシュ146との電位差については、両者間の電界強度がトナーと同極性で且つ絶対値が0.3〜3.5[kV/mm]の範囲におさまるように設定することが望ましい。各搬送電極に対する駆動パルスの平均値は、−50[V]である。上記電界強度が3.5[kV/mm]よりも大きくなると、螺旋突起144bから延びる電気力線を孔146aのエッジに集中させてスクリュウからメッシュへの放電を引き起こし易くなるからである。また、0.3[kV/mm]よりも小さくなると、摩擦促進粒子の表面に付着しているトナーに対して、その付着力(鏡像力やファンデルワールス力)よりも大きい静電気力を付与することができなくなるからである。螺旋突起144b先端とメッシュ146との距離が1[mm]である場合には、両者の電位差を絶対値で0.3〜3.5[kV]にすれば、電界強度を上述の範囲に収めることができる。なお、より望ましい電界強度の範囲は、絶対値で0.8〜3.0[kV]である。
本発明者らの実験によれば、螺旋突起144bとメッシュ146との間隙が1[mm]であり、且つメッシュ146を接地して、第1搬送スクリュウ144だけに電圧を印加する場合において、好ましいスクリュウ電圧値は次の通りであった。即ち、−0.3〜−3.5[kV]であった。また、更に好ましいスクリュウ電圧値は、−0.8〜−3.0[kV]であった。
また、本発明者らの実験によれば、上記間隙が1[mm]であり、且つ、第1搬送スクリュウ144を接地して、メッシュ146だけに電圧を印加する場合において、好ましいメッシュ電圧を次の通りであった。即ち、−0.05〜−3.5[kV]であった。また、更に好ましいメッシュ電圧値は、−0.2〜−2.5[kV]であった。
また、発明者らの実験によれば、スクリュウ電圧及びメッシュ電圧の両方を印加する場合において、両電圧の好ましい合計値は、−0.35〜7.0[kV]であった。また、更に好ましい合計値は、−1.0〜−5.5[kV]であった。
なお、図7に示したように、第2収容室143の底には、メッシュが設けられていない。よって、2つの収容室のうち、第1収容室142内のトナーだけが、静電搬送基板101に供給される。
先に示した図8においては、螺旋突起144bとメッシュ146との間に形成される電界をE1で、メッシュ146と図示しない静電搬送基板(101)との間に形成される電界をE2で示した場合に、「E1>E2」という関係が成立している。このような関係では、図8に示したように、螺旋突起144bから延びる電気力線がメッシュ146の孔の奥深くに進入するとともに、メッシュ146の孔の出口付近から図示しない静電搬送基板に向けて電気力線が延びる。そして、電界E1にて摩擦促進粒子の表面から離脱してメッシュ146に向けて飛翔したトナーが、電界E1の電気力線に沿って孔内に進入した後、今度は孔出口付近から静電搬送基板に向かう電気力線に沿って孔外に出る。よって、トナーを効率良く第1収容室(142)内の摩擦促進粒子から分離して静電搬送基板に供給することができる。一方、電界E1<電界E2とした場合には、マイナス極性のトナーに対し、静電搬送基板からメッシュ146に向けて延びる電気力線が孔出口から孔入口の周囲にまで進入してしまう。そうすると、せっかく摩擦帯電粒子から離脱してメッシュ146に向けて飛翔したトナーが、孔内に進入することができず、結果として混合物から分離することができなくなる。なお、E1、E2は互いに同極性とする。
本プリンタで使用されるトナーの平均粒径(直径)は、r=3〜9[μm]の範囲である。また、本プリンタで使用されるメッシュ146の最短径(直径)は、6r〜1/2Rの範囲である。このRは、摩擦促進粒子の平均粒径(直径)である。具体的には、メッシュ146の孔の最短径は、18〜150[μm]程度である。また、メッシュ146の厚さは、20〜150[μm]である。メッシュ146にある程度の剛性を発揮させるためには、厚みを50[μm]以上にすることが望ましい。
E1>E2にする各種電圧の具体的条件としては、螺旋突起144bの先端とメッシュ146との間隙、メッシュ146と静電搬送基板との間隙がともに1[mm]である場合、例えば次のようになる。
・螺旋突起144bとメッシュ146との電位差:−1.1〜−3.5[kV]
・メッシュ146と静電搬送基板(駆動バイアスの電圧平均値)との電位差:−0.05〜−1.0[kV]
このような構成のトナー供給部140において、第1収容室142や第2収容室143は、トナーに対してこれの摩擦帯電を促進する摩擦帯電物質が混合された混合物を収容する混合物収容部として機能している。また、第1搬送スクリュウ144が、第1収容室内で混合物を介してメッシュ146と対向する対向電極として機能している。
先に示した図4において、メッシュ146を透過して静電搬送基板101の図中右側端部に供給されたトナーは、EH現象によってホッピングしながら図中右側から左側に向けて搬送される。そして、感光体11に対向する現像領域で一部が静電潜像の現像に寄与する。現像に寄与したかった残りのトナーは、現像領域の図中左側方に配設された回収スクリュウ102によって回収される。そして、オーガ等の回転部材が配設された図示しない回収経路を通って、トナー供給部140内に戻される。これにより、現像に寄与しなかったトナーがリサイクルされる。
トナー供給部140の第2収容室143には、トナー補給部120が着脱可能に連結している。このトナー補給部120は、補給用のトナーを収容する収容部121と、トナーを第2収容室143に補給するための補給ホッパ125とを有している。収容部121には、図示しない駆動手段によってそれぞれ図中反時計回りに回転駆動される3つのアジテータ122,123,124が配設されている。これらアジテータの回転によって収容部121内のトナーが補給部125に向けて送られる。補給ホッパ125は、先細になるテーパー状の構造になっており、底部には補給ローラ126を有している。そして、収容部121から送られてくるトナーをテーパー構造によって補給ローラ126に向けて落とし込みながら、補給ローラ126の回転によって第2収容室143内に補給する。
上述のように、本プリンタでは、トナー供給部140が、トナーと摩擦促進物質との混合物を収容する混合物収容部たる収容室(142、143)を有している。また、その内部の混合物を攪拌する攪拌部材たる搬送スクリュウ(144、145)を有している。更に、第1収容室142に設けられたメッシュ146も有している。そして、トナーを収容室内で摩擦促進物質と摩擦せしめて、より確実に摩擦帯電させながら、メッシュ146によってふるいにかけて静電搬送基板101に供給している。かかる構成では、摩擦不足で帯電不良となったトナーを静電搬送基板101上に供給することによるトナーの搬送不良を抑えることができる。
金属材料からなるメッシュ146については、金属膜(板)のエッチングやエレクトロホーミング(電鋳)などによって容易に製造することができる。図9(a)、(b)、(c)に、エッチングによるメッシュ形成工程の一例を示す。この一例では、まず、図9(a)に示すように、SUS等の金属膜に対し、レーザー加工による微細加工を施したフォトマスクの孔パターンをフォトレジストによって形成する。次に、図9(b)に示すように、FeCl3等によってエッチングを行って孔を形成する。更に、図9(c)に示すように、レジスト膜を剥離して、メッシュ146を完成させる。なお、エレクトロホーミングによるメッシュ形成については、図10(a)及び(b)に示すような工程で行えばよい。また、細線ワイヤーを編んでメッシュ146を形成することも可能である。
メッシュ146の材料としては、可撓性や摩耗耐久性を発揮するものを用いることが望ましい。また、メッシュ146の孔の形状は、丸形、楕円形、四角形、長方形、星形、異形等のものを採用することができる。本プリンタでは、図9(c)に示したように、メッシュの孔を楕円形状とし、長手方向の孔の大きさを孔の長さLとし、短手方向の孔の大きさを孔の幅Wとしている。
メッシュ146の厚さTについては、20〜150[μm]、好ましくは30〜80[μm]の範囲で設定することが望ましい。このとき、厚さTと、長さLと、幅Wとの関係が、500W≧L、且つ、W/5≦T≦3Wの範囲であることが好ましい。これは、孔の長さLと、幅Wが500W≧Lであると、メッシュ146がある程度強い剛性と、ある程度高い開口率とを両立させるためである。また、幅Wと厚さTとの関係がW/5≦T≦3Wでは金属膜としての平面性や曲率加工が確保できるためである。これにより、メッシュ146の剛性による、ボビン形状や平板の真直性、接触変形と形状回復を機能させることができる。
メッシュ146の開口率については、20〜70[%]の範囲とすることが好ましい。現像する画像が黒ベタの時、ムラ無くその放出量を確保するためには、かかる範囲にしなければならないことが実験によって確認されたからである。
メッシュ146の孔146aについては、トナーの平均粒子径rよりも大きく、摩擦促進粒子Pの平均粒径Rよりも小さいことが必要である。更に、図11(a)及び(b)に示したトナーと、摩擦促進粒子Pとの関係については、6r≧W、且つ、2W≦Rとすることが好ましい。トナーの平均粒子径rに対して6r≧Wとすることで、クラウド状のトナーによるメッシュの目詰まり起こり難くなり、孔146aを通してトナーを容易に供給し続けることができる。また、摩擦促進粒子Pの平均粒子Rに対して2W≦Rとすることで、摩擦促進粒子Pの粒径分布や、連続使用で摩擦促進粒子Pが摩耗、小粒径化したときにも、メッシュ146の孔を通過しないように対応できるよう余裕度を持たせている。
メッシュ146の構造については、金属材料の他、図12に示すように、静電搬送基板101との対向面が金属材料層146bからなり、且つ混合物との接触面が有機樹脂146cからなる二重構造としてもよい。このような構造のメッシュ146では、摩擦促進粒子Pと接触する部分が有機材料であるので、摩擦促進粒子Pに対する摩擦によるダメージが金属材料に較べて小さく、その耐久性を向上させることができる。
メッシュ146の孔146aについては、図13に示すように、トナーが入り込む入口側から出口側に向けて先細になる構造にしてもよい。かかる構造にすることで、出口側にて、孔146a内壁の金属材料部分(146b)から図示しない静電搬送基板(101)に向けて電気力線を確実に延ばすことができる。そして、このことにより、孔146aからのトナーの抜け性を向上させることができる。
また、メッシュ146については、図14に示すように、金属材料からなる基体146dの表面を、絶縁性の保護膜146eで被覆したものとしても良い。この場合、保護膜146eについては、電界強度劣化を起こさないよう0.5〜30[μm]の薄膜とし、SiO2、SiN、Ta2O5、ポリイミド等の材料を用いる。かかる構成のメッシュ146では、帯電したトナーと接触する表面が全て絶縁性の保護膜146eで覆われることで、基体146dからトナーへの電荷注入を阻止することができ、帯電量を適正に保つことができる。また、基体146dと混合物とが接触しないので、混合物、とりわけトナーの劣化も金属部と接触するものと較べて少なくすることができる。
また、メッシュ146については、有機樹脂材料からなる基体146fの外面に、金属材料からなる金属層146gを蒸着や電鋳によって被覆したものとしても良い。この場合、基体146fに用いる有機樹脂材料としては、トナー帯電能力の比較的高いものを用いることが望ましい。金属層146gは、0.5〜5[μm]の厚みの薄膜であり、孔146a内のトナーがこの薄膜から静電搬送基板101に向けて延びる電気力線に沿って孔内を通過する。かかる構成のメッシュ146では、基体146fが有機樹脂材料であるため、良好なフレキシブル性と弾性とを発揮するとともに、良好は形状復元性を発揮する。そして、外から力が加わった場合でも、その形状を安定して保つことができる。また、孔146a内のトナーと接触することでトナーの摩擦帯電を促すこともできる。
また、メッシュ146については、図16に示すように、金属材料からなる基材146hにおけるスクリュー対向面側に、有機樹脂剤量からなる保護層146iを貼り合わせたものとしてもよい。この場合、有機樹脂材料としては、トナー帯電能力の比較的高いものを用いることが望ましい。両材料の貼り合わせ法については、加熱接合によるものや、ホットプレスによるものを用いることができる。有機樹脂材料が用いられたメッシュ146は、良好なフレキシブル性、弾性、及び形状復元性を発揮することができる。
また、メッシュ146については、図17に示すように、トナーが進入する入口側から出口側に向けて広がるテーパー状の形状にしてもよい。外面に向かって傾斜があり、孔径が広がる形状に形成してもよい。なお、この孔の大きさは、上述のようにメッシュの長さL、幅W、厚さTとの関係が、500W≧L、且つ、W/5≦T≦3Wの範囲であり、トナーの平均粒径r、摩擦促進粒子Pの平均粒径Rとの関係が6r≧W、且つ、2W≦Rである。出口側に向けて広がる傾斜を孔内壁に形成することで、内壁へのトナー付着を抑えることができる。
先に示した図4において、クリーニング装置160は、第1駆動ローラ161、第2駆動ローラ162、無端状の移動ベルト163、吸引ノズル164、吸引ホース165、図示しないバキューム装置等を有している。吸引ホース165は、容易に変形するフレキシブルな構成となるように樹脂等の材料からなり、バキューム装置と吸引ノズル164とを連結している。バキューム装置が駆動すると、吸引ノズル164の先端にエアー吸引力が発生する。移動ベルト163は、第1駆動ローラ161と第2駆動ローラ162とに張架されながら、これらローラの駆動によって図中時計回りや反時計回りに移動する。吸引ノズル165は、このように移動する移動ベルト163の図中下面に固定されて、その先端を静電搬送基板101と所定の間隙を介して対向させている。また、静電搬送基板101に対してその幅方向(図中奥行き方向)の全域で対向する形状になっている。そして、移動ベルト163の図中時計回りや反時計回りの回転に伴って、静電搬送基板101との対向領域を往復移動しながら、静電搬送基板101表面上の異物を吸引する。かかる構成では、移動ベルト163、第1駆動ローラ161、第2駆動ローラ162、これら駆動ローラの駆動系などが、エアー吸引部たる吸引ノズル164を静電搬送基板101の表面に沿って移動させる移動手段として機能しいている。
上記バキューム装置、第1駆動ローラ161、第2駆動ローラ162の駆動は、制御部によって制御される。この制御部は、この駆動を制御する他、上述のトナー補給やトナー供給など、プリンタ全体の各種制御を司っている。そして、上記現像領域を感光体11上の静電潜像が通過していない非現像動作期間中など、現像領域にトナーを搬送する必要のないときに、バーキュー装置や駆動ローラ(161、162)を駆動させる。この駆動により、静電搬送基板101上に存在する低帯電能力トナーを含む多量のトナー粉末が、微量の外添剤、埃及び紙粉とともに静電搬送基板の表面から吸引除去される。このようにして低帯電能力トナー、外添剤、埃及び紙粉が静電搬送基板101の表面から定期的に除去されることで、静電搬送基板101の表面上でトナーが堆積することに起因する搬送不良が有効に抑えられる。
本プリンタのクリーニング装置160は、上述のように、吸引ノズル164を静電搬送基板101の表面に沿って移動させる移動手段を有している。かかる構成では、吸引ノズル164を移動させながら吸引を行うことで、吸引ノズル164を固定したまま動かさない構成に比べて、静電搬送基板101のより広い領域をクリーニングして、より確実に搬送不良を抑えることができる。
図18は、クリーニング中における上記A相駆動バイアス、B相駆動バイアス及びC相駆動バイアスの波形を示す波形図である。クリーニング装置(160)による吸引が行われるクリーニング中には、同図に示されるように、電位差200V(+100〜−100V)の直流パルス波が各搬送電極に印加される。一方、静電潜像の現像が行われる現像期間中には、先に図3に示したように、電位差100V(0〜−100V)の直流パルス波が各搬送電極に印加される。即ち、直流パルス波を制御する上記制御部は、クリーニング中には現像中に比べてパルス波の波高を大きくするようになっている。かかる構成では、クリーニング中に、より大きな波高のパルス波を印加することで、静電搬送基板面からホップする際のトナーの運動エネルギーをより大きくして、基板面からのトナーの吸引除去をより行い易くすることができる。そして、このことにより、低帯電能力トナー、外添剤、埃及び紙粉をより確実に除去することが可能になる。
なお、図18に示したように、クリーニング中における駆動バイアスについては、必ずしも極性をトナーと同じマイナスに揃えなくても良い。図示のように、極性を反転させる駆動バイアスでもよいのである。但し、トナーを効率良く基板面上から待避させるためには、同極性側の電位を、逆極性側の電位と同等以上にすることが望ましい。
次に、本発明を適用した実施形態に係るプリンタについて説明する。なお、本プリンタの構成の大半は、第1参考形態に係るプリンタと同様であるので、第1参考形態に係るプリンタと異なる点だけを説明する。
図19は、本プリンタの現像装置100を感光体11とともに示す拡大構成図である。現像装置100のクリーニング装置160は、第1参考形態のものとは異なった構成になっている。具体的には、駆動ローラ166、従動ローラ167、無端状の移動ベルト168、スクレーパ169、スクレーパセンサ170等を備えた構成になっている。移動ベルト168は、その幅が静電搬送基板101の幅と同程度になっている。そして、駆動ローラ166と従動ローラ167とに張架されながら、図示しない駆動手段によって図中反時計回りに回転駆動される駆動ローラ166によって図中反時計回りに無端移動せしめられる。このように無端移動せしめられる移動ベルト168のおもて面(ループ外面)には、接触部材たる板状のスクレーパ169がベルト幅方向に延在するように突設せしめられている。移動ベルト168の無端移動に伴ってベルトの下側に位置したスクレーパ169は、その先端側を静電搬送基板101の表面に接触させながら、図中左側から右側に向けて移動する。かかるスクレーパ169としては、シリコン、ポリエステル、ポリウレタン等からなる弾性体や弾性発泡体が板状に成形されたものを用いることができる。また、板状の基材に起毛状の繊維を植毛したり、不織布を貼り付けたりしたものでもよい。また、板状のものではなく、ブラシ状のものでもよい。
上記スクレーパセンサ170は、現像装置筺体の天板に固定されており、ベルト部材168の無端移動に伴ってベルトの上側に移動してきたスクレーパ169を検知して、検知信号を上記制御部に出力する。上記制御部は駆動ローラ166の駆動源となっている図示しない駆動モータをこの検知信号を受信し得る位置で停止させることで、スクレーパ169を静電搬送基板101に接触させない状態で、ベルト部材168の無端移動を停止させる。かかる構成では、スクレーパ169が移動ベルト168の無端移動に伴ってベルトの下側に移動したり上側に移動したりすることで、クリーニング装置160が静電搬送基板101に対して接離可能になっている。そして、上記駆動モータ、駆動ローラ166、従動ローラ167、ベルト部材168などが、接触部材たるスクレーパ169を静電搬送基板101の表面に沿って移動させる移動手段として機能している。
トナー供給部140は、上述のスクリュウ電圧のON/OFFにより、静電搬送基板101に対するトナー供給を開始したり、停止したりすることができる。上記制御部は、少なくとも現像期間中には、上記スクリュウ電圧をONさせながら、先に図3に示した現像用の駆動パルス電圧を各搬送電極に出力させて、静電潜像の現像を行わせる。一方、非現像期間中には、所定のタイミングで上記スクリュウ電圧をOFFさせて、トナー供給装置140から静電搬送基板101へのトナー供給を停止させる。更に、このようにトナー供給を停止させた状態にて、所定のタイミングでクリーニング用の制御を行う。このクリーニング用の制御では、まず、現像用の駆動パルス電圧が各搬送電極に出力されて、静電搬送基板101の表面に存在しているトナーの殆どが回収スクリュウ102まで搬送されて回収される。理論的には、これによって静電搬送基板101上のトナーが全て回収されるのであるが、実際には、低帯電能力トナーが搬送されずに静電搬送基板101の表面に残留してしまう。また、トナーから離脱した外添剤や、埃、紙粉なども残留してしまう。そこで、これら低帯電能力トナー、外添剤、埃、紙粉等からなる微量の残留物を除去すべく、クリーニング用の制御が開始されてしばらくすると、ベルト部材168の無端移動が開始される。そして、この無端移動に伴って移動するスクレーパ169が少なくとも静電搬送基板101に接触する間は、各搬送電極への駆動パルス電圧が図3に示した現像用のものから図18に示したクリーニング用のものに切り換えられる。静電搬送基板101上の残留物に含まれる低帯電能力トナーは、この切り換えにより、基板面からのホッピングが促されながらスクレーパ169に掻き取られてスクレーパ表面に転移する。
トナー供給部140の上方には、回収ローラ181や除去ブレード182等を有する残留物回収部180が配設されている。回収ローラ181は、その周面の一部を残留物回収部180のケーシング開口から突出させるように回転可能に支持されている。そして、回収バイアスが印加されながら、図示しない駆動手段によって回転駆動せしめられる。
静電搬送基板101との対向位置で基板面上の残留物を転移させたスクレーパ169は、やがて静電搬送基板101から離間して、ベルト部材168の上側に移動する。この移動に伴い、残留物回収部180の回収ローラ181との接触位置を通過するが、その際、表面に付着させた残留物が回収ローラ181によって静電的に除去される。除去された残留物は、回収ローラ181に当接する除去ブレード182によってローラ表面から掻き取られて、残留物回収部180内に蓄えられる。
以上の構成の本プリンタにおいて、クリーニング装置160は、多量の余剰トナーを回収する必要のある上記特許文献4や5に記載の回収手段とは異なり、微量の残留物を除去するのに適した構成になっている。従って、かかるクリーニング装置160によって残留物を静電搬送基板101の表面から定期的に除去することで、静電搬送基板101の表面上でトナーが堆積することに起因する搬送不良を抑えることができる。
なお、スクレーパ169に代えて、第1参考形態に係るプリンタと同様の吸引ノズル等からなる吸引手段を、移動ベルト169のおもて面に固定してもよい。この場合には、吸引ノズルを往復移動させるように、移動ベルト168を一周させずに、所定のタイミングで無端移動方向を逆方向にする。
スクレーパ169は、移動ベルト169に対してワンタッチで着脱可能に構成されている。かかる構成では、長期に渡る使用によるトナー固着や摩耗などによってクリーニング性能が停止してしまったスクレーパ169を、容易に交換してそのクリーニング性能を復活させることができる。
図20は、本実施形態に係るプリンタの変形例装置を示す概略構成図である。この変形例装置は、イエロー(Y),マゼンダ(M),シアン(C),黒(K)の各色の画像を形成するための4組のプロセスユニット1Y,M,C,Kを備えている。なお、以下、各符号の添字Y,M,C,Kは、それぞれイエロー、マゼンダ、シアン、黒用の部材であることを示す。
プロセスユニット1Y,M,C,Kは、潜像担持体としてのドラム状の感光体11Y,M,C,Kを有している。本変形例装置は、これらプロセスユニット1Y,M,C,Kの他、光書込ユニット7、給紙カセット3,4、レジストローラ対15、転写ユニット6、ベルト定着方式の定着装置19、排紙トレイ8を備えている。また、図示しない手差しトレイ、電源ユニットなども備えている。
上記光書込ユニット7は、光源、ポリゴンミラー、f−θレンズ、反射ミラー等を備え、画像データに基づいて各感光体11Y,M,C,Kの表面にレーザー光を走査しながら照射する。
各プロセスユニット1Y,M,C,Kは、少なくとも、潜像担持体たる感光体(11Y,M,C,K)と、現像手段たる現像装置とを1つのユニットとして共通の支持体に支持させたものである。そして、それぞれ変形例装置の本体に対して着脱可能に構成されており、内部の部品が寿命に達した時点で交換される。
図21は、上記プロセスユニット1Y,M,C,Kのうちの何れか1つを、上記転写ユニット6の一部とともに示す拡大構成図である。なお、各プロセスユニット1Y,M,C,Kは、使用するトナーの色が異なる点の他は、ほぼ同様の構成になっているので、同図においては、符号の添字Y,M,C,Kを省略している。同図において、プロセスユニット1は、感光体11の他、これの表面に対して潤滑剤を塗布するブラシローラ24を有している。また、クリーニング処理を施す揺動可能なカウンタブレード22a等からなるドラムクリーニング装置や、除電処理を施す除電ランプ14なども有している。更には、感光体11を一様帯電せしめる帯電手段12や、現像装置100なども有している。
プロセスユニット1において、図示しない電源によって交流の帯電バイアスが印加されるローラ等を有する帯電手段12は、感光体11に当接するように配設されている。そして、図示しない駆動手段により、当接部でその表面を感光体11の表面移動と同方向に移動させるように回転せしめられながら、感光体11の表面を一様帯電せしめる。このように一様帯電せしめられた感光体11の表面に、上記光書込ユニット(図20の7)で変調及び偏向されたレーザー光が走査されながら照射されると、感光体11の表面に静電潜像が形成される。この静電潜像は、後述する現像装置100によってトナー像に現像される。
先に示した図20において、本体筺体の下部には、2つの給紙カセット3,4が配設されている。これら給紙カセット3,4は、内部に転写紙束を収容しており、その一番上の転写紙Pに給紙ローラ3a,4aを押し当てている。そして、所定のタイミングで給紙ローラ3a,4aを回転させて、転写紙Pを給紙路に送り出す。この給紙路の末端には、レジストローラ対15が配設されており、送られてきた転写紙Pを、Y用のプロセスユニット1Yの感光体11Y上に形成されたYトナー像に同期させ得るタイミングで、転写ユニット6に向けて送り出す。
転写ユニット6は、感光体11Y,M,C,Kのそれぞれに接触して4つの転写ニップを形成しながら無端移動する表面移動体たる転写搬送ベルト60を有している。転写搬送ベルト60は、各プロセスユニット1Y,M,C,Kの感光体11Y,M,C,Kに接触して4つの転写ニップを形成するように、4つの支持ローラ61に掛け回されている。これらの支持ローラ61のうち、図中最も右側のものに対しては、図示しない電源から所定電圧が印加された静電吸着ローラ62が対向するように配置されている。この静電吸着ローラ62からの電荷付与により、転写搬送ベルト60は、そのおもて面(スープ外面)に転写紙Pを静電吸着することができる。
各転写ニップの下方には、転写搬送ベルト60の裏面に接触する転写バイアス印加ローラ65Y,M,C,Kが設けられている。これら転写バイアス印加ローラ65Y,M,C,Kには、図示しない転写バイアス電源によって定電流制御される転写バイアスが印加される。これにより、転写搬送ベルト60に転写電荷が付与され、各転写ニップにおいて転写搬送ベルト60と感光体表面との間に所定強度の転写電界が形成される。なお、本変形例装置においては、転写バイアス印加部材として転写バイアス印加ローラ65を設けているが、ローラに代えて、ブラシやブレード等のものを設けてもよい。
図中の一点鎖線は、転写紙の搬送経路を示している。給紙カセット3,4から給送された図示しない転写紙は、図示しない搬送ガイドにガイドされながら複数の搬送ローラ対によって搬送され、レジストローラ対15が設けられている一時停止位置に送られる。このレジストローラ対15によって所定のタイミングで送り出された転写紙は上記転写搬送ベルト60に保持され、感光体11Y,M,C,Kに接触し得るY転写ニップ、M転写ニップ、C転写ニップ、K転写ニップを順次通過する。これにより、各プロセスユニット1Y,M,C,Kの感光体11Y,M,C,K上で現像されたY,M,C,Kトナー像が、それぞれ転写ニップで転写紙Pに重ね合わされ、上記転写電界やニップ圧の作用を受けて転写紙上に転写される。この重ね合わせの転写により、転写紙上にはフルカラー画像が形成される。
フルカラー画像が形成された図示しない転写紙は、加熱ベルトを備える上記定着装置19内でこのフルカラートナー像が定着された後、排紙トレイ8上に排出される。
図21において、トナー像が転写された後の感光体11の表面は、ブラシローラ24で所定量の潤滑剤が塗布された後、カウンタブレード22aでクリーニングされる。そして、除電ランプ23から照射された光によって除電され、次の静電潜像の形成に備えられる。
カウンタブレード22aによってクリーニングされた感光体11表面には、どうしても除去し切れなかったトナーが僅かながら残ってしまう。このように残ってしまったクリーニング残トナーは、感光体11表面に当接しながら回転する帯電手段12に付着して汚れとなってしまう。この汚れがそのまま放置されると、やがて帯電手段12上で堆積したクリーニング残トナーによって感光体11の局所的な帯電不良が発生し、黒スジなどの異常画像を引き起こしてしまう。そこで、プロセスユニット1Yには、帯電手段12に付着したクリーニング残トナーをクリーニングするローラクリーニングが設けられている。
現像装置100は、静電搬送手段として、板状の静電搬送基板ではなく、筒状の静電搬送ドラム101Aを備えている。この静電搬送ドラム101Aは、例えば次のようにして製造されたものである。即ち、まず、ポリイミドなどからなる円筒状の樹脂基材のおもて全面に、アルミ等からなる導電層が蒸着された後、導電層がフォトリソグラフィー法によって各搬送電極やバスライン(共通電極にパターンニングされる。そして、パターンニングされた各電極や樹脂基材の上に、絶縁層が被覆されたものである。絶縁層としては、SiO2等の無機材料をスパッタ工法によって薄層化したものや、スピンコートによって形成した厚み1〜2[μm]程度の有機膜などを、各搬送電極の上に貼り付けたものでもよい。かかる構成の静電搬送ドラム101Aは、図示しない駆動手段によって図中反時計回りに回転駆動されるようになっている。本プリンタは、静電搬送部材として、表面の無端移動が可能なものを用いるのである。但し、現像期間中には静電搬送ドラム101Aの回転駆動が停止される。なお、同図において静電搬送ドラム101Aの周囲に付されている矢印は、静電搬送ドラム101Aの回転方向を示すものではなく、ドラム面上におけるトナーの搬送方向を示している。
図22は、静電搬送ドラム101Aを示す斜視図である。なお、同図では、便宜上、ドラム表面に被覆されている絶縁層の図示を省略している。静電搬送ドラム101Aのおもて面には、ドラム軸線方向に延在する短冊状の搬送電極が、周方向の全周に渡って所定間隔で並ぶように複数設けられている。これら搬送電極は、第1実施形態の静電搬送基板と同様に、幅寸法が30[μm]になっており、互いに30[μm]の間隙を介して配設される。そして、A搬送電極101a、B搬送電極101bという順で並んでおり、それぞれ、現像中には図3に示したA相、B相、C相駆動バイアスが出力される。
図23は、本変形例装置の現像装置100を、感光体11とともに示す拡大構成図である。この図においても、Y,M,C,Kの添字の記載を省略している。同図において、現像装置100は、静電搬送ドラム101Aの他、トナー補給部120、トナー供給部140、クリーニング装置160などを備えている。トナー補給部120は、縦長の形状である点や、内部にアジテータが設けられていない点の他が、第1実施形態のものとほぼ同様になっている。そして、内部に収容しているトナーを、補給ローラ126の回転によってトナー供給部140の第2収容室143内に補給する。
上記トナー供給部140は、第1参考形態のものとほぼ同様の構成になっているが、静電搬送手段の重力方向上方ではなく、重力方向下方に配設されている。トナー供給部140の第2収容室143内に補給されたトナーは、トナーと摩擦帯電粒子との混合物に混合されて摩擦帯電が促されながら、第2搬送スクリュウ145によって搬送された後、第1収容室142に受け渡される。第1収容室142内の第1搬送スクリュウ144に、図示しない電源によってスクリュウバイアスが印加されると、第1搬送スクリュウ144と、それの上方にあるメッシュ146との間に電位差が生ずる。第1搬送スクリュウ144によって図中奥行き方向に搬送される混合物中のトナーは、この電位差により、混合物中の摩擦帯電粒子表面から離脱して、重力に逆らってメッシュ146に向けて飛翔する。そして、メッシュ146を通過して、静電搬送ドラム101Aにおける図中下側の面に供給される。次いで、各搬送電極に現像用の駆動パルス電圧が出力される静電搬送ドラム101Aの曲面上を、EH現象によって図中反時計回りにホッピングしながら曲面に沿って搬送される。このとき、トナーは静電搬送ドラム101A上でも重力に逆らって搬送されることになるが、本発明者らの試験によれば、トナーをドラム面から離脱させてしまうことはなかった。
トナーは、静電搬送ドラム101Aの曲面に沿って図中反時計回りに約280[°]搬送されると、感光体11に対向する現像領域に到達し、ここで一部が静電潜像の現像に寄与する。現像に寄与したかった残りのトナーは、現像領域を通過する。
上記トナー供給部140の図中左側の端部には、静電搬送ドラム101Aに向かって突出する形状の回収通路が形成されており、その先端の回収口を静電搬送ドラム101Aに向けて開口させている。また、この回収通路には、図中奥行き方向に延在する回収電極が所定のピッチで並ぶ回収電極群148が設けられている。各回収電極には、プラス極性の直流パルス電圧である回収パルス波が、それぞれ位相をずらして出力される。現像領域を通過した余剰のトナーは、上述の回収口との対向位置を通過する際に、これら回収電極群148に静電的に引き寄せられて、ドラム面上から回収通路内に移行する。そして、各回収電極に出力される回収パルス波の影響によって回収通路に沿って図中上側から下側に向けて搬送されて、第1収容室142内に回収される。これにより、現像に寄与しなかったトナーがリサイクルされる。このように、本プリンタでは、回収通路や回収電極群148が、静電搬送手段たる静電搬送ドラム101Aの表面から余剰のトナーを回収する回収手段として機能している。
トナー供給部の第2収容室143には、トナー濃度検知手段147が配設されており、第2収容室143内の混合物のトナー濃度を検知してそれに応じた値の電圧を出力する。この出力電圧の値は、図示しない制御部に送られる。制御部は、RMA等の記憶手段を備えており、この中にトナー濃度検知手段からの出力電圧の目標値であるY用Vtrefや、他の現像装置に搭載されたTセンサからの出力電圧の目標値であるM,C,K用Vtrefのデータを格納している。そして、Y用の現像装置100については、トナー濃度検知手段147からの出力電圧の値とY用Vtrefを比較し、後述のトナー補給部(図2の160)を比較結果に応じた時間だけ駆動させる。このようにトナー補給部の駆動が制御されることで、トナー供給に伴ってトナー濃度を低下させたトナー供給部140内の混合物に適量のYトナーが補給され、そのYトナー濃度が所定の範囲内に維持される。他色の現像装置100についても、同様のトナー補給制御が実施される。
静電搬送ドラム101Bの図中上方には、クリーニングローラ171、除去ブレード172等を有するクリーニング装置160が、静電搬送ドラム101Aに対して接離可能に配設されている。図24に示すように、図示しないソレノイソ等の移動手段によって上下移動せしめられることで、クリーニングローラ171を静電搬送ドラム101Aに接離させることができる。このクリーニングローラ171は、金属製の芯金に、ゴムや樹脂等の弾性材料が被覆された構成になっており、図示しない駆動手段によって図中反時計回りに回転駆動される。また、図示しない電源により、トナーとは逆極性(本例では正極性)のクリーニングバイアスが印加される。
上記制御部は、少なくとも現像期間中には、クリーニング装置160を静電搬送ドラム101Aに接触させない待避位置に待避させる。また、上述のように、静電搬送ドラム101Aを回転させないように、ドラムの駆動源を停止させる。また、上記スクリュウ電圧をONさせながら、先に図3に示した現像用の駆動パルス電圧を各搬送電極に出力させて、静電潜像の現像を行わせる。
トナー供給部140は、上述のスクリュウ電圧のON/OFFにより、静電搬送ドラム101Bに対するトナー供給を開始したり、停止したりすることができる。上記制御部は、少なくとも現像期間中には、上記スクリュウ電圧をONさせながら、先に図3に示した現像用の駆動パルス電圧を各搬送電極に出力させて、静電潜像の現像を行わせる。この際、トナー供給部140から静電搬送ドラム101Aに供給されたトナーは、ドラムの曲面に沿って搬送されながら、クリーニング装置160との対向位置を通過した後に、現像領域に進入する。クリーニング装置160は、現像中には静電搬送ドラム101Aから離間しているので、搬送中の多量のトナーをクリーニングしてしまうことはない。
一方、非現像期間中には、上記制御部は所定のタイミングで上記スクリュウ電圧をOFFさせて、トナー供給装置140から静電搬送ドラム101Aへのトナー供給を停止させる。そして、各搬送電極に現像用の駆動パルス電圧を出力させて、静電搬送ドラム101Aの表面上で搬送中のトナーを、第1収容室142内に回収させる。次いで、静電搬送ドラム101Aを回転駆動させたり、クリーニング装置160を静電搬送ドラム101Aに接触するクリーニング位置に移動させたり、駆動パルス電圧を現像用のものからクリーニング用のものに切り換えたりする。すると、静電搬送ドラム101Aが回転するクリーニングローラ171に摺擦しながら図中反時計回りに回転して、その周面が順次クリーニング位置に進入する。このクリーニング位置では、クリーニングバイアスが印加されるクリーニングローラ171が静電搬送ドラム101Aのおもて面に接触しながら回転している。上述の回収通路に対向する回収位置を通過した後の静電搬送ドラム101Aのおもて面に残留している微量の低帯電能力トナーは、静電気力によってドラム表面からクリーニングローラ171表面に転移する。この際、ベルト表面に残留していた外添剤、埃、紙粉なども、トナーと一緒にローラ表面に転移する。そして、クリーニングローラ171の表面に転移した低帯電能力トナー等からなる残留物は、除去ブレード172によってローラ表面から掻き取られて、クリーニング装置160内に蓄えられる。
かかる構成の変形例装置においては、静電搬送ドラム101Aを回転させて静電搬送ドラム周囲の所定位置にあるクリーニング位置に逐次送り込むことで、静電搬送ドラム101Aの全面をクリーニングすることができる。このように全面のクリーニングを可能にすると、トナーの堆積による静電搬送不良をより確実に抑えることができる。これに対し、静電搬送手段として、表面が無端移動不能なものを用いた場合、クリーニング装置160として静電搬送手段表面に沿って移動可能なものを用いたとしても、現像領域付近の静電搬送手段表面をクリーニングすることができない。
上述のように、接触部材たるクリーニングローラ171も、静電搬送ドラム101Aと同様に表面の無端移動が可能である。クリーニングローラ171の回転については、接触部でベルトと同方向に表面移動する順方向、ベルトと逆方向に表面移動するカウンタ方向の何れであってもよい。但し、カウンタ方向の方が、機械的な掻き取り効果をより発揮させることができるので、順方向に比べてより確実なクリーニングを実現することができる。
クリーニングローラ171にクリーニングバイアスを印加する図示しない電源は、接触部材たるクリーニングローラ171に対して静電気力による吸着力を発生させる吸着力発生手段として機能している。このような吸着力発生手段を設けることで、クリーニングローラ171に対して、機械的な掻き取りによる残留物除去機能の他に、静電的な残留除去機能も発揮させて、より確実なクリーニングを実現することができる。なお、吸着力発生手段としては、接触部材にクリーニングバイアスを印加するもののほか、接触部材を摩擦によって所定極性に帯電させるものなどが挙げられる。
クリーニングローラ171は、クリーニング装置160に対してワンタッチで着脱可能に構成されている。かかる構成では、長期に渡る使用によるトナー固着や摩耗などによってクリーニング性能が停止してしまったクリーニングローラ171を、容易に交換してそのクリーニング性能を復活させることができる。
以上の構成の本変形例装置においては、現像装置として、潜像担持体たる感光体上の潜像を互いに異なる色のトナーによって現像する複数のものを備えている。そして、転写ユニット(6)が、感光体上で現像された互いに異なる色のトナー像を転写体たる転写紙Pに重ね合わせて転写する転写手段として機能している。かかる構成では、重ね合わせの転写によって多色画像を形成することができる。なお、かかる多色画像を形成すべく、感光体を複数並べて配設したいわゆるタンデム方式の例について説明したが、1つの感光体の周りに複数の現像装置を配設してもよい。この場合には、感光体上で順次現像した単色画像を、感光体から中間転写ベルト等の中間転写体に順次重ね合わせて転写させるようにすればよい。
なお、上記制御部は、静電搬送ドラム101Aの回転を停止させた状態で現像装置100による現像が行われるように静電搬送ドラム101Aの回転を制御する制御手段として機能している。静電搬送ドラム101Aを用いた現像装置100においては、静電搬送ドラム101Aを回転させながら現像を実施すると、各搬送電極を、静電気力によってドラム表面から離れたトナーに対して相対移動させることになる。すると、各駆動パルス電圧のパルス出現タイミングと、各搬送電極と、トナーとの相対位置のバランスを崩して、トナーの良好な静電搬送を妨げてしまうおそれがある。静電搬送ドラム101Aの回転を停止させた状態で現像を行えば、このような事態を回避することができる。
また、本変形例装置において、クリーニング装置160として、図24に示した構成のものに代えて、図4に示した吸引方式のものを用いても良い。更に、表面が無端移動可能な静電搬送手段として、ドラム状の静電搬送ドラム101Aに代えて、ローラ状やベルト状のものを用いても良い。また、表面が無端移動可能なクリーニングローラ171に代えて、表面が無端移動可能なクリーニングベルトやクリーニングブラシ等を用いてもよい。
次に、第2参考形態のプリンタについて説明する。なお、本第2参考形態に係るプリンタの構成の大半は、実施形態に係るプリンタと同様であるので、同プリンタと異なる点だけを説明する。
図25は、本第2参考形態に係るプリンタの現像装置100を、感光体11とともに示す拡大構成図である。この現像装置100は、静電搬送手段として、板状の静電搬送基板ではなく、無端状の静電搬送ベルト101Bを備えている。絶縁性フォルム等の可撓性基材に、各搬送電極、バスライン、絶縁層などが被覆されたエンドレスベルトである。かかる構成の静電搬送ベルト101Bは、半円状の2つの張架部材104,105に張架されており、図示しない駆動手段によって回転駆動される圧接ローラ対106によって図中反時計回りに無端移動せしめられる。圧接ローラ対106は、両ローラ間に静電搬送ベルト101Bを挟み込みながら、挟み込み部で両ローラを互いに同方向に移動させるように回転させて、静電搬送ベルト101Bを図中左側から右側に向けて送る。これにより、静電搬送ベルト101Bが無端移動せしめられる。
このようにして無端移動せしめられる静電搬送ベルト101Bの図中右側方には、クリーニングローラ171、除去ブレード172等を有するクリーニング装置160が配設されている。このクリーニングローラ171は、金属製の芯金に、ゴムや樹脂等の弾性材料が被覆された構成になっており、図示しない駆動手段によって図中反時計回りに回転駆動される。また、図示しない電源により、トナーとは逆極性(本例では正極性)のクリーニングバイアスが印加される。
上記制御部は、少なくとも現像期間中には、静電搬送ベルト101Bを無端移動させないように、圧接ローラ対106の回転駆動を停止させる。また、上記スクリュウ電圧をONさせながら、先に図3に示した現像用の駆動パルス電圧を各搬送電極に出力させて、静電潜像の現像を行わせる。静電搬送ベルト101Bの図中左側方には、回収ブレード103がベルトのおもて面に当接するように配設されている。そして、EH現象によって静電搬送ベルト101B上で搬送されながら現象領域を通過した余剰のトナーに突き当たるようになっている。突き当たったトナーは、回収ブレード103上に堆積するが、やがて重力の作用によって回収ローラ102上に落下して回収される。
一方、非現像期間中には、上記制御部は所定のタイミングで上記スクリュウ電圧をOFFさせて、トナー供給装置140から静電搬送基板101へのトナー供給を停止させる。また、圧接ローラ対106を回転駆動させたり、各搬送電極への駆動パルス電圧を現像用のものからクリーニング用のものに切り換えたりする。すると、静電搬送ベルト101Bが回収ブレード103に摺擦しながら無端移動して、回収ブレード103によるトナーの回収が促進される。回収ブレード103による回収位置を通過した静電搬送ベルト101Bは、クリーニング装置160によるクリーニング位置に進入する。このクリーニング位置では、クリーニングバイアスが印加されるクリーニングローラ171が静電搬送ベルト101Bのおもて面に接触しながら回転している。上記回収位置を通過した後の静電搬送ベルト101Bのおもて面に残留している微量の低帯電能力トナーは、静電気力によってベルト表面からクリーニングローラ171表面に転移する。この際、ベルト表面に残留していた外添剤、埃、紙粉なども、トナーと一緒にローラ表面に転移する。そして、クリーニングローラ171の表面に転移した低帯電能力トナー等からなる残留物は、除去ブレード172によってローラ表面から掻き取られて、クリーニング装置160内に蓄えられる。
かかる構成の本プリンタにおいては、静電搬送ベルト101Bを無端移動させて、ベルト周囲の所定位置にあるクリーニング位置に逐次送り込むことで、静電搬送ベルト101Bの全面をクリーニングすることができる。このように全面のクリーニングを可能にしつつ、静電搬送手段として静電搬送ベルト101Bを用いると、トナーの堆積による静電搬送不良を抑えつつ、現像領域をより広く確保することが可能になる。具体的には、静電搬送手段として無端移動不能なものを用いた場合には、上述のように、現像領域付近の静電搬送手段表面をクリーニングすることができないことから、現像領域をできる限り狭くすることが望ましい。これに対し、静電搬送手段として、表面が無端移動可能なものを用いれば、現像領域を広くしても差し障りない。そこで、静電搬送ベルト101Bを用いることで、トナーの堆積による静電搬送不良を抑えつつ、現像領域をより広く確保することが可能になるのである。
上述のように、接触部材たるクリーニングローラ171も、静電搬送ベルト101Bと同様に表面の無端移動が可能である。クリーニングローラ171の回転については、接触部でベルトと同方向に表面移動する順方向、ベルトと逆方向に表面移動するカウンタ方向の何れであってもよい。但し、カウンタ方向の方が、機械的な掻き取り効果をより発揮させることができるので、順方向に比べてより確実なクリーニングを実現することができる。
クリーニングローラ171にクリーニングバイアスを印加する図示しない電源は、接触部材たるクリーニングローラ171に対して静電気力による吸着力を発生させる吸着力発生手段として機能している。このような吸着力発生手段を設けることで、クリーニングローラ171に対して、機械的な掻き取りによる残留物除去機能の他に、静電的な残留除去機能も発揮させて、より確実なクリーニングを実現することができる。
なお、回収位置を通過した静電搬送ベルト101B上に残る残留物の量によっては、クリーニングを常時行う必要がない場合もある。このような場合には、図25の点線で示すように、ソレノイド等の駆動によってクリーニング装置160を接離可能に構成することが望ましい。かかる構成にすることで、静電搬送ベルト101Bを常時クリーニングすることによるクリーニングローラ171の劣化を抑えつつ、トナーの堆積による静電搬送不良を抑えることができる。
クリーニングローラ171は、クリーニング装置160に対してワンタッチで着脱可能に構成されている。かかる構成では、長期に渡る使用によるトナー固着や摩耗などによってクリーニング性能が停止してしまったクリーニングローラ171を、容易に交換してそのクリーニング性能を復活させることができる。
なお、上記制御部は、静電搬送ベルト101Bの表面の無端移動が停止した状態で現像装置100による現像が行われるように静電搬送ベルト101Bの無端移動を制御する制御手段として機能している。このような制御により、各駆動パルス電圧のパルス出現タイミングと、各搬送電極と、トナーとの相対位置のバランスを崩して、トナーの良好な静電搬送を妨げてしまうといった事態を回避することができる。
また、本プリンタにおいて、表面が無端移動可能な静電搬送手段として、ベルト状の静電搬送ベルト101Bに代えて、ドラム状やローラ状のものを用いても良い。また、表面が無端移動可能なクリーニングローラ171に代えて、表面が無端移動可能なクリーニングベルトやクリーニングブラシ等を用いてもよい。無端移動可能な静電搬送手段を用いる代わりに、無端移動不能な静電搬送基板を用いるとともに、その上で無端移動せしめられるベルト部材を設け、その上でトナーを静電搬送してもよい。この場合、トナーの回収や残留物のクリーニングについては、ベルト部材に対して行わせる。
以上、第1参考形態や実施形態に係るプリンタにおいては、エアー吸引部たる吸引ノズル164、又は接触部材たるスクレーパ169を、静電搬送手段たる静電搬送基板101の表面に沿って移動させる移動手段を設けている。かかる構成では、上述した理由により、移動手段を設けない場合に比べて、静電搬送基板101表面のより広い範囲をクリーニングすることが可能なので、トナーの堆積による静電搬送不良をより確実に抑えることができる。
また、実施形態に係るプリンタの変形例装置においては、静電搬送手段として、表面が無端移動可能な静電搬送ドラム101Aを用いている。かかる構成では、上述した理由により、静電搬送ドラム101Aの全面をクリーニングすることで、エアー吸引部や接触部材を移動させる移動手段を設ける場合よりも、トナーの堆積による静電搬送不良を更に確実に抑えることができる。
また、変形例装置においては、接触部材たるクリーニングローラ171と静電搬送手段たる静電搬送ドラム101Aとの接触部で互いの表面を逆移動(カウンタ方向に移動)させるようにしている。かかる構成では、接触部で互いの表面を順方向に移動させる場合に比べて、クリーニングローラ171による残留物の掻き取り効果を高めて、より高いクリーニング性を得ることができる。
また、第2参考形態のプリンタにおいては、クリーニング手段たるクリーニング装置160として、静電搬送手段たる静電搬送ベルト101Bの表面に接触部材たるクリーニングローラ171を接触させてベルト表面をクリーニングし且つベルト表面に接離可能に構成したものを用いている。かかる構成では、必要に応じてクリーニングローラ101Bを静電搬送ベルト101Bに接触させて定期的にクリーニングを行うことで、静電搬送ベルト101Bに接触することによるクリーニングローラ171の消耗を抑えつつ、トナーの堆積による静電搬送不良を抑えることができる。
また、変形例装置や第2参考形態のプリンタにおいては、接触部材たるクリーニングローラ171に静電気力による吸着力を発生させる吸着力発生手段を設けている。かかる構成では、クリーニングローラ171に対して、機械的な掻き取りによる残留物除去機能の他に、静電的な残留除去機能も発揮させて、より確実なクリーニングを実現することができる。
また、実施形態、変形例装置、第2参考形態に係るプリンタにおいては、接触部材たるスクレーパ169やクリーニングローラ171を、クリーニング装置160に対してワンタッチで着脱可能に構成している。かかる構成では、長期に渡る使用によるトナー固着や摩耗などによってクリーニング性能が停止してしまったスクレーパ169やクリーニングローラ171を、容易に交換してそのクリーニング性能を復活させることができる。
また、実施形態のプリンタ、各参考形態のプリンタ、変形例装置においては、トナー供給手段たるトナー供給部140が、トナーと摩擦促進物質との混合物を収容する混合物収容部たる第1収容室142及び第2収容室143を有している。また、第1収容室142に設けられたメッシュ146も有している。そして、第1収容室142内の混合物中のトナーをメッシュ146によってふるいにかけて、静電搬送手段に供給する。かかる構成では、摩擦促進粒子との摩擦によって摩擦帯電を促しながらトナーを静電搬送手段に供給することで、帯電不良のトナーの供給を抑える。そして、このことにより、トナーを静電搬送手段上で堆積させてしまうことによる静電搬送不良を、更に確実に抑えることができる。
また、変形例装置や第2参考形態のプリンタにおいては、静電搬送手段たる静電搬送ドラム101Aや静電搬送ベルト101Bの表面の無端移動が停止した状態で現像装置100による現像が行われるようにドラムやベルトの無端移動を制御する制御手段たる制御部を設けている。かかる構成では、その無端移動に起因して、各駆動パルス電圧のパルス出現タイミングと、各搬送電極と、トナーとの相対位置のバランスを崩して、トナーの良好な静電搬送を妨げてしまうといった事態を回避することができる。
また、実施形態のプリンタ、各参考形態のプリンタ、変形例装置においては、静電搬送手段として、トナー搬送方向に並ぶように静電搬送手段に設けられた複数の搬送電極にそれぞれ印加される駆動パルス電圧によって静電気力を発生させるものを用いている。そして、クリーニング装置160によるクリーニングを行っているときには、静電潜像の現像を行っているときに比べて駆動パルス電圧の波高を大きくするように制御する制御手段たる制御部を設けている。かかる構成では、クリーニング中に、より大きな波高のパルス波を印加することで、静電搬送基板面からホップする際のトナーの運動エネルギーをより大きくして、基板面からのトナーの吸引除去をより行い易くすることができる。そして、このことにより、低帯電能力トナー、外添剤、埃及び紙粉をより確実に除去することができる。
なお、スクレーパ等の接触部材として導電性のものを用い、これを静電搬送手段に接離可能に設けたクリーニング手段を用いる場合などは、現像時に比べてクリーニング時の駆動パルス電圧の波高を小さくした方がよいこともある。これは次に説明する理由による。即ち、接触部材と静電搬送手段とを接触させるクリーニング時に駆動パルス電圧を搬送電極に印加すると、搬送電極から接触部材に放電を発生させて、トナー等のチリを引き起こすことが考えられる。そして、このチリを抑えるべく、クリーニング時の駆動パルス電圧の印加を実施しないと、今度は、クリーニング性を向上させることができなくなる。そこで、駆動パルス電圧を印加するものの、放電を生じないような小さな波高のもの、即ち、現像時よりも波高の小さいものにするのである。そうすることで、クリーニング性を向上させつつ、放電によるチリを回避することができる。
また、変形例装置においては、現像装置100として、潜像担持体たる感光体上の静電潜像を互いに異なる色のトナーによって現像する複数のものを設けるとともに、感光体上で現像された互いに異なる色のトナー像を転写体たる転写紙Pに重ね合わせて転写する転写手段たる転写ユニット6を設けている。かかる構成では、重ね合わせの転写によって多色画像を形成することができる。