JP4220804B2 - 画像形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の画像形成装置として、装置の小型化等を図るために、転写後の像担持体上に残留している残留トナーを一時的に保持する1本のブラシローラを備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。このブラシローラは、像担持体表面を摺擦するように回転駆動され、像担持体上の正規の極性に帯電している残留トナーをブラシローラ側へ移動させるためのバイアスが印加される。このブラシローラに保持されたトナーは、所定のタイミングで像担持体側に戻すように排出される。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−249452号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本出願人は、特願2002−254142号等において、上記特許文献1に記載の画像形成装置とは異なり、正規の極性とは逆極性に帯電した逆帯電トナーが像担持体上に残留していると高画質化の大きな妨げになる点に着目した。そして、この逆帯電トナーを回収して一時的に保持するトナー保持手段を備えた画像形成装置を提案した。この画像形成装置では、トナー保持手段を構成する1本のブラシローラに所定バイアスを印加し、像担持体表面に残留している逆帯電トナーをブラシローラに回収して保持する。このブラシローラに保持している逆帯電トナーは、所定のタイミングで像担持体側に戻すように排出される。
【0005】
ところが、上記特許文献1に記載の画像形成装置では、正規の極性に帯電した正規帯電トナーを回収するので、像担持体に逆帯電トナーが残留したままになる。このため、像担持体に残留する逆帯電トナーによって帯電装置の汚染やその汚染による帯電不良等が発生し、高画質化の妨げになるおそれがあった。
一方、上記本出願人が提案した画像形成装置では、正規の極性とは逆極性に帯電した残留トナーをブラシローラに回収して保持するので、像担持体に正規帯電トナーが残留したままになる。この場合、帯電装置による帯電電位と正規帯電トナーの帯電極性とが同極であるため、上記逆帯電トナーの場合のような帯電装置の汚染は発生しない。しかしながら、正規帯電トナーが像担持体上に残留した状態で露光が行われると、正規帯電トナーが付着している部分では像担持体の表面に光が届かず露光ムラが発生し、残像等の画質劣化が発生するおそれがある。
以上のように逆帯電トナー及び正規帯電トナーのいずれについても高画質化の妨げになるおそれがあるので、両方の残留トナーを像担持体表面から除去する必要があった。しかしながら、上記従来のように1本のブラシローラを用いる場合は、画像形成時に正規帯電トナー及び逆帯電トナーの両方のトナーを像担持体からブラシローラに回収して保持することができなかった。例えば、画像形成中に像担持体から逆帯電トナーをブラシローラに回収して保持した後、ブラシローラに印加するバイアスの極性を切り換えて正規帯電トナーを回収・保持しようとすると、ブラシローラに保持されていた逆帯電トナーが像担持体表面に戻されてしまう。このように1本のブラシローラを用いる場合には、画像形成中に正規帯電トナー及び逆帯電トナーの両方のトナーを像担持体からブラシローラに回収して保持することができないという問題があった。
【0006】
また、上記従来の画像形成装置にように1本のブラシローラで残留トナーを回収・保持する場合は、転写後の像担持体上に多量のトナーが残留していると、トナーの帯電極性にかかわらずブラシローラで回収・保持しきれないおそれがあるという問題もあった。
【0007】
本発明は、以上の問題点に鑑みなされたものである。その目的は、単一のトナー保持手段を用いる場合に比して、転写後の像担持体上に残留している正規の極性の残留トナー及び逆極性の残留トナーをより確実に回収し高画質化を図ることができる画像形成装置を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、像担持体と、該像担持体表面に近接又は接触して該像担持体表面を一様に帯電する帯電ローラと該帯電ローラで一様に帯電された該像担持体表面を露光する露光装置とを用いて構成され該像担持体に潜像を形成する潜像形成手段と、該像担持体上の潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、該像担持体上のトナー像を被転写体に転写する転写手段とを備えた画像形成装置において、該被転写体への転写後に該像担持体上に残留した残留トナーのうち、該現像手段による現像で用いるトナーと同じ正規の極性に帯電している残留トナーを該像担持体表面から回収して一時的に保持するとともに、その保持した残留トナーを所定のタイミングで該像担持体表面に戻すように放出する第1のトナー保持手段と、該正規の極性とは逆極性に帯電している残留トナーを、該像担持体表面から回収して一時的に保持するとともに、その保持した残留トナーを所定のタイミングで該像担持体表面に戻すように放出する第2のトナー保持手段と、各トナー保持手段によって該像担持体表面に戻されたトナーを回収するトナー回収手段とを備え、該第1のトナー保持手段及び該第2のトナー保持手段はそれぞれ、該像担持体表面移動方向に沿って該被転写体への転写位置から該帯電ローラによる帯電位置に至るまでの間の該像担持体表面に接触しながら回転するブラシローラと、該像担持体上の残留トナーをブラシローラ側に回収するための回収バイアスと該ブラシローラに保持されたトナーを該像担持体表面に放出するための放出バイアスとを該ブラシローラに対して選択的に印加するバイアス印加手段とを用いて構成され、該像担持体表面上の該正規の極性の残留トナーが該帯電ローラによる帯電位置を通過する際に該帯電ローラ側に付着しないように該帯電ローラへの印加バイアスが設定された時間帯であって該第1のトナー保持手段のブラシローラに回収した該正規の極性の残留トナーを該ブラシローラに該放出バイアスを印加することによって該像担持体表面に放出するとともに該像担持体表面に戻された該正規の極性の残留トナーを該トナー回収手段で回収する時間帯と、該像担持体表面上の該逆極性の残留トナーが該帯電ローラによる帯電位置を通過する際に該帯電ローラ側に付着しないように該帯電ローラへの印加バイアスが設定された時間帯であって該第2のトナー保持手段のブラシローラに回収した該逆極性の残留トナーを該ブラシローラに該放出バイアスを印加することによって該像担持体表面に放出するとともに該像担持体表面に戻された該逆極性の残留トナーを該トナー回収手段で回収する時間帯とを、非画像形成時の互いに異なる時間帯に設定することを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の画像形成装置において、上記正規の極性に帯電している残留トナーを回収して保持するブラシローラの毛足が、上記逆極性に帯電している残留トナーを回収して保持するブラシローラの毛足よりも長いことを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項1又は2の画像形成装置において、上記現像手段を、上記各トナー保持手段によって上記像担持体表面に戻されたトナーを現像剤担持体側へ移動させる向きの電界を形成し得るように構成し、上記トナー回収手段として兼用したことを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項3の画像形成装置において、上記像担持体表面から上記現像剤担持体への残留トナーの回収が終了した後、該現像剤担持体に画像形成時のバイアスを印加した状態で該現像剤担持体を所定時間回転させる空回し運転を行うことを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項1又は2の画像形成装置において、上記像担持体上のトナー像を上記被転写体としての中間転写体に転写する中間転写手段を備え、該中間転写手段を、上記各トナー保持手段によって上記像担持体表面に戻されたトナーを該中間転写体側へ移動させる向きの電界を形成し得るように構成し、上記トナー回収手段として兼用したことを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項5の画像形成装置において、上記中間転写体に回収されたトナーを除去する中間転写体クリーニング手段を設けたことを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項1乃至6のいずれかの画像形成装置において、上記各ブラシローラをそれぞれ、上記像担持体との接触領域において該像担持体の表面移動方向とは逆方向に表面移動させるように回転駆動することを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、請求項1乃至6のいずれかの画像形成装置において、上記各ブラシローラをそれぞれ、上記像担持体との接触領域において該像担持体の表面移動方向と同方向でかつ線速差が生じるように回転駆動することを特徴とするものである。
また、請求項9の発明は、請求項1乃至8のいずれかの画像形成装置において、上記トナーの平均円形度が0.93以上であることを特徴とするものである。
また、請求項10の発明は、請求項1乃至9のいずれかの画像形成装置において、少なくとも上記像担持体と上記各トナー保持手段とを一体的に且つ画像形成装置本体に対して着脱可能に構成したプロセスカートリッジを備えたことを特徴とするものである。
【0009】
請求項1乃至10の画像形成装置では、第1のトナー保持手段及び第2のトナー保持手段からなる複数のトナー保持手段を備えている。すなわち、被転写体への転写後に像担持体上に残留した残留トナーのうち、現像手段による現像で用いるトナーと同じ正規の極性に帯電している残留トナーを像担持体表面から回収して一時的に保持するとともに、その保持した残留トナーを所定のタイミングで像担持体表面に戻すように放出する第1のトナー保持手段と、正規の極性とは逆極性に帯電している残留トナーを、像担持体表面から回収して一時的に保持するとともに、その保持した残留トナーを所定のタイミングで像担持体表面に戻すように放出する第2のトナー保持手段とを備えている。この第1のトナー保持手段及び第2のトナー保持手段は、被転写体への転写後に像担持体上に残留した正規極性の残留トナー及び逆極性の残留トナーを、所定の回収バイアスが印加された各ブラシローラによって像担持体表面から回収して一時的に保持した後、非画像形成時の互いに異なる所定の時間帯に、像担持体表面上の各極性の残留トナーが帯電ローラによる帯電位置を通過する際に帯電ローラ側に付着しないように帯電ローラへの印加バイアスが設定された状態で各ブラシローラに所定の放出バイアスを印加することにより各ブラシローラに保持されている各極性の残留トナーを像担持体表面に戻すように放出するとともに像担持体表面に戻された各極性の残留トナーをトナー回収手段で回収する。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を、画像形成装置としての電子写真方式のプリンタ(以下、単に「プリンタ」という。)に適用した実施形態について説明する。本プリンタは、イエロー(以下、「Y」と記す。)、シアン(以下、「C」と記す。)、マゼンタ(以下、「M」と記す。)、ブラック(以下、「K」と記す。)の4色のトナーから、カラー画像を形成するものである。
【0011】
まず、本プリンタの基本的な構成について説明する。
図2は、本実施形態に係るプリンタの概略構成図である。本プリンタは、像担持体として4つの感光体ドラム1Y,1C,1M,1Kを備えている。なお、ここでは、ドラム状の感光体を例に挙げているが、ベルト状の感光体を採用することもできる。各感光体ドラム1Y,1C,1M,1Kは、それぞれ中間転写体(無端移動部材)としての中間転写ベルト10に接触しながら、図中矢印の方向に回転駆動する。本実施形態において、各感光体ドラム1Y,1C,1M,1Kはそれぞれ中間転写ベルト10に接触しながら、図中矢印の方向に回転駆動する。各感光体ドラム1Y,1C,1M,1Kは、比較的薄い円筒状の導電性基体上に感光層を形成し、更にその感光層の上に保護層を形成したもので、その外径が30[mm]で、その内径が28.5[mm]である。
【0012】
本実施形態では、低コスト化、感光体設計の自由度、無公害性等の観点から有機系感光体を用いている。有機系の感光体には、ポリビニルカルバゾール(PVK )に代表される光導電性樹脂を用いたものが知られている。また、有機系の感光体には、PVK−TNF(2,4,7−トリニトロフルオレノン)に代表される電荷移動錯体型、フタロシアニン−バインダーに代表される顔料分散型、電荷発生物質と電荷輸送物質とを組み合わせた機能分離型などがある。この中でも、近年では、特に機能分離型の感光体が注目されている。
【0013】
図3は、本実施形態で使用する感光体ドラム1の断面図である。この感光体ドラム1は、機能分離型の感光体であり、基体である導電性支持体51上に、電荷発生層52及び電荷輸送層53を積層した上に更に保護層54を積層したものである。この感光体ドラム1における静電潜像形成のメカニズムは、次のとおりである。すなわち、感光体ドラム1を帯電した後に光照射すると、光は透明な電荷輸送層53を通過し、電荷発生層52中の電荷発生物質により吸収される。光を吸収した電荷発生物質は電荷担体を発生し、この電荷担体は電荷輸送層53に注入され、帯電によって生じている電界にしたがって電荷輸送層53中を移動し、感光体ドラム表面の電荷を中和する。これにより、その中和部分が静電潜像となる。このような機能分離型の感光体は、主に紫外域で強い吸収特性を持つ電荷輸送物質と、主に可視域に強い吸収特性を持つ電荷発生物質とを組み合わせて用いるのが有用である。
【0014】
上記保護層54に使用される材料としては、ABS樹脂、ACS樹脂、オレフィン−ビニルモノマー共重合体、塩素化ポリエーテル樹脂、アリル樹脂、フェノール樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリアリルスルホン樹脂、ポリブチレン樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエチン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリスルホン樹脂、AS樹脂、AB樹脂、BS樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂などが挙げられる。
【0015】
また、保護層54の耐摩耗性を向上するために、フィラーを添加してもよい。このフィラーの材料としては、ポリテトラフルオロエチレンのような弗素樹脂、シリコーン樹脂、これら樹脂に酸化チタン、酸化スズ、チタン酸カリウム、シリカ、アルミナ等の無機材料を分散したもの等が挙げられる。このフィラーの含有量は、重量基準で、10[%]以上40[%]以下、好ましくは20[%]以上30[%]以下とするのがよい。フィラーの含有量が10%未満であると感光体ドラム1の表面削れに関連する感光体ドラム周辺の構成によっては、耐摩耗性が不十分となるおそれがあり、フィラーの含有量が40%を越えると露光に対する感度が低下するおそれがある。また、フィラーの分散性を向上させるために分散助剤を添加してもよい。この分散助剤としては、塗料等に使用されるものが適宜利用でき、その添加量は、重量基準で、フィラーの含有量に対して0.5[%]以上4[%]以下、好ましくは1[%]以上2[%]以下とする。また、上記保護層54には、電荷輸送材料を添加するのも有効である。また、酸化防止剤なども必要に応じて添加することができる。
【0016】
保護層54の形成方法としては、浸漬塗工法、スプレーコート法、ビートコート法、ノズルコート法、スピナーコー法ト、リングコート法等の公知の方法を用いることができる。保護層の厚さは、0.5[μm]以上10[μm]以下、好ましくは4[μm]以上6[μm]以下とする。
また、電荷発生層52及び電荷輸送層53からなる感光層と、保護層54との間に中間層を設けてもよい。この中間層には、一般にバインダー樹脂を主成分として用いる。このバインダー樹脂としては、ポリアミド、アルコール可溶性ナイロン、水溶性ポリビニルブチラール、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコールなどが挙げられる。中間層の形成方法としては、上述した保護層の形成方法と同様に、公知の塗布法を用いることができる。なお、中間層の厚さは、0.05[μm]以上2[μm]以下とするのがよい。
【0017】
本実施形態で使用する感光体ドラム1は、上述したように有機系感光体であるため、機械的、化学的な耐久性に乏しいという欠点がある。具体的に説明すると、電荷輸送物質の多くは低分子化合物として開発されているが、この低分子化合物は単独では製膜性がないため、通常、不活性高分子に分散・混合して利用されることになる。しかるに、電荷輸送物質である低分子化合物と不活性高分子とからなる電荷輸送層は一般に柔らかく、機械的耐久性に乏しい。そのため、その電荷輸送層を表面にもつ感光体ドラム1を繰り返し使用すると、その表面に接触する帯電ローラ3a、現像剤、中間転写ベルト10、ブラシローラ41などによる摺擦によって、膜削れを生じやすい。よって、感光体ドラム1として、特に有機系感光体を利用する場合には、その寿命を長くするために上記保護層54を設けるのが有効である。
【0018】
図4は、各感光体ドラム1Y,1C,1M,1K周りの概略構成を示す図である。なお、各感光体ドラム1Y,1C,1M,1K周りの構成はすべて同じであるため、1つの感光体ドラムについてのみ図示し、色分け用の符号Y,C,M,Kについては省略してある。
感光体ドラム1の周りには、その表面移動方向に沿って、複数のトナー保持手段からなるトナー保持装置40、帯電手段としての帯電装置3、現像手段としての現像装置5の順に配置されている。帯電装置3と現像装置5との間には、露光装置4から発せられる光が感光体ドラム1まで通過できるようにスペースが確保されている。感光体ドラム上に潜像を形成する潜像形成手段は、上記帯電装置3及び露光装置4を用いて構成される。
【0019】
帯電装置3は、感光体ドラム1の表面を負極性に一様帯電する。本実施形態における帯電装置3は、いわゆる接触・近接帯電方式で帯電処理を行う帯電部材としての帯電ローラ3aを備えている。すなわち、この帯電装置3は、帯電ローラ3aを感光体ドラム1の表面に接触させ、その帯電ローラ3aに負極性バイアスを印加することで、感光体ドラム1の表面を一様帯電する。本実施形態では、感光体ドラム1の表面電位が一様に−(マイナス)700[V]となるような直流バイアスに交流バイアスを重畳させた帯電バイアスを帯電ローラ3aに印加している。なお、直流バイアスのみの帯電バイアスを利用することもできる。また、本実施形態の帯電装置3には、帯電ローラ3aの表面をクリーニングするクリーニングブラシ3bが設けられている。本実施形態では、帯電ローラ3aの表面にトナーが付着することはほとんどない。しかし、トナーが僅かに付着した場合でも、帯電ローラ3aによる帯電ムラ等の帯電不良を引き起こす原因となる。よって、本実施形態では、帯電ローラ3aの表面をクリーニングブラシ3bによってクリーニングする構成を採用している。
なお、上記帯電装置3として、帯電ローラ3aの周面上の軸方向両端部分に薄いフィルムを巻き付け、これを感光体ドラム1の表面に当接するように設置してもよい。この構成においては、帯電ローラ3aの表面と感光体ドラム1の表面との間は、フィルムの厚さ分だけ離間した極めて近接した状態となる。したがって、帯電ローラ3aに印加される帯電バイアスによって、帯電ローラ3aの表面と感光体ドラム1の表面との間に放電が発生し、その放電によって感光体ドラム1の表面が一様帯電される。
【0020】
このようにして一様帯電した感光体ドラム1の表面には、露光装置4によって露光されて各色に対応した静電潜像が形成される。この露光装置4は、各色に対応した画像情報に基づき、感光体ドラム1に対して各色に対応した静電潜像を書き込む。なお、本実施形態の露光装置4は、レーザ方式の露光装置であるが、LEDアレイと結像手段からなる露光装置などの他の方式の露光装置を採用することもできる。
【0021】
また、現像装置5は、そのケーシングの開口から現像剤担持体としての現像ローラ5aが部分的に露出している。本実施形態で使用する現像装置5では、トナーとキャリアとからなる二成分現像剤を使用しているが、キャリアを含まない一成分現像剤を使用してもよい。現像装置5は、図2に示したトナーボトル31Y,31C,31M,31Kから、対応する色のトナーの補給を受けてこれを内部に収容している。このトナーボトル31Y,31C,31M,31Kは、それぞれが単体で交換できるように、プリンタ本体に対して着脱可能に構成されている。このような構成とすることで、トナーエンド時にはトナーボトル31Y,31C,31M,31Kだけを交換すればよい。したがって、トナーエンド時にまだ寿命になっていない他の構成部材はそのまま利用でき、ユーザーの出費を抑えることができる。
【0022】
トナーボトル31Y,31C,31M,31Kから現像装置5内に補給されたトナーは、攪拌搬送スクリュー5bによってキャリアと撹拌されながら搬送され、現像ローラ5a上に担持されることになる。この現像ローラ5aは、磁界発生手段としてのマグネットローラと、その周りを同軸回転する現像スリーブとから構成されている。現像剤中のキャリアは、マグネットローラが発生させる磁力により現像ローラ5a上に穂立ちした状態となって感光体ドラム1と対向する現像領域に搬送される。ここで、現像ローラ5aは、現像領域において感光体ドラム1の表面よりも速い線速で同方向に表面移動する。そして、現像ローラ5a上に穂立ちしたキャリアは、感光体ドラム1の表面を摺擦しながら、キャリア表面に付着したトナーを感光体ドラム1の表面に供給する。このとき、現像ローラ5aには、図示しない電源から−300[V]の現像バイアスが印加され、これにより現像領域には現像電界が形成される。そして、感光体ドラム1上の静電潜像と現像ローラ5aとの間では、現像ローラ5a上のトナーに静電潜像側に向かう静電力が働くことになる。これにより、現像ローラ5a上のトナーは、感光体ドラム1上の静電潜像に付着することになる。この付着によって感光体ドラム1上の静電潜像は、それぞれ対応する色のトナー像に現像される。また、本実施形態では、現像ローラ5aは、クラッチを介して駆動装置に接続されており、そのクラッチによって、現像ローラ5aの回転を一時停止することができる構成となっている。
【0023】
上記中間転写ベルト10は、3つの支持ローラ11,12,13に張架されており、図中矢印の方向に無端移動する構成となっている。この中間転写ベルト10上には、各感光体ドラム1Y,1C,1M,1K上のトナー像が静電転写方式により互いに重なり合うように転写される。静電転写方式には、転写チャージャを用いた構成もあるが、本実施形態では転写チリの発生が少ない転写ローラを用いた構成を採用している。具体的には、各感光体ドラム1Y,1C,1M,1Kと接触する中間転写ベルト10の部分の裏面に、それぞれ転写手段としての1次転写ローラ14Y,14C,14M,14Kを配置している。本実施形態では、各1次転写ローラ14Y,14C,14M,14Kにより押圧された中間転写ベルト10の部分と各感光体ドラム1Y,1C,1M,1Kとによって、1次転写ニップ部が形成される。そして、各感光体ドラム1Y,1C,1M,1K上のトナー像を中間転写ベルト10上に転写する際には、各1次転写ローラ20に正極性のバイアスが印加される。これにより、各1次転写ニップ部には転写電界が形成され、各感光体ドラム1Y,1C,1M,1K上のトナー像は、中間転写ベルト10上に静電的に付着し、転写される。
【0024】
中間転写ベルト10の周りには、その表面に残留したトナーを除去するための中間転写体クリーニング手段としてのベルトクリーニング装置15が設けられている。このベルトクリーニング装置15は、中間転写ベルト10の表面に付着した不要なトナーをファーブラシ及びクリーニングブレードで回収する構成となっている。なお、回収した不要トナーは、ベルトクリーニング装置15内から図示しない搬送手段により図示しない廃トナータンクまで搬送される。
【0025】
また、支持ローラ13に張架された中間転写ベルト10の部分には、2次転写ローラ16が接触して配置されている。この中間転写ベルト10と2次転写ローラ16との間には2次転写ニップ部が形成され、この部分に、所定のタイミングで記録材としての転写紙が送り込まれるようになっている。この転写紙は、露光装置4の図中下側にある給紙カセット20内に収容されており、給紙ローラ21、レジストローラ対22等によって、2次転写ニップ部まで搬送される。そして、中間転写ベルト10上に重ね合わされたトナー像は、2次転写ニップ部において、転写紙上に一括して転写される。この2次転写時には、2次転写ローラ16に正極性のバイアスが印加され、これにより形成される転写電界によって中間転写ベルト10上のトナー像が転写紙上に転写される。
【0026】
2次転写ニップ部の転写紙搬送方向下流側には、定着手段としての加熱定着装置23が配置されている。この加熱定着装置23は、ヒータを内蔵した加熱ローラ23aと、圧力を加えるための加圧ローラ23bとを備えている。2次転写ニップ部を通過した転写紙は、これらのローラ間に挟み込まれ、熱と圧力を受けることになる。これにより、転写紙上に載っていたトナーが溶融し、トナー像が転写紙に定着される。そして、定着後の転写紙は、排紙ローラ24によって、装置上面の排紙トレイ上に排出される。
【0027】
本実施形態では、各感光体ドラム1Y,1C,1M,1K、その周囲に配置された現像装置等の部品、露光装置4、中間転写ベルト10、ベルトクリーニング装置15等を、一体化したプロセスカートリッジ30として構成している。このプロセスカートリッジ30は、プリンタ本体に対して着脱自在となっている。よって、プロセスカートリッジ30内に収容された部品に寿命が到来したり、メンテナンスが必要になったりしたときには、そのプロセスカートリッジ30を交換すればよく、利便性が向上する。なお、本実施形態では、上述したトナーボトル31Y,31C,31M,31Kは、このプロセスカートリッジ30とは別個にプリンタ本体に対して着脱自在な構成となっている。
【0028】
次に、各感光体ドラム1Y,1C,1M,1Kの表面に残留した残留トナー(以下「転写残トナー」という)のクリーニングについて説明する。
本実施形態で使用するトナーは、いわゆる重合法によって形成されたトナーであり、その形状は真球に近い。一方、従来から用いられている粉砕法等によって形成されるトナーは、その表面にランダムな凹凸が存在するため、その平均円形度は低いものとなる。このように平均円形度の低いトナーは、一般に、その粒径分布がブロードになるため、各トナーの表面積のバラツキが大きくなる。よって、現像装置内での撹拌時やドクタ通過時における摩擦帯電による各トナーの帯電量が現像剤中のトナー間で大きく異なることになる。その結果、現像剤中におけるトナーの帯電分布が広がってしまい、感光体上に付着した全トナーに対して転写電界の作用が均一に働かず、転写率が低下してしまう。これに対し、本実施形態においては、トナーの平均円形度が高いため、各トナーの形状が真球に近く、全トナーの形状を高い精度で制御できている。そのため、その粒径分布が狭く、各トナーの表面積のバラツキを小さくすることができる。よって、摩擦帯電によるトナーの帯電量の差が現像剤中のトナー間で小さくなる。その結果、トナーの帯電分布が狭くなり、転写率が向上し、感光体ドラム上に残留する転写残トナーの量を少なくすることができる。
【0029】
また、現像領域においては良好に帯電されたトナーが優先的に感光体ドラム上の静電潜像に付着し、消費されることになる。そのため、経時使用するにつれて、現像装置5内には帯電状態が良好でないトナーの比率が上昇する。よって、粉砕法等によって形成されるトナーのように平均円形度が低い場合、上述のようにトナーの帯電分布がブロードになるため、経時使用により現像装置5内に残存する帯電状態が良好でないトナーの量は多い。このような帯電状態が良好でないトナーは、現像領域において現像電界を受けても感光体ドラム上の静電潜像部分に正確に付着されない。したがって、トナーの平均円形度が低い場合、経時使用により地肌汚れやドットのバラツキ等が発生するため、経時的に画像が劣化してしまう。
また、トナーの平均円形度が低い場合、キャリアとの接触面積が増える結果、スペントと呼ばれる現象が発生しやすくなる。スペントとは、トナーのキャリア表面へのフィルミング現象であり、経時的な使用によって悪化するものである。この現象が生じると、新規トナーを新たに補給しても、その新規トナーが摩擦帯電されにくくなり、この現象も経時的な画像劣化の原因であると考えられる。
【0030】
これに対し、本実施形態においては、トナーの平均円形度が高いため、トナーの帯電分布が狭く、トナーの平均円形度の低い場合に比べて、もともと帯電状態が良好でないトナーの量が少ない。よって、経時使用しても、地肌汚れやドットのバラツキ等が発生しにくい。また、トナーの平均円形度が高いためにキャリアとの接触面積が小さく、スペントと呼ばれる現象が発生しにくい。したがって、平均円形度の高いトナーを使用すれば、経時的な画像劣化が生じにくいという効果が得られる。
【0031】
本発明者らは、トナーの平均円形度の好適値を得るために次のような実験を行った。この実験では、現像装置内に現像剤を充填した後、その現像装置を空駆動させて、スペントが観測されるまでの時間を測定した。その実験結果、トナーの平均円形度が0.93以上であれば、合格基準である15万枚の画像形成を行うのに必要な時間に相当する4200[分]以上経っても、スペントが観測されなかった。そこで、本実施形態では、円形度の平均値が0.93以上であるトナーを使用している。
【0032】
ここで、トナーの平均円形度は、各トナーの円形度の平均値であり、次の方法により測定したものである。
各トナーの円形度の測定は、株式会社SYSMEX製フロー式粒子像分析装置FPIA−2100を用いて行った。この測定では、まず、1級塩化ナトリウムを用いて、1[%]のNaCl水溶液を調整する。その後、このNaCl水溶液を0.45のフィルターを通して50〜100[ml]の液を得て、これに分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩を0.1〜5[ml]加え、更に試料を1〜10[mg]加える。これを、超音波分散機で分散処理を1分間行い、粒子濃度を5000〜15000[個/μl]に調整し、分散液を得る。この分散液をCCDカメラで撮像し、トナーの2次元投影画像の面積と同じ面積をもつ円の円周長を、そのトナーの2次元投影画像の周囲長で割った値を、各トナーの円形度として用いた。なお、CCDの画素の精度から、トナーの2次元投影画像の面積と同じ面積をもつ円の直径(円相当径)が0.6[μm]以上であるトナーを有効なものとした。トナーの平均円形度は、各トナーの円形度を得た後、測定範囲内にある全トナーの円形度をすべて足し合わせ、それをトナー個数で割った値を用いたものである。
【0033】
本実施形態で用いるトナーは、モノマー、開始剤、着色剤等の原料を混合し、重合処理、洗浄分離処理、乾燥処理、後処理を経て得られる懸濁重合方式によって作成することができる。また、モノマー、開始剤、乳化剤、分散媒をモノマー重合し、凝集会合処理、洗浄分離処理、乾燥処理、後処理を経て得られる乳化重合方式等によって作成することもできる。このほか、塊状重合方式や溶液重合方式を用いてもよい。
【0034】
図5(a)は、感光体ドラム1上に担持されたトナーの転写直前における帯電電位分布を示すグラフである。また、図5(b)は、転写後に感光体ドラム1上に残留した転写残トナーの帯電電位分布を示すグラフである。図5(a)に示すように、転写直前におけるトナーの帯電量は、ほぼ−30[μC/g]を中心に分布しており、そのほとんどが負極性に正規帯電している。一方、転写残トナーの帯電量は、およそ−2[μC/g]を中心に分布したものとなる。転写残トナーは少量であるが、感光体ドラム表面に付着しているトナーのうち帯電不良のトナーが転写電界に引かれることなく感光体ドラム上に残留してしまう。
一般に、トナーは正規の極性(本実施形態の場合は負極性)に帯電するように帯電制御剤等によって帯電系列が制御されている。しかしながら、帯電制御剤の分散不良やトナー同士の摩擦帯電さらに転写バイアスの影響を受ける等のため、弱帯電トナー、未帯電トナー及び逆帯電トナーといった帯電不良のトナーが発生して転写残トナーとなる。したがって、転写残トナーの中には、図5(b)中斜線部分で示すような正極性に反転してしまった逆帯電トナーも存在する。
【0035】
上記転写残トナーのうち逆帯電トナーは、次のように帯電装置を汚染してしまう。負極性の逆帯電トナーが感光体ドラム1に付着したまま帯電装置3の帯電ローラ3aとの対向位置まで搬送されると、正極性の帯電バイアスが印加された帯電ローラ3aの表面に静電的に吸引されて付着してしまう。これは、帯電ローラ3aを感光体ドラム1の表面に近接させて配置した上述した構成であっても、同様である。そして、帯電ローラ3aの表面にトナーが付着すると、帯電ローラ3aの抵抗値や表面状態が変化するため、感光体ドラム1の表面との間の帯電開始電圧にムラが生じる。これにより、逆帯電トナーが付着していない場合と同じ帯電バイアスを帯電ローラ3aに印加しても、感光体ドラム1の表面が所望の電位(本実施形態の場合は−700[V])に均一にならなくなる。その結果、画像濃度ムラが生じるおそれがある。また、帯電ローラ3aの表面のごく一部にトナーが付着した場合、トナーが付着していない箇所に向けて帯電バイアスによる電流が集中することにある。これにより、逆帯電トナーが付着していない場合と同じ帯電バイアスを帯電ローラ3aに印加すると、感光体ドラム表面の帯電電位が所望の電位よりも高くなる。その結果、露光装置4による露光を受けた部分すなわち静電潜像部分の電位が負極性側にシフトし、画像濃度が低下してしまう。また、帯電ローラ3aの表面のほぼ全域にトナーが付着して、帯電ローラ3aの表面にトナーがコーティングされた状態になると、帯電能力が低下し、感光体ドラム1の表面電位が所望の電位よりも下がる。これにより、露光装置4による露光を受けない部分すなわち非静電潜像部分(地肌部分)の電位が、現像ローラ5aに印加される現像バイアスに近づいてしまう。その結果、十分に帯電されていないトナーが感光体ドラム上の地肌部分に付着して、地肌汚れが発生してしまう。
【0036】
一方、転写残トナーのうち正規の極性である負極性に帯電している正規帯電トナーは、感光体ドラム1に付着したまま再び1次転写位置を通過して中間転写ベルト10に転写され、残像や地肌汚れといった画質劣化を引き起こしてしまう。
【0037】
そこで、本実施形態では、上記逆帯電トナー及び正規帯電トナーの両方の転写残トナーを感光体ドラム1から除去できるように、2つのトナー保持手段からなるトナー保持装置40を構成している。このトナー保持装置40は、感光体ドラム1上に残留している逆帯電トナーと正規帯電トナーとを、互いに異なるトナー保持手段で回収している。
【0038】
図1は、本実施形態に係る第1のトナー保持手段400Aと第2のトナー保持手段400Bとから構成されたトナー保持装置40が配置された感光体ドラム周辺の概略構成図である。
第1のトナー保持手段400Aは、トナー保持装置40における感光体ドラム表面移動方向上流側に設けられている。この第1のトナー保持手段400Aは、転写残トナーのうち負極性に帯電している正規帯電トナーT0を回収して一時的に保持するとともに、その保持した正規帯電トナーT0を所定のタイミングで放出する。
また、第2のトナー保持手段は、トナー保持装置40における感光体ドラム表面移動方向下流側に設けられている。この第2のトナー保持手段は、転写残トナーのうち正極性に帯電している逆帯電トナーT1を回収して一時的に保持するとともに、その保持した逆帯電トナーT1を所定のタイミングで放出する。
【0039】
第1のトナー保持手段400Aは、感光体ドラム1の表面に接触するトナー保持部材としてのブラシ部材である第1ブラシローラ41Aを備えている。また、第2のトナー保持手段400Bは、感光体ドラム1の表面に接触するトナー保持部材としてのブラシ部材である第2ブラシローラ41Bを備えている。各ブラシローラ41A,41Bは、ブラシ密度が比較的低くなるように形成されたものである。このようにブラシ密度が低ければ、回収したトナーを保持するための十分な空間をブラシ内部に確保することができる。よって、回収したトナーの収容能力が高まり、トナーの放出工程の頻度を少なくできる。また、ブラシ密度を低くすることで、回収したトナーを各ブラシローラ41A,41Bが保持したときの機械的な保持力が小さくなる。その結果、トナーの放出工程をスムーズに実行することができるようになる。本実施形態では、ブラシローラ41の表面付近におけるブラシ密度が12000[本/inch2]以上858000[本/inch2]以下となるように各ブラシローラ41A,41Bを形成した。
【0040】
また、上記各ブラシローラ41A,41Bのブラシの毛足は回収・保持対象のトナーに応じて互いに異ならせてもよい。例えば、回収量が相対的に多い負極性の正規帯電トナーを回収して保持するブラシローラ41Aの毛足を、回収量が相対的に少ない正極性の逆帯電トナーを回収して保持するブラシローラ41Bの毛足よりも長くする。この場合は、回収量が相対的に多い正規帯電トナーを回収して保持するブラシローラ41Aのトナー保持限界量が多くなるため、各ブラシローラ41A,41Bのトナー保持量が限界量に到達するまでの使用時間を同じすることができる。そのため、1回の回収動作あたりの回収量の比率が異なる正規帯電トナーと逆帯電トナーを感光体ドラム側に放出する放出動作回数を同じにすることができる。
【0041】
上記各ブラシローラ41A,41Bは、図示しない駆動装置によって図中矢印の方向に回転駆動される。そして、各ブラシローラ41A,41Bは、マイナスバイアス用電源43A,43B又はプラスバイアス用電源44A,44Bのいずれか一方からバイアスを印加したり、接地によって0[V]のバイアスを印加したりできるように構成されている。具体的には、これらの電源43A,43B,44A,44B及びアースとブラシローラ41A,41Bとの間に切替スイッチ45A,45Bを設けている。この切替スイッチ45A,45Bを切り換えることによって各ブラシローラ41A,41Bに接続される電源を選択したり、各ブラシローラ41A,41Bを接地したりすることができる。各切替スイッチ45A,45Bの切換動作や、各電源43A,43B,44A,44Bで印加されるバイアスの電圧の大きさは、本プリンタの制御部によって制御されている。上記各電源や切替スイッチ等によって、各ブラシローラ41A,41Bに所定のバイアスを印加するバイアス印加手段が構成される。
なお、本実施形態では、各電源43A,43B,44A,44Bとして直流電源を用いているが、直流に交流を重畳させたバイアスを印加する電源を用いてもよい。
【0042】
図6は上記構成のトナー保持装置40によって感光体ドラム1上の転写残トナーT0,T1を回収して一時的に保持するトナー回収・保持工程を示す説明図である。
転写残トナーが付着している感光体ドラム1の表面部分が上流側の第1ブラシローラ41Aと接触する領域(以下、「第1ブラシ接触領域」という。)に到達する前から、第1ブラシローラ41Aは接地されて0[V]のバイアスが印加されている。また、転写残トナーが付着している感光体ドラム1の表面部分が下流側の第2ブラシローラ41Bと接触する領域(以下、「第2ブラシ接触領域」という。)に到達する前から、第2ブラシローラ41は電源43Bに接続されて−720[V]のバイアスが印加されている。
ここで、画像形成時には、感光体ドラム1は−700[V]に一様帯電され、その一様帯電電位を露光によって部分的に低下させて静電潜像が形成される。その後、感光体ドラム表面は、転写電界が形成されている1次転写位置を通過し、−50[V]程度まで残留電位の大きさが低下する。したがって、第1ブラシローラ41Aに印加される0[V]のバイアスは、感光体ドラム表面に残留している負極性の正規帯電トナーT0を静電気力で第1ブラシローラ41A側へ移動させる電界を形成するための回収バイアスとなる。一方、第2ブラシローラ41Bに印加される−720[V]のバイアスは、感光体ドラム表面に残留している正極性の逆帯電トナーT1を静電気力で第2ブラシローラ41B側へ移動させる電界を形成するための回収バイアスとなる。
上記所定の回収バイアスが印加された第1ブラシローラ41Aが感光体ドラム1の表面に接触することで、感光体ドラム1に残留しているマイナス帯電の正規帯電トナーT0が第1のブラシローラ41Aに回収されて一時的に保持される。更に、上記所定の回収バイアスが印加された第2ブラシローラ41Bが感光体ドラム1の表面に接触することで、感光体ドラム1に残留しているプラス帯電の逆帯電トナーT1が第2のブラシローラ41Aに回収されて一時的に保持される。
【0043】
また、本実施形態においては、各ブラシローラ41A,41Bをそれぞれブラシ接触領域において感光体ドラム1の表面移動方向とは逆方向(カウンタ方向)に表面移動させるように駆動装置によって回転駆動している。このように各ブラシローラ41A,41Bを駆動することによって、多数のブラシ先端部分で感光体ドラム1の表面を摺擦することができる。これにより、感光体ドラム1の表面に付着した正規帯電トナーT0及び逆帯電トナーT1を効率よく掻き取って各ブラシローラ41A,41B側に回収することができる。
なお、この効果は、各ブラシローラ41A,41Bをそれぞれのブラシ接触領域において感光体ドラム1の表面移動方向と同方向でかつ線速差が生じるように駆動すれば、同様にして得られるものである。しかも、このように駆動した場合、本実施形態のようにカウンタ方向に駆動する場合に比べて、各ブラシローラ41A,41B及びこれに接触する感光体ドラム1の駆動負荷を小さくすることができる。よって、各ブラシローラ41A,41B及び感光体ドラム1の駆動装置に加わる負荷トルクが小さくなるため、比較的小型の駆動装置を利用することが可能となる。また、感光体ドラム1の駆動装置に加わる負荷トルクが小さくなることで、バンディング現象なども少なくなり、安定して高品質な画像を形成することも可能となる。
【0044】
また、本実施形態では、感光体ドラム1の表面にクリーニングブレードを当接させる構成を採用していない。したがって、クリーニングブレードが当接した構成に比べて、感光体ドラム1の駆動装置に加わる負荷トルクを大きく低減することができる。しかし、その一方で、感光体ドラム1の表面に残留する転写残トナーをクリーニングするクリーニング能力は劣る結果となる。そのため、経時使用することによって、感光体ドラム1の表面には転写残トナーがフィルム状になって強固に付着するフィルミング現象が発生するおそれがある。本実施形態では、使用するトナーがいわゆる球形トナーなので、上述したように転写残トナーの量は比較的少ないが、それでも長期的に使用すればフィルミング現象が発生する可能性がある。しかし、本実施形態では、上述したように、各ブラシローラ41A,41Bを感光体ドラム1の表面に対してカウンタ方向に駆動する構成を採用している。そのため、各ブラシローラ41A,41Bが感光体ドラム1の表面に対して連れ回る構成や、感光体ドラム1の表面に対して同方向に駆動する構成に比べて、感光体ドラム1の表面上に付着する転写残トナーを掻き起こす作用が強い。よって、本実施形態のように各ブラシローラ41A,41Bをカウンタ方向に駆動することで各トナーの回収効率を高めることができ、フィルミング現象の発生を抑制することができる。
【0045】
また、各ブラシローラ41A,41Bのブラシ先端は、感光体ドラム1の表面から離れる瞬間の跳ね上がるため、その跳ね上がりによって転写残トナーが飛ばされることがある。ここで、各ブラシローラ41A,41Bが感光体ドラム1の表面に対して同方向に回転駆動する構成であると、その跳ね上がりによって、転写残トナーは、ブラシ接触領域より感光体ドラム1の表面移動方向下流側に飛ばされることになる。この場合、飛ばされた転写残トナーが逆帯電トナーであると、これが帯電ローラ3aに付着し、帯電不良を引き起こす可能性がある。しかし、本実施形態のように各ブラシローラ41A,41Bをカウンタ方向に駆動すれば、その跳ね上がりによって、転写残トナーは、ブラシ接触領域よりも感光体ドラム1の表面移動方向上流側に飛ばされることになる。したがって、転写残トナーが飛ばされても、これが帯電ローラ3aに付着することはなく、帯電不良を引き起こすことはない。
【0046】
次に、各ブラシローラ41A,41Bに回収して一時的に保持した正規帯電トナーT0及び逆帯電トナーT1を感光体ドラム1の表面に放出する放出工程について説明する。このトナー放出は、第1ブラシローラ41Aから放出した正規帯電トナーT0を第2ブラシローラ41Bで回収したり、第2ブラシローラ41Bから放出した逆帯電トナーT1を第1ブラシローラ41Aで回収したりしないように行っている。
【0047】
図7は、下流側の第2ブラシローラ41Bから逆帯電トナーT1を感光体ドラム1の表面に放出する放出工程の説明図である。図7に示すように、逆帯電トナーT1を第2ブラシローラ41Bで保持した後、その逆帯電トナーT1を所定のタイミングで感光体ドラム1の表面に放出する。本実施形態では、本プリンタが画像形成を行わないとき、詳しくは一の画像形成を終えてから次の画像形成を行うまでの間に、逆帯電トナーT1を放出する。具体的には、一の画像形成工程において発生した逆帯電トナーT1をすべて保持した後、次の画像形成工程で帯電装置3により一様帯電が行われる感光体ドラム1の表面部分が第2のブラシ接触領域に達する前に、逆帯電トナーT1を放出する。このようなタイミングで逆帯電トナーT1を放出することで、次の画像形成工程が悪影響を与えることなく逆帯電トナーT1を回収することが可能となる。なお、連続して画像形成を行う場合には、その連続中の最後の画像形成を終えた後に、その間に保持した逆帯電トナーT1を放出するようにしてもよい。この場合、逆帯電トナーT1の回収工程の実行によって、連続画像形成を終えるまでの時間が長くなるのを防ぐことができる。
【0048】
上記タイミングで放出される逆帯電トナーT1が残留している感光体ドラム1の表面部分には、前回の画像形成工程における残留電位が存在する。この残留電位は、帯電ローラ3aへの印加バイアスを0[V]にした場合、およそ−50[V]程度である。逆帯電トナーT1の放出時には、第2ブラシローラ41Bはマイナス電源43Bから切り離されて接地される。これにより、第2ブラシローラ41Bにはその表面が0[V]となるような放出バイアスが印加される。このような放出バイアスが印加されると、第2ブラシローラ41Bに保持されていた正極性の逆帯電トナーT1には、表面電位が約−50[V]である感光体ドラム1側に向かう静電力が働くことになる。したがって、第2ブラシローラ41Bに保持されていた逆帯電トナーT1は、第2のブラシ接触領域において感光体ドラム1の表面に付着する。
また、上記逆帯電トナーT1の放出時には、上流側の第1ブラシローラ41Aはアースから切り離され、プラス電源44Aに接続されて+50[V]が印加される。これにより、第1ブラシローラ41Aに保持されていた負極性の正規帯電トナーT0には、表面電位が約−50[V]である感光体ドラム1側に移動せずに第1ブラシローラ41A内にとどまるような静電力が働くことになる。
【0049】
図8は、上流側の第1ブラシローラ41Aから正規帯電トナーT0を感光体ドラム1の表面に放出する放出工程の説明図である。図8に示すように、上記逆帯電トナーT1の放出の後、負極性の正規帯電トナーT0を所定のタイミングで感光体ドラム1の表面に放出する。本実施形態では、逆帯電トナーの放出の場合と同様に、本プリンタが画像形成を行わないとき、詳しくは一の画像形成を終えてから次の画像形成を行うまでの間に放出する。
上記正規帯電トナーT0の放出時には、第1ブラシローラ41Aはプラス電源44Aから切り離され、マイナス電源43Aが接続される。これにより、第1ブラシローラ41Aにはその表面が−200[V]となるような放出バイアスが印加される。このような放出バイアスが印加されると、第2ブラシローラ41Bに保持されていた負極性の正規帯電トナーT0には、表面電位が約−50[V]である感光体ドラム1側に向かう静電力が働くことになる。したがって、第1ブラシローラ41Aに保持されていた正規帯電トナーT0は、第1のブラシ接触領域において感光体ドラム1の表面に付着する。
また、上記正規帯電トナーT0の放出時には、下流側の第2ブラシローラ41Aはアースから切り離され、マイナス電源43Bに接続されて−250[V]が印加される。これにより、第2のブラシ接触領域を通過している感光体ドラム表面の負極性の正規帯電トナーT0が第2ブラシローラ41Bに回収されないようにしている。更に、上記正規帯電トナーT0の放出時には、帯電ローラ3aに負極性のバイアス(−50[V])を印加し、帯電位置を通過している感光体ドラム表面の負極性の正規帯電トナーT0が帯電ローラ3aに付着しないようにしている。
【0050】
なお、上記図7及び図8の放出工程の例では逆帯電トナーを放出し終わった後に正規帯電トナーを放出する場合について説明したが、正規帯電トナーを放出し終わった後に逆帯電トナーを放出するようにしてもよい。
【0051】
次に、ブラシローラ41から放出されて感光体ドラム1の表面に付着している正規帯電トナーT0及び逆帯電トナーT1を回収する回収工程について説明する。
図9は、感光体ドラム表面に放出された転写残トナーを回収するトナー回収手段の一構成例を示す説明図である。この構成例では、トナー回収手段として可動式の回収ブレード60を用いている。この回収ブレード60は、感光体ドラム表面移動方向における第2のブラシ接触領域から帯電ローラ3aが対向している帯電位置までの間に配設されている。この回収ブレード60は、感光体ドラム1の表面に当接する当接位置(図中の実線の位置)と離間位置(図中の破線の位置)とをとり得るように構成され、図示しない駆動装置で駆動される。この回収ブレード60は、通常の画像形成動作時には感光体ドラム表面から離間する離間位置に位置している。そして、非画像形成時において、第2ブラシローラ41Bから感光体ドラム表面に放出された逆帯電トナーT1が回収ブレード60の当接位置を通過する前に、回収ブレード60を当接位置に移動させる。この回収ブレード60により、第2ブラシローラ41Bから放出され感光体ドラム表面に付着している逆帯電トナーT1が除去され回収される。また、回収ブレード60の当接は、第1ブラシローラ41Aから放出され感光体ドラム表面に付着している正規帯電トナーT0が通過し終わるまで続けられ、感光体ドラム表面に付着している正規帯電トナーT0が除去され回収される。
【0052】
次に、感光体ドラム1の表面に放出された転写残トナーを現像装置5に回収する回収工程について説明する。ここでは、逆帯電トナーを現像装置5に回収し終わった後に正規帯電トナーを現像装置5に回収する場合について説明する。
図10は、感光体ドラム表面に放出された転写残トナーのうち正極性の逆帯電トナーT1を現像装置5に回収する回収工程の説明図である。図11は、図10の回収工程における各バイアス印加のタイミングチャートである。
この回収工程は非画像形成時に実行され、まず帯電ローラ3aに印加する帯電バイアスを0[V]にするとともに現像ローラ5aに印加する現像バイアスを一旦0[V]にする。そして、現像クラッチ等を制御して現像ローラ5aの回転を止めて不要な現像を防止する。次に、図7で説明したように各ブラシローラ41A,41Bに所定バイアスを印加し、第2ブラシローラ41Bから感光体ドラム1への逆帯電トナーT1の放出を開始する。そして、現像ローラ5aに、画像形成時のバイアス(−500[V])よりも絶対値で若干小さいバイアス(例えば−300[V])を印加する。このバイアスを印加した状態では、感光体ドラムの表面電位が約−50[V]であるから、感光体ドラム表面に放出され付着している正極性の逆帯電トナーT1は現像装置5側に静電気力で移動して回収される。この逆帯電トナーT1の回収が終わった後は、帯電ローラ3a及び現像ローラ5aにはそれぞれ画像形成時のバイアスが印加され、所定時間の空回し運転が実行される。これにより、感光体ドラム1から回収した逆帯電トナーT1が他の現像剤と撹拌されることによって再び帯電が整えられる。
【0053】
図12は感光体ドラム表面に放出された転写残トナーのうち負極性の正規帯電トナーT0を現像装置5に回収する回収工程の説明図である。図13は、図12の回収工程における各バイアス印加のタイミングチャートである。
この回収工程は、上記逆帯電トナーの場合と同様に非画像形成時に実行し、まず帯電ローラ3aに印加する帯電バイアスを−50[V]にするとともに現像ローラ5aに印加する現像バイアスを一旦0[V]にする。次に、図8で説明したように各ブラシローラ41A,41Bに所定バイアスを印加し、第1ブラシローラ41Aから感光体ドラム1への正規帯電トナーT0の放出を開始する。そして、現像ローラ5aに正極性の所定バイアス(例えば+200[V])を印加する。このバイアスを印加した状態では、感光体ドラムの表面電位が約−50[V]であるから、感光体ドラム表面に放出され付着している負極性の正規帯電トナーT0は現像装置5側に静電気力で移動して回収される。このとき現像ローラ5aは画像形成時と同じように回転させておいたほうが回収が早い。この正規帯電トナーT0の回収が終わった後は、帯電ローラ3a及び現像ローラ5aにはそれぞれ画像形成時のバイアスが印加され、所定時間の空回し運転が実行される。これにより、感光体ドラム1から回収した正規帯電トナーT0が他の現像剤と撹拌されることによって再び帯電が整えられる。
【0054】
なお、上記図10〜図13の回収工程の例では逆帯電トナーを回収し終わった後に正規帯電トナーを回収する場合について説明したが、正規帯電トナーを回収し終わった後に逆帯電トナーを回収するようにしてもよい。
【0055】
次に、感光体ドラム1の表面に放出された転写残トナーを中間転写ベルト10に回収する回収工程について説明する。ここでは、逆帯電トナーを中間転写ベルト10に回収し終わった後に正規帯電トナーを中間転写ベルト10に回収する場合について説明する。
図14は、感光体ドラム表面に放出された転写残トナーのうち正極性の逆帯電トナーT1を中間転写ベルト10に回収する回収工程の説明図である。図15は、図14の回収工程における各バイアス印加のタイミングチャートである。
この回収工程は非画像形成時に実行され、まず帯電ローラ3aに印加する帯電バイアスを0[V]にする。次に、図7で説明したように各ブラシローラ41A,41Bに所定バイアスを印加し、第2ブラシローラ41Bから感光体ドラム1への逆帯電トナーT1の放出を開始する。そして、1次転写ローラ14に負極性のバイアス(−800[V])を印加する。このバイアスを印加した状態では、感光体ドラムの表面電位が約−50[V]であるから、感光体ドラム表面に放出され付着している正極性の逆帯電トナーT1は中間転写ベルト10側に静電気力で移動して回収される。
なお、この回収工程では、上記図10及び図11で示したように現像ローラ5aに所定バイアスを印加することにより、現像装置5への逆帯電トナーT1の回収も同時に行うようにしてもよい。
【0056】
図16は、感光体ドラム表面に放出された転写残トナーのうち負極性の正規帯電トナーT0を中間転写ベルト10に回収する回収工程の説明図である。図17は、図16の回収工程における各バイアス印加のタイミングチャートである。
この回収工程は、上記逆帯電トナーの回収の場合と同様に非画像形成時に実行され、まず帯電ローラ3aに印加する帯電バイアスを−50[V]にする。次に、図8で説明したように各ブラシローラ41A,41Bに所定バイアスを印加し、第1ブラシローラ41Aから感光体ドラム1への正規帯電トナーT0の放出を開始する。そして、1次転写ローラ14に正極性のバイアス(+800[V])を印加する。このバイアスを印加した状態では、感光体ドラムの表面電位が約−50[V]であるから、感光体ドラム表面に放出され付着している負極性の正規帯電トナーT0は中間転写ベルト10側に静電気力で移動して回収される。
なお、この回収工程では、上記図12及び図13で示したように現像ローラ5aに所定バイアスを印加することにより、現像装置5への正規帯電トナーT0の回収も同時に行うようにしてもよい。
【0057】
なお、上記図14〜図17の回収工程の例では逆帯電トナーを回収し終わった後に正規帯電トナーを回収する場合について説明したが、正規帯電トナーを回収し終わった後に逆帯電トナーを回収するようにしてもよい。
【0058】
上記中間転写ベルト10上に回収された転写残トナーは、次のように除去される。中間転写ベルト10上に回収された転写残トナーは、2次転写ローラ16と接触する2次転写ニップ部に搬送される。
ここで、転写残トナーが逆帯電トナーT1の場合は、2次転写ニップ部に到達する前に、2次転写ローラ16には通常の画像形成時に印加される転写バイアスと同じ転写バイアスが印加される。すなわち、2次転写ローラ16には正極性のバイアスが印加される。逆帯電トナーT1が付着した中間転写ベルト10の表面電位は、2次転写ニップ部においてほぼ0[V]であるため、2次転写ニップ部では、逆帯電トナーT1に中間転写ベルト10側に向かう静電力が働くことになる。したがって、逆帯電トナーT1は2次転写ローラ16に付着することなく、2次転写ニップ部を通過することができる。
一方、転写残トナーが正規帯電トナーT0の場合は、2次転写ニップ部に到達する前に、2次転写ローラ16には通常の画像形成時に印加される転写バイアスとは逆極性の転写バイアスが印加される。すなわち、2次転写ローラ16には正極性のバイアスが印加される。正規帯電トナーT0が付着した中間転写ベルト10の表面電位は、2次転写ニップ部においてほぼ0[V]であるため、2次転写ニップ部では、正規帯電トナーT0に中間転写ベルト10側に向かう静電力が働くことになる。したがって、正規帯電トナーT0は2次転写ローラ16に付着することなく、2次転写ニップ部を通過することができる。
なお、上記例では、転写残トナーが2次転写ニップ部を通過する際に2次転写ローラ16に所定のバイアスを印加することで、2次転写ローラ16への転写残トナーの付着を防止しているが、他の手段を採用してもよい。例えば、2次転写ローラ16を接離可能とし、転写残トナーが2次転写ニップ部を通過する際には2次転写ローラ16を中間転写ベルト10から離間させる構成としてもよい。
【0059】
このようにして2次転写ニップ部を通過した転写残トナーは、次に、中間転写体クリーニング手段としてのベルトクリーニング装置15との対向するクリーニング領域に搬送される。このクリーニング領域において、中間転写ベルト10上の転写残トナーはファーブラシによって拡散された後、クリーニングブレードによって掻き取られる。これにより、中間転写ベルト10上の転写残トナーはベルトクリーニング装置15に回収されることになる。
【0060】
以上、本実施形態によれば、2つのトナー保持手段400A,400Bによって感光体ドラム1上の転写残トナーを回収できる。したがって、単一のトナー保持手段を用いる場合に比して、残留トナーの回収能力が全体として向上し、感光体ドラム1上の転写残トナーをより確実に回収し、高画質化を図ることができる。
また、本実施形態によれば、転写後の感光体ドラム1上の正規帯電トナー及び逆帯電トナーをそれぞれ、互いに異なる2つのトナー保持手段400A,400Bで回収することにより、正規帯電トナー及び逆帯電トナーを確実に回収できる。
また、本実施形態によれば、各トナー保持手段400A、400Bをそれぞれ、感光体ドラム1の表面に接触しながら回転するブラシローラ41A、41Bを用いて構成している。このブラシローラ41A、41Bのブラシによって感光体ドラム1の表面を摺擦し、転写残トナーを掻き取るように除去することができる。さらに、各ブラシローラ41A、41Bに所定の回収バイアスを印加することにより、感光体ドラム1上の転写残トナーを各ブラシローラ側に静電気力で移動させて回収することができる。また、各ブラシローラ41A、41Bに所定の放出バイアスを印加することにより、感光体ドラム1から回収して一時的に保持している転写残トナーを静電気力で放出することができる。以上のように各ブラシローラの摺擦による機械的な力と回収バイアスによる静電気力とを利用して感光体ドラム1上の転写残トナーの各ブラシローラ41A,41Bへの回収・保持と各ブラシローラ41A,41Bからの放出を効率的に行うことができる。
また、本実施形態では、回収量が相対的に多い負極性の正規帯電トナーを回収して保持するブラシローラ41Aの毛足を、回収量が相対的に少ない正極性の逆帯電トナーを回収して保持するブラシローラ41Bの毛足よりも長くしてもよい。この場合は、回収量が相対的に多い正規帯電トナーを回収して保持するブラシローラ41Aのトナー保持限界量が多くなるため、各ブラシローラ41A,41Bのトナー保持量が限界量に到達するまでの使用時間を同じすることができる。そのため、1回の回収動作あたりの回収量の比率が異なる正規帯電トナーと逆帯電トナーを感光体ドラム1側に放出する放出動作回数を同じにすることができる。
また、本実施形態によれば、各トナー保持手段400A,400Bからのトナー放出を、感光体ドラム表面に戻して回収しているので、各トナー保持手段から放出するトナーを受ける部材を個別に設ける必要がなくなる。この感光体ドラム表面へのトナー放出は、通常の画像形成動作に影響を与えないように非画像形成時に行うのが好ましい。
また、本実施形態によれば、互いに異なる極性に帯電している正規帯電トナー及び逆帯電トナーそれぞれを保持している各トナー保持手段400A,400Bからのトナー放出を、互いに異なる時間帯に行っている。このようにトナー放出のタイミングをずらすことにより、一方のトナー保持手段から感光体ドラム表面に放出したトナーが他のトナー保持手段で除去されて再び保持されるのを防止することができる。したがって、各トナー保持手段400A,400Bで保持している正規帯電トナー及び逆帯電トナーをより確実に放出することができる。
また、本実施形態によれば、感光体ドラム表面に戻された転写残トナーをトナー回収手段で回収することにより、転写残トナーが画像形成に悪影響を及ぼすことがなくなり、感光体ドラム表面から装置内に転写残トナーが飛散することもなくなる。したがって、転写残トナーによる画質劣化をより確実に防止できる。
また、本実施形態によれば、上記トナー回収手段として現像装置5を兼用することができるので、トナー回収手段を個別に設ける必要がなく、装置構成の複雑化を防止できる。
また、本実施形態によれば、上記トナー回収手段として、中間転写ベルト10上に転写残トナーを回収できるようにした中間転写手段を兼用することができるので、トナー回収手段を個別に設ける必要がなく、装置構成の複雑化を防止できる。また、この中間転写ベルト10に回収された転写残トナーは、中間転写体クリーニング手段としてのベルトクリーニング装置15で除去できるので、中間転写ベルト10の汚染を防止できる。また、常にクリーニングされた中間転写ベルト10の表面に転写残トナーを回収できるので、転写残トナーの回収効率が向上する。
また、本実施形態によれば、平均円形度が0.93以上のトナーを用いることにより、各トナーの形状が真球に近く、全トナーの形状を高い精度で制御できている。そのため、その粒径分布が狭く、各トナーの表面積のバラツキを小さくすることができる。よって、摩擦帯電によるトナーの帯電量の差が現像剤中のトナー間で小さくなる。その結果、トナーの帯電分布が狭くなり、転写率が向上し、感光体ドラム1上に残留する転写残トナーの量を少なくすることができる。したがって、各トナー保持手段400A,400Bから感光体ドラム表面へのトナー放出動作を行う回数を減らすことができる。
また、本実施形態では、プリンタ本体に対して着脱可能であって、少なくとも感光体ドラム1と各トナー保持手段を含むトナー保持装置40とが一体になって構成されたプロセスカートリッジ30を有している。よって、プロセスカートリッジ30内に収容された部品に寿命が到来したり、メンテナンスが必要になったりしたときには、そのプロセスカートリッジを交換すればよく、取り扱い性および利便性を向上させることができる。
【0061】
【発明の効果】
請求項1乃至10の発明によれば、被転写体への転写後に像担持体上に残留した正規極性の残留トナー及び逆極性の残留トナーを、所定の回収バイアスが印加された第1のトナー保持手段及び第2のトナー保持手段の各ブラシローラによって像担持体表面から回収して一時的に保持した後、非画像形成時の互いに異なる所定の時間帯に、像担持体表面上の各極性の残留トナーが帯電ローラによる帯電位置を通過する際に帯電ローラ側に付着しないように帯電ローラへの印加バイアスが設定された状態で各ブラシローラに所定の放出バイアスを印加することにより各ブラシローラに保持されている各極性の残留トナーを像担持体表面に戻すように放出するとともに像担持体表面に戻された各極性の残留トナーをトナー回収手段で回収することができる。従って、単一のトナー保持手段を用いる場合に比して、被転写体への転写後に像担持体上に残留している正規極性の残留トナー及び逆極性の残留トナーをより確実に回収し高画質化を図ることができるという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るプリンタにおけるトナー保持装置が配置された感光体ドラム周辺の概略構成図。
【図2】同プリンタの概略構成図。
【図3】同プリンタの感光体ドラムの断面図。
【図4】同感光体ドラムの周りの構成を示す概略構成図。
【図5】(a)は、同感光体ドラム上に担持されたトナーの転写直前における帯電電位分布を示すグラフ。
(b)は、転写後に感光体ドラム上に残留した転写残トナーの帯電電位分布を示すグラフ。
【図6】トナー保持装置によって感光体ドラム上の転写残トナーを回収して一時的に保持するトナー回収・保持工程を示す説明図。
【図7】第2ブラシローラから逆帯電トナーを感光体ドラムの表面に放出する放出工程の説明図。
【図8】第1ブラシローラから正規帯電トナーを感光体ドラムの表面に放出する放出工程の説明図。
【図9】感光体ドラム表面に放出された転写残トナーを回収するトナー回収手段の一構成例を示す説明図。
【図10】感光体ドラム表面に放出された転写残トナーのうち正極性の逆帯電トナーを現像装置に回収する回収工程の説明図。
【図11】図10の回収工程における各バイアス印加のタイミングチャート。
【図12】感光体ドラム表面に放出された正規帯電トナーを現像装置に回収する回収工程の説明図。
【図13】図12の回収工程における各バイアス印加のタイミングチャート。
【図14】感光体ドラム表面に放出された逆帯電トナーを中間転写ベルトに回収する回収工程の説明図。
【図15】図14の回収工程における各バイアス印加のタイミングチャート。
【図16】感光体ドラム表面に放出された正規帯電トナーを中間転写ベルトに回収する回収工程の説明図。
【図17】図16の回収工程における各バイアス印加のタイミングチャート。
【符号の説明】
1Y,1C,1M,1K 各感光体ドラム
3a 帯電ローラ
3,203 帯電装置
4 露光装置
5 現像装置
10 中間転写ベルト
14Y,14C,14M,14K 1次転写ローラ
15 ベルトクリーニング装置
16 2次転写ローラ
30 プロセスカートリッジ
31Y,31C,31M,31K トナーボトル
40 トナー保持装置
41A 第1ブラシローラ
41B 第2ブラシローラ
43A,43B マイナスバイアス用電源
44A,44B プラスバイアス用電源
45A,45B 切替スイッチ
400A 第1のトナー保持手段
400B 第2のトナー保持手段
Claims (10)
- 像担持体と、該像担持体表面に近接又は接触して該像担持体表面を一様に帯電する帯電ローラと該帯電ローラで一様に帯電された該像担持体表面を露光する露光装置とを用いて構成され該像担持体に潜像を形成する潜像形成手段と、該像担持体上の潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、該像担持体上のトナー像を被転写体に転写する転写手段とを備えた画像形成装置において、
該被転写体への転写後に該像担持体上に残留した残留トナーのうち、該現像手段による現像で用いるトナーと同じ正規の極性に帯電している残留トナーを、該像担持体表面から回収して一時的に保持するとともに、その保持した残留トナーを所定のタイミングで該像担持体表面に戻すように放出する第1のトナー保持手段と、該正規の極性とは逆極性に帯電している残留トナーを、該像担持体表面から回収して一時的に保持するとともに、その保持した残留トナーを所定のタイミングで該像担持体表面に戻すように放出する第2のトナー保持手段と、各トナー保持手段によって該像担持体表面に戻されたトナーを回収するトナー回収手段とを備え、
該第1のトナー保持手段及び該第2のトナー保持手段はそれぞれ、該像担持体表面移動方向に沿って該被転写体への転写位置から該帯電ローラによる帯電位置に至るまでの間の該像担持体表面に接触しながら回転するブラシローラと、該像担持体上の残留トナーをブラシローラ側に回収するための回収バイアスと該ブラシローラに保持されたトナーを該像担持体表面に放出するための放出バイアスとを該ブラシローラに対して選択的に印加するバイアス印加手段とを用いて構成され、
該像担持体表面上の該正規の極性の残留トナーが該帯電ローラによる帯電位置を通過する際に該帯電ローラ側に付着しないように該帯電ローラへの印加バイアスが設定された時間帯であって該第1のトナー保持手段のブラシローラに回収した該正規の極性の残留トナーを該ブラシローラに該放出バイアスを印加することによって該像担持体表面に放出するとともに該像担持体表面に戻された該正規の極性の残留トナーを該トナー回収手段で回収する時間帯と、該像担持体表面上の該逆極性の残留トナーが該帯電ローラによる帯電位置を通過する際に該帯電ローラ側に付着しないように該帯電ローラへの印加バイアスが設定された時間帯であって該第2のトナー保持手段のブラシローラに回収した該逆極性の残留トナーを該ブラシローラに該放出バイアスを印加することによって該像担持体表面に放出するとともに該像担持体表面に戻された該逆極性の残留トナーを該トナー回収手段で回収する時間帯とを、非画像形成時の互いに異なる時間帯に設定することを特徴とする画像形成装置。 - 請求項1の画像形成装置において、
上記正規の極性に帯電している残留トナーを回収して保持するブラシローラの毛足が、上記逆極性に帯電している残留トナーを回収して保持するブラシローラの毛足よりも長いことを特徴とする画像形成装置。 - 請求項1又は2の画像形成装置において、
上記現像手段を、上記各トナー保持手段によって上記像担持体表面に戻されたトナーを現像剤担持体側へ移動させる向きの電界を形成し得るように構成し、上記トナー回収手段として兼用したことを特徴とする画像形成装置。 - 請求項3の画像形成装置において、
上記像担持体表面から上記現像剤担持体への残留トナーの回収が終了した後、該現像剤担持体に画像形成時のバイアスを印加した状態で該現像剤担持体を所定時間回転させる空回し運転を行うことを特徴とする画像形成装置。 - 請求項1又は2の画像形成装置において、
上記像担持体上のトナー像を上記被転写体としての中間転写体に転写する中間転写手段を備え、
該中間転写手段を、上記各トナー保持手段によって上記像担持体表面に戻されたトナーを該中間転写体側へ移動させる向きの電界を形成し得るように構成し、上記トナー回収手段として兼用したことを特徴とする画像形成装置。 - 請求項5の画像形成装置において、
上記中間転写体に回収されたトナーを除去する中間転写体クリーニング手段を設けたことを特徴とする画像形成装置。 - 請求項1乃至6のいずれかの画像形成装置において、
上記各ブラシローラをそれぞれ、上記像担持体との接触領域において該像担持体の表面移動方向とは逆方向に表面移動させるように回転駆動することを特徴とする画像形成装置。 - 請求項1乃至6のいずれかの画像形成装置において、
上記各ブラシローラをそれぞれ、上記像担持体との接触領域において該像担持体の表面移動方向と同方向でかつ線速差が生じるように回転駆動することを特徴とする画像形成装置。 - 請求項1乃至8のいずれかの画像形成装置において、
上記トナーの平均円形度が0.93以上であることを特徴とする画像形成装置。 - 請求項1乃至9のいずれかの画像形成装置において、
少なくとも上記像担持体と上記各トナー保持手段とを一体的に且つ画像形成装置本体に対して着脱可能に構成したプロセスカートリッジを備えたことを特徴とする画像形成装置。
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