JP4809800B2 - 電気二重層キャパシタ電極の製造方法 - Google Patents

電気二重層キャパシタ電極の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は電気二重層キャパシタ電極及びその製造方法に関する。
電気二重層キャパシタは分極性電極(炭素電極等)で構成されるアノード及びカソードを備えている。分極性電極として、活性炭を含有する炭素電極を使用する場合、電気二重層キャパシタの静電容量を大きくするためには、炭素電極を高密度化し、活性炭の充填率を高くすることが有効である。
しかしながら、電気二重層キャパシタにおいて、高密度の炭素電極を使用すると電解液の導電性が阻害され、内部抵抗が増大する傾向にある。なお、内部抵抗を低くするには、炭素電極の薄型化が有効であるが、薄型化に伴って炭素電極に含まれる活性炭の量が少なくなるため、静電容量の低下につながる。
静電容量が十分に大きく、かつ、内部抵抗が十分に低い電気二重層キャパシタを作製するため、圧延による炭素電極の製造方法について様々な検討がなされている。例えば、特許文献1には、スクリュー押出し成形と圧延による成形とを併用する方法が記載されている。また、特許文献2には、集電体とシート状の電極材料との積層体を圧延する方法が記載されている。更に、特許文献3には、炭素電極用の混練物を乾燥、粉砕した後、これを圧延する方法が記載されている。
特開平11−283887号公報 特開2002−175950号公報 特開2006−278998号公報
しかしながら、従来の圧延処理を経て製造された電気二重層キャパシタ電極を備える電気二重層キャパシタは、静電容量及び内部抵抗について未だ改善の余地があった。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、静電容量が十分に大きく、かつ、内部抵抗が十分に低い電気二重層キャパシタを作製するのに有用な電気二重層キャパシタ電極及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、電気二重層キャパシタ電極用の活性物質含有組成物を圧延装置で処理して電極シートを成形する際、圧延装置のロール間隔を段階的に狭めながら繰り返し圧延することによって、高密度であっても電気二重層キャパシタの内部抵抗の増大を抑制できる電気二重層キャパシタ電極が得られることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明に係る電気二重層キャパシタ電極の製造方法は、一対のロールを有し、当該ロール間隔を変更自在の圧延装置を用いた方法であって、電気二重層キャパシタ電極用の活性物質含有組成物を、所定のロール間隔に設定され一対のロールで2回以上圧延する第1圧延工程と、第1圧延工程で得られた被圧延体を、第1圧延工程におけるロール間隔よりも狭いロール間隔に設定された一対のロールで2回以上圧延する第2圧延工程と、第2圧延工程で得られた被圧延体を、第2圧延工程におけるロール間隔よりも狭いロール間隔に設定された一対のロールで2回以上圧延する第3圧延工程と、を備えることを特徴とする。
本発明に係る方法によれば、圧延装置のロール間隔を段階的に狭めながら被圧延体を繰り返し圧延することによって、多段階の圧延工程を経て得られる電極シートの高密度化及び薄型化の両方を高水準に達成できる。このような電極シートによって電気二重層キャパシタ電極を構成すると、静電容量が十分に大きく、かつ、内部抵抗が十分に低い電気二重層キャパシタを作製できる。
この電気二重層キャパシタ電極が高密度ながらも十分に低い内部抵抗を達成できる理由は十分に明らかではないが、その主因は以下のように推察される。すなわち、ロール間隔を段階的に狭めて圧延を繰り返すと、電極シートを構成する活性物質含有組成物の均一性が向上するためと考えられる。これに加え、被圧延体を繰り返しローラ間に通すことによって、被圧延体の表面が十分に平坦となり、かつ、厚さが十分に均一になるためと考えられる。
本発明の電気二重層キャパシタ電極は、上記本発明に係る電気二重層キャパシタ電極の製造方法によって製造されたものである。本発明の電気二重層キャパシタ電極を使用することで、静電容量が十分に大きく、かつ、内部抵抗が十分に低い電気二重層キャパシタを作製できる。
本発明によれば、静電容量が十分に大きく、かつ、内部抵抗が十分に低い電気二重層キャパシタを作製するのに有用な電気二重層キャパシタ電極及びその製造方法を提供することができる。
本発明の好適な実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る電気二重層キャパシタ電極の製造方法を示す工程図である。図1に示すように、本実施形態に係る製造方法は、活性物質含有組成物を調製する原料混練工程と、活性物質含有組成物を圧延装置に導入し、圧延によって当該組成物からなる電極シートを作製する圧延工程と、この電極シートと集電体と貼り合せて電気二重層キャパシタ電極を作製する貼合工程と、を備える。以下、各工程について説明する。
(原料混練工程)
原料混練工程は、活性炭と、導電性助剤と、結着剤とを混練して活性物質含有組成物を調製する工程である。
活性炭としては、炭素原料を賦活して得られたものであれば特に限定されない。具体例としては、メソフェーズピッチやそれを紡糸したメソフェーズ系炭素繊維を不融化・炭素化して得られるもの、石油コークスや石炭ピッチコークス等を炭素化して得られるもの、フェノール樹脂等の合成高分子系の炭化物等の炭素原料を賦活したものを例示できる。活性炭用の炭素原料の好適な例として、炭素質メソフェーズ、石油生コークス及び石炭生コークスを例示できる。
炭素原料を賦活処理する方法としては、従来公知の方法を採用することができる。例えば、二酸化炭素や水蒸気を含有する酸化性ガス中で炭素原料を500〜1000℃程度に加熱する方法、及び、炭素原料と金属水酸化物とを混合して熱処理する方法が知られている。これらの方法のうち、炭素原料と金属水酸化物とを混合して熱処理する方法が好ましく採用される。
賦活処理に使用する金属水酸化物としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム及び水酸化リチウム等のアルカリ金属水酸化物、水酸化マグネシウム及び水酸化バリウム等のアルカリ土類金属水酸化物を例示できる。これらの金属水酸化物は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。活性炭の微細孔を効率よく形成できる点から、金属水酸化物として水酸化カリウムを使用することが特に好ましい。
炭素原料と金属水酸化物との混合比率(質量比)は、炭素原料の質量をW、金属水酸化物の質量をWとすると、W/Wの値は、0.1〜2であることが好ましく、0.2〜1であることがより好ましい。当該混合比率が0.1未満であると、賦活反応の効率が低下しやすいと共に、製造される活性炭のかさ密度が不十分となりやすい。他方、当該混合比率が2を超えると、活性炭に形成される微細孔が不十分となり、製造される活性炭の比表面積が不十分となりやすい。
炭素原料の賦活処理には、賦活炉を用いることができる。賦活炉内を不活性ガス雰囲気に置換した後、炭素原料と金属水酸化物との混合物を500〜1200℃で加熱することによって活性炭を製造することができる。賦活処理の温度条件は、十分な微細孔を有する活性炭を効率的に製造する観点から、600〜1000℃であることがより好ましく、600〜800℃であることが更に好ましい。賦活処理の処理時間は、温度条件等との関連において適宜設定すればよいが、例えば3〜6時間に設定することができる。
賦活処理を行う賦活炉内を置換する不活性ガスとしては、例えば、窒素ガス又はヘリウム、ネオン、アルゴンなどの希ガスを挙げることができる。賦活処理を行う賦活炉内は、酸素濃度を100容量ppm以下に保持することが好ましい。ただし、賦活反応においては、炭化物及び金属水酸化物の他に、水等が共存していてもよい。
賦活処理を経て得られる活性炭に対しては、洗浄液を用いた洗浄処理を行うことが好ましい。洗浄処理を行うことによって、賦活処理後の活性炭の微細孔に残留するアルカリ金属などを除去することができる。活性炭を洗浄液中に浸漬して必要に応じて攪拌及び/又は加熱などを行った後、洗浄液と活性炭とを固液分離する。
洗浄液としては、水又は酸水溶液を用いることが好ましい。酸水溶液としては、例えば、塩酸、ヨウ化水素酸及び臭化水素酸などのハロゲン化水素酸、硫酸及び炭酸などの無機酸を例示できる。酸水溶液の濃度は、0.01〜3Nであることが好ましい。洗浄処理は、複数の洗浄液を使用して繰り返し実施してもよい。例えば、まず水による洗浄処理を行い、その後、酸水溶液による洗浄処理を行い、更に水による洗浄処理を行ってもよい。洗浄処理が施された活性炭を回収し、適宜加熱又は風乾などを行って水分を除去することによって、乾燥した活性炭を得ることができる。
洗浄処理を経て得られた活性炭は、比表面積が10〜3000m/gであることが好ましく、100〜2400m/gであることがより好ましい。ここでいう「比表面積」とは、窒素ガス吸着法(吸着温度条件:−196℃)により得られるBETプロットにおける相対圧0.05〜0.3の範囲での近似直線の傾きと切片とから求められる比表面積を意味する。なお、製造した活性炭の比表面積が上記の範囲外であった場合は、賦活処理の温度及び/又は処理時間を適宜調整して、再度、活性炭を製造すればよい。
導電性助剤としては、電気二重層キャパシタ電極内及び当該電極と集電体との間のスムーズな電荷移動を実現可能なものであれば特に制限されない。具体例としては、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、ファーネスブラック等のカーボンブラック、粉末グラファイト、酸化チタン、酸化ルテニウム等の粉末を例示できる。
結着剤としては、従来公知のものを使用することができる。具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン、フルオロオレフィン/ビニルエーテル共重合体架橋ポリマー等のフッ素化ポリマー、カルボキシメチルセルロース等のセルロース類、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール等のビニル系ポリマー、ポリアクリル酸等を例示できる。
活性物質含有組成物は、上記の活性炭、導電性助剤及び結着剤を含有することが好ましい。なお、各成分の配合量は、使用する各成分の物性等に応じて適宜選択されるが、好ましい範囲は以下の通りである。
活性炭の配合量は、活性炭、導電性助剤及び結着剤の合計量を100質量部とすると、50〜95質量部であることが好ましく、70〜90質量部であることがより好ましい。活性炭の当該配合量が50質量部未満であると、電気二重層キャパシタ電極の表面積低下が生じ、静電容量が低下しやすい。他方、活性炭の当該配合量が95質量部を超えると、導電助剤不足による抵抗増大又は結着剤不足による電極強度低下が生じやすい。
導電性助剤の配合量は、活性炭、導電性助剤及び結着剤の合計量を100質量部とすると、1〜50質量部であることが好ましく、2〜30質量部であることがより好ましい。導電性助剤の当該配合量が1質量部未満であると、導電助剤不足による抵抗増大が生じやすい。他方、導電性助剤の当該配合量が50質量部を超えると、電気二重層キャパシタ電極の表面積低下が生じ、静電容量が低下しやすい。
結着剤の含有量は、活性炭、導電性助剤及び結着剤の合計量を100質量部とすると、0.1〜30質量部であることが好ましい。結着剤の当該配合量が0.1質量部未満であると、結着剤不足による電極強度低下が生じやすい。他方、結着剤の当該配合量が30質量部を超えると、電気二重層キャパシタ電極の表面積低下が生じ、静電容量が低下しやすい。
なお、上記の成分を効率的且つ十分に混練する観点から、水、イソプロピルアルコール等の液体を更に配合してもよい。かかる液体の配合量は、活性炭、導電性助剤及び結着剤の合計量を100質量部とすると、500質量部以下であることが好ましく、250〜350質量部であることがより好ましい。
各成分を混練する装置としては、従来公知の装置を使用することができる。例えば、ニーダー等の混練機を例示できる。十分に均一に混合された活性物質含有組成物を得ることができれば、混練処理時の温度及び時間は特に限定されない。混練処理時の好適な温度条件は、10〜100℃であり、好適な処理時間は、0.1〜1時間である。
(圧延工程)
圧延工程は、原料混練工程を経て得られた粘土状の活性物質含有組成物を圧延装置に導入し、圧延によって当該組成物からなる電極シートを作製する工程である。図1に示す通り、圧延工程は、第1〜第3圧延工程からなる。圧延工程の各工程では、一対のロールを有し、当該ロール間隔を変更自在の圧延装置を使用する。
一対のロールのロール間隔を段階的に狭めながら圧延を繰り返すことで徐々に薄い被圧延体を作製し、目的の厚さの電極シートを作製する。圧延装置としては、一対のロールを有し、当該ロール間隔を変更自在のものであれば、従来公知の装置を使用できる。圧延装置の具体例としては、宝泉株式会社製のロールプレス(商品名)を例示できる。
第1圧延工程は、電気二重層キャパシタ電極用の活性物質含有組成物を、所定のロール間隔に設定された一対のロールで1回又は2回以上圧延する工程である。この第1圧延工程では、粘土状の活性物質含有組成物からシート状の被圧延体を作製する。第1圧延工程におけるロール間隔は、作業性及び電極シート厚の均一性を確保する観点から、200〜600μmであることが好ましく、350〜450μmであることがより好ましい。なお、第1圧延工程におけるロール間隔は活性物質含有組成物の粘度等に応じて適宜設定することができる。
第1圧延工程においては、活性物質含有組成物を圧延して得られた被圧延体を、繰り返し一対のロール間に通し、同一のロール間隔に設定されたままの一対のロールで複数回圧延を行ってもよい。これにより、活性物質含有組成物の成分の均一性及び被圧延体の厚さの均一性が向上する。第1圧延工程において圧延を行う処理回数は、1〜10回であることが好ましく、2〜5回であることがより好ましい。
第2圧延工程は、第1圧延工程で得られた被圧延体を、第1圧延工程におけるロール間隔よりも狭いロール間隔に設定された一対のロールで1回又は2回以上圧延する工程である。この第2圧延工程では、第1圧延工程で得られた被圧延体よりも薄いシート状の被圧延体を作製する。
第2圧延工程においては、第1圧延工程で得られた被圧延体を1回圧延した後、これを繰り返し一対のロール間に通し、同一のロール間隔に設定されたままの一対のロールで複数回圧延を行ってもよい。これにより、活性物質含有組成物の成分の均一性及び被圧延体の厚さの均一性が向上する。第2圧延工程において圧延を行う処理回数は、1〜10回であることが好ましく、2〜5回であることがより好ましい。
第3圧延工程においては、ロール間隔が更に狭く設定される以外は、第2圧延工程を同様にして圧延処理を行う。本実施形態においては、圧延工程の最終工程である第3圧延工程を経て所望の厚さの電極シートが作製される。
圧延工程の最終的なロール間隔は、目的とする電極シートの厚さに調整される。最終的なロール間隔は、電気二重層キャパシタ電極に要求される性能の観点から、10〜300μmであることが好ましく、50〜150μmであることがより好ましい。なお、電極シートの最終的な厚さは、作製する電気二重層キャパシタの種類や用途に応じて適宜設定することができる。
圧延時に活性物質含有組成物がロールに付着することを防止するため、活性物質含有組成物を離型性のフィルムに挟んで圧延を行ってもよい。この場合、ロール間隔はフィルムの厚さを考慮して適宜設定すればよい。離型性のフィルムとしては、トリアセテート、ポリエチレンテレフタレート(PET)等からなるフィルムを例示できる。
なお、圧延工程におけるロール外表面の線速度は0.5〜10cm/秒であることが好ましく、1〜5cm/秒であることがより好ましい。ロール温度は10〜100℃であることが好ましく、20〜80℃であることがより好ましい。
圧延工程によれば、厚さが十分に薄い電極シートを作製できると共に、この電極シートの高密度化及び厚さの均一化が高度に達成される。また、圧延を繰り返し行うことで、電極シートを構成する活性物質含有組成物の均一性が一層向上する。電極シートのこれらの特性により、これを用いて作製された電気二重層キャパシタは優れた性能を発揮できる。すなわち、電極シートの高密度化に起因して十分に大きい静電容量が達成される一方、電極の構成材料の均一性の向上等によって内部抵抗の上昇が十分に抑制される。
(貼合工程)
貼合工程は、上記の圧延工程を経て作製された電極シートと、集電体と貼り合せて電気二重層キャパシタ電極を作製する工程である。電極シートを予め裁断し、電気二重層キャパシタの作製時に集電体と貼り合わせてもよいが、電極シートと集電体を貼り合せて一体化した後、この積層体を裁断することが好ましい。
集電体としては、公知の材質および形状のものを使用することができる。例えば、好適な集電体の例として、アルミニウム、チタン、タンタル及びニッケル等の金属及びステンレス等の合金からなるシートを例示できる。
電極シートと集電体とを貼り合せる方法は、特に限定されるものではない。例えば、カーボンブラック等の高導電性の粉末を混合した接着剤を使用する方法が挙げられる。かかる接着剤を集電体又は電極シートの一方に塗布した後、圧延装置を用いて貼り合わせればよい。電極シートと集電体との積層体を所定の大きさに裁断し、電気二重層キャパシタ電極が作製される。
(電気二重層キャパシタ)
次に、電気二重層キャパシタについて説明する。本実施形態に係る電気二重層キャパシタの単位セルは、上記のようにして作製した一対の電気二重層キャパシタ電極と、当該電極の間に配置されるセパレータとを備え、当該電極及びセパレータの微細孔には電解液が充填されている。
セパレータとしては、従来公知のものを使用できる。具体例として、ポリプロピレン繊維不織布、ガラス繊維不織布、合成セルロース紙等を例示できる。
電解液としては、公知の水系電解液及び有機系電解液を使用することができるが、有機系電解液を用いることがより好ましい。有機系電解液としては、電気化学の電解液の溶媒として使用されているものを用いることができ、例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、スルホラン、スルホラン誘導体、3−メチルスルホラン、1,2−ジメトキシエタン、アセトニトリル、グルタロニトリル、バレロニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、メチルフォルメート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等を例示できる。これらの電解液は1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
また、有機電解液中の支持電解質としては、特に限定されないが、電気化学の分野又は電池の分野で通常使用される塩類、酸類、アルカリ類等の各種のものを使用できる。例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等の無機イオン塩、4級アンモニウム塩、環状4級アンモニウム塩、4級ホスホニウム塩等を例示できる。好適な支持電解質として、(CNBF、(C(CH)NBF、(CPBF、(C(CH)PBF等を例示できる。電解液中のこれらの塩の濃度は、通常0.1〜5モル/リットルであり、好ましくは0.5〜3モル/リットルである。
電気二重層キャパシタの具体的な構造は特に限定されず、例えば、コイン型、捲回型、積層型などのいずれであってもよい。コイン型は、厚さ10〜500μmの略円形の一対の電極(正極と負極)の間にセパレータを配置した積層構造体が金属ケースに収容された構造を有する。捲回型は、一対の電極がセパレータを介して捲回された構造を有する。積層型は、セパレータを介して多数の電極群が積み重ねられた構造を有する。
以上、本発明の実施形態について圧延工程が第1〜第3圧延工程からなる場合を例示して詳しく説明した。
圧延工程の第n圧延工程は、第n−1圧延工程で得られた被圧延体を、第n−1圧延工程におけるロール間隔よりも狭いロール間隔に設定された一対のロールで1回又は2回以上圧延する工程(nは2以上の整数)と表記できる。この表記を用いると圧延工程は、電気二重層キャパシタ電極用の活性物質含有組成物を、所定のロール間隔に設定された一対のロールで1回又は2回以上圧延する第1圧延工程と、第2〜第N圧延工程と、を備える工程(Nは3以上の整数)と表記できる。上記実施形態の圧延工程はNの値は3であるが、Nの値を4以上とし、圧延を更に多段階に分けて実施してもよい。ただし、作業性及び経済性の点から、Nの上限は7であることが好ましく、5であることがより好ましい。
以下、実施例及び比較例に基づき本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
<活性炭の調製>
易黒鉛化炭素原料として石油生コークスを使用し、これを500℃で3時間炭化処理を行った。この炭化物粒子(粒径2mm以下)1質量部と、水酸化カリウム(KOH)2.5質量部とを混合した。この混合物をニッケル製反応容器に入れ、窒素気流下750℃で1時間加熱し、賦活処理を行った。
賦活処理後、反応容器内の反応混合物を300℃まで冷却し、窒素に代えて二酸化炭素を流し、金属カリウムを失活させた。その後、反応混合物を塩酸で洗浄し、洗液が中性になるまで水洗を繰り返した。この反応混合物を150℃で加熱して乾燥させた。得られた活性炭(活性炭A)を、さらに100容量ppmの酸素を含む窒素気流下、800℃にて1.5時間乾式加熱を行い、活性炭Bを得た。
<電気二重層キャパシタ電極の作製及び評価>
上記で得られた活性炭B80質量部、ケッチェンブラック10質量部、およびポリテトラフルオロエチレン10質量部を配合し、配合助剤としてイソプロピルアルコールを250質量部添加し、温度条件60℃で0.2時間混練した。次いで、粘土状の混練物を厚さ0.1mmのトリアセテートフィルム2枚の間に挟み、表1に示す通り、第1〜第6圧延工程を実施した。すなわち、ロール間隔を5段階に分けて段階的に狭くしながら圧延を繰り返した。最終的なロール間隔(第6圧延工程におけるロール間隔)は240μmとした。なお、第1〜第6圧延工程においては、各ロール間隔にてそれぞれ4回ずつ圧延処理を行った。
第6圧延工程を経て得られた電極シートから2枚の円形シート(直径16mm)を打ち抜いた。この円形シートを真空乾燥機で2時間乾燥し、炭素電極(電気二重層キャパシタ電極)を得た。この炭素電極の厚さ及び質量を測定し、炭素電極の密度を算出した。結果を表1に示す。
<電気二重層キャパシタセルの作製及び評価>
プロピレンカーボネート1リットル中に(C(CH)NBFを1モル溶解させ、電解液を調製した。上記のようにして作製した2枚の炭素電極にこの電解液を含浸させた。次いで、この一対の炭素電極で厚さ50μmのセルロース製セパレータを挟み、電解液と共にコインセル本体(直径20mm、SUS316製)内に封入した。なお、炭素電極とセル本体との間には、アルミ箔からなる集電体(厚さ20μm)を配置した。集電体の一方の面にカーボン塗料を塗布し、この面と炭素電極の表面とが当接するように配置した。
このようにして作製した電気二重層キャパシタセルの静電容量及び内部抵抗の測定を行った。電気二重層キャパシタセルに対し、10mAにて2.7Vまで定電流充電、2.7Vにて30分間の定電圧充電及び1mAにて0Vまで定電流放電を行った。放電曲線から求めたエネルギー量と、炭素電極中の活性炭含有率とを用いて、活性炭単位質量あたりの静電容量及び活性炭単位体積あたりの静電容量をそれぞれ求めた。また、放電開始直後の電圧降下より内部抵抗値を算出した。結果を表1に示す。
(実施例2)
圧延工程の条件を表1に示す条件としたことの他は、実施例1と同様にして電気二重層キャパシタ電極及び電気二重層キャパシタセルを作製し、それぞれの評価を行った。すなわち、第1〜4圧延工程を実施し、ロール間隔を3段階に分けて段階的に狭くしながら圧延を繰り返した。最終的なロール間隔(第4圧延工程におけるロール間隔)は280μmとした。なお、第1〜第4圧延工程においては、各ロール間隔にてそれぞれ4回ずつ圧延処理を行った。結果を表1に示す。
(比較例1)
圧延工程の条件を表1に示す条件としたことの他は、実施例1と同様にして電気二重層キャパシタ電極及び電気二重層キャパシタセルを作製し、それぞれの評価を行った。すなわち、第1及び第2圧延工程を実施することで圧延を行った。最終的なロール間隔(第2圧延工程におけるロール間隔)は450μmとした。なお、第1及び第2圧延工程においては、各ロール間隔にてそれぞれ4回ずつ圧延処理を行った。結果を表1に示す。本比較例で作製した電気二重層キャパシタセルは、実施例1及び2の電気二重層キャパシタセルと比較すると、静電容量(活性炭単位質量あたり及び活性炭単位体積あたり)が小さく、内部抵抗が高かった。
(比較例2)
圧延工程の条件を表1に示す条件としたことの他は、実施例1と同様にして電気二重層キャパシタ電極及び電気二重層キャパシタセルを作製し、それぞれの評価を行った。すなわち、段階的な圧延処理を行うことなく、第1圧延工程のみを実施することで圧延を行った。ロール間隔は240μmとした。なお、第1圧延工程においては、このロール間隔にて6回圧延処理を行った。結果を表1に示す。本比較例で作製した炭素電極は、実施例1及び2の炭素電極と比較すると、密度が低かった。また、本比較例で作製した電気二重層キャパシタセルは、実施例1及び2の電気二重層キャパシタセルと比較すると、活性炭単位体積あたりの静電容量が小さく、内部抵抗が高かった。
Figure 0004809800
本発明に係る電気二重層キャパシタ電極の製造方法の一実施形態を示す工程図である。

Claims (3)

  1. 一対のロールを有し、当該ロール間隔を変更自在の圧延装置を用いた電気二重層キャパシタ電極の製造方法であって、
    電気二重層キャパシタ電極用の活性物質含有組成物を、所定のロール間隔に設定された前記一対のロールで2回以上圧延する第1圧延工程と、
    前記第1圧延工程で得られた被圧延体を、前記第1圧延工程におけるロール間隔よりも狭いロール間隔に設定された前記一対のロールで2回以上圧延する第2圧延工程と、
    前記第2圧延工程で得られた被圧延体を、前記第2圧延工程におけるロール間隔よりも狭いロール間隔に設定された前記一対のロールで2回以上圧延する第3圧延工程と、
    を備えることを特徴とする方法。
  2. 前記第1圧延工程、第2圧延工程及び第3圧延工程におけるそれぞれの圧延回数は、2回以上5回以下であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  3. 前回の圧延工程である第n−1圧延工程で得られた被圧延体を、前記第n−1圧延工程におけるロール間隔よりも狭いロール間隔に設定された前記一対のロールで2回以上圧延する第n圧延工程を更に備え、
    nは4以上の整数であり、前記第3圧延工程後、nの値が7以下の整数であるNとなるまで前記第n圧延工程を実施する、請求項1に記載の方法。
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