JP4809261B2 - 複数槽式計量装置 - Google Patents

複数槽式計量装置

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Description

本発明は、複数槽式計量装置に関し、特に、互いに結合されかつ互いに別々に被計量物が供給される複数の計量槽を備え、これら複数の計量槽のそれぞれに供給された被計量物の重量を当該複数の計量槽に共通して設けられた複数の荷重検出手段を用いて測定する、複数槽式計量装置に関する。
この種の複数槽式計量装置として、従来、例えば特許文献1に開示されたものがある。この従来技術によれば、内部の貯留領域が仕切壁によって二槽に仕切られたホッパと、当該仕切壁を隔てた対称の位置において各槽に設けられたロードセルと、各ロードセルの出力に基づいて被計量物としての貯留物の重量を算出する演算装置と、が備えられている。そして、演算装置は、一方の槽に設けられたロードセルで検出される荷重をR1、他方の槽に設けられたロードセルで検出される荷重をR2、各ロードセル間の距離をL、仕切壁から一方の槽内における貯留物の重心までの距離をa1、仕切壁から他方の槽内における貯留物の重心までの距離をa2として、次の式1により、一方の槽内における貯留物の推定重量W1を求め、式2により、他方の槽内における貯留物の推定重量W2を求める。
《式1》
W1=1/(a1+a2)×{R1×(a2+L/2)+R2×(a2−L/2)}
《式2》
W2=1/(a1+a2)×{R1×(a1−L/2)+R2×(a1+L/2)}
このように、従来技術によれば、荷重検出手段としてのロードセルが各槽に共通して設けられた構成であっても、式1および式2に基づくことで、当該各層における貯留物の推定重量W1およびW2を個別に求めることができる。
特開2000−258235号公報
ところで、上述の式1および式2には、いずれも、各ロードセル間の距離L、仕切壁から一方の槽内における貯留物の重心までの距離a1、および仕切壁から他方の槽内における貯留物の重心までの距離a2、という寸法値が含まれている。従って、このような寸法値L,a1およびa2を含む式1および式2に基づいて各槽内の貯留物の推定重量W1およびW2を正確に求めるには、実際の装置(いわゆる実機)における当該寸法値L,a1およびa2がそれ相応に正確であること、つまり設計値通りであること、が必要とされる。しかし、これらの寸法値L,a1およびa2が全く設計値通りであることはなく、当然に誤差を有する。特に、各ロードセル間の距離Lについては、厳密には各ロードセルに対する荷重の着力点間の距離を指すが、この距離は元より、当該着力点の位置を設計値通りとすることは、極めて困難である。また、仕切壁から各槽内の貯留物の重心までの距離a1およびa2についても、当該距離a1およびa2はおろか、各槽内の貯留物の重心位置を設計値通りとすることは、非常に難しい。一方、外観から各貯留物の重心位置を特定した上で、当該距離a1およびa2を測定することも考えられるが、やはり正確さに欠ける。このことは、各ロードセル間の距離Lについても同様である。ゆえに、これらの寸法値L,a1およびa2を含む上述の式1および式2に基づいて各槽内の貯留物の推定重量W1およびW2を求めるという従来技術では、当該推定重量W1およびW2を正確に求めることができない、つまり計量精度が低い、という問題がある。
そこで、本発明は、従来よりも計量精度の高い複数槽式計量装置を提供することを、目的とする。また、このような高精度な複数槽式計量装置を安価な製造コストで提供することも、本発明の目的とするところである。
この目的を達成するために、本発明のうちの第1発明は、互いに結合されており互いに別々に被計量物が供給されるM(M;2以上の整数)個の計量槽と、これらM個の計量槽を互いに異なる条件で支持すると共に当該M個の計量槽のそれぞれに被計量物が供給されることによって印加される荷重を検出するN(N;2以上の整数)個の荷重検出手段と、これらN個の荷重検出手段のそれぞれによる荷重検出値を含む第1演算式に基づいてM個の計量槽のそれぞれに供給された被計量物の重量を求める重量演算手段と、を具備する。ここで、第1演算式は、M個の計量槽のそれぞれに供給された被計量物の重量が、N個の荷重検出手段のそれぞれによる荷重検出値と、当該N個の荷重検出手段のそれぞれに対応する第1係数と、の積の総和に等しい、という関係を表す。そして、第1係数は、M個の計量槽のそれぞれに既知重量のテスト用物品が供給されたときに得られるN個の荷重検出手段のそれぞれによる荷重検出値と、当該テスト用物品の重量と、に基づいて求められる、というものである。なお、NおよびMの値は、互いに同じであっても、異なっていてもよい。
即ち、本第1発明では、M個の計量槽のそれぞれに、任意に被計量物が供給される。すると、これらM個の計量槽を互いに異なる条件(例えば位置や姿勢等)で支持しているN個の荷重検出手段に、各被計量物のそれぞれの重量に応じた荷重が分散して印加される。各荷重検出手段のそれぞれは、自身に印加された荷重を検出する。そして、これら各荷重検出手段による各荷重検出値を含む第1演算式に基づいて、重量演算手段が、各計量槽のそれぞれに供給された被計量物の重量を個別に求める。
ここで、第1演算式は、各計量槽のそれぞれに供給された被計量物の重量が、各荷重検出手段による各荷重検出値のそれぞれに第1係数という一定の重み係数を乗じた値の総和に等しい、という関係を表す。これは、各計量槽のそれぞれに供給された被計量物による荷重が、当該第1係数に応じた比率で各荷重検出手段に分散して印加される、という思想による。また、この第1演算式に含まれる第1係数は、各計量槽の形状や寸法、各荷重検出手段の位置関係等、を含む本第1発明の複数槽式計量装置(いわゆる実機)全体の構造特性を総合的に表す。この第1係数を正確に求めるべく、本第1発明では、既知重量のテスト用物品を用いての事前のテストが行われる。
具体的には、各計量槽のそれぞれにテスト用物品が供給される。そして、このとき実際に得られる各荷重検出手段による各荷重検出値と、既知である当該テスト用物品の重量と、に基づいて、第1係数が求められ、言わば実測される。
より具体的には、まず、互いに異なる重量の複数個のテスト用物品が用意される。そして、各計量槽のそれぞれに各テスト用物品がかわるがわる供給されたときに得られる各荷重検出手段による各荷重検出値と、当該各テスト用物品の各重量と、が第1演算式に代入されることによって、複数の方程式が組み立てられる。そして、これら複数の方程式から成る連立方程式を解くことによって、第1係数が求められる。これとは別に、当該複数の方程式を回帰分析(重回帰分析)することによっても、第1係数を求めることができる。
なお、ここで言う複数個のテスト用物品のうちのいずれか1つの重量は、ゼロであってもよい。つまり、各計量槽のそれぞれにテスト用物品が供給されるとき、いずれか1つの計量槽にはテスト用物品が非供給(いわゆる無負荷)とされ、残りの計量槽のそれぞれに実際にテスト用物品が供給されるようにしてもよい。
また、ここで言う各荷重検出手段のそれぞれは、1以上の荷重センサによって構成することができる。この場合、1つの荷重センサによって構成されている荷重検出手段については、当該1つの荷重センサの出力値が、その荷重検出値とされる。一方、複数の荷重センサによって構成されている荷重検出手段については、当該複数の荷重センサの各出力値の合計が、その荷重検出値とされる。
次に、本発明の第2発明は、重量演算手段が、第1発明における第1演算式に代えて、第2演算式に基づいて、各計量槽のそれぞれに供給された被計量物の重量を求める、というものである。ここで、第2演算式は、各荷重検出手段のそれぞれによる荷重検出値が、各計量槽のそれぞれに供給された被計量物の重量と、当該各計量槽のそれぞれに対応する第2係数と、の積の総和に等しい、という関係を表す。そして、この第2演算式に含まれる第2係数は、第1演算式に含まれる第1係数と同様、事前のテストにおいて、各計量槽のそれぞれに既知重量のテスト用物品が供給されることによって実際に得られる各荷重検出手段による各荷重検出値と、当該テスト用物品の重量と、に基づいて求められる。
即ち、本第2発明では、第1発明とは逆の発想から、各荷重検出手段のそれぞれによる荷重検出値は、各計量槽のそれぞれに供給された被計量物の重量に第2係数という一定の重み係数を乗じた値の総和に等しい、という関係を表す第2演算式に基づいて、当該被計量物の重量が求められる。そして、この第2演算式に含まれる第2係数は、第1発明における第1係数と同様、実機全体の構造特性を総合的に表したものであり、事前のテストによって実測される。
上述したように、本発明のうちの第1発明によれば、各計量槽のそれぞれに供給された被計量物の重量は、各荷重検出手段による各荷重検出値のそれぞれに実機の総合的な構造特性に従う第1係数を乗じた値の総和に等しい、という関係を表す第1演算式に基づいて、当該被計量物の重量が求められる。そして、この第1演算式に含まれる第1係数は、既知重量のテスト用被計量物を用いての事前のテストによって実測されるので、実機の構造特性が適確に反映されたものとなる。しかも、このように第1係数を実測すること、詳しくは各計量槽のそれぞれにテスト用物品が供給されている状態で各荷重検出手段による各荷重検出値を読み取ることは、上述の従来技術において各寸法値L,a1およびa2を設計値通りとし、或いは外観から当該各寸法値L,a1およびa2を測定することに比べて、極めて容易であり、かつ正確さを得られる。従って、本第1発明によれば、当該各寸法値L,a1およびa2を含む上述の式1および式2に基づいて各槽内の貯留物の推定重量W1およびW2を求めるという従来技術に比べて、第1係数を実測するための事前のテストを含む製造コストを大幅に低減することができると共に、被計量物の重量を正確に測定することができ、つまり高い計量精度を得ることができる。
第2発明によれば、各荷重検出手段のそれぞれによる荷重検出値は、各計量槽のそれぞれに供給された被計量物の重量に実機の総合的な構造特性に従う第2係数を乗じた値の総和に等しい、という関係を表す第2演算式に基づいて、当該被計量物の重量が求められる。そして、この第2演算式に含まれる第2係数もまた、第1発明における第1係数と同様、事前のテストによって容易かつ正確に求められる。従って、第1発明と同様、従来よりも製造コストを大幅に低減することができ、併せて高い計量精度を得ることができる。
本発明の第1実施形態について、図1〜図7を参照して説明する。
本第1実施形態に係る複数槽式計量装置は、図1に示す計量部10と、図2に示す信号処理部20と、によって構成されている。
このうち、計量部10は、図1に示すように、概略円筒形状の2つの計量槽(ホッパ)102aおよび102bを備えている。これらの計量槽102aおよび102bは、或る鉛直面に沿う基準面104に関して互いに面対称となるように、概略平板状の支持台106上に配置されている。つまり、各計量槽102aおよび102bは、支持台106を介して、互いに結合(一体化)されている。なお、支持台106自体も、基準面104に関して面対称とされている。
各計量槽102aおよび102bは、支持台106と共に、2つの荷重検出手段、例えばロードセル108aおよび108b、によって、互いに異なる条件で支持されている。具体的には、支持台106の底部の互いに異なる位置に、それぞれ概略L字状の連結部材110aおよび110bを介して、各ロードセル(起歪体)108aおよび108bの各自由端が結合されている。そして、各ロードセル108aおよび108bの各固定端は、それぞれ別々の固定基部(シャーシ)112aおよび112bに結合されている。なお、これら各ロードセル108aおよび108b,各連結部材110aおよび110b,各固定基部112aおよび112bもまた、それぞれ基準面104に関して面対称とされている。また、図には示さないが、支持台106と各連結部材110aおよび110bとの結合部分には、各ロードセル108aおよび108b間の力学的な相互干渉を回避するためのゴム板等の干渉防止手段が、挿入されている。
ここで、各計量槽102aおよび102bにそれぞれ被計量物114aおよび114bが供給されると、これら各被計量物114aおよび114bの各重量W1およびW2に応じた荷重が各ロードセル108aおよび108bに分散して印加される。すると、各ロードセル(図示しない歪ゲージを含む出力回路)108aおよび108bは、それぞれ自身に印加された荷重の大きさを表すアナログ荷重検出信号R1およびR2を出力する。そして、これらのアナログ荷重検出信号R1およびR2は、信号処理部20に入力される。
なお、厳密に言うと、各アナログ荷重検出信号R1およびR2には、それぞれ上述の被計量物114aおよび114bによる荷重W1およびW2の他に、各計量槽102aおよび102b,支持台104,各連結部材110aおよび110b等による荷重成分も含まれる。ただし、ここでは、説明の便宜上、これら被計量物114aおよび114b以外による荷重成分については、初期荷重として予め除去されているものとする。また、本第1実施形態における被計量物114aおよび114bとしては、例えば粉状体または粒状体のものが適当であるが、これに限定されない。これらの被計量物114aおよび114bは、それぞれ各計量槽102aおよび102bに対してその上方から供給されるが、排出の際には、当該各計量槽102aおよび102bの底部に設けられた図示しない排出扉を介して排出される。そして、これら被計量物114aおよび114bの排出をスムーズ化するべく、各計量槽102aおよび102bの下側部分はテーパ状に形成されている。
図2を参照して、信号処理部20は、各ロードセル108aおよび108bからの各アナログ荷重検出信号R1およびR2の入力をそれぞれ受け付ける2つの増幅回路202aおよび202bを備えている。そして、これら各増幅回路202aおよび202bによってそれぞれ増幅された各アナログ荷重検出信号R1およびR2は、個別に設けられた2つのA/D変換回路204aおよび204bによってそれぞれディジタル荷重検出信号(以下、これについてもR1およびR2という符号で表す。)に変換される。変換されたディジタル荷重検出信号R1およびR2は、それぞれインタフェース回路206を介して、重量演算手段としてのCPU(Central
Processing Unit)208に入力される。
CPU208は、インタフェース回路206経由で入力された各ディジタル荷重検出信号R1およびR2に従う各荷重検出値(以下、これについてもR1およびR2という符号で表す。)を、後述する式3および式4に代入することによって、各被計量物114aおよび114bの各重量W1およびW2をそれぞれ求める。そして、求めた各重量W1およびW2を、表示手段としてのディスプレイ210に表示する。
なお、ディスプレイ210は、上述のインタフェース回路206を介して、CPU208に接続されている。また、CPU208には、これに各種命令を入力するための命令入力手段としての操作キー212も、当該インタフェース回路206を介して、接続されている。さらに、CPU208には、記憶手段としてのメモリ回路214も接続されており、このメモリ回路214には、CPU208の動作を制御するための制御プログラムが記憶されている。
ところで、CPU208は、第1演算式としての次の式3に基づいて、一方の計量槽102a、言わば第1計量槽102a、に供給されている被計量物114aの重量W1を求める。
《式3》
W1=A1・R1+A2・R2
なお、この式3において、A1およびA2は、第1係数としての重み係数である。
つまり、この式3によれば、第1計量槽102aに供給された被計量物114aの重量W1は、一方のロードセル108a、言わば第1ロードセル108a、による荷重検出値R1に、A1という重み係数を乗じた値と、他方のロードセル108b、言わば第2ロードセル108b、による荷重検出値R2に、A2という重み係数を乗じた値と、の総和に等しい、と定義されている。これは、当該被計量物114aによる荷重W1が、各重み係数A1およびA2に応じた比率で各ロードセル108aおよび108bに分散して印加される、という技術的思想による。
これと同様の思想から、CPU208は、次の式4に基づいて、他方の計量槽102b、言わば第2計量槽102b、に供給された被計量物114bの重量W2を求める。
《式4》
W2=B1・R1+B2・R2
なお、この式4におけるB1およびB2もまた、第1係数としての重み係数である。
これらの式3および式4に含まれる各重み係数A1,A2,B1およびB2は、それぞれ各計量槽102aおよび102bの形状や寸法、さらには各ロードセル108aおよび108bの位置関係等、を含む本第1実施形態の複数槽式計量装置(いわゆる実機)全体の構造特性を総合的に表したものであり、ゆえに、当該実機の構造特性によって決まる。そこで、本第1実施形態では、これらの重み係数A1,A2,B1およびB2を正確に求めるべく、次の要領により、事前の調整作業が行われる。
まず、最初に、各計量層102aおよび102bと同数、つまり2つ、のテスト用物品としてのサンプルが用意される。具体的には、被計量物114aおよび114bと同じ材料によって、互いに異なる重量w1およびw2(w1≠w2)の2つのサンプルが作成される。なお、いずれか一方のサンプルの重量w1またはw2は、ゼロ(w1=0またはw2=0)であってもよい。
そして、これら2つのサンプルの一方、例えば重量がw1の言わば第1サンプルが、第1計量槽102aに供給されると共に、他方のサンプル、つまり重量がw2の第2サンプルが、第2計量槽102bに供給される。そして、このとき得られる各ロードセル108aおよび108bによる各荷重検出値R1およびR2が、それぞれR1=r11およびR2=r12とされ、併せて、W1=w1およびW2=w2とされて、上述の式3および式4に代入される。これにより、次の式5および式6が組み立てられる。
《式5》
w1=A1・r11+A2・r12
《式6》
w2=B1・r11+B2・r12
次に、各計量槽102aおよび102bに供給されている各サンプルが互いに入れ換えられる。即ち、第1計量槽102aに第2サンプルが供給されると共に、第2計量槽102bに第1サンプルが供給される。そして、このとき得られる各ロードセル108aおよび108bによる各荷重検出値R1およびR2が、それぞれR1=r21およびR2=R22とされ、併せて、W1=w2およびW2=w1とされて、上述の式3および式4にそれぞれ代入される。これにより、次の式7および式8が組み立てられる。
《式7》
w2=A1・r21+A2・r22
《式8》
w1=B1・r21+B2・r22
これらの式5〜式8に注目すると、このうちの式5および式7の連立方程式を解くことによって、上述の式3に含まれる各重み係数A1およびA2を求めることができる。詳しくは、各重み係数A1およびA2は、それぞれ次の式9および式10によって表される。
《式9》
A1=(w2・r12−w1・r22)/(r12・r21−r11・r22)
《式10》
A2=(w1・r21−w2・r11)/(r12・r21−r11・r22)
これと同様に、式6および式8の連立方程式を解くことによって、上述の式4に含まれる各重み係数B1およびB2を求めることができる。詳しくは、各重み係数B1およびB2は、それぞれ次の式11および式12によって表される。
《式11》
B1=(w2・r22−w1・r12)/(r11・r22−r12・r21)
《式12》
B2=(w1・r11−w2・r21)/(r11・r22−r12・r21)
このように事前の調整作業によって各重み係数A1,A2,B1およびB2が求められた後、実際の計量作業が行われる。具体的には、式9および式10に基づいて求められた各重み係数A1およびA2が式3に適用され、この各重み係数A1およびA2が適用された式3に基づいて、第1計量槽102aに供給された被計量物114aの重量W1が求められる。そして、式11および式12に基づいて求められた各重み係数B1およびB2が式4に適用され、この各重み係数B1およびB2が適用された式4に基づいて、第2計量槽102bに供給された被計量物114bの重量W2が求められる。
以上のように、本第1実施形態によれば、第1計量槽102aに供給された被計量物114aの重量W1については、当該重量W1が、各ロードセル108aおよび108bによる各荷重検出値R1およびR2にそれぞれ実機の構造特性に従う重み係数A1およびA2を乗じた値の総和に等しい、と定義された式3に基づいて求められる。これと同様に、第2計量槽102bに供給された被計量物114bの重量W2については、当該重量W2が、各ロードセル108aおよび108bによる各荷重検出値R1およびR2にそれぞれ実機の構造特性に従う重み係数B1およびB2を乗じた値の総和に等しい、と定義された式4に基づいて求められる。そして、これらの式3および式4に含まれる各重み係数A1,A2,B1およびB2は、既知重量w1およびw2の2つのサンプルを用いての事前の調整作業によって実測されるので、実機の構造特性が適確に反映されたものとなる。しかも、このように各重み係数A1,A2,B1およびB2を実測すること、詳しくは各計量槽102aおよび102bに各サンプルw1およびw2が供給されている状態で各ロードセル108aおよび108bによる各荷重検出値R1およびR2を得ることは、上述の従来技術において各寸法値L,a1およびa2を設計値通りとし、或いは外観から当該各寸法値L,a1およびa2を測定することに比べて、極めて容易であり、かつ正確に実現できる。
ゆえに、本第1実施形態によれば、上述の各寸法値L,a1およびa2を含む式1および式2に基づいて各槽内の貯留物の推定重量W1およびW2を求めるという従来技術に比べて、各重み係数A1,A2,B1およびB2を実測するための事前の調整作業を含む製造コストを大幅に低減することができる。併せて、各被計量物114aおよび114bの各重量W1およびW2を正確に測定することができ、つまり高い計量精度を得ることができる。
なお、本第1実施形態においては、図1に示したように、各計量槽102aおよび102b,支持台106自体,各ロードセル108aおよび108b,各連結部材110aおよび110b,各固定基部112aおよび112bを、それぞれ基準面104に関して面対称としたが、これらの一部または全部を非対称としてもよい。ただし、全てを面対称とした方が、機械的なバランスを含め、種々好都合なことは、言うまでもない。
また、荷重検出手段としてロードセル108aおよび108bを採用したが、これ以外の荷重センサ、例えば電磁力平衡方式センサや音叉振動式センサ等、を採用してもよい。
さらに、図3に示すように、図1における第1ロードセル108aに代えて、2個1組のロードセル120aおよび130aを設けると共に、第2ロードセル108bに代えて、別の2個1組のロードセル120bおよび130bを設けてもよい。この場合、一方の組のロードセル120aおよび130aによる各荷重検出値R1’およびR1”の合計が、当該一方の組全体の荷重検出値R1(=R1’+R1”)として取り扱われる。そして、他方の組のロードセル120bおよび130bによる各荷重検出値R2’およびR2”の合計が、当該他方の組全体の荷重検出値R2(=R2’+R2”)として取り扱われる。このことは、3個以上のロードセルによって1つの荷重検出手段が構成される場合も、同様である。なお、各ロードセル120a,130a,120bおよび130bの各自由端は、それぞれ図1に示したのと同様の連結部材140a,150a,140bおよび150bを介して、支持台106の底部に結合されている。そして、各ロードセル120a,130a,120bおよび130b各固定端は、それぞれ適宜の固定基部112aまたは112bに結合されている。
また、極端には、図4に示すように、第1ロードセル108aについては、図1に示した構成のままとし、第2ロードセル108bについてのみ、これに代えて、図3に示したのと同様の2個1組のロードセル120bおよび130bを設けてもよい。この場合、組を成す各ロードセル120bおよび130bによる各荷重検出値R2’およびR2”の合計が、当該組全体の荷重検出値R2(=R2’+R2”)として取り扱われることは、言うまでもない。
さらに、本第1実施形態においては、互いに独立した2つの計量槽102aおよび102bを備える場合について説明したが、1つの計量槽を2つに仕切ることによって当該2つの計量槽102aおよび102bを備えるのと同様の態様を形成してもよい。
また、2つの計量槽102aおよび102bに限らず、これ以上の数の計量槽を備える場合にも、本発明を適用することができる。その一例として、図5を参照しつつ、3つの計量槽302a,302bおよび302cを備える場合について、説明する。
同図に示す計量部30は、概略正三角形の支持台304を備えている。そして、この支持台304上に、図1に示したのと同様(概略円筒形状)の3つの計量槽302a,302bおよび302cが配置されている。具体的には、各計量槽302a,302bおよび302cは、それぞれ支持台304の中心点Oと当該支持台304の各頂点部分とを結ぶ直線上に位置し、かつ当該支持台304の中心点Oを通る鉛直線に関して互いに点対称となるように、配置されている。
そして、各計量槽302a,302bおよび302cは、支持台304と共に、当該各計量槽302a,302bおよび302cと同数、つまり3つ、のロードセル306a,306bおよび306cによって支持されている。具体的には、各ロードセル306a,306bおよび306cは、支持台304の中心点Oを通る上述の鉛直線に関して互いに点対称となるように、かつ当該支持台304の各頂点部分の近傍を支持するように、設けられている。なお、各ロードセル306a,306bおよび306cによる詳しい支持構造(連結部材や固定基部等)については、図示および説明を省略する。
この構成によれば、各計量槽302a,302bおよび302cのそれぞれに供給された各被計量物308a,308bおよび308cの各重量W1,W2およびW3は、上述した式3および式4と同様の思想から、それぞれ式13,式14および式15に基づいて求められる。
《式13》
W1=A1・R1+A2・R2+A3・R3
《式14》
W2=B1・R1+B2・R2+B3・R3
《式15》
W3=C1・R1+C2・R2+C3・R3
なお、式13におけるA1,A2およびA3、式14におけるB1,B2およびB3、並びに式15におけるC1,C2およびC3は、いずれも第1係数としての重み係数である。また、R1,R2およびR3は、それぞれのロードセル306a,306bおよび306cによる荷重検出値である。
そして、各重み係数A1,A2,A3,B1,B2,B3,C1,C2およびC3を正確に求めるべく、次の要領により、事前の調整作業が行われる。
まず、最初に、各計量層302a,302bおよび302cと同数、つまり3つ、の互いに異なる重量w1,w2およびw3のサンプルが作成される。なお、この場合も、いずれか1つのサンプルの重量w1,w2またはw3は、ゼロ(w1=0,w2=0またはw3=0)であってもよい。
そして、各計量槽302a,302bおよび302cに、それぞれw1,w2およびw3という重量のサンプルが供給され、このとき得られる各ロードセル306a,306bおよび306cによる各荷重検出値R1,R2およびR3が、それぞれR1=r11,R2=r12およびR3=r13とされる。併せて、W1=w1,W2=w2およびW3=w3とされて、これらが式13,式14および式15に代入されると、次の式16,式17および式18が組み立てられる。
《式16》
w1=A1・r11+A2・r12+A3・r13
《式17》
w2=B1・r11+B2・r12+B3・r13
《式18》
w3=C1・r11+C2・r12+C3・r13
続いて、各計量槽302a,302bおよび302cに供給されている各サンプルが互いに入れ換えられる。例えば、当該各計量槽302a,302bおよび302cに、それぞれw2,w3およびw1という重量のサンプルが供給される。そして、このとき得られる各ロードセル306a,306bおよび306cによる各荷重検出値R1,R2およびR3が、それぞれR1=r21,R2=r22およびR3=r23とされ、併せて、W1=w2,W2=w3およびW3=w1されて、式13,式14および式15に代入される。これにより、次の式19,式20および式21が組み立てられる。
《式19》
w2=A1・r21+A2・r22+A3・r23
《式20》
w3=B1・r21+B2・r22+B3・r23
《式21》
w1=C1・r21+C2・r22+C3・r23
さらに、各計量槽302a,302bおよび302cと各サンプルとの組合せが変更される。即ち、各計量槽302a,302bおよび302cに、それぞれw3,w1およびw2という重量のサンプルが供給される。そして、このとき得られる各ロードセル306a,306bおよび306cによる各荷重検出値R1,R2およびR3が、それぞれR1=r31,R2=r32およびR3=r33とされ、併せて、W1=w3,W2=w1およびW3=w2とされて、式13,式14および式15に代入される。これにより、次の式22,式23および式24が組み立てられる。
《式22》
w3=A1・r31+A2・r32+A3・r33
《式23》
w1=B1・r31+B2・r32+B3・r33
《式24》
w2=C1・r31+C2・r32+C3・r33
これらの(つまり全ての計量槽302a,302bおよび302cとサンプルとの組み合わせについて得られた)式16〜式24から分かるように、このうちの式16,式19および式22の連立方程式を解くことによって、上述の式13に含まれる各重み係数A1,A2およびA3を求めることができる。そして、式17,式20および式23の連立方程式を解くことによって、式14に含まれる各重み係数B1,B2およびB3を求めることができる。さらに、式18,式21および式24の連立方程式を解くことによって、式15に含まれる各重み係数C1,C2およびC3を求めることができる。
このように事前の調整作業によって各重み係数A1,A2,A3,B1,B2,B3,C1,C2およびC3が求められた後、実際の計量作業が行われる。即ち、式16,式19および式22の連立方程式から求められた重み係数A1,A2およびA3が式13に適用され、この重み係数A1,A2およびA3が適用された式13に基づいて、第1計量槽306aに供給された被計量物308aの重量W1が求められる。そして、式17,式20および式23の連立方程式から求められた重み係数B1,B2およびB3が式14に適用され、この重み係数B1,B2およびB3が適用された式14に基づいて、第2計量槽306bに供給された被計量物308bの重量W2が求められる。さらに、式18,式21および式24の連立方程式から求められた重み係数C1,C2およびC3が式15に適用され、この重み係数C1,C2およびC3が適用された式15に基づいて、第3計量槽306cに供給された被計量物308cの重量W3が求められる。
なお、これら式13〜式15に基づく各被計量物308a,308bおよび308cの各重量W1,W2およびW3の算出、および式16〜式24に基づく各重み係数A1,A2,A3,B1,B2,B3,C1,C2およびC3の算出は、図2に示したのと同様の信号処理部によって行われる。具体的には、図2に示した構成に対し、さらに当該図2における増幅回路202a(または202b)およびA/D変換回路204a(または204b)と同様の増幅回路およびA/D変換回路が追加され、これら増幅回路およびA/D変換回路が追加された構成の信号処理部によって、式13〜式24に基づく演算が行われる。
このように3つの計量槽302a,302bおよび302cを備える場合にも、本発明を適用することができる。このことは、4つ以上の計量槽を備える場合にも、同様である。これに対して、上述の従来技術では、二層式ホッパへの適用に制限される。つまり、本発明によれば、従来よりも数多くの計量槽を備えた複数槽式計量装置への適用を展開することができる。
そして、この場合も、図3または図4に示したのと同様に、1つの荷重検出手段を複数個のロードセルによって構成することができる。例えば、図6に示すように、図5における第1ロードセル306aに代えて、2個1組のロードセル310aおよび320aを設け、第2ロードセル306bに代えて、別の2個1組のロードセル310bおよび320bを設け、第3ロードセル306cに代えて、さらに別の2個1組のロードセル310cおよび320cを設ける。そして、第1ロードセル306aに代えて設けられた1組のロードセル310aおよび320aによる各荷重検出値R1’およびR1”の合計を、その組全体の荷重検出値R1(=R1’+R1”)として取り扱う。同様に、別の1組のロードセル310bおよび320aによる各荷重検出値R2’およびR2”の合計を、その組全体の荷重検出値R2(=R2’+R2”)として取り扱う。そして、残り1組のロードセル310cおよび320cによる各荷重検出値R3’およびR3”の合計を、その組全体の荷重検出値R3(=R3’+R3”)として取り扱うことができる。
また、計量槽の数と荷重検出手段の数とが異なる場合、例えば図7に示すように、2つの計量槽308aおよび308bに対して3つのロードセル306a,306bおよび306cが設けられている場合にも、本発明を適用することができる。この場合、上述した式15において、W3=0として取り扱えばよい。そして、事前の調整作業においては、式18でw3=0とし、式21でw1=0とし、式24でw2=0とすれば、各重み係数A1,A2,A3,B1,B2,B3,C1,C2およびC3を求めることができる。このことは、計量槽の数が荷重検出手段の数よりも多い場合にも、同様である。
次に、本発明の第2実施形態について、説明する。
本第2実施形態に係る複数槽式計量装置は、ハードウェア的には、図1および図2に示した第1実施形態と同様であり、ソフトウェア的にのみ、当該第1実施形態と異なる。具体的には、第1実施形態では、事前の調整作業において、式5および式7の連立方程式に基づいて、式3に含まれる重み係数A1およびA2が求められ、式6および式8の連立方程式に基づいて、式4に含まれる重み係数B1およびB2が求められたが、本第2実施形態では、重回帰分析によって、これらの重み係数A1,A2,B1およびB2が求められる。
この重回帰分析を実現するべく、本第2実施形態では、第1計量槽102a用のサンプルとして、互いに異なる重量w1[p](p=1,2,…,P)のP個(P;2以上の整数)の第1サンプルが用意される。これと同様に、第2計量槽102b用のサンプルとして、互いに異なる重量w2[p]のP個の第2サンプルが用意される。
そして、第1計量槽102aに対して任意の重量w1[p]の第1サンプルが供給されると共に、第2計量槽102bに対しても任意の重量w2[p]の第2サンプルが供給される。そして、このときに得られる各ロードセル108aおよび108bによる各荷重検出値R1およびR2が、それぞれR1=r1[p]およびR2=r2[p]とされ、併せて、W1=w1[p]およびW2=w2[p]とされて、上述の式3および式4に代入される。これにより、次の式25および式26が組み立てられる。
《式25》
w1[p]=A1・r1[p]+A2・r2[p]
《式26》
w2[p]=B1・r1[p]+B2・r2[p]
これと同様の要領で、第1計量槽102aに対して別の重量w1[p]の第1サンプルが順次供給されると共に、第2計量槽102bに対しても別の重量w2[p]の第2サンプルが順次供給される。そして、その都度、式25および式26が組み立てられる。つまり、合計でP個ずつ当該式25および式26が組み立てられる。
ここで、式25における左辺と右辺との間に誤差e1[p]があるとすると、この誤差e1[p]は、次の式27によって表される。
《式27》
e1[p]=w1[p]−(A1・r1[p]+A2・r2[p])
これと同様に、式26における左辺と右辺との間に誤差e2[p]があるとすると、この誤差e2[p]は、次の式28によって表される。
《式28》
e2[p]=w2[p]−(B1・r1[p]+B2・r2[p])
さらに、式27で表される合計P個の誤差e1[p]の2乗総和E1は、次の式29によって表される。
《式29》
E1=Σ(e1[p])
同様に、式28で表される合計P個の誤差e2[p]の2乗総和E2は、次の式30によって表される。
《式30》
E2=Σ(e2[p])
そして、式29で表される2乗総和E1が最小になるように、いわゆる最小二乗法によって、当該式29に含まれる重み係数A1およびA2が求められる。詳しくは、式29の2乗総和E1が重み係数A1およびA2のそれぞれによって偏微分され、さらに、この偏微分された値がゼロに等しい、と定義された、次の式31および32が組み立てられる。
《式31》
∂E1/∂A1=0
《式32》
∂E1/∂A2=0
これらの式31および32で表される偏微分方程式を連立して解くことで、重み係数A1およびA2が求められる。
これと同様に、上述の式30で表される2乗総和E2が重み係数B1およびB2のそれぞれによって偏微分され、さらに、この偏微分された値がゼロに等しい、と定義された、次の式33および34が組み立てられる。
《式33》
∂E2/∂B1=0
《式34》
∂E2/∂B2=0
そして、これらの式33および34で表される偏微分方程式を連立して解くことで、重み係数B1およびB2が求められる。
このように、本第2実施形態においては、最小二乗法を用いた重回帰分析によって、各重み係数A1,A2,B1およびB2が求められる。そして、求められた各重み係数A1,A2,B1およびB2が上述の式3および式4に適用され、この適用後の式3および式4に基づいて、各計量槽102aおよび102bに供給された各被計量物114aおよび114bの重量W1およびW2が求められる。
なお、本第2実施形態で説明した重回帰分析は、図3〜図7に示した他の構成についても、適用することができる。勿論、より多くの計量槽およびロードセルを備えた構成にも、適用することができる。
次に、本発明の第3実施形態について、説明する。
本第3実施形態に係る複数槽式計量装置は、ハードウェア的には、図1および図2に示し第1実施形態と同様であり、ソフトウェア的にのみ、当該第1実施形態と異なる。具体的には、本第3実施形態では、第1実施形態における式3とは逆の発想から、第2演算式としての次の式35が組み立てられる。
《式35》
R1=a1・W1+a2・W2
なお、この式35におけるa1およびa2は、第2係数としての重み係数である。
即ち、この式35によれば、第1ロードセル108aによる荷重検出値R1は、第1計量槽102aに供給された被計量物114aの重量W1にa1という重み係数を乗じた値と、第2計量槽102aに供給された被計量物114bの重量W2にa2という重み係数を乗じた値と、の総和に等しい、と定義されている。これは、第1ロードセル108aに対して、各被計量物114aおよび114bのそれぞれによる荷重W1およびW2が各重み係数a1およびa2に応じた比率で分散して印加される、という発想による。
これと同様に、第1実施形態における式4と逆の発想から、次の式36が立てられる。
《式36》
R2=b1・W1+b2・W2
なお、この式36におけるb1およびb2もまた、第2係数としての重み係数である。
そして、これら式35および式36の連立方程式から、各被計量物114aおよび114bの各重量W1およびW2をそれぞれ求めるための次の式37および式38が導き出される。
《式37》
W1=(b2・R1−a2・R2)/(a1・b2−a2・b1)
《式38》
W2=(a1・R2−b1・R1)/(a1・b2−a2・b1)
ここで、第2係数としての各重み係数a1,a2,b1およびb2は、第1実施形態における第1係数としての各重み係数A1,A2,B1およびB2と同様、実機の構造特性を総合的に表したものである。そこで、本第2実施形態においても、第1実施形態と同様、これらの重み係数a1,a2,b1およびb2を正確に求めるべく、互いに異なる既知重量w1およびw2の2つのサンプルを用いての事前の調整作業が行われる。
具体的には、まず、第1計量槽102aに重量がw1の第1サンプルが供給されると共に、第2計量槽102bに重量がw2の第2サンプルが供給される。そして、このとき得られる各ロードセル108aおよび108bによる各荷重検出値R1およびR2が、それぞれR1=r11およびR2=r12とされ、併せて、W1=w1およびW2=w2とされて、それぞれ上述の式35および式36に代入される。これにより、次の式39および式40が組み立てられる。
《式39》
r11=a1・w1+a2・w2
《式40》
r12=b1・w1+b2・w2
続いて、各計量槽102aおよび102bに供給されている各サンプルが互いに入れ換えられる。即ち、第1計量槽102aに第2サンプルが供給されると共に、第2計量槽102bに第1サンプルが供給される。そして、このときに得られる各ロードセル108aおよび108bによる各荷重検出値R1およびR2が、それぞれR1=r21およびR2=R22とされ、併せて、W1=w2およびW2=w1とされて、上述の式35および式36にそれぞれ代入される。これにより、次の式41および式42が組み立てられる。
《式41》
r21=a1・w2+a2・w1
《式42》
r22=b1・w2+b2・w1
これらの式39〜式42に注目すると、このうちの式39および式41の連立方程式を解くことによって、2つの重み係数a1およびa2を求めることができる。詳しくは、当該重み係数a1およびa2は、それぞれ次の式43および式44によって表される。
《式43》
a1=(w2・r21−w1・r11)/(w2−w1
《式44》
a2=(w1・r21−w2・r11)/(w1−w2
そして、式40および式42の連立方程式を解くことによって、残りの2つの重み係数b1およびb2を求めることができる。詳しくは、当該重み係数b1およびb2は、それぞれ次の式45および式46によって表される。
《式45》
b1=(w2・r22−w1・r12)/(w2−w1
《式46》
b2=(w1・r22−w2・r12)/(w1−w2
このように事前の調整作業によって各重み係数a1,a2,b1およびb2が求められた後、実際の計量作業が行われる。具体的には、これらの重み係数a1,a2,b1およびb2が上述の式37に適用され、この適用後の式37に基づいて、第1計量槽102aに供給された被計量物114aの重量W1が求められる。これと同様に、各重み係数a1,a2,b1およびb2が上述の式38に適用され、この適用後の式38に基づいて、第2計量槽102aに供給された被計量物114bの重量W2が求められる。
以上のように、本第3実施形態によれば、第1実施形態とは逆の発想から、第1ロードセル108aによる荷重検出値R1は、第1計量槽102aに供給された被計量物114aの重量W1にa1という重み係数を乗じた値と、第2計量槽102bに供給された被計量物114bの重量W2にa2という重み係数を乗じた値と、の総和に等しい、と定義された式35が立てられる。これと同様に、第2ロードセル108bによる荷重検出値R2は、第1計量槽102aに供給された被計量物114aの重量W1にb1という重み係数を乗じた値と、第2計量槽102bに供給された被計量物114bの重量W2にb2という重み係数を乗じた値と、の総和に等しい、と定義された式36が立てられる。そして、これら式35および式36に基づいて、各被計量物114aおよび114bの各重量W1およびW2をそれぞれ求めるための式37および式38が導き出される。さらに、式37および式38に含まれる各重み係数a1,a2,b1およびb2は、既知重量w1およびw2の2つのサンプルを用いての事前の調整作業によって、容易かつ正確に実測される。従って、第1実施形態と同様、事前の調整作業を含む製造コストを大幅に低減することができると共に、従来よりも高い計量精度を得ることができる。
なお、本第3実施形態と上述の第1実施形態とを併合することによって、より高い計量精度を得られるようにしてもよい。即ち、上述の式3による演算結果と式37による演算結果との平均値をもって、第1計量槽102aに供給された被計量物114aの重量W1を求めると共に、式4による演算結果と式38による演算結果との平均値をもって、第2計量槽102bに供給された被計量物114bの重量W2を求めてもよい。
また、本第3実施形態においても、上述の第2実施形態で説明した重回帰分析によって、各重み係数a1,a2,b1およびb2を求めてもよい。
さらに、図3〜図7に示した他の構成についても、本第3実施形態で説明した技術を適用できることは、言うまでもない。
本発明の第1実施形態における計量部の概略構成を示す図である。 同第1実施形態における信号処理部の電気的な構成を示すブロック図である。 同第1実施形態における計量部の別の例を上方から見た図である。 図3とはさらに異なる計量部の例を示す図である。 図4とはさらに異なる計量部の例を示す図である。 図5とはさらに異なる計量部の例を示す図である。 図6とはさらに異なる計量部の例を示す図である。
符号の説明
10 計量部
20 信号処理部
102a,102b 計量槽
108a,108b ロードセル
114a,114b 被計量物
208 CPU

Claims (2)

  1. 互いに結合されており互いに別々に被計量物が供給されるM(M;2以上の整数)個の計量槽と、
    上記M個の計量槽を互いに異なる条件で支持すると共に該M個の計量槽のそれぞれに上記被計量物が供給されることによって印加される荷重を検出するN(N;2以上の整数)個の荷重検出手段と、
    上記N個の荷重検出手段のそれぞれによる荷重検出値を含む第1演算式に基づいて上記M個の計量槽のそれぞれに供給された上記被計量物の重量を求める重量演算手段と、
    を具備し、
    上記第1演算式は、上記M個の計量槽のそれぞれに供給された被計量物の重量が上記N個の荷重検出手段のそれぞれによる荷重検出値と該N個の荷重検出手段のそれぞれに対応する第1係数との積の総和に等しいことを表し、
    上記第1係数は、上記M個の計量槽のそれぞれに既知重量のテスト用物品が供給されたときに得られる上記N個の荷重検出手段のそれぞれによる荷重検出値と該テスト用物品の重量とに基づいて求められる、
    複数槽式計量装置。
  2. 互いに結合されており互いに別々に被計量物が供給されるM(M;2以上の整数)個の計量槽と、
    上記M個の計量槽を互いに異なる位置で支持すると共に該M個の計量槽のそれぞれに上記被計量物が供給されることによって印加される荷重を検出するN(N;2以上の整数)個の荷重検出手段と、
    上記N個の荷重検出手段のそれぞれによる荷重検出値を含む第2演算式に基づいて上記M個の計量槽のそれぞれに供給された上記被計量物の重量を求める重量演算手段と、
    を具備し、
    上記第2演算式は、上記N個の荷重検出手段のそれぞれによる荷重検出値が上記M個の計量槽のそれぞれに供給された被計量物の重量と該M個の計量槽のそれぞれに対応する第2係数との積の総和に等しいことを表し、
    上記第2係数は、上記M個の計量槽のそれぞれに既知重量のテスト用物品が供給されたときに得られる上記N個の荷重検出手段のそれぞれによる荷重検出値と該テスト用物品の重量とに基づいて求められる、
    複数槽式計量装置。
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