JP4808389B2 - 移動式切断機 - Google Patents

Description

本発明は、主として鉄骨構造又は鉄筋コンクリート構造における鉄骨柱などの接続部に突設されるジョイントプレート、ガイドピース、吊りピース若しくはエレクションピース等の突起物をバーナーで切断することなく簡単かつ平滑に切断することができる有用な移動式切断機に関する。

従来、斯かる鉄骨柱の切断にあっては、例えば、角形鉄骨柱の接合すべき端部に、柱長手方向に沿ったジョイントプレートを溶接し、上下に接する鉄骨柱間をこのプレートの両面に添え付けたスプライスプレートをボルトで締結することにより、エレクションピースを仮止めしているため、鉄骨柱間を溶接した後、前記ジョイントプレートは、柱表面から１０ｍｍ前後離れた位置からガスバーナーで切断しているのが現状である（特許文献１参照）。
特開平６−１８５１１４号公報

しかしながら、従来の切断方法にあっては、鉄骨柱間を溶接した後に、全ジョイントプレートをバーナーで切断しなければならないため、施工性が悪く、柱を火熱で損傷させてしまったり、粉塵、煙、火炎が発生してしまうなどの問題を有する。

しかも、従来の切断方法では、ジョイントプレートの根本から切断できないため、柱の表面に切断した同プレートの切断跡（凸部）が残存してしまい、また、そのサンダー等の仕上げ工事に時間を要すると共に、長時間に亘り騒音公害を来してしまうなど社会問題にもなっている。

本発明はこのような従来の問題点に鑑みてなされたもので、火炎のおそれなく簡単かつ平滑にジョイントプレート、ガイドピース、エレクションピース若しくは吊りピースなどの突起物を切断することができ有用な移動式切断機を提供することを目的としたものである。

上述の如き従来の問題点を解決し、所期の目的を達成するため本発明の要旨とする構成は、鉄骨構造物における固定部（Ｂ）に着脱自在に取り付けられるレールガイド（１）と、該レールガイド（１）に取り付けられる走行レール（２）と、該走行レール（２）に摺動自在に取り付けられて前記固定部（Ｂ）における突起物（Ｃ）を切断せしめる切断手段（３）とを備えてなる移動式切断機（Ａ）であって、前記切断手段（３）は、前記走行レール（２）の上下両端を摺動する上下一対の滑動ローラ（３ａ）を介して摺動自在に組み付けられた取付基板（３ｂ）と、該取付基板（３ｂ）に本体フレーム（３ｃ）を介して突設された駆動モータ（３ｄ）と、該駆動モータ（３ｄ）に連動された駆動ローラ（３ｅ）と、該駆動ローラ（３ｅ）と相対して設けられた一対の従動ローラ（３ｆ）と、該従動ローラ（３ｆ）と前記駆動ローラ（３ｅ）とで回転するカッター（３ｇ）と、該カッター（３ｇ）を保護するカッターガイド（３ｈ）とを備え、前記滑動ローラ（３ａ）は、前記取付基板（３ｂ）に軸着されており、前記カッターガイド（３ｈ）は、前記従動ローラ（３ｆ）の近傍に位置する前記本体フレーム（３ｃ）に取外し可能に設けられ、且つ該本体フレーム（３ｃ）の幅方向を貫通する剛性棒状体からなる移動式切断機に存する。

本発明の移動式切断機によれば、小さな力でより簡単かつ平滑に前記エレクションピース等の突起物を切断できるため、騒音も少なく、また、従来の如くバーナーで切断する手間が省ける分、煙、火炎が発生してしまうなどの危惧をも解消できる。また、突起物の根本から平滑に切断することができるため、従来の如く柱の表面に切断した同プレートの切断跡（凸部）が残存してしまうことがなく、また、その分、サンダー等の仕上げ工事に要する時間を短縮でき、一日の切断量が増やせるため、より工期の短縮化が可能になる他、目隠し処理、最終仕上げ或いは耐火被覆工事も美麗にすることができる。

鉄骨構造における鉄骨柱等の固定部に着脱自在に取り付けされるレールガイドと、該レールガイドに取り付けられた走行レールと、該走行レールに摺動自在に取り付けされてガイドピース、エレクションピース等の突起物を切断せしめる切断手段とを備える。前記切断手段は、走行レールにローラを介して摺動自在に組み付けられた取付基板と、該取付基板に本体フレームを介して突設された駆動モータと、該駆動モータに連動された駆動ローラと、該駆動ローラと相対して設けられた従動ローラと、該従動ローラと前記駆動ローラとで回転するワイヤソー等のカッターと、該カッターをガイドピース、エレクションピース等の突起物に対して高さ調整自在に取り付ける高さ調整部材とを備えるのが良い。

次に、本発明に係る移動式切断機の実施の一例を図面を参照しながら説明する。図中Ａは、本発明に係る移動式切断機であり、この移動式切断機Ａは、図１乃至図３に示すように、鉄骨柱等の固定部Ｂ（図１２参照）に着脱自在に取り付けされるレールガイド１，１と、該レールガイド１，１に取り付けられた走行レール２，２と、該走行レール２に摺動自在に取り付けされた切断手段３とを備える。

レールガイド１，１は、側板１ａを介して走行レール２，２を所定間隔に保持するものであり、上端側に走行レール２，２が、下端側に取付基板１ｂを介して電磁石１ｃが付設されている。この電磁石１ｃは、電磁スイッチ１ｄのオンオフ操作の切り替えで、鉄骨柱の固定部Ｂに着脱自在に吸着できるものである。

走行レール２，２は、切断手段３を摺動自在に支持するものであり、長手方向の上下両端に後述する切断手段３の滑動ローラ３ａ，３ａ…が滑落しないように支持されている。

切断手段３は、図４に拡大して示すように、走行レール２，２の上下両端を摺動する上下一対の滑動ローラ３ａ，３ａ…を介して摺動自在に組み付けられた取付基板３ｂ，３ｂと、該取付基板３ｂ，３ｂに本体フレーム３ｃを介して突設された駆動モータ３ｄと、該駆動モータ３ｄに連動された駆動ローラ３ｅと、該駆動ローラ３ｅと相対して設けられた一対の従動ローラ３ｆ、３ｆと、該従動ローラ３ｆ、３ｆと前記駆動ローラ３ｅとで回転するカッター３ｇと、切断手段３を取り付ける際に、カッター３ｇを保護するカッターガイド３ｈとを備える。

滑動ローラ３ａ，３ａ…は、走行レール２，２の長手方向の上下両端４箇所を滑動すべく取付基板３ｂ，３ｂに軸着されている。

取付基板３ｂ，３ｂは、本体フレーム３ｃの幅方向表裏両面に突設されており、走行レール２，２に対し、それぞれ四つの滑動ローラ３ａ，３ａを平行に保持している。

本体フレーム３ｃは、上位に駆動モータ３ｄを突設していると共に、中央位置に下端縁が開放された切欠溝３ｃ_１ が形成されている。この切欠溝３ｃ_１ は、ガイドピース、ジョイントピース若しくはエレクションピース等の突起物Ｃを許容できる大きさに形成されており、切断手段３が走行レール２，２上を移動しながら同突起物Ｃを切断できるように開通されている。

駆動モータ３ｄは、図４に示すように、振動を吸収するための撥條体３ｄ_１ ，３ｄ_１ に支持された高さ調整部材３ｄ_２ を介して前記本体フレーム３ｃに取り付けされており、駆動軸側にベアリングケース３ｄ_３ を介して駆動ローラ３ｅが付設されている。

高さ調整部材３ｄ_２ は、図４に示すように、撥條体３ｄ_１ ，３ｄ_１ の下位に螺旋式の間隔調整部３ｄ _５ を備えており、斯かる間隔調整部３ｄ _５ を回動調整することで駆動モータ３ｄを上下方向に変位することができる。

駆動ローラ３ｅは、従動ローラ３ｆ、３ｆよりも大径に形成されたプーリからなり、従動ローラ３ｆ、３ｆと伝動すべく回転式のカッター３ｇが掛け回されている。

従動ローラ３ｆ，３ｆは、本体フレーム３ｃの下端側の二角に取り付けられた左右一対のプーリからなり、突起物Ｃに対しカッター３ｇが直交するように配設されている。

カッター３ｇは、例えば、ワイヤー式の回転式カッター（ワイヤソー）からなり、前記両ローラ３ｅ，３ｆを介して高速に回転されるため、通常はベルトカバー３ｄ_４ で覆われている（図６参照）。

カッターガイド３ｈは、図４及び図６に示すように、従動ローラ３ｆの近傍に位置する本体フレーム３ｃに設けられている。このカッターガイド３ｈは、本体フレーム３ｃの幅方向を貫通する金属等の剛性棒状体からなり、切断手段３をエレクションピース、吊りピース等の突起物Ｃに位置決め（セット）する際に、意に反してカッター３ｇが同突起物Ｃに接触するなどして同カッター３ｇが安易に損傷しないようにガイドするものであり、セット後或いはカッター位置の高さを調整した後、同ガイド３ｈは取り外されるのである。

このように構成される本実施例の移動式切断機Ａは、図１４に示すように、切断したいエレクションピース等の突起物Ｃに対し、電磁石１ｃの電磁スイッチ１ｄを入れて鉄骨柱等の固定部Ｂに吸着し、次いで、カッター３ｇの高さ調整を確認した後、駆動モータ３ｄのスイッチを入れて切断作業を開始する。

そして、電動ギア若しくはエアシリンダー等の変位手段４で切断手段３を動作させながら、また、併せて切断スピードを調整する。次いで、突起物Ｃに沿って切断手段３を移動させることで、カッター３ｇで同突起物Ｃを根本から平滑に切断することができる。

尚、図１１は、変位手段４にエアシリンダーを使用した場合を示す説明図であり、ピストンロッド４ａの先端に付設されているＬ型のストッパー４ｂを、同ロッド４ａの最長ストローク位置で走行レール２に（蝦蛄型万力等の止着手段５を介して）固定し、次いで、ピストンロッド４ａが元の位置（最短位置）に強制的に戻ることで切断手段３をストローク分、移動させることができるものであり、このストローク作業を順次繰り返しながら必要位置まで走行するのである。

また、動作中、カッター３ｇが破断したり、また、ベース異常が発生した時にはセンサー（図示せず）が作動して駆動モータ３ｄなどを停止するように安全性についても考慮されていることは云うまでもない。

このように本発明の移動式切断機では、小さな力でより簡単かつ平滑に前記エレクションピース等の突起物Ｃを切断できるなど、従来に比して作業条件が大幅に改善されると共に、従来の如くバーナーで切断する手間が省ける分、煙、火炎が発生してしまうなどの心配もなく、しかも、従来の切断法で問題となっていた柱の表面に切断したプレートの切断跡（凸部）が残存してしまうこと、その分、サンダー等の仕上げ工事に時間を要すること、また、長時間に亘り騒音公害を来してしまうことを全て解消でき、更には、一日の仕事量（切断量）が増やせるため、より工期の短縮化が可能になる他、目隠し処理、最終仕上げ或いは耐火被覆工事も美麗にすることができるのである。

尚、本発明の移動式切断機は、本実施例に限定されることなく、本発明の目的の範囲内で自由に設計変更できるものであり、本発明はそれらの全てを包摂するものである。例えば、本実施例では切断手段３に縦型（垂直式）の駆動モータ３ｄを使用しているが、これに限定されることなく、図１２乃至図１３に示すように、駆動モータ３ｄを切断作業の邪魔にならないように横型（水平式）にしても良い。更には、エアーレギュレータ６や電動ギア（図示せず）などを使用して切断手段３を走行レール２，２に対し自動走行できるようにしても良い。因に、図中７は、切断手段３を走行レール２，２に取り付ける際に使用するハンドルである。

本発明に係る移動式切断機を示す斜視図である。 同移動式切断機の左側面図ある。 同移動式切断機の正面図である。 同移動式切断機の切断手段を示す説明図である。 同切断手段の側面図である。 同切断手段の側面図である。 同移動式切断機の下部を示す斜視図ある。 同移動式切断機の一部破断説明図である。 同移動式切断機の斜視図である。 同移動式切断機の右側面図である。 同移動式切断機の変位手段を示す説明図である。 同移動式切断機で使用する他の切断手段を示す説明図である。 同切断手段の斜視図である。 同移動式切断機の使用状態を示す説明図である。

符号の説明

Ａ 移動式切断機
Ｂ 固定部
Ｃ 突起物
１ レールガイド
１ａ 側板
１ｂ 取付基板
１ｃ 電磁石
１ｄ 電磁スイッチ
２ 走行レール
３ 切断手段
３ａ 滑動ローラ
３ｂ 取付基板
３ｃ 本体フレーム
３ｃ_１ 切欠溝
３ｄ 駆動モータ
３ｄ_１ 撥條体
３ｄ_２ 高さ調整部材
３ｄ_３ ベアリングケース
３ｄ_４ ベルトカバー
３ｄ _５ 間隔調整部
３ｅ 駆動ローラ
３ｆ 従動ローラ
３ｇ カッター
３ｈ カッターガイド
４ 変位手段
４ａ ピストンロッド
４ｂ ストッパー
５ 止着手段
６ エアーレギュレータ
７ ハンドル

Claims (1)

1. 鉄骨構造物における固定部（Ｂ）に着脱自在に取り付けられるレールガイド（１）と、該レールガイド（１）に取り付けられる走行レール（２）と、該走行レール（２）に摺動自在に取り付けられて前記固定部（Ｂ）における突起物（Ｃ）を切断せしめる切断手段（３）とを備えてなる移動式切断機（Ａ）であって、
   前記切断手段（３）は、
   前記走行レール（２）の上下両端を摺動する上下一対の滑動ローラ（３ａ）を介して摺動自在に組み付けられた取付基板（３ｂ）と、
   該取付基板（３ｂ）に本体フレーム（３ｃ）を介して突設された駆動モータ（３ｄ）と、
   該駆動モータ（３ｄ）に連動された駆動ローラ（３ｅ）と、
   該駆動ローラ（３ｅ）と相対して設けられた一対の従動ローラ（３ｆ）と、
   該従動ローラ（３ｆ）と前記駆動ローラ（３ｅ）とで回転するカッター（３ｇ）と、
   該カッター（３ｇ）を保護するカッターガイド（３ｈ）とを備え、
   前記滑動ローラ（３ａ）は、前記取付基板（３ｂ）に軸着されており、
   前記カッターガイド（３ｈ）は、前記従動ローラ（３ｆ）の近傍に位置する前記本体フレーム（３ｃ）に取外し可能に設けられ、且つ該本体フレーム（３ｃ）の幅方向を貫通する剛性棒状体からなること
   を特徴とする移動式切断機。

Images