JP4807705B2 - 低姿勢型アンテナ構造体 - Google Patents

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Description

本発明は、低姿勢なアンテナ構造体に関し、特に指向性を電気的に制御することができるアンテナ構造体に関する。
アンテナの指向性を変更するのに、アンテナを空間的に傾斜、回転等する方法の他、電気的な手法がある。この手法は、指向性の異なった複数のアンテナを設けて、それを択一的に選択するダイバーシティアンテナや、特許文献1に開示のアレーアンテナが知られている。
また、特許文献2には、テレビ受像機の背面等に設けた給電素子と無給電素子とを磁気結合させることにより、指向性を可変とする技術が開示されている。
特開2002−118414号公報 特開2005−252406号公報
しかしながら、特許文献2のものはテレビ受像機等の電波到来方向がある程度しぼられた用途で有用なものであるが、移動体通信システムでは、空間分割多重(以下、SDM:Space Division Multiplexing)技術を適用するため、より指向性の高いアンテナが必要である。特にビーム・ヌル形成を高い自由度で制御する技術が必要とされる。
さらに移動体通信システムで用いる送受信機は、携帯機器であることが多く小型化も要求される。例えば、RFID(Radio Frequency Identification)用途では2.45GHz帯の高周波帯域を利用することで、アンテナの小型化が図られている。このように、使用周波数を高くすることでアンテナ素子の小型化が可能であるため、今後より高い周波数の帯域利用をみこして、そのサイズメリットを活かせるアンテナ構造体が求められる。
しかし特許文献1のアンテナは、高周波帯域の利用によりアンテナ素子自体は小型化可能であるものの、ダイポール素子やモノポール素子から構成されるため、送受信機の金属筐体や回路基板から十分離して設置するか、それらを地板として、そこから起立する状態で設けざるを得ない。そのため、アンテナが送受信機から外側へ大きく突出し、持ち運びに不便な構成となってしまう。
本発明はかかる点に鑑み、高周波帯域を利用した場合のサイズメリットを活かした低姿勢型であり、且つ高い自由度で指向性を制御できるアンテナ構造体を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係るアンテナ構造体は、地板上において、低姿勢型の逆F型アンテナである給電素子2個が、X軸上の原点を挟んで正負方向等距離の位置に配置されるとともに、前記給電素子と外形寸法が同一の逆F型アンテナである無給電素子2個が、X軸に直交したY軸上の原点を挟んで正負方向に、原点から前記給電素子までの距離と等距離の位置に配置され、前記2個の給電素子は、給電素子間において所望する位相差をもたせて給電する給電手段が接続され、前記2個の無給電素子は、それぞれに可変リアクタンス素子が接続され、リアクタンス値に応じて各無給電素子の電気長を変更できる構成とされていることを特徴とする。
上記の構成により、本発明に係るアンテナ構造体では、複数の給電素子間に給電する信号の位相差を調整することにより、フェーズドアレーアンテナを形成し、給電素子の配列方向に指向性を制御することができる。その一方で無給電素子に接続された可変リアクタンス素子を、容量性と誘導性との間で調整すると、無給電素子の電気長が変更される。ここで無給電素子は、電気長を短くすることで導波器の特性を示し、電気長を長くすることで反射器の特性を示すので、本発明に係るアンテナ構造体では、無給電素子の配列方向にも指向性を制御することができる。
このように本発明に係るアンテナ構造体は、フェーズドアレーアンテナと八木・宇田アンテナの特徴を併せ持つことから、高い自由度で指向性を制御することができる。さらに、給電素子、無給電素子のいずれもが低姿勢構造のため嵩張らず、携帯機器への内蔵用途に適した薄型構造を実現することができる。
ここで、前記給電素子、及び前記無給電素子の本数が、それぞれ2本であり、2本の給電素子がX軸上の原点を挟んで正負方向等距離の位置に配置され、無給電素子は、X軸に直交したY軸上の原点を挟んで正負方向等距離の位置に配置された構成とすることができる。
この構成によって、X軸方向には給電素子間に給電する信号の位相差調整により指向性を制御することができ、Y軸方向には無給電素子に装荷した可変リアクタンス素子のリアクタンス値調整により指向性を制御することができる。
従って、本発明に係るアンテナ構造体は、給電素子、無給電素子があわせて4本という少素子構成でありながら、XY軸を含む水平面内で指向性を様々な方向に振り向けることができる。
また、前記給電素子と無給電素子は、いずれも外形寸法が同一の逆F型アンテナであり、前記給電素子のX軸上原点からの距離と、前記無給電素子のY軸上原点からの距離とが等しく調整された構成とすることができる。
また、前記逆F型アンテナの、地板に垂直に交差する2本の導体部分と両導体部分の上端を短絡する水平導体部分とを素子本体部分と称し、前記水平導体部分の一端から更に地板に並行に延出され、延出端が遊端となった長尺導体部分をインピーダンス整合部と称した場合、給電素子の素子本体部分がX軸上に配置され、インピーダンス整合部は、Y軸と平行な方向に延伸されており、無給電素子の素子本体部がY軸上に配置され、インピーダンス整合部は、X軸と平行な方向に延伸される形態で実施することができる。
また、前記2本の給電素子のインピーダンス整合部同士の延伸方向、並びに2本の無給電素子のインピーダンス整合部同士の延伸方向は、互いに反対方向とされ、且つ、給電素子のインピーダンス整合部と、隣の無給電素子のインピーダンス整合部とは、何れか一方が他方へ近づく方向に延伸され、前記他方が前記一方から離れる方向に延伸されている形態で実施することができる。
この構成によって、本発明に係るアンテナ構造体は、X軸方向には給電素子の素子本体部の設置位置より外方でインピーダンス整合部が占める空間を抑えることができ、Y軸方向には無給電素子の素子本体部の設置位置より外方でインピーダンス整合部が占める空間を抑えることができる。このような素子形状は、アンテナ構造体の占有面積低減に効果がある。
また、給電素子の地板に垂直に交差する2本の導体部分の一方には、給電電源が挿入され、他方は、地板に接続されており、無給電素子の地板に垂直に交差する2本の導体部分の一方には、可変リアクタンス素子が挿入され、他方は、地板に接続されている形態で実施することができる。
また、前記給電素子は、給電電源が挿入された導体部分の基端からインピーダンス整合部の遊端までの長さが、おおよそλ/4とされ(λは送信信号の波長)、前記給電素子、無給電素子の各々は、XY平面の原点からλ/8離れた所に配置される形態で実施することができる。
さらに、前記給電素子、無給電素子のインピーダンス整合部の遊端側が、基端側に対して地板に平行で、隣の無給電素子、給電素子の素子本体部に近づく方向に折り曲げられている形態で実施することができる。
これによって、インピーダンス整合部が占める空間をさらに抑えることができる。
例えば、インピーダンス整合部の遊端側を、給電素子、無給電素子の素子本体部の設置位置を囲む正方形の各辺に沿って折り曲げることで、本発明に係るアンテナ構造体の占有面積を、図31の上段に示すように、一辺がおおよそλ/4の正方形に収めることができる。このような構造であれば、図31の下段に示す特許文献1のものに比較して、同じ使用周波数で横幅1/2、縦幅1/√3にサイズを抑えることができる。
また、前記給電手段は、2つの給電素子に給電する信号の位相を、少なくともnπ/2ラジアン(n=1、2、3、4)並びにこれらの位相の間の中間的な位相に変化する可変位相器を含む構成とすることができる。
これによって、複数の給電素子を、エンドファイアアレー、ブロードサイドアレー等、様々なアレーアンテナとして機能させることができ、XY面内の指向性を、更に高い自由度で制御することができる。
ここで、前記給電素子、無給電素子は、地板上に配置された逆F型アンテナと地板を取り去った状態で等価となる、逆F型アンテナ部分とF型アンテナ部分とを接合した構成のアンテナ素子で置換された構成とすることができる。
また、前記複数の給電素子、複数の無給電素子の少なくとも一以上が逆L型アンテナ若しくはT型アンテナ素子である構成とすることができる。
以下、図面に基づき本発明の実施の形態を説明する。
〔実施の形態1〕
<構成>
図1は、本発明に係るアンテナ構造体1の斜視図である。
アンテナ構造体1は金属板(以下、地板という。)15上に、給電素子11、12、無給電素子13、14を配置した構成である。
地板15内のXY直交座標系において、給電素子11、12は、Y軸上の原点からそれぞれ正方向、負方向にλ/8離れた位置に配置され(λは、送信または受信周波数の空間波長)、無給電素子13、14は、X軸上の原点からそれぞれ正方向、負方向にλ/8離れた位置に配置されている。たとえば、使用周波数を2.45GHzとすれば、給電素子11、12間の距離はλ/4=30.5mmとなる。
本実施形態では、給電素子11、12、無給電素子13、14の何れも外形寸法が同一の逆F型アンテナ構造のものを使用している。
図2の(a)は、給電素子12の構造を模式的に示す図である。
給電素子12は、素子本体部12cとインピーダンス整合部12dとからなる。
素子本体部12cは、地板15に垂直に交差する第1、第2の導体部分12a、12bと、これらの導体部分の上端を短絡する地板平行部分とからなる。第1、第2の導体部分12a、12bは距離Lpの間隔でY軸上に垂下しており、第1の導体部分12aの垂下端には給電回路22から信号が給電され、第2の導体部分12bの垂下端は地板15に接地されている。
第1の導体部分12aに接続されている給電回路22は可変位相器を含み、励振振幅、並びに励振位相を任意の値に調整して給電素子12へ信号を給電することができる。
ここで素子本体部12cの地板平行部分とインピーダンス整合部12dとは地板15に対して平行であり、一般に逆F型アンテナ素子では地板に平行な部分は非放射素子となるため、給電素子12では、地板15に垂直な第1、第2の導体部分12a、12bから垂直偏波が放射される。
インピーダンス整合部12dは、第1の導体部分12aの上端からX軸に平行にX軸の負方向へ長さL1延出した後、Y軸の正方向に屈曲し、延出端が遊端となっている。第1の導体部分12aの垂下端からインピーダンス整合部12dの遊端までの長さ(h+L1+L2)が、おおよそλ/4となるようにインピーダンス整合部12dの長さを設定することで、給電系インピーダンスに対して良好な整合特性が得られる。
本実施形態では、第1、第2の導体部分12a、12bの長さh、第1、第2の導体部分12a、12bの間隔Lp、及びインピーダンス整合部12dの各部位の長さL1、L2は、使用周波数2.45GHzで給電素子12の入力インピーダンスの虚数部が0になるよう、以下の値に調整されている。
h=11.0mm (0.0900λ)
L1=17.8mm (0.1452λ)
L2=4.9mm (0.0400λ)
Lp=2.5mm (0.0202λ)
もう一方の給電素子11は、給電素子12と略同一の形状であり、給電素子12に対してXY座標の原点対称に配置されている。そのため、給電素子11のインピーダンス整合部は、第1の導体部分の上端から、給電素子12とは逆にX軸の正方向へ延伸した後、Y軸の負方向に屈曲している。
無給電素子13、14についても給電素子12と略同一の形状であるが、図2の(b)に無給電素子13の例を示すように、第1の導体部分13aの垂下端に、可変リアクタ23が装荷され接地されている点で給電素子12と相違する。可変リアクタ23は、コントロール回路(不図示)からの制御信号によりリアクタンス値を任意の値に調整することができる。
また、無給電素子13は、第1、第2の導体部分13a、13bが距離Lpの間隔でX軸上に垂下しており、無給電素子13のインピーダンス整合部13dは、第1の導体部分13aの上端から、Y軸の正方向へ延伸した後、X軸の正方向に屈曲している。
無給電素子13と原点対称に配置された、もう一方の無給電素子14のインピーダンス整合部は、第1の導体部分の上端から、無給電素子13とは逆にY軸の負方向へ延伸した後、X軸の負方向に屈曲している。
以上のように構成することで、図3に示すように、アンテナ構造体1は、地板15の鉛直上方から俯瞰した場合、給電素子11、12、無給電素子13、14が、一辺が(λ/4+2×Lp)=35.5mmの正方形内に収まる形状となる。
<動作>
次に上記構成において、X軸方向へビーム形成する原理を説明する。図4は、アンテナ構造体1においてX軸方向へビーム形成する原理を模式的に示す図である。
給電素子11、12は、給電する信号の励振位相φ1、φ2を一致させ同相励振させると、ブロードサイドアレーとして動作し、XY水平面内において、X軸の正負両方向へビームを形成する。
無給電素子13、14は、装荷された可変リアクタ23、24のリアクタンス値X3、X4を変化させると、リアクタンス値に応じて電気長が変化する。具体的には、リアクタンス値X3、X4を負の値に調整し容量性をもたせると無給電素子13、14のアンテナ長が給電素子のそれより短くなり、無給電素子は導波器としての特性になる。逆に、リアクタンス値X3、X4を正の値に調整し誘導性をもたせると無給電素子13、14のアンテナ長が給電素子のそれより長くなり、無給電素子は反射器としての特性となる。
したがって、同相励振により給電素子11、12をブロードサイドアレーとして動作させつつ、このとき、X軸の正負相反する位置に配置された無給電素子13、14のアンテナ長を相反する方向へ変更することで一方を導波器、他方を反射器として機能させることにより、アンテナ構造体1を八木・宇田アンテナと同様に機能させることができる。
具体的には、図4の(a)に示すように、給電回路21、22に同相で給電させつつ、可変リアクタ23のリアクタンス値X3を大きく、可変リアクタ24のリアクタンス値X4を小さくすることで、X軸の正方向へビームを形成することができる。逆に、図4の(b)に示すように、給電回路21、22に同相で給電させつつ、可変リアクタ23のリアクタンス値X3を小さく、可変リアクタ24のリアクタンス値X4を大きくすることで、X軸の負方向へビームを形成することができる。
続いて上記構成において、Y軸方向へビーム形成する原理を説明する。図5は、アンテナ構造体1においてY軸方向へビーム形成する原理を模式的に示す図である。
給電素子11、12は、素子間がλ/4離間しているため、それぞれに給電する信号の励振位相φ1、φ2に、90°の位相差を与えると、エンドファイアアレーとして動作し、Y軸の正方向、又は負方向へビームを形成する。
したがって、可変リアクタ23、24のリアクタンス値X3、X4を同じ値に調整することにより、Y軸を対称軸として無給電素子13、14を同様の特性で機能させつつ、このとき、励振位相φ1、φ2に90°の位相差を与えることで給電素子11、12をエンドファイアアレーとして動作させることにより、アンテナ構造体1を2給電素子からなるフェーズドアレーアンテナと同様に機能させることができる。
具体的には、図5の(a)に示すように、可変リアクタ23、24のリアクタンス値X3、X4を一致させ、給電回路21が供給する信号の位相を、給電回路22が供給する信号の位相よりも90°遅らせることで、Y軸の正方向へビームを形成することができる。また、図5の(b)に示すように、可変リアクタ23、24のリアクタンス値X3、X4を一致させ、給電回路21が供給する信号の位相を、給電回路22が供給する信号の位相よりも90°進ませることで、Y軸の負方向へビームを形成することができる。
さらに、上記構成においてアンテナ構造体1は、給電回路21、22から給電素子11、12へ給電する信号の励振振幅A1、A2を調整することによっても指向性制御が可能であり、これらを励振位相φ1、φ2、リアクタンス値X3、X4に組み合せて調節することで、より高い自由度でビーム形成制御が可能となる。
図6〜図10は、モーメント法の電磁界解析プログラムであるNEC(Numerical Electromagnetic Code)を用いて計算したアンテナ構造体1の水平面内指向性利得Gdを示す図である。図中、A1、A2の単位は[V]、φ1、φ2の単位は[deg]、X3、X4の単位は[Ω]、Gdの単位は[dB]であり、方位角Φは、X軸正方向を0°としている。
アンテナ構造体1は、パラメータA1、A2、φ1、φ2、X3、X4の各値を、図6の(a)〜(d)に示すように調整すると、Φ=0°、30°、60°、90°の各方向にビームを形成している。また、90°〜180°、180°〜270°、270°〜360°の各方向についても、図6の(a)〜(d)に示すパラメータ条件で、それぞれX軸、原点、Y軸について対称な位置の給電回路、可変リアクタを調整することにより同様の結果が得られる。
これらにより、アンテナ構造体1は、励振振幅A1、A2、励振位相φ1、φ2、及びリアクタンス値X3、X4の各値を適切に調節することで、XY水平面内の任意方向にビーム形成が可能であることが分かる。
さらにアンテナ構造体1は、パラメータA1、A2、φ1、φ2、X3、X4の各値を、図7の(a)〜(e)に示すように調整すると、Φ=0°方向へビームを形成しつつ、黒塗り矢印で指す様々な方向にヌルを形成している。
同様に、パラメータA1、A2、φ1、φ2、X3、X4の各値を、図8の(a)〜(f)、図9の(a)〜(f)、図10の(a)〜(e)に示すように調整すると、それぞれビーム方向をΦ=30°、60°、90°に固定しつつ、黒塗りの矢印で指す様々な方向にヌルを形成している。
以上より、アンテナ構造体1は、励振振幅A1、A2、励振位相φ1、φ2、及びリアクタンス値X3、X4の各値を適切に調節することで、任意方向へのビーム形成に加えて、XY水平面内で高い自由度でヌル形成を制御可能であることが分かる。
〔実施の形態1の変形〕
基本的な構成は、実施の形態1と同じであるが、細部においては異なった形で実施することのできる構成を列挙する。
1) 給電素子、無給電素子のインピーダンス整合部を屈曲させることなく、図11に示すように、給電素子31、32のインピーダンス整合部を地板35上のY軸と平行に、無給電素子33、34のインピーダンス整合部をX軸と平行に延伸させて構成する。この構成とすれば、アンテナ構造体の全体としての占有面積は実施の形態1より大きくなるが、給電素子、無給電素子とも平板形状となり、銅等の金属板から打ち抜いて形成することができる。このように打ち抜き形状とする場合は、大量生産に向き、コスト低減が図れ、実用的価値が高い。なお、打ち抜き型でなく、F型パターンを形成したプリント基板を用いることもできる。
2) 図12に示すように、給電素子41、42の素子本体部をY軸に直交させて配置し、無給電素子43、44の素子本体部をX軸に直交させて配置する。この構成とすれば、給電素子、無給電素子の占有面積が実施の形態1の場合と同様でありながら、素子本体部の地板平行部分に対してインピーダンス整合部を屈曲させて延出する必要がなく、給電素子、無給電素子とも形状が簡易なものとなる。
3) 給電素子11、12、無給電素子13、14を、図13に示すように、逆L型アンテナ構造の給電素子51、52、無給電素子53、54で構成する。逆L型アンテナは逆F型アンテナよりも構造が簡易であるため、この構成とすれば、コスト低減を図ることができる。
4) 給電素子11、12、無給電素子13、14を、図14に示すように、T型アンテナ構造の給電素子61、62、無給電素子63、64で構成する。T型アンテナ素子は、実施の形態1で用いた逆F型アンテナ素子よりも構造が簡易であるため、コスト低減を図ることができる。
5) 図15に示すように、給電素子141、142、無給電素子143、144とも、図1に示すそれぞれの給電素子、無給電素子に鏡像対称な逆F型アンテナ素子を接合した構造とする。この構成においては、地板は存在しない。
給電素子141、142、無給電素子143、144とも、垂直導体部分の長さは、実施の形態1の各素子の第1、第2の導体部分の長さの2倍となるが、支持面145の鉛直上方から俯瞰した場合、インピーダンス整合部は、実施の形態1と同様に一辺35.5mmの正方形の範囲内に収まる。図中、146、147、148、149は、給電素子141、142、無給電素子143、144を支持面145から適当距離離して保持するための保持具である。支持面145は、前の各実施の形態と異なり、地板である必要は無い。
電気的特性は実施の形態1と同じである。
〔実施の形態2〕
上記の実施の形態1に係るアンテナ構造体1は、2つの給電素子と2つの無給電素子とを地板に配置した構成とされていたが、実施の形態2では、アンテナ素子数を増やし、より細やかに指向性を制御できるアンテナ構造体について説明する。
具体的には、実施の形態2に係るアンテナ構造体2は、3つの給電素子と3つの無給電素子とを地板71上の正六角形の頂点に交互に配置した構造としている。図16は、その構成を示している。
アンテナ構造体2において、給電素子72、73、74、無給電素子75、76、77が配置される正六角形は一辺の長さがλ/4√3であり、給電素子同士の間隔はλ/4となり、それぞれの無給電素子同士の間隔はλ/4となる。
給電素子72、73、74、無給電素子75、76、77は、何れも逆Fアンテナ構造であり、インピーダンス整合部を、正六角形の中心を通る対角線と平行に延伸させている。
給電素子72、73、74の一方の垂下導体部分には、給電回路78、79、80が接続され、無給電素子75、76、77の一方の垂下導体部分には、可変リアクタ81、82、83が挿入されている。
給電回路78、79、80が給電する信号の励振振幅、励振位相を変化させて給電素子72、73、74をフェーズドアレーとして動作させ、可変リアクタ81、82、83のリアクタンス値を変化させて無給電素子75、76、77に導波器、反射器の特性を発揮させるのは、実施の形態1に係るアンテナ構造体1と同様であるので、説明は省略する。
以上の構成によりアンテナ構造体2は、実施の形態1に係るアンテナ構造体1に比較して、給電素子、無給電素子ともに素子数が多いため、励振振幅、励振位相、リアクタンス値の調整は複雑となるが、3本の給電素子からなるフェーズドアレーと、導波器または反射器として機能する3本の無給電素子とをそれぞれ機能させることで、アンテナ構造体1よりも細やかに指向性を制御することができる。
また、アンテナ構造体2は、実施の形態1に係るアンテナ構造体1に比較して占有面積は大きくなるが、嵩高さは同程度であり、機器への内蔵用途に有益な薄型形状で構成することができる。
〔実施の形態2の変形〕
1) 図17に示すように、4つの給電素子と4つの無給電素子とを地板91上の正八角形の頂点に交互に配置する。正八角形の中心を通る1本の対角線上に配置された2つの給電素子間の間隔はλ/4である。正八角形の中心を通る1本の対角線上に配置された2つの無給電素子間の間隔も同様にλ/4である。
給電素子92、93、94、95の一方の垂下導体部分には、給電回路100、101、102、103が接続され、無給電素子96、97、98、99の一方の垂下導体部分には、可変リアクタ104、105、106、107が装荷されている。
給電回路100、101、102、103が給電する信号の励振振幅、励振位相を変化させて給電素子92、93、94、95をフェーズドアレーとして動作させ、可変リアクタ104、105、106、107のリアクタンス値を変化させて無給電素子96、97、98、99に導波器、反射器の特性を発揮させるのは、実施の形態1に係るアンテナ構造体1と同様である。
2) 図18に示すように、地板111上にλ/4離間して給電素子112、113を配置する。給電素子112、113は、これらの素子の配列軸と平行でそれぞれ互いに相反する方向にインピーダンス整合部が延伸する。さらに給電素子112、113の何れか一方を中心とし他方を1頂点とした地板111上の2つの正六角形の残りの各頂点に、無給電素子114〜121を配置する。
給電素子112、113の一方の垂下導体部分には、給電回路122、123が接続され、無給電素子114〜121の一方の垂下導体部分には、可変リアクタ124〜131が装荷されている。
給電回路122、123が給電する信号の励振振幅、励振位相を変化させて給電素子112、113をフェーズドアレーとして動作させ、可変リアクタ124〜131のリアクタンス値を変化させて無給電素子114〜121に導波器、反射器の特性を発揮させる。
〔実施の形態3〕
上記実施の形態1、2、並びにそれらの変形例では、給電素子、及び無給電素子として逆F型アンテナ素子を用いる構成について説明したが、本発明に係るアンテナ構造体は他の低姿勢型アンテナ素子を用いて構成することもできる。実施の形態3では、低姿勢型アンテナ素子の他の例であるパッチアンテナ素子を用いて構成したアンテナ構造体について説明する。
図19は、本発明に係るアンテナ構造体3の斜視図である。
アンテナ構造体3は、誘電体基板201の一方の面(以下、下面という)に地板202を設け、誘電体基板201の他の面(以下、上面という)に給電素子211〜213、無給電素子214〜216、及び中心素子217を設けた構成である。
給電素子211〜213、無給電素子214〜216、及び中心素子217は、何れも導体板部分が同一寸法の正六角形をしたパッチアンテナ構造のものを使用している。
アンテナ構造体3を比誘電率εの誘電体基板201の鉛直上方から俯瞰すると、図20に示すように、中心素子217は、誘電体基板201上のXY直交座標系の原点に配置され、給電素子211〜213は、X軸正方向を0°として270、30、150°の各方向でXY原点からそれぞれの導体板部分の中心までの距離が等しい位置に配置され、無給電素子214〜216は、210、330、90°の各方向でXY原点からそれぞれの導体板部分の中心までの距離が等しい位置に配置されている。ここで、XY原点から給電素子211〜213及び無給電素子214〜216のそれぞれの導体板部分の中心までの距離は、おおよそλe/2程度(λe=λ/√ε)に調整することが好ましい。
本実施の形態に係るアンテナ構造体3では、使用周波数を5.6GHz、誘電体基板の比誘電率εを4.4、誘電体基板の厚さを1.5mmとして、一辺8mmの正六角形の導体板部分を1mmの間隔をあけて配列させることで、隣り合う導体板部分の中心間距離が14.9mmに調整されている。
また、本実施の形態では使用周波数5.6GHzで給電系インピーダンスとの整合をとるために、給電素子211〜213は、それぞれ原点からの距離が11.36mmの位置で導体板から地板側に垂下した垂下導体部分211a〜213aに、給電回路からの信号が給電されている。
また、無給電素子214〜216も同様に、原点からの距離が11.36mmの位置で地板側に垂下導体部分214a〜216aが垂下しており、この垂下導体部分214a〜216aに可変リアクタが装荷されている。
中心素子217については、XY原点の位置で導体板の中央から垂下導体部分217aが垂下し地板202と接地している。
以下に、給電素子、無給電素子、及び中心素子の構造について詳細を説明する。
図21の(a)は、Y軸を含み誘電体基板201に直交する面での、給電素子211の断面構造を模式的に示す図である。給電素子211は、垂下導体部分211aと導体板部分211bとからなる。垂下導体部分211aは、図20に示すように、導体板部分211bの中心と原点とを結ぶ線分上で、原点からの距離が11.36mmの位置で導体板部分211bから垂下しており、誘電体基板201及び地板202に穿たれたビアを貫通して、その垂下端に給電回路221から信号が給電されている。
垂下導体部分211aに接続されている給電回路221は、実施の形態1の給電回路21と同様に可変位相器を含み、励振振幅、並びに励振位相を任意の値に調整して給電素子211へ信号を給電することができる。
給電素子212、213についても、給電素子211と同様に構成されている。
図21の(b)は、無給電素子214及び中心素子217の導体板中心を通り誘電体基板201に直交する面での、無給電素子214の断面構造を模式的に示す図である。無給電素子214は、垂下導体部分214aと導体板部分214bとからなり、垂下導体部分214aは、導体板部分214bの中心と原点とを結ぶ線分上で、原点からの距離が11.36mmの位置で導体板部分214bから垂下しており、誘電体基板201及び地板202に穿たれたビアを貫通して、その垂下端に可変リアクタ224が装荷され接地されている。可変リアクタ224は、実施の形態1の可変リアクタ23と同様の構成であり、そのリアクタンス値を任意の値に調整することで、無給電素子214の電気長を調整することができる。
無給電素子215、216についても、無給電素子214と同様に構成されている。
図21の(c)は、Y軸を含み誘電体基板201に直交する面での、中心素子217の断面構造を模式的に示す図である。
中心素子217は、垂下導体部分217aと導体板部分217bとからなり、垂下導体部分217aは、導体板部分214bの中心から垂下しており、誘電体基板201に穿たれたビアを貫通して、その垂下端が地板202に接地されている。
以上がアンテナ構造体3の構成についての説明である。
<動作>
次に上記構成において、給電素子方向へビーム形成する原理を説明する。図22は、アンテナ構造体3において給電素子方向へビーム形成する原理を模式的に示す図である。
給電素子211〜213は、給電回路から給電される信号の励振位相φ221〜φ223に応じてビーム形成方向を制御することができる所謂フェーズドアレーアンテナとして機能する。
ここでビーム形成させたい方向の給電素子に隣接する2つの無給電素子が導波器、ビーム形成させたい方向の給電素子と原点を挟んで対向する無給電素子が反射器として機能するよう可変リアクタ224〜226のリアクタンス値X224〜X226を調整することで、給電素子方向へのビームをより絞ることができる。
具体的には、図22に示すように、給電回路222、223が給電する信号の励振位相φ222、φ223を適切な値に設定して給電素子212、213を同相励振させることで、給電素子211〜213をY軸にそってビーム形成するフェーズドアレーとして動作させる。さらに、給電素子211に隣接する無給電素子214、215に装荷された可変リアクタのリアクタンス値X224、X225を小さくし、原点を挟んで給電素子211と対向する無給電素子216に装荷された可変リアクタ226のリアクタンス値X226を大きくして、無給電素子214、215に導波器、無給電素子216に反射器としての特性を持たせることで、ビーム形成方向を給電素子211方向に絞ることができる。
続いて上記構成において、無給電素子方向へビーム形成する原理を説明する。図23は、アンテナ構造体3において無給電素子方向へビーム形成する原理を模式的に示す図である。
何れかの給電素子方向へビーム形成する場合には、無給電素子214〜216のうち2つを導波器、1つを反射器として機能させたが、何れかの無給電素子方向へビーム形成する場合には、ビーム形成させたい方向の無給電素子を導波器、残りの2つの無給電素子を反射器として機能させる。
具体的には、図23に示すように、給電回路221及び223が給電する信号の励振位相φ221及びφ223を一致させて給電素子211及び213を同相励振させつつ、給電回路222が給電する信号の励振位相φ222を励振位相φ221及びφ223に対して適切な値に設定することで、給電素子211〜213を、X軸をY軸方向に60°回転させた軸に沿ってビーム形成するフェーズドアレーとして動作させる。さらにここで、無給電素子214に装荷された可変リアクタのリアクタンス値X224を小さくし、原点を挟んで無給電素子214に対向する給電素子211の両隣の無給電素子215、216に装荷された可変リアクタ225、226のリアクタンス値X225、X226を大きくして、無給電素子214に導波器、無給電素子215、216に反射器としての特性を持たせることで、ビーム形成方向を無給電素子214方向に絞ることができる。
以下、アンテナ構造体3によるビーム形成の具体例を説明する。
図24〜図29は、アンテナ構造体3の三次元指向性利得を示す図である。図中、φ221〜φ223の単位は[rad.]、X224〜X226の単位は[Ω]である。
アンテナ構造体3は、パラメータφ221〜φ223、X224〜X226の各値を、図24〜図29の各図に示すように調整することで、各図においてX軸正方向を0°として、30°、90°、150°、210°、270°、330°の各方向にビームを形成している。
これらの図により、アンテナ構造体3は、励振位相φ221〜φ223、及びリアクタンス値X224〜X226の各値を適切に調節することで、XY水平面内の任意方向へのビーム形成を制御可能であることが分かる。
また、図30は、アンテナ構造体3から中心素子217を取り除いたアンテナ構造体で30°方向へビーム形成した場合の三次元指向性を示す図である。図24と図30とでは各パラメータの値が同じ値に調整されているが、中心素子217を取り除いたアンテナ構造体では、図24の場合と比較して打ち上げ角が高くなり地板に垂直なZ軸方向への放射が強くなっている。
このように、中心素子217の有無によって、垂直面指向性の異なるアンテナ構造体を設計可能であることが分かる。
以上の構成によりアンテナ構造体3は、アンテナ素子としてパッチアンテナ構造のものを使用することで、実施の形態1、2に係るアンテナ構造体1、2に比較してより薄型の形状で構成することができる。
〔実施の形態3の変形〕
尚、実施の形態3では、パッチアンテナ素子を用いた給電素子及び無給電素子を3個ずつ有する構成のアンテナ構造体について説明したが、本発明は、他の構成としても実施可能である。
例えば、パッチアンテナ素子を用いた給電素子及び無給電素子が等間隔に、アンテナ構造体の中心から等距離に配置されたアンテナ構造体として、給電素子及び無給電素子を2個ずつ有する構成としても実施することができる。さらに、給電素子及び無給電素子の個数は、それぞれ4個以上であってもよい。
〔その他の変形例〕
最後に、上記各実施の形態は、給電素子、無給電素子はそれぞれ同一形状のものを使用しているが、本発明はこれに限られるものではなく、逆F型アンテナ素子、逆L型アンテナ素子、T型アンテナ素子、パッチアンテナ素子等の低姿勢アンテナ素子を任意に組み合せて実施することができる。
本発明に係るアンテナ構造体は、嵩張らず占有面積が小さいため携帯機器への内蔵用途に適し、特に水平面内の任意方向へ高い自由度でビーム・ヌルを形成することができるため、SDM技術を適用した移動体通信システム用の携帯通信機器に有用である。
実施の形態1に係るアンテナ構造体1を示す図である。 (a)は、給電素子11の構造を模式的に示す図、(b)は、無給電素子13の構造を模式的に示す図である。 アンテナ構造体1を地板15の鉛直上方から俯瞰した図である。 (a)(b)は、アンテナ構造体1においてX軸方向へビーム形成する原理を模式的に示す図である。 (a)(b)は、アンテナ構造体1においてY軸方向へビーム形成する原理を模式的に示す図である。 (a)(b)(c)(d)は、方位角Φ=0°〜90°方向へビーム形成した場合の指向性利得Gdを示す図である。 (a)(b)(c)(d)(e)は、Φ=0°方向へビームを固定し、他の方向にヌルを形成した場合の指向性利得Gdを示す図である。 (a)(b)(c)(d)(e)(f)は、Φ=30°方向へビームを固定し、他の方向にヌルを形成した場合の指向性利得Gdを示す図である。 (a)(b)(c)(d)(e)(f)は、Φ=60°方向へビームを固定し、他の方向にヌルを形成した場合の指向性利得Gdを示す図である。 (a)(b)(c)(d)(e)は、Φ=90°方向へビームを固定し、他の方向にヌルを形成した場合の指向性利得Gdを示す図である。 実施の形態1の1変形例を示す図である。 実施の形態1の他の変形例を示す図である。 実施の形態1の他の変形例を示す図である。 実施の形態1の他の変形例を示す図である。 実施の形態1の他の変形例を示す図である。 実施の形態2のアンテナ構造体を示す図である。 実施の形態2の1変形例を示す図である。 実施の形態2の他の変形例を示す図である。 実施の形態3に係るアンテナ構造体3の斜視図である。 アンテナ構造体3を誘電体基板201の鉛直上方から俯瞰した図である。 (a)は、Y軸を含み誘電体基板201に直交する面での、給電素子211の断面構造を模式的に示す図、(b)は、無給電素子214及び中心素子217の導体板中心を通り誘電体基板201に直交する面での、無給電素子214の断面構造を模式的に示す図、(c)は、Y軸を含み誘電体基板201に直交する面での、中心素子217の断面構造を模式的に示す図である。 は、アンテナ構造体3において給電素子方向へビーム形成する原理を模式的に示す図である。 は、アンテナ構造体3において無給電素子方向へビーム形成する原理を模式的に示す図である。 方位角Φ=30°方向へビーム形成した場合の三次元指向性を示す図である。 方位角Φ=90°方向へビーム形成した場合の三次元指向性を示す図である。 方位角Φ=150°方向へビーム形成した場合の三次元指向性を示す図である。 方位角Φ=210°方向へビーム形成した場合の三次元指向性を示す図である。 方位角Φ=270°方向へビーム形成した場合の三次元指向性を示す図である。 方位角Φ=330°方向へビーム形成した場合の三次元指向性を示す図である。 アンテナ構造体3から中心素子217を取り除いたアンテナ構造体で方位角Φ=30°方向へビーム形成した場合の三次元指向性を示す図である。 図1のアンテナ構造体の利点を説明する図である。
符号の説明
1 アンテナ構造体
2 アンテナ構造体
3 アンテナ構造体
11、12 給電素子
12a、13a 第1の導体部分
12b、13b 第2の導体部分
12c、13c 素子本体部
12d、13d インピーダンス整合部
13、14 無給電素子
15 地板
21、22 給電回路
23、24 可変リアクタ
31、32 給電素子
33、34 無給電素子
35 地板
41、42 給電素子
43、44 無給電素子
45 地板
51、52 給電素子
53、54 無給電素子
55 地板
61、62 給電素子
63、64 無給電素子
65 地板
71 地板
72〜74 給電素子
75〜77 無給電素子
78〜80 給電回路
81〜83 可変リアクタ
91 地板
92〜95 給電素子
96〜99 無給電素子
100〜103 給電回路
104〜107 可変リアクタ
111 地板
112、113 給電素子
114〜121 無給電素子
122、123 給電回路
124〜131 可変リアクタ
141、142 給電素子
143、144 無給電素子
145 支持面
201 誘電体基板
202 地板
211〜213 給電素子
214〜216 無給電素子
217 中心素子
211a〜217a 垂下導体部分
211b、214b、217b 導体板部分
221〜223 給電回路
224〜226 可変リアクタ

Claims (10)

  1. 地板上において、低姿勢型の逆F型アンテナである給電素子2個が、X軸上の原点を挟んで正負方向等距離の位置に配置されるとともに、前記給電素子と外形寸法が同一の逆F型アンテナである無給電素子2個が、X軸に直交したY軸上の原点を挟んで正負方向に、原点から前記給電素子までの距離と等距離の位置に配置され、
    前記2個の給電素子は、給電素子間において所望する位相差をもたせて給電する給電手段が接続され、
    前記2個の無給電素子は、それぞれに可変リアクタンス素子が接続され、リアクタンス値に応じて各無給電素子の電気長を変更できる構成とされていることを特徴とするアンテナ構造体。
  2. 前記逆F型アンテナの、地板に垂直に交差する2本の導体部分と両導体部分の上端を短絡する水平導体部分とを素子本体部分と称し、前記水平導体部分の一端から更に地板に並行に延出され、延出端が遊端となった長尺導体部分をインピーダンス整合部と称した場合、
    給電素子の素子本体部分がX軸上に配置され、インピーダンス整合部は、Y軸と平行な方向に延伸されており、
    無給電素子の素子本体部がY軸上に配置され、インピーダンス整合部は、X軸と平行な方向に延伸されている
    ことを特徴とする請求項1記載のアンテナ構造体。
  3. 前記2個の給電素子のインピーダンス整合部同士の延伸方向、並びに2個の無給電素子のインピーダンス整合部同士の延伸方向は、互いに反対方向とされ、且つ、
    給電素子のインピーダンス整合部と、隣の無給電素子のインピーダンス整合部とは、何れか一方が他方へ近づく方向に延伸され、前記他方が前記一方から離れる方向に延伸されている
    ことを特徴とする請求項2記載のアンテナ構造体。
  4. 前記給電素子は、地板に垂直に交差する2本の導体部分の一方に給電電源が挿入され、当該給電電源が挿入された導体部分の基端からインピーダンス整合部の遊端までの長さが、λ/4とされ(λは送信信号の波長)、
    前記給電素子、無給電素子の各々は、前記2本の導体部分のうち原点に近い側が、原点からλ/8離れた位置で地板に交差することを特徴とする請求項3記載のアンテナ構造体。
  5. 前記給電素子、無給電素子のインピーダンス整合部の遊端側が、基端側に対して地板に平行で、隣の無給電素子、給電素子の素子本体部に近づく方向に折り曲げられていることを特徴とする請求項4記載のアンテナ構造体。
  6. 前記給電手段は、2つの給電素子に給電する信号の位相を、少なくともnπ/2ラジアン(n=1、2、3、4)並びにこれらの位相の間の中間的な位相に変化する可変位相器を含む構成であることを特徴とする請求項1から5の何れかに記載のアンテナ構造体。
  7. 前記給電素子、無給電素子は、それぞれの素子に鏡像対称な逆F型アンテナ部分を接合した構成のアンテナで置換されていることを特徴とする請求項1から5の何れかに記載のアンテナ構造体。
  8. 頂点が2n個の地板上の多角形において、1頂点から時計回りに各頂点に番号を付した場合、低姿勢型の給電素子n個(nは2以上の整数)が、奇数番目の頂点に配置されるとともに、低姿勢型の無給電素子n個が、偶数番目の頂点に配置され、
    前記n個の給電素子は、給電素子間において所望する位相差をもたせて給電する給電手段が接続され、
    前記n個の無給電素子は、それぞれに可変リアクタンス素子が接続され、リアクタンス値に応じて各無給電素子の電気長を変更できる構成とされており、
    前記n個の給電素子、前記n個の無給電素子の少なくとも一以上が逆L型アンテナ、T型アンテナ、若しくはパッチアンテナであることを特徴とするアンテナ構造体。
  9. 前記給電素子、及び前記無給電素子の全てが導体板を含むパッチアンテナであり、
    前記多角形の中心から、それぞれの給電素子及び無給電素子の導体板の中心までの距離が等しく調整されていることを特徴とする請求項8に記載のアンテナ構造体。
  10. 地板上の前記多角形の各頂点に給電素子及び無給電素子を配置した状態で、前記多角形中央部の空所に、地板と接地されている導体板が配置されていることを特徴とする請求項9に記載のアンテナ構造体。
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