JP4805652B2 - カーボンブラックを含有した樹脂組成物、シート、成形体 - Google Patents

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Description

本発明は、樹脂組成物、シート、成形体に関する。
カーボンブラックを含有(以下、「含有」を「充填」ともいう。)させた樹脂組成物(以下、単に「組成物」ともいう。)の導電性の制御は、カーボンブラックの充填量によって行われている(例えば特許文献1)。従来、高い導電性を得るため、カーボンブラックを高充填すると、組成物の流動性を低下させ、シートや成形体への加工牲を損なわせたので、より高い導電性付与能力のあるカーボンブラックの出現が待たれていた。
特開2002−322366号公報
本発明の目的は、導電性付与能力の大きなカーボンブラックを熱可塑性樹脂に含有した組成物、シート、成形体を提供することである。
本発明は、上記の課題を解決するために、以下の手段を採用する。
(1)酸素含有量が0.5%以下(0を含む)、JIS K 6217におけるDBP吸収量が150〜250ml/100g、透過型電子顕微鏡によって測定されたストラクチャー長さを用いて描かれた粒度分布曲線の最大頻度径が0.5〜0.8μmで、その半値幅が1μm以上であるカーボンブラックを熱可塑性樹脂に含有してなる樹脂組成物。
(2)カーボンブラックの酸素含有量が0.3%以下(0を含む)であることを特徴とする前記(1)に記載の樹脂組成物。
(3)前記(1)又は(2)のいずれか一項記載の樹脂組成物からなるシート。
(4)熱可塑性樹脂シートの片側もしくは両側に、前記(1)又は(2)のいずれか一項記載の樹脂組成物を積層した複合シート。
(5)前記(1)又は(2)のいずれか一項記載の樹脂組成物からなる成形体。
(6)前記(3)又は(4)のいずれか一項記載のシートを用いた電子部品成形体。
(7)前記(6)記載の電子部品成形体がソフトトレー又は、キャリアテープ。
本発明によれば、導電性付与能力の大きなカーボンブラックを熱可塑性樹脂に含有を用いることにより、導電性が向上した樹脂組成物、シート、成形体が提供される。
カーボンブラックは、JIS K 6217におけるDBP吸収量が150〜250ml/100gである。カーボンブラックは、その一次粒子が枝状に強固に一体化したストラクチャーと呼ばれる一次凝集形態を形成しており、組成物の導電性付与能力に影響を及ぼしている。ストラクチャーが長く発達した構造であれば、組成物の粘度を上昇させ、流動性(加工性)が低下する。逆に、ストラクチャーが短いと、カーボンブラック粒子同士の連絡が十分でなくなり導電性と導電性付与能力が低下する。
カーボンブラックのDBP吸収量は、ジブチルフタレートのカーボンブラックへの吸油量であるから、全ストラクチャーの長さの総和を示す指標と言え、150ml/100gよりも著しく小さいと、導電性付与能力が低下し、250ml/100gよりも著しく大きいと、組成物の加工性を損なわせる恐れがある。好ましいDBP吸収量は100〜200ml/100gである。比表面積は80〜200m2/gであることが好ましい。
カーボンブラックは、透過型電子顕微鏡によって測定されたストラクチャー長さを用いて描かれた粒度分布曲線の最大頻度径が0.5〜0.8μmで、その半値幅が1μm以上である。最大頻度径が0.5μmよりも著しく小さいと、導電経路の確保が困難となって同一充填量では組成物の導電性は向上せず、また0.8μmよりも著しく大きいと、ストラクチャーの立体障害により組成物の加工性が低下する恐れがある。
カーボンブラックは、組成物の導電性と加工性のバランスをとるために、上記粒度分布曲線の半値幅も重要な因子であり、最大頻度径が0.5〜0.8μmにおいて、1μm以上の半値幅を有することが必要である。粒度分布曲線の半値幅は1〜5μmが好ましく、1〜3μmがさらに好ましい。
カーボンブラックの粒度分布曲線は、透過型電子顕微鏡によって測定されたストラクチャー長さを用いて描かれる。この場合、サンプル数を多くするほど信頼性が増すが、1000サンプル又はそれ以上で十分である。DBP吸収量がストラクチャー長さの指標として間接的な測定方法であるのに対して、透過型電子顕微鏡は直接的な手法であり、その両方を組み合わせて評価することで、カーボンブラックのストラクチャー長さを高い信頼性で定量することが可能である。
カーボンブラックは、酸素含有量が0.5%以下(0を含む)である。酸素含有量は、カーボンブラックに存在するカルボキシル基、カルボニル基等の酸性官能基量の大きさを示す指標である。酸性官能基は電子吸引性であるため、カーボンブラックのπ電子が捕獲され、酸素含有量が0.5%を超えると導電性付与能力が低下する傾向にある。また、0.5%を超える酸素含有量は大気中の水分吸着の要因となるので好ましくない。好ましい酸素含有量は0.3%以下(0を含む)である。
カーボンブラックは、炭化水素ガスを、分割された酸素ガスによって不完全燃焼して上記粒度分布特性を有するカーボンブラック原料を製造し、それを水素を含む気流中で加熱処理をし、酸性官能基を脱離させることによって製造することができる。
カーボンブラック原料を製造する方法の一例は、炭化水素ガスと酸素ガスとを別々にして、しかも酸素ガスを複数に分割して炭化水素ガスの供給口の周辺から供給することである。
さらに、カーボンブラックの製造方法の一例を述べれば、耐火煉瓦等の耐火物で密閉化された反応器からなる竪型炉の頂部に、炭化水素ガスの供給口と、その周囲に2又は3以上の酸素ガスの供給口を設け、炭化水素ガスの周辺から酸素ガスを分割供給することである。このように酸素ガスを分割供給することによって、より好ましくは、各酸素ガスの供給口から供給される酸素量を違えることによって、炉内には酸素ガス供給口の数だけ温度分布の異なる不完全燃焼領域を複数存在させることができるので、ストラクチャーの分布の広いカーボンブラックの生成が可能となる。
カーボンブラックは、2又は3以上の各酸素ガスの供給口から供給される酸素ガス量を制御することによって、粒度分布特性を変えることができる。たとえば、酸素ガス供給口を2とした場合、一方の酸素ガス流量の割合を他方に対して1.2倍量以上、特に1.5〜3倍量とすることが好ましい。
カーボンブラックを製造するのに使用される炭化水素の種類には制約はなく、それを例示すると、メタン、エタン、プロパン、エチレン、プロピレン、アセチレン、ブタジエン等のガス状、ベンゼン、トルエン、キシレン、ガソリン、灯油、軽油、重油等のオイル状炭化水素などである。中でも、エチレン、アセチレン、ブタジエン、ベンゼン、トルエン、キシレンは生成する熱量が高く、反応温度が高くなるため、不完全燃焼に使用する酸素供給量を少なくすることができ、得られるカーボンブラックの酸素含有量も少なくなるので本発明には好適である。また、液体炭化水素は、過剰な酸素を加えて燃焼させる必要があるので、それを用いるときはガス化してから炉内に供給することが好ましい。
製造されたカーボンブラック原料は水素を含む気流中で加熱処理される。ここで、水素を含む気流中とは、水素ガス単独、又は水素ガスと例えば窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガスとの混合ガスが、連続的又は間欠的に処理炉を流通していることである。この方法としては、例えば処理炉の一方から他方に向けて、水素を含むガスを流すことによって行うことができる。混合ガスの水素ガス濃度としては、20体積%以上が好適である。処理温度は700℃以上が好ましい。この工程を経ることによって、カルボキシル基、カルボニル基等の酸性官能基を減少(なくすことも含む)させることができ、酸素含有量が0.5%以下のカーボンブラックを製造することができる。
つぎに、本発明の樹脂組成物について説明する。本発明の樹脂組成物は、樹脂に上記カーボンブラックを含有させたものである。その混合方法の一例を示せば、例えばブレンダー、ヘンシェルミキサー等の混合機によって混合した後、更に必要に応じて、加熱ロール、ニーダー、一軸又は二軸の押出機等によって混練する方法をあげることができる。
本発明で使用される熱可塑性樹脂としては、例えば汎用プラスチックではポリプロピレン、ポリエチレン、エチレン/酢酸ビニル樹脂、エチレン/ビニルアルコール樹脂、ポリメチルペンテン、環状オレフィン共重合体等のオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、エチレン/塩化ビニル樹脂等の塩化ビニル系樹脂、ポリスチレン、スチレン/アクリロニトリル樹脂、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン樹脂等のスチレン系樹脂、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル系樹脂、汎用エンジニアリングプラスチックでは、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等の熱可塑性ポリエステル、ポリアミド、ポリアセタール、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル、スーパーエンジニアリングプラスチックでは、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン等のフッ素樹脂、ポリフェニレンスルフィド、液晶ポリマー、ポリアリレート、熱可塑性ポリイミド、ケトン系樹脂、スルホン系樹脂やポリマーアロイ等である。
このうち、本発明のシート、及びソフトトレー、キャリアテープ等の成形体用の組成物として使用される熱可塑性樹脂としては、加工性の点からポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン樹脂(ABS)、変性ポリフェニレンエーテル樹脂(PPE)、ポリカーボネート樹脂(PC)が特に好ましい。なお、ポリスチレン系樹脂とは、一般のポリスチレン樹脂(GPPS)、または耐衝撃ポリスチレン樹脂(HIPS)およびこれらを主成分とする樹脂である。
本発明のシート、成形体用樹脂組成物中のカーボンブラック添加量としては、熱可塑性樹脂100質量部に対して4〜50質量部、より好ましくは15〜25質量部が適切である。カーボンブラックの添加量が4質量部未満では十分な導電性が発現しにくく、表面固有抵抗値が上昇する傾向にあり、50質量部を超えると樹脂との均一分散性が悪くなる傾向にあり、成形加工がしにくくなり、かつ機械的強度等の特性値が低下する傾向にある。また、表面固有抵抗値が、1010Ω以上では十分な帯電防止効果が得られず、102 Ω以下では、導電性が良すぎて電磁誘導や静電誘導などにより起電力が生じ、ICを破壊する恐れがある。
樹脂組成物においては、前記以外の添加剤、例えばゴム成分、耐衝撃補強剤、滑剤、熱安定剤、光安定剤、着色剤、サイジング剤、表面処理剤等を必要に応じて添加することも可能である。また、これらの添加剤類は、複数組み合わせて使用することもできる。
樹脂組成物は単層のシート、基材層の少なくとも片側に樹脂組成物の表皮層を有する積層の複合シートとして用いることができる。表皮層/基材層/表皮層が好ましい層の構成であるが、表皮層と基材層の間に別の層を設けることもできる。
本発明において、複合シートにした際の基材層については、特に熱可塑性樹脂であれば制限はないが、表皮層と相溶性がある樹脂組成物が好ましい。表皮層として用いる樹脂組成物がポリスチレン系の樹脂であれば基材層はポリスチレン系樹脂又はABS樹脂、表皮層として用いる樹脂組成物がポリカーボネート系の樹脂であればポリカーボネート樹脂、ABS樹脂及びポリエステル系樹脂、表皮層として用いる樹脂組成物がポリフェニレンエーテル系樹脂であればポリスチレン系樹脂、ABS樹脂及びポリフェニレンエーテル系樹脂が特に好ましい。
基材層には、カーボンブラックを、流動性を損なわない程度に少量、具体的には熱可塑性樹脂に対して
0.1〜30質量部の範囲で添加することが可能である。カーボンブラックの添加によりシートを包装容器に成形した際にシートの厚さが薄いため、成形品のコーナー部等が透けてしまうといった問題点を解決することが可能となる。基材層に添加するカーボンブラックに特に制限はなく、本発明のカーボンブラックの他、
ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック等公知のものが使用可能である。
本発明の樹脂組成物からなるシート全体の厚さは0.1〜1.0mmが好ましく、且つ積層した場合には、表皮層の厚さは全体の厚さの2〜80%であることが好ましい。全体の厚さが薄いとシートを成形して得られる包装容器としての強度が不足する場合がある。一方、全体の厚さが厚いと圧空成形、真空成形、熱板成形が困難となる傾向がある。積層の場合、表皮層の厚さが薄いとシートを成形して得られる包装容器の表面固有抵抗率が高くなり、十分な静電気制御効果が得られないことがある。一方、表皮層の厚さが厚いと圧空成形、真空成形、熱板成形等の成形性が低下する傾向にある。
シートを製造する方法は特に限定されない。押出機等の公知の方法によってシート状に成形される。積層の場合は、熱ラミネート法、ドライラミネート法、押出ラミネート法等により行うことが可能であり、フィードブロックやマルチマニホールドダイ等を用いた共押出法によって一括して行うことも可能である。安価に製造するにはマルチマニホールドダイやフィードブロックダイを用いた多層共押出法により、一括して積層シートを得ることが好ましい。
シートは電子部品やテレビやパソコン、携帯電話等のディスプレーといった電気製品の部品の包装容器に好適に使用することができる。電子部品成形体とは、電子部品を包装するための容器であり、ソフトトレー、キャリアテープ(エンボスキャリアテープ)等がある。それらはシートを真空成形、圧空成形、熱板成形することによって得ることができる。電子部品としては特に限定されない。例えば、IC、LED(発光ダイオード)、抵抗液晶、コンデンサ、トランジスタ、圧電素子レジスタ、フィルタ、水晶発振子、水晶振動子、ダイオード、コネクタ、スイッチ、ボリュウム、リレー、インダクタ等がある。ICの形式は特に限定されない。例えばSOP、HEMT、SQFP、BGA、CSP、SOJ、QFP、PLCC等がある。
電子、電気部品成形体とは、電子、電気部品を包装容器により包装したものを意味する。
電子、電気部品はソフトトレー、キャリアテープ(エンボスキャリアテープ)等の包装容器に収納され、使用に供される。場合によっては、カバーテープ等で容器に蓋をしたものも含まれる。
以下、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
表1のNo.1〜No.4に本発明の実施例で使用したカーボンブラックを示す。また、No.5に比較例で使用したカーボンブラックを示す。本発明に使用されるカーボンブラックの製造例として、炉長4m、炉直径0.5mの竪型炉の頂部に、炭化水素ガスの供給ノズル(直径18mm)と、2本の酸素ガスの供給ノズル(直径8mm)を設け、130℃に加熱された炭化水素ガスと、分割された酸素ガスとを表1に示す割合で供給して不完全燃焼(炭素と酸素のモル比が1以上)させた。得られたカーボンブラック原料を炉下部に設置された酸性官能基の脱離室(全長2m、直径0.1m)に導き、水素気流中(1m3/hの水素ガスが供給されている)、800℃で加熱処理し製造した。
得られたカーボンブラックについて、(1)窒素ガス吸着によるBET1点法の比表面積、(2)JIS K 6217によるDBP吸収量、(3)酸素窒素同時分析装置(LECO社製「TC−136型」)による酸素含有量を測定した。さらには、(4)ストラクチャーの最大頻度径及び粒度分布の半値幅、(5)組成物の体積固有抵抗、(6)流動性(MFI)を、以下に従い測定した。それらの結果を表1に示す。
(4)ストラクチャーの最大頻度径及びその分布の半値幅
カーボンブラックをクロロホルムに分散した後、マイクログリッドメッシュですくい、透過型電子顕微鏡(日立製作所社製商品名「H−300」)を用いて、倍率3000倍にて無作為に撮影し、得られた写真上でカーボン凝集粒子1000サンプルについてストラクチャーの長さを測定した。選別方法で結果が大きく異なることがないよう、各撮影の度に視野を変え、写真の角にかかっているサンプル以外はすべて測定した(各写真につき、5サンプル程度測定)。ストラクチャーの長さは、写真上のストラクチャーに沿って一次粒子の中心を通るように曲線を引き、また枝状に2以上に分岐している場合はストラクチャーの先端から他方の先端までの長さが最大となる線をそのストラクチャーとし、その長さを測定した。1000サンプルの結果を用いて頻度分布曲線を描き、この曲線から最大頻度径と半値幅を求めた。
(5)組成物の体積固有抵抗
カーボンブラック30質量部とEVA樹脂(日本ユニカー社製商品名「NUC−3830」)100質量部とを内容量60mlの混練試験機(東洋精機製作所社製商品名「ラボプラストミル50MR」)でブレード回転数30rpm、温度120℃で10分間混練し、得られた混練物を温度180℃の加熱下9.8×106Paの圧力で加圧成形して、2×20×70mmの試験片を作製し、体積固有抵抗をデジタルマルチメーター(横河電機社製商品名「デジタルマルチメーター7562」)を用いてSRIS2301に準じて測定した。
(6)組成物の流動性(MFI)
体積固有抵抗で使用した試験片を2×5×5mmの大きさに切断し、流動性測定器(東洋精機製作所社製商品名「メルトインデクサーA−111」)で200℃の加熱下、5kgの荷重下にて内径2mmのノズルから流れる10分間当たりの組成物の質量を測定した。
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表1から、本発明に用いられるカーボンブラック(No.1〜No.4)は、比較用(No.5)に比べて広範なストラクチャーの分布を持ち、酸素含有量も少ない。その結果、同一条件で調製された本発明に用いられるカーボンブラックを含有する樹脂組成物の体積固有抵抗は、比較例よりも著しく小さくなり、流動性も高かった。
(実施例1〜5、比較例1〜2)
表2に示す原料のポリスチレン系樹脂について、表3の組成割合で原料を各々計量し、高速混合機により均一に混合した後、バンバリーミキサーを用いて混練し、ストランドカット法によりペレット化した。ペレット化した樹脂組成物をラボプラストミルμ(東洋精機)の小型一軸押出機、押出温度200℃にて、0.3mm厚のシートを作製した。その際の表面固有抵抗値、機械的強度とシート製膜性の評価を行った。評価結果を表4に示す。なお、製膜性は押出温度200℃のときのシート作成可否について、優、良、二段階で評価した。
(実施例6〜7、比較例3〜5)
同様に表2に示す原料のポリカーボネート系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂について、表5の組成割合で原料を各々計量し、高速混合機により均一に混合した後、二軸押出機を用いて混練し、ポリカーボネート系樹脂は280℃、ポリフェニレンエーテル系樹脂は300℃で押し出した以外は、ポリスチレン系樹脂と同様に評価を実施した。評価結果を表6に示す。
表面固有抵抗値は、JIS−K−7194の4探針法に準拠した方法で、ロレスター表面抵抗計(三菱油化社製)を用い、電極間10mmとして測定した。
なお、シートの機械的強度物性は、引張強度(JIS−K−7127 1999年)に準拠し4号試験片(MD方向)を使用し、インストロン型引張試験機により、10mm/minの引張速度で引張試験を行った。
表4及び表6から、本発明の実施例である高い導電性付与能力のあるカーボンブラックを熱可塑性樹脂に含有させた樹脂組成物は、シートを作製することが可能であった。また、ポリスチレン系樹脂では実施例1は比較例1及び2、ポリカーボネート系樹脂では実施例6は比較例3及び5、ポリフェニレンエーテル系樹脂では実施例7は比較例4よりも、同一のカーボンブラックの添加量で高い導電性を示した。
(実施例8〜12、比較例6〜7)
表2に示す原料のポリスチレン系樹脂について、表7の組成割合で原料を各々計量し、高速混合機により均一に混合した後、バンバリーミキサーを用いて混練し、ストランドカット法によりペレット化した。ペレット化した樹脂組成物を表皮層、耐衝撃性ポリスチレンを基材層にした、表皮層/基材層/表皮層の積層シートの構成で、フィードブロックによる共押出法を用い、押出温度200℃で0.3mm厚のシートを作製した。なお、積層シートの厚さの構成比は10/80/10に設定した。その際のシートの表面固有抵抗値、機械的強度とシート製膜性の評価を行った。また、得られたシートを真空成形し、QFP14mm×20mm/64pinのIC包装用ソフトトレー、及び同キャリアテープ形状の成形体を得た。その際の、成形性と底部の表面固有抵抗値の評価を行った。評価結果を表8に示す。なお、シートの製膜性は押出温度200℃のときのシート作成可否について、優、良、二段階で評価し、トレイ底部の表面固有抵抗値については、シートと同様に、JIS−K−7194の4探針法に準拠した方法で、ロレスター表面抵抗計(三菱油化社製)を用い、電極間10mmとして測定した
表8から、本発明の実施例である高い導電性付与能力のあるカーボンブラックを熱可塑性樹脂に含有させた樹脂組成物は、シート、成形体を作製することが可能であった。また、実施例8は比較例6及び7に比べ、高い導電性を示した。
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本発明により提供される導電性付与能力が大きいカーボンブラックを熱可塑性樹脂に含有させた樹脂組成物を用いて、シート、成形体を作製することができる。
本発明のカーボンブラックと熱可塑性樹脂を含有したシートをソフトトレー、キャリアテープ、など電子部品を搬送する包装容器に利用することができる。

Claims (7)

  1. 酸素含有量が0.5%以下(0を含む)、JIS K 6217におけるDBP吸収量が150〜250ml/100g、透過型電子顕微鏡によって測定されたストラクチャー長さを用いて描かれた粒度分布曲線の最大頻度径が0.5〜0.8μmで、その半値幅が1μm以上であるカーボンブラックを熱可塑性樹脂に含有してなる樹脂組成物。
  2. カーボンブラックの酸素含有量が0.3%以下(0を含む)であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 請求項1又は2のいずれか一項記載の樹脂組成物からなるシート。
  4. 熱可塑性樹脂シートの片側もしくは両側に、請求項1又は2のいずれか一項記載の樹脂組成物を積層した複合シート。
  5. 請求項1又は2のいずれか一項記載の樹脂組成物からなる成形体。
  6. 請求項3又は請求項4のいずれか一項記載のシートを用いた電子部品成形体。
  7. 請求項6記載の電子部品成形体がソフトトレー又は、キャリアテープ。
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