JP4803382B2 - 振動特性推定方法及び振動特性推定装置 - Google Patents

振動特性推定方法及び振動特性推定装置 Download PDF

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Description

本発明は、建築物の振動特性(すなわち、質量、剛性及び減衰係数)を推定する振動特性推定方法及び振動特性推定装置に関する。
現在、多くの建築物が、地震による倒壊の危険性を孕んだまま残されている。よって、このような建築物に対して耐震性を確保するような改修(耐震改修)を施すことが必要とされている。このような耐震改修は、まず対象となる建築物(対象建築物)の振動特性、すなわち、質量、剛性及び減衰係数を推定し、次に、推定したこれらの振動特性に基づいて、この対象建築物の劣化の状況を把握して補強すべき部分を特定した後、この部分に対する改修を実際に行うことにより、実施される。
ここで、対象建築物の振動特性の推定は、具体的には、次に示す手法により実行される。すなわち、まず、対象建築物に加振することにより、この対象建築物の揺れ易い周期(固有周期)が、対象建築物の固有モードごとに抽出される。ここで、この固有周期は、その建物各階層の質量分布と各階層の剛性分布との比率によって表現される性質を有する。よって、所定の計算を用いてその階層の質量を推定することにより、上記比率からその階層の剛性もまた推定される。この結果、各階層についてその質量及び剛性が推定される。
しかしながら、上記のような従来の技術に係る振動特性の推定手法を用いた場合には、推定した質量の正確性によって、剛性の正確性が左右される。通常、建築物において、各階層の至るところに様々な物が分散して配置されており、しかも、その配置は、時間によって変化する。このような建築物において、各階層の質量を予め計算によって正確に推定することは、不可能である。よって、このような計算により推定された質量の精度ひいては剛性の精度もまた、低くなる。この結果、対象建築物における補強すべき部分も正確に特定されないため、対象建築物の耐震改修を適切に実施することすら不可能となる。
なお、対象建築物の振動特性を推定する手法として、特開2005−249687号公報に記載された手法が知られている。この手法では、物理的特性が可変な可変部を取り付けた被試験物を加振し、物理的特性を変化させることに応じて変化する被試験物の振動特性を、この被試験物に取り付けたセンサにより計測し、変化させた物理的特性及び測定した振動特性を用いて、被試験物の未知構造パラメターを含む構造マトリクスを同定するための線形行列方程式を構成し、この線形行列方程式を解くことにより、被試験物の未知構造パラメター(剛性や減衰等)が計算される。しかしながら、この手法を用いる場合には、被試験物の振動特性を測定するために、変位センサ及び角度センサをそれぞれ複数用意し、これらを被試験物における適切な位置に取り付ける必要がある。よって、この手法では、被試験物の振動特性を簡単かつ効率的に推定することができない。
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、対象建築物(被推定構造体)の振動特性を簡単かつ正確に推定する振動特性推定方法及び振動特性推定装置を提供することを目的とする。
本発明に係る振動特性推定方法は、複数の物理量により表現される少なくとも1つの単位構造体を含んだ被推定構造体の振動特性を推定する振動特性推定方法であって、第1値に設定した基準物理量を含む複数の物理量により表現される付加構造体が取り付けられた前記被推定構造体を振動させて第1振動状態にし、該第1振動状態を示す要素を測定する第1測定段階と、前記基準物理量を第2値に設定した付加構造体が取り付けられた前記被推定構造体を振動させて第2振動状態にし、該第2振動状態を示す要素を測定する第2測定段階と、前記第1振動状態を示す要素により生成される第1方程式と前記第2振動状態を示す要素により生成される第2方程式とを用いて、前記付加構造体が取り付けられた前記被推定構造体の運動を前記複数の物理量により表現した運動方程式を解くことにより、前記少なくとも1つの単位構造体を表現する前記複数の物理量を決定する決定段階と、
を含むことを特徴とする。
本発明に係る振動特性推定装置は、複数の物理量により表現される少なくとも1つの単位構造体を含んだ被推定構造体の振動特性を推定する振動特性推定装置であって、第1値に設定した基準物理量を含む複数の物理量により表現される付加構造体が取り付けられた前記被推定構造体の第1振動状態を示す要素、及び、前記基準物理量を第2値に設定した付加構造体が取り付けられた前記被推定構造体の第2振動状態を示す要素を入力する入力手段と、前記第1振動状態を示す要素により生成される第1方程式と前記第2振動状態を示す要素により生成される第2方程式とを用いて、前記付加構造体が取り付けられた前記被推定構造体の運動を前記複数の物理量により表現した運動方程式を解くことにより、前記少なくとも1つの単位構造体を表現する前記複数の物理量を決定する処理手段と、を具備することを特徴とする。
本発明によれば、この対象建築物(被推定構造体)の複数の振動状態の各々を示す要素を用いて複数の方程式を生成することにより、生成された複数の方程式において、含まれる方程式の総数を含まれる未知数の総数以上にすることができるので、この対象建築物の運動を表現する運動方程式を解くこと、すなわち、上記未知数を同時に決定することができる。これにより、対象建築物の振動特性を正確に推定することができる。
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1に係る振動特性推定アルゴリズム(剛性可変による固有円振動数の変化に基づく同定アルゴリズム)を用いることにより、被推定構造体の振動特性を推定できることを証明する。以下、本実施の形態に係る振動特性推定アルゴリズムを容易に理解できるようにするために、まず、被推定構造体が1自由度系によって表現される場合、すなわち、被推定構造体が3つの物理量により表現される1個の単位構造体によって表現される場合に、この被推定構造体の振動特性を推定できることを証明する。次に、被推定構造体がn自由度系によって表現される場合、すなわち、被推定構造体が3つの物理量により表現されるn個の単位構造体によって表現される場合に、この被推定構造体の振動特性を推定できることを証明する。
まず、被推定構造体が1自由度系により表現される場合について証明を行う。図1は、本発明の実施の形態1に係る振動特性推定アルゴリズムにより振動特性が推定される被推定構造体(1自由度系)を概念的に示す模式図である。
図1に示すように、被推定構造体100は、3つの物理量(質量、剛性及び減衰)により表現される1個の単位構造体101により表現される。具体的には、被推定構造体100は、概念的には、例えば、床やこの床の上に配置された家具等に相当する質量m1の物体が、地面103の上に壁や柱等に相当する剛体k1及び減衰c1を介して設けられた形式により表現される1個の単位構造体101によって、表現される。ここで、質量mとは、物体の重さや動きにくさに関係する、最も基本的な物理量であり、剛性kとは、建物の層間変形量に比例して生じる復元力という物理量を意味し、減衰cとは、建物の層間変形速度に比例して生じる復元力という物理量を意味する。
このように表現される被推定構造体100に対して、3つの物理量(質量m2、剛性k2及び減衰c2)により表現されるセンサであって、これら3つの物理量のうち少なくとも1つの物理量(基準物理量)を複数の値に変化させることができる可変センサ(可変構造体;付加構造体)102が、取り付けられる。これにより、可変センサ102と単位構造体101とを含む全体の構造体は2自由度系となる。なお、本実施の形態では、一例として、剛性k2を2つの値kL及びkHに変化させることができる可変センサ102が、被推定構造体100の上端に取り付けられる。
ここで、m1=10、k1=125、c1=2.5、m2=10、k2=(kL=100、kH=150)、c2=2.5である。
このような被推定構造体100が、可変センサ102における剛性k2をkLとした状態で加振されたときに1次モードの固有周期ω1L及び減衰定数h1Lが観測され、可変センサ102における剛性k2をkHとした状態で加振されたときに1次モードの固有周期ω1H及び減衰定数h1Hが観測された場合に、未知パラメターm1、k1、c1を同定することを考える。なお、被推定構造体100に対する加振は、一例として、被推定構造体100の例えば側面に取り付けられた加振機106が、被推定構造体100に対して加振することにより実現される。この加振機106は、波形発生器104により発生させられアンプ105により増幅された波形に応じた振動を被推定構造体100に対して与える。
(運動方程式)
図1に示す被推定構造体100に1自由度系の単位構造体101を付加した場合の運動方程式は、次の式(1)となる。
Figure 0004803382
f(t)は、加振機106による加振力である。また、M、C及びKは、それぞれ、質量、減衰及び剛性マトリクスである。
(固有方程式)
上記(1)の運動方程式に対応する固有方程式は、次の式(3)となる。
Figure 0004803382
この式(3)を上記式(2)と合わせて考えると、式(3)は次の式(4)となる。
Figure 0004803382
ここで、(m2λ2+c2+k2)=A、(c2λ+k2)=Bとおき、(c1+c2)=dとすると、上記式(4)は、次の式(4’)となる。
Figure 0004803382
(固有値及びモード固有周期・減衰定数)
上記式(3)を解くと、複素固有値λは次の式(5)となる。
Figure 0004803382
複素固有値λと円振動数ω及び減衰定数hとの関係は、次の式(6a)及び式(6b)により表現される。
Figure 0004803382
よって、上記式(6b)より、次の式(7)が得られる。
Figure 0004803382
以上のような被推定構造体100に対して加振実験を実施し、可変センサ102の剛性k2を2つの値kL及びkHの各々にした場合において、それぞれ、次のような1次モードの固有周期ωL1、ωH1及び減衰定数hL1、hH1が得られたと仮定し、未知のパラメターm1、c1、k1を求める。
ωL1=2.1113[rad/s]、hL1=0.0229
ωH1=2.2361[rad/s]、hH1=0.0215
なお、ここで、物理パラメターm2=10、c2=2.5、kL=100、kH=150は既知であるとする。
上記式(6a)により、次の式(8)及び式(9)が得られる。
Figure 0004803382
Figure 0004803382
上記式(9)を上記式(4’)に代入する。まず、A、Aλ、Aλ2及びBを計算する。
A=(m2λ2+c2λ+k2)、B=(c2λ+k2)より、次の式(10)が得られる。
AL1=10×(-0.0484±2.1108i)2+2.5×(-0.0484±2.1108i)+100=55.3477±3.2337i
∴AL1×λL1=(55.8477±3.2337i)×(-0.0484±2.1108i)=-9.5046±116.67i
∴AL1×λL1 2=-245.81±25.709, BL1={2.5×(-0.0484±2.1108i)+100}2=9948.0±1054.1i
∴BL1-AL1kL=4413.2±730.75i (10)
2=kH1の場合についても同様に計算すると、次の式(11)が得られる。
AH1=99.9238±3.4384i, AH1λH1=-12.493±223.22i, AH1λH1 2=-498.44±38.667i,
BH1=22433±1675.4i, BH1-AH1kH=7444.1±1159.6i (11)
上記式(10)を上記式(4)に代入すると、次の式(12)が得られる。
(-245.81±25.709i)m1+(-9.5046±116.67i)d+(55.3477±3.2337i)k1
=4413.2±730.75i (12)
上記式(12)において実部と虚部とが等しくなることから、これらを分けてマトリクス表示をすると、次の式(12’)が得られる。
Figure 0004803382
上記式(12’)では、3つの未知数m1,d,k1に対して、2つの式しか存在しないので、これらの未知数を決定することができない。しかしながら、k2=kHの場合の上記(11)式を上記(4’)に代入することにより、次の式(13)に示す新たな固有方程式のマトリクス表示が得られる。
Figure 0004803382
上記式(12’)及び上記式(13)とを連立させることにより、次の式(14)が得られる。
Figure 0004803382
上記式(14)を解くと、m1=10.0、d=5.0、k1=125.0が得られる。
また、c1+c2=dにおいて、c2=2.5は既知であるので、c1=d−c2=2.5となる。以上より、m1=10.0、c1=2.5、k1=125.0を求めることができる。
以上、被推定構造体が1自由度系により表現される場合について証明した。
次に、被推定構造体がn自由度系により表現される場合について、図2を参照して証明を行う。図2は、本発明の実施の形態1に係る振動特性推定アルゴリズムにより振動特性が推定される被推定構造体(n自由度系)を概念的に示す模式図である。なお、図2に示す構成要素のうち図1に示したものと同様の構成要素については、図1におけるものと同一の符号を付して、詳細な説明を省略する。
図2に示すように、被推定構造体200は、各々が3つの物理量(質量、剛性及び減衰)により表現される単位構造体を複数(単位構造体201−1〜201−n)含んだ構造体により表現される。具体的には、被推定構造体200は、概念的には、質量m1の物体が、地面103の上に剛体k1及び減衰c1を介して設けられた形式により表現される単位構造体201−1と、この単位構造体201−1の上に剛体k2及び減衰c2を介して設けられた形式により表現される単位構造体201−2と、同様に単位構造体201−(n−1)の上に剛体kn及び減衰cnを介して設けられた形式により表現される単位構造体201−nとを含む、n個の単位構造体により表現される。
このように表現される被推定構造体200に対して、3つの物理量(質量mk、剛性kk及び減衰ck)により表現される構造体であって、これら3つの物理量のうち少なくとも1つを複数の値に変化させることができる可変センサ102が、取り付けられる。これにより、可変センサ102とn個の単位構造体とを含む全体の構造体はn+1自由度系となる。
図2に示す被推定構造体200に可変剛性を有する1自由度系(可変センサ102)を付加した場合の運動方程式は、次の式(15)となる。
Figure 0004803382
f(t)は、加振機106による加振力である。また、M、C及びKは、それぞれ、質量、減衰及び剛性マトリクスであり、図1の場合には、次の式(17)のように表される。
Figure 0004803382
上記式(17)中、添え字がkである要素は、可変センサ102のものであり既知の値である。したがって、マトリクスに含まれる物理パラメターのうち未知のものは各n個のm,c,kであり、未知数の合計は3nである。ここでは、まず可変センサの剛性をkk=k1として、加振実験等により、i次モードの減衰固有円振動数iω及び減衰定数ihがr個(最大n+1個)求められたとする。すると、上記式(15)の系の固有値λと減衰固有円振動数ω及び減衰定数hの関係は、次の式(18a)〜(18c)により表現される。
Figure 0004803382
上記式(18a)〜(18c)のうち式(18b)から、r組の共役な複素固有値iλを決定することができる。この値を次の式(19)に示す固有値の特性方程式に代入することにより、r組の式を得ることができる。
Figure 0004803382
上記式(19)は、剛性マトリクスK、減衰マトリクスC、及び、質量マトリクスMのみの式であり、これに関係する未知パラメターは各n個のm,k,cすなわち3n個である。これに対し、加振実験で得られたr個(最大n+1個)の減衰固有円振動数ω及び減衰定数hから上記式(18)で計算される複素固有値を上記式(19)に代入したr個の式は、数値が複素数であることから、実部と虚部をそれぞれ別々に考え、実際には2r個の式となる。rの最大値はn+1であるから、式の数は結局最大で2(n+1)個となる。よって、自由度nが2以上の場合には、常に3n>2(n+1)となって未知数の総数が式の総数を上回るため、未知数を決定することができない。
そこで、可変センサ102の剛性をkk=k2と変更し、新たな加振実験を追加し、s個(sの最大値もn+1)のj次モードの固有円振動数jΩ及び減衰定数jHが得られ、これらからs組の共役な複素固有値jλを決定することができ、これに対応する新たな固有値の特性方程式として、次の式(20)に示す式をs組得ることができる。
Figure 0004803382
このように、固有値の特性方程式の数を、特性方程式に関係する未知パラメターm,k,cの合計数の3n個より大きくすることにより、m,k,cを決定することができるようになる。
以上、被推定構造体がn自由度系により表現される場合について証明した。
次に、本実施の形態に係る振動特性推定アルゴリズムを用いた振動特性推定方法について、図2に加えて図3を参照して説明する。図3は、本発明の実施の形態1に係る振動特性推定アルゴリズムを用いた振動特性推定方法を示すフロー図である。なお、この図3においては、図2に示した被推定構造体200が推定の対象とされている。
まず、ステップ(以下「ST」という。)301において、可変センサ102の剛性を示す変数であるiが1に設定され、固有値を代入することにより得られる特性方程式の総数を示す変数であるtが0に設定される。ST302では、可変センサ102の剛性kkとしてkiすなわちここではk1(第1値)が用いられる。
ST303では、加振機106が被推定構造体200に対して加振を実施する。具体的には、加振機106は、スイープ加振(高い周期から低い周期にわたる正弦波を有する振動を被推定構造体200に対して与える加振)やホワイトノイズ加振(幅広い周波数成分を有する振動を被推定構造体200に対して与える加振)等を被推定構造体200に対して実施する。
ST304では、実施されている加振によって振動している状態(第1振動状態)にある被推定構造体200のr個の固有円振動数ω及び減衰定数h(すなわち、第1振動状態を示す要素)が、測定される。すなわち、単位構造体201−1〜201−nのそれぞれに対応する固有円振動数ω及び減衰定数hが、測定される。
これら固有円振動数ω及び減衰定数hの測定は、例えば、以下に示すような手法により実行することができる。すなわち、まず第1に、加振実験結果の入出力関係から得られた周波数応答に対し、個々の周波数ピークから固有周期を直接読み取り、其のピーク周りの応答形状から(山の傾斜から)減衰定数を読み取るハーフパワー法や、理論的な周波数応答関数を最小二乗法などでフィッテングして固有周期と減衰定数を求めるカーブフィット法を用いることができる。
ここで、「加振実験結果の入出力関係」における「入力」は、アンプ105から加振機106に入力される信号f(t)である。
また、「加振実験結果の入出力関係」における「出力」は、最も好ましくは、質量mkの質量mnに対する相対変位(xk−xn)及び質量mkの絶対加速度のうち少なくとも一方である。この相対変位及び絶対加速度の詳細については、後述の実施の形態2において詳細に説明する。なお、「加振実験結果の入出力関係」における「出力」の別の例としては、ある層と別の層との間における相対変位や相対速度・相対加速度等が挙げられる。
このように与えられる「入力」及び「出力」を用いて周波数応答を得ることは、当業者にとって周知な事項であるので、その詳細な説明については省略する。
第2に、加振実験で得られた入出力データに対して何からの処理を施すことにより、この入出力データから自由振動波形を抽出し、抽出した自動振動波形からモード特性を読み取る方法を用いることができる。この手法としては、入力がホワイトノイズである場合に応答の自己相関関数が自由振動波形に相似する性質を利用した相関法や、応答の時刻歴波形を時刻ゼロでピークとなる多数の小領域に分割し、これらを重ね合わせることでランダムな外力による強制振動成分を消去し、自由振動成分を抽出するRandom Decrement法を適用することもできる。
ST305では、ST304において測定された固有円振動数ω及び減衰定数hを用いて、上記式(18)から、r組の共役複素固有値λが算出される。
ST306では、ST305において算出されたr組の共役複素固有値λに対する、r組の固有値の特性方程式を、上記式(19)から求める。
ST307では、固有値を代入することにより得られる特性方程式の総数を示す変数であるtに対して、ST306において得られた特性方程式の総数2rが加えられる。
ST308では、現時点で得られている特性方程式の総数がこの特性方程式に関する未知数の総数3n以上である、という条件が満たされているか否かが判断される。
この条件が満たされていない場合には、これら未知数を決定することができないので、可変センサの剛性を変化させるべく変数iに1が加えられた後、処理は、上述したST302に戻る。この後、ST302〜ST306において上述したものと同様の処理が実行されることにより、可変センサ102の剛性kkとしてki+1すなわちここではk2(第2値)が用いられ、新たなr個の固有円振動数ω及び減衰定数h(すなわち、第2振動状態を示す要素)が測定され、新たなr組の共役複素固有値λが算出され、新たなr組の特性方程式が得られる。この時点において、得られた特性方程式の総数が、前回(kk=k1の場合)に比べて2倍に増加することになる(ST307)。
ここで、ST308に示した条件が満たされる場合には、上記未知数を決定することができる状態になったので、処理は、ST309に移行する。
ST309では、現時点で得られているすべての特性方程式を連立させた式から、未知数m、k、cを決定することができる。この結果、ST310では、上記式(17)から、質量マトリクスM、剛性マトリクスK、減衰マトリクスCを確定することができる。
次に、本実施の形態に係る振動特性推定アルゴリズムを用いた振動特性推定方法に用いることができる振動特性推定装置の一例について説明する。
本実施の形態に係る振動特性推定装置は、例えば、設定値及び測定値を入力する入力部と、入力部により入力された設定値及び測定値を記憶する記憶部と、記憶部により記憶された設定値及び測定値を用いて本実施の形態に係る振動特性推定アルゴリズムを実行することにより、被推定構造体200の振動特性を決定する処理部と、により構成される。
このような構成を有する振動特性推定装置では、入力部が、設定値として、可変センサ102に用いられうる剛性kkを複数入力する。また、入力部は、設定値として、可変センサ102の質量mk及び減衰ckを入力する。さらには、入力部は、設定値として、被推定構造体200の自由度すなわち被推定構造体200に含まれる単位構造体の数(図2の被推定構造体200の場合には、自由度n)を入力する。これらの設定値は、例えば、振動特性推定装置の操作者によりキーボードを介して入力される。このように入力部により入力された設定値は、記憶部に記憶される。
さらに、測定値に関しては、入力部は、加振機106に接続されており、アンプ105からこの加振機106に入力される信号(f(t))を加振機入力(入力データ)として入力する。また、入力部は、測定値として、可変センサ102の質量mkの絶対加速度応答及び可変センサ102を取り付けられた単位構造体(図2では単位構造体201−n)と可変センサ102との間の相対変位(xk−xn)のうち少なくとも一方を入力する。なお、これら絶対加速度応答及び相対変位については、後述の実施の形態2において詳細に説明する。
これらの測定値もまた、記憶部により記憶される。
以上のような設定値及び測定値が、記憶部に記憶された後、或いは、記憶部に記憶されることと並行して、処理部は、図3において説明したST304〜ST310における処理を、例えば記憶部に記憶されたコンピュータプログラムに従って実行することにより、すべての未知数を決定することができる。
なお、ST304において説明した固有円振動数及び減衰定数の抽出については、振動特性推定装置の外部で抽出する構成を採用することもできる。この場合には、振動特性推定装置は、外部において抽出された固有円振動数及び減衰定数を、入力部から入力して記憶部に記憶すればよい。
このように、本実施の形態に係る振動特性推定アルゴリズムによれば、まず、基準物理量(本実施の形態では「剛性」)を含む3つの物理量により表現される可変センサを被推定構造体に取り付けた上で、基準物理量を第1値に設定した可変センサが取り付けられた被推定構造体を振動させて第1振動状態にし、この第1振動状態を示す要素である固有円振動数及び減衰定数を測定し、この固有円振動数及び減衰定数を用いて得られる固有値を、可変センサを取り付けた被推定構造体の動作を表現する運動方程式に対応する固有値の特性方程式に代入することにより、第1方程式が得られる。この第1方程式において、3つの物理量に関する未知数の総数が方程式の総数より大きいことに起因して、これらの未知数を決定することができない場合には、さらに、基準物理量を第2値に設定した可変センサが取り付けられた被推定構造体を振動させて第2振動状態にし、第2振動状態を示す要素である固有円振動数及び減衰定数を測定し、この固有円振動数及び減衰定数を用いて得られる固有値を、可変センサを取り付けた被推定構造体の動作を表現する運動方程式に対応する固有値の特性方程式に代入することにより、新たな方程式(第2方程式)が得られる。よって、第1方程式と第2方程式とを連立した方程式において、方程式の総数をこの方程式に関係する未知数の総数より大きくすることにより、これら未知数を決定することができる。なお、依然として、方程式の総数が、この方程式に関係する未知数の総数より小さい場合には、第x−1方程式と第x方程式とを連立した方程式において、方程式の総数がこの方程式に関係する未知数の総数より大きくなるまで、基準物理量を第x値に設定した可変センサが取り付けられた被推定構造体を振動させて第x振動状態にして同様な処理を実行することにより、最終的には、すべての未知数を決定することができる。このことは、上述したように、被推定構造体が1自由度系である場合に限られず、被推定構造体がn自由度系である場合にも当てはまる。以上のようにして、被推定構造体の振動特性を推定することができる。
被推定構造体の自由度が高いことによって同定すべき未知数が多い場合には、被推定構造体に付加した可変センサの剛性をさらに変更して加振実験を新たに実行することにより、或いは、被推定構造体に対して複数の可変センサを付加し、これら複数の可変センサの剛性を順次変更して加振実験を実行することにより、必要な数だけ固有値の特性方程式を得て、被推定構造体の振動特性を推定することができる。
上記実施の形態では、最も好ましい形態として、加振機により加振が与えられている状態にある被推定構造体の固有円振動数及び減衰定数を測定する場合について説明したが、本発明は、実際に発生する地震により加振が与えられている状態にある被推定構造体の固有円振動数及び減衰定数を測定する場合にも適用することができるものである。
なお、上記実施の形態では、最も好ましい形態として、付加構造体(可変構造体)102を被推定構造体200に取り付けた状態において、この付加構造体102における基準物理量を例えば剛性k1から剛性k2に変化させる場合について説明した。しかしながら、基準物理量(例えば剛性)のみが異なり他の物理量が同一である複数の付加構造体を用意し、これら複数の付加構造体を被推定構造体200に順次取り付け、それぞれの場合について加振を実施することによっても、同様の結果を得ることができる。
(実施の形態2)
本実施の形態では、上述した実施の形態1で用いたものとは異なる振動特性推定アルゴリズムを用いて被推定構造体の振動特性を推定する場合について説明する。
まず、実施の形態2に係る振動特性推定アルゴリズム(時刻歴応答と状態空間モデルを用いた同定アルゴリズム)を用いることにより、被推定構造体の振動特性を推定できることを証明する。
図4は、本発明の実施の形態2に係る振動特性推定アルゴリズムにより振動特性が推定される被推定構造体を概念的に示す模式図である。なお、図4に示す構成要素のうち図2に示したものと同様の構成要素については、図2におけるものと同一の符号を付して、詳細な説明を省略する。
図4に示すように、被推定構造体200は、実施の形態1と同様に、各々が3つの物理量(質量、剛性及び減衰)により表現される単位構造体を複数(単位構造体201−1〜200−n)含んだ構造体により表現される。ここで、単位構造体201−1の質量m1と地面103との間の距離はx1により表現され、単位構造体201−2の質量m2と地面103との間の距離はx2により表現され、同様に、単位構造体201−nの質量mnと地面103との間の距離はxnにより表現される。
この被推定構造体200に対して、3つの物理量(質量mk、剛性kk及び減衰ck)により表現される構造体であって、これら3つの物理量のうち少なくとも1つの物理量(基準物理量)を複数の値に変化させることができる可変センサ401が、取り付けられる。これにより、可変センサ401とn個の単位構造体とを含む全体の構造体はn+1自由度系となる。ここで、可変センサ401と地面103との間の距離はxkにより表現される。
この可変センサ401は、上述した実施の形態1における可変センサ102と基本的に同様の構成を有するが、質量mkの質量mnに対する相対変位(xk−xn)を計測する計測部、及び、質量mkの絶対加速度を計測する計測部を備える点において、可変センサ102と相違する。
なお、図4における加振機106は、簡略化のために図示されてはいないが、実施の形態1における加振機106と同一の構成を有しており、波形発生器104により発生させられアンプ105により増幅された波形に応じた振動を被推定構造体200に対して与える。
まず、可変センサ401の剛性がkkがk1の場合に、状態量を次の式(21)のようにおく。
Figure 0004803382
ここで、図4に示した可変センサ401を取り付けた被推定構造体200は、図2に示した被推定構造体200と同一の構造を有するので、実施の形態1で用いた式(15)〜(17)は、図4に示した可変センサ401を取り付けた被推定構造体200についても成り立つ。
よって、上記式(21)に示す状態方程式は、次の式(22)により表現される。
Figure 0004803382
なお、上記式(23)における1f(t)は、加振機106に対する入力(すなわち、被推定構造体に与えられる振動を表現する関数)である。
可変センサ401での観測条件に応じて、次の式(24)に示す観測方程式をたてる。
Figure 0004803382
観測量を可変センサ401のセンサ応答のみとし、可変センサ401の質量の応答加速度及び設置位置との相対変位とすると、上記式(24)に示した観測方程式は、次の式(25)により表現される。
Figure 0004803382
通常、このようにして作成された状態空間モデル式(22)および式(24)を用い、各種の同定アルゴリズムによりモデルパラメターの同定を実施するが、本問題では、実施の形態1において述べたように、同定パラメター数に対してこれらの関係式の数が少ないため、個々のパラメターを決定することができない。
そこで、可変センサ401(付加1自由度系)の剛性をk1からk2に変更して、新たな加振実験を行う。この場合、状態量は、次の式(27)により表現される。
Figure 0004803382
状態方程式は、次の式(28)により表現される。
Figure 0004803382
上記式(29)における2f(t)は、加振機106に対する入力(すなわち、被推定構造体に与えられる振動を表現する関数)である。
観測方程式は、次の式(30)により表現される。
Figure 0004803382
次に、式(22)及び式(24)で表されている状態空間モデルと、式(28)及び式(30)で表されている状態空間モデルとを結合した新たな状態空間モデルを考えると、この新たな状態空間モデルは、次の式(33)により表現される。
Figure 0004803382
ここに、状態量及び観測量は、次の式(34)により表現される。
Figure 0004803382
状態空間モデルの各マトリクスは、次の式(35)により表現される。
Figure 0004803382
上記式(33)に示した状態空間モデルは、上記式(22)及び上記式(24)で表されている状態空間モデルと、上記式(28)及び上記式(30)で表されている状態空間モデルと同じ数の未知パラメターを持つが、式数が倍化しておりより多数の未知数を決定できる。この状態で、まだ未知パラメター数が多く式数が不足する場合には、さらに可変センサ401の剛性を変化させ、より式数の多い状態空間モデルを作ることができる。このように作成された状態空間モデルから、各種の同定アルゴリズムにより剛性、減衰、質量の同時推定が可能となる。
次に、本実施の形態に係る振動特性推定アルゴリズムを用いた振動特性推定方法について、図4に加えて図5を参照して説明する。図5は、本発明の実施の形態2に係る振動特性推定アルゴリズムを用いた振動特性推定方法を示すフロー図である。なお、この図5においては、図4に示した被推定構造体200が推定の対象とされている。
まず、ST501において、可変センサ401の剛性kkとしてk1(第1値)が用いられる。ST502では、実施の形態1(図3におけるST303)と同様に、加振機106が被推定構造体200に対して加振を実施する。これにより、可変センサ401が取り付けられた被推定構造体200は、第1振動状態に移行する。ST503では、加振機106により被推定構造体200に対して与えられている信号(1f(t))、及び、センサ応答(すなわち、可変センサ401の質量mkの応答加速度、及び、可変センサ401の質量mkの質量mnに対する相対変位)が、所定の時間について収集される。すなわち、加振機入力、及び、センサ応答の時刻歴データ(第1振動状態を示す要素)が収集される。
ST504では、可変センサ401の剛性kkをk1とした状態における(可変センサ401が取り付けられた)被推定構造体200の状態空間モデルが、上記式(22)及び上記式(24)に基づいて作成される。
ST504において作成された状態空間モデルでは、このモデルに含まれる方程式の総数が、このモデルに含まれる未知数(m,k,c)の総数より小さいため、これら未知数を決定することができない。よって、得られる状態空間モデルに含まれる方程式の数を増加させてこれら未知数を決定することができるようにするために、可変センサ401の剛性kkをk1から例えばk2に変化させた状態で、以下に示すように新たな加振実験が実行される。
ST505では、可変センサ401の剛性kkとしてk1に代えてk2(第2値)が用いられる。ST506では、ST502と同様に、加振機106が被推定構造体200に対して加振を実施する。これにより、可変センサ401が取り付けられた被推定構造体200は、第2振動状態に移行する。ST507では、加振機106により被推定構造体200に対して与えられている信号(2f(t))、及び、センサ応答(すなわち、可変センサ401の質量mkの応答加速度、及び、可変センサ401の質量mkの質量mnに対する相対変位)が、所定の時間について収集される。すなわち、加振機入力、及び、センサ応答の時刻歴データ(第2振動状態を示す要素)が収集される。
ST508では、可変センサ401の剛性kkをk2とした状態における(可変センサ401が取り付けられた)被推定構造体200の状態空間モデルが、上記式(28)及び上記式(30)に基づいて作成される。
ST509では、ST504において作成された状態空間モデルと、ST508において作成された状態空間モデルとを結合して、上記式(33)に示したような新たな状態空間モデルが作成される。この新たな状態空間モデルでは、このモデルに含まれる方程式の総数が、ST504において作成された状態空間モデルに含まれる方程式の総数の2倍に増加されている。よって、この新たな状態空間モデルでは、このモデルに含まれる方程式の総数がこのモデルに含まれる未知数の総数以上となる。この結果、ST510では、この新たな状態空間モデルから、剛性、減衰及び質量が、各種同定アルゴリズムに従って同時に推定される。
なお、上述したように、ST509において作成された新たな状態空間モデルにおいても、依然として、このモデルに含まれる方程式の総数がこのモデルに含まれる未知数の総数より小さい場合には、新たに作成される状態空間モデルにおいて、このモデルに含まれる方程式の総数がこのモデルに含まれる未知数の総数以上となるまで、上述したST506〜ST509を繰り返し実行することにより、最終的には、すべての未知数を同時に決定することができる。
次に、本実施の形態に係る振動特性推定アルゴリズムを用いた振動特性推定方法に用いることができる振動特性推定装置の一例について説明する。
本実施の形態に係る振動特性推定装置は、例えば、設定値及び測定値を入力する入力部と、入力部により入力された設定値及び測定値を記憶する記憶部と、記憶部により記憶された設定値及び測定値を用いて本実施の形態に係る振動特性推定アルゴリズムを実行することにより、被推定構造体200の振動特性を決定する処理部と、により構成される。
このような構成を有する振動特性推定装置では、入力部が、設定値として、可変センサ401に用いられうる剛性kkを複数入力する。また、入力部は、設定値として、可変センサ401の質量mk及び減衰ckを入力する。さらには、入力部は、設定値として、被推定構造体200の自由度の数(図4の被推定構造体200の場合には、自由度n)を入力する。これらの設定値は、例えば、振動特性推定装置の操作者によりキーボードを介して入力される。このように入力部により入力された設定値は、記憶部に記憶される。
さらに、測定値に関しては、入力部は、加振機106に接続されており、アンプからこの加振機106に入力される信号(f(t))を加振機入力として入力する。また、入力部は、所定時間において可変センサ401により測定されるセンサ応答(すなわち、可変センサ401の質量mkの応答加速度、及び、可変センサ401の質量mkの質量mnに対する相対変位)を、センサ応答の時刻歴データとして入力する。これらの測定値もまた、記憶部により記憶される。
以上のような設定値及び測定値が、記憶部に記憶された後、或いは、記憶部に記憶されることと並行して、処理部は、図5において説明したST504、ST508〜ST510における処理を、例えば記憶部に記憶されたコンピュータプログラムに従って実行することにより、すべての未知数を決定することができる。なお、この処理部は、ST509において作成された新たな状態空間モデルにおいてこのモデルに含まれる方程式の総数がこのモデルに含まれる未知数の総数以上であるか否かの判断を行うとともに、この条件が満たされるまで、ST508及びST509における処理を実行することができる。
次に、本実施の形態に係る振動特性推定アルゴリズムを用いた振動特性推定方法に関する実験結果について説明する。
1自由度モデルの被推定構造体(すなわち図4においてnを1とした被推定構造体)に対して可変センサ401を付加した場合について実験を行った。固有周期ωは1秒であり、減衰定数hは0.02である。加振機による入力はランダム波入力である。
このような条件の元、実際に構造物に本実施の形態に係る可変センサを付加することを想定して、観測データにノイズが混入した場合について実験を行った。この実験の結果は、次の表1に示す通りである。
Figure 0004803382
なお、上記表1中の推定値の精度に対する評価基準として、次の表2に示す基準が用いられている。
Figure 0004803382
表1において、可変センサ401の相対変位(すなわちxk−x1)、及び、可変センサ401の絶対加速度が、観測量として観測された。横軸には、混入されるノイズのレベルがSN比1%、SN比5%及びSN比10%である場合の3パターンが、示されている。さらに、これら3パターンの各々について、ノイズを可変センサ401の入力データ(入力部)のみに混入した場合(表中において「入力」と表示)、ノイズを可変センサ401の応答データ(出力部)のみに混入した場合(表中において「出力」と表示)、及び、ノイズを可変センサ401の入力データ及び応答データの両方に混入した場合(表中において「入出力」と表示)における推定値の精度が示されている。
縦軸には、被推定構造体の固有周期よりも短い固有周期を有する可変センサ401を用いた場合(表中において「短周期」と表示)、被推定構造体の固有周期よりも長い固有周期を有する可変センサ401を用いた場合(表中において「長周期」と表示)、及び、被推定構造体と略同一の固有周期を有する可変センサ401を用いた場合(表中において「同調」と表示)の3パターンが示されている。さらに、これら3パターンの各々について、被推定構造体に対する可変センサの質量比(mk/m1)を0.1、0.01、0.001、0.0001の4パターンにした場合における推定値の精度が示されている。
この表から明らかなように、まず第1に、質量比が大きい程、すなわち、可変センサ401の質量が被推定構造体の質量に近いほど、推定値の精度が高くなっている。よって、可変センサは、その質量が被推定構造体の質量に近くなるように構成することが望ましい。特に、可変センサは、その質量が被推定構造体の質量の約0.01倍以上となるように構成することが好ましく、さらに、その質量が被推定構造体の質量の約0.1倍以上となるように構成することがより好ましい。
第2に、短周期又は同調の場合、すなわち、可変センサ401の固有周期を被推定構造体の固有周期より短くした場合又は可変センサ401の固有周期を被推定構造体の固有周期と略同一とした場合には、可変センサ401の固有周期を被推定構造体の固有周期より長くした場合に比べて、推定値の精度が高くなっている。よって、可変センサ401は、その固有周期が被推定構造体の固有周期より短くなるように構成するか、又は、その固有周期が被推定構造体の固有周期と略同一となるように構成することが望ましい。
第3に、可変センサ401に混入されるノイズは、全体的に、最小限にすることが望ましい。さらに、信号に対するノイズの量が小さい場合には、そのノイズが可変センサ401に入力される入力データに混入された場合の推定値と、そのノイズが可変センサ401からの応答データに混入される場合の推定値との間において、大きな相違は見られない。ところが、信号に対するノイズの量が大きくなるにつれて、そのノイズが可変センサ401に入力される入力データに混入された場合の推定値は、そのノイズが可変センサ401からの応答データに混入される場合の推定値よりも、精度が低くなる傾向が見られる。よって、ノイズ(特に大きなノイズ)が可変センサに入力される入力データに混入されないようにすることが望ましい。
このように、本実施の形態に係る振動特性推定アルゴリズムによれば、まず、基準物理量(本実施の形態では「剛性」)を含む3つの物理量により表現される可変センサを被推定構造体に取り付けた上で、基準物理量を第1値に設定した可変センサが取り付けられた被推定構造体を振動させて第1振動状態にし、この第1振動状態を示す要素である、第1振動状態における被推定構造体に対する付加構造体の相対変位と第1振動状態における付加構造体の絶対加速度とを測定し、これらの要素と被推定構造体に与えられる振動を表現する関数とを用いて、第1振動状態における状態空間モデルを表現する第1方程式が生成される。この第1方程式において、3つの物理量に関する未知数の総数が、方程式の総数より大きいことに起因して、これらの未知数を決定することができない場合には、さらに、基準物理量を第2値に設定した可変センサが取り付けられた被推定構造体を振動させて第2振動状態にし、第2振動状態を示す上記要素を測定し、これらの要素と被推定構造体に与えられる振動を表現する関数とを用いて、第2振動状態における状態空間モデルを表現する第2方程式が生成される。よって、第1方程式と第2方程式とを連立した方程式において、この連立した方程式に含まれる方程式の総数を、この方程式に関係する未知数の総数以上にすることにより、これらの未知数を決定することができる。なお、依然として、方程式の総数が、この方程式に関係する未知数の総数より小さい場合には、第x−1方程式と第x方程式とを連立した方程式において、方程式の総数がこの方程式に関係する未知数以上となるまで、基準物理量を第x値に設定した可変センサが取り付けられた被推定構造体を振動させて第x振動状態にして同様な処理を実行することにより、最終的には、すべての未知数を決定することができる。このことは、上述したように、被推定構造体が1自由度系である場合に限られず、被推定構造体がn自由度系である場合にも当てはまる。以上のようにして、被推定構造体の振動特性を推定することができる。
本発明によれば、例えば被推定構造体に含まれる単位構造体の各々に対して専用のセンサを取り付けることなく、単に、各振動状態における付加構造体に対する被推定構造体の相対変位及び前記付加構造体の絶対加速度を測定するのみにより、コストを抑えつつ被推定構造体の振動特性を正確に推定することができる。
次に、本発明と特開2005−249687号公報に記載された技術(以下「従来技術」という。)との主な相違点について説明する。
まず第1に、従来技術では、次の式(A)に示す基礎式に基づいて未知パラメータが同定される。
Figure 0004803382
一方、本発明では、このような基礎式は必要とされず、図3(実施の形態1)又は図5(実施の形態2)を示して説明したアルゴリズムを用いて、未知パラメターが同定される。すなわち、対象建築物の振動特性を推定するために、本発明と従来技術との間において、全く異なるアルゴリズムが用いられる。
第2に、従来技術では、未知パラメターの推定に必要となる振動特性すなわち固有振動数を測定するために、対象建築物に対して複数の変位センサ及び角度センサ(図1における変位センサ4及び角度センサ5、図6における変位センサ4)を取り付けることが必要とされる。具体的には、例えば、対象建築物が図2に示したような被推定構造体200である場合には、この被推定構造体200を構成するn個の単位構造体の各々に対して、専用の変位センサ及び角度センサをそれぞれ取り付ける必要がある。この結果、この従来技術を用いる場合には、未知パラメターを簡単かつ効率的に推定することは困難である。この問題は、対象建築物の構造が複雑になるほど(上記例では、被推定構造体200を構成する単位構造体の数nが大きくなるほど)、顕著となる。
一方、本発明の実施の形態2では、未知パラメターを推定するために必要とされるセンサ応答、すなわち、対象建築物における任意の場所に取り付けられた1つの可変センサの該対象建築物に対する相対変位、及び、可変センサの絶対加速度は、この可変センサのみに設けられたセンサにより測定することができる。よって、実施の形態2では、従来技術のような複数のセンサを取り付ける必要はない。これは、対象建築物の構造が複雑になっても当てはまることである。
他方、本発明の実施の形態1では、未知パラメターを推定するために必要とされる固有円振動数及び減衰定数は、加振機に対する入力と、上記相対変位及び絶対加速度のうちの少なくとも一方とを測定することにより決定される。よって、実施の形態1においても、従来技術のような複数のセンサを取り付ける必要がない。これは、対象建築物の構造が複雑になっても当てはまることである。
以上のように、本発明によれば、対象建築物の構造とは無関係に未知パラメターを簡単かつ効率的に推定することができる。
第3に、従来技術では、対象建築物に対する加振として定常加振を用いること、すなわち、対象建築物に対して与えられる加振波として正弦波を用いること)が前提とされている。一方、本発明では、対象建築物に対する加振について限定はなく、対象建築物に対して任意の加振波を用いることができる。
第4に、従来技術の図6に示される手法では、粘性係数を変化させることができる可変粘性デバイス(図6において符号「21」が付されている)が必要とされる。この粘性デバイスは、図6に示されるように、対象建築物2と固定部との間に位置するように、この対象建築物2の端部に設置される。よって、このような手法を用いて未知パラメターを同定するためには、対象建築物2と固定部との間に適切なスペックを有する可変粘性デバイスを予め組み込んでおくか、又は、このような可変粘性デバイスを設置する工事を実施する必要がある。この結果、従来技術のこの手法を用いる場合には、簡単かつ効率的に未知パラメターを同定することは困難となる。
一方、本発明では、一例として剛性を可変とする付加構造体102(1自由度系)を対象建築物における任意の位置に取り付けることが必要とされるのみである。さらに、上記表1に示した実験結果から明らかなように、ノイズがなければ、この付加構造体102のサイズを非常に小さくした場合(例えば、対象建築物の1万分の1程度:表1における質量比「0.0001」)でも、十分に精度の高い同定が可能である。さらには、たとえノイズが混入した場合でも、適切な付加構造体102(例えば、表1における質量比「0.001〜0.01」以上、適切な固有周期)を採用すれば、十分な精度により同定することが可能である。
以上のように、本発明によれば、従来技術に比べて遥かに簡単かつ効率的に、未知パラメターを推定することができる。
本発明の実施の形態1に係る振動特性推定アルゴリズムにより振動特性が推定される被推定構造体(1自由度系)を概念的に示す模式図。 本発明の実施の形態1に係る振動特性推定アルゴリズムにより振動特性が推定される被推定構造体(n自由度系)を概念的に示す模式図。 本発明の実施の形態1に係る振動特性推定アルゴリズムを用いた振動特性推定方法を示すフロー図。 本発明の実施の形態2に係る振動特性推定アルゴリズムにより振動特性が推定される被推定構造体を概念的に示す模式図。 本発明の実施の形態2に係る振動特性推定アルゴリズムを用いた振動特性推定方法を示すフロー図。
符号の説明
101、201−1〜201−n 単位構造体
102、401 可変センサ(付加構造体、可変構造体)
106 加振機

Claims (17)

  1. 質量、剛性及び減衰を含む複数の物理量により表現される少なくとも1つの単位構造体を含んだ被推定構造体の振動特性を推定する振動特性推定方法であって、
    各々が既知である質量、剛性及び減衰を含む複数の物理量により表現され、該複数の物理量のうちの1つの物理量を基準物理量として第1値に設定した可変センサが取り付けられた前記被推定構造体を、加振機を用いて振動させて第1振動状態にし、該第1振動状態を示す要素を測定する第1測定段階と、
    各々が既知である質量、剛性及び減衰を含む複数の物理量により表現され、該複数の物理量のうちの前記1つの物理量を基準物理量として前記第1の値とは異なる第2値に設定した可変センサが取り付けられた前記被推定構造体を、前記加振機を用いて振動させて第2振動状態にし、該第2振動状態を示す要素を測定する第2測定段階と、
    前記第1振動状態を示す要素により生成される第1方程式と前記第2振動状態を示す要素により生成される第2方程式とを用いて、前記可変センサが取り付けられた前記被推定構造体の運動を前記複数の物理量により表現した運動方程式を解くことにより、前記少なくとも1つの単位構造体を表現する前記複数の物理量を決定する決定段階と、
    を含むことを特徴とする振動特性推定方法。
  2. 生成される前記第1方程式から第n方程式までの方程式の総数が前記運動方程式に含まれる未知の物理量の総数以上となるまで、前記基準物理量を第n値に設定した可変センサが取り付けられた前記被推定構造体を振動させて第n振動状態にし、該第n振動状態を示す要素を測定する第n測定段階、
    をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の振動特性推定方法。
  3. 前記第1測定段階が、前記第1振動状態を示す要素として、該第1振動状態における固有円振動数及び減衰定数を測定する段階を含み、
    前記第2測定段階が、前記第2振動状態を示す要素として、該第2振動状態における固有円振動数及び減衰定数を測定する段階を含み、
    前記決定段階が、
    前記運動方程式に対応する固有値の特性方程式に対して前記第1振動状態における固有円振動数及び減衰定数を用いて算出される固有値を代入することにより、前記第1方程式を生成する段階と、
    前記固有値の特性方程式に対して前記第2振動状態における固有円振動数及び減衰定数を用いて算出される固有値を代入することにより、前記第2方程式を生成する段階と、
    前記第1方程式と前記第2方程式とを用いて、前記固有値の特性方程式を解くことにより、前記複数の物理量を決定する段階と、を含む、
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の振動特性推定方法。
  4. 前記第1測定段階が、前記第1振動状態を示す要素として、該第1振動状態における前記可変センサに対する前記被推定構造体の相対変位と、該第1振動状態における前記可変センサの絶対加速度と、を測定する段階を含み、
    前記第2測定段階が、前記第2振動状態を示す要素として、該第2振動状態における前記可変センサに対する前記被推定構造体の相対変位と、該第2振動状態における前記可変センサの絶対加速度と、を測定する段階を含み、
    前記決定段階が、
    前記第1振動状態における前記相対変位と前記絶対加速度と該第1振動状態における前記被推定構造体に与えられる振動を表現する関数とを用いて、前記第1振動状態における状態空間モデルを表現する前記第1方程式を生成する段階と、
    前記第2振動状態における前記相対変位と前記絶対加速度と該第2振動状態における前記被推定構造体に与えられる振動を表現する関数とを用いて、前記第2振動状態における状態空間モデルを表現する前記第2方程式を生成する段階と、を含む、
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の振動特性推定方法。
  5. 前記可変センサは、
    前記基準物理量を前記第1値及び前記第2値を含む複数の値に変化させることができるように構成され、
    前記第1測定段階では、前記第1値に設定され、前記第2測定段階では、前記第2値に設定されるように、構成される、ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の振動特性推定方法。
  6. 前記可変センサは、
    前記基準物理量が前記第1値である第1可変センサ、及び、前記基準物理量が前記第2値である第2可変センサを含み、
    前記第1測定段階では、前記第1可変センサが前記被推定構造体に取り付けられ、
    前記第2測定段階では、前記第2可変センサが前記被推定構造体に取り付けられる、ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の振動特性推定方法。
  7. 前記基準物理量が剛性である、ことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の振動特性推定方法。
  8. 前記可変センサは、その質量が前記被推定構造体の質量の略0.01倍以上となるように構成される、ことを特徴とする請求項1から請求項のいずれかに記載の振動特性推定方法。
  9. 前記可変センサは、その質量が前記被推定構造体の質量の略0.1倍以上となるように構成される、ことを特徴とする請求項に記載の振動特性推定方法。
  10. 前記可変センサは、その固有周期が前記被推定構造体の固有周期より短くなるように構成される、ことを特徴とする請求項1から請求項のいずれかに記載の振動特性推定方法。
  11. 前記可変センサは、その固有周期が前記被推定構造体の固有周期と略同一となるように構成される、ことを特徴とする請求項1から請求項のいずれかに記載の振動特性推定方法。
  12. 質量、剛性及び減衰を含む複数の物理量により表現される少なくとも1つの単位構造体を含んだ被推定構造体の振動特性を推定する振動特性推定装置であって、
    各々が既知である質量、剛性及び減衰を含む複数の物理量により表現され、該複数の物理量のうちの1つの物理量を基準物理量として第1値に設定した可変センサが取り付けられた前記被推定構造体であって、加振機を用いて振動させた該被推定構造体の第1振動状態を示す要素、及び、各々が既知である質量、剛性及び減衰を含む複数の物理量により表現され、該複数の物理量のうちの前記1つの物理量を基準物理量として前記第1値とは異なる第2値に設定した可変センサが取り付けられた前記被推定構造体であって、前記加振機を用いて振動させた該被推定構造体の第2振動状態を示す要素を入力する入力手段と、
    前記第1振動状態を示す要素により生成される第1方程式と前記第2振動状態を示す要素により生成される第2方程式とを用いて、前記可変センサが取り付けられた前記被推定構造体の運動を前記複数の物理量により表現した運動方程式を解くことにより、前記少なくとも1つの単位構造体を表現する前記複数の物理量を決定する処理手段と、
    を具備することを特徴とする振動特性推定装置。
  13. 前記入力手段が、
    前記第1振動状態を示す要素として、該第1振動状態における固有円振動数及び減衰定数を入力し、
    前記第2振動状態を示す要素として、該第2振動状態における固有円振動数及び減衰定数を入力し、
    前記処理手段が、
    前記運動方程式に対応する固有値の特性方程式に対して前記第1振動状態における固有円振動数及び減衰定数を用いて算出される固有値を代入することにより、前記第1方程式を生成し、前記固有値の特性方程式に対して前記第2振動状態における固有円振動数及び減衰定数を用いて算出される固有値を代入することにより、前記第2方程式を生成し、
    前記第1方程式と前記第2方程式とを用いて、前記固有値の特性方程式を解くことにより、前記複数の物理量を決定する、
    ことを特徴とする請求項12に記載の振動特性推定装置。
  14. 前記入力手段が、
    前記第1振動状態を示す要素として、該第1振動状態における前記可変センサに対する前記被推定構造体の相対変位と、該第1振動状態における前記可変センサの絶対加速度と、該第1振動状態における前記被推定構造体に与えられる振動を表現する関数とを入力し、
    前記第2振動状態を示す要素として、該第2振動状態における前記可変センサに対する前記被推定構造体の相対変位と、該第2振動状態における前記可変センサの絶対加速度と、該第2振動状態における前記被推定構造体に与えられる振動を表現する関数とを入力し、
    前記処理手段が、
    前記第1振動状態における前記相対変位と前記絶対加速度と前記関数とを用いて、前記第1振動状態における状態空間モデルを表現する前記第1方程式を生成し、
    前記第2振動状態における前記相対変位と前記絶対加速度と前記関数とを用いて、前記第2振動状態における状態空間モデルを表現する前記第2方程式を生成し、
    生成された前記第1方程式及び前記第2方程式を用いて前記複数の物理量を決定する、ことを特徴とする請求項12に記載の振動特性推定装置。
  15. 質量、剛性及び減衰を含む複数の物理量により表現される少なくとも1つの単位構造体を含んだ被推定構造体の振動特性を推定する振動特性推定装置に組み込むことが可能なコンピュータプログラムであって、
    各々が既知である質量、剛性及び減衰を含む複数の物理量により表現され、該複数の物理量のうちの1つの物理量を基準物理量として第1値に設定した可変センサが取り付けられた前記被推定構造体であって、加振機を用いて振動させた該被推定構造体の第1振動状態を示す要素、及び、各々が既知である質量、剛性及び減衰を含む複数の物理量により表現され、該複数の物理量のうちの前記1つの物理量を基準物理量として前記第1値とは異なる第2値に設定した可変センサが取り付けられた前記被推定構造体であって、前記加振機を用いて振動させた該被推定構造体の第2振動状態を示す要素を入力し、
    前記第1振動状態を示す要素により生成される第1方程式と前記第2振動状態を示す要素により生成される第2方程式とを用いて、前記可変センサが取り付けられた前記被推定構造体の運動を前記複数の物理量により表現した運動方程式を解くことにより、前記少なくとも1つの単位構造体を表現する前記複数の物理量を決定するように、
    前記振動特性推定装置を動作させる、ことを特徴とするコンピュータプログラム。
  16. 前記第1振動状態を示す要素として、該第1振動状態における固有円振動数及び減衰定数を入力し、
    前記第2振動状態を示す要素として、該第2振動状態における固有円振動数及び減衰定数を入力し、
    前記運動方程式に対応する固有値の特性方程式に対して前記第1振動状態における固有円振動数及び減衰定数を用いて算出される固有値を代入することにより、前記第1方程式を生成し、前記固有値の特性方程式に対して前記第2振動状態における固有円振動数及び減衰定数を用いて算出される固有値を代入することにより、前記第2方程式を生成し、
    前記第1方程式と前記第2方程式とを用いて、前記固有値の特性方程式を解くことにより、前記複数の物理量を決定するように、
    前記振動特性推定装置を動作させる、ことを特徴とする請求項15に記載のコンピュータプログラム。
  17. 前記第1振動状態を示す要素として、該第1振動状態における前記可変センサに対する前記被推定構造体の相対変位と、該第1振動状態における前記可変センサの絶対加速度と、該第1振動状態における前記被推定構造体に与えられる振動を表現する関数とを入力し、
    前記第2振動状態を示す要素として、該第2振動状態における前記可変センサに対する前記被推定構造体の相対変位と、該第2振動状態における前記可変センサの絶対加速度と、該第2振動状態における前記被推定構造体に与えられる振動を表現する関数とを入力し、
    前記第1振動状態における前記相対変位と前記絶対加速度と前記関数とを用いて、前記第1振動状態における状態空間モデルを表現する前記第1方程式を生成し、
    前記第2振動状態における前記相対変位と前記絶対加速度と前記関数とを用いて、前記第2振動状態における状態空間モデルを表現する前記第2方程式を生成し、
    生成された前記第1方程式及び前記第2方程式を用いて前記複数の物理量を決定するように、
    前記振動特性推定装置を動作させる、ことを特徴とする請求項15に記載のコンピュータプログラム。
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