JP4802869B2 - コンデンサの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、力率改善用に使用される電力用コンデンサや、各種電気回路に用いる電気機器用金属化フィルムコンデンサ(以下、単にコンデンサと称する)および、その製造方法に関するものである。
従来から、電力用コンデンサや、各種電気回路に用いる電気機器用コンデンサの諸特性の改善に関する提案は多くなされており、例えば、特許文献1に記載されている乾式コンデンサの製造方法では、コロナ放電開始電圧(特許文献1では部分放電開始電圧と表現)を高くするための提案が、また特許文献2に記載されている乾式金属化フィルムコンデンサでは、自己保安機構を設け安全性を高め、更に誘電正接の劣化を防止するための提案がなされている。
以下従来の技術について、それらの提案の構成を説明する。
特許文献1における従来の一般的な乾式コンデンサとしてはポリプロピレンからなる誘電体フィルムの表面にAl、Znなどの金属を蒸着した金属化フィルムを巻回したコンデンサ素子をケースに収め、更に絶縁ガスを充填したもの、或いはエポキシ樹脂などでモールドしたものが知られている。
特許文献1の乾式コンデンサの製造方法は、乾式コンデンサのコロナ放電特性を改善する目的で提案され、その構成は、従来に比べ表面が平滑なポリプロピレンフィルムの表面に金属蒸着を施した金属化フィルムを巻回してコンデンサ素子を製作し、これを80℃以上の温度で加熱して熱ブロッキング処理を施し、その後コンデンサ素子の両面にメタリコン処理およびリード引き出し処理を行うものであり、効果として、金属を蒸着した金属化フィルム層間の剥離強度が増加し、金属化フィルム層間の空隙部への電解の集中によって発生し、金属化フィルムの劣化の要因となるコロナ放電の開始電圧が、従来の45〜50V/μmから約100V/μmまで改善されるものである。
また、特許文献2のような乾式金属化フィルムコンデンサもある。図18および図19をもとに説明すると、誘電率の低い誘電体フィルム16の幅方向端部に絶縁マージン部17を設け、更に幅方向に絶縁溝18を設けた蒸着電極19を有する金属化フィルムと、誘電率の高い誘電体フィルム20からなる金属化フィルムとを重ねて巻回し、80〜120℃の温度範囲内で加熱処理したもので、誘電体フィルムの部分破壊時にその絶縁マージン部17付近において、絶縁溝18を有する蒸着電極19を長さ方向に飛散させるようにしたもので、構造が簡単で自己保安機構を有し、かつ熱処理の温度を80〜120℃の温度範囲内にすることで誘電正接の劣化を防ぐようにしたものである。
さらに一般的なコンデンサおよびその製造方法を、図20および図21(a)〜(d)を参照しながら説明する。
図20および図21(a)〜(d)は、コンデンサの内部構造模式図とコンデンサの組立工程図で、誘電体フィルム108に金属109を蒸着してなる金属化フィルム107を複数、巻回してなるコンデンサ素子101に電極取り出し用メタリコン102を施し、コンデンサ素子101に外部引き出し用接続線104をハンダ103等にて接続し、樹脂ケース105に入れ、充填樹脂106を充填硬化してなるコンデンサを形成している。
図21(a)はコンデンサ素子を巻き取る工程図であり、誘電体フィルム108に金属109を蒸着してなる金属化フィルム107を複数、巻回してコンデンサ素子101を形成するものである。図2(b)はコンデンサ素子101に電極取り出し用メタリコンを形成する工程図であり、コンデンサ素子101の端面に亜鉛線115を溶融吹きつけすることにより、電極取り出し用メタリコン102を形成するものである。図21(c)はコンデンサ素子に外部引き出し用接続線を取り付ける工程図であり、コンデンサ素子101に外部引き出し用接続線104をハンダ103により接続するものである。図21(d)はコンデンサ素子101を樹脂ケース105に収容する工程図であり、外部引き出し用接続線104を施したコンデンサ素子101を樹脂ケース105に挿入し、充填樹脂106を注型するものである。更に一般的にはこの注型した充填樹脂106を硬化させる工程があり、一般的には80℃〜100℃の温度を加え充填樹脂を硬化させるものである。
また一般的にはコンデンサ素子1に電極取り出し用メタリコン102を形成した後に熱処理(80℃〜120℃の温度範囲内)を行う工程もある。従来例の、特許文献1の乾式コンデンサの製造方法ではこの工程が電極取り出し用メタリコン102を施す前に実施されている。
特開平4−249309号公報 実開昭59−91719号公報
上記のように特許文献1、特許文献2、および従来の一般的なコンデンサの製造方法によって得られるコンデンサの課題について図3〜図7および図12を参照しながら説明する。
図3は、前述のコンデンサの製造工程における熱処理(80℃〜120℃の温度範囲内)を行う前の金属化フィルム7の状態図で、この状態によると金属化フィルム7を複数枚重ね合わせて巻き取りを実施しているので、金属化フィルム7と金属化フィルム7は均一に配置されている状態であり、その金属化フィルム7と金属化フィルム7の間には若干のスペースが存在する。
この状態の素子を熱処理することにより図4のような状態となる。すなわち図4は従来のコンデンサの製造方法における熱処理後の金属化フィルムを示す図であり、熱処理を行うことにより、前述の金属化フィルム7と金属化フィルム7の間の若干のスペースは無くなり、金属化フィルム7と金属化フィルム7の間は接着し、接着部10となる。一般的にこの状態をブロッキング状態と呼んでいる。この図4の状態は熱処理を施した場合の理想的な状態であると言える。
しかしながら、一般的な工程では以下のような状態となる場合がある。
図5はコンデンサの熱処理前の金属化フィルムの図であり、熱処理前に金属化フィルム7と金属化フィルム7の間に大きな空気溜り11が存在する場合を示している。この状態のまま熱処理を行った場合、図6に示すように、金属化フィルム7と金属化フィルム7の間に空気溜り11が残った状態になっている。一般的にはこの空気溜り11を排除するために、真空で加熱処理が施されているが、完全には排除できない。そしてこの空気溜り11が残った状態では、空気溜り11がある部分は金属化フィルム7と金属化フィルム7の間は接着状態とならず、空気溜り11の無い部分の金属化フィルム7と金属化フィルム7の間は接着状態10となる。熱処理後は、この空気溜り11内の圧力はコンデンサ素子1の外側の圧力より負圧状態となる。このような状態のコンデンサに電圧が印加されると下記のような状態になる。
図7にその説明図を示す。図7は従来例におけるコンデンサの熱処理後の金属化フィルムの電界説明図であり、対向する金属化フィルム7間に電圧が印加されるため、図4のような空気溜り11が無い状態では電極間に均一な電界が分布して部分的な電界の集中は発生しないが、図7のような状態では空気溜り11の部分に電界が集中しやすくなる。この空気溜り11の周辺に高い電荷が集中するとコロナ放電が発生し、この周辺の誘電体フィルムだけがダメージを受け、最終的には破壊に至る可能性が出てくる。すなわち誘電体フィルムの単位厚みあたりに印加される電圧が高い状態である高電位傾度下で使用されると、発生したコロナ放電により誘電体フィルムに放電劣化が発生し、コンデンサの寿命特性に著しい悪影響をおよぼす。
このような空気溜りの存在の有無は、コロナ放電特性のコロナ放電開始電圧、並びにコロナ放電量を見ることにより判別することができる。この図7のような状態ではコロナ放電開始電圧は低く、コロナ放電量は多くなる。
また図20および図21(a)〜(d)で説明したように、一般的には充填樹脂を注型した後この注型した充填樹脂106を硬化させる工程があり、充填後80℃〜100℃に加熱し充填樹脂を硬化させる。このときにも金属化フィルム7同士の部分的な接着が起こり、図7に示すような空気溜り層12が発生することがある。
また図12は従来における熱処理後のコンデンサを解体し、金属化フィルムをゆっくりとはがした状態を示す図で、誘電体フィルム8に金属9を蒸着してなる金属化フィルム7を複数枚巻回してなるコンデンサ素子の、各々の金属化フィルムは図6で示すような金属化フィルム同士の接着部10が存在している為、対向する誘電体フィルム8に金属9が接着した状態で、本来蒸着されている誘電体フィルム8面よりはがれてしまう。このように接着している部分と、接着していない部分が存在する状態になると、空気溜り層12が発生する。
本発明は、このような従来の課題を解決し、空気溜り層の発生しない、コロナ放電特性に優れた乾式コンデンサの製造方法を提供するものである。
本発明のコンデンサの製造方法は、上記課題を解決するために、ポリプロピレンフィルムに金属を蒸着してなる金属化フィルムを複数巻回してコンデンサ素子を作製する工程と、前記コンデンサ素子に電極取り出し用メタリコンを設ける工程と、前記電極取り出し用メタリコンを設けたコンデンサ素子を熱処理する工程と、前記電極取り出し用メタリコンに外部引き出し用接続線を設けてコンデンサケースに入れ、充填樹脂を充填硬化する工程と、を有するコンデンサの製造方法において、前記各々の工程で前記コンデンサに加えられる温度を60℃以下とし、且つ前記熱処理の温度が20℃から60℃であることとするコンデンサの製造方法である。
以上のような、本発明の構成によれば誘電体フィルムに金属を蒸着してなる金属化フィルムを、複数巻回してなるコンデンサ素子に電極取り出し用メタリコンを施し、コンデンサ素子に外部引き出し用接続線を設け、コンデンサケースに入れ、充填樹脂を充填硬化してなるコンデンサにおいて、熱によって複数の金属化フィルムが接着していない為、金属化フィルム間に残留する空気溜りの発生を防ぎ、この空気溜りを起点として発生するコロナ放電を未然に防ぎ、高いコロナ開始電圧を得ることができる。またコロナ放電が発生した後においてでもその放電量を従来より大幅に低く抑えることが可能であり、結果として高電位傾度下におけるコンデンサの寿命特性の安定化に効果絶大なものがある。これらの手法により、コンデンサの性能・安全性をより高め、コンデンサの小型軽量化を可能とするものである。
以下、本発明の実施の形態について、図を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1におけるコンデンサの内部構造模式図、図2(a)〜(d)は、本発明の実施の形態1におけるコンデンサの組立工程図である。
図1において、誘電体フィルムに金属を蒸着してなる金属化フィルムを複数、巻回してなるコンデンサ素子1に電極取り出し用メタリコン2を施し、コンデンサ素子1に外部引き出し用接続線4をハンダ3にて接続し、樹脂ケース5に入れ、充填樹脂6を充填硬化してコンデンサとしている。
その製造工程を更に詳しく説明する。
図2(a)に示すように厚さ6μmのポリプロピレンフィルムに、アルミニウムを蒸着してなる金属化フィルム7を2枚を重ねて巻回しコンデンサ素子1を形成し、このコンデンサ素子1の両端面に図2(b)に示すように、亜鉛線15を溶融吹きつけ電極取り出し用メタリコン2を形成した後、熱処理をした。更に図2(c)に示すように、コンデンサ素子1に外部引き出し用接続線4をハンダ3により接続し、図2(d)に示すように、コンデンサ素子1を樹脂ケース5に収納し、充填樹脂6を注入硬化させて乾式コンデンサを作製した。上記熱処理の温度および充填樹脂の硬化時の雰囲気温度を含め、この実施の形態1におけるコンデンサの全ての製造工程中で、コンデンサ素子に加えられる温度は60℃以下とした。また、このときのコンデンサ素子1は熱によって複数の金属化フィルム7が接着していない状態であることを確認した。
(実施の形態2)
実施の形態2として外部引き出し用接続線4を施したコンデンサ素子1を樹脂ケース5に挿入し、充填樹脂として常温硬化型のポリウレタン樹脂を使用した以外は、実施の形態1と同じ材料および条件で乾式コンデンサを作製した。
これらの実施の形態1および2にて得られるコンデンサの説明を図8〜図11にて説明する。
図8は実施の形態1および2におけるコンデンサの金属化フィルムの図で、金属層9を誘電体フィルム8の上に蒸着して成る金属化フィルム7を複数枚重ね合わせた状態で、工程図の図2(a)で説明した巻き取りおよび、図2(b)の電極取り出し用メタリコンを施した状態の図である。この状態では金属化フィルム7と金属化フィルム7の間には若干のスペースが存在する。この状態の素子を熱によって複数の金属化フィルムが接着しないように熱処理することにより図9のような状態となる。すなわち図9は実施の形態1におけるコンデンサの熱処理後の金属化フィルムを示しており、金属化フィルム7と金属化フィルム7の間の若干のスペースは無くなり、金属化フィルム7と金属化フィルム7の間は極めて近接しているが接着状態とはなっていない。
また、図10に示すように、熱処理前に金属化フィルム7と金属化フィルム7の間に大きな空気溜り11が存在する場合においても、熱によって複数の金属化フィルムが接着していない状態に熱処理をしているので、図11に示すように、空気溜り11は金属化フィルム7と金属化フィルム7の間に残ることはなく、コンデンサ素子1の外と同じ圧力が保たれる。すなわち金属化フィルム7と金属化フィルム7の間は負圧状態にはならない。
この状態でコンデンサが形成され製品となり、電圧を印加された場合、コンデンサ素子の金属化フィルム7と金属化フィルム7間に空気溜りが無く、負圧状態になっていないので、対向する金属化フィルム7間に電圧が印加されても、電極間に均一に電界が分布して電界の集中が発生することはなく、フィルム本来の絶縁性能が引き出せる為、寿命信頼性に高性能を発揮する。
すなわち、コロナ放電特性のコロナ放電開始電圧、並びにコロナ放電量による特性を見ても、図11のような状態においてコロナ放電開始電圧は高く、またコロナ放電量も少ない。すなわち高電位傾度下で使用されても発生するコロナ放電が少ない為、誘電体フィルム8に放電劣化等が発生しにくく、結果としてコンデンサの寿命特性を良好に改善することが可能となる。
その具体的特性の有意性を検証するために以下の条件で検証サンプルを作製し、検証した結果を図13、並びに図14に示す。
図13は実施の形態1における各温度別熱処理によるコロナ放電量の推移図である。図14は、熱処理温度別の荷電試験の容量変化図である。
コンデンサのサンプルは実施の形態1のコンデンサと同じ手順で作製し、また比較のために従来例1として従来のコンデンサも数種類合わせて作製し比較した。
実施の形態1のコンデンサとしては、熱処理温度20℃、30℃、40℃、50℃、60℃の各サンプルが相当する。また従来例1におけるコンデンサとしては70℃、80℃、90℃、100℃、110℃、120℃の各サンプルが相当する。図13のグラフは縦軸にコンデンサの定格電圧の2倍に相当する高い電圧を印加したときのコロナ放電量を表した。
図13を見ると明らかに理解できるように定格電圧2倍に相当する高い電圧を印加したにもかかわらず、実施の形態1の20℃、30℃、40℃、50℃のコンデンサの放電量は2000PC以下のコロナ放電量であり、60℃のコンデンサでも4000PC以下のコロナ放電量である。これと比較して従来例におけるコンデンサは70℃では8500PC、80℃、90℃、100℃、110℃、120℃のコンデンサでは10000PC以上のコロナ放電が発生している。
これらの比較サンプルを更に検証しその有意性を確認するために、過電圧におけるコンデンサの寿命試験を実施した。そのコンデンササンプルの容量変化のグラフを図14に示す。すなわち図14は熱処理温度別の荷電試験の容量変化図である。グラフが判りにくくなるので、熱処理温度の代表サンプルの結果のみを記載した。実施の形態1の熱処理温度が40℃、60℃のコンデンサでは通電時間2000時間においてその容量変化率は−1%以下であり、極めて安定した容量変化特性を示している。これは前述の図13に示すようにコロナ放電量も少ない為、高電位傾度下で使用されても誘電体フィルムに放電劣化等が発生しにくく、結果としてコンデンサの寿命特性が良好に推移しているものと考えられる。一方従来例1における熱処理温度が70℃、90℃、110℃のコンデンサでは、寿命試験開始直後より顕著な容量減少を示し、通電時間1000時間を経過した後においてその容量変化率は悪化傾向にある。通電時間2000時間においてその容量変化率は−3%以上であり、更に悪化傾向にある。これは前述の図13に示すようにコロナ放電量が10000PC以上と多い為、コロナ放電により誘電体フィルムに放電劣化が発生しコンデンサの容量寿命特性に著しく悪影響をおよぼしている。この状態にて試験を更に継続したところ破壊に至る場合もあった。
以上のように、実施の形態1と従来例1を比較すると明らかに実施の形態1のコンデンサに良好な有意性があり、コンデンサの全ての製造工程中で、コンデンサ素子に印加される温度は60℃以下とし、熱によって複数の金属化フィルム7が接着していない状態にすることによって、高電位傾度下で使用されても発生したコロナ放電が少なく、誘電体フィルムに放電劣化等が発生しにくく、結果としてコンデンサの寿命特性を良好に改善することが可能となることが確認できた。
実施の形態2の確認試験サンプルとして以下の内容で作製した。
実施の形態1に示したコンデンサの熱処理温度60℃のコンデンサ素子に外部引き出し用接続線4を施し、樹脂ケース5に挿入し充填樹脂として、ウレタン樹脂を注型し、ウレタン樹脂の硬化時の雰囲気温度を約60℃以下としたものである。
また比較のために従来例2として作製したのは、実施の形態1に示したコンデンサの熱処理温度60℃のコンデンサ素子に外部引き出し用接続線4を施し、樹脂ケース5に挿入し充填樹脂として、エポキシ樹脂を注型し、エポキシ樹脂の硬化時の雰囲気温度を80℃〜100℃としたものである。
図15は実施の形態2における充填樹脂を注型した硬化前の状態で、図17はエポキシ樹脂を充填し、雰囲気温度を80℃〜100℃で硬化させた状態を示し、図16は常温硬化型のウレタン樹脂を注型し、硬化時の雰囲気温度を約60℃以下としたものの状態を示している。
すなわち充填樹脂を注型した状態では、常温硬化型ウレタン樹脂、エポキシ樹脂共に、図15に示すようにコンデンサ素子と樹脂間、並びに樹脂の表面にも均一に樹脂は分布しているが、硬化後の状態では、充填樹脂にエポキシ樹脂を用いた場合図17に示すような樹脂硬化時に空気ギャップ層13が発生する。この樹脂硬化時の空気ギャップ層13は充填樹脂を高温で硬化するために、硬化反応が、温度の伝搬しやすいコンデンサの表面側から進行することにより発生する。すなわち、表面側から硬化し内部側は最後に硬化するため、硬化によって起こる樹脂の硬化収縮がすべてコンデンサ素子1側に偏るためによるものである。
この樹脂硬化時のコンデンサ素子周辺の空気ギャップ層13は一般的に負圧状態になり、素子の金属化フィルム間も同様に負圧状態となるため、電界により放電しやすくなる。そのため前述したコロナ放電特性のコロナ放電開始電圧、並びにコロナ放電量による特性は更に低下する傾向になる。
一方図16に示すように常温硬化型ウレタン樹脂を充填し、硬化時の雰囲気温度を約60℃以下としたものは、硬化反応が素子近くの部位よりゆっくりと進行し最後に樹脂ケース周辺の部位が硬化する傾向があるため、充填樹脂硬化時の樹脂ひけ層14は充填樹脂の上部表面に現れている。また樹脂ケースの底の部分にもその傾向は現れている(図示せず)。そのためコンデンサ素子1周辺への充填樹脂硬化時の収縮の影響は、従来例のエポキシ樹脂を使用する場合に比較して圧倒的に少なく空気ギャップ層が発生しない。また従来例ではコンデンサ素子1周辺では負圧状態になると述べたが、実施の形態2のコンデンサ素子1周辺の圧力は空気ギャップ層が発生しないため、ほぼ常圧のままである。そのため、コロナ放電開始電圧が高くなり、コロナ放電量が少なく、誘電体フィルムに放電劣化等が発生しにくく、結果としてコンデンサの寿命特性を良好に改善することが可能となることが確認できるものである。
以上のように、充填樹脂の硬化時の雰囲気温度を、60℃以下とすることで、コロナ放電特性が改善されるが、従来のエポキシ樹脂で硬化時の雰囲気温度を60℃以下にすると、完全に硬化させるためには数十時間以上の時間が必要で、更に硬化した樹脂の絶縁性や、耐湿性は実用に耐えるものではなく、本発明に示すように常温硬化型のウレタン樹脂を用いることで充填樹脂の硬化時の雰囲気温度を、60℃以下にすることができる。
なお、実施の形態1および2において、コンデンサ素子は単素子の例を示したが、コンデンサ素子が複数であっても本発明の実施の形態は適用でき、同様の効果をもたらすことができる。
本発明は、コンデンサなどの電気機器、特に力率改善用に使用される電力用コンデンサや、各種電子回路に用いる電気機器用コンデンサのコロナ放電特性、寿命特性改善に有用である。これらの手法により、コンデンサの性能・安全性をより高め、コンデンサの小型軽量化を可能とするものである。
本実施の形態によるコンデンサの内部構造模式図 (a)〜(d)本実施の形態によるコンデンサの組立工程図 従来例1におけるコンデンサの熱処理前の金属化フィルム図 従来例1におけるコンデンサの熱処理後の金属化フィルム図 従来例1におけるコンデンサの熱処理前の金属化フィルム図 従来例1におけるコンデンサの熱処理後の金属化フィルム図 従来例1におけるコンデンサの熱処理前の金属化フィルムの電界状態図 本実施の形態1におけるコンデンサの熱処理前の金属化フィルム図 本実施の形態1におけるコンデンサの熱処理後の金属化フィルム図 本実施の形態2におけるコンデンサの熱処理前の金属化フィルム図 本実施の形態2におけるコンデンサの熱処理後の金属化フィルム図 従来例1におけるコンデンサの熱処理後の金属化フィルムをめくった状態図 本実施の形態1における各温度別熱処理によるコロナ放電量のグラフ 熱処理温度別の荷電試験の容量変化のグラフ 本実施の形態2および従来例2における硬化前の充填樹脂の状態図 本実施の形態2におけるウレタン硬化後の図 従来例2におけるエポキシ硬化後の図 従来のコンデンサの構造図 従来のコンデンサの断面図 従来のコンデンサの内部構造模式図 従来のコンデンサの組立工程図
符号の説明
1 コンデンサ素子
2 電極取り出し用メタリコン
3 ハンダ
4 外部引き出し用接続線
5 樹脂ケース
6 充填樹脂
7 金属化フィルム
8 誘電体フィルム
9 金属
10 フィルム接着部

Claims (1)

  1. ポリプロピレンフィルムに金属を蒸着してなる金属化フィルムを複数巻回してコンデンサ素子を作製する工程と、前記コンデンサ素子に電極取り出し用メタリコンを設ける工程と、前記電極取り出し用メタリコンを設けたコンデンサ素子を熱処理する工程と、前記電極取り出し用メタリコンに外部引き出し用接続線を設けてコンデンサケースに入れ、充填樹脂を充填硬化する工程とを有するコンデンサの製造方法において、前記各々の工程で前記コンデンサに加えられる温度が60℃以下であり、且つ前記熱処理の温度が20℃から60℃であることを特徴とするコンデンサの製造方法。
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