JP2007250923A - 金属化フィルムコンデンサおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来の電極引き出しの際には、引き出し電極部材とコンデンサ素子とをはんだ付けによって接合しており、このはんだ付けの際にコンデンサ素子に熱ダメージを与え特性が悪化するという課題を解決し、熱ダメージを与えず特性を悪化させることなく引き出し電極部材とコンデンサ素子とを接合する方法を提供することを目的とする。
【解決手段】一対の金属化フィルムを巻回または積層し、対向する面に一対の電極取り出し面を設けたコンデンサ素子と、このコンデンサ素子の一対の電極取り出し面に配設された引き出し電極部材と、この引き出し電極部材の一部を覆うとともに電極取り出し面のほぼ全面を覆うように金属溶射によって設けられた金属溶射部とからコンデンサ素体を形成する。これにより引き出し電極部材とコンデンサ素子との接合の際にはんだ付けが不要となり、コンデンサ素子への熱ダメージがなくなることにより特性の悪化を防ぐことが可能となる。
【選択図】図1
【解決手段】一対の金属化フィルムを巻回または積層し、対向する面に一対の電極取り出し面を設けたコンデンサ素子と、このコンデンサ素子の一対の電極取り出し面に配設された引き出し電極部材と、この引き出し電極部材の一部を覆うとともに電極取り出し面のほぼ全面を覆うように金属溶射によって設けられた金属溶射部とからコンデンサ素体を形成する。これにより引き出し電極部材とコンデンサ素子との接合の際にはんだ付けが不要となり、コンデンサ素子への熱ダメージがなくなることにより特性の悪化を防ぐことが可能となる。
【選択図】図1
Description
本発明は巻回型または積層型の金属化フィルムコンデンサに関するものである。
従来の巻回型または積層型の金属化フィルムコンデンサからの電極引き出しの際には、コンデンサ素子の一対の電極取り出し面に、亜鉛などの金属溶射による金属溶射部を形成させ、この金属溶射部と導電体からなる引き出し電極部材とをはんだ付けによって接合させていた。
なお、この出願の発明に関する先行技術文献としては、例えば特許文献1が知られている。
特開2004−186640号公報
従来の電極引き出し方法では、引き出し電極部材とコンデンサ素子との接続にははんだ付けを行っていた。しかし、はんだ付けの際にははんだを溶融させるためにはんだごてによって高温に加熱する必要があり、その熱が金属溶射部を介して誘電体材料であるフィルムに伝わり、フィルムが溶けるなどのダメージを与えると同時にフィルムコンデンサ素子の絶縁抵抗の低下や耐電圧低下など特性を悪化させるものであった。しかも、近年は環境に配慮した鉛フリーはんだの使用がすすめられており、融点の高い鉛フリーはんだを溶融させるために更に高温に加熱する必要があるため、コンデンサ素子への熱ダメージは大きくなるという問題を有していた。
本発明ではこのような従来の課題を解決し、コンデンサ素子への熱ダメージを与えることなく引き出し電極部材との接合を可能にすることを目的とするものである。
上記課題を解決するために本発明は、コンデンサ素子の一対の電極取り出し面の上に引き出し電極部材を配設し、これらの上から金属溶射部を形成することにより、コンデンサ素子の一対の電極取り出し面と引き出し電極部材とを接続するという構成にしたものである。
本発明である金属溶射によるコンデンサ素子の一対の電極取り出し面と引き出し電極部材との接続方法の場合、はんだ付けが不要であり高温に加熱する必要がないため、誘電体材料である金属化フィルムに熱ダメージを及ぼさず、コンデンサ特性の劣化を防ぐという効果が得られる。
また、熱影響を考える必要がないため、コンデンサ素子の一対の電極取り出し面と引き出し電極部材との接続面積を大きく取ることが可能となり、接続抵抗を小さくすることが可能となる。更に、はんだ付け工程が削減されることにより工数削減になると同時にはんだ材料削減になるという効果が得られる。
(実施の形態1)
図1(a)は本発明の実施の形態1による巻回型の引き出し電極付金属化フィルムコンデンサ素体の構成を示した斜視図、図1(b)は積層型の引き出し電極付金属化フィルムコンデンサ素体の構成を示した斜視図である。
図1(a)は本発明の実施の形態1による巻回型の引き出し電極付金属化フィルムコンデンサ素体の構成を示した斜視図、図1(b)は積層型の引き出し電極付金属化フィルムコンデンサ素体の構成を示した斜視図である。
図2および図3は本発明の実施の形態1による引き出し電極付き金属化フィルムコンデンサ素体の構成を示した断面図である。
図1(a)および図1(b)において、1はフィルムコンデンサ素子、2は引き出し電極部材、3は金属溶射部を示す。フィルムコンデンサ素子1は、誘電体となるフィルムに絶縁マージンを形成しながら金属蒸着を行うことで金属化フィルムを形成し、一対の前記金属化フィルムが対向しコンデンサを形成するように巻回または積層して形成される。コンデンサ素子1において、誘電体となるフィルムには例えばポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)などを用いることができ、蒸着金属は例えばアルミニウム(Al)、亜鉛(Zn)、銅(Cu)などを用いることができる。
図1(a)の巻回型では金属化フィルムを巻回させた巻回軸の両端面が金属溶射部3となり、図1(b)の積層型では積層の両端面が金属溶射部3となる。巻回型、積層型いずれも断面形状はほぼ同様となるので、以下では巻回型の金属化フィルムコンデンサを用いて説明する。
本実施の形態では、図2に示すようにコンデンサ素子1の両端面にある一対の電極取り出し面に導電体からなる引き出し電極部材2を配設し、電極取り出し面および引き出し電極部材2上に金属溶射により設けられた金属溶射部3を形成することによってそれぞれを機械的・電気的に接続している。
従来、コンデンサ素子と引き出し電極部材との接続にははんだ付けを行っていたが、はんだを溶融させるためにはんだごてにて高温に加熱する必要があった。しかし、はんだを溶融させるために必要な温度は誘電体材料であるフィルムの融点よりも高いため、フィルムにダメージを与えると同時にフィルムコンデンサ素子の特性を悪化させるものであったところ、本発明における実施の形態によればはんだ付けによる接続を行わないため、コンデンサ素子1への熱ダメージがなく、特性の劣化を防ぐことが可能となる。
ここで、鉛成分の入っていない鉛フリーはんだと、鉛入りのはんだと、金属溶射部3形成時の金属溶射とのそれぞれの工程における加熱温度を比較したものと参考データとしてPPフィルムの融点とを(表1)に示す。
(表1)に示すように、PPフィルムの融点に対して加熱温度の高い鉛フリーはんだと鉛入りはんだを用いる際にはコンデンサ素子1への接触時間を制限するなどして熱ダメージを最小限に抑えるなどしても、PPフィルムが溶融してしまうものであったが、本発明における実施の形態によれば、引き出し電極部材2の接続を金属溶射によって行うので、PPフィルムに熱ダメージを与えることがほとんどなくなるものである。
上記はPPフィルムにおいて説明したが、誘電体として用いられるフィルムのほぼ全てに対して同様の効果を奏するものである。
また、熱影響を考える必要がないため、コンデンサ素子1の一対の電極取り出し面と引き出し電極部材2との接続面積を大きく取ることが可能となり、接続抵抗を小さくすることが可能となると同時に、接続の機械的強度を増すことが可能となる。
更に、はんだ付け工程が削減されることにより工数削減になると同時にはんだ材料削減になるという効果が得られる。
なお、図3に示すようにコンデンサ素子1の両端面にある一対の電極取り出し面にあらかじめ金属溶射により設けられた金属溶射部3を形成し、この金属溶射部3上に引き出し電極部材2を配設し、金属溶射部3および引き出し電極部材2上から、さらに金属溶射により設けられた金属溶射部3を形成して、それぞれを機械的・電気的に接続したものでも同様の効果が得られる。
(実施の形態2)
図4は本発明の実施の形態2による引き出し電極付き金属化フィルムコンデンサ素体の構成を示した斜視図である。図4において、1はフィルムコンデンサ素子、2は導電体からなる引き出し電極部材、3は金属溶射部を示す。
図4は本発明の実施の形態2による引き出し電極付き金属化フィルムコンデンサ素体の構成を示した斜視図である。図4において、1はフィルムコンデンサ素子、2は導電体からなる引き出し電極部材、3は金属溶射部を示す。
図4にあるように、複数個のコンデンサ素子1の両端面にある一対の電極取り出し面に引き出し電極部材2を配設し、電極取り出し面および引き出し電極部材上に金属溶射により金属溶射部3を設けることにより、複数のコンデンサ素子を電気的に接続すると同時に、機械的に接続することが可能となる。
これにより複数個のコンデンサ素子1は並列に接続され、形成された引き出し電極付き金属化フィルムコンデンサ素体の静電容量は複数個のコンデンサ素子1の静電容量の総和となる。つまり、接続するコンデンサ素子1の静電容量および数量により、引き出し電極付き金属化フィルムコンデンサ素体の静電容量を自在に調整することが可能となる。
従来であれば、複数個のコンデンサ素子1と引き出し電極部材2との接続の際は、各々のコンデンサ素子1と引き出し電極部材2とをはんだ付けしており、多くの工数を必要としていたところ、本発明における実施の形態によれば複数個のコンデンサ素子1と引き出し電極部材2とを一度に金属溶射して接続することができ、工数の削減が可能となるものである。
また、引き出し電極部材2を板状とし、複数の孔を設けることや粗面化することによりコンデンサ素子1の電極取り出し面と金属溶射部3との接触面積を増やすことができ、接続強度を増すことが可能となる。
なお、引き出し電極部材2は網状とすることによっても同様の効果が得られる。
(実施の形態3)
図5は本発明の実施の形態3による引き出し電極付き金属化フィルムコンデンサの構成を示した断面図である。図5において、1はフィルムコンデンサ素子、2は導電体からなる引き出し電極部材、3は金属溶射部、4は外装ケース、5は充填樹脂を示す。
図5は本発明の実施の形態3による引き出し電極付き金属化フィルムコンデンサの構成を示した断面図である。図5において、1はフィルムコンデンサ素子、2は導電体からなる引き出し電極部材、3は金属溶射部、4は外装ケース、5は充填樹脂を示す。
図5に示すように、本発明による引き出し電極付き金属化フィルムコンデンサ素体を外装ケース4内に配設し、その周囲を充填樹脂5で充填することにより、耐湿性を向上させることが可能である。
本発明による金属化フィルムコンデンサは、熱ダメージを抑えた金属化フィルムコンデンサとすることができるので、民生用、産業用電気機器用として使用でき、またハイブリッド自動車、電気自動車など大容量のモーター駆動用インバーター回路に適用可能である。
1 フィルムコンデンサ素子
2 引き出し電極部材
3 金属溶射部
4 外装ケース
5 充填樹脂
2 引き出し電極部材
3 金属溶射部
4 外装ケース
5 充填樹脂
Claims (9)
- 一対の金属化フィルムを巻回、または積層し、対向する面に一対の電極取り出し面を設けたコンデンサ素子と、このコンデンサ素子の一対の前記電極取り出し面に配設された引き出し電極部材と、この引き出し電極部材の一部を覆うとともに前記電極取り出し面のほぼ全面を覆うように金属溶射部を設け、コンデンサ素体を形成する金属化フィルムコンデンサ。
- 一対の金属化フィルムを巻回、または積層し、対向する面に一対の電極取り出し面を設け、この電極取り出し面に予め金属溶射したコンデンサ素子と、このコンデンサ素子の一対の予め金属溶射した電極取り出し面に引き出し電極部材を配設し、この引き出し電極部材の一部を覆うとともに前記予め金属溶射した電極取り出し面のほぼ全面を覆うように金属溶射部を設け、コンデンサ素体を形成する金属化フィルムコンデンサ。
- 複数の前記コンデンサ素子を前記引き出し電極部材により一体で接合し、コンデンサ素体を形成した請求項1または2に記載の金属化フィルムコンデンサ。
- 前記コンデンサ素体を外装ケース内に収納して樹脂モールドし、前記引き出し電極部材の一部が前記外装ケース内より外方へ表出している請求項1〜3のいずれか一項に記載の金属化フィルムコンデンサ。
- 前記引き出し電極部材は板状のバスバーであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の金属化フィルムコンデンサ。
- 前記引き出し電極部材は板状のバスバーであり、部分的に孔があることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の金属化フィルムコンデンサ。
- 前記引き出し電極部材は網状のバスバーであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の金属化フィルムコンデンサ。
- 金属化フィルムを巻回、または積層することによりコンデンサ素子を作製する工程と、このコンデンサ素子の対向する面の一対の電極取り出し面に一対の引き出し電極部材を配設し、この引き出し電極部材上および前記電極取り出し面上に金属溶射部を形成する工程とを有した引き出し電極付金属化フィルムコンデンサの製造方法。
- コンデンサ素子を作製した後、このコンデンサ素子の対向する面に金属溶射により金属溶射部を形成するようにした請求項5に記載の引き出し電極付金属化フィルムコンデンサの製造方法。
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JP2006073808A JP2007250923A (ja) | 2006-03-17 | 2006-03-17 | 金属化フィルムコンデンサおよびその製造方法 |
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JP2010258056A (ja) * | 2009-04-22 | 2010-11-11 | Kyocera Corp | 積層型圧電素子、これを用いた噴射装置および燃料噴射システム |
JP2016134477A (ja) * | 2015-01-19 | 2016-07-25 | トヨタ自動車株式会社 | 金属化フィルムコンデンサ |
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