JP4802657B2 - プリントヘッドおよび画像形成装置 - Google Patents
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Description
ここで、全体光量制御は、全LEDの光量を一律に制御するものである。すなわち、LPHによって露光される感光体の感度の経時変化や、温湿度等の環境条件に基づいて生じる静電潜像の電位変動、さらには静電潜像を現像する現像装置内の現像剤量の変動等が要因となって、形成される画像には濃度変動が生じる。そこで、全体光量制御は、このような要因による濃度変動を抑えるために実行される。また、光量補正制御は、各LED毎にそれぞれ独立に光量を制御するものである。すなわち、各LEDの発光特性差や配列位置の誤差等に起因して生じる各LED毎の光量の誤差は、画像上での濃度ムラを生じさせる。そこで、光量補正制御は、このような濃度ムラを抑えるため、すべてのLEDの光量を所定の範囲内に設定するために実行される。
また、基準クロック発生部は、水晶発振周波数を分周することで発振周波数を生成し、メモリは、設定値として水晶発振周波数の分周比を記憶することを特徴とすることもできる。さらに、基準クロック発生部は、水晶発振周波数を発生する水晶発信器と、水晶発信器からの水晶発振周波数を分周する第1の分周器と、入力した信号を分周して出力する第2の分周器と、第1の分周器と第2の分周器とにより生成される信号の位相を比較する位相比較器と、位相比較器からの信号に基づいた周波数の基準クロック信号を生成するとともに、第2の分周器に基準クロック信号を出力する、出力周波数制御が可能な発振器とを含み、メモリは、設定値として第1の分周器の分周比と第2の分周器の分周比とを記憶することを特徴とすることもできる。加えて、メモリは、ルックアップテーブルであることを特徴とすることもできる。
また、発光素子各々の光量を補正するための濃度ムラ補正データに基づいて、基準信号生成部により生成された基準パルス信号を補正して、発光素子各々の点灯パルス幅を設定する信号生成部をさらに備えたことを特徴とすることもできる。
また、制御部からの指示信号に対応して設定された組み合わせを記憶したメモリをさらに有することを特徴とすることができる。
さらに、プリントヘッドの駆動回路は、指示信号に対応して設定されるべき基準パルス幅を目標値として、基準パルス幅の絶対値を目標値に設定する組み合わせにより基準パルス幅を設定することを特徴とすることができる。加えて、プリントヘッドの駆動回路は、隣接する指示信号各々に対応して設定されるべき基準パルス幅相互の差分を目標値として、基準パルス幅の変化量を目標値に設定する組み合わせにより基準パルス幅を設定することを特徴とすることもできる。
図1は本実施の形態にて測定対象となるLEDプリントヘッドが用いられた画像形成装置の全体構成を示した図である。図1に示す画像形成装置は、所謂タンデム型のデジタルカラープリンタ1であり、各色の画像データに対応して画像形成を行なう画像形成プロセス部10、画像形成プロセス部10を制御する制御部30、例えばパーソナルコンピュータ(PC)2や画像読取装置(IIT)3に接続され、これらから受信された画像データに対して所定の画像処理を施す画像処理部(IPS:Image Processing System)40を備えている。
さらに、現像器15の下流側近傍には、感光体ドラム12に対向して、感光体ドラム12上に形成されたテスト用パッチ(濃度見本)のトナー像濃度を検出する濃度検出回路17が備えられている。この濃度検出回路17は制御部30に接続され、トナー像濃度検出値を出力する。
ここで、各画像形成ユニット11Y,11M,11C,11Kは、現像器15に収納されたトナーを除いて、略同様に構成されている。そして、画像形成ユニット11Y,11M,11C,11Kは、それぞれがイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)のトナー像を形成する。
その後、重畳トナー像が静電転写された用紙Pは、中間転写ベルト21から剥離され、搬送ベルト24により定着器25まで搬送される。定着器25に搬送された用紙P上の未定着トナー像は、定着器25によって熱および圧力による定着処理を受けることで用紙P上に定着される。そして定着画像が形成された用紙Pは、画像形成装置の排出部に設けられた排紙載置部(不図示)に搬送される。
このように構成されたLPH14は、調整ネジ(図示せず)によってロッドレンズアレイ64の光軸方向に移動可能に構成され、ロッドレンズアレイ64の結像位置(焦点面)が感光体ドラム12表面上に位置するように調整される。
また、LED回路基板62には、信号発生回路100、レベルシフト回路104、電源電圧を出力する3端子レギュレータ101、SLED63における光量補正値データ等を記憶するEEPROM102、デジタルカラープリンタ1本体との間で信号の送受信を行なうハーネス103が備えられている。
図4は、LED回路基板62上に形成されている配線図を示した図である。図4に示したように、LED回路基板62上には、各SLEDチップに電力を供給する+3.3Vの電源ライン105および接地(GND)された電源ライン106、信号発生回路100から各SLEDチップに対して点灯信号ΦI(ΦI1〜ΦI58)を送信する信号ライン107(107_1〜107_58)、転送信号CK1(CK1_1〜1_6)を送信する信号ライン108(108_1〜108_6)、転送信号CK2(CK2_1〜2_6)を送信する信号ライン109(109_1〜109_6)が配線されている。
そして、各SLEDチップ(CHIP1〜CHIP58)には、信号ライン107を介して、CHIP1〜CHIP58に対する点灯信号ΦIが入力される。また、信号ライン108を介して転送信号CK1(CK1_1〜1_6)、信号ライン109を介して転送信号CK2(CK2_1〜2_6)がそれぞれCHIP1〜CHIP58に入力される。
図5は、SLED63の回路構成を説明する図である。本実施の形態のSLED63は、レベルシフト回路104を介して信号発生回路100に接続されている。レベルシフト回路104は、抵抗R1BとコンデンサC1、および抵抗R2BとコンデンサC2がそれぞれ並列に配置された構成を有し、それぞれの一端がSLED63の入力端子に接続され、他端が信号発生回路100の出力端子に接続されている。そして、信号発生回路100から出力される転送信号CK1R,CK1Cおよび転送信号CK2R,CK2Cに基づいて、転送信号CK1および転送信号CK2をSLED63に出力するように構成されている。
なお、本実施の形態のSLED63には、58個のSLEDチップが直列に配列されているが、図5では、1つのSLEDチップだけを示している。そして、以下の説明では、便宜上SLEDチップをSLED63と称することとする。
なお、ここでは、LED L1〜L128への電流の供給を制御するサイリスタS1〜S128とダイオードD1〜D128とで主に構成される部分を転送部と呼ぶ。
奇数番目サイリスタS1、S3、…、S127のカソード端子(出力端)K1、K3、…、K127には、信号発生回路100からレベルシフト回路104および転送電流制限抵抗R1Aを介して転送信号CK1が送信される。
また、偶数番目のサイリスタS2、S4、…、S128のカソード端子(出力端)K2、K4、…、K128には、信号発生回路100からレベルシフト回路104および転送電流制限抵抗R2Aを介して転送信号CK2が送信される。
また、各サイリスタS1〜S128のゲート端子G1〜G128と、各サイリスタS1〜S128に対応して設けられたLED L1〜L128のゲート端子とは各々接続される。
さらに、各サイリスタS1〜S128のゲート端子G1〜G128には、ダイオードD1〜D128のカソード端子が接続されている。そして、サイリスタS1〜S127のゲート端子G1〜G127には、次段のダイオードD2〜D128のアノード端子に各々接続されている。すなわち、各ダイオードD1〜D128はゲート端子G1〜G127を挟んで直列接続されている。
ダイオードD1のアノード端子は転送電流制限抵抗R2Aおよびレベルシフト回路104を介して信号発生回路100に接続され、転送信号CK2が送信される。また、LED L1〜L128のカソード端子は、信号発生回路100に接続されて、点灯信号ΦIが送信される。
図6は、信号発生回路100およびレベルシフト回路104から出力される駆動信号を示すタイミングチャートである。なお、図6に示すタイミングチャートでは、すべてのLEDが光書き込みを行う(発光する)場合について表記している。
(1)まず、画像形成装置から信号発生回路100にリセット信号(RST)が入力されることによって、信号発生回路100では、転送信号CK1Cをハイレベル(以下、「H」と記す。)、転送信号CK1Rを「H」として、転送信号CK1が「H」に設定され、また、転送信号CK2Cをローレベル(以下、「L」と記す。)、転送信号CK2Rを「L」として、転送信号CK2がローレベル(「L」)に設定されて、すべてのサイリスタS1〜S128がオフの状態に設定される(図6(a))。
(2)リセット信号(RST)に続いて、信号発生回路100から出力されるライン同期信号Lsyncが「H」になり(図6(A))、SLED63の動作を開始する。そして、このライン同期信号Lsyncに同期して、図6(E)、(F)、(G)に示すように、転送信号CK2Cおよび転送信号CK2Rを「H」として、転送信号CK2を「H」とする(図6(b))。
(3)次に、図6(C)に示すように、転送信号CK1Rを「L」にする(図6(c))。
この状態においては、サイリスタS1のゲート電流が流れ始める。その際に、信号発生回路100のトライステートバッファB1Rをハイインピーダンス(Hiz)にすることで、電流の逆流防止を行う。
その後、サイリスタS1のゲート電流により、サイリスタS1がオンし始め、ゲート電流が徐々に上昇する。それとともに、レベルシフト回路104のコンデンサC1に電流が流れ込むことで、転送信号CK1の電位も徐々に上昇する。
そして、サイリスタS1が完全にオンし、定常状態になると、サイリスタS1のオン状態を保持するための電流がレベルシフト回路104の抵抗R1Bに流れるが、コンデンサC1には流れない。
なお、このとき、図6(B)に示すように、信号発生回路100のトライステートバッファB1Cをハイインピーダンス(Hiz)に設定する(図6(e))。
(8)図6(E)に示すように、この状態で転送信号CK2Cを「L」にすると(図6(h))、サイリスタスイッチS2がターンオンする。
(9)そして、図6(B)、(C)に示すように、転送信号CK1C、CK1Rを同時に「H」にすると(図6(i))、サイリスタスイッチS1はターンオフし、抵抗R1を通って放電することによってゲートG1電位は除々に下降する。その際、サイリスタスイッチS2は完全にオンする。したがって、点灯信号端子IDからの画像データに対応した点灯信号ΦIを「L」/「H」することで、LED L2を点灯/非点灯させることが可能となる。なお、この場合ゲートG1の電位はすでにゲートG2の電位より低くなっているため、LED L1がオンすることはない。
それにより、点灯信号ΦIが出力されて画像形成が終了した後の、感光体ドラム12(図1参照)が回転を停止した状態を含んだ非定常動作時においては、SLED63の転送部に対して電流が印加されない。そのため、感光体12が回転を停止している状態では、LED L1〜L128とともに、転送部に配置されたサイリスタS1〜S128およびダイオードD1〜D128にも電流が流れることはなく、サイリスタS1〜S128およびダイオードD1〜D128から光が出射されることがないので、感光体ドラム12が不要に露光されることが抑えられている。
図7は、信号発生回路100の構成を示すブロック図である。信号発生回路100は、画像データ展開部110、濃度ムラ補正データ部112、タイミング信号発生部114、基準クロック発生部116、各SLEDチップ(CHIP1〜CHIP58)に対応して設けられた点灯時間制御・駆動部118−1〜118−58により主要部が構成されている。
画像データ展開部110には、画像処理部(IPS)40から画像データがシリアルに送信されてくる。画像データ展開部110は、送信された画像データを1〜128ドット目、129〜256ドット目、…、7297〜7424ドット目と各SLEDチップ(CHIP1〜CHIP58)毎の画像データに分割する。画像データ展開部110は点灯時間制御・駆動部118−1〜118−58と接続されており、分割した画像データを各々対応する点灯時間制御・駆動部118−1〜118−58に出力する。
EEPROM102には、各LED毎の光量補正値データが格納されている。そして、マシン電源投入時に、EEPROM102から濃度ムラ補正データ部112に対して、各LED毎の光量補正値データがダウンロードされる。それにより、濃度ムラ補正データ部112には、光量補正値データが濃度ムラ補正データCorrとして記憶される。
図8(基準クロック発生部116の構成を説明するブロック図)に示したように、基準クロック発生部116は、水晶発振器140、第2の分周器である分周器1/M142、第1の分周器である分周器1/N144、位相比較器146、および発振器である電圧制御発振器148からなるPLL回路134と、メモリであるルックアップテーブル(LUT)132とを含んで構成されている。
LUT132には、後段で詳述するように、制御部30から出力される光量調整データ(LPH14の全体光量を指示する指示信号)に対応して設定されたパルス数設定値widthと分周比M、Nとの組み合わせが、光量調整データに対応した1組のデータとしてテーブルに記憶されている。そして、LUT132は、制御部30からの光量調整データに基づいて、かかる光量調整データに対応する組み合わせの中のパルス数設定値widthを点灯時間制御・駆動部118−1〜118−58に出力する。また、LUT132は、かかる光量調整データに対応する組み合わせの中の分周比M、NをPLL回路134に出力する。
また、タイミング信号発生部114は、濃度ムラ補正データ部112および画像データ展開部110と接続されており、基準クロック発生部116からの基準クロック信号を基に、制御部30からのLsync信号と同期して、画像データ展開部110から各画素(各LED)に対応した画像データを読み出すためのデータ読出し信号、および濃度ムラ補正データ部112から各画素に対応した濃度ムラ補正データを読み出すためのデータ読出し信号を各々に対して出力している。さらに、タイミング信号発生部114は、点灯時間制御・駆動部118−1〜118−58とも接続されており、基準クロック発生部116からの基準クロック信号を基に、制御部30からのLsync信号と同期して、SLED63の点灯開始のトリガ信号を出力している。
具体的には、点灯時間制御・駆動部118−1〜118−58は、図9(点灯時間制御・駆動部118の構成を説明するブロック図)に示したように、基準信号生成部の一例としてのプリセッタブルデジタルワンショットマルチバイブレータ(PDOMV)160、直線性補正部162、AND回路170を含んで構成されている。
AND回路170は、画像データ展開部110およびタイミング信号発生部114と接続されており、画像データ展開部110からの画像データが1(ON)のときには、タイミング信号発生部114からのトリガ信号(TRG)をPDOMV160に出力し、画像データが0(OFF)のときには、トリガ信号を出力しないように設定されている。PDOMV160は、AND回路170、OR回路168、濃度ムラ補正データ部112、および基準クロック発生部116と接続されており、AND回路170からのトリガ信号に同期して濃度ムラ補正データCorrに応じたクロック数の点灯パルスを発生する。
遅延回路164−0〜164−7は、PDOMV160と接続されており、各々がPDOMV160からの点灯パルス信号を遅延させるための異なる時間が設定されている。遅延選択レジスタ166は遅延信号選択部165および点灯信号選択部169と接続されており、遅延選択レジスタ166には、SLED63内の各LED毎の遅延選択データOffset、および点灯信号選択データが格納されている。各LED毎の遅延選択データOffsetおよび点灯信号選択データは予め測定され、EEPROM102に格納されている。EEPROM102に格納された遅延選択データOffsetおよび点灯信号選択データは、マシン電源投入時に濃度ムラ補正データ部112を介して遅延選択レジスタ166にダウンロードされる。なお、格納手段としてフラッシュROMを用いることもでき、その場合には、フラッシュROM自体を遅延選択レジスタ166として機能させることができる。
図10(a)に示したように、LEDから実際に光が出射される際には、点灯信号ΦIの出力波形が完全な矩形とはならないこと等から、発光開始時間に遅延が生じ、その遅延時間も通常3〜15nsec程度のバラツキを持ったものとなる。そこで、本実施の形態のLPH14では、直線性補正部162により、画像形成装置で使用される点灯パルス幅領域において、LEDからの光の光量特性が目標光量特性とほぼ一致するように、点灯信号ΦIの点灯パルス幅をオフセットさせている。
図10(b)は、LEDへの点灯信号ΦIの点灯パルス幅にオフセット補正を行なった場合のLEDの光量特性(実線)を示したものである。図10(b)では、使用される点灯パルス幅領域の下限の点灯パルス幅(オフセット補正位置)にて、LEDの光量が目標光量と一致するように、オフセット量を定めている。そして、オフセット量は、このような方法で各LED毎に測定され、遅延選択データOffsetとしてEEPROM102に格納される。
点灯信号選択部169は、遅延選択レジスタ166に格納された点灯選択データに基づいて、AND回路167またはOR回路168からの出力のいずれか一方を選択する。そして、選択された点灯パルスが点灯信号ΦIとしてMOSFET172を介してLPH14へと出力される。
図11は、ゲイン補正およびオフセット補正が施されたLEDの光量特性を示した図である。図11では、一例として、画像形成装置で使用される点灯パルス幅領域の中央位置(ゲイン補正位置)を基準としてゲイン補正を行なった場合を示している。
このように、本実施の形態の点灯時間制御・駆動部118−1〜118−58では、各画素(各LED)の点灯パルスを濃度ムラ補正データCorrおよび遅延選択データOffsetに基づいて補正することで、画像形成装置で使用される点灯パルス幅領域での光量特性を目標光量特性とほぼ一致させて、LPH14に出力している。それにより、使用パルス幅領域において、すべてのLEDの光量が所定の範囲内に収まるように設定している。
上記したように、各LEDの点灯パルス幅は、濃度ムラ補正データCorrおよび遅延選択データOffsetに基づいて補正されて設定されている。すなわち、各LEDの点灯パルス幅は、例えば次の(1)式で表される。
点灯パルス幅=BASE・(1+Corr/128)+Offset ……(1)
なお、(1)式において、「BASE」はLEDの光量を設定する基準となる基準パルス幅である。また、本実施の形態の濃度ムラ補正データCorrは8ビットデータ(0〜255)であることから、(1)式では、濃度ムラ補正(ゲイン補正)に関する光量補正幅を最大補正値/最小補正値=3に設定した場合を示している。
このように、(1)式により点灯パルス幅が設定されることで、図11に示したように、画像形成装置で使用される点灯パルス幅領域での光量特性は目標光量特性とほぼ一致することとなり、使用パルス幅領域でのLEDの光量は所定の範囲内に収まるように設定される。
光量調整データは、例えば感光体ドラム12の感度の変動、潜像電位(暗部電位VHや明部電位VL)の変動、さらには現像器15内の現像剤量の変動等が要因となってトナー像濃度に変動が生じることから、これを一定に維持するために、LPH14での全体光量(LPH14内のLED全体の光量)を調整するために用いるデータである。そのため、光量調整データは、LPH14のSLED63内の各LEDの光量を一律に調整するための指示信号として出力される。すなわち、光量調整データは、(1)式の基準パルス幅BASEの設定値を指示するデータ(指示値)である。本実施の形態のLPH14では、光量調整データ(指示値)は、10ビット(0〜1023)のデータとして形成されている。
BASE=width/Fclkpwm ……(2)
すなわち、BASEは、基準パルス数設定値widthと基準クロック周波数Fclkpwmとで設定される。
また、基準クロック周波数Fclkpwmは、PLL回路134の水晶発振器140によって発振される水晶発振周波数Fclk_i、PLL回路134の分周器1/N144の分周比N、分周器1/M142の分周比Mを用いて、次の(3)式で表される。
Fclkpwm=M・(Fclk_i/N) ……(3)
したがって、基準パルス幅BASEは、パラメータとしての基準パルス数設定値widthと、分周器1/N144の分周比Nと、分周器1/M142の分周比Mとの組み合わせで決定され、これらを組み合わせることによりデジタル的にBASEを設定することができる。
そこで、本実施の形態のLPH14では、事前に、基準パルス幅BASEを決定するパラメータである基準パルス数設定値widthと分周比M、Nとを組み合わせて基準パルス幅BASEを計算しておく。そして、各光量調整データに対応する目標基準パルス幅BASE毎に、その計算値がかかる目標基準パルス幅BASE(ここでは、その絶対値)に最も近い値を生成する基準パルス数設定値widthと分周比M、Nとの組み合わせを選択する。そして、この基準パルス数設定値widthと分周比M、Nとの組み合わせをそれぞれ光量調整データに対応付けて、基準クロック発生部116内のLUT132にテーブルとして記憶する。
すなわち、LUT132では、制御部30から入力される光量調整データに対応させて、基準パルス幅BASEを決定するすべてのパラメータ、すなわち基準パルス数設定値widthと分周比M、Nとが各光量調整データ毎の組み合わせとしてテーブルに保持されている。
一方、光量調整データを入力したLUT132は、光量調整データに対応した基準パルス数設定値widthを点灯時間制御・駆動部118−1〜118−58に出力する。
基準クロック周波数Fclkpwmの基準クロック信号および基準パルス数設定値widthを入力した点灯時間制御・駆動部118−1〜118−58では、PDOMV160において上記した(2)式の演算が行なわれて基準パルス幅BASEが設定される。加えて、PDOMV160および直線性補正部162により(1)式の演算が行なわれて、点灯パルス幅が設定される。
(実施例1)
本実施では、デジタルカラープリンタ(画像形成装置)1のプロセススピードが167mm/sec、副走査方向の画素密度が4800dpi、水晶発振器140の水晶発振器周波数Fclk_i=32.411150Hz、基準クロック周波数Fclkpwmの調整幅が270〜330Hzに設定され、さらに、制御部30からの光量調整データによる光量調整幅レンジは、10ビット(1〜1024)のステップが用いられ、指示値が250〜1024(最大指示値/最小指示値=4)の範囲に設定されるケースを想定する。
そのため、各ステップにおける点基準パルス幅BASEの設定値がすべての使用パルス幅領域においてリニアな関係となるように設定すること可能となる。それにより、図14(指示値とLPH14の露光エネルギとの関係を示した図)に示したように、指示値とLPH14の露光エネルギとのリニアな関係を設定することができる。その結果、4800dpiといった高精細画像を形成する場合においても、すべての使用パルス幅領域において光量調整データに対応したLPH14の全体光量の設定を精度高く行なうことができ、全体光量の調整前後での各画像間に明確な濃度差が生じることを抑制することが可能となる。
本実施では、実施例1と同様の条件で、基準パルス幅BASEを決定するパラメータとして、基準パルス数設定値widthと、分周器1/M142の分周比Mと、分周器1/N144の分周比Nとを用いて、目標値との誤差が最も小さな基準パルス幅BASEを設定する組み合わせを算出するが、ここでは分周器1/N144の分周比Nは固定値とした。その算出された組み合わせを表したものが、図15である。さらに、このような組み合わせを用いて設定された基準パルス幅BASEにおける目標値との誤差(10ビット誤差)を示したものが、図16である。この場合には、図16から明らかなように、すべての光量調整領域で、誤差の絶対値を2以内に収めることが可能となった。
また、基準パルス幅BASEを決定するパラメータの内の分周器1/N144の分周比Nは固定値とするので、基準クロック発生部116内のLUT132を低コスト化するメリットがある。
また、基準パルス幅BASEを設定する基準パルス数設定値widthと分周比M、Nとの組み合わせを外部メモリ、例えばEEPROMに記憶しておくこともできる。そして、マシン電源投入時に、EEPROM102からLUT132に対して、光量調整データ(指示値)毎の基準パルス数設定値widthと分周比M、Nとの組み合わせがダウンロードされるように構成することもできる。
なお、この場合、基準パルス数設定値widthと、分周器1/N144の分周比Nと、分周器1/M142の分周比Mとのいずれか1のパラメータを固定値とし、他のパラメータを変数とすることもできる。
Claims (12)
- 画像形成装置にて像担持体を露光するプリントヘッドであって、
ライン状に配列された複数の発光素子と、
前記画像形成装置本体からの前記発光素子の全体光量を指示する指示信号に対応して設定される設定値に応じて発振周波数を制御し、当該発振周波数からなる基準クロック信号を生成可能な基準クロック発生部と、
前記画像形成装置本体からの前記指示信号に対応させて、当該全体光量を制御する基準パルス幅をパルス数設定値と前記基準クロック発生部により生成された前記基準クロック信号とにより生成する基準信号生成部と、
前記パルス数設定値と前記基準クロック信号の発振周波数を設定する前記設定値とが前記指示信号に対応した1組の組み合わせとして記憶されたメモリとを備えたことを特徴とするプリントヘッド。 - 前記メモリは、前記指示信号に対応して設定されるべき前記基準パルス幅を目標値として、前記基準パルス幅の絶対値を当該目標値に設定する前記組み合わせを記憶することを特徴とする請求項1記載のプリントヘッド。
- 前記メモリは、隣接する前記指示信号各々に対応して設定されるべき前記基準パルス幅相互の差分を目標値として、前記基準パルス幅の変化量を当該目標値に設定する前記組み合わせを記憶することを特徴とする請求項1記載のプリントヘッド。
- 前記基準クロック発生部は、水晶発振周波数を分周することで前記発振周波数を生成し、前記メモリは、前記設定値として当該水晶発振周波数の分周比を記憶することを特徴とする請求項1記載のプリントヘッド。
- 前記基準クロック発生部は、水晶発振周波数を発生する水晶発信器と、当該水晶発信器からの水晶発振周波数を分周する第1の分周器と、入力した信号を分周して出力する第2の分周器と、当該第1の分周器と当該第2の分周器とにより生成される信号の位相を比較する位相比較器と、当該位相比較器からの信号に基づいた周波数の前記基準クロック信号を生成するとともに、当該第2の分周器に当該基準クロック信号を出力する、出力周波数制御が可能な発振器とを含み、前記メモリは、前記設定値として当該第1の分周器の分周比と当該第2の分周器の分周比とを記憶することを特徴とする請求項1記載のプリントヘッド。
- 前記メモリは、ルックアップテーブルであることを特徴とする請求項1記載のプリントヘッド。
- 前記発光素子各々の光量を補正するための濃度ムラ補正データに基づいて、前記基準信号生成部により生成された前記基準パルス信号を補正して、前記発光素子各々の点灯パルス幅を設定する信号生成部をさらに備えたことを特徴とする請求項1記載のプリントヘッド。
- 感光体と、
前記感光体を露光するプリントヘッドと、
前記プリントヘッドの全体光量を指示する指示信号を出力する制御部とを有し、
前記プリントヘッドは、
ライン状に配列された複数の発光素子と、
前記発光素子全体の光量を制御するための基準パルス幅を、複数のパラメータを用いて生成する駆動回路とを備え、
前記駆動回路は、前記制御部からの前記指示信号に対応させて、前記パラメータの全部を1組とした組み合わせにより前記基準パルス幅を設定することを特徴とする画像形成装置。 - 前記プリントヘッドは、前記制御部からの前記指示信号に対応して設定された前記組み合わせを記憶したメモリをさらに備えたことを特徴とする請求項8記載の画像形成装置。
- 前記制御部からの前記指示信号に対応して設定された前記組み合わせを記憶したメモリをさらに有することを特徴とする請求項8記載の画像形成装置。
- 前記プリントヘッドの前記駆動回路は、前記指示信号に対応して設定されるべき前記基準パルス幅を目標値として、前記基準パルス幅の絶対値を当該目標値に設定する前記組み合わせにより前記基準パルス幅を設定することを特徴とする請求項8記載の画像形成装置。
- 前記プリントヘッドの前記駆動回路は、隣接する前記指示信号各々に対応して設定されるべき前記基準パルス幅相互の差分を目標値として、前記基準パルス幅の変化量を当該目標値に設定する前記組み合わせにより前記基準パルス幅を設定することを特徴とする請求項8記載の画像形成装置。
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