JP4800612B2 - 多周波帯用フィードフォワード増幅装置 - Google Patents
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Description
次に、歪除去回路200について説明する。歪検出回路100の出力は、電力合成器及び電力分配部302を介して、主信号経路201と歪注入経路202に分配される。主信号経路201には、歪検出回路100の主増幅器信号経路101での主増幅器101-3の出力が入力される。また、歪注入経路202には、歪検出回路100で検出された主増幅器101-3の歪成分そのものが入力される。主信号経路201と歪注入経路202の出力信号が、等振幅、かつ逆位相になるように歪注入経路202の可変位相器202-1と可変減衰器202-2を調整する。この結果、歪除去回路200の出力端において、主増幅器101-3の歪成分を逆位相等振幅で注入されているため、増幅回路全体の歪成分の相殺が実現される。
以上が、理想的なフィードフォワード増幅装置の動作である。実際には、歪検出回路100及び歪除去回路200とのそれぞれの回路の平衡性を完全に保持することは容易ではない。また、仮に初期設定が完全であっても、周囲温度、電源等の変動により増幅器の特性が変化するため、時間的に安定して良好な平均性を維持することはきわめて困難である。
特許文献2及び特許文献3では或る単一の送信帯域、例えば2GHz帯域内20MHzを複数のバンドパスフィルタで細分化し、細分化して抽出した信号を増幅し、細分化した各周波数毎に増幅器で発生する振幅ずれや位相ずれを補償し、歪補償精度を高めることができるフィードフォワード増幅装置を提案している。
具体的に述べると、それぞれの周波数帯で歪補償の行なえるフィードフォワード増幅装置を共通した遅延線路により組み合わせた場合、歪検出回路及び歪除去回路のベクトル調整器にはそれぞれの周波数帯の信号が入力される。それらのベクトル調整器は複数の周波数帯に対して、それぞれの周波数帯に最適なベクトル調整を行なうことができない。例えば、800MHz帯と1.5GHz帯の信号が同一のベクトル調整器に入力される場合、いずれかの周波数帯に対して最適なベクトル調整を行なうことができるが、他方の周波数帯に対して最適なベクトル調整を行なうことができない。すなわち、他方の周波数帯では歪補償を行なうことができない。これは、ベクトル調整器が単一の周波数帯に対して振幅と位相を調整できるためである。
この発明によれば、歪検出回路と歪除去回路を有するフィードフォワード増幅装置であり、上記歪検出回路は、
第1遅延手段により構成された第1線形信号経路と、
N個の第1ベクトル調整経路と、Nは2以上の整数であり、
上記歪検出回路への入力信号を上記線形信号経路と上記N個の第1ベクトル調整経路に分配する第1分配部と、
上記N個の第1ベクトル調整経路にそれぞれ設けられ、互いに離散的な周波数帯の信号を抽出するN個の第1周波数帯抽出器と、
上記N個の第1ベクトル調整経路にそれぞれ設けられ、上記第1周波数帯抽出器の出力信号の位相と振幅を調整するN個の第1ベクトル調整器と、
上記N個の第1ベクトル調整器の出力を増幅する第1多周波帯増幅部と、
上記第1線形信号経路の出力と上記第1多周波帯増幅部の出力を合成して出力する第1合成部、
とを含むように構成されている。
第2遅延手段により構成された第2線形信号経路と、
N個の第2ベクトル調整経路と、Nは2以上の整数であり、
上記歪除去回路の入力信号を上記線形信号経路と上記N個の第2ベクトル調整経路に分配する第2分配部と、
上記N個の第2ベクトル調整経路にそれぞれ設けられ、互いに離散的な周波数帯の信号を抽出するN個の第2周波数帯抽出器と、
上記N個の第2ベクトル調整経路にそれぞれ設けられ、上記第2周波数帯抽出器の出力信号の位相と振幅を調整するN個の第2ベクトル調整器と、
上記N個の第2ベクトル調整器の出力を増幅する第2多周波帯増幅部と、
上記第2線形信号経路の出力と上記第2多周波帯増幅部の出力を合成して出力する第2合成部、
とを含み、
上記N個の各第1周波数帯抽出器は、残りのN-1個の第1周波数帯抽出器のそれぞれの周波数帯をそれぞれ阻止するN-1個の縦続接続された第1帯域阻止フィルタで構成されており、上記N個の各第2周波数帯抽出器は、残りのN-1個の第2周波数帯抽出器のそれぞれの周波数帯をそれぞれ阻止するN-1個の縦続接続された第2帯域阻止フィルタで構成されており、
上記歪検出回路の上記第1合成部は、上記第1線形信号経路の出力と上記第1多周波帯増幅部の出力との和成分と差成分をそれぞれ上記第2線形信号経路と上記N個の第2ベクトル調整経路とに分配する合成・分配器で構成されており、更に、
上記合成・分配器の上記差成分の出力側に挿入された第1信号抽出手段と、
上記第1信号抽出手段の出力が入力され、上記N個の周波数帯の信号を検出する第1信号検出手段と、
上記第2合成部の出力側に挿入された第2信号抽出手段と、
上記第2信号抽出手段の出力が入力され、上記N個の周波数帯の信号を検出する第2信号検出手段と、
上記第1及び第2信号検出手段の出力が与えられ、上記N個の第1ベクトル調整器及び上記第2ベクトル調整器をそれぞれ制御する制御手段、
とを含む。
複数の周波数帯を一括して増幅するフィードフォワード増幅装置の構成を簡易化し、低消費電力化が実現できる。
本発明の構成によれば線形信号経路を構成する遅延線路の電気長差によらずそれぞれの周波数帯ごとに所定の歪補償量を達成する調整を行なうことができる。
第1周波数帯ベクトル調整経路11は中心周波数f1の第1周波数帯信号を抽出する第1周波数帯抽出器11-1と、第1周波数帯信号の振幅と位相を調整するベクトル調整器11-2とを含む。第2周波数帯ベクトル調整経路12は中心周波数f2の第2周波数帯信号を抽出する第2周波数帯抽出器12-1と、第2周波数帯信号の振幅と位相を調整するベクトル調整器12-2を含む。これらベクトル調整器11-2, 12-2の出力は多周波帯増幅部20で増幅される。
図3に第1及び第2周波数帯抽出器11-1, 12-1を帯域通過フィルタで構成した場合の周波数対減衰特性をそれぞれ実線と破線で概念的に示す。中心周波数がそれぞれf1, f2の周波数帯の帯域外で急峻に減衰量が増大し、周波数帯間の分離が十分な特性とする必要がある。そのような特性は一般に複数のバンドバスフィルタを縦続接続して得ることができる。
以下に各部の実施例を説明する。各実施例において、部を称する部分はアナログ回路で構成できることは無論のこと、演算処理装置とソフトウエアによっても実現可能な部分を示す。
図6は図2に示した多周波帯信号処理回路のより具体的な第1の構成例を示す。この第1の構成例は、図2における多周波帯増幅部20をそれぞれの周波数帯ごとに増幅する個別増幅器11-3, 12-3とそれらの増幅器の出力を合成して多周波帯増幅部20の出力とする合成器21により構成されている。また、分配部30は、入力信号を2つに分配し、分配された一方を線形信号経路10に与える分配器30-1と、分配された他方をそれぞれの周波数帯のベクトル調整経路11,12に分配する分配器30-2とで構成されている。各周波数帯のベクトル調整経路11,12による信号ベクトルの調整と、それによって合成部40の出力端子41,42に得られる差成分と和成分は図2の場合と同様であり、説明を省略する。それぞれのベクトル調整経路の出力信号を合成する合成器21は方向性結合器、ウィルキンソン形電力合成器などを用いることができる。
第1実施例
図8にこの発明によるフィードフォワード増幅装置の第1実施例を示す。この実施例は、歪検出回路100として図6に示した多周波帯信号処理回路を適用し、その各部の参照番号にAを付加して示し、歪除去回路200として同様に図6の多周波帯信号処理回路を適用し、その各部の参照番号にBを付加して示している。なお、以降のすべての実施例においても図と説明を簡単にするため、使用周波数帯の数を2として説明するが、一般に2以上の任意の数の周波数帯を使用してもよい。
このような歪除去回路200での歪除去量を実現するには、歪検出回路100と歪除去回路200において図2で説明した多周波帯信号処理回路におけるベクトル調整を行えばよい。
図9は2周波数帯の信号を図8のフィードフォワード増幅装置により増幅した場合の歪補償量を概念的に示している。この発明のフィードフォワード増幅装置によれば、増幅した中心周波数f1とf2の各周波数帯の信号に含まれる主増幅器20Aの歪成分がそれぞれの周波数帯ごとに独立して所定の値(目標値)以下となるよう、各周波数帯ごとに歪検出回路100及び歪除去回路200のベクトル調整器11-2A, 11-2B, 12-2A, 12-2Bを調整する。
第1実施例に示したフィードフォワード増幅装置におけるベクトル調整器11-2A,及び12-2Aは、線形信号経路10Aと並列に設けてもよく、同様にベクトル調整器11-2B, 12-2Bも線形信号経路10Bと並列に設けてもよい。これは以下の全ての実施例にも当てはまる。
第2実施例
図10に第2実施例を示す。第2実施例は、図8の実施例における歪除去回路200として図7に示した多周波帯信号処理回路を適用したものである。この第2実施例のフィードフォワード増幅装置においても、それぞれの周波数帯ごとにベクトル調整器11-2A, 11-2B及び12-2A, 12-2Bを用いてベクトル調整するため、それぞれの周波数帯ごとに独立して歪補償を行なうことができる。各ベクトル調整経路のそれぞれのアイソレーションが十分にとれていれば、1つの周波数帯のベクトル調整器を調整しても他方の周波数帯のベクトル調整器に影響を与えない。このようにして、複数の周波数帯のベクトル調整器を独立に調整できる。必要に応じて所望のベクトル調整経路の追加によりフィードフォワード増幅装置が歪補償する周波数帯を柔軟に追加することができる。
第3実施例
図11に第3実施例を示す。第3実施例は、図8の実施例における歪検出回路100として図7に示した多周波帯信号処理回路を適用したものである。第3実施例のフィードフォワード増幅装置も、それぞれの周波数帯ごとにベクトル調整器11-2A, 11-2B及び12-2A, 12-2Bを用いてベクトル調整を行うため、それぞれの周波数帯ごとに独立して歪補償を行なうことができる。
第4実施例
図12に第4実施例を示す。第4実施例は、図8の実施例における歪検出回路100と歪除去回路200の両方に図7の多周波帯信号処理回路を適用したものである。
歪検出回路100の主増幅器20Aは複数の周波数帯を同時に増幅する共通増幅器23Aで構成され、また、歪除去回路200の補助増幅器23Bも複数の周波数帯を同時に増幅する共通増幅器23Bで構成されている。主増幅器20A及び補助増幅器20Bをそれぞれ単一の増幅器で構成することで増幅器の使用個数低減による装置の簡易化と低消費電力化を達することができる。
第5実施例
図13は図6に示した多周波帯信号処理回路におけるベクトル調整器11-2, 12-2に対する自動調整を可能とさせる多周波帯信号処理回路の実施例を示す。この実施例は図8,10,11のフィードフォワード増幅装置における歪検出回路100及び/または歪除去回路200に適用可能である。
入力信号は異なる周波数帯の2波とする。ベクトル調整経路11では、入力信号の第1周波数帯を第1周波数帯抽出器11-1で抽出し、ベクトル調整器11-2にてベクトル調整が行われる。同様に、入力信号の第2周波数帯を第2周波数帯抽出器12-1で抽出し、ベクトル調整部12-2にてベクトル調整が行われる。合成部40は多周波帯増幅部20の個別増幅器11-3, 12-3を介して2つのベクトル調整器11-2, 12-2から与えられた信号と線形信号経路10の出力信号を合成する。この合成部40の出力において、それぞれのベクトル調整経路11,12にて調整された信号が線形信号経路10の出力信号をキャンセルするようにそれぞれの周波数帯ごとに逆位相、等遅延、等振幅に調整される。
第6実施例
図14は図8,10,11のフィードフォワード増幅装置における歪検出回路100及び/又は歪除去回路200に適用可能な多周波帯信号処理回路の実施例を示す。この実施例は図13の多周波帯信号処理回路において2つの制御器651,652を一体化して1つの制御器65としたものである。
第7実施例
図15は図8,10,11のフィードフォワード増幅装置における歪検出回路100及び/又は歪除去回路200に適用可能な多周波帯信号処理回路の実施例を示す。この実施例は、図14の多周波帯信号処理回路において、2つの信号発生器511,512と合成器53を1つの信号発生器51に置き換え、分配器62と2つの信号検出器641,642を1つの信号検出器64に置き換えた構成となっている。
制御器65は、第1周波数帯用ベクトル調整器11-2の調整後に信号発生器51に第2周波数帯のパイロット信号Pf2を発生するよう指示する。制御器65は、第1周波数帯用ベクトル調整器11-2の調整と同様に、信号検出器64で検出した第2周波数帯のパイロット信号Pf2のレベルを最小にするように、第2周波数帯用ベクトル調整器12-2を制御する。第1周波数帯用ベクトル調整器11-2と第2周波数帯用ベクトル調整器12-2は、異なる時間に検出されたそれぞれのパイロット信号Pf1, Pf2のレベルを最小にするように制御器65により交互に制御される。
第8実施例
図16は図10,11、12のフィードフォワード増幅装置における歪検出回路100及び/又は歪除去回路200に適用可能な多周波帯信号処理回路の実施例を示す。この実施例は、図13の実施例において多周波帯増幅部20を図7の場合と同様に合成器21と共通増幅器23により構成したものである。多周波帯増幅部20は、共通の増幅器23により構成されているため、第1周波数帯と第2周波数帯のベクトル調整は相互に依存しやすくなっている。このため、2つの制御器651,652は、それぞれの参照するパイロット信号Pf1, Pf2のレベルを最小にするように交互に制御を行う。他の構成と動作は図13の場合と同様であり、説明を省略する。
第9実施例
図17は図10,11、12のフィードフォワード増幅装置における歪検出回路100及び/又は歪除去回路200に適用可能な多周波帯信号処理回路の実施例を示す。この実施例は、図16の実施例において2つの制御器651,652を1つの制御器65に一体化したものである。第1周波数帯用ベクトル調整器11-2と第2周波数帯用ベクトル調整器12-2は、検出されたそれぞれのパイロット信号Pf1, Pf2のレベルが最小となるように、制御器65により交互に制御される。その他の構成及び動作は図16の実施例と同様であり、説明を省略する。また、第1周波数帯用ベクトル調整器11-2と第2周波数帯用ベクトル調整器12-2は、それぞれのパイロット信号のレベルを最小にするように制御器65により同時に制御してもよい。
第10実施例
図18は図10,11、12のフィードフォワード増幅装置における歪検出回路100及び/又は歪除去回路200に適用可能な多周波帯信号処理回路の実施例を示す。この実施例は、図15の実施例において多周波帯増幅部20の2つの個別増幅器11-3, 12-3と合成器21を第1及び第2周波数帯用ベクトル調整経路11,12の出力を合成する合成器21と、その合成出力を増幅する共通の増幅器23で置き換えたものである。その他の構成及び動作は図15の場合と同様であり、説明を省略する。
第11実施例
図19にフィードフォワード増幅装置の実施例を示す。この実施例は、図8、10,11,12に示したフィードフォワード増幅装置の任意の実施例に対し、ベクトル調整器11-2A, 12-2A, 11-2B, 12-2Bの調整を自動的に行う機能構成を付加したものである。従って、主増幅器20A及び補助増幅器20Bはいずれも周波数帯ごとの複数の個別増幅器で構成してもよいし、1つの共通増幅器で構成してもよい。また、この実施例を含む以降のすべての実施例においては、各周波数帯抽出器11-1A, 12-1A, 11-1B, 12-1Bをバンドエリミネーションフィルタ(BEF)で構成した例として示すが、バンドパスフィルタ(BPF)で構成してもよい。
歪除去回路200の歪注入経路に分配された差成分信号を分配する分配器57Aが分配器30-2Bの入力側に設けられており、その分配出力をさらに2分配する分配器62Aと、それら2分配された信号が与えられ、第1周波数帯用パイロット信号Pf1A及び第2周波数帯用パイロット信号Pf2Aを検出する第1周波数帯用第1信号検出器641A及び第2周波数帯用第1信号検出器642Aと、それらの検出パイロット信号Pf1A, Pf2Aに基づいてそれぞれの周波数帯用ベクトル調整器11-2A, 12-2Aを制御する制御器651A, 652Aが設けられている。
第12実施例
図20にフィードフォワード増幅装置の実施例を示す。第12実施例は、図19の実施例において歪検出回路100の2つのベクトル調整器11-2A, 12-2Aを調整する2つの制御器651A, 652Aを1つの制御器65Aに置き換え、歪除去回路200の2つのベクトル調整器11-2B, 12-2Bを制御する2つの制御器651B, 652Bを1つの制御器65Bに置き換えた構成であり、その他の部分は図19の実施例と同様である。従って、制御器65Aは検出されたパイロット信号Pf1A, Pf2Aが与えられ、それらのレベルが最小となるようにベクトル調整器11-2A, 12-2Aを調整する。同様に、制御器65Bは検出されたパイロット信号Pf1B, Pf2Bが与えられ、それらのレベルが最小となるようにベクトル調整器11-2B, 12-2Bを調整する。
第13実施例
図21はフィードフォワード増幅装置の実施例を示す。第13実施例は図19の実施例において、2つの第1信号発生器511A, 512Aと合成器53の代わりに1つの第1信号発生器51Aにより第1及び第2周波数帯のパイロット信号Pf1A, Pf2Aを切り替えて発生し、また、2つの第2信号発生器511B, 512Bの代わりに1つの第2信号発生器51Bと切替器56により第1及び第2周波数帯のパイロット信号Pf1B, Pf2Bを切り替えて発生させるように構成したものである。それに伴って、図19における分配器62Aと2つの第1信号検出器641A, 642Aと2つの制御器651A, 652Aは1つの第1信号検出器64Aと1つの制御器65Aに置き換えられている。また、分配器62Bと2つの第2信号検出器641B, 642Bと2つの制御器651B, 652Bは1つの第2信号検出器64Bと1つの制御器65Bに置き換えられている。
同様に、歪除去回路200において、第1周波数帯用のベクトル調整器11-2Bを調整する場合は、制御器65Bは第2信号発生器51Bに第1周波数帯のパイロット信号Pf1Bを発生させ、切替器56によりパイロット信号Pf1Bを合成器551に与えるよう制御し、第2信号検出器64Bによるパイロット信号Pf1Bの検出レベルが最小となるようにベクトル調整器11-2Bを調整する。第2周波数帯用のベクトル調整器12-2Bを調整する場合は、制御器65Bは第2信号発生器51Bに第2周波数帯のパイロット信号Pf2Bを発生させ、切替器56によりパイロット信号Pf2Bを合成器552に与えるよう制御し、第2信号検出器64Bによるパイロット信号Pf2Bの検出レベルが最小となるようにベクトル調整器12-2Bを調整する。歪除去回路200においても、第1及び第2周波数帯用ベクトル調整経路11B,12B間のアイソレーションが低い場合は、ベクトル調整器11-2B, 12-2Bの調整を交互に複数回繰り返す。
第14実施例
図22はフィードフォワード増幅装置の実施例を示す。第14実施例は図21の実施例において、歪検出回路100用の共通の制御器65Aと歪除去回路200用の共通の制御器65Bを1つの制御器65に一体化した構成である。図22における実施例の共通の制御器65は、第1信号発生器51Aと、第2信号発生器51Bと、切替器56と、歪検出回路100のベクトル調整器11-2A, 12-2Aと、歪除去回路200のベクトル調整器11-2B, 12-2Bを制御する。
第15実施例
図23は図19,20の各実施例において主増幅器20Aを1つの共通増幅器で構成した場合に、パイロット信号Pf1B, Pf2Bを注入する別の方法を示す歪検出回路100の実施例を示す。ここでは主増幅器20Aの合成器21Aと共通増幅器23Aの間に合成器55を設け、2つの第2信号発生器511B, 512Bからのパイロット信号Pf1B, Pf2Bを合成器53Bで合成し、さらに合成器55を通して共通増幅器23Aに入力する。
第16実施例
図24は図7の多周波帯信号処理回路に対し、パイロット信号を使用しないでベクトル調整を行う機能構成を与えた多周波帯信号処理回路の実施例を示す。この実施例は、図6の実施例において、合成部40の出力側に設けた分配器57と、分配器57から分配された各周波数帯の信号を検出する信号検出器64と、検出された信号に基づいて第1及び第2周波数帯のベクトル調整器11-2, 12-2を調整する制御器65とが追加された構成となっている。
第1周波数帯用ベクトル調整器11-2と第2周波数帯用ベクトル調整器12-2波、異なる時間に検出されたそれぞれの送信信号のレベルを最小にするように、制御器65により交互に制御される。
第17実施例
図25に第17実施例を示す。この実施例は、図24の多周波帯信号処理回路において、入力側に設けた分配器52と、分配器52の分配出力から多周波帯信号処理回路の入力信号をモニタするための遅延線路59と、遅延線路59の出力と分配器57Bの分配出力から多周波帯信号処理回路の入力と出力の差分をとり、信号検出器64に与える減算器63とをさらに含む構成である。
第18実施例
図26は第18実施例を示す。この実施例は図22の実施例において信号発生器51A,51Bを使用せず、送信信号を用いてベクトル調整器を制御する構成である。従って、図22における信号発生器51A,51B、合成器54、切替器56、合成器551,552は除去されている。また、図22の実施例においては、主増幅器20A及び補助増幅器20Bをもそれぞれ共通増幅器23A,23Bにより構成しているが、これらは周波数帯ごとの個別増幅器で構成してもよい。
第1信号検出器64Aには分配器57Aを介して合成・分配器40Aの差成分出力が与えられる。共通の制御器65は、第1信号検出器64Aの出力が主増幅器20Aで発生する歪成分となるように歪検出回路100のベクトル調整器11-2A, 12-2Aを制御する。第2信号検出器64Bにはフィードフォワード増幅装置の出力信号が分配器57Bを介して与えられる。共通の制御器65は、第2信号検出器64Bの出力中の歪成分を最小にするように歪除去回路200のベクトル調整器11-2B, 12-2Bを制御する。このように、それぞれのベクトル調整器を制御することで、フィードフォワード増幅装置の自動調整を行うことができる。
第19実施例
図27は第19実施例を示す。この実施例は、図26の実施例にさらにフィードフォワード増幅装置の入力側に設けた分配器58と、分配器58で分配されたフィードフォワード増幅装置の入力信号を伝送する遅延線路59と、遅延線路59の出力と分配器57Bからの分配出力の差分をとり、第2信号検出器64Bに与える減算器63とを新たに設けている。これにより、遅延線路59への分配係数を最適に選択することで、第2信号検出器64Bの入力信号をフィードフォワード増幅装置の出力の歪成分とすることができる。この構成により、第2信号検出器64Bで検出する信号は歪成分となるため、フィードフォワード増幅装置の出力にて歪成分を除去するための歪除去回路200のベクトル調整器11-2B, 12-2Bの制御を容易にできる。
Claims (16)
- 歪検出回路と歪除去回路を有するフィードフォワード増幅装置であり、上記歪検出回路は、
第1遅延手段により構成された第1線形信号経路と、
N個の第1ベクトル調整経路と、Nは2以上の整数であり、
上記歪検出回路と上記歪除去回路の上記少なくとも一方への入力信号を上記線形信号経路と上記N個の第1ベクトル調整経路に分配する第1分配部と、
上記N個の第1ベクトル調整経路にそれぞれ設けられ、互いに離散的な周波数帯の信号を抽出するN個の第1周波数帯抽出器と、
上記N個の第1ベクトル調整経路にそれぞれ設けられ、上記第1周波数帯抽出器の出力信号の位相と振幅を調整するN個の第1ベクトル調整器と、
上記N個の第1ベクトル調整器の出力を増幅する第1多周波帯増幅部と、
上記第1線形信号経路の出力と上記第1多周波帯増幅部の出力を合成して出力する第1合成部、
とを含み、上記歪除去回路は、
第2遅延手段により構成された第2線形信号経路と、
N個の第2ベクトル調整経路と、
上記N個の第2ベクトル調整経路にそれぞれ設けられ、上記N個の第1周波数帯抽出器とそれぞれ同じ周波数帯の信号を抽出するN個の第2周波数帯抽出器と、
上記N個の第2ベクトル調整経路にそれぞれ設けられ、上記第2周波数帯抽出器の出力信号の位相と振幅を調整するN個の第2ベクトル調整器と、
上記N個の第2ベクトル調整器の出力を増幅する第2多周波帯増幅部と、
上記第2線形信号経路の出力と上記第2多周波帯増幅部の出力を合成して出力する第2合成部、
とを含み、
上記N個の各第1周波数帯抽出器は、残りのN-1個の第1周波数帯抽出器のそれぞれの周波数帯をそれぞれ阻止するN-1個の縦続接続された第1帯域阻止フィルタで構成されており、上記N個の各第2周波数帯抽出器は、残りのN-1個の第2周波数帯抽出器のそれぞれの周波数帯をそれぞれ阻止するN-1個の縦続接続された第2帯域阻止フィルタで構成されており、
上記歪検出回路の上記第1合成部は、上記第1線形信号経路の出力と上記第1多周波帯増幅部の出力との和成分と差成分をそれぞれ上記第2線形信号経路と上記N個の第2ベクトル調整経路とに分配する合成・分配器で構成されており、更に、
上記合成・分配器の上記差成分の出力側に挿入された第1信号抽出手段と、
上記第1信号抽出手段の出力が入力され、上記N個の周波数帯の信号を検出する第1信号検出手段と、
上記第2合成部の出力側に挿入された第2信号抽出手段と、
上記第2信号抽出手段の出力が入力され、上記N個の周波数帯の信号を検出する第2信号検出手段と、
上記第1及び第2信号検出手段の出力が与えられ、上記N個の第1ベクトル調整器及び上記第2ベクトル調整器をそれぞれ制御する制御手段、
とを含むことを特徴とする多周波帯用フィードフォワード増幅装置。 - 請求項1記載のフィードフォワード増幅装置において、上記第1多周波帯増幅部は、上記N個の第1ベクトル調整器の出力をそれぞれ個別に増幅するN個の第1増幅器と、上記N個の第1増幅器の出力を合成し、上記第1多周波帯増幅部の出力とする第1出力合成器とを含み、上記第2多周波帯増幅部は、上記N個の第2ベクトル調整器の出力をそれぞれ個別に増幅するN個の第2増幅器と、上記N個の第2増幅器の出力を合成し、上記第2多周波帯増幅部の出力とする第2出力合成器とを含むことを特徴とする多周波帯用フィードフォワード増幅装置。
- 請求項1記載のフィードフォワード増幅装置において、上記第1多周波帯増幅部は、上記N個の第1ベクトル調整器の出力を合成する第1出力合成器と、上記第1出力合成器の出力を増幅し、上記第1多周波帯増幅部の出力とする共通の第1増幅器とを含み、上記第2多周波帯増幅部は、上記N個の第2ベクトル調整器の出力をそれぞれ個別に増幅するN個の第2増幅器と、上記N個の第2増幅器の出力を合成し、上記第2多周波帯増幅部の出力とする第2出力合成器とを含むことを特徴とする多周波帯用フィードフォワード増幅装置。
- 請求項1記載のフィードフォワード増幅装置において、上記第1多周波帯増幅部は、上記N個の第1ベクトル調整器の出力をそれぞれ個別に増幅するN個の第1増幅器と、上記N個の第1増幅器の出力を合成し、上記第1多周波帯増幅部の出力とする第1出力合成器とを含み、上記第2多周波帯増幅部は、上記N個の第2ベクトル調整器の出力を合成する第2出力合成器と、上記第2出力合成器の出力を増幅し、上記第2多周波帯増幅部の出力とする共通の第2増幅器とを含むことを特徴とする多周波帯用フィードフォワード増幅装置。
- 請求項1記載のフィードフォワード増幅装置において、上記第1多周波帯増幅部は、上記N個の第1ベクトル調整器の出力を合成する第1出力合成器と、上記第1出力合成器の出力を増幅し、上記第1多周波帯増幅部の出力とする共通の第1増幅器とを含み、上記第2多周波帯増幅部は、上記N個の第2ベクトル調整器の出力を合成する第2出力合成器と、上記第2出力合成器の出力を増幅し、上記第2多周波帯増幅部の出力とする共通の第2増幅器とを含むことを特徴とする多周波帯用フィードフォワード増幅装置。
- 請求項1記載のフィードフォワード増幅装置において、
上記第1信号検出手段は、上記N個の周波数帯の信号を検出するN個の第1信号検出器を含み、
上記第2信号検出手段は、上記N個の周波数帯の信号を検出するN個の第2信号検出器を含み、
上記制御手段は、上記N個の第1ベクトル調整器を制御するN個の第1制御器と、上記N個の第2ベクトル調整器を制御するN個の第2制御器とを含むことを特徴とする多周波帯用フィードフォワード増幅装置。 - 請求項1記載のフィードフォワード増幅装置において、
上記第1信号検出手段は、上記N個の周波数帯の信号を検出する1つの第1信号検出器を含み、
上記第2信号検出手段は、上記N個の周波数帯の信号を検出する1つの第2信号検出器を含み、
上記制御手段は、上記N個の第1ベクトル調整器を制御する1つの第1制御器と、上記N個の第2ベクトル調整器を制御する1つの第2制御器とを含むことを特徴とする多周波帯用フィードフォワード増幅装置。 - 請求項1記載のフィードフォワード増幅装置において、
上記第1信号検出手段は、上記N個の周波数帯の信号を検出するN個の第1信号検出器を含み、
上記第2信号検出手段は、上記N個の周波数帯の信号を検出するN個の第2信号検出器を含み、
上記制御手段は、上記N個の第1ベクトル調整器を制御する1つの第1制御器と、上記N個の第2ベクトル調整器を制御する1つの第2制御器とを含むことを特徴とする多周波帯用フィードフォワード増幅装置。 - 請求項1記載のフィードフォワード増幅装置において、
上記第1信号検出手段は、上記N個の周波数帯の信号を検出するN個の第1信号検出器を含み、
上記第2信号検出手段は、上記N個の周波数帯の信号を検出するN個の第2信号検出器を含み、
上記制御手段は、上記N個の第1ベクトル調整器を制御し、上記N個の第2ベクトル調整器を制御する1つの制御器を含むことを特徴とする多周波帯用フィードフォワード増幅装置。 - 請求項1記載のフィードフォワード増幅装置において、
上記第1信号検出手段は、上記N個の周波数帯の信号を検出する1つの第1信号検出器を含み、
上記第2信号検出手段は、上記N個の周波数帯の信号を検出する1つの第2信号検出器を含み、
上記制御手段は、上記N個の第1ベクトル調整器を制御し、上記N個の第2ベクトル調整器を制御する1つの制御器を含むことを特徴とする多周波帯用フィードフォワード増幅装置。 - 請求項1記載のフィードフォワード増幅装置において、
上記N個の周波数帯の第1パイロット信号を発生するN個の第1信号発生器と、
上記N個の第1信号発生器の出力を上記歪検出回路の入力に注入する第1信号注入手段と、
上記N個の周波数帯の第2パイロット信号を発生するN個の第2信号発生器と、
上記N個の第2信号発生器の出力を上記第1多周波帯増幅部の入力に注入する第2信号注入手段、
とをさらに含み、上記第1信号検出手段は上記N個の周波数帯の信号として上記N個の第1パイロット信号を検出し、上記第2信号検出手段は上記N個の周波数帯の信号として上記N個の第2パイロット信号を検出することを特徴とする多周波帯用フィードフォワード増幅装置。 - 請求項1記載のフィードフォワード増幅装置において、
上記N個の周波数帯の第1パイロット信号を発生する1つの第1信号発生器と、
上記第1信号発生器の出力を上記歪検出回路の入力に注入する第1信号注入手段と、
上記N個の周波数帯の第2パイロット信号を発生する1つの第2信号発生器と、
上記第2信号発生器の出力を上記第1多周波帯増幅部の入力に注入する第2信号注入手段、
とをさらに含み、上記第1信号検出手段は上記N個の周波数帯の信号として上記N個の第1パイロット信号を検出し、上記第2信号検出手段は上記N個の周波数帯の信号として上記N個の第2パイロット信号を検出することを特徴とする多周波帯用フィードフォワード増幅装置。 - 請求項1記載のフィードフォワード増幅装置において、
上記第1信号検出手段は上記N個の周波数帯の信号として上記第1多周波帯増幅部が増幅した送信信号成分を検出することを特徴とする多周波帯用フィードフォワード増幅装置。 - 請求項1記載のフィードフォワード増幅装置において、
上記第2信号検出手段は上記N個の周波数帯の信号として上記第1多周波帯増幅部が発生した歪成分を検出することを特徴とする多周波帯用フィードフォワード増幅装置。 - 請求項1記載のフィードフォワード増幅装置において、
上記制御手段は、上記第1信号検出手段及び上記第2信号検出手段の出力レベルを最小にするように上記N個の第1ベクトル調整器及び上記N個の第2ベクトル調整器を切り替えて制御することを特徴とする多周波帯用フィードフォワード増幅装置。 - 請求項1記載のフィードフォワード増幅装置において、
上記制御手段は、上記の第1信号検出手段の出力レベルと上記第2信号検出手段の出力レベルを最小にするように、上記N個の第1ベクトル調整器と、上記N個の第2ベクトル調整器を同時に制御することを特徴とする多周波帯用フィードフォワード増幅装置。
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