JP2541119C - - Google Patents

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JP2541119C
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【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は線形増幅器に係り、特にフィードフォワードルー
プにより増幅した入力信号中の歪みを検出し、その検出歪みを抑圧して増幅した
入力信号を出力する線形増幅器に関する。 【0002】 【従来の技術】従来より、高周波数帯の多周波同時増幅等に使用される線形増幅
器としてフィードフォワード増幅器が知られている(特開平1−198809号
公報)。図3はこの従来のフィードフォワード増幅器の一例の構成図を示す。同
図において、フィードフォワード増幅器は、入力端子1からの高周波数帯の入力
多周波多重信号を主増幅器4により同時増幅すると共に、入力された信号成分を
相殺しその増幅の際に生じた非線形歪み成分を検出する歪み検出ループAと、そ
の検出した歪み成分を補助増幅器15を用いて増幅した後、主増幅器4出力に再
び注入することにより、歪み成分の相殺を行う歪み除去ループBとを有する構成
である。 【0003】上記の歪み検出ループAは、2分配器2、減衰量と移相量を調整す
ることができるベクトル調整器3、主増幅器4、遅延線6及び制御回路9よりな
り、更に、結合器7及び8がそれぞれ後述する歪み除去ループBと共通に設けら
れている。また、主増幅器4はパイロット発振器5からの特定周波数のパイロッ
ト信号を入力信号に加算して、入力信号と共に増幅する。制御回路9は、補助増
幅器14の手前で入力信号成分を観測し、入力信号レベルが最小となるようにベ
クトル調整器3を制御する。 【0004】また、上記の歪み除去ループBは、結合器10、遅延線11、結合
器12、減衰量と移相量を調整することができるベクトル調整器13、制御回路
14、補助増幅器15及び結合器16よりなる。制御回路14は、パイロット信
号をフィードフォワード回路の出力経路で結合器16を介して検出し、パイロッ
ト信号の検出レベルが最小となるよう、ベクトル調整器13を制御する。 【0005】かかる構成の従来の線形増幅器(フィードフォワード増幅器)の動
作について説明するに、入力端子1に入力された高周波数帯の多周波多重信号は
、2分配器2により2分配され、一方の信号はベクトル調整器3によりその減衰
量と移相量が調整された後主増幅器4に供給され、ここでパイロット発振器5よ
りのパイロット信号と多重された後増幅され、更に結合器7、遅延線11を介し
て結合器12に入力される。この結合器12の入力信号は主増幅信号で、主増幅
器4により発生した歪み成分が含まれている。 【0006】2分配器2により分配された他方の信号は、遅延線6によりベクト ル調整器3及び主増幅器4の信号遅延時間と同等の遅延時間を付与された後、結
合器8において、結合器7により分岐された一部の主増幅信号と逆相で合成され
た後、結合器10に入力される。結合器10により分岐された一部の入力信号は
、制御回路9に供給される。制御回路9はその入力信号レベルが最小となるよう
に、ベクトル調整器3の減衰量と移相量を調整する。 【0007】ここで、2分配器2の出力端から結合器8までの構成要素は遅延線
6のみであり歪みの発生はないので、上記の歪み検出ループAの動作が適切であ
れば、ベクトル調整器3及び主増幅器4をそれぞれ通過した、増幅された入力信
号中に混入または発生した歪み成分(主として、主増幅器14で発生した歪み成
分)のみが上記の結合器8から結合器10へ出力される。 【0008】結合器10に入力された歪み成分はベクトル調整器13により減衰
量と移相量が調整された後、補助増幅器15に供給されて増幅され、更にこれよ
り結合器12を介して遅延線11によりベクトル調整器13と補助増幅器15の
伝搬遅延時間分遅延された主増幅信号に逆相で合成される。この合成信号は結合
器16に供給され、ここで一部が分岐されて制御回路14に入力される。 【0009】制御回路14はこの入力信号中のパイロット信号を抽出して例えば
同期検波し、その検波レベルが最小となるように、ベクトル調整器13の減衰量
及び移相量をそれぞれ制御する。これにより、結合器16より出力端子17へパ
イロット信号が最小で、かつ、歪み成分も最小とされた主増幅信号が出力される
。 【0010】かかる構成の従来の線形増幅器(フィードフォワード増幅器)によ
れば、入力端子1に入力される信号は、情報伝送のため変調がかかっていて、か
つ、場合により断続することがあり得るため、この入力信号を制御に利用すると
不安定なものとなるが、レベルと周波数が確定しているパイロット信号を用いて
制御を行っているので、安定な制御が可能である。 【0011】 【発明が解決しようとする課題】しかるに、上記の従来の線形増幅器では、例え
ば帯域内で30dB以上の圧縮量を得るためには、振幅及び位相の偏差がそれぞ
れ±0.3dB以内及び±2°以内であることが必要である。この値は、パイロ
ット信号が完全にキャンセルされた時のパイロット信号の周波数と使用する周波 数との偏差である。従って、上記の従来の線形増幅器では、パイロット信号の周
波数付近では安定な制御が期待できる。しかし、使用する周波数帯域内のすべて
で同様に30dBの歪み除去を実現するためには、主増幅器4や補助増幅器15
などのループの構成要素に上記の振幅及び位相の偏差がそれぞれ±0.3dB以
内及び±2°以内という厳しい周波数特性が要求される。 【0012】また、パイロット周波数と入力信号の周波数とが一致すると、正常
なフィードフォワード制御が行えなくなる。従って、パイロット周波数は使用す
る周波数帯を避ける必要がある。そのため、従来の線形増幅器は、広帯域な増幅
には適さないという問題がある。 【0013】本発明は以上の点に鑑みなされたもので、フィードフォワード増幅
器を複数設けると共に、そのパイロット信号の周波数をそれぞれ互いに異なる所
定値に設定することにより、上記の課題を解決した線形増幅器を提供することを
目的とする。 【0014】 【課題を解決するための手段】本発明は上記の目的を達成するため、入力信号を
主増幅器により増幅した後、増幅された入力信号を一部分岐して非増幅入力信号
に合成し、増幅された入力信号中の歪みを取り出す歪み検出ループと、歪み検出
ループから取り出された歪みと増幅された入力信号とを合成することにより歪み
を除去した増幅入力信号を出力する歪み除去ループとを備えるフィードフォワー
ド増幅器を複数設けると共に、分配手段、パイロット信号発振手段及び合成器と
を備え、パイロット信号発振手段より複数のフィードフォワード増幅器の各主増
幅器の入力信号に注入されるパイロット信号は、少なくとも該複数のフィードフ
ォワード増幅器の入力信号の周波数帯域の上限周波数よりやや高周波数の第1の
パイロット信号と、該入力信号の周波数帯域の下限周波数よりやや低周波数の第
2のパイロット信号とを含み、複数のフィードフォワード増幅器の各歪み除去ル
ープの各々が、フィードフォワード増幅器の出力信号中のパイロット信号の検出
レベルが最小となるように、歪み検出ループよりの歪みの減衰量及び移相量を制
御する構成としたものである。 【0015】ここで、上記の分配手段は、複数のフィードフォワード増幅器の各 入力端子に入力信号を分配してそれぞれ並列に入力し、パイロット信号発振手段
は、複数のフィードフォワード増幅器の各主増幅器の入力信号に、互いに異なる
特定周波数のパイロット信号をそれぞれ注入する。また、合成器は複数のフィー
ドフォワード増幅器の各出力信号をそれぞれ合成して出力する。 【0016】 【作用】フィードフォワード増幅器は前記したように、パイロット信号の周波数
付近では安定な制御が期待できるため、パイロット信号発振手段により複数のフ
ィードフォワード増幅器の各主増幅器の入力信号に、互いに異なる特定周波数の
パイロット信号をそれぞれ注入するようにしている本発明では、複数のフィード
フォワード増幅器の安定な制御動作可能な周波数帯域が異なる。 【0017】従って、本発明では、複数のフィードフォワード増幅器の各出力信
号を合成器により合成することにより、安定な制御動作可能な周波数帯域を従来
に比べて広周波数帯域にすることができる。 【0018】 【実施例】図1は本発明の一実施例の構成図を示す。本実施例は2分配器21、
第1及び第2のフィードフォワード増幅器22a、22b及び合成器23より構
成されている。第1及び第2のフィードフォワード増幅器22a、22bにおい
て、図3と同一構成部分には同一符号を付してあり、また、それぞれ第1のフィ
ードフォワード増幅器22aの構成要素は添字aを、第2のフィードフォワード
増幅器22bの構成要素は添字bを付してある。 【0019】 図1において、パイロット発振器5a及び5bはそれぞれ前記し
たパイロット信号発振手段を構成している。パイロット発振器5aは周波数fp
1の第1のパイロット信号を発振出力して主増幅器4aの入力信号に注入される
。パイロット発振器5bは周波数fp2の第2のパイロット信号を発振出力して
主増幅器4bの入力信号に注入される。 【0020】上記のパイロット信号周波数fp1は、入力端子1の入力信号の下限
周波数fLよりも若干低い周波数に設定されており、また、上記のパイロット信
号周波数fp2は、入力端子1の入力信号の上限周波数fUよりも若干高い周波数
に設定されている。なお、実施例の如く、パイロット発振器を2個別々に設ける
必要 はなく、単一の発振器の出力信号周波数を分周して2種類のパイロット信号を生
成してもよいことは勿論である。 【0021】次に、本実施例の動作について説明する。入力端子1に入力された
高周波数帯の多周波多重信号は、2分配器21により2分配され、一方は第1の
フィードフォワード増幅器22aの2分配器2aに入力されてここで更に2分配
され、他方は第2のフィードフォワード増幅器22bの2分配器2bに入力され
てここで更に2分配される。 【0022】2分配器2aにより2分配されて取り出された一方の信号は、ベク
トル調整器3aを通して主増幅器4aに入力され、ここでパイロット発振器5a
よりの第1のパイロット信号と共に増幅される。また、2分配器2aにより2分
配されて取り出された他方の信号(非増幅入力信号)は、遅延器6aを通して結
合器8aに入力され、ここで結合器7aにより分岐された増幅入力信号の反転信
号と合成されることにより、主増幅器4aの増幅により発生した多周波多重信号
のスプリアス成分(歪み成分)などが取り出される。 【0023】この結合器8aから取り出された信号は、結合器10aを通してベ
クトル調整器13aに入力される一方、結合器10aにより一部が分岐されて制
御回路9aに入力される。制御回路9aは入力された信号中に含まれている多周
波多重信号成分のレベルを検波し、その検波レベルが最小となるようにベクトル
調整器3aの減衰量及び移相量を可変制御する。これにより、結合器8aからは
主増幅器4aの増幅により発生した多周波多重信号のスプリアス成分(歪み成分
)のみが取り出される。 【0024】ベクトル調整器13aを通して補助増幅器15aにより増幅された
上記の歪み成分は、結合器12aに入力されてここで遅延線11aにより遅延さ
れた増幅入力信号に反転合成される。この結合器12aより取り出された信号は
、結合器16aにより一部が分岐されて制御回路14aに入力される。この制御
回路14aは入力された信号中から第1のパイロット信号周波数f1を同期検波
し、それにより得られた検波レベルが最小となるように、ベクトル調整器13a
の減衰量及び移相量を制御する。 【0025】この結果、結合器16aにおいて合成されて得られる信号は、上記 の歪み成分と第1のパイロット信号とがそれぞれ大幅に抑圧された、主増幅器4
aによる増幅多周波多重信号となり、この信号が制御回路14aへ出力される一
方、合成器23へ出力される。 【0026】第2のフィードフォワード増幅器22bは、2分配器21より入力
された多周波多重信号に対して上記の第1のフィードフォワード増幅器22aの
動作と同様の動作を行い、主増幅器4bにより多周波多重信号を同時に増幅する
ことにより発生したスプリアス成分(歪み成分)と第2のパイロット信号とがそ
れぞれ大幅に抑圧された、増幅多周波多重信号をその結合器16bを通して合成
器23へ出力する。 【0027】ここで、前記したように、第1のパイロット信号周波数fp1は入力
多周波多重信号の下限周波数fLよりも若干低い周波数に設定されているため、
第1のフィードフォワード増幅器22aの歪み抑圧特性は図2にIで示す如くに
なり、下限周波数fL付近で良好な歪み抑圧量が得られるが、入力多周波多重信
号の上限周波数fU付近では必要な30dB以上の歪み抑圧量(圧縮量)が得ら
れない。 【0028】これに対し、第2のパイロット信号周波数fp2は入力多周波多重信
号の上限周波数fUよりも若干高い周波数に設定されているため、第2のフィー
ドフォワード増幅器22bの歪み抑圧特性は図2にIIで示す如くになり、上限
周波数fU付近で良好な歪み抑圧量が得られるが、入力多周波多重信号の下限周
波数fL付近では歪み抑圧特性が悪化する。 【0029】しかして、本実施例では図1に示した合成器23により上記の第1
及び第2のフィードフォワード増幅器22a及び22bの両出力増幅多周波多重
信号を合成するようにしているため、第1のフィードフォワード増幅器22aの
出力多周波多重信号の電力をP1とし、第2のフィードフォワード増幅器22b
の出力多周波多重信号の電力をP2とすると、上記の両出力増幅多周波多重信号
が合成器23に同相で入力されたときは、{(P1)1/2+(P2)1/22/2で
表される電力の合成増幅多周波多重信号が出力端子17へ出力され、また、その
出力信号の損失は{(P1)1/2−(P2)1/22/2で表される。 【0030】2分配器21から第1及び第2のフィードフォワード増幅器22a 及び22bにそれぞれ入力される多周波多重信号は、第1及び第2のフィードフ
ォワード増幅器22a及び22bからそれぞれほぼ同相、同レベルで出力される
から、上式から分るように、損失はほぼゼロで(すなわち、ほとんど損失するこ
となく)取り出される。これに対し、歪み成分については、それぞれのフィード
フォワード増幅器22a及び22bで出力レベルが異なり、位相についても同相
となりにくい。このため、歪み成分については合成器23での合成により損失が
生じる。 【0031】従って、上記の合成器23での合成により歪み抑圧特性は、最悪の
場合を想定して同相で歪み成分が合成されたとしたときでも図2にIIIで示す
如く、下限周波数fLから上限周波数fUまでの入力多周波多重信号の全周波数範
囲内において、従来では不可能であった30dB以上の必要な歪み抑圧量が得ら
れ、実際には前記したように歪み成分は同相では合成されないから、これより更
に大なる歪み抑圧量が得られる。 【0032】なお、本発明は以上の実施例に限定されるものではなく、例えば並
列に設けられるフィードフォワード増幅器の数は3以上でもよい。また、パイロ
ット信号周波数は入力される多周波多重信号の下限周波数fLより若干高い周波
数で、使用していない周波数、あるいは上限周波数fUより若干低い周波数で使
用していない周波数でもよく、更には互いに異なる周波数であれば、下限周波数
fL及び上限周波数fU付近の周波数に限定されるものではなく、使用していない
周波数に設定してもよい。これらの場合でも、複数のフィードフォワード増幅器
の出力信号の合成により、歪み抑圧特性の相互補完が可能であるからである。 【0033】 【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、複数のフィードフォワー
ド増幅器の出力信号の合成により、安定な制御動作可能な周波数帯域を従来に比
べて広周波数帯域とすることができるため、使用する周波数帯域全域に亘って良
好な歪み抑圧特性を持つ線形増幅器を構成することができ、特にパイロット信号
周波数を入力信号の周波数帯域の上限周波数よりもやや高周波数と、下限周波数
よりもやや低周波数に設定した場合は、効率よく従来よりも広い周波数帯域に亘
って必要な歪み抑圧量を得ることができるものである。
【図面の簡単な説明】 【図1】本発明の一実施例の構成図である。 【図2】図1の各部の歪み抑圧特性の一例を示す図である。 【図3】従来の一例の構成図である。 【符号の説明】 1 入力端子 2a、2b、21 2分配器 3a、3b、13a、13b ベクトル調整器 4a、4b 主増幅器 5a 第1のパイロット発振器 5b 第2のパイロット発振器 7a、7b、8a、8b、10a、10b、12a、12b、16a、16b結
合器 9a、9b、14a、14b 制御回路 15a、15b 補助増幅器 22a 第1のフィードフォワード増幅器 22b 第2のフィードフォワード増幅器 23 合成器

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】 入力信号を主増幅器により増幅した後、該増幅された入力信号を
    一部分岐して非増幅入力信号に合成し、該増幅された入力信号中の歪みを取り出
    す歪み検出ループと、該歪み検出ループから取り出された歪みと前記増幅された
    入力信号とを合成することにより該歪みを除去した増幅入力信号を出力する歪み
    除去ループとを備えるフィードフォワード増幅器を複数設けると共に、 該複数のフィードフォワード増幅器の各入力端子に入力信号を分配してそれぞれ
    並列に入力する分配手段と、該複数のフィードフォワード増幅器の各主増幅器の
    入力信号に、互いに異なる特定周波数のパイロット信号をそれぞれ注入するパイ
    ロット信号発振手段と、 該複数のフィードフォワード増幅器の各出力信号をそれぞれ合成して出力する合
    成器とを備え、 前記パイロット信号発振手段より前記複数のフィードフォワード増幅器の各主増
    幅器の入力信号に注入されるパイロット信号は、少なくとも該複数のフィードフ
    ォワード増幅器の入力信号の周波数帯域の上限周波数よりやや高周波数の第1の
    パイロット信号と、該入力信号の周波数帯域の下限周波数よりやや低周波数の第
    2のパイロット信号とを含み、 該複数のフィードフォワード増幅器の各歪み除去ループの各々は、該フィードフ
    ォワード増幅器の出力信号中のパイロット信号の検出レベルが最小となるように
    、該歪み検出ループよりの歪みの減衰量及び移相量を制御することを特徴とする
    線形増幅器。

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