JP3106996B2 - フィードフォワード増幅回路 - Google Patents

フィードフォワード増幅回路

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はフィードフォワード
増幅回路に関し、特に主増幅器の入力経路に前置歪補償
器を有しこの主増幅器の歪成分を検出する歪検出ループ
と、この歪検出ループにより検出された歪成分を主増幅
器の出力に注入して歪除去をなす歪除去ループとを含む
フィードフォワード増幅回路に関するものである。
【0002】
【従来の技術】この種のフィードフォワード増幅回路の
例として、特開平1−200807号公報に開示のもの
があり、図4にそのブロック図を示す。図4を参照する
と、主増幅器106の歪成分を検出する歪検出ループ1
00と、この検出された歪成分を主増幅器106の出力
信号経路114へ注入して除去する歪除去ループ200
とが設けられている。
【0003】歪検出ループ100においては、主増幅器
106の入力側にプリディストーション回路(前置歪補
償器)102Aを設けてこの主増幅器106の歪改善を
行い、また歪検出ループ100の制御のための減衰器1
08等は遅延線109側に入れるという構成が採用され
ている。
【0004】入力端子101から入力された信号は電力
分配器103で分配され、ー方はプリディストーション
回路120A、主増幅器106を通り電力合成器104
に入力される。また、電力分配器103の他方の出力は
可変減衰器108、可変遅延線路109を通り電力合成
器104に入力され主増幅器106の出力と合成され
る。
【0005】電力合成器104からは、主増幅器106
と同じ成分が主増幅器の出力信号経路114に供給さ
れ、歪検出ループ100にて検出された主増幅器106
の歪成分が歪注入経路115に出力される。歪注入経路
115の信号は可変減衰器110、可変遅延線111を
通り補助増幅器107で増幅された後、主増幅器の出力
信号経路114と電力合成器105で合成される。電力
合成器105の出力は出力端子102より出力される。
【0006】また、図5は他の従来例であり、図4と同
等部分は同一符号により示している。この例では、歪注
入経路115が可変減衰器110、可変遅延線111、
プリディストーション回路120Bを通り補助増幅器1
07に入力されている。プリディストーション回路12
0Bはこの副増幅器107の歪改善を行うものである。
他の構成は図4のそれと同一である。
【0007】
【発明が解決しようとしている課題】第1の問題点は、
周囲温度の変化等により主増幅器106の利得が変化し
た場合、出力レベルの変化により主増幅器106から発
生する歪の量が変化するが、プリディストーション回路
120Aでの歪補償量はー定であるために、主増幅器1
06の歪が補償できなくなるということである。
【0008】その理由は、フィードフォワード増幅回路
では、通常、周囲温度の変化等により主増幅器106の
利得が変化した場合、歪の抽出を正常に行うために、線
形信号経路113に挿入された可変減衰器108を、主
増幅器の信号経路112と線形信号経路113とが同利
得、逆位相になるように調整する必要があるが、図4,
5のフィードフォワード増幅回路では、可変減衰器10
8が線形信号経路113に入っており、よって主増幅器
106の出力レベルは変化したままであるからである。
【0009】第2の問題点は、周囲温度の変化等により
補助増幅器107の利得が変化した場合、プリディスト
ーション回路120Bの補償量が変化して、補助増幅器
107の歪が補償できなくなるということである。
【0010】その理由は、フィードフォワード増幅器で
は、通常、周囲温度の変化等により補助増幅器107の
利得が変化した場合、歪の除去を正常に行うために可変
減衰器110を制御し主増幅器の出力信号経路114と
歪注入経路115とが同利得、逆位相になるようにして
いるが、可変減衰器110がプリディストーション回路
120Bの前段に入っている従来のフィードフォワード
増幅回路では、この動作によりプリディストーション回
路120Bの入力レベルが変化し、補償量が変化するた
めである。
【0011】本発明の目的は、周囲温度の変化等により
主増幅器や副増幅器の利得が変化した場合でも、プリデ
ィストーション回路による補償効果が得られるフィード
フォワード増幅回路を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、主増幅
器と、 前記主増幅器の入力経路に設けられた第1の前置
歪補償器と、 前記主増幅器の歪成分を検出する歪検出手
段と、 この検出歪を増幅する副増幅器及びこの副増幅器
の入力経路に設けられた第2の前置歪補償器からなり前
記副増幅器の出力を前記主増幅器の出力と合成して前記
主増幅器の出力に前記歪成分を注入して歪除去をなす歪
除去手段と、を含むフィードフォワード増幅回路であっ
て、前記第1の前置歪補償器と主増幅器との間に設けら
れた第1の可変減衰器及び第1の可変移相器と、 前記第
2の前置歪補償器と副増幅器との間に設けられた第2の
可変減衰器及び第2の可変移相器と、 前記主増幅器の入
力にパイロット信号を供給するパイロット信号発生器
と、 前記歪検出手段による検出歪に含まれる入力信号成
分が最小となるように前記第1の可変減衰器及び第1の
可変移相器を制御し、また前記前記歪除去手段の出力に
含まれるパイロット信号のレベルが最小となるように前
記第2の可変減衰器及び第2の可変移相器を制御する制
御手段と、を含むことを特徴とするフィードフォワード
増幅回路が得られる。
【0013】そして、前記入力信号は単一周波数のキャ
リアを有し、前記制御手段はこのキャリアのレベルが最
小となるよう制御することを特徴とする。
【0014】
【0015】
【0016】本発明の作用を述べる。主増幅器または副
増幅器の利得が温度変動等で変化した場合、これ等増幅
器の入力経路に挿入された可変減衰器や可変移相器を最
適に制御する構成として、前段の前置歪補償器(プリデ
ィストーション回路)の入力に対しては上記制御を行わ
ないような構成とすることで、これ等増幅器の利得変動
のみに対する制御が作用し、前置歪補償器は温度変化前
と同一の補償が可能であり、結果的に温度変動等の影響
を受けない歪除去が可能となる。
【0017】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態につい
て図面を参照して詳細に説明する。
【0018】図1を参照すると、入力端子1から入力さ
れた信号は分配器2により信号経路aと信号経路bに分
配される。信号経路a側に出力された信号はプリディス
トーション回路3、可変減衰器4、可変移相器5を通り
パイロット信号発生器16から生成されるパイロット信
号が注入された後、主増幅器6へ入力される。ここで、
可変減衰器4及び可変移相器5は制御回路19により制
御される。
【0019】主増幅器6の出力は分配器7に入力され、
一方は遅延線8を通り合成器9へ、また他方は合成器1
1へ入力される。合成器11では、遅延線10を通った
信号と分配器7の出力とが合成される。合成器11の出
力は可変減衰器12、可変移相器13を通り補助増幅器
14に入力される。ここで、可変減衰器12及び可変移
相器13は制御回路19により制御される。
【0020】補助増幅器14の出力は合成器9により遅
延線8を通ってきた信号と合成され出力端子15より出
力される。合成器11の出力点においては、キャリア検
出器17によりキャリア成分(入力端子1へ供給される
増幅されるべき信号の単一周波数成分であるキャリア成
分)を検出し、この検出キャリアレベルを制御回路19
へ入力する。
【0021】また、合成器9の出力点においては、パイ
ロット信号検出器18により注入されたパイロット信号
レベルを検出して制御回路19へ入力する。
【0022】次に、図1の回路の動作について説明す
る。入力端子1から入力された信号は分配器2により信
号経路aと信号経路bとに分配される。信号経路aと信
号経路bとは合成器11で合成され、合成出力のキャリ
ア成分がキャリア検出器17で検出されて制御回路19
に入力される。
【0023】制御回路19は、キャリア検出器17の出
力が最小になるように、可変減衰器4及び可変移相器5
を制御する。このように制御することで、信号経路aと
信号経路bとは同振幅、逆位相になり合成器11の出力
において主増幅器6の歪成分のみが抽出されることにな
るのである。
【0024】また、信号経路aはプリディストーション
回路3を使用して主増幅器6の歪ができる限り小さくな
るように構成されている。合成器11により抽出された
歪成分は可変減衰器12、可変移相器13を通り補助増
幅器14で増幅された後、合成器9で遅延線8を通って
きた信号と合成される。合成器9の出力に含まれるパイ
ロット信号成分はパイロット検出器18により検出され
て制御回路19へ入力される。
【0025】制御回路19は、パイロット検出器18の
出力が最小になるように、可変減衰器12及び可変移相
器13を制御する。このように制御することで信号経路
cと信号経路dとは同振幅、逆位相になり、主増幅器6
で発生した歪を打ち消すことができる。
【0026】次に、図1の実施例について周囲温度が変
化した場合の動作を説明する。主増幅器6に使用される
電力増幅器については、周囲温度が変化した場合、一般
的に図2(a)に示すように高温で利得が低下すること
が知られている。また、発生する歪成分については、周
囲温度より出力電力に大きく依存し、図2(b)に示す
ように出力レベルが大きいほど増加することもー般的に
知られている。
【0027】図1において、周囲温度が高くなった場合
を考えてみる。周囲温度が高くなることにより主増幅器
6の利得は図2(a)に示すように低下するが、この状
態では、信号経路aと信号経路bとの振幅が同振幅でな
くなるために、合成器11で合成した場合、キャリア成
分が完全に打消されず合成器11より出力される。合成
器11より出力されたキャリア成分はキャリア検出器1
7により検出されて制御回路19へ入力される。
【0028】制御回路19はキャリア検出器17の出力を
最小にするように可変減衰器4と可変減衰器5とを制御
しているため、主増幅器6の利得低下分と同じ量だけ可
変減衰器4の減衰量を小さくするように制御したところ
で、再びキャリア検出器17の出力が最小になる。この
ような動作により、主増幅器6の出力レベルは一定に保
たれ歪の量も温度変化前と同様になる。
【0029】また、プリディストーション回路3は可変
減衰器4の前段に配置されているため、上記の動作に関
係なく一定のレベルで動作している。従って、プリディ
ストーション回路3の動作レベルと主増幅器6の歪発生
量とが温度変化前と同様であるため、主増幅器6の歪が
小さくなるように補償された状態が持続する。
【0030】次に、第2の実施の形態について図3を参
照し説明する。図3において図1と同等部分は同一符号
により示している。図3を参照すると、合成器11と可
変減衰器12との間に、プリディストーション回路20
が設けられている。
【0031】第1の実施の形態と同様に、周囲温度が変
化した場合の動作について説明する。補助増幅器14に
使用される電力増幅器についても周囲温度が変化した場
合、一般的に図2(a)に示すように高温で利得が低下
する。また、発生する歪についても同様に周囲温度より
出力レベルに大きく依存し、図2(b)に示すように出
力レベルが大きいほど歪も増加する。
【0032】図3において、周囲温度が高くなった場合
を考えてみる。周囲温度が高くなることにより、補助増
幅器14の利得は図2(a)に示すように低下するが、
この状態では信号経路cと信号経路dとの振幅が同振幅
でなくなるために、合成器9で合成した場合、注入され
たパイロット信号が完全に打ち消されずに合成器9より
出力される。
【0033】合成器9より出力されたパイロット信号は
パイロット信号検出器18により検出され制御回路19
に入力される。制御回路19はパイロット信号検出器1
8の出力を最小にするように可変減衰器12と可変移相
器13とを制御するため、補助増幅器14の利得低下分
と同じ量だけ可変減衰器12の減衰量が小さくなるよう
に制御したところで、再びパイロット信号検出器18の
出力が最小になる。
【0034】このような動作により、補助増幅器14の
出力レベルが一定に保たれるために、補助増幅器14か
ら出力される歪の量も温度変化前と同様になる。また、
プリディストーシヨン回路20は可変減衰器12の前に
設けられているため、上記の動作に関係なく一定のレベ
ルで動作している。従って、プリディストーション回路
20の動作レベルと補助増幅器14の歪発生量とが温度
変化前と同様であるため、補助増幅器14の歪が小さく
なるように補償された状態が持続する。
【0035】
【発明の効果】第1の効果は、周囲温度の変化等により
主増幅器の利得が変化した場合でもプディストーション
による歪補償の効果が得られるということである。
【0036】その理由は、歪検出ループの主増幅器側を
プリディストーション回路、可変減衰器、可変移相器、
主増幅器の順番で構成し、可変減衰器、可変移相器を自
動制御することにより、主増幅器の利得が周囲温度等で
変化した場合、可変減衰器が自動制御され主増幅器の利
得の変化は吸収されるが、プリディストーシヨン回路の
入カレベルには自動制御の影響がないので、利得変化前
と同様の補償量が得られるためである。
【0037】第2の効果は、周囲温度の変化等により補
助増幅器の利得が変化した場合でもプリディストーショ
ンによる歪補償の効果が得られるということである。
【0038】その理由は、歪除去ループの補助増幅器側
をプリディストーション回路、可変減衰器、可変移相
器、補助増幅器の順番で構成し、可変減衰器、可変移相
器を自動制御することにより、補助増幅器の利得が周囲
温度等で変化した場合、可変減衰器が自動制御され補助
増幅器の利得の変化は吸収されるが、プリディストーシ
ン回路の入力レベルには自動制御の影響がないので、利
得変化前と同様の補償量が得られるためである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例のブロック図である。
【図2】増幅器の特性を示す図である。
【図3】本発明の他の実施例のブロック図である。
【図4】従来のフィードフォワード増幅回路の一例を示
す図である。
【図5】従来のフィードフォワード増幅回路の他の例を
示す図である。
【符号の説明】
2,7 分配器 3,20 プリディストーシン回路 4,12 可変減衰器 5,13 可変移相器 6 主増幅器 8,10 可変遅延器 9,11 合成器 14 副増幅器 16 パイロット信号発生器 17 キャリア検出器 18 パイロット信号検出器 19 制御回路

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 主増幅器と、 前記主増幅器の入力経路に設けられた第1の前置歪補償
    器と、 前記主増幅器の歪成分を検出する歪検出手段と、 この検出歪を増幅する副増幅器及びこの副増幅器の入力
    経路に設けられた第2の前置歪補償器からなり前記副増
    幅器の出力を前記主増幅器の出力と合成して前記主増幅
    器の出力に前記歪成分を注入して歪除去をなす歪除去手
    段と、 を含むフィードフォワード増幅回路であって、前記第1の前置歪補償器と主増幅器との間に設けられた
    第1の可変減衰器及び第1の可変移相器と、 前記第2の前置歪補償器と副増幅器との間に設けられた
    第2の可変減衰器及び第2の可変移相器と、 前記主増幅器の入力にパイロット信号を供給するパイロ
    ット信号発生器と、 前記歪検出手段による検出歪に含まれる入力信号成分が
    最小となるように前記第1の可変減衰器及び第1の可変
    移相器を制御し、また前記前記歪除去手段の出力に含ま
    れるパイロット信号のレベルが最小となるように前記第
    2の可変減衰器及び第2の可変移相器を制御する制御手
    段と、 を含むことを特徴とするフィードフォワード増幅回路。
  2. 【請求項2】 前記入力信号は単一周波数のキャリアを
    有し、前記制御手段はこのキャリアのレベルが最小とな
    るよう制御することを特徴とする請求項1記載のフィー
    ドフォワード増幅回路。
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