JP3850649B2 - 歪補償増幅器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、信号を主増幅器で増幅するに際して、歪検出ループと歪補償ループとから成る回路及びプリディストータを用いて主増幅器で発生する歪を補償する歪補償増幅器やこのような歪補償増幅方法に関し、特に、良好な歪補償を実現する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば携帯電話システム等の移動無線通信システムでは、基地局装置と移動局装置とが信号を無線により通信することが行われている。また、基地局装置と移動局装置との間に無線通信を中継する中継局装置が設けられる場合もあり、この場合には、基地局装置から無線により送信される信号を中継局装置が受信及び増幅して、当該増幅信号を移動局装置に対して無線により送信する。
【0003】
上記のような基地局装置や中継局装置では、例えば送信対象となる信号を増幅器(主増幅器)で増幅することが行われるが、このような主増幅器ではその非線形特性により入力信号のレベルが大きい場合に歪が発生してしまうことがあり、このような歪を増幅信号から除去する(つまり、歪を補償する)ことが必要となる。
【0004】
このような歪を増幅信号から除去する回路を有する増幅装置として、例えばフィードフォワード型の歪補償増幅器が知られている。この歪補償増幅器は歪検出ループと歪補償ループとを有しており、歪検出ループでは信号を主増幅器で増幅するとともに当該増幅信号から歪成分を検出し、歪補償ループでは主増幅器から出力される増幅信号から検出された歪成分を除去する。なお、このような歪補償増幅器は、一例として、後述する図9に示す回路構成からプリディストータ63に関する回路構成部分を省略したような構成を有する。
【0005】
しかしながら、上記のような歪補償増幅器により歪を補償する場合であっても、例えばマルチキャリア信号やCDMA(Code Division Multiple Access)信号のように瞬時的に発生するピーク電力を含んでしまうような信号が当該歪補償増幅器に入力されてしまうようなときに当該ピーク電力が主増幅器の非線形領域にまで達してしまうと、その瞬間に、フィードフォワード制御されている歪検出ループでのキャンセル量(歪成分以外の入力信号のキャンセル量)が劣化してしまうため、当該歪検出ループから出力される信号(本来は、歪成分の信号)のレベルが増大してしまう。
【0006】
ここで、図8には歪検出ループを簡易化したモデルの一例を示してあり、このモデルでは、入力される信号が分配器K1により分配され、一方の分配信号に対してベクトル調整器K2によりベクトル調整(振幅や位相の調整)が施されるとともに、当該ベクトル調整後の(一方の)分配信号と他方の分配信号とが合成器K3により合成されて、当該合成信号が出力される。この場合に、ベクトル調整器K2では合成器K3により合成される2つの信号が互いに同振幅(振幅が同一である状態)で逆相(位相が180°ずれた状態)となるようにベクトル調整が制御され、これにより、合成器K3では合成される2つの信号が当該合成によって互いに打ち消し(キャンセルし)合う。
【0007】
このモデルにおいて、歪検出ループでの信号キャンセル量Wは式1で示されることが知られている。なお、式1中のdは振幅偏差(dB)を示しており、pは位相偏差(deg)を示している。
【0008】
【数1】
【0009】
具体的に、歪検出ループでは、当該ループから出力される信号のレベル(例えば後述する図9中のレベル検出器72により検出される歪成分のレベル)が最小となるように(すなわち、当該ループにおける入力信号のキャンセル量が最大となるように)、当該ループに備えられるベクトル調整器K2(例えば後述する図9中のベクトル調整器62)が制御される。
【0010】
しかしながら、例えば上記のような瞬時的なピーク電力が入力されてしまう場合のように、何らかの要因によって歪検出ループのループバランスが1dB崩れてしまったとすると、当該ループにおける信号キャンセル量は約18dBに劣化してしまう。この場合、例えば常時30dB以上の信号キャンセル量で動作しているとすると、通常よりも約12dBも大きなレベルの信号(歪成分)が歪補償ループに備えられる誤差増幅器(歪検出ループで検出される歪成分を増幅する増幅器であって、例えば後述する図9中の誤差増幅器70)に入力されてしまうことになる。
【0011】
そして、上記した誤差増幅器に過大なレベルの信号が入力されてしまうと、当該誤差増幅器において発生する歪の量が増加し、これにより、歪補償増幅器全体としての歪の量(歪補償増幅器から出力される増幅信号に残留して含まれる歪の量)も増加してしまう。更に、誤差増幅器への過大入力のレベルが当該誤差増幅器の利得飽和領域(利得が飽和してしまう領域)や位相非直線領域(出力信号の位相が平坦な直線からずれてしまう領域)にまで達してしまうと、歪補償ループにおけるループバランスが崩れてしまうため、当該ループにおける信号キャンセル量(歪補償量)が劣化してしまい、このため、主増幅器で発生する歪が十分に抑圧されないで歪補償増幅器から出力されてしまう。
【0012】
上記のような過大入力の問題を解消する構成として、例えばプリディストータを主増幅器に付加する構成が知られている。この構成では、プリディストータで発生する歪によって主増幅器で発生する歪を打ち消すことにより、主増幅器の利得直線性(利得が直線的であること)や位相平坦性(出力信号の位相が平坦な直線に沿うこと)を理想状態に近づけることが可能であり、これにより、歪補償増幅器の歪補償特性を改善することが可能である。
【0013】
ここで、図9には、上記のようなプリディストータを備えたフィードフォワード型の歪補償増幅器の回路構成例を示してあり、同図を参照して、当該歪補償増幅器の動作例を示す。
すなわち、(歪補償増幅器に)入力される信号は分配器61により分配され、一方の分配信号に対してベクトル調整器62によりベクトル調整が施されるとともにプリディストータ(PD)63により歪が発生させられ、その後、当該一方の分配信号が主増幅器64により増幅させられて、当該増幅信号が方向性結合器66へ出力される。なお、このような増幅に際して、主増幅器64ではその入力レベルに応じて振幅歪や位相歪が発生し、これらの歪が増幅信号に含まれて出力される。
【0014】
分配器61により分配された他方の分配信号は遅延線65により遅延させられて方向性結合器66へ出力される。なお、遅延線65による遅延量は、ベクトル調整器62とプリディストータ63と主増幅器64とによる遅延量と同じである。
方向性結合器66では、主増幅器64からの増幅信号の一部が取得されて、当該一部の増幅信号と遅延線65からの(他方の)分配信号とが入力信号(歪成分以外の信号)に関して同振幅及び逆相で合成され、これにより検出される歪成分信号(理想的には、歪成分のみが含まれる信号)が分配器68へ出力される。また、方向性結合器66では主増幅器64からの増幅信号の残りの部分が遅延線67へ出力され、当該残りの部分の増幅信号が当該遅延線67を介して方向性結合器71へ出力される。なお、遅延線67による遅延量は、分配器68とベクトル調整器69と誤差増幅器70とによる遅延量と同じである。
【0015】
分配器68では方向性結合器66からの歪成分信号が分配され、分配された一方の歪成分信号に対してベクトル調整器69によりベクトル調整が施され、その後、当該一方の歪成分信号が誤差増幅器70により増幅させられて、当該増幅信号が方向性結合器71へ出力される。
方向性結合器71では、遅延線67からの(入力信号の)増幅信号と誤差増幅器70からの(歪成分の)増幅信号とが歪成分に関して同振幅及び逆相で合成され、これにより歪成分が除去された(入力信号の)増幅信号が(歪補償増幅器から)出力される。
【0016】
また、制御回路76では、(歪補償増幅器における)歪補償が最適化されるように、例えば上記したベクトル調整器62や上記したプリディストータ63を制御する。
具体的には、ベクトル調整器62に関しては、上記した分配器68により分配された他方の分配信号(歪成分信号)のレベルがレベル検出器72により検出され、当該検出されるレベルが最小となるように最適化制御器77によりベクトル調整器62によるベクトル調整が制御される。
【0017】
また、プリディストータ63に関しては、更に、上記した歪検出ループの分配器61に入力される信号の一部が方向性結合器73により取得されて、当該一部の信号のレベルがレベル検出器74により検出されるとともに、温度センサ75により(例えば主増幅器64或いはその近辺の)温度が検出され、検出される当該レベル及び当該温度に基づいて、上記したレベル検出器72により検出される(歪成分の)レベルが最小となるように最適化制御器78によりプリディストータ63による歪の発生が制御される。
【0018】
なお、上記したレベル検出器74による入力信号レベルの検出や上記した温度センサ75による温度の検出は、主増幅器64の入出力特性がその入力レベル(出力レベル)や温度に依存して変化することから行われており、検出される入力レベルや温度は入力パラメータや温度パラメータとして最適化制御器78において参照される。
【0019】
また、図10(a)や同図(b)を参照して、プリディストータ63による歪補償の一例を示す。
同図(a)には、主増幅器64に入力される信号のレベル(入力レベル)と当該主増幅器64から出力される信号のレベル(出力レベル)との関係の一例(主増幅器特性)を“P1”により示してあり、プリディストータ63を用いて主増幅器64の非線形特性を補正した場合における入出力レベルの関係の一例(プリディストータで補正した特性)を“P2”により示してあり、また、主増幅器64が理想的な線形特性を有しているとした場合における入出力レベルの関係の一例(理想線形特性)を“P3”により点線で示してある。
【0020】
同図(a)に示されるように、主増幅器64では入力レベルが増加するに従って出力レベルも増加するが、使用している増幅素子の飽和電力に近づくにつれて、徐々に利得が理想線形特性と比べて低下していってしまう(AM−AM変換)。これに対して、例えば主増幅器64の入出力レベル特性と逆の(当該特性を打ち消す)特性を実現する回路から構成されたプリディストータ63を当該主増幅器64の前段に備えることにより、主増幅器64の特性とプリディストータ63の特性とを総じて理想的な出力レベル特性に近づけることができる。
【0021】
また、同図(b)には、主増幅器64に入力される信号のレベル(入力レベル)と当該主増幅器64から出力される信号の位相(出力位相)との関係の一例(主増幅器特性)を“Q1”により示してあり、プリディストータ63を用いて主増幅器64の非線形特性を補正した場合における入力レベルに対する出力位相の関係の一例(プリディストータで補正した特性)を“Q2”により示してある。なお、同図(b)で“Q2”により示したプリディストータで補正した特性は、主増幅器64が理想的な線形特性を有しているとした場合における入力レベルに対する出力位相の関係(理想特性)と一致している。
【0022】
同図(b)に示されるように、主増幅器64では入力レベルが増加しても出力位相が変化せずに一定であるのが理想的であるが、実際には、入力レベルが増加して、使用している増幅素子の飽和電力に近づくにつれて、徐々に出力位相が理想的な平坦な直線からずれていってしまう(AM−PM変換)。これに対して、例えば主増幅器64の入力レベルに対する出力位相の特性と逆の(当該特性を打ち消す)特性を実現する回路から構成されたプリディストータ63を当該主増幅器64の前段に備えることにより、主増幅器64の特性とプリディストータ63の特性とを総じて理想的な出力位相特性に近づけることができる。
【0023】
上記図10(a)及び同図(b)を用いて示したように、プリディストータ63では、主増幅器64の入出力レベル特性(振幅歪の特性)及び入力レベルに対する出力位相特性(位相歪の特性)とは逆の特性を実現する歪を発生させることにより、主増幅器63で発生する歪を抑制することができる。
【0024】
また、上述のように、主増幅器64では、入力レベル(出力レベル)や温度等の要因により動作時における利得直線性や位相平坦性が変化することがあるため、通常、主増幅器の入力レベル又は出力レベルを検出して当該検出結果に基づいてプリディストータ63による歪の発生(歪の特性)を制御して補正することや、温度センサを用いて温度を検出して当該検出結果に基づいてプリディストータ63による歪の発生(歪の特性)を制御して補正すること等が行われる。なお、例えば予め各変動要因に対する出力レベルや出力位相の特性の変化を測定或いは推定しておき、当該測定結果或いは当該推定結果に基づいたメモリテーブルや温度補償回路を用いてプリディストータ63を制御することも可能である。
【0025】
また、上記のようにプリディストータによる歪補償とフィードフォワード制御による歪補償とを組合せた従来の回路例として、特開平10−145161号公報(以下で、文献1と言う)に記載されたプリディストーション自動調整回路を紹介する。
【0026】
図11には、上記文献1に記載されたプリディストーション自動調整回路の一例を示してあり、同図に示した回路構成部分は上記した歪検出ループ及びその制御回路の部分に相当するものである。
動作の概略を示すと、まず、入力信号が分配器81により分配され、一方の分配信号に対してプリディストーション回路82により歪が発生させられるとともに、可変減衰器83により当該信号の振幅が調整されて可変移相器84により当該信号の位相が調整され、その後、当該一方の分配信号が主増幅器85により増幅されて、当該増幅信号が方向性結合器87へ出力される。なお、この例では、プリディストーション回路82がプリディストータに相当し、可変減衰器83及び可変移相器84の組がベクトル調整器に相当する。
【0027】
また、方向性結合器87では主増幅器85からの増幅信号の一部が取得されて加算器88へ出力され、また、分配器81により分配された他方の分配信号は遅延線86を介して加算器88へ出力される。加算器88ではこれら2つの信号が入力信号(歪成分以外の信号)に関して互いに同振幅及び逆相で加算(合成)され、これにより検出される歪成分の信号が検波器89により検波される。
【0028】
そして、制御回路90では、検波器89による検波結果に基づいて、プリディストーション回路82や可変減衰器83や可変移相器84を制御することが行われる。具体的には、制御回路90では、検波器89に入力される歪成分信号の信号強度が最小となるように、プリディストーション回路82や可変減衰器83や可変移相器84の特性を調整する。
【0029】
また、上記文献1には、プリディストーション回路の一例が示されており、この回路は「室谷、山本著、ディジタル無線通信(第6章)」から引用されたものであることが記載されている。
また、上記文献1によると、プリディストーション方式は例えば−20dBの歪を−30dBに低減させるような大まかな歪補償に適している一方、フィードフォワード方式は例えば−30dBの歪を−60dBに低減させるような細かな歪補償に適しており、両方式の組合せは非常に有効であることが記載されている。
【0030】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、例えば上記図9や上記図11に示したような従来例に係るプリディストータを備えた歪補償増幅器では、制御回路によりプリディストータやベクトル調整器を制御することが行われるものの、その制御の仕方については未だ十分には検討等が為されていなかった。
【0031】
本発明は、このような従来の事情を鑑みなされたもので、歪検出ループと歪補償ループとから成る回路及びプリディストータを用いて主増幅器で発生する歪を補償するに際して、良好な歪補償を実現することができる歪補償増幅器やこのような歪補償増幅方法を提供することを目的とする。
【0032】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明に係る歪補償増幅器では、次のようにして、信号を主増幅器により増幅するに際して、当該主増幅器で発生する歪を補償する。
すなわち、歪検出ループでは、信号を分配し、一方の分配信号に対してベクトル調整手段によりベクトル調整を施すとともにプリディストータにより歪を発生させて当該一方の分配信号を主増幅器により増幅するとともに、当該増幅信号と他方の分配信号とを合成して当該増幅信号に含まれる歪成分を検出する。
【0033】
ここで、例えばベクトル調整手段によるベクトル調整やプリディストータによる歪の発生が最適に制御されていないような場合には、歪検出ループで検出される歪成分には、例えば前記合成によっては打ち消す(キャンセルする)ことができずに残ってしまった入力信号成分(前記他方の分配信号の成分)が含まれてしまう。
また、歪補償ループでは、主増幅器からの増幅信号と歪検出ループで検出される歪成分とを合成して当該増幅信号から歪成分を除去する。
【0034】
そして、制御部では、歪検出ループで検出される歪成分に基づいてベクトル調整手段によるベクトル調整及びプリディストータによる歪の発生を制御する。
具体的には、制御部では、歪成分レベル検出手段が歪検出ループで検出される歪成分のレベルを検出し、ベクトル調整制御手段が歪成分レベル検出手段により検出されるレベルの平均値が小さくなるようにベクトル調整手段によるベクトル調整を制御し、プリディストータ制御手段が歪成分レベル検出手段により検出されるレベルのピーク値が小さくなるようにプリディストータによる歪の発生を制御する。
【0035】
従って、歪検出ループに備えられるベクトル調整手段によるベクトル調整及びプリディストータによる歪の発生を制御するに際して、歪検出ループで検出される歪成分のレベルの平均値に基づいてベクトル調整が制御される一方、当該歪成分のレベルのピーク値に基づいてプリディストータによる歪の発生が制御されるため、総じて、良好な歪補償を実現することができる。
【0036】
つまり、通常、増幅器(主増幅器)は飽和領域に近づくほど非線形性が大きくなるため、例えば瞬時的なピーク電力が発生する信号を飽和領域の近傍で用いると、歪検出ループにより検出される歪成分信号としては当該ピーク電力のところ(或いは、付近)で大きなピークを持つ信号が出力される。そこで、本発明では、このようなピーク値を小さくするようにプリディストータによる歪の発生を制御することで、瞬時的なピーク電力に対処することが可能である。また、本発明では、前記歪成分信号のレベルの平均値を小さくするようにベクトル調整手段によるベクトル調整を制御することで、瞬時的なピーク電力以外の信号部分にも対処することが可能である。これらを総じて、本発明では、高精度な歪補償を実現することができる。
【0037】
ここで、本発明に係る歪補償増幅器により処理される信号としては、種々な信号であってもよく、例えばマルチキャリア信号やCDMA信号や多値QAM(Quadrature Amplitude Modulation)信号等が適している。また、本発明は、例えば広帯域の信号に対しても良好な歪補償を行うことができる。
【0038】
また、ベクトル調整手段としては、例えば信号のレベルを調整する可変減衰器と信号の位相を調整する可変位相器とのいずれか一方或いは両方から構成され、信号のレベル調整と信号の位相調整とのいずれか一方或いは両方を行う。そして、このような信号のレベル調整や信号の位相調整(の一方、或いは、両方)が、本発明に言うベクトル調整に相当する。
【0039】
また、プリディストータとしては、例えば信号に対して(主増幅器で発生する歪と逆の特性となるような)歪を発生させることができるようなものであれば、種々な構成のものが用いられてもよい。
また、主増幅器としては、例えば信号を増幅することができるようなものであれば、種々な構成のものが用いられてもよい。
【0040】
また、歪検出ループにおいて、信号(一方の分配信号)に対してベクトル調整手段によるベクトル調整とプリディストータによる歪の発生とが行われる順序としては、任意であってもよく、本発明はいずれの順序を採用した構成も包含している。つまり、歪検出ループでは、例えば信号(一方の分配信号)に対してベクトル調整手段によるベクトル調整が施された後にプリディストータによる歪が付与されてもよく、或いは、例えば信号(一方の分配信号)に対してプリディストータによる歪が付与された後にベクトル調整手段によるベクトル調整が施されてもよい。
【0041】
また、歪検出ループにおいて増幅信号と他方の分配信号とを合成する仕方としては、好ましくは、これら2つの信号が互いに当該他方の分配信号(歪成分以外の信号)に関して同振幅(振幅が同一である状態)で逆相(位相が180°ずれた状態)となるように合成されるのがよく、これにより、歪成分(のみ)を検出することができる。ここで、歪検出ループで検出される歪成分のレベルを小さくすることは、例えば前記合成によっては打ち消す(キャンセルする)ことができずに当該歪成分に残留して含まれてしまう入力信号成分(前記他方の分配信号の成分)を小さくすることに相当する。なお、例えば実用上で有効に歪補償が実現される程度であれば、上記した同振幅や逆相の状態からずれた状態で合成が行われてもよい。
【0042】
同様に、歪補償ループにおいて増幅信号と歪成分とを合成する仕方としては、好ましくは、これら2つの信号が互いに当該歪成分に関して同振幅(振幅が同一である状態)で逆相(位相が180°ずれた状態)となるように合成されるのがよく、これにより、(歪成分以外の)増幅された信号(のみ)を取得することができる。なお、例えば実用上で有効に歪補償が実現される程度であれば、上記した同振幅や逆相の状態からずれた状態で合成が行われてもよい。
【0043】
また、歪補償ループにおいて、増幅信号から歪成分を除去する程度としては、例えば当該増幅信号に含まれる全ての歪成分が除去されるのが好ましいが、実用上で有効な程度であれば、例えば当該増幅信号に含まれる歪成分の一部(のみ)が除去される態様が用いられてもよく、要は、当該増幅信号に含まれる歪成分が低減されればよい。
【0044】
また、歪成分レベル検出手段により検出されるレベルとしては、種々なレベルであってもよく、例えば歪成分の振幅のレベルや、歪成分の電力(通常、振幅の2乗に比例する)のレベル等を検出することができる。
また、本発明に言う平均値やピーク値が小さくなるように制御する仕方としては、例えば当該平均値や当該ピーク値が最小となるようにするのが好ましいが、実用上で有効な程度であれば、例えば他の態様(つまり、最小ではない態様)で制御が行われてもよい。
【0045】
また、歪成分レベル検出手段により検出されるレベルの平均値が小さくなるように制御する態様には、例えば当該レベルの積分値が小さくなるように制御する態様が含まれる。つまり、このような積分値が小さくなることは、当該積分値を積分時間で割った平均値が小さくなることに相当する。
【0046】
また、歪成分レベル検出手段により検出されるレベルのピーク値が小さくなるように制御する態様には、例えば当該ピーク値を検出して当該検出値が小さくなるように制御する態様ばかりでなく、例えば当該ピーク値の付近のレベル値を検出して当該検出値が小さくなるように制御する態様が含まれる。つまり、必ずしもピーク値自体を検出しなくとも、例えば当該ピーク値の付近のレベル値を検出してピーク値を小さくすることが可能である。
【0047】
また、ベクトル調整手段によるベクトル調整を制御する態様としては、例えば信号の振幅調整と信号の位相調整とのいずれか一方を制御する態様や、これらの両方を制御する態様が含まれる。
同様に、プリディストータによる歪の発生を制御する態様としては、例えば発生する歪の振幅と位相とのいずれか一方を制御する態様や、これらの両方を制御する態様が含まれる。
【0048】
また、本発明に係る歪補償増幅器では、好ましい態様として、ベクトル調整制御手段は、歪成分レベル検出手段により検出されるレベルについて所定値未満となるレベルの平均値が小さくなるようにベクトル調整手段によるベクトル調整を制御する。
従って、例えば前記レベルのピークが現れるようなところのレベルを所定値として設定することにより、ピーク付近以外のレベル部分の平均値に基づいてベクトル調整を制御することができ、これにより、良好な制御を行うことができる。
【0049】
また、本発明に係る歪補償増幅器では、好ましい態様として、プリディストータ制御手段は、歪成分レベル検出手段により検出されるレベルについて所定値以上となるピーク値の平均値が小さくなるようにプリディストータによる歪の発生を制御する。
従って、前記所定値以上となるピーク値の平均値に基づいてプリディストータによる歪の発生を制御することができ、これにより、良好な制御を行うことができる。
【0050】
ここで、上記したベクトル調整制御手段において用いられる前記所定値と、上記したプリディストータ制御手段において用いられる前記所定値としては、それぞれ種々な値が用いられてもよいが、一例として、これら2つの所定値として同じ値が用いられるのも好ましく、この場合には、当該所定値は例えばピークであるか否かを判定するための閾値となる。
【0051】
また、本発明に係る歪補償増幅器では、一態様として、制御部では、ピーク検出手段が歪成分レベル検出手段により検出されるレベルのピーク値が所定の閾値を超えたことを検出し、プリディストータ制御手段は、ピーク検出手段による検出があったことに応じて、プリディストータによる歪の発生を制御する。
従って、前記レベルのピーク値が前記所定の閾値を超えた場合に(のみ)プリディストータによる歪の発生が制御されるため、例えば必要な時に(のみ)制御が行われることを実現することができる。
【0052】
ここで、所定の閾値としては、種々な値が用いられてもよい。
また、前記レベルのピーク値が前記所定の閾値を超えたことを検出する仕方としては、特に限定はなく、例えば前記レベルのピーク値を検出して当該ピーク値と所定の閾値との大小を比較して検出する仕方や、例えば前記レベルを常に(例えば定期的に)監視して当該レベル値と所定の閾値との大小を比較して検出する仕方等を用いることができる。
【0053】
また、ベクトル調整手段によるベクトル調整の制御については、例えば上記したピーク検出手段の検出結果にかかわらず(常に)行われる態様が用いられてもよく、また、例えば上記したピーク検出手段による検出があった場合に(のみ)行われる態様が用いられてもよい。
【0054】
また、本発明に係る歪補償増幅器では、他の態様として、制御部では、平均ピーク検出手段が歪成分レベル検出手段により検出されるレベルについて所定値以上となるピーク値の平均値が所定の閾値を超えたことを検出し、プリディストータ制御手段は、平均ピーク検出手段による検出があったことに応じて、プリディストータによる歪の発生を制御する。
従って、前記所定値以上となるピーク値の平均値が前記所定の閾値を超えた場合に(のみ)プリディストータによる歪の発生が制御されるため、例えば必要な時に(のみ)制御が行われることを実現することができる。
【0055】
ここで、所定の閾値としては、種々な値が用いられてもよい。
また、ベクトル調整手段によるベクトル調整の制御については、例えば上記した平均ピーク検出手段の検出結果にかかわらず(常に)行われる態様が用いられてもよく、また、例えば上記した平均ピーク検出手段による検出があった場合に(のみ)行われる態様が用いられてもよい。
【0056】
また、本発明に係る歪補償増幅器では、好ましい態様として、プリディストータ制御手段とベクトル調整制御手段との少なくともいずれか一方は、主増幅器で増幅される信号のレベルを検出する主増幅器レベル検出手段と、温度を検出する温度検出手段とを有するとともに、歪成分レベル検出手段により検出されるレベルに基づく値及び主増幅器レベル検出手段により検出されるレベル及び温度検出手段により検出される温度に関する情報を含む制御条件情報と制御を行うための制御値とを対応させて記憶するメモリを有し、取得される制御条件情報に対応した制御値をメモリから読み出して当該制御値により制御を行う。
【0057】
従って、上記のようにして対応付けられてメモリに記憶された制御条件情報と制御値とを用いてプリディストータやベクトル調整手段の制御が行われるため、例えば簡易で迅速な制御を行うことが可能である。
ここで、上記のような制御の仕方は、例えばプリディストータ制御手段とベクトル調整制御手段とのいずれか一方で用いられてもよく、また、これらの両方で用いられてもよい。
【0058】
また、上記のような制御の仕方がプリディストータ制御手段とベクトル調整制御手段との両方で用いられる場合には、上記した主増幅器レベル検出手段や上記した温度検出手段をこれら両方に共通の手段として備えることが可能であり、また、例えば制御条件情報としてもこれら両方に共通な情報とすることも可能である。
【0059】
また、主増幅器レベル検出手段により主増幅器で増幅される信号のレベルを検出する仕方としては、例えば主増幅器に入力される信号のレベルを検出する仕方や、例えば主増幅器から出力される信号のレベルを検出する仕方を用いることができ、また、必ずしも主増幅器の入出力レベルを直接的に検出する構成ばかりでなく、例えば主増幅器と主増幅器レベル検出手段との間に他の回路素子が備えられて当該主増幅器の入出力レベルを間接的に検出するような構成が用いられてもよい。
【0060】
また、温度検出手段により温度を検出する仕方としては、特に限定はないが、例えば主増幅器の温度を(直接的に)検出する仕方や、例えば主増幅器の温度を推定することが可能な場所の温度を検出する仕方が用いられるのが好ましい。
また、歪成分レベル検出手段により検出されるレベルに基づく値としては、上記のように、例えばプリディストータ制御手段に関しては、当該レベルのピーク値や、当該レベルについて所定値以上となるピーク値の平均値があり、また、例えばベクトル調整制御手段に関しては、当該レベルの平均値や、当該レベルについて所定値未満となるレベルの平均値がある。
【0061】
また、制御条件情報としては、例えば歪成分レベル検出手段により検出されるレベルに基づく値や主増幅器レベル検出手段により検出されるレベルや温度検出手段により検出される温度以外の状況を反映するものであってもよく、例えば主増幅器の電源電圧等の環境状況を反映するものであってもよい。
また、制御値としては、例えばプリディストータを制御するための制御値や、ベクトル調整手段を制御するための制御値が用いられ、また、例えばこれら両方を制御するための共通の制御値が用いられてもよい。
【0062】
また、本発明では、以上に示した歪補償増幅器の技術思想と同様な特徴を有する歪補償増幅方法を提供する。
すなわち、本発明に係る歪補償増幅方法では、信号を分配し、一方の分配信号に対してベクトル調整を施すとともに歪を発生させて当該一方の分配信号を主増幅器により増幅するとともに、当該増幅信号と他方の分配信号とを合成して当該増幅信号に含まれる歪成分を検出し、主増幅器からの増幅信号と検出される歪成分とを合成して当該増幅信号から歪成分を除去するに際して、検出される歪成分に基づいてベクトル調整及び歪の発生を制御する場合に、検出される歪成分のレベルの平均値が小さくなるようにベクトル調整を制御するとともに、検出される歪成分のレベルのピーク値が小さくなるように歪の発生を制御する。
【0063】
【発明の実施の形態】
本発明に係る一実施例を図面を参照して説明する。
なお、本例では、本発明に係る歪補償増幅器を例として説明することにより、併せて本発明に係る歪補償増幅方法を説明する。
図1には、本発明に係る歪補償増幅器の回路構成の一例を示してある。この歪補償増幅器は、歪検出ループと、歪補償ループと、制御部とから構成されており、信号を主増幅器4により増幅するに際して、フィードフォワード制御により歪補償を行うとともに、プリディストータ3により歪補償を行う。
【0064】
歪検出ループには、分配器1と、ベクトル調整器2と、プリディストータ3と、主増幅器4と、遅延線5と、方向性結合器6とが備えられている。
また、歪補償ループには、遅延線7と、分配器8と、ベクトル調整器9と、誤差増幅器10と、方向性結合器11とが備えられている。
また、制御部には、(上記した分配器8と、)レベル検出器12と、制御回路13とが備えられている。また、制御回路13には、ピーク除去後平均器14と、ベクトル調整器2を制御する最適化制御器15と、ピーク値平均器16と、プリディストータ3を制御する最適化制御器17とが備えられている。
【0065】
分配器1は、(本例の歪補償増幅器に)入力される信号を分配し、一方の分配信号をベクトル調整器2へ出力する一方、他方の分配信号を遅延線5へ出力する。
ベクトル調整器2は、例えば可変減衰器や可変位相器から構成されており、後述する最適化制御器15により制御されて、分配器1から入力される信号の振幅や位相を調整して当該信号をプリディストータ3へ出力する。
【0066】
プリディストータ3は、後述する最適化制御器17により制御されて、ベクトル調整器2から入力される信号に対して所定の振幅や所定の位相を有する歪を発生させ、当該信号(当該歪も含む)を主増幅器4へ出力する。
【0067】
ここで、図2(a)には、プリディストータ3の回路構成の一例を示してあり、このプリディストータ3はそれぞれ4つの端子(第1端子〜第4端子)を有した2つの3dBカプラ21、22を組合せて構成されている。
具体的には、第1の3dBカプラ21の第1端子にはコンデンサ23を介して(プリディストータ3で処理される)信号の入力端が接続されており、当該第1端子と当該コンデンサ23との間にコイル24を介して電圧源(電圧V)が接続されている。
【0068】
また、第1の3dBカプラ21の第2端子には、抵抗25を介して接地源が接続されている。
また、第1の3dBカプラ21の第3端子と第2の3dBカプラ22の第2端子とは接続されており、これら2つの端子の間にダイオード26及び抵抗27を介して接地源が接続されている。なお、ダイオード26は、接地源へ電流を流す向きで接続されている。
【0069】
また、第1の3dBカプラ21の第4端子と第2の3dBカプラ22の第1端子とは接続されており、これら2つの端子の間にダイオード28及び抵抗29を介して接地源が接続されている。なお、ダイオード28は、接地源へ電流を流す向きで接続されている。
【0070】
また、第2の3dBカプラ22の第3端子にはコンデンサ30を介して(プリディストータ3で処理される)信号の出力端が接続されており、当該第3端子と当該コンデンサ30との間にコイル31を介して電圧源(電圧V)が接続されている。
また、第2の3dBカプラ22の第4端子には、抵抗32を介して接地源が接続されている。
【0071】
このような回路構成から成るプリディストータ3では、ダイオードの非直線性を利用して所望の振幅や所望の位相を有した歪を発生させることができ、具体的には、ダイオード26、28の動作電流や動作点を変化させることにより、発生させる歪に関して、利得(振幅)の特性や位相の特性を変化させることが可能である。なお、このようなプリディストータ3としては、一例として、特願平11−046059号に記載された「歪み補償装置」を利用して構成することが可能である。
【0072】
また、図2(b)には、プリディストータ3に入力される信号のレベル(入力レベル)と当該プリディストータ3から出力される信号のレベル(出力レベル)との関係の一例をT1により示してあり、また、プリディストータ3で発生させる振幅歪により主増幅器4で発生する振幅歪を打ち消した場合における理想的な入出力レベルの特性例をT2により点線で示してある。ここで、同図(b)中の横軸は入力レベルを示しており、縦軸は出力レベルを示している。
【0073】
また、図2(c)には、プリディストータ3に入力される信号のレベル(入力レベル)と当該プリディストータ3から出力される信号の位相(出力位相)との関係の一例をS1により示してあり、また、プリディストータ3で発生させる位相歪により主増幅器4で発生する位相歪を打ち消した場合における理想的な(入力レベルに対する)出力位相の特性例をS2により点線で示してある。ここで、同図(c)中の横軸は入力レベルを示しており、縦軸は出力位相を示している。
【0074】
主増幅器4は、プリディストータ3から入力される信号を所望のレベルに増幅し、当該増幅信号を方向性結合器6へ出力する。なお、主増幅器4では、信号の増幅に際して、例えば入力信号のレベル(出力信号のレベル)が大きいような場合に歪が発生する。
【0075】
遅延線5は、分配器1から入力される信号を遅延させて方向性結合器6へ出力する。ここで、遅延線5による遅延時間としては、例えば当該遅延線5から方向性結合器6へ前記他方の分配信号が出力されるタイミングと、上記したベクトル調整器2及びプリディストータ3及び主増幅器4を介して方向性結合器6へ前記一方の分配信号が出力されるタイミングとが合うような時間が設定される。
【0076】
方向性結合器6は、主増幅器4から入力される増幅信号の一部を取得して、当該一部の増幅信号と遅延線5から入力される他方の分配信号とを(例えば入力信号(当該他方の分配信号)に関して同振幅及び逆相で)合成し、これにより合成結果として検出される歪成分(増幅信号に含まれる歪成分)を分配器8へ出力する。また、方向性結合器6は、主増幅器4から入力される増幅信号の残りの部分を遅延線7へ出力する。
【0077】
ここで、図3には、歪検出ループにより検出される歪成分(本例では、後述するレベル検出器12により検出される歪成分のレベル)の一例を示してあり、同図中の横軸は時刻を示しており、縦軸は歪成分の電圧(振幅電圧のレベル)を示している。同図に示されるように、例えば瞬時的なピーク電力が発生する信号を歪補償増幅器で処理するような場合には、歪検出ループで検出される歪成分に瞬時的なピークが発生する。
【0078】
つまり、歪検出ループで検出される歪成分に発生するピークは主増幅器4の非線形性に起因しており、本例では、後述するように、このようなピークの値が小さくなるようにプリディストータ3の利得補正特性や位相補正特性を変化させるとともに、歪検出ループ及び歪補償ループを用いたフィードフォワード制御を行うことにより、フィードフォワード歪補償回路とプリディストータ3との双方を常に最適な状態に制御して保持することが可能である。
【0079】
遅延線7は、方向性結合器6から入力される増幅信号を遅延させて方向性結合器11へ出力する。ここで、遅延線7による遅延時間としては、例えば当該遅延線7から方向性結合器11へ前記増幅信号が出力されるタイミングと、後述する分配器8及びベクトル調整器9及び誤差増幅器10を介して方向性結合器11へ歪成分の信号が出力されるタイミングとが合うような時間が設定される。
【0080】
分配器8は、方向性結合器6から入力される歪成分の信号を分配し、一方の分配信号をベクトル調整器9へ出力する一方、他方の分配信号をレベル検出器12へ出力する。
ベクトル調整器9は、分配器8から入力される歪成分信号の振幅や位相を調整して当該歪成分信号を誤差増幅器10へ出力する。なお、本例では、図示や詳しい説明を省略するが、歪補償ループのベクトル調整器9によるベクトル調整についても、例えば本例の歪補償増幅器(に備えられた方向性結合器11)から出力される増幅信号に含まれる歪成分のレベルが小さく(好ましくは、最小と)なるように(制御部により)制御することが可能である。
【0081】
誤差増幅器10は、ベクトル調整器9から入力される歪成分信号を所望のレベルに増幅し、当該増幅信号を方向性結合器11へ出力する。
方向性結合器11は、遅延線7から入力される主増幅器4の増幅信号と誤差増幅器10から入力される歪成分信号の増幅信号とを(例えば歪成分信号に関して同振幅及び逆相で)合成し、これにより合成結果として検出される信号(歪成分が除去された主増幅器4の増幅信号)を(本例の歪補償増幅器から)出力する。
【0082】
レベル検出器12は、例えば分配器8から入力される歪成分信号を検波することにより当該歪成分信号のレベル(歪成分のレベル)を検出し、当該検出結果をピーク除去後平均器14及びピーク値平均器16へ出力する。
【0083】
ピーク除去後平均器14は、レベル検出器12から入力される歪成分のレベルについて例えば所定値以上となるピークを検出し、検出したピーク部分を除去した残りのレベル部分の平均値(つまり、当該所定値未満となるレベル部分の平均値)を検出して、当該平均値を最適化制御器15へ出力する。
最適化制御器15は、ピーク除去後平均器14から入力される平均値に基づいて、例えば当該平均値が小さく(好ましくは、最小と)なるようにベクトル調整器2によるベクトル調整(信号の振幅調整や位相調整)を制御する。
【0084】
ピーク値平均器16は、レベル検出器12から入力される歪成分のレベルについて例えば所定値以上となるピークを検出し、検出したピークの値の平均値を検出して、当該平均値を最適化制御器17へ出力する。
最適化制御器17は、ピーク値平均器16から入力される平均値に基づいて、例えば当該平均値が小さく(好ましくは、最小と)なるようにプリディストータ3による歪の発生(歪の振幅や位相)を制御する。
【0085】
ここで、本例では、上記したピーク除去後平均器14で用いられる前記所定値と上記したピーク値平均器16で用いられる前記所定値として、同一の値が用いられており、当該所定値の一例を上記図3中に示してある。すなわち、歪成分のレベルが当該所定値以上のところがピークとして判定され、当該所定値未満のところはピークではないと判定される。
また、ピーク除去後平均器14やピーク値平均器16により行われる平均化の時間としては、特に限定はなく、例えば実用上で有効に歪補償が実現される程度であれば、種々な時間が設定されてもよい。
【0086】
なお、例えば特願平11−241206号に記載された「フィードフォワード歪補償増幅器及び歪補償増幅方法」では、本例と同様に、歪検出ループにより抽出される歪成分信号を検出して当該歪成分信号のレベル(振幅)が所定の閾値より大きいか否かを判定する処理等が行われており、また、この文献では、当該処理に際してサンプリング処理を行うこと等も記載されている。
【0087】
ここで、アナログ的な回路の具体例として、図4(a)には信号のレベルの平均値を検出する平均値検出回路の一例を示してあり、図5には信号のレベルのピーク値を検出するピーク値検出回路の一例を示してある。
【0088】
具体的に、図4(a)に示した平均値検出回路は、信号の入力端と出力端との間にダイオードD1と抵抗R1とを直列に接続して構成されている。そして、ダイオードD1の入力端には抵抗R2を介して接地源が接続されており、ダイオードD1の出力端には当該ダイオードD1側にコンデンサC1を介して接地源が接続されているとともに抵抗R1側に抵抗R3を介して接地源が接続されており、抵抗R1の出力端にはコンデンサC2を介して接地源が接続されている。なお、ダイオードD1は、当該平均値検出回路の入力端から当該回路の出力端へ電流を流す向きで接続されている。
【0089】
このような平均値検出回路では、例えば同図(b)に示されるように時刻に対して電圧(振幅電圧のレベル)が揺らぐような信号が入力端から入力されて抵抗R3にかかる状況に対して、例えば同図(c)に示されるように当該信号を平均化した信号(平均値)を抵抗R1を介して出力端から出力することができる。つまり、抵抗R3の位置は検波の終端となっており、また、抵抗R1及びコンデンサC2により平均化を行うフィルタが構成されている。ここで、同図(b)及び同図(c)中の横軸は時刻を示しており、縦軸は信号の電圧(振幅電圧のレベル)を示している。
【0090】
なお、上記したダイオードD1としては、例えばショットキーバリア形のダイオード等を用いることができる。また、例えば入力レベルやダイオードによっては、バイアスをかけてダイオードが使用されるのがよい場合もある。
また、上記したコンデンサC1としては、例えばバイパスコンデンサが用いられ、その周波数に対して十分に小さいインピーダンス(例えば、数Ω)のものが用いられるのがよい。
【0091】
また、例えば制御回路13において上記した抵抗R1がA/D(Analog/Digital)コンバータ等のハイインピーダンスのIC(Integrated Circuit)と接続されるような場合には、当該抵抗R1としては例えば10kΩ程度のものが用いられるのがよい。
また、上記した抵抗R2としては、例えば50Ω程度のものが用いられるのがよい。
【0092】
また、具体的に、図5に示したピーク値検出回路は、信号の入力端と出力端との間に2つのダイオードD11、D12を直列に接続して構成されている。そして、信号の入力端側のダイオードD11の入力端には抵抗R11を介して接地源が接続されており、当該ダイオードD11の出力端には当該ダイオードD11側にコンデンサC11を介して接地源が接続されているとともに信号の出力端側のダイオード12側に抵抗R12を介して接地源が接続されている。なお、2つのダイオードD11、D12はそれぞれ、当該ピーク値検出回路の入力端から当該回路の出力端へ電流を流す向きで接続されている。
【0093】
つまり、同図に示したピーク値検出回路は、上記図4(a)に示した平均値検出回路を構成する抵抗R1及びコンデンサC2から成る部分をダイオードD12(例えばショットキーバリア形のダイオード)に置き換えたような構成を有しており、これにより、抵抗R12及びダイオードD12の部分でピーク値を取得(ホールド)することができる。
【0094】
上記したピーク除去後平均器14では、一例として、歪成分のレベルについてピーク部分を除去した残りのレベル部分を平均値検出回路により平均化することにより、当該レベル部分の平均値を検出することができる。
また、上記したピーク値平均器16では、一例として、ピーク値検出回路により歪成分のレベルのピーク値を検出して、当該ピーク値を平均値検出回路により平均化することにより、当該ピーク値の平均値を検出することができる。
【0095】
また、図6には、例えばデジタル回路から構成された制御回路41(上記した制御回路13に相当するもの)を有した制御部の一例を示してある。なお、同図には、上記図1に示したものと同様な分配器1やベクトル調整器2やプリディストータ3や主増幅器4や遅延線5や方向性結合器6や分配器8も示してある。
【0096】
同図に示した制御回路41には、アナログ信号をデジタル信号へ変換するA/Dコンバータ42と、CPU(Central Process ing Unit)43と、デジタル信号をアナログ信号へ変換する4つのD/A(Digital/Analog)コンバータ44〜47とが備えられている。また、分配器8と制御回路41との間には、例えば歪検出ループで検出される歪成分の信号を検波する検波器48が備えられている。
【0097】
検波器48は、分配器8から入力される歪成分信号を検波して、当該検波結果をA/Dコンバータ42へ出力する。
A/Dコンバータ42は、検波器48により検出される歪成分をデジタルサンプリング(デジタル化)し、当該サンプリング結果をCPU43へ出力する。
【0098】
そして、CPU43は、A/Dコンバータ42から入力されるサンプリング結果に基づいて、所定値以上のレベルを有するピーク部分を除いた歪成分レベルを平均化して当該平均結果に基づいて歪検出ループに備えられたベクトル調整器2を制御することにより当該平均結果を小さく(好ましくは、最小と)し、その後、所定値以上のレベルを有するピークの値を平均化して当該平均結果に基づいてプリディストータ3を制御することにより当該平均結果を小さく(好ましくは、最小と)する。
【0099】
なお、CPU43では、例えばベクトル調整器2による振幅調整(本例では、可変減衰器)を制御するための制御値をD/Aコンバータ44を介してベクトル調整器2(本例では、可変減衰器)へ出力するとともに、ベクトル調整器2による位相調整(本例では、可変位相器)を制御するための制御値をD/Aコンバータ45を介してベクトル調整器2(本例では、可変位相器)へ出力することにより、ベクトル調整器2による信号の振幅調整及び位相調整を制御する。
【0100】
また、CPU43では、例えばプリディストータ3で発生させる歪の振幅を制御するための制御値をD/Aコンバータ46を介してプリディストータ3へ出力するとともに、プリディストータ3で発生させる歪の位相を制御するための制御値をD/Aコンバータ47を介してプリディストータ3へ出力することにより、プリディストータ3で発生させる歪の振幅及び位相を制御する。
【0101】
なお、プリディストータ3として、例えば高周波の入力信号を低周波の信号へ変換してデジタルサンプリングを行い、その後、デジタル信号処理により当該信号の波形を整形した後に(再び)高周波の信号へ変換するような構成のものが用いられた場合においても、本例のような制御の仕方は有効に機能する。
【0102】
以上のように、本例の歪補償増幅器では、歪検出ループ及び歪補償ループを用いてフィードフォワード制御により歪補償を行うフィードフォワード歪補償回路とプリディストータ3とを組合せた構成において、歪検出ループで検出される歪成分に関する平均値に基づいてフィードフォワード歪補償回路(ベクトル調整器2)を制御する一方、当該歪成分に関するピーク値に基づいてプリディストータ3を制御することが行われる。
【0103】
従って、本例の歪補償増幅器では、上記したフィードフォワード歪補償回路と上記したプリディストータ3とをそれぞれ適した値に基づいて制御することができることから、良好な歪補償を実現することができ、これにより、例えば主増幅器4やプリディストータ3の特性変化が生じてしまうような場合においても、歪補償量の劣化を防止して、常に安定した低歪の増幅信号を(本例の歪補償増幅器から)出力することができる。
【0104】
ここで、本例では、ベクトル調整器2の機能により本発明に言うベクトル調整手段が構成されており、プリディストータ3が本発明に言うプリディストータに相当しており、主増幅器4が本発明に言う主増幅器に相当している。
また、本例では、レベル検出器12の機能により本発明に言う歪成分レベル検出手段が構成されており、ピーク除去後平均器14の機能や最適化制御器15の機能により本発明に言うベクトル調整制御手段が構成されており、ピーク値平均器16の機能や最適化制御器17の機能により本発明に言うプリディストータ制御手段が構成されている。
【0105】
なお、本例の歪補償増幅器では、例えばレベル検出器12により検出される歪成分のレベルのピーク値が所定の閾値を超えた場合や、或いは、当該レベルについて所定値以上となるピーク値の平均値が所定の閾値を超えた場合に、最適化制御器17によるプリディストータ3の制御を行うような構成とすることも可能である。このような構成では、例えば前記レベルのピーク値が所定の閾値を超えたか否かを判定して当該超えたことを検出する機能(本発明に言うピーク検出手段に相当するもの)や、或いは、前記レベルのピーク値の平均値が所定の閾値を超えたか否かを判定して当該超えたことを検出する機能(本発明に言う平均ピーク検出手段に相当するもの)が制御部に備えられる。
【0106】
次に、図7には、本発明に係る歪補償増幅器の回路構成の他の一例を示してある。なお、同図に示した歪補償増幅器の構成は、例えば制御部の構成が異なる点を除いては、上記図1に示した歪補償増幅器の構成と同様である。このため、図7に示した歪補償増幅器では、説明の便宜上から、上記図1に示した歪補償増幅器と同様な歪検出ループや歪補償ループを構成する各処理部1〜11については、上記図1に示した場合と同じ符号を用いて示してある。また、同様に、制御部のレベル検出器12についても、上記図1に示したものと同様な構成であることから、上記図1に示した場合と同じ符号を用いて示してある。
【0107】
本例の歪補償増幅器の制御部には、上記したレベル検出器12が備えられているとともに、方向性結合器51と、レベル検出器52と、温度センサ53と、制御回路54とが備えられている。また、制御回路54には、ピーク除去後平均器55と、ベクトル調整器2を制御する最適化制御器56と、ピーク値平均器57と、プリディストータ3を制御する最適化制御器58とが備えられている。
【0108】
ここで、ピーク除去後平均器55及び最適化制御器56の構成や動作としては、それぞれ、例えば上記図1に示したピーク除去後平均器14及び最適化制御器15の構成や動作と同様であり、すなわち、ピーク除去後平均器55及び最適化制御器56ではレベル検出器12から入力される検出結果に基づいてベクトル調整器2を最適に制御する。
【0109】
方向性結合器51は、歪検出ループの分配器1の入力端に備えられており、(本例の歪補償増幅器に)入力される信号の一部を取得して、当該一部の入力信号をレベル検出器52へ出力する。なお、(本例の歪補償増幅器への)入力信号の残りの部分は分配器1へ出力される。
【0110】
レベル検出器52は、方向性結合器51から入力される信号のレベルを検出し、当該検出結果を最適化制御器58へ出力する。なお、本例では、レベル検出器52により検出されるレベルは、主増幅器4に入力される信号のレベルを反映したもの(例えば比例するもの)となる。
【0111】
温度センサ53は、例えば主増幅器4の温度或いは当該温度を推定することが可能な場所の温度を検出して、当該検出結果を最適化制御器58へ出力する。
ピーク値平均器57の構成や動作としては、例えば上記図1に示したピーク値平均器16の構成や動作と同様であり、すなわち、ピーク値平均器57ではレベル検出器12により検出される歪成分のレベルのピーク値を平均化して、当該平均値を最適化制御器58へ出力する。
【0112】
最適化制御器58は、レベル検出器52から入力される入力信号レベルの検出結果や、温度センサ53から入力される温度の検出結果や、ピーク値平均器57から入力される歪成分レベルのピーク値の平均値に基づいて、当該平均値が小さく(好ましくは、最小と)なるように、プリディストータ3を制御する。
【0113】
ここで、上記した最適化制御器58では、一例として、レベル検出器52による検出結果や温度センサ53による検出結果やピーク値平均器57による平均値に関する情報を含む制御条件情報と、プリディストータ3を制御するための制御値とを例えば予め対応させてメモリに記憶させておくことができる。この場合、最適化制御器58では、レベル検出器52や温度センサ53やピーク値平均器57から通知される値に応じた制御条件情報を取得(特定)して、当該制御条件情報に対応した制御値をメモリから読み出して当該制御値によりプリディストータ3を制御することにより、例えば簡易で迅速な仕方で制御を実現することができる。
【0114】
以上のように、本例の歪補償増幅器では、例えば上記図1に示した歪補償増幅器により得られる効果を奏することができるとともに、更に、主増幅器4で処理される信号のレベルや主増幅器4の温度に基づいて制御を行うことにより、高精度な歪補償を実現することができる。
【0115】
ここで、本例では、レベル検出器52の機能により本発明に言う主増幅器レベル検出手段が構成されており、温度センサ53の機能により本発明に言う温度検出手段が構成されている。
なお、本例では、主増幅器4で増幅される信号のレベルや温度に基づいてプリディストータ3を制御する構成を示したが、同様な制御の仕方を例えばベクトル調整器2を制御する最適化制御器56に適用することも可能である。
【0116】
ここで、本発明に係る歪補償増幅器の構成や本発明に係る歪補償増幅方法の態様としては、必ずしも以上に示したものに限られず、種々な構成や態様が用いられてもよい。
また、本発明は、例えばCDMA信号等のように瞬時的なピーク電力を含むような信号を増幅する装置に適用するのに好適なものであるが、必ずしもこれに限られず、種々な分野に適用することも可能なものである。
【0117】
また、本発明に係る歪補償増幅器や歪補償増幅方法により行われる歪補償処理等の各種の処理としては、例えばプロセッサやメモリ等を備えたハードウエア資源においてプロセッサがROMに格納された制御プログラムを実行することにより制御される構成が用いられてもよく、また、例えば当該処理を実行するための各機能手段が独立したハードウエア回路として構成されてもよい。
また、本発明は上記の制御プログラムを格納したフロッピーディスクやCD−ROM等のコンピュータにより読み取り可能な記録媒体として把握することもでき、当該制御プログラムを記録媒体からコンピュータに入力してプロセッサに実行させることにより、本発明に係る処理を遂行させることができる。
【0118】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る歪補償増幅器や歪補償増幅方法によると、歪検出ループにおいて信号を分配して、一方の分配信号に対してベクトル調整を施すとともにプリディストータにより歪を発生させて当該一方の分配信号を主増幅器により増幅するとともに、当該増幅信号と他方の分配信号とを合成して当該増幅信号に含まれる歪成分を検出し、歪補償ループにおいて主増幅器からの増幅信号と歪検出ループで検出される歪成分とを合成して当該増幅信号から歪成分を除去するに際して、歪検出ループで検出される歪成分のレベルを検出して、当該レベルの平均値が小さくなるようにベクトル調整を制御するとともに、当該レベルのピーク値が小さくなるようにプリディストータによる歪の発生を制御するようにしたため、総じて、良好な歪補償を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る歪補償増幅器の回路構成の一例を示す図である。
【図2】 プリディストータの回路構成の一例を示す図である。
【図3】 歪検出ループで検出される歪成分の一例を示す図である。
【図4】 平均値検出回路の一例を示す図である。
【図5】 ピーク値検出回路の一例を示す図である。
【図6】 制御回路の一例を示す図である。
【図7】 本発明に係る歪補償増幅器の回路構成の他の一例を示す図である。
【図8】 歪検出ループを簡易化したモデルの一例を示す図である。
【図9】 従来例に係る歪補償増幅器の回路構成例を示す図である。
【図10】 プリディストータによる歪補償の一例を示す図である。
【図11】 従来例に係るプリディストーション自動調整回路の一例を示す図である。
【符号の説明】
1、8・・分配器、 2、9・・ベクトル調整器、 3・・プリディストータ、
4・・主増幅器、 5、7・・遅延線、 6、11、51・・方向性結合器、
10・・誤差増幅器、 12、52・・レベル検出器、
13、41、54・・制御回路、 14、55・・ピーク除去後平均器、
15、17、56、58・・最適化制御器、 16、57・・ピーク値平均器、
21、22・・3dBカプラ、
23、30、C1、C2、C11・・コンデンサ、 24、31・・コイル、
25、27、29、32、R1〜R3、R11、R12・・抵抗、
26、28、D1、D11、D12・・ダイオード、
42・・A/Dコンバータ、 43・・CPU、
44〜47・・D/Aコンバータ、 48・・検波器、 53・・温度センサ、
Claims (7)
- 信号を分配し、一方の分配信号に対してベクトル調整手段によりベクトル調整を施すとともにプリディストータにより歪を発生させて当該一方の分配信号を主増幅器により増幅するとともに、当該増幅信号と他方の分配信号とを合成して当該増幅信号に含まれる歪成分を検出する歪検出ループと、主増幅器からの増幅信号と歪検出ループで検出される歪成分とを合成して当該増幅信号から歪成分を除去する歪補償ループと、歪検出ループで検出される歪成分に基づいてベクトル調整手段によるベクトル調整及びプリディストータによる歪の発生を制御する制御部とを有した歪補償増幅器であって、
制御部は、歪検出ループで検出される歪成分のレベルを検出する歪成分レベル検出手段と、
歪成分レベル検出手段により検出されるレベルの平均値が小さくなるようにベクトル調整手段によるベクトル調整を制御するベクトル調整制御手段と、
歪成分レベル検出手段により検出されるレベルのピーク値が小さくなるようにプリディストータによる歪の発生を制御するプリディストータ制御手段と、
を備えたことを特徴とする歪補償増幅器。 - 請求項1に記載の歪補償増幅器において、
ベクトル調整制御手段は、歪成分レベル検出手段により検出されるレベルについて所定値未満となるレベルの平均値が小さくなるようにベクトル調整手段によるベクトル調整を制御することを特徴とする歪補償増幅器。 - 請求項1又は請求項2に記載の歪補償増幅器において、
プリディストータ制御手段は、歪成分レベル検出手段により検出されるレベルについて所定値以上となるピーク値の平均値が小さくなるようにプリディストータによる歪の発生を制御することを特徴とする歪補償増幅器。 - 請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の歪補償増幅器において、
制御部は、歪成分レベル検出手段により検出されるレベルのピーク値が所定の閾値を超えたことを検出するピーク検出手段を備え、
プリディストータ制御手段は、ピーク検出手段による検出があったことに応じて、プリディストータによる歪の発生を制御することを特徴とする歪補償増幅器。 - 請求項3に記載の歪補償増幅器において、
制御部は、歪成分レベル検出手段により検出されるレベルについて所定値以上となるピーク値の平均値が所定の閾値を超えたことを検出する平均ピーク検出手段を備え、
プリディストータ制御手段は、平均ピーク検出手段による検出があったことに応じて、プリディストータによる歪の発生を制御することを特徴とする歪補償増幅器。 - 請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の歪補償増幅器において、
プリディストータ制御手段とベクトル調整制御手段との少なくともいずれか一方は、主増幅器で増幅される信号のレベルを検出する主増幅器レベル検出手段と温度を検出する温度検出手段とを有するとともに、歪成分レベル検出手段により検出されるレベルに基づく値及び主増幅器レベル検出手段により検出されるレベル及び温度検出手段により検出される温度に関する情報を含む制御条件情報と制御を行うための制御値とを対応させて記憶するメモリを有し、取得される制御条件情報に対応した制御値をメモリから読み出して当該制御値により制御を行うことを特徴とする歪補償増幅器。 - 信号を分配し、一方の分配信号に対してベクトル調整を施すとともに歪を発生させて当該一方の分配信号を主増幅器により増幅するとともに、当該増幅信号と他方の分配信号とを合成して当該増幅信号に含まれる歪成分を検出し、主増幅器からの増幅信号と検出される歪成分とを合成して当該増幅信号から歪成分を除去するに際して、検出される歪成分に基づいてベクトル調整及び歪の発生を制御する歪補償増幅方法であって、
検出される歪成分のレベルの平均値が小さくなるようにベクトル調整を制御するとともに、検出される歪成分のレベルのピーク値が小さくなるように歪の発生を制御することを特徴とする歪補償増幅方法。
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