JP4798073B2 - 溶融還元炉スラグの改質方法 - Google Patents
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Description
ここに、free-CaOは、 次式(6) の水和反応によってCa(OH)2 となり、この時に体積が約2倍になる。
CaO+H2O → Ca(OH)2 --- (6)
このため、道路用製鋼スラグの物性としてJIS A 5015では、水浸膨張率を1.5 %以下に制限しており、この規格を満足させることが重要である。
(a) 自然エージング処理方法
この処理は、所定粒度に破砕した製鋼スラグを、山積みし、大気中の水分、雨水等によって (1)式の水和反応を行わせることにより、free-CaOをCa(OH)2 として安定化する方法である。
この処理は、特許文献1に記載されているように、所定粒度に破砕した製鋼スラグを、山積みし、高温度で蒸気を吹き込み、大気中で48時間以上暴露することにより、free-CaOをCa(OH)2 として安定化する方法である。
この処理は、特許文献2に記載されているように、所定粒度に破砕した製鋼スラグを、温水に浸漬することにより、free-CaOをCa(OH)2 として安定化する方法である。
この処理は、特許文献3に記載されているように、溶融状態の転炉スラグまたは電気炉スラグに赤泥を添加することにより、free-CaOを消失させ、スラグの膨張性を安定化する方法である。
このため、自然エージング処理法では、free-CaOを安定化するのに通常1年以上の長期間を要するという問題があった。
また、水蒸気エージング処理法や温水エージング処理法でも、48時間以上のエージング時間を要するという問題があった。
さらに、赤泥添加処理法は、溶融状態で赤泥を添加することから、スラグの塩基度が低下し、転炉等の耐火物を損耗させる原因になっていた。
この組成のスラグは、free-MgOを多量に含有しているため、耐火物の損耗を低減するには効果がある。
しかしながら、free-MgOは次式(7) の水和反応によりMg(OH)2 となり、この時に体積が約2倍になる。
MgO+H2O → Mg(OH)2 --- (7)
しかしながら、その後の調査によって、上記の発明では、極端に Al2O3濃度が低くなった場合にはfree-CaOの生成が余儀なくされ、また MgO濃度が高い場合はfree-MgOが多量に含有され、水浸膨張率が規格を満たさなくなる場合があることが新たに知見された。
しかしながら、この方法は、スラグ中の( Al2O3%/ MgO%)を 1.3以上としなければならないことから、スラグの融点が低下して耐火物に対する浸食が大となるおそれがあった。
{ CaO%/(SiO2%+ Al2O3%)}≦ 2.0 --- (1)
Al2O3%>10% --- (2)
12%≦MgO %<30% --- (3)
( CaO%+ MgO%)/SiO2%≧ 2.2 --- (4)
MgO%+ Al2O3%≦50% --- (5)
Al 2 O 3 %/MgO%≦1.0 --- (6)
Free-MgO≦12% --- (7)
を満足する範囲に制御することにより、溶融還元炉スラグの水和膨張および耐火物損耗を低減すると共に、金属酸化物の還元速度の低下を防止することを特徴とする、溶融還元炉スラグの改質方法である。
また、本発明では、耐火物の損耗を有利に抑制することができ、さらには溶融還元工程における金属酸化物の還元速度の低下を効果的に防止することができる。
さて、発明者らは、CaO-SiO2-MgO-Al2O3系の多様な組成のスラグを合成し、JIS A 5015による水浸膨張率とスラグ組成との関係および耐火物損耗とスラグ組成との関係について調べた。
図1,2はそれぞれ、スラグ組成を、CaO-SiO2-MgO-Al2O3の4元系に換算(4元系合計で100 mass%)した場合において、free-CaOやfree-MgOの水和反応により水浸膨張率が不合格となる組成範囲および耐火物の溶損が大となる組成範囲を模式的に示したものであり、図1はスラグ中のAl2O3含有量が11mass%と少ない場合、一方、図2はスラグ中のAl2O3含有量が20mass%と比較的多い場合である。
{ CaO%/(SiO2%+ Al2O3%)}≦ 2.0 --- (1)
で示される範囲である。この組成範囲は、free-CaO濃度が 0.5mass%以下となる範囲であり、水浸膨張性に悪影響を及ぼさない範囲である。
すなわち、スラグ中の CaO成分は主にSiO2, Al2O3と化合物を形成し、Ca2SiO4, Ca12Al14O33, Ca3Al2O4等として存在する。従って、SiO2やAl2O3濃度が高くなるとfree-CaOが生成しにくくなり、その結果free-CaOによる水浸膨張性の劣化を回避できるわけである。
図3に、free-MgO濃度と水浸膨張率との関係についての調査結果を示したが、同図から明らかなように、free-MgO濃度が12mass%以下ならば水浸膨張率を規格値である 1.5%以内に抑えることができる。
この理由は、free-MgOには、スラグ中の微量成分であるFeO, MnO等が固溶しているため、水和反応をほとんど生じないためである。なお、図3におけるスラグのfree-CaO濃度は全て 0.5mass%以下である。
Al2O3が10mass%を超える場合、( CaO%+MgO%)/SiO2%が 2.2未満、または MgO濃度が12mass%未満になると極端に MgO未飽和となり、耐火物が溶損し易くなる。従って、( CaO%+ MgO%)/SiO2%≧2.2 、かつ MgO≧12mass%とする必要がある。
従って、この場合には、( CaO%+ MgO%)/SiO2%≧2.6 程度とすることが望ましく、これによって耐火物の損耗を効果的に低減することができる。
図4に、クロム鉱石溶融還元炉スラグ中の(MgO+Al2O3)濃度とTotal Cr濃度との関係について調べた結果を示す。
同図に示したとおり、(MgO+Al2O3)濃度が50mass%を超えると、Total Cr濃度が急激に増大する、すなわちクロム鉱石還元速度が遅くなることが判った。
従って、スピネル型金属酸化物の還元速度の低下を防止するには、 MgO%+Al2O3 %≦50%とする必要がある。
なお、 MgO%+Al2O3 %≦50%とすれば、スラグ中のTotal Cr濃度は 1.0%以下となり、この範囲であれば良好な還元速度であるといえる。
すなわち、free-CaO、free-MgOの水和反応による水浸膨張性の劣化を回避し、かつ耐火物の損耗を低減するには、スラグ中における当該成分について、CaO-SiO2-Al2O3-MgOの4元系における 100%換算の質量比率で
{ CaO%/(SiO2%+ Al2O3%)}≦ 2.0 --- (1)
Al2O3%>10% --- (2)
12%≦MgO %<30% --- (3)
( CaO%+ MgO%)/SiO2%≧ 2.2 --- (4)
とする必要がある。
また、クロム鉱石、クロム鉄鉱等のスピネル型金属酸化物の還元速度低下を防止するためには、さらに
MgO%+ Al2O3%≦50% --- (5)
とする必要がある。
さらに、スラグの融点が低下して耐火物に対する侵食が大となるのを防止するには、
Al 2 O 3 %/MgO%≦1.0 --- (6)
とする必要がある。
加えて、水浸膨張率を規格値である1.5%以内に抑えるには、
Free-MgO≦12% --- (7)
とする必要がある。
また、 CaO源、SiO2源、 Al2O3源および MgO源の投入は、吹錬が終了する5分前までに行い、スラグを平衡状態にすることが好ましい。
得られた結果を、表1に併記する。
なお、耐火物の損耗速度は、実炉において、レーザー式損耗量測定装置により計測した。また、金属酸化物の還元速度は、スラグ中のTotal Cr濃度で評価した。
また、比較例2のように、溶融還元炉スラグの場合で、( MgO%+ Al2O3%)量が50%を超えた場合には、スラグ中のTotal Cr濃度が 1.0mass%超となり、金属酸化物の還元速度の低下を余儀なくされた。
さらに、比較例3、4のように、 MgO量が下限に満たなかったり、( CaO%+ MgO%)/SiO2%が適正範囲から逸脱した場合には、耐火物の損耗速度が吹錬時間1時間当たり1mm以上となり、耐火物の著しい損耗を招いた。
{ CaO%/(SiO2%+ Al2O3%)}≦ 2.0 --- (1)
Al2O3%>10% --- (2)
12%≦MgO %<30% --- (3)
( CaO%+ MgO%)/SiO2%≧ 2.2 --- (4)
MgO%+ Al2O3%≦50% --- (5)
Al 2 O 3 %/MgO%≦1.0 --- (6)
Free-MgO≦12% --- (7)
の範囲を満足するように制御した場合には、free-CaO濃度が0.5mass%以下でかつfree-MgO濃度が12mass%以下となり、水浸膨張率を1.5%以下に低減することができただけでなく、耐火物の損耗速度を1mm/h以下まで抑制することができ、さらにはTotal Cr濃度が 1.0mass%以下と金属酸化物の還元速度の低下も併せて防止することができた。
Claims (1)
- 転炉型反応容器内の溶銑に金属酸化物および炭材を投入、酸素吹錬して昇温、溶融し、当該金属酸化物を溶融還元する工程において、精錬処理中に CaO源、SiO2源、 Al2O3源および MgO源のうち少なくともいずれか一種の投入量を調整することにより、スラグ中における当該成分について、CaO-SiO2-Al2O3-MgOの4元系における 100%換算の質量比率で、次式 (1)〜(7)
{ CaO%/(SiO2%+ Al2O3%)}≦ 2.0 --- (1)
Al2O3%>10% --- (2)
12%≦MgO %<30% --- (3)
( CaO%+ MgO%)/SiO2%≧ 2.2 --- (4)
MgO%+ Al2O3%≦50% --- (5)
Al 2 O 3 %/MgO%≦1.0 --- (6)
Free-MgO≦12% --- (7)
を満足する範囲に制御することにより、溶融還元炉スラグの水和膨張および耐火物損耗を低減すると共に、金属酸化物の還元速度の低下を防止することを特徴とする、溶融還元炉スラグの改質方法。
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