JP3744133B2 - ステンレス鋼製造時に発生するスラグの排滓方法及び排滓スラグの再利用方法 - Google Patents

ステンレス鋼製造時に発生するスラグの排滓方法及び排滓スラグの再利用方法 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ステンレス鋼製造時に発生するスラグの排滓方法及び排滓スラグの再利用方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
最近、ステンレス鋼の製造コストを低減するため、従来使用していた高価なフェロクロム合金、あるいは還元ペレットに代え、安価なクロム鉱石を直接使用することが行われるようになった。すなわち、特公平4−38806号公報が開示したように、「機能の異なる2基の転炉を用い、1基目の転炉で溶銑に粉状クロム鉱石を投入し、該鉱石を炭材で溶融還元してステンレス鋼製造用母溶湯を吹錬し、該母溶湯を2基目の転炉で通常通りの脱炭精錬を行ってステンレス鋼を製造する方法」である。その際、2基目の脱炭炉でも、酸化クロムを含有したスラグが発生するので、このスラグから高価なクロムを回収する必要がある。現在は、前記脱炭炉からスラグを搬送容器(取鍋)に排滓し、該容器を介して最初の溶融還元炉へ戻し、再び溶融還元でステンレス鋼用母溶湯中に回収する方法を採用している。
【0003】
しかしながら、前記基目の脱炭炉からのスラグを受け入れた搬送容器内で、クロム酸化物が冷却固化してしまい、スラグが大きな固形物となる。そのため、該脱炭炉から搬送容器へ排滓したり、あるいは該容器から最初の溶融還元用炉へスラグを戻そうにも、凝集したスラグが炉壁や容器壁に引っかかったり、へばり付いて全量排出できない。また、この排出不良は、高価なクロムの回収量減少になるばかりでなく、搬送容器内に残留したスラグの処理というやっかいな問題を起こす。
【0004】
また、近年、ステンレス鋼のすべて鋼種に高品質が求められ、それに応じて製鋼工程でも様々な精錬方法が開発され、実用化されている。ところが、それら精錬方法は、造滓材を従来より多量に使用するので、精錬副産物であるスラグの処理が大きな問題となっている。そのため、造滓材使用量の低減やスラグの再使用方法に関する技術開発が盛に行われるようになった。
【0005】
例えば、特公昭58−31362号公報は、「前チャージの溶融スラグを炉内に残留させて、次チャージの造滓材の一部として再利用する製鋼法」を提案している。また、特公昭62−50543号公報は、「ステンレス鋼製造時に発生する酸化クロムを含有するスラグを、上底吹転炉型反応器内で安価な炭材を用いて溶融還元することによりクロム分を還元回収する方法」を開示している。
【0006】
しかしながら、特公昭58−31362号公報記載の技術は、前チャージの溶融スラグを炉内に残留させて、次チャージの造滓材の一部として再利用するので、次チャージでは炉内のスラグ量が増加することになる。吹錬に伴い溶鋼中のクロムは酸化されてスラグに移行するが、該技術では、そのクロム酸化物を還元回収するために、高価なFe−Siを多量に使用することになるという問題を有している。
【0007】
また、特公昭62−50543号公報記載の技術を試行したが、通常の溶融還元よりも高温(例えば、1650℃以上)で酸素吹錬しないと、該スラグは溶融しなかった。つまり、この技術には、溶融還元炉の内張耐火物損耗を促進させ、炉寿命を低下させるという問題が存在しているように思われた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる事情に鑑み、脱炭炉や搬送容器からの排滓を容易にするステンレス鋼製造時に発生するスラグの排滓方法、及びその方法で排滓されたスラグの再利用方法を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
発明者は、上記目的を達成するため、脱炭炉や搬送容器から排滓し易いスラグの状態を見いだすべく研究を行い、スラグを凝集させずに冷却、固化し、粉粒状で、且つ所謂サラサラの状態にできれば良いとの結論を得た。そして、脱炭炉内で精錬終了後のスラグをかかる状態にするための手段を鋭意検討し、本発明を完成させた。
【0010】
すなわち、本発明は、転炉型溶融還元炉内の溶銑に、クロム原料及び焼石灰を投入し、別途投入した炭材を酸化性ガスで燃焼せしめて熱を発生させ、該クロム原料を溶融還元し、次いで、生成した含クロム粗溶鋼を、別の転炉型脱炭炉内に移行して脱炭精錬を行いステンレス鋼を製造するに際し、前記脱炭精錬の終了後、前記脱炭炉内で発生したスラグに、冷却材/スラグの体積比が0.2以上となるように、スラグの冷却材を投入し、該スラグの凝集を抑制しながら混合及び冷却、固化させた後のスラグを搬送容器へ排滓することを特徴とするステンレス鋼製造時に発生するスラグの排滓方法である。
【0011】
また、本発明は、前記冷却材を、炭材としたり、あるいは焼石灰とすることを特徴とするステンレス鋼製造時に発生するスラグの排滓方法である。
さらに、本発明は、前記冷却材の投入前に、脱炭炉で生成するスラグの塩基度(CaO/SiO2 )を1.8〜3.0とすることを特徴とするステンレス鋼製造時に発生するスラグの排滓方法である。
【0012】
加えて、本発明は、前記のいずれかに記載した方法で排滓したステンレス鋼製造時に発生したスラグを、前記転炉型溶融還元炉の溶銑に投入し、再度クロム原料を溶融還元したり、その際の溶湯温度を1550〜1650℃とすることを特徴とする排滓スラグの再利用方法でもある。
本発明によれば、脱炭炉内のスラグを粉粒状で、且つサラサラの状態になるので、該脱炭炉や搬送容器からの排滓が円滑になる。その結果、脱炭炉で生成したスラグ中の高価なクロムは、すべて回収されるようになり、ステンレス鋼の製造コストの低減が達成できる。また、本発明では、スラグの冷却材を、溶融還元でも副原料として使用される炭材や焼石灰としたので、それらが排滓スラグの再利用方法において有効に使用され、無駄にならない。さらに、溶融還元炉の内張耐火物の損耗が抑制され、炉寿命の延長が達成できる。冷材としては、特に、溶融還元炉の操業で必須であり、増量に実質的に規制がないコークスを代表とする炭材が最適である。一方、石灰も使用できるが、炭材より比重が大きく実質的に炭材より多量に使用せねばならないことと、スラグと同時に固化した石灰は滓化が遅れることを配慮すると、炭材よりも使用が限定される。従って、本発明では、炭材と石灰とを適宜混合して使用するのが好ましい。
【0013】
なお、本発明では、冷却材の投入量を冷却材/スラグの体積比で求めたが、該スラグの体積は、嵩比重を2.5t/m3 とし、冷却材の体積は、炭材や焼石灰に固有の嵩比重を使用して計算している。例えば、小塊コークス(粒度10〜25mm)や焼石灰(粒度5〜20mm)を本発明の実施に用いる場合、それらの嵩比重はそれぞれ0.5t/m3 及び1.0t/m3 であった。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、発明をなすに至った経緯をまじえて、本発明の実施の形態を説明する。まず、発明者は、2基目の脱炭炉内に生成したスラグを、粉粒状で、且つサラサラした状態に冷却、固化することを種々検討した。その中で、図1に示す結果が最も好ましいものであった。すなわち、図1は、スラグの冷却材として脱炭炉内に投入するものを炭材(具体的にはコークス)とし、その添加量を、生成スラグとの体積比で定めて種々変更し、1基目の溶融還元炉に戻すことができるスラグ量(スラグ回収率=(戻しスラグ重量/生成スラグ重量)×100で表わす)の変化を調べたものである。
【0015】
図1から明らかなように、スラグ中に含まれるクロム酸化物の有無にかかわらず、冷却材/スラグの体積比が0.2を境にして、添加する冷却材の効果が異なっている。つまり、冷却材/スラグの体積比が0.2未満にすると、冷却固化後にスラグの凝集が促進し、スラグの搬送容器に引っかかったり、あるいはへばり付き、脱炭炉で生成したスラグを溶融還元炉に全量戻すことができなくなった。
【0016】
また、発明者は、使用できる冷却材の種類を種々変更し、前記と同様の検討を行った。その結果、炭材以外にも、溶融還元炉でCr鉱石の造滓材として使用する焼石灰、MgOクリンカー、砂利や、レンガ屑、ダスト、高炉滓等の産業廃棄物や製鉄所発生物等でも、図1とほぼ同等の結果が得られた。
そこで、発明者は、これらの調査結果を本発明として具現化したのである。なお、冷却材/スラグの体積比が0.2以上であれば、上記効果が得られるので、該体積比には上限を設けていない。しかし、0.2以上を超えると、その効果は飽和するので、実際の操業では経済性の観点から該冷却材の使用量を定めれば良い。また、冷却材としては、スラグを溶融還元炉に戻し、再利用することを妨げないものであることが重要である。
【0017】
さらに、発明者は、脱炭炉で生成するスラグの塩基度(=CaO/SiO2 )についての調査を行った。理由は、脱炭炉と溶融還元炉の間でスラグをリサイクルするので、スラグ・ボリューム・アップに起因した脱炭炉でのCr酸化ロスの増加を抑制するためと、スラグの排送容器のサイズを抑えるためである。その結果、脱炭炉内でスラグの塩基度を3.0以下に制限するのが妥当であると結論した。一方、脱炭炉内で脱炭精錬の終了後に行う酸化クロムのFe−Siによる還元で、溶鋼からの脱硫をも期待するには、前記スラグの塩基度は1.8以上が必要となるので、本発明では、脱炭炉で生成されるスラグの塩基度を1.8〜3.0の範囲にすることが好ましい。
【0018】
次に、発明者は、上記本発明に係る排滓方法で得たスラグの溶融還元炉内での最適な再利用方法について検討した。理由は、特公昭62−50543号公報記載の従来技術では、通常の溶融還元よりも高温(例えば、1650℃以上)で酸素吹錬しないと、該スラグは溶融しなかった。つまり、スラグの再利用時には、溶融還元炉の内張耐火物の損耗が促進し、炉寿命を低下させるという問題が存在しているからである。
【0019】
まず、発明者は、脱炭炉内で生成した溶融スラグを、上記した本発明に係る排滓方法を採用して溶融還元炉に戻し、再度クロム鉱石の溶融還元を行い、その時の溶湯温度と溶融還元終了時のスラグ中のトータルCr濃度(以下、T.Crとする)との関係を調査した。
その結果は、図2から明らかなように、脱炭炉からのスラグにクロムが10wt%含有していても、溶湯温度を1650℃程度にすれば、溶融還元吹錬終了時のスラグ中のT.Crを通常の溶融還元スラグと同レベルの0.5wt%以下にできることがわかった。これは、上記した本発明に係る排滓方法で、冷却材として投入した炭材、造滓剤が有効に利用され、クロム鉱石の溶融還元を円滑にしたためと思われる。
【0020】
また、これらの再利用操業時において溶融還元炉の耐火物溶損状況を調査し、その結果を図3に示す。図3から明らかなように、溶融還元時の溶湯温度が1650℃を超えると、溶融還元炉の耐火物損耗(溶湯温度1550℃の時の耐火物損耗速度を1とした指数で表示)が激しくなることがわかる。また、1550℃未満では、戻しスラグのT.Crが多い場合、溶融還元でスラグ中に残るT.Crが多くなり、溶融還元が不十分だからである。
【0021】
そこで、発明者は、本発明に係る排滓方法で得たスラグの溶融還元炉での再利用に際しては、溶湯温度を1550〜1650℃の範囲とした。なお、脱炭炉内で生成するスラグ中のT.Crは、できれば7wt%以下に抑えることが好ましいようだ。
【0022】
【実施例】
2基の転炉型反応容器を用い、ステンレス鋼を製造し、その操業に本発明に係る排滓方法及び排滓スラグの再利用方法を採用した。
(実施例1)
2基目の脱炭炉を上底吹機能を有する160t転炉(K−BOP)とし、そこに1基目の溶融還元炉で溶製した含クロム粗溶鋼を120t装入し、粗脱炭を行った。その際、焼石灰やFe−Cr合金鉄を投入し、粗脱炭終了後のステンレス溶鋼にトン当り13.1kg/tのFe−Siを投入して、脱炭中に生成したスラグ中の酸化物を還元すると共に、溶鋼の脱硫を行った。
【0023】
脱炭精錬で生成したスラグの内訳は、CaO=10.4ton、SiO2 =5.2ton、Al23 =1.0ton、MgO=1.6tonで、合計のスラグ重量は18.2tonである。この合計重量を嵩比重2.5t/m3 で除し、生成スラグの体積を7.28Nm3 とした。そして、本発明に係る排滓方法を採用するため、冷却材として嵩比重0.5t/m3 のコークスを2.0ton使用することにした。つまり、冷却材/スラグの体積比は0.55であった。
【0024】
脱炭終了後、前記の生成スラグに、この体積比に従いコークス粉を投入し、炉を揺動させてスラグと十分に混合して冷却、固化させた。その結果、スラグは、適度なサイズで、且つサラサラした状態になった。そこで、該スラグを排送容器(取鍋)に排滓したところ、ほぼ生成スラグの全量が円滑に回収できた。
次に、該排滓スラグを、1基目の溶融還元炉に装入し、別途装入されている溶銑、クロム鉱石、焼石灰、炭材と共に溶融還元を行った。その際、溶湯の温度は、1550℃になるように調整したところ、90分の吹錬時間で操業が終了した。
(実施例2)
2基目の脱炭炉を上底吹機能を有する160t転炉(K−BOP)とし、そこに1基目の溶融還元炉で溶製した含クロム粗溶鋼を123t装入し、粗脱炭を行った。その際、焼石灰やFe−Cr合金鉄を投入し、粗脱炭終了後のステンレス溶鋼にトン当り10.3kg/tのFe−Siを投入して、脱炭中に生成したスラグ中の酸化物を還元すると共に、溶鋼の脱硫を行った。
【0025】
脱炭精錬で生成したスラグの内訳は、CaO=9.2ton、SiO2 =4.6ton、Al23 =0.7ton、MgO=1.4tonで、合計のスラグ重量は15.9tonである。この合計重量を嵩比重2.5t/m3 で除し、生成スラグの体積を6.36Nm3 とした。そして、本発明に係る排滓方法を採用するため、冷却材として嵩比重1.0t/m3 の焼石灰を4.0ton使用することにした。つまり、冷却材/スラグの体積比は0.63であった。
【0026】
脱炭終了後、前記の生成スラグに、この体積比に従い焼石灰粉を投入し、炉を揺動させてスラグと十分に混合して冷却、固化させた。その結果、スラグは、適度なサイズで、且つサラサラした状態になった。そこで、該スラグを排送容器(取鍋)に排滓したところ、ほぼ生成スラグの全量が円滑に回収できた。
次に、該排滓スラグを、1基目の溶融還元炉に装入し、別途装入されている溶銑、クロム鉱石、焼石灰、炭材と共に溶融還元を行った。その際、溶湯の温度は、1600℃になるように調整したところ、85分の吹錬時間で操業が終了した。
(比較例1)
2基目の脱炭炉を上底吹機能を有する160t転炉(K−BOP)とし、そこに1基目の溶融還元炉で溶製した含クロム粗溶鋼を125t装入し、粗脱炭を行った。その際、焼石灰やFe−Cr合金鉄を投入し、粗脱炭終了後のステンレス溶鋼にトン当り14.3kg/tのFe−Siを投入して、脱炭中に生成したスラグ中の酸化物を還元すると共に、溶鋼の脱硫を行った。
【0027】
脱炭精錬で生成したスラグの内訳は、CaO=12.6ton、SiO2 =6.3ton、Al23 =1.2ton、MgO=1.9tonで、合計のスラグ重量は22.0tonである。この合計重量を嵩比重2.5t/m3 で除し、生成スラグの体積を8.8Nm3 とした。そして、冷却材として嵩比重0.5t/m3 のコークスを0.5ton使用することにした。つまり、冷却材/スラグの体積比は0.11である。
【0028】
脱炭終了後、前記の生成スラグに、この体積比に従い焼石灰粉を投入し、炉を揺動させてスラグと十分に混合して冷却、固化させた。しかし、スラグは、凝集固化し、大きなサイズとなり、あるいは耐火物に張り付き、円滑な排滓ができなかった。そのため、該スラグを排送容器(取鍋)に排滓したところ、生成スラグの大部分が回収できずに炉内に残留した。
【0029】
次に、該排滓スラグを、1基目の溶融還元炉に装入し、別途装入されている溶銑、クロム鉱石、焼石灰、炭材と共に溶融還元を行った。その際、溶湯の温度は、1550℃になるように調整したところ、吹錬時間が102分にもなった。
これら2つの本発明の実施例及び比較例での成績を、表1〜4に示す。
表1及び2は、それぞれ脱炭炉からの出鋼した溶湯成分及びスラグの組成であり、表3は、該スラグを溶融還元炉へ戻した際の再利用量の比較、そして表4は、溶融還元炉で再度溶融還元を行って得たスラグの組成である。
【0030】
表3より明らかなように、比較例1は、脱炭炉の生成スラグのうち80%しか回収できていない。また、実施例1の再利用後の溶融還元炉で生じたスラグは、T.Crが0.4%であり、従来のスラグの再利用を行わない溶融還元炉の操業で得ていたスラグと同程度である。このことは、再利用で順調な溶融還元が行われたことを示唆している。さらに、実施例2の脱炭炉で生成したスラグは、T.Crが5.3%と高いが、その再利用時に溶湯温度を従来より若干高い1600℃とすることで、溶融還元炉での生成スラグ中のT.Crを0.3%に低下でき、従来のスラグ再利用なし時の溶融還元炉生成スラグと同程度の還元が達成されていた。
【0031】
【表1】
Figure 0003744133
【0032】
【表2】
Figure 0003744133
【0033】
【表3】
Figure 0003744133
【0034】
【表4】
Figure 0003744133
【0035】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明により、2基の転炉型反応容器を用い、安価なクロム鉱石の直接的な溶融還元と該溶融還元で得た溶湯の脱炭でステンレス鋼を製造するに際し、脱炭炉で生成したスラグが円滑に排滓され、溶融還元炉で再利用できるようになった。また、その排滓時、スラグの冷却材に、溶融還元炉で使用する炭材、焼石灰等を有効に利用するようにしたので、溶融還元炉でスラグを再利用する際の操業温度を、それほど高くする必要がなかった。
【図面の簡単な説明】
【図1】脱炭炉の生成スラグに投入する冷却材量を説明する図であり、冷却材/スラグの体積比と該スラグの溶融還元炉での再利用率との関係を示す。
【図2】脱炭炉の生成スラグを再利用した溶融還元時の溶湯温度とその溶融還元終了時のスラグ中T.Crとの関係を示す図である。
【図3】溶融還元時の溶湯温度と炉耐火物の損耗状況との関係を示す図である。

Claims (6)

  1. 転炉型溶融還元炉内の溶銑に、クロム原料及び焼石灰を投入し、別途投入した炭材を酸化性ガスで燃焼せしめて熱を発生させ、該クロム原料を溶融還元し、次いで、生成した含クロム粗溶鋼を、別の転炉型脱炭炉内に移行して脱炭精錬を行いステンレス鋼を製造するに際し、
    前記脱炭精錬の終了後、前記脱炭炉内で発生したスラグに、冷却材/スラグの体積比が0.2以上となるように、スラグの冷却材を投入し、該スラグの凝集を抑制しながら混合及び冷却、固化させた後のスラグを搬送容器へ排滓することを特徴とするステンレス鋼製造時に発生するスラグの排滓方法。
  2. 前記冷却材を、炭材とすることを特徴とする請求項1記載のステンレス鋼製造時に発生するスラグの排滓方法。
  3. 前記冷却材を、焼石灰とすることを特徴とする請求項1記載のステンレス鋼製造時に発生するスラグの排滓方法。
  4. 前記冷却材の投入前に、脱炭炉で生成するスラグの塩基度(CaO/SiO )を1.8〜3.0とすることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載のステンレス鋼製造時に発生するスラグの排滓方法。
  5. 請求項1〜4いずれかに記載の方法で排滓したステンレス鋼製造時に発生したスラグを、前記転炉型溶融還元炉の溶銑に投入し、再度クロム原料を溶融還元することを特徴とする排滓スラグの再利用方法。
  6. 前記溶融還元炉内の溶湯温度を1550〜1650℃とすることを特徴とする請求項5記載の排滓スラグの再利用方法。
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