JP4796794B2 - ラクトン骨格を含む多環式エステル - Google Patents

ラクトン骨格を含む多環式エステル Download PDF

Info

Publication number
JP4796794B2
JP4796794B2 JP2005217634A JP2005217634A JP4796794B2 JP 4796794 B2 JP4796794 B2 JP 4796794B2 JP 2005217634 A JP2005217634 A JP 2005217634A JP 2005217634 A JP2005217634 A JP 2005217634A JP 4796794 B2 JP4796794 B2 JP 4796794B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
formula
halogen atom
metal salt
ring
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2005217634A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2007031358A (ja
Inventor
慶三 井上
隆裕 岩浜
真理 住田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Daicel Corp
Original Assignee
Daicel Chemical Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Daicel Chemical Industries Ltd filed Critical Daicel Chemical Industries Ltd
Priority to JP2005217634A priority Critical patent/JP4796794B2/ja
Publication of JP2007031358A publication Critical patent/JP2007031358A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4796794B2 publication Critical patent/JP4796794B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Furan Compounds (AREA)

Description

本発明は、塗料や機能性高分子の原料、医薬、農薬その他の精密化学品の原料などとして有用な新規なラクトン骨格を含む多環式エステルとその製造法、および該ラクトン骨格を含む多環式エステルの合成原料として有用なラクトン骨格を含む多環式アルコールとその製造法に関する。
ラクトン骨格や環状酸無水物骨格が縮合したノルボルナン環又はオキサノルボルナン環と重合性不飽和基を有する化合物は、疎水性で嵩高く安定性の高い環と親水性を示す環とを併有しているとともに、重合性不飽和基を有することから、その構造上の特異性を活かして塗料や機能性高分子の原料などとして用いられている(特許文献1参照)。しかし、用途によっては、全体として疎水性が高すぎて所望の機能が十分に発揮されなかったり、水性溶媒に対する溶解性が低いなどの問題があった。
特開2004−51995号公報
本発明の目的は、ポリマー等に誘導した場合に耐薬品性等の安定性を保持しつつ親水性及び水性溶媒に対する溶解性等の諸特性を向上しうる、高機能性高分子等のモノマー成分等として有用な新規な重合性不飽和基を有する化合物を提供することにある。
本発明の他の目的は、前記重合性不飽和基を有する化合物の合成原料として有用な新規化合物とその効率のよい製造法を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、ポリマー等に誘導した場合に、ラクトン骨格や環状酸無水物骨格が縮合したノルボルナン環又はオキサノルボルナン環と重合性不飽和基を有する化合物よりも親水性、水性溶媒に対する溶解性、その他の特性を向上しうる新規なラクトン骨格を含む多環式エステルとその効率的な製造法を見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、下記式(
Figure 0004796794
(式中、Raは水素原子、ハロゲン原子、又はハロゲン原子を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基を示し、m、nは、それぞれ、1又は2を示す。式中の環は置換基を有していてもよく、その場合の置換基はハロゲン原子、ハロゲン原子を有していてもよいアルキル基;ヒドロキシル基部分がヒドロキシル基を構成する酸素原子とともにエーテル、アセタール、又はエステル結合を形成する基で保護されていてもよくハロゲン原子を有していてもよいヒドロキシアルキル基;アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、又は遷移金属塩を形成していてもよいカルボキシル基;アルコキシカルボニル基;アルケニルオキシカルボニル基;シクロアルキルオキシカルボニル基;アリールオキシカルボニル基;シアノ基から選択される基である
で表されるラクトン骨格を含む多環式エステルを提供する。
本発明は、また、下記式(II
Figure 0004796794
(式中、m、nは、それぞれ、1又は2を示す。式中の環は置換基を有していてもよく、その場合の置換基はハロゲン原子、ハロゲン原子を有していてもよいアルキル基;ヒドロキシル基部分がヒドロキシル基を構成する酸素原子とともにエーテル、アセタール、又はエステル結合を形成する基で保護されていてもよくハロゲン原子を有していてもよいヒドロキシアルキル基;アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、又は遷移金属塩を形成していてもよいカルボキシル基;アルコキシカルボニル基;アルケニルオキシカルボニル基;シクロアルキルオキシカルボニル基;アリールオキシカルボニル基;シアノ基から選択される基である
で表されるラクトン骨格を含む多環式アルコールと、下記式(3)
Figure 0004796794
(式中、Raは水素原子、ハロゲン原子、又はハロゲン原子を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基を示す)
で表される不飽和カルボン酸又はその反応性誘導体を反応させて、下記式(
Figure 0004796794
(式中、m、nは前記に同じ。式中の環は置換基を有していてもよく、その場合の置換基はハロゲン原子、ハロゲン原子を有していてもよいアルキル基;ヒドロキシル基部分がヒドロキシル基を構成する酸素原子とともにエーテル、アセタール、又はエステル結合を形成する基で保護されていてもよくハロゲン原子を有していてもよいヒドロキシアルキル基;アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、又は遷移金属塩を形成していてもよいカルボキシル基;アルコキシカルボニル基;アルケニルオキシカルボニル基;シクロアルキルオキシカルボニル基;アリールオキシカルボニル基;シアノ基から選択される基である
で表される化合物を得るラクトン骨格を含む多環式エステルの製造法を提供する。
本明細書には、上記発明の他に、下記式(1)
Figure 0004796794
(式中、R a は水素原子、ハロゲン原子、又はハロゲン原子を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基を示し、m、nは、それぞれ、1又は2を示す。式中の環は置換基を有していてもよく、他の環が縮合していてもよい)
で表されるラクトン骨格を含む多環式エステル、下記式(2)
Figure 0004796794
(式中、m、nは、それぞれ、1又は2を示す。式中の環は置換基を有していてもよく、他の環が縮合していてもよい)
で表されるラクトン骨格を含む多環式アルコールと、下記式(3)
Figure 0004796794
(式中、R a は水素原子、ハロゲン原子、又はハロゲン原子を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基を示す)
で表される不飽和カルボン酸又はその反応性誘導体を反応させて、下記式(1)
Figure 0004796794
(式中、m、nは前記に同じ。式中の環は置換基を有していてもよく、他の環が縮合していてもよい)
で表される化合物を得るラクトン骨格を含む多環式エステルの製造法、下記式(2′)
Figure 0004796794
(式中、m、nは、それぞれ、1又は2を示す。式中の環は置換基を有していてもよく、他の環が縮合していてもよい。但し、m=n=1の場合は、式中の環は置換基を有しているか、他の環が縮合している)
で表されるラクトン骨格を含む多環式アルコール、下記式(4)
Figure 0004796794
(式中、m、nは、それぞれ、1又は2を示す。式中の環は置換基を有していてもよく、他の環が縮合していてもよい)
で表されるカルボン酸又はそのエステルを過酸化物と反応させて、下記式(2)
Figure 0004796794
(式中、m、nは前記に同じ。式中の環は置換基を有していてもよく、他の環が縮合していてもよい)
で表される化合物を得るラクトン骨格を含む多環式アルコールの製造法についても記載する。
本発明によれば、ポリマー等に誘導した場合に耐薬品性等の安定性を保持しつつ、親水性や水性溶媒に対する溶解性、その他の特性を向上しうる、高機能性高分子等のモノマー成分等として有用な新規なラクトン骨格を含む多環式エステルとその効率のよい製造法が提供される。また、前記ラクトン骨格を含む多環式エステルの合成原料として有用な新規なラクトン骨格を含む多環式アルコールとその効率のよい製造法が提供される。
本発明のラクトン骨格を含む多環式エステルは前記式(1)で表される。式(1)中、Raは水素原子、ハロゲン原子、又はハロゲン原子を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基を示し、m、nは、それぞれ、1又は2を示す。式中の環は置換基を有していてもよく、他の環が縮合していてもよい。
前記Raにおけるハロゲン原子には、例えば、フッ素、塩素、臭素原子などが含まれる。炭素数1〜6のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル基などが挙げられる。これらの中でも、C1-3アルキル基、特にメチル基が好ましい。ハロゲン原子を有する炭素数1〜6のアルキル基としては、例えば、クロロメチル基などのクロロアルキル基;トリフルオロメチル、2,2,2−トリフルオロエチル、ペンタフルオロエチル基などのフルオロアルキル基(好ましくは、C1-3フルオロアルキル基)などが挙げられる。Raとしては、水素原子、メチル基等のC1-3アルキル基、トリフルオロメチル基等のC1-3ハロアルキル基が好ましく、特に、水素原子又はメチル基が好ましい。
式(1)中に示される環が有していてもよい置換基としては、特に限定されないが、例えば、ハロゲン原子、ハロゲン原子を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基、ヒドロキシル基部分が保護基で保護されていてもよくハロゲン原子を有していてもよい炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基、塩を形成していてもよいカルボキシル基、置換オキシカルボニル基、シアノ基などが挙げられる。ハロゲン原子、ハロゲン原子を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基としては、前記Raにおけるハロゲン原子等と同様のものが例示される。
炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基としては、例えば、ヒドロキシメチル、2−ヒドロキシエチル、1−ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル、2−ヒドロキシプロピル、4−ヒドロキシブチル、6−ヒドロキシヘキシル基などが挙げられる。ハロゲン原子を有する炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基としては、例えば、ジフルオロヒドロキシメチル、1,1−ジフルオロ−2−ヒドロキシエチル、2,2−ジフルオロ−2−ヒドロキシエチル、1,1,2,2−テトラフルオロ−2−ヒドロキシエチル基などが挙げられる。ハロゲン原子を有していてもよい炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基の中でも、炭素数1又は2(特に炭素数1)のヒドロキシアルキル基若しくはヒドロキシハロアルキル基が好ましい。ハロゲン原子を有していてもよい炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基のヒドロキシル基の保護基としては、有機合成の分野でヒドロキシル基の保護基として通常用いられる保護基、例えば、メチル基、メトキシメチル基等のヒドロキシル基を構成する酸素原子とともにエーテル又はアセタール結合を形成する基;アセチル基、ベンゾイル基等のヒドロキシル基を構成する酸素原子とともにエステル結合を形成する基などが挙げられる。カルボキシル基の塩としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、遷移金属塩などが挙げられる。
前記置換オキシカルボニル基としては、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、イソプロピルオキシカルボニル、プロポキシカルボニル基などのアルコキシカルボニル基(C1-4アルコキシ−カルボニル基等);ビニルオキシカルボニル、アリルオキシカルボニル基などのアルケニルオキシカルボニル基(C2-4アルコキシ−カルボニル基等);シクロヘキシルオキシカルボニル基などのシクロアルキルオキシカルボニル基;フェニルオキシカルボニル基などのアリールオキシカルボニル基などが挙げられる。
式(1)中に示される環に縮合していてもよい他の環としては、単環又は多環の何れであってもよく、例えば、シクロペンタン環、シクロペンテン環、シクロヘキサン環、シクロヘキセン環、ノルボルナン環、ノルボルネン環、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカン環、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデセン環等の脂環式炭素環や非芳香族性複素環などが挙げられる。式(1)中に示される環に他の環が縮合した化合物の例として、例えば、m=n=1の場合には、式中に示される2−オキサビシクロ[3.3.0]オクタン−3−オン環の6位と7位の辺に、シクロヘキサン環、ノルボルナン環、ノルボルネン環、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカン環、又はテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデセン環が縮合した化合物などが挙げられる。
式(1)で表されるラクトン骨格を含む多環式エステルの代表的な例として、下記式で表される化合物、及びその置換体などが挙げられる。式中、Rはアクリロイル基又はメタクリロイル基を示す。式中に示される環は置換基を有していてもよい。
Figure 0004796794
式(1)で表されるラクトン骨格を含む多環式エステルは、前記式(2)で表されるラクトン骨格を含む多環式アルコールと、前記式(3)で表される不飽和カルボン酸又はその反応性誘導体とを反応させることにより製造することができる。式(2)及び式(3)におけるRa、m、nは、前記と同様である。
式(3)で表される不飽和カルボン酸の代表的な例として、アクリル酸、メタクリル酸、α−トリフルオロメチルアクリル酸などが挙げられる。式(3)で表される不飽和カルボン酸の反応性誘導体としては、酸ハライド、酸無水物、エステルなどが挙げられる。式(2)で表されるラクトン骨格を含む多環式アルコールの代表的な例としては、前記式(1)で表されるラクトン骨格を含む多環式エステルとして挙げた代表的化合物に対応する化合物(Rが水素原子である化合物)が挙げられる。
上記式(1)で表されるラクトン骨格を含む多環式エステルは、より具体的には、(a)テトラヒドロフラン、トルエン、塩化メチレン等の溶媒中、式(2)で表される化合物に、必要に応じてトリエチルアミン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン等の塩基の存在下、(メタ)アクリル酸クロリド等の(メタ)アクリル酸ハライドや(メタ)アクリル酸無水物などの不飽和カルボン酸の活性な反応性誘導体を反応させたり、(b)前記と同様の溶媒中、式(2)で表される化合物に、チタンイソプロポキシド等のエステル交換触媒の存在下、(メタ)アクリル酸メチル等の不飽和カルボン酸エステルを反応させたり、(c)前記と同様の溶媒中、式(2)で表される化合物を、塩酸、硫酸、p−トルエンスルホン酸等の強酸の存在下で(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸と反応させることにより得ることができる。
これらの方法における反応条件は、通常のエステル製造法と同様である。例えば、前記(a)の方法において、不飽和カルボン酸の活性な反応性誘導体の使用量は、式(2)で表される化合物1モルに対して、例えば1〜1.5モル程度、塩基の使用量は、不飽和カルボン酸の活性な反応性誘導体1モルに対して、例えば1〜3モル程度(大過剰量であってもよい)であり、反応温度は、例えば、−20℃〜50℃程度である。また、前記(b)の方法において、不飽和カルボン酸エステルの使用量は、式(2)で表される化合物1モルに対して、例えば1〜10モル程度(大過剰量であってもよい)、エステル交換触媒の使用量は、式(2)で表される化合物1モルに対して、例えば0.0001〜1モル程度であり、反応温度は、例えば0〜150℃程度である。さらに、前記(c)の方法において、不飽和カルボン酸の使用量は、式(2)で表される化合物1モルに対して、例えば1〜5モル程度(大過剰量であってもよい)、強酸の使用量は、式(2)で表される化合物1モルに対して、例えば0.0001〜1モル程度であり、反応温度は、例えば0〜150℃程度である。なお、これらの反応の際、重合を抑制するため、ハイドロキノンモノメチルエーテルなどの重合禁止剤や酸素を導入することもできる。
反応で生成した式(1)で表されるラクトン骨格を含む多環式エステルは、例えば、濾過、濃縮、蒸留、抽出、晶析、再結晶、カラムクロマトグラフィーなどの分離手段により、又はこれらを組み合わせることにより分離精製できる。
前記式(2)で表されるラクトン骨格を含む多環式アルコールは、前記式(4)で表されるカルボン酸又はそのエステルを過酸化物と反応させることにより得ることができる。式(4)におけるm、nは前記と同様である。カルボン酸のエステルとしては、メチルエステル、エチルエステル等のアルキルエステル(C1-4アルキルエステル等);シクロヘキシルエステル等のシクロアルキルエステル;フェニルエステル等のアリールエステル;ベンジルエステル等のアラルキルエステルなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
好ましい方法として、式(4)で表されるカルボン酸又はそのエステルを、(i)W、Mo、V及びMnから選択された金属元素を含む金属化合物の存在下で過酸化水素と反応させるか、(ii)前記金属元素を含む過酸化物と反応させるか、又は(iii)有機過酸と反応させる方法が挙げられる。
前記(i)における金属化合物としては、W、Mo、V及びMnから選択された金属元素を含む化合物であれば特に限定されず、例えば、酸化物、前記金属元素を含むオキソ酸又はその塩、硫化物、ハロゲン化物、オキシハロゲン化物、ホウ化物、炭化物、ケイ化物、窒化物、リン化物、過酸化物、錯体(無機錯体及び有機錯体)、有機金属化合物などが挙げられる。これらの金属化合物は単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。
前記酸化物としては、例えば、酸化タングステン(WO2、WO3など)、酸化モリブデン(MoO2、MoO3など)、酸化バナジウム(VO、V23、VO2、V25など)、酸化マンガン(MnO、Mn23、Mn34、MnO2、Mn27など)、前記金属を含む複合酸化物などが挙げられる。
オキソ酸には、タングステン酸、モリブデン酸、バナジン酸、マンガン酸等のほか、イソポリタングステン酸、イソポリモリブデン酸、イソポリバナジウム酸などのイソポリ酸;リンタングステン酸、ケイタングステン酸、リンモリブデン酸、ケイモリブデン酸、リンバナドモリブデン酸等の前記金属元素と他の金属元素等とからなるヘテロポリ酸が含まれる。ヘテロポリ酸における他の金属元素等として、リン又はケイ素、特にリンが好ましい。オキソ酸の塩としては、前記オキソ酸のナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩;マグネシウム塩、カルシウム塩、バリウム塩などのアルカリ土類金属塩;アンモニウム塩;遷移金属塩などが挙げられる。オキソ酸の塩(例えば、ヘテロポリ酸の塩)は、カチオンに相当する水素原子の一部を他のカチオンに置換した塩であってもよい。
過酸化物としては、ペルオキシド、ヒドロペルオキシド、ペルオキソ酸(例えば、ペルオキソタングステン酸、ペルオキソモリブデン酸、ペルオキソバナジウム酸など)、ペルオキソ酸の塩(前記ペルオキソ酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、遷移金属塩など)、過酸(過マンガン酸など)、過酸の塩(前記過酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、遷移金属塩など)などが挙げられる。
前記金属化合物の使用量は、例えば、反応に用いるカルボン酸又はエステル1モルに対して、0.0001〜2モル程度、好ましくは0.0005〜0.5モル程度、さらに好ましくは0.001〜0.2モル程度である。
前記(i)において、過酸化水素としては、純粋な過酸化水素を用いてもよいが、取扱性の点から、通常、適当な溶媒、例えば水に希釈した形態(例えば、10〜30重量%過酸化水素水)で用いられる。過酸化水素の使用量は、反応に用いるカルボン酸又はエステル1モルに対して、例えば0.9〜5モル程度、好ましくは0.9〜3モル程度、さらに好ましくは0.95〜2モル程度である。
前記(i)の場合の活性種は前記金属を含む過酸化物又はペルオキシラジカルであると推測される。
前記(ii)における過酸化物としては、上記と同様のものを使用できる。過酸化物は単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。過酸化物の使用量は、例えば、反応に用いるカルボン酸又はエステル1モルに対して、0.8〜2モル程度、好ましくは0.9〜1.5モル程度、さらに好ましくは0.95〜1.2モル程度である。
前記(iii)における有機過酸としては、過ギ酸、過酢酸、m−クロロ過安息香酸などが挙げられる。有機過酸は平衡過酸(例えば、平衡過ギ酸、平衡過酢酸等)であってもよい。すなわち、例えば、ギ酸、酢酸などの有機酸と過酸化水素とを組み合わせて用い、系内で対応する有機過酸を生成させてもよい。平衡過酸を用いる場合、触媒として、硫酸などの強酸を少量添加してもよい。
有機過酸の使用量は、例えば、反応に用いるカルボン酸又はそのエステル1モルに対して、0.8〜2モル程度、好ましくは0.9〜1.5モル程度、さらに好ましくは0.95〜1.2モル程度である。
反応は溶媒の存在下又は非存在下で行われる。前記溶媒としては、例えば、t−ブチルアルコールなどのアルコール;クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素;ベンゼンなどの芳香族炭化水素;ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの脂肪族炭化水素;シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド;アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル;エチルエーテル、テトラヒドロフランなどの鎖状又は環状エーテル;酢酸エチルなどのエステル;酢酸などの有機酸;水などが挙げられる。これらの溶媒は1種で、又は2種以上混合して用いられる。なお、不均一系で反応を行う場合には、溶媒として水、又は水を含む溶媒を用いる場合が多い。
反応温度は、反応速度及び反応選択性を考慮して適宜選択できるが、一般には0〜100℃程度、好ましくは10〜60℃程度である。反応はバッチ式、セミバッチ式、連続式などの何れの方法で行ってもよい。上記反応により、原料として用いた式(4)で表されるカルボン酸の二重結合を構成する一方の炭素原子にヒドロキシル基が結合し、他方の炭素原子部位で環化した対応するラクトン骨格を含む多環式アルコール[式(2)で表される化合物]が生成する。この反応では、まず二重結合のエポキシ化が起こり、引き続き、エポキシ環の開環を伴う分子内環化反応が進行して相当するラクトン骨格を含む多環式アルコールが生成するものと推測される。
反応で生成した式(2)で表されるラクトン骨格を含む多環式アルコールは、例えば、濾過、濃縮、蒸留、抽出、晶析、再結晶、カラムクロマトグラフィーなどの分離手段により、又はこれらを組み合わせることにより分離精製できる。式(2)で表されるラクトン骨格を含む多環式アルコールのうち、前記式(2′)で示される化合物は新規化合物であり、式(1)で表される化合物の原料として有用である。
なお、式(1)又は式(2)において式中に示される環にフッ素原子が1以上結合している化合物は、式(1)又は式(2)において式中に示される環に水素原子が結合している化合物をフッ素等のフッ素化剤を用いた慣用のフッ素化反応に付することにより製造することもできる。
本発明の式(1)で表されるラクトン骨格を含む多環式エステルは、塗料や機能性高分子の原料、医薬、農薬その他の精密化学品の原料などとして用いることができる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
実施例1
下記の反応工程式に従って、8−メタクリロイルオキシ−2−オキサビシクロ[3.3.01,5]オクタン−3−オンを製造した。
Figure 0004796794
2−シクロペンテン−1−酢酸(4a)59.8g(0.46モル)、タングステン酸(H2WO4)8.62g(0.0345モル)、及び水の混合液(200g)を50℃まで加熱し、これに、15重量%過酸化水素水57.5gを滴下して加え、撹拌した。原料の消失後、反応混合液を冷却し、炭酸水素ナトリウム水溶液で中和し、酢酸エチルで抽出した。有機層を濃縮することにより、8−ヒドロキシ−2−オキサビシクロ[3.3.01,5]オクタン−3−オン(2a)を42g得た。
8−ヒドロキシ−2−オキサビシクロ[3.3.01,5]オクタン−3−オン(2a)40gと、トリエチルアミン31.3gを含むTHF(テトラヒドロフラン)溶液400gを10℃まで冷却し、メタクリル酸クロリド(3a)32.4gを滴下して加えた。原料の消失を確認し、水を加え、炭酸ナトリウム水溶液で洗浄し、酢酸エチルにて抽出した。有機層を濃縮後、濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより、8−メタクリロイルオキシ−2−オキサビシクロ[3.3.01,5]オクタン−3−オン(1a)を19.6g得た。
[8−メタクリロイルオキシ−2−オキサビシクロ[3.3.01,5]オクタン−3−オン(1a)のスペクトルデータ]
1H−NMR(CDCl3) δ:6.08, 5.60, 5.27, 4.86, 3.06-3.09, 2.83-2.88, 2.30-2.34, 2.15-2.22, 2.02-2.08, 1.94, 1.85-1.97, 1.61-1.66

Claims (2)

  1. 下記式(
    Figure 0004796794
    (式中、Raは水素原子、ハロゲン原子、又はハロゲン原子を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基を示し、m、nは、それぞれ、1又は2を示す。式中の環は置換基を有していてもよく、その場合の置換基はハロゲン原子、ハロゲン原子を有していてもよいアルキル基;ヒドロキシル基部分がヒドロキシル基を構成する酸素原子とともにエーテル、アセタール、又はエステル結合を形成する基で保護されていてもよくハロゲン原子を有していてもよいヒドロキシアルキル基;アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、又は遷移金属塩を形成していてもよいカルボキシル基;アルコキシカルボニル基;アルケニルオキシカルボニル基;シクロアルキルオキシカルボニル基;アリールオキシカルボニル基;シアノ基から選択される基である
    で表されるラクトン骨格を含む多環式エステル。
  2. 下記式(II
    Figure 0004796794
    (式中、m、nは、それぞれ、1又は2を示す。式中の環は置換基を有していてもよく、その場合の置換基はハロゲン原子、ハロゲン原子を有していてもよいアルキル基;ヒドロキシル基部分がヒドロキシル基を構成する酸素原子とともにエーテル、アセタール、又はエステル結合を形成する基で保護されていてもよくハロゲン原子を有していてもよいヒドロキシアルキル基;アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、又は遷移金属塩を形成していてもよいカルボキシル基;アルコキシカルボニル基;アルケニルオキシカルボニル基;シクロアルキルオキシカルボニル基;アリールオキシカルボニル基;シアノ基から選択される基である
    で表されるラクトン骨格を含む多環式アルコールと、下記式(3)
    Figure 0004796794
    (式中、Raは水素原子、ハロゲン原子、又はハロゲン原子を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基を示す)
    で表される不飽和カルボン酸又はその反応性誘導体を反応させて、下記式(
    Figure 0004796794
    (式中、m、nは前記に同じ。式中の環は置換基を有していてもよく、その場合の置換基はハロゲン原子、ハロゲン原子を有していてもよいアルキル基;ヒドロキシル基部分がヒドロキシル基を構成する酸素原子とともにエーテル、アセタール、又はエステル結合を形成する基で保護されていてもよくハロゲン原子を有していてもよいヒドロキシアルキル基;アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、又は遷移金属塩を形成していてもよいカルボキシル基;アルコキシカルボニル基;アルケニルオキシカルボニル基;シクロアルキルオキシカルボニル基;アリールオキシカルボニル基;シアノ基から選択される基である
    で表される化合物を得るラクトン骨格を含む多環式エステルの製造法。
JP2005217634A 2005-07-27 2005-07-27 ラクトン骨格を含む多環式エステル Active JP4796794B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005217634A JP4796794B2 (ja) 2005-07-27 2005-07-27 ラクトン骨格を含む多環式エステル

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005217634A JP4796794B2 (ja) 2005-07-27 2005-07-27 ラクトン骨格を含む多環式エステル

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2007031358A JP2007031358A (ja) 2007-02-08
JP4796794B2 true JP4796794B2 (ja) 2011-10-19

Family

ID=37791031

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005217634A Active JP4796794B2 (ja) 2005-07-27 2005-07-27 ラクトン骨格を含む多環式エステル

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4796794B2 (ja)

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH068289B2 (ja) * 1985-10-17 1994-02-02 川研ファインケミカル株式会社 光学活性ヒドロキシラクトン化合物およびその製造方法
EP0841331B1 (fr) * 1996-11-07 2003-01-08 Firmenich Sa Epoxydes nouveaux, procédé pour leur préparation et leur utilisation pour la préparation d'ingrédients parfumants
JP3042618B2 (ja) * 1998-07-03 2000-05-15 日本電気株式会社 ラクトン構造を有する(メタ)アクリレート誘導体、重合体、フォトレジスト組成物、及びパターン形成方法
JP4315756B2 (ja) * 2002-07-19 2009-08-19 三菱レイヨン株式会社 (共)重合体、レジスト組成物、およびパターン形成方法
JP2004180505A (ja) * 2002-11-29 2004-07-02 Mitsubishi Rayon Co Ltd 不飽和カルボン酸エステルの製造方法
JP2004323704A (ja) * 2003-04-25 2004-11-18 Daicel Chem Ind Ltd フォトレジスト用重合体合成用(メタ)アクリル酸エステルとその製造法
JP4683887B2 (ja) * 2004-09-13 2011-05-18 セントラル硝子株式会社 ラクトン化合物、ラクトン含有単量体、高分子化合物、それを用いたレジスト材料及びパターン形成方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2007031358A (ja) 2007-02-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4212576B2 (ja) 3−オキサ−2−チアトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン誘導体
JP4740951B2 (ja) シアノ基及びラクトン骨格を含む多環式エステル
JP4796794B2 (ja) ラクトン骨格を含む多環式エステル
JPH0441449A (ja) シクロヘキサン―1,2―ジオールの製造方法
JP4740677B2 (ja) 3−オキサ−7−オキサ(又はチア)トリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−2−オン誘導体
EP3647304A1 (en) Method for preparing 2-fluoroacrylate
JP4718922B2 (ja) 3−オキサ−7−チアトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン誘導体
JP5935584B2 (ja) アダマンタンカルボン酸グリシジルエステル化合物の製造方法
JP4215986B2 (ja) 環状サルフェイトの製造方法
JP4748860B2 (ja) 2−オキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−3−オン誘導体及びその製造法
EP1302469B1 (en) Process for producing hydroxylactone
JP4993263B2 (ja) 2−(メタ)アクリロイルオキシ−6−シアノ−5−オキソ−4−オキサトリシクロ[4.2.1.03,7]ノナンの製造方法。
JP4832019B2 (ja) 環状カーボネート骨格を含む多環式エステル
JP4748848B2 (ja) 5−ヒドロキシ−2,6−ノルボルナンカルボラクトン及びその(メタ)アクリル酸エステルの製造法
JP2003033659A (ja) 新規タングステン触媒,およびそれを用いるアリル型アルコールのエポキシ化法
JP5005197B2 (ja) 多環式エステル
JP2018509383A (ja) 脂環式エポキシ化合物及びその製造方法、並びに、2−ヒドロキシ−4−オキサ−5−チアトリシクロ[4.2.1.03,7]ノナン誘導体の製造方法
JP2011084499A (ja) ラクトン化合物の製造方法
JP5496750B2 (ja) α,β−不飽和エステルの製造方法
JP4659251B2 (ja) ヒドロキシ−4−オキサトリシクロ[4.3.1.13,8]ウンデカン−5−オン及びその(メタ)アクリル酸エステルの製造方法
KR960000046B1 (ko) 테트라 부틸 암모늄 퍼옥시 디술페이트(n-tetrabutylammonium peroxydisulfate), 그 제조방법
JP2002226474A (ja) ラクトン環を含有する(メタ)アクリル酸エステル誘導体の製造方法
JP3176432B2 (ja) α−スルホニルオキシカルボン酸エステル誘導体の製造方法
JP5468869B2 (ja) ラクトン化合物の製造方法
US20140058113A1 (en) Deprotection method for protected hydroxyl group

Legal Events

Date Code Title Description
RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20070704

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080401

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20110309

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110412

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110527

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110726

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20110801

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4796794

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140805

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140805

Year of fee payment: 3

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140805

Year of fee payment: 3

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350