JP4793640B2 - 液化ガス貯蔵タンク - Google Patents

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Description

本発明は、液化ガスを貯蔵するための液化ガス貯蔵タンクに関する。
従来、LNG(液化天然ガス)等の液化ガスを貯蔵する施設として液化ガス貯蔵タンクがある。この液化ガス貯蔵タンクは、コンクリート造の基礎版と、基礎版上に一体的に形成された円筒状の防液堤(側壁)と、基礎版の上で防液堤の内側に設けられた外槽と、外槽の内側に設置されたメンブレン(内槽)とから構成されている。このタンクによれば、液密・気密性を有するメンブレンの中に液化ガスが貯留される。そして、万一、メンブレンおよび外槽から液化ガスが漏液した時には、防液堤によって液密性が確保され、液化ガスの外部への流出を防ぐことができる(例えば、特許文献1参照。)。
また、従来の液化ガス貯蔵タンクの防液堤として、プレストレスト・コンクリートからなるものがある。具体的には、防液堤の躯体内に、周方向に延在するPC鋼材(第一のPC鋼材)が複数埋設されているとともに、鉛直方向に延在するPC鋼材(第二のPC鋼材)が複数埋設されている。そして、防液堤には、周方向に延在する第一のPC鋼材によって周方向への圧縮力(プレストレス)が付与され、鉛直方向に延在する第二のPC鋼材によって鉛直方向への圧縮力(プレストレス)が付与されている。このように、防液堤にプレストレスを付与することで、防液堤のひび割れを防止することができ、液化ガスの外部への流出を確実に防ぐことができる(例えば、特許文献2参照。)。
特開2004−19920号公報 特開平10−238697号公報
しかしながら、上記した従来の液化ガス貯蔵タンクでは、周方向に働くプレストレスを大きくすると、当該プレストレスによって防液堤の下端部にひび割れが発生するおそれがあるという問題が存在する。例えば、タンク容量を大容量にする場合、タンク容量が増大するにつれて漏液時の漏液圧が増大するため、この増大する漏液圧に対抗するべく周方向のプレストレスを大きくする必要がある。そして、周方向のプレストレスが大きく設定されると、漏液圧がかからない通常運転時に、当該プレストレスによって防液堤の下端に大きな負担がかかる。具体的には、周方向のプレストレスによって、基礎版に一体化されて固定された防液堤の下端に、大きな鉛直方向外引張曲げモーメントが作用した状態になる。この外引張曲げモーメントによって、防液堤の下端部にひび割れが発生する可能性がある。
本発明は、上記した従来の問題が考慮されたものであり、防液堤の下端部に発生するひび割れを防止することができる液化ガス貯蔵タンクを提供することを目的としている。
請求項1記載の発明は、基礎版上に筒状の防液堤が一体に形成され、前記基礎版の上で前記防液堤の内側に貯蔵部が備えられた液化ガス貯蔵タンクであって、前記防液堤に、周方向に延在する第一のPC鋼材と上下方向に延在する第二のPC鋼材とがそれぞれ埋設され、該第一、第二のPC鋼材によって前記防液堤にプレストレスが与えられ、前記第二のPC鋼材はU字状に延在され、該U字状の第二のPC鋼材のうちの上部に位置する直線状の両端部が上下方向にそれぞれ延在すると共に、該U字状の第二のPC鋼材のうちの下部に位置する中間部が前記防液堤の下端部でタンク外側方向に傾斜されており、前記防液堤の下端部に、上下方向に延在する直線状の第三のPC鋼材が埋設され、該第三のPC鋼材によって前記防液堤の下端部にプレストレスが追加されており、前記第三のPC鋼材が、前記U字状の第二のPC鋼材の下部で上下方向に延在する直線状の両端部の間に配置されていると共に、前記防液堤の鉛直断面視において前記第二のPC鋼材と重なり合っており、前記第三のPC鋼材の下側の定着部が、前記第二のPC鋼材の中間部のうちの最下部よりも上方に配設されていることを特徴としている。
このような特徴により、第二のPC鋼材によって上下方向に働くプレストレス力は、その下端で外側にゆるやかに偏心される。このように上下方向のプレストレス力をゆるやかに偏心させることで、防液堤の下端における応力集中が低減される。また、偏心した上下方向のプレストレスによって、最も偏心曲げモーメントが必要な位置、つまり、第一のPC鋼材によって大きな負担がかかる防液堤の下端位置に、最も大きな偏心曲げモーメントが導入される。
また、防液堤の下端部には、第二のPC鋼材によるプレストレスに加えて第三のPC鋼材によるプレストレスが働くため、他の部位よりも大きなプレストレスが付与される。
請求項記載の発明は、請求項1に記載の液化ガス貯蔵タンクにおいて、前記防液堤の下端部の外側に、外ハンチが設けられ、前記第二のPC鋼材が前記外ハンチの傾斜に沿って埋設されていることを特徴としている。
このような特徴により、外側に傾斜されて配置された第二のPC鋼材下部の配置スペースが確保される。また、応力の集中する防液堤の下端部の厚さ寸法が、防液堤の他の部位に比べて大きくなる。
請求項記載の発明は、請求項1に記載の液化ガス貯蔵タンクにおいて、前記防液堤の下端部の内側に、内ハンチが設けられていることを特徴としている。
このような特徴により、応力の集中する防液堤の下端部の厚さ寸法が更に大きくなる。また、第二のPC鋼材による偏心曲げモーメントが一層大きくなる。
本発明に係る液化ガス貯蔵タンクによれば、防液堤の下端にかかる負担を軽減することができ、防液堤の下端部に発生するひび割れを防止することができる。
以下、本発明に係る液化ガス貯蔵タンクの実施の形態について、図面に基いて説明する。
図1は本実施の形態における液化ガス貯蔵タンク1の全体断面図である。
図1に示すように、液化ガス貯蔵タンク1は、LNGを貯蔵するための地上タンクである。その構成は、コンクリート製の基礎版5と、基礎版5上に一体的に形成された筒状の防液堤6と、基礎版5の上で防液堤6の内側に設けられた貯蔵部7とからなっている。貯蔵部7は、外槽2の中に内槽3が設置された構成からなる。外槽2は、鋼板製の外槽底版2aと、その外槽底版2aと一体となっていて防液堤6の内側面に沿って設けられた鋼板製の外槽側板2bと、この外槽側板2bの頂部に取り付けられた外槽屋根2cとからなっている。また、内槽3は、外槽2と同様に、内槽底版3aと内槽側板3bと内槽屋根3cとからなっており、外槽底版2aの上に保冷材20を介して載置されている。さらに、内槽3の内槽側板3bと外槽側板2bとの間、および内槽3の内槽屋根3cと外槽屋根2cとの間にも保冷材21が充填されている。
基礎版5は、地盤G内に構築された複数の基礎杭8…の上に形成された鉄筋コンクリート造の底盤であり、地盤G内に半分埋設された基礎構造体である。なお、基礎版5は、地盤G内に完全に埋設されていてもよく、或いは、地盤G上に形成されていてもよい。防液堤6は、基礎版5上に立ち上げられたプレストレスト・コンクリートからなる外周壁であり、下方に向かって厚さ寸法が増大する形状(本実施の形態では、外周面が傾斜するテーパー状)の根元部(下端部)6aと、その根元部6aの上に打ち継ぎされた円筒部6bとから構成されている。
防液堤6の躯体内には、周方向(横方向)に延在する複数の第一のPC鋼材9…と上下方向に基礎版5まで延在する複数の第二のPC鋼材10…とがそれぞれ埋設されている。これら第一、第二のPC鋼材9…,10…は、防液堤6にプレストレス(圧縮応力)を付与するための緊張材であり、例えば、高張力鋼からなる鋼線、鋼より線、或いは鋼線や鋼より線を束ねたケーブル等のフレキシブルなPC鋼材からなる。
第一のPC鋼材9は、防液堤6の外周面に沿ってリング状に延在されており、その両端が、緊張力(引張力)が導入された状態で防液堤6の外周面に形成された図示せぬ定着部に図示せぬ定着具によってそれぞれ定着されている。複数の第一のPC鋼材9…は、防液堤6の下端から上端までの範囲全体に上下方向に所定間隔をあけて並設されており、これらの第一のPC鋼材9…によって防液堤6の下端から上端までの範囲全体に周方向のプレストレスが均一に付与されている。つまり、これら複数の第一のPC鋼材9…によって、防液堤6を締め付けるような応力が働く。
図2は防液堤6の下端部を表す断面図であり、図3は防液堤6の下端部を表す正面図である。
図1,図2,図3に示すように、第二のPC鋼材10は、防液堤6に沿ってU字状に延在されており、緊張力(引張力)が導入された状態で、その上部の両端が、防液堤6の上端面に図示せぬ定着具によってそれぞれ定着されている。このとき、U字状の第二のPC鋼材10の最下部(折り返し部分)は、基礎版5内に埋設されており、その(後述するシース管12の)外周には、局所的な応力に対応するために螺旋状の補強筋16が巻き付けられている。U字状の第二のPC鋼材10は、隣り合う他の第二のPC鋼材10´,10´´とそれぞれラップさせて配設されており、第二のPC鋼材10は、その両隣りの他の第二のPC鋼材10´,10´´は、その最下部が一部並列して配設されている。これらの第二のPC鋼材10…は、防液堤6の全周に亘って並設されており、これらの第二のPC鋼材10…によって防液堤6の全周に亘って鉛直方向のプレストレスが均一に付与されている。
また、防液堤6に埋設された第二のPC鋼材10…は、防液堤6の根元部6aでタンク外側方向に傾斜されて配置されている。つまり、防液堤6の根元部6a及び基礎版5内に埋設された第二のPC鋼材10…の下部10a…が、タンク外側方向に屈曲されて傾斜されている。具体的には、第二のPC鋼材10…は、防液堤6の円筒部6b内に埋設された第二のPC鋼材10…の上部10b…、つまり、U字状の第二のPC鋼材10…の両端部が、防液堤6の壁面に沿って真直ぐ鉛直方向に延在されており、防液堤6の根元部6aの手前(上方)のところで僅かに(例えば、傾斜角度θ=70°程度)外側に屈曲されて、コ字状に屈曲された第二のPC鋼材10…の下部10a…、つまり、U字状の第二のPC鋼材10…の中間部が、上方から下方に向かうに従い徐々に外側に広がるように緩やかに傾斜した状態になっている。さらに、第二のPC鋼材10…の下部10a…最下部は、ラップされる隣の第二のPC鋼材10…の下部10a…最下部と並列させるために、タンク外側或いは内側の何れかの方向に屈曲されている。
また、第一、第二のPC鋼材9…,10…は、ダブル配筋された防液堤6の鉄筋17の中に配置されており、第二のPC鋼材10…は、防液堤6の断面中央位置に配置され、第一のPC鋼材9…は、第二のPC鋼材10…を囲うように第二のPC鋼材10…の外側に配設されている。また、第一、第二のPC鋼材9…,10…は、防液堤6内に埋設されたシース管11…,12…内にそれぞれ挿通されており、所謂ポストテンション方式によってプレストレスが付与されている。
一方、図2、図3に示すように、防液堤6の根元部6aには、上下方向に延在する第三のPC鋼材13…が埋設されており、この第三のPC鋼材13…によって防液堤6の根元部6aにプレストレスが追加されている。具体的には、防液堤6の根元部6aの躯体内には、第二のPC鋼材10…と同様に上下方向に延在する短尺の第三のPC鋼材13…が複数埋設されている。これら複数の第三のPC鋼材13…は、防液堤6の根元部6aにプレストレス(圧縮応力)を付与するための緊張材であり、例えば高張力鋼の鋼棒等からなる。複数の第三のPC鋼材13…は、上下方向に延在する第二のPC鋼材10…の下部10a…間に所定間隔をあけて並べられており、上述したように傾斜する第二のPC鋼材10…の下部10a…とほぼ平行にそれぞれ延在されている。また、第三のPC鋼材13の下端は、基礎版5内に埋設され、第三のPC鋼材13の上端は、防液堤6の根元部6a上端面から突出されている。第三のPC鋼材13の下端には、基礎版5内に埋設されて定着される定着具14が取り付けられており、また、第三のPC鋼材13の上端には、防液堤6の根元部6a上端面に定着される定着具15が取り付けられている。これら定着具14,15は、第三のPC鋼材13の端部が貫装される定着プレート14a,15aと第三のPC鋼材13の端部に螺合されるナット14b,15bとから構成されている。
また、防液堤6の根元部6aの外周面は、その最上端から最下端に向かって外側(本実施の形態では、平面的に円形タンクとしているので、その半径方向で外側のことを言う。)に傾斜している。つまり、防液堤6の根元部6aの外側に、防液堤の厚さが下方にいくにしたがって徐々に厚くなる断面三角形状の外ハンチ6cが設けられている。そして、第二のPC鋼材10…の下部10a…や、第三のPC鋼材13…は、この外ハンチの外周面の傾斜にほぼ沿って配設されている。なお、第三のPC鋼材13…は、外ハンチの外周面の傾斜に沿って配設されていなくてもよく、例えばほぼ鉛直に配設されていてもよい。防液堤6の外側の縦筋17aは、根元部6aと円筒部6bとの境界付近で外側に若干屈曲されており、当該縦筋17aの下部は、外ハンチ6cの傾斜に沿って延在されている。
一方、防液堤6の根元部6aの内側には、下方にいくに従いタンク内側に広がるように傾斜する断面三角形状の内ハンチ6dが設けられている。内ハンチ6dは、防液堤6の根元部6a内側のうち、根元部6aの最下端付近にのみ設けられており、内ハンチ6dの高さは、外ハンチ6cと比較して低い。
次に、上記した構成からなる液化ガス貯蔵タンク1の施工方法について説明する。
まず、液化ガス貯蔵タンク1の構築位置に複数の基礎杭8…を打設した後、地盤Gの掘削を行って前記基礎杭8…の杭頭を出し、掘削底に捨てコンクリート18を打設する。
次に、捨てコンクリート18の上に基礎版5の鉄筋19を配筋するとともに、防液堤6の根元部6aの鉄筋17を配筋する。このとき、防液堤6の根元部6a内に埋設させる第一のPC鋼材9…を挿通させるための複数のシース管11…を所定位置に配設して仮固定しておくとともに、第二のPC鋼材10…を挿通させるための複数のシース管12…を所定位置に配設して仮固定しておく。さらに、複数の第三のPC鋼材13…を所定の位置に所定間隔で並べて仮固定しておく。なお、複数の第三のPC鋼材13…の下端には定着具14…をそれぞれ取り付けておく。
次に、基礎版5及び防液堤6の根元部6aの図示せぬ型枠を建て込んだ後、基礎版5及び防液堤6の根元部6aのコンクリート打設を行う。なお、基礎版5と根元部6aとのコンクリート打設を一度に行う必要はなく、最初に基礎版5のコンクリート打設を行い、当該コンクリートが硬化した後に防液堤6の根元部6aのコンクリート打設を行ってもよい。この場合、防液堤6の根元部6a内に埋設させる第一のPC鋼材9…を挿通させるための複数のシース管11…を、基礎版5のコンクリート打設を行った後に配設させてもよい。
次に、基礎版5及び根元部6aのコンクリートが硬化した後、根元部6aの上端面から突出した複数の第三のPC鋼材13…の上端に定着具15…をそれぞれ取り付けて各第三のPC鋼材13…にそれぞれ緊張力を導入する。具体的には、第三のPC鋼材13…の上端に定着プレート15a…をそれぞれ貫装させるとともにナット15b…をそれぞれ螺合させ、当該ナット15b…をそれぞれ締め込んで各第三のPC鋼材13…にそれぞれ緊張力を導入する。
次に、防液堤6の円筒部6bの鉄筋17を配筋する。このとき、防液堤6の円筒部6b内に埋設させる第一のPC鋼材9…を挿通させるための複数のシース管11…を所定位置に配設して仮固定しておくとともに、第二のPC鋼材10…を挿通させるための複数のシース管12…の上側部分を所定位置に配設して仮固定しておく。
次に、防液堤6の円筒部6bの図示せぬ型枠を建て込んで、その後、当該円筒部6bのコンクリート打設を行う。
そして、防液堤6の円筒部6bのコンクリートが硬化した後、防液堤6の上端面にそれぞれ開放された複数のシース管12…の中に第二のPC鋼材10…をそれぞれ挿通させ、各第二のPC鋼材10…に緊張力を導入するとともに、各第二のPC鋼材10…の両端を図示せぬ定着具で防液堤6の上端面にそれぞれ定着させる。また、防液堤6の外周面に形成された図示せぬ定着部にそれぞれ開放された複数のシース管11…の中に第一のPC鋼材9…をそれぞれ挿通させ、各第一のPC鋼材9…に緊張力を導入するとともに、各第一のPC鋼材9…の両端を図示せぬ定着具で図示せぬ定着部にそれぞれ定着させる。
以上の工程によって、基礎版5と防液堤6とがそれぞれ形成される。そして、防液堤6が形成された後、公知の施工方法で外槽2、内槽3、保冷材20,21を順次形成していき、液化ガス貯蔵タンク1を構築する。
次に、上記した構成からなる液化ガス貯蔵タンク1の防液堤6の力学的状態について説明する。
図4(a)は従来(第二のPC鋼材の下部を屈曲させない構成)の防液堤の曲げモーメント図であり、図4(b)は上記した構成からなる防液堤6の曲げモーメント図である。
図4(a)に示すように、従来の防液堤では、基礎版と接合される防液堤の下端に、大きな外引張曲げモーメントM´が働いている。一方、上記した構成からなる防液堤6では、第二のPC鋼材10…によって鉛直方向に働くプレストレス力が、その下端で外側にゆるやかに偏心され、この偏心した鉛直方向のプレストレスによって、防液堤6の下端位置に大きな偏心曲げモーメントが導入される。この偏心曲げモーメントによって、防液堤6の下端に働く外引張曲げモーメントが減少され、図4(b)に示すように、防液堤6の下端のところで外引張曲げモーメントMは小さくなっている。
上記した構成からなる液化ガス貯蔵タンク1によれば、防液堤6の根元部6aに埋設された第二のPC鋼材10…の下部10a…が、タンク外側方向に屈曲されて傾斜されている構成からなっていることにより、第二のPC鋼材10…によって鉛直方向に働くプレストレス力は、その下端で外側にゆるやかに偏心される。このように鉛直方向のプレストレス力をゆるやかに偏心させることで、防液堤6の下端部における応力集中が低減される。また、偏心した鉛直方向のプレストレスによって、最も偏心曲げモーメントが必要な位置、つまり、第一のPC鋼材9…によって大きな負担がかかる防液堤6の根元部6aの最下端位置に、最も大きな偏心曲げモーメントが導入される。これによって、防液堤6の最下端にかかる負担を軽減することができ、もって防液堤6の根元部6a付近に発生するひび割れを防止することができる。
また、上記した構成からなる液化ガス貯蔵タンク1によれば、防液堤の根元部6aの内部に、第二のPC鋼材10…の下部10a…とほぼ平行に延在する第三のPC鋼材13…が埋設されており、第三のPC鋼材13…によって防液堤6の根元部6aにプレストレスが追加された構成になっていることにより、防液堤6の根元部6aには、第二のPC鋼材10…によるプレストレスに加えて第三のPC鋼材13…によるプレストレスが働くため、他の部位よりも大きなプレストレスが付与される。これによって、防液堤6の根元部6aに働く大きなプレストレスによって、防液堤6の根元部6aに作用する大きな応力を打ち消すことができ、防液堤6の根元部6aのひび割れを確実に防止することができる。なお、第三のPC鋼材13…が第二のPC鋼材10…の下部10a…と平行に延在するため、第二のPC鋼材10…による偏心曲げモーメントが、第三のPC鋼材13…によって縮小されることなく、防液堤6の根元部6aに働く偏心曲げモーメントを効果的に大きくすることができる。
また、上記した構成からなる液化ガス貯蔵タンク1によれば、防液堤6の根元部6aの外側に、第二のPC鋼材10…の下部10a…に沿って傾斜する外ハンチ6cが設けられた構成になっていることにより、外側に屈曲されて傾斜された第二のPC鋼材10…の下部10a…の配置スペースが確保される。これによって、上記した第二のPC鋼材10…を防液堤6内に埋設させた状態で十分に傾斜させることができ、防液堤6の下端部にかかる負担を効果的に軽減させることができる。また、上記した外ハンチ6cによって、応力の集中する防液堤6の根元部6aの厚さ寸法が、防液堤6の円筒部6bに比べて大きくなっているため、外槽2が構造上有利な形状となり、合理的な設計にすることができる。
また、上記した構成からなる液化ガス貯蔵タンク1によれば、防液堤6の根元部6aの内側に内ハンチ6dが設けられた構成となっていることにより、応力の集中する防液堤6の根元部6aの厚さ寸法が更に大きくなる。これによって、外槽2が構造上有利な形状となり、合理的な設計にすることができる。また、上記した内ハンチ6dにより、第二のPC鋼材10…による偏心曲げモーメントが一層大きくなる。これによって、防液堤6の下端にかかる負担を一層軽減することができ、防液堤6の根元部6aに発生するひび割れを確実に防止することができる。
以上、本発明に係る液化ガス貯蔵タンクの実施の形態について説明したが、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、上記した実施の形態では、LNGを貯蔵するための液化ガス貯蔵タンク1について説明したが、本発明に係る液化ガス貯蔵タンクは、LNG以外の液化ガスを貯蔵してもよく、例えば、LPG(液化石油ガス)を貯蔵してもよい。
また、上記した実施の形態では、円筒形状の防液堤6が基礎版5上に一体形成されているが、本発明は、断面形状が円形以外の防液堤が基礎版上に一体形成されていてもよく、例えば、断面形状が多角形の筒状の防液堤であってもよい。
また、上記した実施の形態では、防液堤のコンクリート打設後に第一のPC鋼材9…、第二のPC鋼材10…及び第三のPC鋼材13…に対して緊張力を導入する所謂ポストテンション方式により、防液堤に所定のプレストレスを付与しているが、本発明は、防液堤のコンクリート打設前に第一のPC鋼材や第二のPC鋼材、第三のPC鋼材に対して緊張力を導入しておく所謂プレテンション方式により、防液堤にプレストレスを付与してもよい。
また、上記した実施の形態では、第一のPC鋼材9…や第二のPC鋼材10…が鋼線、鋼より線、或いは鋼線や鋼より線を束ねたケーブル等のフレキシブルなPC鋼材からなるが、本発明は、第一のPC鋼材や第二のPC鋼材に高張力鋼等からなるPC鋼棒を用いていもよい。また、上記した実施の形態では、第三のPC鋼材13…として、高張力鋼からなる鋼棒を用いているが、本発明は、第三のPC鋼材として、高張力鋼からなる鋼線、鋼より線、或いは鋼線や鋼より線を束ねたケーブル等のフレキシブルなPC鋼材を用いてもよい。
また、上記した実施の形態では、防液堤6の根元部6a外側に、第二のPC鋼材10…の下部10a…に沿って傾斜する外ハンチ6cが設けられており、また、防液堤6の根元部6a内側に、傾斜する内ハンチ6dが設けられているが、本発明は、外ハンチが第二のPC鋼材の下部に沿って傾斜されていなくてもよく、例えば、根元部(下端部)が一様に増厚されて外周面が鉛直になっているドロップハンチ状の外側増厚部でもよい。また、本発明は、内ハンチが傾斜されていなくてもよく、例えば、内ハンチの内周面が鉛直に形成されたドロップハンチ状の内側増厚部でもよい。さらに、本発明は、上記した外ハンチや内ハンチが設けられていなくてもよい。
その他、本発明の主旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
本発明の実施の形態を説明するための液化ガス貯蔵タンクを表す全体断面図である。 本発明の実施の形態を説明するための防液堤の下端部を表す部分拡大断面図である。 本発明の実施の形態を説明するための防液堤の下端部を表す部分拡大正面図である。 (a)は従来の構成からなる防液堤のモーメント図であり、(b)は本発明に係る防液堤のモーメント図である。
符号の説明
1 液化ガス貯蔵タンク
5 基礎版
6 防液堤
6a 根元部(下端部)
6c 外ハンチ
6d 内ハンチ
7 貯蔵部
9 第一のPC鋼材
10 第二のPC鋼材
13 第三のPC鋼材

Claims (3)

  1. 基礎版上に筒状の防液堤が一体に形成され、前記基礎版の上で前記防液堤の内側に貯蔵部が備えられた液化ガス貯蔵タンクであって、
    前記防液堤に、周方向に延在する第一のPC鋼材と上下方向に延在する第二のPC鋼材とがそれぞれ埋設され、該第一、第二のPC鋼材によって前記防液堤にプレストレスが与えられ、
    前記第二のPC鋼材はU字状に延在され、該U字状の第二のPC鋼材のうちの上部に位置する直線状の両端部が上下方向にそれぞれ延在すると共に、該U字状の第二のPC鋼材のうちの下部に位置する中間部が前記防液堤の下端部でタンク外側方向に傾斜されており、
    前記防液堤の下端部に、上下方向に延在する直線状の第三のPC鋼材が埋設され、該第三のPC鋼材によって前記防液堤の下端部にプレストレスが追加されており、
    前記第三のPC鋼材が、前記U字状の第二のPC鋼材の下部で上下方向に延在する直線状の両端部の間に配置されていると共に、前記防液堤の鉛直断面視において前記第二のPC鋼材と重なり合っており、
    前記第三のPC鋼材の下側の定着部が、前記第二のPC鋼材の中間部のうちの最下部よりも上方に配設されていることを特徴とする液化ガス貯蔵タンク。
  2. 請求項1に記載の液化ガス貯蔵タンクにおいて、
    前記防液堤の下端部の外側に、外ハンチが設けられ、前記第二のPC鋼材が前記外ハンチの傾斜に沿って埋設されていることを特徴とする液化ガス貯蔵タンク。
  3. 請求項1または2に記載の液化ガス貯蔵タンクにおいて、
    前記防液堤の下端部の内側に、内ハンチが設けられていることを特徴とする液化ガス貯蔵タンク。
JP2006095300A 2006-03-30 2006-03-30 液化ガス貯蔵タンク Active JP4793640B2 (ja)

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