JP2009269648A - 地上pcタンク - Google Patents
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Abstract
【課題】地上PCタンクにおける側壁の下端部に対してPC鋼材を充分に密に配設する。
【解決手段】基礎版1上に筒状の側壁2を一体に形成して立ち上げ、側壁には周方向に延在する第1のPC鋼材4と上下方向に延在する第2のPC鋼材5を配設してプレストレスを導入する。第2のPC鋼材4の間に側壁2の下端部と基礎版1との間において上下方向に延在する第3のPC鋼材6(主PC鋼材6Aおよび副PC鋼材6B)を密に配設し、その第3のPC鋼材6によって側壁2の下端部に対する上下方向のプレストレスを増強する。隣り合う第3のPC鋼材6の定着部6a、6bの位置を上下方向にずらす。
【選択図】図1
【解決手段】基礎版1上に筒状の側壁2を一体に形成して立ち上げ、側壁には周方向に延在する第1のPC鋼材4と上下方向に延在する第2のPC鋼材5を配設してプレストレスを導入する。第2のPC鋼材4の間に側壁2の下端部と基礎版1との間において上下方向に延在する第3のPC鋼材6(主PC鋼材6Aおよび副PC鋼材6B)を密に配設し、その第3のPC鋼材6によって側壁2の下端部に対する上下方向のプレストレスを増強する。隣り合う第3のPC鋼材6の定着部6a、6bの位置を上下方向にずらす。
【選択図】図1
Description
本発明は、たとえばLNGやLPG等の液化ガスを貯蔵するためのタンクに係わり、特に側壁にPC鋼材によるプレストレスを導入してなる地上PCタンクに関する。
この種の地上PCタンクの構造として特許文献1〜3に示すものが知られている。これらはいずれもタンクの側壁に周方向のPC鋼材と上下方向(鉛直方法)のPC鋼材を配設するとともに、側壁の下端部にはさらに他のPC鋼材を配設してプレストレスの増強を図ったものである。
特許文献1に示されるタンクの構造について図4〜図5を参照して説明する。
図中、符号1は基礎版、2はその基礎版1の外周縁部に一体に形成されてそこから立ち上げられた側壁、3はそれら基礎版1および側壁2に埋設されている鉄筋であり、これら基礎版1および側壁2は頑強な鉄筋コンクリート造とされてタンクの躯体を構成するものである。
側壁2の下端部にはその内外に若干のハンチ部2a,2bが形成されており、それにより側壁2の壁厚は下方に向かって漸次厚くなるようにされている。
図中、符号1は基礎版、2はその基礎版1の外周縁部に一体に形成されてそこから立ち上げられた側壁、3はそれら基礎版1および側壁2に埋設されている鉄筋であり、これら基礎版1および側壁2は頑強な鉄筋コンクリート造とされてタンクの躯体を構成するものである。
側壁2の下端部にはその内外に若干のハンチ部2a,2bが形成されており、それにより側壁2の壁厚は下方に向かって漸次厚くなるようにされている。
側壁2の下端部には周方向に沿う第1のPC鋼材4が所定段数(図示例では5段)配設され、また側壁2全体には上下方向(鉛直方向)に沿う第2のPC鋼材5がその下端部がU状に折り曲げられた状態で所定間隔で配設されており、それら第1のPC鋼材4および第2のPC鋼材5がそれぞれ緊張されて定着されることにより側壁2全体にプレストレスが導入されている。
さらに、図5に示すように第2のPC鋼材5の間には上下方向に沿う第3のPC鋼材6が密に配設されており、それら第3のPC鋼材6は緊張されて上端部の定着部6aが側壁2に対して定着されるとともに下端部の定着部6bが基礎版1に対して定着されている。したがってこの地上PCタンクでは第3のPC鋼材6によって側壁2の下端部に対する上下方向のプレストレスが増強され、側壁2の特に下端部に生じる曲げモーメントに対抗してひび割れの発生を防止できるとされている。
さらに、図5に示すように第2のPC鋼材5の間には上下方向に沿う第3のPC鋼材6が密に配設されており、それら第3のPC鋼材6は緊張されて上端部の定着部6aが側壁2に対して定着されるとともに下端部の定着部6bが基礎版1に対して定着されている。したがってこの地上PCタンクでは第3のPC鋼材6によって側壁2の下端部に対する上下方向のプレストレスが増強され、側壁2の特に下端部に生じる曲げモーメントに対抗してひび割れの発生を防止できるとされている。
なお、特許文献2および特許文献3に示すものでは、側壁2の下端部の壁厚をテーパ状あるいは段状に増大させてその壁厚増大部に上記の第3のPC鋼材6に相当する緊張材を配設している。
特開2007−270901号公報
特開2005−350092号公報
特許第3839448号公報
ところで、この種の地上PCタンクにおいては側壁2の下端部に導入する上下方向のプレストレスの大半を第2のPC鋼材5により確保することを基本とし、それを補完するように第3のPC鋼材6を第2のPC鋼材5の間に配設するのであるが、第3のPC鋼材6の径寸法や設置間隔には自ずと制約があり、特に側壁2および基礎版1に対する第3のPC鋼材6の定着強度を充分に確保するためには隣り合う定着部6a、6aどうしの間(および隣り合う定着部6b、6bどうしの間)に充分な離間間隔(図示a寸法)を確保する必要がある。
そのため、第3のPC鋼材6も必ずしも密に設置できない場合も多く、たとえば図5に示した例では隣り合う第2のPC鋼材5の間に第3のPC鋼材6をわずか4本しか設置することができない。
そのため、第3のPC鋼材6も必ずしも密に設置できない場合も多く、たとえば図5に示した例では隣り合う第2のPC鋼材5の間に第3のPC鋼材6をわずか4本しか設置することができない。
つまり、従来一般のこの種のタンクでは、側壁2の下端部に第3のPC鋼材6を設置するといえどもそれによってはプレストレスを必ずしも充分に補完できず、それ故に側壁2の下端部に対して所望のプレストレスを導入できない場合がある。
また、特許文献2〜3に示すタンクの場合には、側壁2の下端部の壁厚を十分に大きくすることにより、第3のPC鋼材6に相当する緊張材をその壁厚増大部に対して充分に設置することが可能であり、したがって大きなプレストレスを導入することも不可能ではないが、その場合には壁厚増大によるタンク全体の設置スペースの増大とコスト増が不可欠であるので好ましくないし、広く一般に適用できるものでもない。
また、特許文献2〜3に示すタンクの場合には、側壁2の下端部の壁厚を十分に大きくすることにより、第3のPC鋼材6に相当する緊張材をその壁厚増大部に対して充分に設置することが可能であり、したがって大きなプレストレスを導入することも不可能ではないが、その場合には壁厚増大によるタンク全体の設置スペースの増大とコスト増が不可欠であるので好ましくないし、広く一般に適用できるものでもない。
上記事情に鑑み、本発明は側壁の下端部に対して大きなプレストレスを支障なく導入し得る有効適切な構造の地上PCタンクを提供することを目的としている。
本発明は、基礎版上に筒状の側壁を一体に形成して立ち上げ、該側壁には周方向に延在する第1のPC鋼材と上下方向に延在する第2のPC鋼材を配設してプレストレスを導入し、かつ前記第2のPC鋼材の間に前記側壁の下端部と前記基礎版との間において上下方向に延在する第3のPC鋼材を密に配設して、該第3のPC鋼材によって前記側壁の下端部に対する上下方向のプレストレスを増強してなる地上PCタンクであって、隣り合って配設される第3のPC鋼材の両端部の定着部の位置を上下方向にずらしてなることを特徴とする。
本発明によれば、隣り合って配設される第3のPC鋼材の両端部の定着部の位置を上下方向にずらすことにより、それら第3のPC鋼材を密に配設しても隣り合う定着部間には自ずと充分な離間間隔を確保できる。そのため、本発明によれば従来に比べて第3のPC鋼材を充分に密に配設することが可能であり、それによるプレストレスを増大させることが可能である。
以下、図1〜図2を参照して本発明の地上PCタンクの一実施形態について説明するが、本実施形態の地上PCタンクは図4〜図5に示した従来の地上PCタンク(特許文献1参照)を基本とするものであるので、両者に共通の構成要素については同一符号を付してある。
本実施形態の地上PCタンクは、図4〜図5に示したものと同様に、基礎版1上に筒状の側壁2が一体に形成されて立ち上げられ、側壁2には周方向に延在する第1のPC鋼材4が配設されているとともに、上下方向に延在する第2のPC鋼材5が配設され、さらに第2のPC鋼材5の間には第3のPC鋼材6が密に配設されていて、それら第1のPC鋼材4、第2のPC鋼材5、第3のPC鋼材6によって側壁2全体に対して周方向および上下方向のプレストレスが導入され、特に第3のPC鋼材6により側壁2下端部に対する上下方向のプレストレスが増強されているものである。
以上の基本構成に加えて、本実施形態では第3のPC鋼材6として長さの異なる2種のPC鋼材、すなわち主PC鋼材6A(図2(a)参照)と、それよりもやや短い副PC鋼材6B(図2(b)参照)の2種類のPC鋼材が使用されており、それら主PC鋼材6Aと副PC鋼材6Bとが図1に示すように交互に上下方向にずらされた状態で配設されている。
そして、そのように主PC鋼材6Aと副PC鋼材6Bとが上下方向にずらされて交互に配設されていることにより、主PC鋼材6Aの上端の定着部6aの位置は側壁2の周方向においてそれに隣り合っている副PC鋼材6Bの上端の定着部6aの位置よりも自ずと高い位置になり、それら定着部6aどうしの間には上下方向に大きな離間間隔(図示b寸法)が自ずと確保されたものとなる。
同様に、主PC鋼材6Aの下端の定着部6bの位置は、側壁2の周方向においてそれに隣り合っている副PC鋼材6Bの下端の定着部6bの位置よりも自ずと高い位置になり、それら定着部6bどうしの間にも上下方向に充分な離間間隔(図示c寸法)が確保されたものとなる。
同様に、主PC鋼材6Aの下端の定着部6bの位置は、側壁2の周方向においてそれに隣り合っている副PC鋼材6Bの下端の定着部6bの位置よりも自ずと高い位置になり、それら定着部6bどうしの間にも上下方向に充分な離間間隔(図示c寸法)が確保されたものとなる。
したがって、本実施形態では1本おきに配設されている主PC鋼材6Aどうしの間、および同じく1本おきに配設されている副PC鋼材6Bどうしの間に、それぞれ所定の離間間隔(図示a寸法)を確保すれば良く、直接的に隣り合っている主PC鋼材6Aと副PC鋼材6Bの間の水平方向の離間間隔はその半分(図示a/2寸法)で良いことになり、結果的に主PC鋼材6Aと副PC鋼材6Bの双方により構成される第3のPC鋼材6の全体を従来の倍の密度で配設することが可能となる。
具体的には、図5に示した従来のものでは隣り合う第2のPC鋼材5の間に第3のPC鋼材6を4本しか配設できないのに対し、本実施形態では同様の条件下で第3のPC鋼材6を2倍の8本(主PC鋼材6Aと副PC鋼材6Bをそれぞれ4本ずつ)も配設できることになり、それによるプレストレスも倍増させることができることになる。
具体的には、図5に示した従来のものでは隣り合う第2のPC鋼材5の間に第3のPC鋼材6を4本しか配設できないのに対し、本実施形態では同様の条件下で第3のPC鋼材6を2倍の8本(主PC鋼材6Aと副PC鋼材6Bをそれぞれ4本ずつ)も配設できることになり、それによるプレストレスも倍増させることができることになる。
なお、本実施形態においては、従来と同様に側壁2の下端部の内外に壁厚が下方に向かって漸次増大するようにハンチ部2a、2bが形成されているとともに、第2のPC鋼材5の下端部および第3のPC鋼材6はそれぞれ側壁2の下端部において下方に向かって鉛直斜め外方に傾斜するように配設されている。
これにより、第2のPC鋼材5および第3のPC鋼材6によるプレストレスが側壁2の下端部に生じる曲げモーメントに対してより効果的に抵抗するものとなっており、したがって側壁2の外面側に生じることが懸念されるひび割れを確実に防止することができるものとなっている。
これにより、第2のPC鋼材5および第3のPC鋼材6によるプレストレスが側壁2の下端部に生じる曲げモーメントに対してより効果的に抵抗するものとなっており、したがって側壁2の外面側に生じることが懸念されるひび割れを確実に防止することができるものとなっている。
以上で本発明の一実施形態を説明したが、上記実施形態はあくまで好適な一例であって、本発明は上記実施形態に限定されるものでは勿論なく、隣り合う第3のPC鋼材の定着部の位置を上下方向にずらす限りにおいてその他の構成は様々に変更可能であり、たとえば以下に列挙するような変形や応用が可能である。
上記実施形態では第3のPC鋼材6として長さの異なる2種のPC鋼材を用いて、より長い方を主PC鋼材6A、短い方を副PC鋼材6Bとし、主PC鋼材6Aを相対的に上側に配設し、副PC鋼材6Bを相対的に下側に配設したが、第3のPC鋼材6としては必ずしも長さの異なる2種のPC鋼材を用いることに限るものではなく、第3のPC鋼材6の全てを同一長さとしても良い。その場合は同一長さのPC鋼材を単に上下方向にずらして交互に配設すれば良いから、位置をずらすこと以外は上記実施形態のように敢えて主PC鋼材6Aと副PC鋼材6Bに区別する意味はない。
逆に、配筋状況その他の条件によって必要であれば長さや素材を様々に調節した3種以上の第3のPC鋼材を組み合わせて使用しても良く、いずれにしても側壁2の周方向において隣り合う定着部の位置を上下にずらすことで同様の効果が得られる。
その一例として、図3に同一長さの第3のPC鋼材6を上下方向に3段階にずらして配設した場合のパターンを示す。この場合は第3のPC鋼材6を従来に比べて3倍の密度で配設できることになる。
勿論、第3のPC鋼材6のみならず、第1のPC鋼材4,第2のPC鋼材5の素材としては、PC鋼線、PC鋼撚線、PC鋼棒のいずれも採用可能であるし、緊張力の導入はプレテンション方式、ポストテンション方式のいずれであっても良い。
逆に、配筋状況その他の条件によって必要であれば長さや素材を様々に調節した3種以上の第3のPC鋼材を組み合わせて使用しても良く、いずれにしても側壁2の周方向において隣り合う定着部の位置を上下にずらすことで同様の効果が得られる。
その一例として、図3に同一長さの第3のPC鋼材6を上下方向に3段階にずらして配設した場合のパターンを示す。この場合は第3のPC鋼材6を従来に比べて3倍の密度で配設できることになる。
勿論、第3のPC鋼材6のみならず、第1のPC鋼材4,第2のPC鋼材5の素材としては、PC鋼線、PC鋼撚線、PC鋼棒のいずれも採用可能であるし、緊張力の導入はプレテンション方式、ポストテンション方式のいずれであっても良い。
上記実施形態のように側壁2の下端部にはハンチ部2a、2bを形成してそこでは第2のPC鋼材5と第3のPC鋼材6とを鉛直斜め外側に傾斜させることが好ましいが、それに限るものでもなく、側壁2の壁厚は下端に至るまで均一であっても良いし、第2のPC鋼材5と第3のPC鋼材6の双方あるいはいずれか一方を単に鉛直配設することでも良く、さらにはそれらの双方あるいはいずれか一方をたとえば特許文献2に示されるように鉛直斜め内側に向かって傾斜させることでも良い。
本発明の地上PCタンク全体の水平断面形状は円形とすることが現実的であり、その場合には基礎版1を円盤状とするとともに側壁2を円筒状として、第2のPC鋼材5および第3のPC鋼材6の全てをタンク中心に対して同心円上に配設すれば良いが、タンクの形態や規模、タンク躯体の各部の構造や形状や寸法、鉄筋や第1〜第3のPC鋼材の配設状況、その他細部の仕様については、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で最適設計を行えば良い。
1 基礎版
2 側壁
2a,2b ハンチ部
3 鉄筋
4 第1のPC鋼材
5 第2のPC鋼材
6 第3のPC鋼材
6A 主PC鋼材
6B 副PC鋼材
6a、6b 定着部
2 側壁
2a,2b ハンチ部
3 鉄筋
4 第1のPC鋼材
5 第2のPC鋼材
6 第3のPC鋼材
6A 主PC鋼材
6B 副PC鋼材
6a、6b 定着部
Claims (1)
- 基礎版上に筒状の側壁を一体に形成して立ち上げ、該側壁には周方向に延在する第1のPC鋼材と上下方向に延在する第2のPC鋼材を配設してプレストレスを導入し、かつ前記第2のPC鋼材の間に前記側壁の下端部と前記基礎版との間において上下方向に延在する第3のPC鋼材を密に配設して、該第3のPC鋼材によって前記側壁の下端部に対する上下方向のプレストレスを増強してなる地上PCタンクであって、
隣り合って配設される第3のPC鋼材の両端部の定着部の位置を上下方向にずらしてなることを特徴とする地上PCタンク。
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JP2008121252A Pending JP2009269648A (ja) | 2008-05-07 | 2008-05-07 | 地上pcタンク |
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Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011148530A (ja) * | 2010-01-22 | 2011-08-04 | Taisei Corp | プレストレストコンクリート構造物 |
JP2011219140A (ja) * | 2010-04-12 | 2011-11-04 | Shimizu Corp | 地上pcタンク |
JP2021001006A (ja) * | 2019-06-21 | 2021-01-07 | 義範 坂本 | Pc大型容器 |
WO2022145046A1 (ja) * | 2021-01-01 | 2022-07-07 | 坂本義範 | Pc大型容器 |
Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5989899U (ja) * | 1982-12-07 | 1984-06-18 | 石川島建材工業株式会社 | 地下貯水槽の刃口セグメント |
JP2007270901A (ja) * | 2006-03-30 | 2007-10-18 | Shimizu Corp | 液化ガス貯蔵タンク |
-
2008
- 2008-05-07 JP JP2008121252A patent/JP2009269648A/ja active Pending
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