JP2018188888A - 外殻鋼管コンクリート杭およびその製造方法 - Google Patents

外殻鋼管コンクリート杭およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】変形性能を向上でき、製造しやすい外殻鋼管コンクリート杭を提供する。【解決手段】コンクリートで成形された杭本体部2の外側に筒状の鋼管部3を設ける。また、杭本体部2および鋼管部3の軸方向の両端部に端面鋼板4を設ける。さらに、杭本体部2の内部に鉄筋籠5を設ける。端面鋼板4は、杭本体部2側に突出する保持部材11を有する。鉄筋籠5は、杭本体部2の軸方向に沿って配設された第1の鉄筋13および第2の鉄筋14と、これら第1の鉄筋13および第2の鉄筋14と交差して固定された第3の鉄筋15とを有する。また、鉄筋籠5は、第1の鉄筋13の両端部が保持部材11に保持され、第2の鉄筋14が保持部材11に保持されていない。【選択図】図2

Description

本発明は、コンクリートで成形された杭本体部の外側に鋼管部が設けられた外殻鋼管コンクリート杭およびその製造方法に関する。
基礎杭がフーチングと接合される箇所は、地震による水平力が最も強く基礎杭に作用するため、このような箇所には、コンクリート製の杭本体部の外側に鋼管部が設けられて水平耐力に優れた外殻鋼管コンクリート杭(SC杭)が使用されることがある。
しかしながら、SC杭の破壊形態は、圧縮側の内面コンクリートの剥落による断面欠損であることが多いため、鋼管に局部座屈が生じ、設計通りの変形性能が得られない場合がある。
この種のコンクリート杭において水平耐力を改善する技術としては、例えば特許文献1や特許文献2に示されるように、SC杭におけるコンクリート製の杭本体部に軸方向に沿って緊張鋼材(PC鋼材)が配設された構成が知られている。
このようにコンクリート製の杭本体部にPC鋼材が設けられた構成では、杭本体部の断面方向においてできるだけ均等な圧縮力を加えるため、PC鋼材を杭本体部の壁厚の略中心に配置し、その端部を端板(アンカー体)に固定する必要がある。
また、水平耐力を改善する技術としては、非緊張鋼材(鉄筋)がSC杭におけるコンクリート製の杭本体部内に配設された構成が知られている。
このようにコンクリート製の杭本体部に鉄筋が配設された構成では、鉄筋が端板に固定されていないと、杭製造の際の遠心力での締固めによって、鉄筋の位置ずれが生じるおそれがある。
そこで、例えば特許文献3等に示すように、リング状鋼板に設けられた孔や環状のガイドプレートに設けた溝に鉄筋が挿通されて固定された状態でコンクリートを打設して成形する方法や、例えば特許文献4に示すように、鉄筋が鋼管の内周面に溶接されて固定された状態でコンクリートを打設して成形する方法が知られている。
さらに、水平耐力を改善する技術としては、例えば特許文献5に示すように、コンクリート製の杭本体部に線状の鉄筋ではなく、断面視で略L字形(山形)の形鋼材が配設された構成が知られている。
実開昭51−111704号公報 実開昭58−10938号公報 特開2011−137320号公報 実開昭51−142703号公報 実開昭57−114834号公報
しかしながら、特許文献1および特許文献2の方法では、水平耐力を改善できるが、PC鋼材は細く、その剛性が小さいため、内面コンクリートの剥落を防止できない。
特許文献3の方法では、鉄筋を固定するために多くの部品が必要になりコストの上昇を招き、製造作業も煩雑化してしまう。さらに、型枠内において鉄筋の周囲が狭隘になるため、コンクリートを打設する際に鉄筋の周囲にコンクリートが適切に行き渡らないおそれがある。
特許文献4の方法では、水平耐力の改善には有効であるが、鉄筋は鋼管に沿って配置されるため、内面コンクリートの剥落を防止できない。
特許文献5の方法では、鋼管の受ける応力と形鋼材の受ける応力とに差があるとともに、鋼管と形鋼材との変形量も異なるため、鋼管に対して形鋼材が固定された部分に内部応力が発生し、本来の強度を発揮できないおそれがある。
また、形鋼材が鋼管内に容易に固定できず製造作業が煩雑になるとともに、鋼管に形鋼材が固定されていることにより、コンクリートを打設する際に形鋼材の周囲にコンクリートが行き渡りにくい。
したがって、内面コンクリートの剥落を防止して変形性能を向上でき、コンクリートを補強鉄鋼材の周囲に確実に打設でき、かつ、製造しやすい外殻鋼管コンクリート杭が求められていた。
本発明はこのような点に鑑みなされたもので、変形性能を向上でき、製造しやすい外殻鋼管コンクリート杭およびその製造方法を提供することを目的とする。
請求項1に記載された外殻鋼管コンクリート杭は、コンクリートで成形された杭本体部と、この杭本体部の外側に設けられた筒状の鋼管部と、前記杭本体部および前記鋼管部の軸方向の両端部に設けられた端面鋼板と、前記杭本体部の内部に設けられた補強体とを備え、前記端面鋼板は、前記杭本体部側に突出する保持部材を有し、前記補強体は、両端部が前記保持部材に保持された複数の第1の鋼体と、前記保持部材に保持されていない第2の鋼体と、これら第1の鋼体および第2の鋼体に交差して固定された第3の鋼体とを有するものである。
請求項2に記載された外殻鋼管コンクリート杭は、請求項1記載の外殻鋼管コンクリート杭において、第1の鋼体の両端部は、保持部材に載置されて保持されているものである。
請求項3に記載された外殻鋼管コンクリート杭は、請求項1または2記載の外殻鋼管コンクリート杭において、保持部材および第1の鋼体の一方は、線状または棒状であり、これら保持部材および第1の鋼体の他方は、前記保持部材および前記第1の鋼体の一方に係合可能な係合部を有するものである。
請求項4に記載された外殻鋼管コンクリート杭の製造方法は、請求項1ないし3いずれか一記載の外殻鋼管コンクリート杭の製造方法であって、鋼管部内に補強体を挿入し、前記鋼管部の軸方向の一方側において端面鋼板の保持部材に前記補強体における第1の鋼体の一端部を保持するとともに、前記鋼管の軸方向の他方側において端面鋼板の保持部材に前記補強体における前記第1の鋼体の他端部を保持することで、前記鋼管部内において前記補強体を位置決めし、コンクリートを打設し成形するものである。
本発明によれば、両端部が保持部材に保持された第1の鋼体と、保持体に保持されていない第2の鋼体とを有するため、変形性能を向上でき、かつ、容易に製造できる。
本発明の第1の実施の形態に係る外殻鋼管コンクリート杭の構成を示す断面図である。 同上外殻鋼管コンクリート杭の概略断面図である。 本発明の第2の実施の形態に係る外殻鋼管コンクリート杭の構成を示す断面図である。 本発明の第3の実施の形態に係る外殻鋼管コンクリート杭の構成を示す断面図である。 同上外殻鋼管コンクリート杭の概略断面図である
以下、本発明の第1の実施の形態の構成について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1および図2において、外殻鋼管コンクリート杭1を示し、この外殻鋼管コンクリート杭1は、コンクリートで円筒状に成形された杭本体部2の外側に、鋼板で円筒状に成形された鋼管部3が設けられている。なお、図2においては杭本体部2を二点鎖線で示している。
また、これら杭本体部2および鋼管部3の軸方向の両端部には、環状の端面鋼板4が設けられ、杭本体部2の内部には補強体としての鉄筋籠5が設けられている。
すなわち、外殻鋼管コンクリート杭1は、鋼管部3および端面鋼板4の内側に一体にコンクリート層である杭本体部2が設けられており、その杭本体部2の内部に埋め込まれるように鉄筋籠5が設けられている。
端面鋼板4は、内側面が杭本体部2および鋼管部3の軸方向の端部に接触するように設けられている。
また、端面鋼板4には、内側面から杭本体部2側へ突出するように、複数(例えば4つ)の保持部材11が設けられている。
この保持部材11は、図1に示すように、断面視で一方向(例えば図1における下方向)へ細い略V字形(山形)の形鋼材であり、鋭角な部分により係合部12が構成されている。また、保持部材11は、係合部12が同じ方向(例えば図1における上側)に配置された状態にて鋼管部3から離間して設けられている。
鉄筋籠5は、杭本体部2内において軸方向に沿って配設された第1の鋼体としての複数(例えば4つ)の第1の鉄筋13と、これら第1の鉄筋13と略平行に杭本体部2内において軸方向に沿って配設された複数(例えば8つ)の第2の鋼体としての第2の鉄筋14と、これら第1の鉄筋13および第2の鉄筋14に交差するように固定された第3の鋼体としての第3の鉄筋15とを有している。
第1の鉄筋13は、棒状の鋼材であり、端面鋼板4における保持部材11の配置に対応するように、杭本体部2の周方向に沿って所定ピッチで配筋されている。
第2の鉄筋14は、第1の鉄筋13と同様の棒状の鋼材であり、杭本体部2の周方向における第1の鉄筋13同士の間に2つの第2の鉄筋14が所定ピッチで配筋されている。
すなわち、第1の鉄筋13および第2の鉄筋14は、杭本体部2の同一の周方向に配筋され、杭本体部2の径方向において鋼管部3から離間して配置されている。
第3の鉄筋15は、線状の鋼材であり、杭本体部2内における第1の鉄筋13および第2の鉄筋14の径方向の内側に螺旋状に配筋されている。また、第3の鉄筋15は、各第1の鉄筋13および各第2の鉄筋14に対して溶接によって固定されている。
すなわち、鉄筋籠5は、互いに平行な第1の鉄筋13および第2の鉄筋14に交差方向にのびる第3の鉄筋15が連結されることで、籠状に構成されている。
このような鉄筋籠5は、コンクリートを打設する前に、鋼管部3内に挿入され、各第1の鉄筋13の両端部が保持部材11の係合部12に係合されるように載置されることで、端面鋼板4に対して保持される。すなわち、鉄筋籠5は、第2の鉄筋14が端面鋼板4の保持部材11に保持されていないが、保持部材11に保持された第1の鉄筋13に対して第3の鉄筋15を介して第2の鉄筋14が固定されている。また、このように第1の鉄筋13、第2の鉄筋14および第3の鉄筋15の鋼管部3内における相対的な位置が保持された状態で、コンクリートが打設される。
次に、上記外殻鋼管コンクリート杭1の製造方法について説明する。
外殻鋼管コンクリート杭1を製造する際には、まず、鋼管部3の軸方向の一端部に端面鋼板4を固定する。
その鋼管部3における軸方向の他端部から鉄筋籠5を一端部に向かって挿入し、鉄筋籠5における各第1の鉄筋13の一端部を、端面鋼板4における各保持部材11の係合部12に係合するように載置して保持させる。
また、鉄筋籠5における各第1の鉄筋13の他端部を、端面鋼板4における各保持部材11の係合部12に係合するように載置して保持させるとともに、その端面鋼板4を鋼管部3における軸方向の他端部に固定する。
このように端面鋼板4の保持部材11に鉄筋籠5の第1の鉄筋13を保持することで、鋼管部3内の所定位置に鉄筋籠5を位置決めする。
そして、鋼管部3内で鉄筋籠5が位置決めされた状態で、コンクリートを打設し、遠心力締め固め等によって成形する。
次に、上記第1の実施の形態の作用および効果を説明する。
上記第1の実施の形態に係る外殻鋼管コンクリート杭1によれば、第1の鉄筋13および第2の鉄筋14が、杭本体部2内の軸方向に沿って配設されているため、これら第1の鉄筋13および第2の鉄筋14が杭本体部2を構成するコンクリートの保持作用を奏し、外殻鋼管コンクリート杭1が大変形した場合でも内面コンクリートが剥離しにくい。そのため、鋼管部3に局部座屈が生じにくく、変形性能を向上でき、設計に基づいた変形性能が得られる。
また、第1の鉄筋13および第2の鉄筋14が、鋼管部3に直接固定されていないため、第1の鉄筋13および第2の鉄筋14と鋼管部3との固定に基づく内部応力が発生せず、また、コンクリートを打設する際には、鉄筋籠5と鋼管部3との間に空間を確保でき、第1の鉄筋13や第2の鉄筋14や第3の鉄筋15の周囲にコンクリートを確実に行き渡らせることができる。
鉄筋籠5は、第1の鉄筋13が保持部材11に保持されているため、コンクリートを打設する際や、遠心力締め固め等で成形する際に、鋼管部3内で鉄筋籠5の位置が動いてしまうことを防止できる。
鉄筋籠5は、第1の鉄筋13のみが保持部材11に保持されていればよいため、例えば要求される耐力等の性能に応じて、第2の鉄筋14および第3の鉄筋15の形状や長さや配置や数等を変更でき、経済的に製造できるとともに、要求される様々な性能に対応しやすい。
また、本来であれば鋼管部3に求められる耐力の一部を鉄筋籠5に負担させやすいため、比較的に板厚の薄い鋼板で鋼管部3を形成できる。
第1の鉄筋13は、両端部が端面鋼板4における保持部材11に載置されるように保持されているため、製造時に鋼管部3内で鉄筋籠5を位置決めしやすい。
また、第1の鉄筋13は、両端部が端面鋼板4における保持部材11の係合部12に係合されているため、製造時に鋼管部3内で鉄筋籠5を位置決めしやすいとともに、コンクリートの打設時や成形に、保持部材11による第1の鉄筋13の保持状態が解除されにくい。
したがって、上記外殻鋼管コンクリート杭1およびその製造方法によれば、変形性能を向上でき、かつ、容易に製造できる。
なお、上記第1の実施の形態では、端面鋼板4に対して各保持部材11の係合部12が同じ方向に配置された構成としたが、このような構成には限定されず、端面鋼板4における保持部材11の向きは適宜変更できる。
すなわち、例えば図3に示す第2の実施の形態のように、各保持部材21は、各係合部22が互いに異なる側に配置されてそれぞれ異なる方向を向く構成等にしてもよい。
また、上記第1の実施の形態では、第1の鉄筋13および第2の鉄筋14が棒状の鋼材で形成され、第3の鉄筋15が線状の鋼材で形成され、保持部材11が形鋼材で形成された構成としたが、このような構成には限定されず、第1の鉄筋13が保持部材11に保持可能な構成であれば、第1の鉄筋13、第3の鉄筋15、第2の鉄筋14および保持部材11の形状等は適宜変更できる。
また、保持部材11に係合部12が設けられた構成には限定されず、例えば図4および図5に示す第3の実施の形態のように補強体としての鉄筋籠30を構成する第1の鋼体31に係合部34が設けられた構成等にしてもよい。
第3の実施の形態では、鉄筋籠30における第1の鋼体31および第2の鋼体32が断面視で略V字状の形鋼材で形成されて係合部34を有している。
また、杭本体部2の径方向における第1の鋼体31および第2の鋼体32の内側の端部に線状の鋼材である第2の鋼体33が溶着により固定されている。
さらに、保持部材35が棒状の鋼材で形成され、この棒状の保持部材35に覆いかぶさるように第1の鋼体31が係合して保持されている。
1 外殻鋼管コンクリート杭
2 杭本体部
3 鋼管部
4 端面鋼板
5 補強体としての鉄筋籠
11 保持部材
12 係合部
13 第1の鋼体としての第1の鉄筋
14 第2の鋼体としての第2の鉄筋
15 第3の鋼体としての第3の鉄筋
21 保持部材
22 係合部
30 補強体としての鉄筋籠
31 第1の鋼体
32 第2の鋼体
33 第3の鋼体
34 係合部
35 保持部材

Claims (4)

  1. コンクリートで成形された杭本体部と、
    この杭本体部の外側に設けられた筒状の鋼管部と、
    前記杭本体部および前記鋼管部の軸方向の両端部に設けられた端面鋼板と、
    前記杭本体部の内部に設けられた補強体とを備え、
    前記端面鋼板は、前記杭本体部側に突出する保持部材を有し、
    前記補強体は、両端部が前記保持部材に保持された複数の第1の鋼体と、前記保持部材に保持されていない第2の鋼体と、これら第1の鋼体および第2の鋼体に交差して固定された第3の鋼体とを有する
    ことを特徴とする外殻鋼管コンクリート杭。
  2. 第1の鋼体の両端部は、保持部材に載置されて保持されている
    ことを特徴とする請求項1記載の外殻鋼管コンクリート杭。
  3. 保持部材および第1の鋼体の一方は、線状または棒状であり、
    これら保持部材および第1の鋼体の他方は、前記保持部材および前記第1の鋼体の一方に係合可能な係合部を有する
    ことを特徴とする請求項1または2記載の外殻鋼管コンクリート杭。
  4. 請求項1ないし3いずれか一記載の外殻鋼管コンクリート杭の製造方法であって、
    鋼管部内に補強体を挿入し、
    前記鋼管部の軸方向の一方側において端面鋼板の保持部材に前記補強体における第1の鋼体の一端部を保持するとともに、前記鋼管の軸方向の他方側において端面鋼板の保持部材に前記補強体における前記第1の鋼体の他端部を保持することで、前記鋼管部内において前記補強体を位置決めし、
    コンクリートを打設し成形する
    ことを特徴とする外殻鋼管コンクリート杭の製造方法。
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