JP6418824B2 - 接合構造 - Google Patents

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Description

本発明は、既存構造体に対して新構造体を取り付ける際に用いられるあと施工アンカーおよび接合構造に関する。
RC(Reinforced Concrete)造またはSRC(Steel Reinforced Concrete)造の建物の耐震性を向上させる必要がある場合、既存の建物に対して補強部材を新たに設けることで耐震補強が行われる。このような耐震補強において、例えば、あと施工アンカーが設けられた既存構造体とスタッドボルト等の定着部材が設けられた補強部材との間に無収縮モルタルが充填されることにより、補強部材が既存構造体に対して取り付けられる。
地震時等においては、既存構造体および無収縮モルタルに跨るあと施工アンカーにせん断力が加わる。既存構造体に加えられた荷重を無収縮モルタル側へ伝達させるために、あと施工アンカーには十分なせん断耐力が求められる。このため、従来のあと施工アンカーを用いる場合、あと施工アンカーの既存構造体への埋め込み長さを長くする必要がある。しかし、既存建物が例えばSRC造である場合、コンクリート中に埋設された梁等の存在により、あと施工アンカーの既存構造体への埋め込み長さを長くすることができない可能性がある。このような課題に対して、特許文献1に記載される技術が知られている。特許文献1では、定着部材のアンカー周囲に平板状の本体部と旧構造体に嵌入する環状の凸部とを設けて、本体部および凸部によりせん断力を伝達させることで、アンカーの既存構造体への埋め込み長さを短くする技術が公開されている(特許文献1の図1(c)参照)。なお、非特許文献1には、接着系アンカーのせん断耐力の計算方法が記載されている。
特開2010−59717号公報
「2001年改訂版 既存鉄筋コンクリート造建築物の耐震改修設計指針 同解説」、一般財団法人 日本建築防災協会/国土交通大臣指定耐震改修支援センター出版、2010年9月1日、p.268−270
しかしながら、特許文献1に記載される定着部材を、アンカーを旧構造体に挿入して用いる場合、アンカーを挿入する穴だけでなく凸部が嵌入する溝部を既存構造体に設ける必要がある。このため、既存構造体に対する加工作業が増加するので、施工の効率性が低下する可能性がある。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、施工に必要な既存構造体への加工を容易にすることができ、かつ軸部の既存構造体への埋め込み長さを短くすることができるあと施工アンカーおよび接合構造を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明に係るあと施工アンカーは、既存構造体と新構造体とを接合するためのあと施工アンカーであって、円柱状の軸部と、前記軸部に設けられ、前記軸部の径方向における最大長さが前記軸部の外径の3倍以上である突出部と、を備え、前記既存構造体と前記新構造体とが接合された状態において、前記突出部は、前記新構造体に埋まっており、前記突出部のうち前記既存構造体と前記新構造体との境界面に対向する境界側表面は、前記新構造体に接することを特徴とする。
これにより、既存構造体および新構造体にせん断力が生じた場合、突出部は、境界側表面と境界面との間にある新構造体を介して既存構造体の穴の周辺部分を押さえつける。これにより、既存構造体の押さえつけられた部分の強度および剛性が向上するコンファインド効果が生じる。コンファインド効果により既存構造体の穴の周辺部分が変形しにくくなる。これにより、本発明に係るあと施工アンカーの曲げ変形は抑制される。このため、本発明に係るあと施工アンカーは、軸部の埋め込み長さが短くても十分なせん断耐力を有する接合構造を形成することができる。また、本発明に係るあと施工アンカーは、少なくとも穴が設けられていれば既存構造体と締結されるので、既存構造体との締結のための切削加工が少なくなる。すなわち、本発明に係るあと施工アンカーは、施工に必要な既存構造体への加工を容易にすることができる。よって、本発明に係るあと施工アンカーは、施工に必要な既存構造体への加工を容易にすることができ、かつ軸部の既存構造体への埋め込み長さを短くすることができる。
また、コンファインド効果により既存構造体の穴の周辺部分が変形しにくくなるので、既存構造体と新構造体との相対的な変位が生じていない、または小さい時点であと施工アンカーがせん断力を負担することができる。すなわち、境界面における既存構造体と新構造体との付着強度が生じている状態で、あと施工アンカーがせん断力を負担することができる。このため、境界面における既存構造体と新構造体との付着強度と、あと施工アンカーのせん断耐力と、が合わさってせん断力に対抗することができる。したがって、本発明に係るあと施工アンカーは、特に、既存構造体と新構造体との相対的な変位が生じる初期の段階で大きなせん断耐力を備える接合構造を形成することができる。
本発明の望ましい態様として、前記突出部は、板状であり、前記既存構造体と前記新構造体とが接合された状態において、前記境界側表面は、前記境界面から5mm以上かつ前記軸部の外径の4倍の距離以下の位置にあることが好ましい。
これにより、突出部と既存構造体の表面との間に十分に新構造体が流れ込みやすくなる。そして、既存構造体に対するコンファインド効果がより生じやすくなり、あと施工アンカーの曲げ変形が抑制されやすくなる。
本発明の望ましい態様として、前記突出部は、外周が前記境界面に向かって漸減する傾斜部を備え、前記境界側表面の少なくとも一部は、前記傾斜部の表面であることが好ましい。
これにより、境界面から突出部までの軸方向の距離は、穴に近づくほど小さくなる。このため、既存構造体のうち穴に近い部分ほどコンファインド効果がより高められやすくなり、あと施工アンカーの曲げ変形が抑制されやすくなる。
本発明の望ましい態様として、前記突出部は、板状である第1の板状部と、前記第1の板状部よりも前記境界面側に設けられて前記第1の板状部の外周よりも短い外周を有する第2の板状部と、を備え、前記傾斜部は、前記第2の板状部よりも前記境界面側に配置されることが好ましい。
これにより、境界面から突出部までの軸方向の距離は、穴に近づくほど小さくなる。このため、既存構造体のうち穴に近い部分ほどコンファインド効果がより高められやすくなり、あと施工アンカーの曲げ変形が抑制されやすくなる。また仮に、突出部が第1の板状部および第2の板状部を備えずに傾斜部を備える場合、突出部が新構造体を押す際に、傾斜部の軸方向端部の周辺の新構造体に応力集中が生じる可能性がある。これに対して、突出部は第1の板状部および第2の板状部を備えるので、第1の板状部と第2の板状部との間に段差が生じる。このため、突出部が新構造体を押す際に応力集中が生じる可能性のある部分が増加する。よって、あと施工アンカーは、新構造体に生じる可能性のある応力集中を緩和することができる。
本発明の望ましい態様として、前記軸部の軸方向から見た前記突出部の形状が円形であることが好ましい。
これにより、あと施工アンカーを既存構造体に締結するとき、あと施工アンカーの軸方向廻りの位置決めが不要になる。このため、あと施工アンカーは、施工の効率性をより向上させることができる、すなわちより容易に施工することができる。
本発明の望ましい態様として、前記軸部の軸方向から見た前記突出部の形状が長方形であり、前記既存構造体と前記新構造体とが接合された状態において、前記長方形の長辺が前記境界面の長手方向に沿っていることが好ましい。
境界面の短手方向に沿って複数のあと施工アンカーを並べることができれば、あと施工アンカーの数が増加し接合構造のせん断耐力をより高くすることができる。しかし、境界面の短手方向の長さは、複数のあと施工アンカーを並べるために十分な長さではない可能性がある。そこで、軸方向から見た形状が長方形である突出部を備えるあと施工アンカーを用いると、突出部の最大長さが軸部の外径の3倍以上に保たれ、かつ短手方向での突出部の大きさが小さくなる。これにより、あと施工アンカーは、境界面の短手方向に複数並べられる可能性が高くなる。このため、あと施工アンカーは、接合構造のせん断耐力を高めやすくすることができる。
本発明に係る接合構造は、既存構造体と新構造体とに跨って配置される円柱状の軸部と、前記軸部に設けられ、前記軸部の径方向における最大長さが前記軸部の外径の3倍以上である突出部と、を備えるあと施工アンカーを用い、前記突出部は、前記新構造体に埋まっており、前記突出部のうち前記既存構造体と前記新構造体との境界面に対向する境界側表面は、前記新構造体に接することを特徴とする。
これにより、コンファインド効果により既存構造体の穴の周辺部分が変形しにくくなる。このため、本発明に係る接合構造に用いられるあと施工アンカーの曲げ変形は抑制される。このため、本発明に係る接合構造は、あと施工アンカーの軸部の埋め込み長さが短くても十分なせん断耐力を有することができる。また、本発明に係る接合構造は、少なくとも穴が設けられていればあと施工アンカーと既存構造体とが締結されるので、あと施工アンカーと既存構造体との締結のための切削加工が少なくなる。すなわち、本発明に係る接合構造は、施工に必要な既存構造体への加工を容易にすることができる。よって、本発明に係る接合構造は、施工に必要な既存構造体への加工を容易にすることができ、かつ軸部の既存構造体への埋め込み長さを短くすることができる。
また、コンファインド効果により既存構造体の穴の周辺部分が変形しにくくなるので、既存構造体と新構造体との相対的な変位が生じていない、または小さい時点であと施工アンカーがせん断力を負担することができる。すなわち、境界面における既存構造体と新構造体との付着強度が生じている状態で、あと施工アンカーがせん断力を負担することができる。このため、境界面における既存構造体と新構造体との付着強度と、あと施工アンカーのせん断耐力と、が合わさってせん断力に対抗することができる。したがって、本発明に係る接合構造は、特に、既存構造体と新構造体との相対的な変位が生じる初期の段階で大きなせん断耐力を備えることができる。
本発明によれば、施工に必要な既存構造体への加工を容易にすることができ、かつ軸部の既存構造体への埋め込み長さを短くすることができるあと施工アンカーおよび接合構造を提供することができる。
図1は、本実施形態に係るあと施工アンカーを用いて接合された既存構造体および新構造体を示す正面図である。 図2は、本実施形態に係るあと施工アンカーを示す側面図である。 図3は、本実施形態に係るあと施工アンカーを示す平面図である。 図4は、本実施形態に係るあと施工アンカーを挿入するための、既存構造体に設けられた穴を示す断面図である。 図5は、既存構造体に設けられた穴に本実施形態に係るあと施工アンカーを挿入した状態を示す断面図である。 図6は、本実施形態に係るあと施工アンカーによって既存構造体と新構造体とが接合された状態を示す断面図である。 図7は、比較例に係るあと施工アンカーによって既存構造体と新構造体とが接合された状態を示す断面図である。 図8は、変形例1に係るあと施工アンカーによって既存構造体と新構造体とが接合された状態を示す断面図である。 図9は、変形例1に係るあと施工アンカーを示す平面図である。 図10は、変形例2に係るあと施工アンカーによって既存構造体と新構造体とが接合された状態を示す断面図である。 図11は、変形例2に係るあと施工アンカーを示す平面図である。 図12は、変形例3に係るあと施工アンカーによって既存構造体と新構造体とが接合された状態を示す断面図である。 図13は、変形例3に係るあと施工アンカーを示す平面図である。 図14は、変形例3に係るあと施工アンカーを既存構造体に締結した状態を示す平面図である。 図15は、あと施工アンカーの性能を試験するための試験体を示す正面図である。 図16は、あと施工アンカーの性能を試験するための試験体を示す側面図である。 図17は、図15におけるA−A断面図である。 図18の表1は、各評価例の試験条件を示す。 図19の表2は、試験に用いた鋼材の材料特性を示す。 図20の表3は、試験に用いたコンクリートおよびモルタルの材料特性を示す図である。 図21は、各評価例について、試験体に加えられた荷重と試験体の変位との関係を示すグラフである。 図22は、各評価例について、試験体に加えられた荷重と試験体の変位との関係を示すグラフである。 図23の表4は、各評価例の試験結果を示す。 図24の表5は、参考情報として、各評価例の理論上のせん断耐力等を示す。
本発明を実施するための実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
(実施形態)
図1は、本実施形態に係るあと施工アンカーを用いて接合された既存構造体および新構造体を示す正面図である。既存の建物に対して耐震補強を行う場合、例えば図1に示すように、既存構造体1に補強部材4が取り付けられる。補強部材4は、既存構造体1との間に設けられる新構造体2によって、既存構造体1と一体になって固定される。例えば本実施形態において、既存構造体1はRC造またはSRC造であり、新構造体2は無収縮モルタルである。また補強部材4は、例えば鋼材で形成されている。
地震が発生すると、既存構造体1に加わる地震力が新構造体2を介して補強部材4に伝達する。そして、補強部材4の変形等により地震力が吸収される。ただし、既存構造体1に加わる地震力が補強部材4に伝達するまでに、既存構造体1と新構造体2との境界面および新構造体2と補強部材4との境界面にはせん断力が加わる可能性がある。このため、既存構造体1に加わった地震力を新構造体2に十分に伝達するために、本実施形態に係るあと施工アンカー3により既存構造体1と新構造体2とが接合されている。また、新構造体2に伝達した地震力を補強部材4に十分に伝達するために、例えばスタッドボルト42により新構造体2と補強部材4とが接合されている。
図2は、本実施形態に係るあと施工アンカーを示す側面図である。図3は、本実施形態に係るあと施工アンカーを示す平面図である。図2に示すように、本実施形態に係るあと施工アンカー3は、軸部31と、突出部32と、ナット33と、を備える。軸部31は、例えば外径d1を有する円柱状の部材であって、外周に雄ネジを有する。本実施形態において、外径d1は呼び径で20mmである。突出部32は、図2、3に示すように円板状の部材であって、平面視で中央部分に貫通孔321を有する。貫通孔321の内壁には雌ネジが形成されている。軸部31が貫通孔321を貫通しており、軸部31の雄ネジと貫通孔321の雌ネジとが嵌まり合っている。突出部32が軸部31に嵌められて位置決めされたのち、例えば溶接等を施すことによって突出部32が軸部31に締結される。軸部31の径方向における突出部32の最大長さl1(外径)は、例えば80mmである。ナット33は、軸部31の端部に嵌められ、例えば溶接等によって軸部31に締結されている。以下の説明において、軸部31の径方向は、単に径方向と記載される。
図4は、本実施形態に係るあと施工アンカーを挿入するための、既存構造体に設けられた穴を示す断面図である。既存構造体1にあと施工アンカー3を固定する際、まず、図4に示すように、ドリル等を用いて円柱状の穴11が既存構造体1に設けられる。そして、穴11には所定の量の接着剤5が充填される。例えば本実施形態における接着剤5は、ビニルエステル系樹脂である。穴11の内径d11は、あと施工アンカー3の軸部31の外径d1よりも大きい。これにより、穴11にあと施工アンカー3が挿入されると、軸部31と穴11の内壁との間に所定の隙間が生じる。また、穴11の深さh11は、あと施工アンカー3におけるナット33が設けられた端部とは反対側の端部から突出部32までの長さh1よりも短い。これにより、穴11にあと施工アンカー3が挿入されると、突出部32と既存構造体1の表面10との間には所定の隙間が生じる。また、既存構造体1の表面10には、細かく傷をつける加工(目荒し)が施される。
図5は、既存構造体に設けられた穴に本実施形態に係るあと施工アンカーを挿入した状態を示す断面図である。図4に示したように穴11に接着剤5が充填された後、あと施工アンカー3が穴11に挿入される。例えば、あと施工アンカー3は、ナット33が工具で把持された状態で回転させられながら穴11に挿入される。接着剤5は、軸部31に押しのけられて穴11の全体に拡散し、軸部31と穴11の内壁との隙間を埋める。その後、あと施工アンカー3は、接着剤5を硬化させるための所定時間に亘って養生される。これにより、あと施工アンカー3が既存構造体1に締結される。以上述べたように、あと施工アンカー3は、少なくとも穴11が設けられていれば既存構造体1と締結されるので、既存構造体1との締結のための切削加工が少なくなる。このため、あと施工アンカー3は容易に施工することができる。
図5に示すように、例えば本実施形態において、軸部31のうち既存構造体1に埋め込まれている長さである埋め込み長さh2は140mmである。軸部31のうち既存構造体1の表面10(後述する既存構造体1と新構造体2との境界面10)から突出する長さである突出長さh3は140mmである。表面10からナット33までの高さであるナット高さh4は120mmである。また、突出部32のうち表面10に対向する境界側表面32aは、表面10に平行である。表面10から境界側表面32aまでの高さである隙間高さh5は20mmである。また、突出部32は、軸部31の軸方向で境界側表面32aとは反対側に位置する他端側表面32bを有する。境界側表面32aから他端側表面32bまでの長さ、すなわち軸部31の軸方向における突出部32の厚みである軸方向長さh6は20mmである。以下の説明において、軸部31の軸方向は、単に軸方向と記載される。なお、埋め込み長さh2、突出長さh3、ナット高さh4、隙間高さh5および軸方向長さh6は、必ずしも上述した長さに限らず、あと施工アンカー3に求められる性能に応じて変更される。
図6は、本実施形態に係るあと施工アンカーによって既存構造体と新構造体とが接合された状態を示す断面図である。養生が完了し、あと施工アンカー3が既存構造体1に締結された後、既存構造体1に重ねて新構造体2が打設される。これにより、図6に示すように、あと施工アンカー3のうち既存構造体1の表面10から突出していた部分が新構造体2に埋め込まれる。すなわち、軸部31が既存構造体1と新構造体2に跨って配置されており、突出部32およびナット33が新構造体2に埋まっている状態となる。上述したように既存構造体1の表面は目荒しされているため、新構造体2が既存構造体1の表面10に付着する。このため、既存構造体1と新構造体2との境界面10において、一定の付着強度が生じる。
また、図5で示したように突出部32と既存構造体1の表面10とが隙間高さh5だけ離れているため、突出部32と既存構造体1の表面10との間にも新構造体2が流れ込む。隙間高さh5は、5mm以上かつ外径d1の4倍以下の長さであることが好ましい。隙間高さh5が5mm以上であれば、突出部32と既存構造体1の表面10との間に十分に新構造体2が流れ込みやすくなる。また、隙間高さh5が外径d1の4倍以下の長さであれば、後述するコンファインド効果が生じやすくなる。
図7は、比較例に係るあと施工アンカーによって既存構造体と新構造体とが接合された状態を示す断面図である。本実施形態に係るあと施工アンカー3に対して、比較例に係るあと施工アンカー9は、軸部91およびナット93を有しているが、あと施工アンカー3の突出部32に相当する部分を有していない。
比較例に係るあと施工アンカー9を用いた接合構造に対して、図7に示すように地震等によって既存構造体1および新構造体2にせん断力F1が生じた場合の作用は以下のように説明できる。すなわち、あと施工アンカー9のうち既存構造体1に埋まっている部分と新構造体2に埋まっている部分にはそれぞれ反対方向に向かう力が作用する。図7中においては、既存構造体1に埋まっている部分には左方向に向かう力が作用し、新構造体2に埋まっている部分には右方向に向かう力が作用する。このような状態になったとき、図7に示すように、既存構造体1の穴11の周辺部分のうち軸部91に押される押圧部分12には変形(ダボ変形)が生じやすい。押圧部分12に変形が生じると、軸部91に対する既存構造体1の拘束が緩くなるので、既存構造体1と新構造体2との相対的な変位に応じてあと施工アンカー9に曲げ変形が生じる。あと施工アンカー9が変形している間は、あと施工アンカー9が負担するせん断力が小さくなる。あと施工アンカー9の曲げ変形を抑制するためには、埋め込み長さh2を大きくする必要がある。比較例において、あと施工アンカー9の曲げ変形を十分に抑制するためには、例えば外径d1の20倍程度の埋め込み長さh2が必要となる可能性がある。
また、比較例においては、押圧部分12の変形が収まって軸部91に対する既存構造体1の拘束が強まった後で、あと施工アンカー9が負担するせん断力が増加する。しかし、押圧部分12の変形が収まった時点では既存構造体1と新構造体2との付着強度がなくなっている、または小さくなっている可能性がある。このため、比較例に係るあと施工アンカー9を用いた接合構造は、境界面10における既存構造体1と新構造体2との付着強度とあと施工アンカー9のせん断耐力とを合わせてせん断力F1に対抗することができない。よって、比較例に係るあと施工アンカー9を用いた接合構造は、既存構造体1と新構造体2との相対的な変位が生じる初期の段階で十分なせん断耐力を備えることができない可能性がある。
これに対して、本実施形態に係るあと施工アンカー3を用いた接合構造において、図6に示すように地震等によって既存構造体1および新構造体2にせん断力F1が生じた場合の作用は以下のように説明できる。すなわち、あと施工アンカー3のうち既存構造体1に埋まっている部分と新構造体2に埋まっている部分にはそれぞれ反対方向に向かう力が作用する。図6中においては、既存構造体1に埋まっている部分には左方向に向かう力が作用し、新構造体2に埋まっている部分には右方向に向かう力が作用する。このような状態になったとき、突出部32は、境界側表面32aと境界面10との間にある新構造体2を介して既存構造体1の穴11の周辺部分を力F2で押さえつける。これにより、既存構造体1の押さえつけられた部分の強度および剛性が向上する。このように、締め付けられたコンクリート等の強度および剛性が向上する現象は、コンファインド効果とも呼ばれる。
既存構造体1および新構造体2にせん断力が生じた場合でも、コンファインド効果により既存構造体1の穴11の周辺部分が変形しにくくなる。これにより、あと施工アンカー3の曲げ変形は上述した比較例に比べて抑制される。このため、あと施工アンカー3を用いた接合構造は、埋め込み長さh2が短くてもせん断耐力を高めることができる。あと施工アンカー3を用いた接合構造において、埋め込み長さh2は、例えば外径d1の3倍以上14倍以下であることが好ましい。これにより、あと施工アンカー3を用いた接合構造は、埋め込み長さh2を短くでき、かつ十分なせん断耐力を備えることができる。
また、コンファインド効果により既存構造体1の穴11の周辺部分が変形しにくくなるので、既存構造体1と新構造体2との相対的な変位が生じていない、または小さい時点であと施工アンカー3がせん断力を負担することができる。すなわち、境界面10における既存構造体1と新構造体2との付着強度が生じている状態で、あと施工アンカー3がせん断力を負担することができる。このため、境界面10における既存構造体1と新構造体2との付着強度と、あと施工アンカー3のせん断耐力と、が合わさってせん断力F1に対抗することができる。したがって、あと施工アンカー3を用いた接合構造は、特に、既存構造体1と新構造体2との相対的な変位が生じる初期の段階で大きなせん断耐力を備えることができる。
また、突出部32の最大長さl1は、外径d1の3倍以上である。これにより、コンファインド効果が及ぶ範囲が一定範囲以上に拡がり、既存構造体1のうちせん断力F1によって変形する可能性のある部分の強度および剛性が向上する。また、突出部32の最大長さl1は、外径d1の10倍以下であることが好ましい。これにより、突出部32と既存構造体1の表面10との間に十分に新構造体2が流れ込みやすくなる。
(変形例1)
図8は、変形例1に係るあと施工アンカーによって既存構造体と新構造体とが接合された状態を示す断面図である。図9は、変形例1に係るあと施工アンカーを示す平面図である。変形例1に係るあと施工アンカー3Aは、上述した実施形態における突出部32とは異なる形状の突出部34を備える点を特徴としている。なお、上述した実施形態で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
突出部34は、図8、9に示すように略円錐形状の部材であって、平面視で中央部分に貫通孔341を有する。貫通孔341の内壁には雌ネジが形成されている。軸部31が貫通孔341を貫通しており、軸部31の雄ネジと貫通孔341の雌ネジとが嵌まり合っている。突出部34が軸部31に嵌められて位置決めされたのち、例えば溶接等を施すことによって突出部34が軸部31に締結される。径方向における突出部34の最大長さl1は、例えば80mmである。
図8に示すように、突出部34は、円板状の板状部342と、円錐状の傾斜部343と、を備える。例えば、板状部342と傾斜部343とは一体に形成されており、傾斜部343が板状部342よりも境界面10側に配置されている。傾斜部343の外径は、板状部342側の端部で板状部342の外径l1に等しく、境界面10に向かって漸減している。このため、傾斜部343は、境界面10に対向する境界側表面34aを有する。傾斜部343のうち板状部342とは反対側の端部は、例えば、軸方向で境界面10と等しい位置に配置される。また、突出部34のうち境界面10とは反対側を向く他端側表面34bは、板状部342の表面であって境界面10に平行である。
図8に示すように、例えば変形例1において、埋め込み長さh2は140mmである。突出長さh3は140mmである。ナット高さh4は120mmである。境界面10から他端側表面34bまでの高さである突出部高さh7は40mmである。なお、埋め込み長さh2、突出長さh3、ナット高さh4および突出部高さh7は、必ずしも上述した長さに限らず、あと施工アンカー3Aに求められる性能に応じて変更される。
変形例1に係るあと施工アンカー3Aを用いた接合構造において、地震等によって既存構造体1および新構造体2にせん断力F1が生じた場合の作用は以下のように説明できる。すなわち、突出部34は、境界側表面34aと境界面10との間にある新構造体2を介して既存構造体1の穴11の周辺部分を力F2で押さえつける。また、変形例1においては、境界面10から突出部34までの軸方向の距離は、穴11に近づくほど小さくなっている。これにより、既存構造体1のうち穴11に近い部分であるほど、加えられる力F2が大きくなる。このため、上述した実施形態と比較して、既存構造体1のうち穴11に近い部分ほどコンファインド効果が高められやすくなり、あと施工アンカー3Aの曲げ変形が抑制されやすくなる。また、変形例1においては、軸部31のうち突出部34で覆われる範囲が、上述した実施形態における軸部31のうち突出部32で覆われる範囲よりも、境界面10側に向かって拡大する。さらに、傾斜部343のうち板状部342とは反対側の端部が軸方向で境界面10と等しい位置に配置されているので、軸部31のうち境界面10付近の部分も突出部34で覆われている。軸部31のうち突出部34で覆われる部分は、貫通孔341の内壁で拘束されているので変形しにくくなっている。これにより、あと施工アンカー3Aの曲げ変形がより抑制されやすくなる。
また、仮に上述した実施形態に係るあと施工アンカー3を用いた接合構造において、図5で示した隙間長さh5が単に小さくされた場合、境界面10と突出部32との間に十分に新構造体2が流れ込まない可能性がある。これに対して、変形例1に係るあと施工アンカー3Aを用いた接合構造においては、軸方向における境界面10から突出部34までの距離が、穴11から遠い位置では比較的大きく、穴11に近づくほど小さくなっている。このため、あと施工アンカー3Aを用いた接合構造においては、境界面10と突出部34との間に十分に新構造体2が流れ込むことができる。このため、あと施工アンカー3Aを用いた接合構造は、境界面10と突出部34との間に設けられる新構造体2が不十分であることによりコンファインド効果が弱まる可能性を抑制することができる。
なお、突出部34は、必ずしも板状部342を備えていなくてもよい。また、傾斜部343の外径は、板状部342側の端部で板状部342の外径l1に等しくなくてもよい。すなわち、板状部342と傾斜部343との境界で段差が形成されていてもよい。また、板状部342および傾斜部343を軸方向から見た形状は、必ずしも円形でなくてもよく、例えば楕円形または多角形であってもよい。板状部342および傾斜部343を軸方向から見た形状が円形でない場合、上述した板状部342および傾斜部343の大きさに関する説明は、「外径」を「軸方向廻りの外周」として同様に説明できる。また、傾斜部343のうち板状部342とは反対側の端部は、必ずしも軸方向で境界面10と等しい位置に配置されていなくてもよく、軸方向で境界面10からずれた位置に配置されていてもよい。
(変形例2)
図10は、変形例2に係るあと施工アンカーによって既存構造体と新構造体とが接合された状態を示す断面図である。図11は、変形例2に係るあと施工アンカーを示す平面図である。変形例2に係るあと施工アンカー3Bは、上述した実施形態における突出部32とは異なる形状の突出部35を備える点を特徴としている。なお、上述した実施形態で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
図10に示すように、突出部35は、平面視で中央部分に貫通孔351を有する。貫通孔351の内壁には雌ネジが形成されている。軸部31が貫通孔351を貫通しており、軸部31の雄ネジと貫通孔351の雌ネジとが嵌まり合っている。突出部35が軸部31に嵌められて位置決めされたのち、例えば溶接等を施すことによって突出部35が軸部31に締結される。径方向における突出部35の最大長さl1は、例えば80mmである。
図10に示すように、突出部35は、円板状である3つの板状部352、353、354と、円錐状の傾斜部355と、を備える。例えば、3つの板状部352、353、354と傾斜部355とは一体に形成されており、軸部31のナット33側から境界面10側に向かって板状部352、板状部353、板状部354、傾斜部355の順に配置されている。
板状部352、板状部353および板状部354は、図11に示すように、平面視でそれぞれの外縁が同心円となるように配置されている。板状部352の外径l1は、上述した突出部35の最大長さl1に等しい。径方向における板状部353の外径l2は、板状部352の外径l1よりも小さい。これにより、平面視で板状部352と板状部353とが重ならない部分が生じるので、板状部352は境界面10に対向する境界側表面352aを有する。板状部354の外径l3は、板状部353の外径l2よりも小さい。これにより、平面視で板状部353と板状部354とが重ならない部分が生じるので、板状部353は境界面10に対向する境界側表面353aを有する。傾斜部355の外径は、板状部354側の端部で板状部354の外径l3に等しく、境界面10に向かって漸減している。このため、傾斜部355は、境界面10に対向する境界側表面355aを有する。傾斜部355のうち板状部354とは反対側の端部は、例えば、軸方向で境界面10と等しい位置に配置される。また、突出部35のうち境界面10とは反対側を向く他端側表面35bは、板状部352の表面であって境界面10に平行である。以上に述べた板状部352、353、354および傾斜部355の配置により、突出部35の側面視での形状は略階段状になっている。
図10に示すように、例えば変形例2において、埋め込み長さh2は140mmである。突出長さh3は140mmである。ナット高さh4は120mmである。突出部高さh7は40mmである。なお、埋め込み長さh2、突出長さh3、ナット高さh4および突出部高さh7は、必ずしも上述した長さに限らず、あと施工アンカー3Bに求められる性能に応じて変更される。
変形例2に係るあと施工アンカー3Bを用いた接合構造において、地震等によって既存構造体1および新構造体2にせん断力F1が生じた場合の作用は以下のように説明できる。すなわち、突出部35は、境界側表面352a、353a、355aと境界面10との間にある新構造体2を介して既存構造体1の穴11の周辺部分を力F2で押さえつける。また、変形例2においては、軸方向における境界面10から突出部35までの距離は、穴11に近づくほど小さくなっている。これにより、既存構造体1のうち穴11に近い部分であるほど、加えられる力F2が大きくなる。このため、上述した実施形態と比較して、既存構造体1のうち穴11の周辺部分のコンファインド効果がより高められやすくなり、あと施工アンカー3Bの曲げ変形が抑制されやすくなる。また、変形例2においては、軸部31のうち突出部35で覆われる範囲が、上述した実施形態における軸部31のうち突出部32で覆われる範囲よりも、境界面10側に向かって拡大する。さらに、傾斜部355のうち板状部354とは反対側の端部が軸方向で境界面10と等しい位置に配置されているので、軸部31のうち境界面10付近の部分も突出部35で覆われている。軸部31のうち突出部35で覆われる部分は、貫通孔351の内壁で拘束されているので変形しにくくなっている。これにより、あと施工アンカー3Bの曲げ変形がより抑制されやすくなる。
また、仮に上述した実施形態に係るあと施工アンカー3を用いた接合構造において、図5で示した隙間長さh5が単に小さくされた場合、境界面10と突出部32との間に十分に新構造体2が流れ込まない可能性がある。これに対して、変形例2に係るあと施工アンカー3Bを用いた接合構造においては、軸方向における境界面10から突出部35までの距離が、穴11から遠い位置では比較的大きく、穴11に近づくほど小さくなっている。このため、あと施工アンカー3Bを用いた接合構造においては、境界面10と突出部35との間に十分に新構造体2が流れ込むことができる。このため、あと施工アンカー3Bを用いた接合構造は、境界面10と突出部35との間に設けられる新構造体2が不十分であることによりコンファインド効果が弱まる可能性を抑制することができる。
また仮に、突出部35が板状部352、353、354を備えずに傾斜部355を備える場合、突出部35が新構造体2を押す際に、傾斜部355の軸方向端部の周辺の新構造体2に応力集中が生じる可能性がある。これに対して、突出部35は板状部352、353、354を備えるので、板状部352、353、354のそれぞれの間に段差が生じる。このため、突出部35が新構造体2を押す際に応力集中が生じる可能性のある部分が増加する。よって、あと施工アンカー3Bを用いた接合構造は、新構造体2に生じる可能性のある応力集中を緩和することができる。
なお、突出部35は、必ずしも3つの板状部352、353、354を備えていなくてもよく、少なくとも2つの板状部を備えていればよい。また、傾斜部355の外径は、板状部354側の端部で板状部354の外径l3に等しくなくてもよい。すなわち、板状部354と傾斜部355との境界で段差が形成されていてもよい。また、板状部352、353、354および傾斜部355を軸方向から見た形状は、必ずしも円形でなくてもよく、例えば楕円形または多角形であってもよい。板状部352、353、354および傾斜部355を軸方向から見た形状が円形でない場合、上述した板状部352、353、354および傾斜部355の大きさに関する説明は、「外径」を「軸方向廻りの外周」として同様に説明できる。また、傾斜部355のうち板状部354とは反対側の端部は、必ずしも軸方向で境界面10と等しい位置に配置されていなくてもよく、軸方向で境界面10からずれた位置に配置されていてもよい。
(変形例3)
図12は、変形例3に係るあと施工アンカーによって既存構造体と新構造体とが接合された状態を示す断面図である。図13は、変形例3に係るあと施工アンカーを示す平面図である。変形例3に係るあと施工アンカー3Cは、上述した実施形態における突出部32とは異なる形状の突出部36を備える点を特徴としている。なお、上述した実施形態で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
図12、13に示すように、突出部36は、板状であって平面視で中央部分に貫通孔361を有する。貫通孔361の内壁には雌ネジが形成されている。軸部31が貫通孔361を貫通しており、軸部31の雄ネジと貫通孔361の雌ネジとが嵌まり合っている。突出部36が軸部31に嵌められて位置決めされたのち、例えば溶接等を施すことによって突出部36が軸部31に締結される。径方向における突出部36の最大長さl1は、例えば80mmである。また、突出部36のうち境界面10に対向する境界側表面36a、および境界側表面36aとは軸方向で反対側に位置する他端側表面36bは、境界面10に平行である。
図13に示すように、突出部36の平面視での形状は長方形である。平面視における突出部36の長辺362の長さl1は、上述した突出部36の最大長さl1に等しい。平面視における短辺363の長さl4は、長辺362の長さl1よりも短く、例えば50mmである。
図12に示すように、例えば変形例3において、埋め込み長さh2は140mmである。突出長さh3は140mmである。ナット高さh4は120mmである。隙間高さh5は20mmである。軸方向長さh6は20mmである。なお、埋め込み長さh2、突出長さh3、ナット高さh4、隙間高さh5および軸方向長さh6は、必ずしも上述した長さに限らず、あと施工アンカー3Cに求められる性能に応じて変更される。
変形例3に係るあと施工アンカー3Cを用いた接合構造において、図12に示すように地震等によって既存構造体1および新構造体2にせん断力F1が生じた場合の作用は、上述した実施形態と同様に説明することができる。
図14は、変形例3に係るあと施工アンカーを既存構造体に締結した状態を示す平面図である。図14に示すように、あと施工アンカー3Cは、長辺362が境界面10の長手方向Dlに沿うように配置されている。
境界面10の短手方向Dsに沿って複数のあと施工アンカーを並べることができれば、あと施工アンカーの数が増加し接合構造のせん断耐力をより高くすることができる。しかし、境界面10の短手方向Dsの長さは、複数のあと施工アンカーを並べるために十分な長さではない可能性がある。そこで、本実施形態の変形例3に係るあと施工アンカー3Cを用いると、突出部36の最大長さl1が外径d1の3倍以上に保たれ、かつ短手方向Dsでの突出部36の大きさが小さくなる。これにより、あと施工アンカー3Cは、境界面10の短手方向Dsに複数並べられる可能性が高くなる。このため、あと施工アンカー3Cを用いた接合構造を用いれば、せん断耐力を高めやすくなる。
なお、突出部36を軸方向から見た形状は必ずしも長方形でなくてもよく、長辺方向と短手方向とが異なる形状であればよい。例えば、突出部36を軸方向から見た形状は、楕円形であってもよいし、長方形以外の多角形であってもよい。
(試験体)
図15は、あと施工アンカーの性能を試験するための試験体を示す正面図である。図16は、あと施工アンカーの性能を試験するための試験体を示す側面図である。図17は、図15におけるA−A断面図である。図15〜17を用いて、あと施工アンカーの性能を試験するための試験体について説明する。以下においては、図15中の左右方向を幅方向とし、図15中の上下方向を高さ方向とし、図16中の左右方向を奥行き方向として説明する。
図15〜17に示すように、試験体8は、2つの既存構造体81と、新構造体82と、4つの相対変位計測装置84と、2つのあと施工アンカー3Tと、を備える。既存構造体81は、直方体状であって、粗骨材最大寸法が20mmのコンクリートで形成されている。既存構造体81において、高さL1は420mmであり、幅L21は200mmであり、奥行きL3は200mmである。また、図17に示すように、既存構造体81には、高さ方向に平行な主筋811が4本埋設されており、4つの主筋811を囲う帯筋812が高さ方向に100mm間隔で埋設されている。主筋811は、JIS(Japanese Industrial Standards)でD13と呼ばれる異形鉄筋である。帯筋812は、JIS規格でD10と呼ばれる異形鉄筋である。また、2つの既存構造体81は、幅方向に350mm離して配置されている。
新構造体82は、直方体状であって、無収縮モルタルで形成されている。新構造体82は、2つの既存構造体81の間に打設されている。試験体8においては、新構造体82と接する既存構造体81の表面には目荒しが設けられていない。このように目荒しが設けられていなくとも、既存構造体81と新構造体82との間には一定の付着強度が生じている。新構造体82において、高さL15は380mmであり、幅L22は350mmであり、奥行きL3は200mmである。このため、2つの既存構造体81および新構造体82を合わせた幅L2は750mmである。図15に示すように、既存構造体81の上端と新構造体82の上端とが揃っているが、既存構造体81の下端と新構造体82の下端とは高さL14だけずれている。高さL14は、高さL1と高さL15との差の40mmである。また、図17に示すように、新構造体82には、高さ方向に平行な主筋821が6本埋設されており、6つの主筋821を囲う帯筋822が高さ方向に100mm間隔で埋設されている。主筋821は、JISでD13と呼ばれる異形鉄筋である。帯筋822は、JISでD10と呼ばれる異形鉄筋である。
相対変位計測装置84は、既存構造体81と新構造体82とに跨って配置されており、既存構造体81に対する新構造体82の相対的な変位を計測することができる。図17に示すように、相対変位計測装置84は、1つの境界面80に対して2つ設けられおり、この2つの相対変位計測装置84は、奥行き方向で互いに反対側に配置されている。
図15、17に示すように、あと施工アンカー3Tは、既存構造体81と新構造体82に跨って埋設されている。あと施工アンカー3Tは、図15、16に示すように既存構造体81の下端から高さL11の位置で幅方向に平行に配置されている。高さL11は、210mmである。また、あと施工アンカー3Tは、図16、17に示すように、既存構造体81の奥行き方向に対して直交する表面から奥行きL31の位置に配置されている。奥行きL31は100mmである。1つの試験体8に埋設されている2つのあと施工アンカー3Tは、互いに同じあと施工アンカーである。2つのあと施工アンカー3Tは、2つの境界面80のうちそれぞれ異なる境界面80に跨っており、正面視で、新構造体82の幅方向の中心線に対して線対称に配置されている。これにより、新構造体82と一方の既存構造体81とが1つのあと施工アンカー3Tにより所定の条件で接合されており、新構造体82と他方の既存構造体81とが1つのあと施工アンカー3Tにより同様の条件で接合されている。
(評価例)
図18の表1は、各評価例の試験条件を示す。図19の表2は、試験に用いた鋼材の材料特性を示す。図20の表3は、試験に用いたコンクリートおよびモルタルの材料特性を示す図である。あと施工アンカー3Tの形状、およびあと施工アンカー3Tの周辺の寸法は、評価例T1〜T8間で互いに異なっている。図18、19中に記載される、d1、l1、h2、h3、h4、h6およびh7は、上述した実施形態および変形例において説明した外径d1、最大長さl1、埋め込み長さh2、突出長さh3、ナット高さh4、軸方向長さh6および突出部高さh7を意味している。
(評価例T1)
評価例T1に係るあと施工アンカー3Tは、上述した比較例として図7で示したように、突出部を有さないあと施工アンカーである。評価例T1に係るあと施工アンカー3Tにおいて、外径d1は19mmであり、埋め込み長さh2は外径d1の4倍の76mmである。評価例T1に係るあと施工アンカー3Tの軸部の材質は、JISでSD345と呼ばれる異形棒鋼である。
(評価例T2)
評価例T2に係るあと施工アンカー3Tは、上述した比較例として図7で示したように、突出部を有さないあと施工アンカーである。評価例T2に係るあと施工アンカー3Tにおいて、外径d1は20mmであり、埋め込み長さh2は外径d1の7倍の140mmである。評価例T2に係るあと施工アンカー3Tの軸部の材質は、JISでSNR490Bと呼ばれる棒鋼である。
(評価例T3)
評価例T3に係るあと施工アンカー3Tは、上述した実施形態として図5等で示したように、突出部32を有するあと施工アンカーである。評価例T3に係るあと施工アンカー3Tにおいて、外径d1は20mmであり、埋め込み長さh2は外径d1の7倍の140mmである。評価例T3に係るあと施工アンカー3Tの軸部の材質は、JISでSNR490Bと呼ばれる棒鋼である。
(評価例T4)
評価例T4に係るあと施工アンカー3Tは、上述した実施形態の変形例2として図10で示したように、階段状の突出部35を有するあと施工アンカーである。評価例T4に係るあと施工アンカー3Tにおいて、外径d1は20mmであり、埋め込み長さh2は外径d1の7倍の140mmである。評価例T4に係るあと施工アンカー3Tの軸部の材質は、JISでSNR490Bと呼ばれる棒鋼である。
(評価例T5)
評価例T5に係るあと施工アンカー3Tは、上述した実施形態の変形例2として図10で示したように、階段状の突出部35を有するあと施工アンカーである。評価例T5に係るあと施工アンカー3Tにおいて、外径d1は20mmであり、埋め込み長さh2は外径d1の4倍の80mmである。評価例T5に係るあと施工アンカー3Tの軸部の材質は、JISでSNR490Bと呼ばれる棒鋼である。
(評価例T6)
評価例T6に係るあと施工アンカー3Tは、上述した実施形態の変形例2として図10で示したように、階段状の突出部35を有するあと施工アンカーである。評価例T6に係るあと施工アンカー3Tにおいて、外径d1は30mmであり、埋め込み長さh2は外径d1の3倍の90mmである。評価例T6に係るあと施工アンカー3Tの軸部の材質は、JISでSNR490Bと呼ばれる棒鋼である。
(評価例T7)
評価例T7に係るあと施工アンカー3Tは、上述した実施形態の変形例2として図10で示したように、階段状の突出部35を有するあと施工アンカーである。評価例T7に係るあと施工アンカー3Tにおいて、外径d1は20mmであり、埋め込み長さh2は外径d1の7倍の140mmである。評価例T7に係るあと施工アンカー3Tの軸部の材質は、JISでSNB7と呼ばれる高温用合金鋼ボルト材である。
(評価例T8)
評価例T8に係るあと施工アンカー3Tは、上述した実施形態の変形例2として図10で示したように、階段状の突出部35を有するあと施工アンカーである。評価例T8に係るあと施工アンカー3Tにおいて、外径d1は30mmであり、埋め込み長さh2は外径d1の3倍の90mmである。評価例T8に係るあと施工アンカー3Tの軸部の材質は、JISでSNB7と呼ばれる高温用合金鋼ボルト材である。
(試験方法)
試験体8に対する試験は、図15に示すように新構造体82の上面に載せられた厚さ30mmの鋼板83に対して荷重Pが加えられることで開始する。これにより、境界面80にせん断力が生じる。また、既存構造体81の下端と新構造体82の下端とが高さ方向にずれているので、荷重Pが加えられた新構造体82は下方向に移動することができる。既存構造体81に対する新構造体82の相対変位は、4つの相対変位計測装置84の計測値の平均値を用いる。荷重Pは、既存構造体81に対する新構造体82の相対変位が0.2mm程度になった時点で一旦除かれた後、新構造体82に再び加えられる。その後、荷重Pは、既存構造体81に対する新構造体82の相対変位が2mm程度になった時点で再び除かれる。そして最終的に、荷重Pは、既存構造体81に対する新構造体82の相対変位が40mm程度になるまで新構造体82に加えられる。
(試験結果)
図21は、各評価例について、試験体に加えられた荷重と試験体の変位との関係を示すグラフである。図21は、埋め込み長さh2が外径d1の7倍に設定された評価例T2、T3、T4、T7について、試験体に加えられた荷重と試験体の変位との関係を示している。図22は、各評価例について、試験体に加えられた荷重と試験体の変位との関係を示すグラフである。図22は、埋め込み長さh2が外径d1の3倍または4倍に設定された評価例T1、T5、T6、T8について、試験体に加えられた荷重と試験体の変位との関係を示している。図21、22において、縦軸は荷重Pの大きさを示し、横軸は4つの相対変位計測装置84の計測値の平均値を示している。図23の表4は、各評価例の試験結果を示す。図24の表5は、参考情報として、各評価例の理論上のせん断耐力等を示す。図24で示されるQa1、Qa2、Qaの値は、上述した非特許文献1で示される(数1)、(数2)および(数3)によって算出された値である。(数1)中のσyは図19で示した降伏応力度σyであり、(数1)中のAeは図18で示した有効断面積Aeである。(数2)中のEcは図20で示した平均静弾性係数Ecであり、(数2)中のσBは図20で示した平均圧縮強度σBであり、(数2)中のAeは図18で示した有効断面積Aeである。なお、図24において、埋め込み長さh2が(数1)、(数2)および(数3)の適用範囲外である評価例T1、T5、T6、T8に関する値は、括弧付きで示されている。
Figure 0006418824
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図21に示すように、既存構造体81と新構造体82との相対変位が一定値に達したときの荷重Pは、評価例T2よりも評価例T3、T4、T7の方が高い。すなわち評価例T3、T4、T7のせん断耐力は、評価例T2と比較して高い。ここで、評価例T3、T4、T7に係るあと施工アンカー3Tが板状または階段状の突出部を備えている一方で、評価例T2に係るあと施工アンカー3Tは突出部を備えていない。これにより、評価例T3、T4、T7における板状または階段状の突出部に起因するコンファインド効果により、せん断耐力が向上していることが確認できる。
図22に示すように、既存構造体81と新構造体82との相対変位が一定値に達したときの荷重Pは、評価例T1よりも評価例T5、T6、T8の方が高い。すなわち評価例T5、T6、T8のせん断耐力は、評価例T1と比較して高い。ここで、評価例T5、T6、T8に係るあと施工アンカー3Tが階段状の突出部を備えている一方で、評価例T1に係るあと施工アンカー3Tは突出部を備えていない。これにより、評価例T5、T6、T8における階段状の突出部に起因するコンファインド効果により、せん断耐力が向上していることが確認できる。
特に、評価例T3〜T8は、既存構造体81と新構造体82との相対変位が生じる初期の段階で最大のせん断耐力を発揮している。これにより、評価例T3〜T8においては、既存構造体81と新構造体82との付着強度と、あと施工アンカー3Tのせん断耐力と、が合わさってせん断力に対抗できることが確認できる。一方、評価例T1、T2は、既存構造体81と新構造体82との相対変位が2mm程度になってから最大のせん断耐力を発揮している。これにより、評価例T1、T2においては、既存構造体81の穴の周辺部分のうちあと施工アンカー3Tに押される部分には変形(ダボ変形)が生じやすいことが確認できる。
また、図22に示すように、評価例T1においては、既存構造体81と新構造体82との相対変位が大きくなるにつれて、せん断耐力の低下が顕著になっている。これに対して、評価例T5、T6、T8は、既存構造体81と新構造体82との相対変位の増加に伴うせん断耐力の低下が抑制されている。これにより、評価例T5、T6、T8においては、埋め込み長さh2が外径d1の3倍以上あれば、一定以上のせん断耐力が発揮される可能性が高いことが確認できる。
以上で述べたように、本実施形態に係るあと施工アンカー3は、既存構造体1と新構造体2とを接合するためのあと施工アンカーである。あと施工アンカー3は、円柱状の軸部31と、突出部32と、を備える。突出部32は、軸部31に設けられ、軸部31の径方向における最大長さl1が軸部31の外径d1の3倍以上である。既存構造体1と新構造体2とが接合された状態において、突出部32は、新構造体に埋まっており、突出部32のうち既存構造体1と新構造体2との境界面10に対向する境界側表面32aは、新構造体2に接する。
これにより、既存構造体1および新構造体2にせん断力が生じた場合、突出部32は、境界側表面32aと境界面10との間にある新構造体2を介して既存構造体1の穴11の周辺部分を押さえつける。これにより、既存構造体1の押さえつけられた部分の強度および剛性が向上するコンファインド効果が生じる。コンファインド効果により既存構造体1の穴11の周辺部分が変形しにくくなる。これにより、あと施工アンカー3の曲げ変形が抑制される。このため、あと施工アンカー3を用いた接合構造は、埋め込み長さh2が短くても十分なせん断耐力を有することができる。また、あと施工アンカー3は、少なくとも穴11が設けられていれば既存構造体1と締結されるので、既存構造体1との締結のための切削加工が少なくなる。すなわち、あと施工アンカー3は、施工に必要な既存構造体1への加工を容易にすることができる。よって、あと施工アンカー3またはあと施工アンカー3を用いた接合構造は、施工に必要な既存構造体1への加工を容易にすることができ、かつ軸部31の既存構造体1への埋め込み長さh2を短くすることができる。
また、コンファインド効果により既存構造体1の穴11の周辺部分が変形しにくくなるので、既存構造体1と新構造体2との相対的な変位が生じていない、または小さい時点であと施工アンカー3がせん断力を負担することができる。すなわち、境界面10における既存構造体1と新構造体2との付着強度が生じている状態で、あと施工アンカー3がせん断力を負担することができる。このため、境界面10における既存構造体1と新構造体2との付着強度と、あと施工アンカー3のせん断耐力と、が合わさってせん断力F1に対抗することができる。したがって、あと施工アンカー3を用いた接合構造は、特に、既存構造体1と新構造体2との相対的な変位が生じる初期の段階で大きなせん断耐力を備えることができる。
また、本実施形態に係るあと施工アンカー3において、突出部32は、板状である。既存構造体1と新構造体2とが接合された状態において、境界側表面32aは、境界面10から5mm以上かつ軸部31の外径d1の4倍の距離以下の位置にある。
これにより、突出部32と既存構造体1の表面10との間に十分に新構造体2が流れ込みやすくなる。そして、既存構造体1に対するコンファインド効果がより生じやすくなり、あと施工アンカー3の曲げ変形が抑制されやすくなる。
また、本実施形態の変形例1に係る突出部34は、外周が境界面10に向かって漸減する傾斜部343を備える。また、境界側表面34aの少なくとも一部は、傾斜部343の表面である。
これにより、境界面10から突出部34までの軸方向の距離は、穴11に近づくほど小さくなる。このため、既存構造体1のうち穴11に近い部分ほどコンファインド効果がより高められやすくなり、あと施工アンカー3Aの曲げ変形が抑制されやすくなる。
また、本実施形態の変形例2に係る突出部35は、板状である板状部352(第1の板状部)と、板状部352よりも境界面10側に設けられて板状部352の外径l1よりも短い外径l2を有する板状部353(第2の板状部)と、を備える。また、本実施形態の変形例2に係る突出部35は、板状である板状部353(第1の板状部)と、板状部353よりも境界面10側に設けられて板状部353の外径l2よりも短い外径l3を有する板状部354(第2の板状部)と、を備える。傾斜部355は、第2の板状部353よりも境界面10側に配置される。
これにより、境界面10から突出部35までの軸方向の距離は、穴11に近づくほど小さくなる。このため、既存構造体1のうち穴11に近い部分ほどコンファインド効果がより高められやすくなり、あと施工アンカー3Bの曲げ変形が抑制されやすくなる。また仮に、突出部35が板状部352、353、354を備えずに傾斜部355を備える場合、突出部35が新構造体2を押す際に、傾斜部355の軸方向端部の周辺の新構造体2に応力集中が生じる可能性がある。これに対して、突出部35は板状部352、353、354を備えるので、板状部352、353、354のそれぞれの間に段差が生じる。このため、突出部35が新構造体2を押す際に応力集中が生じる可能性のある部分が増加する。よって、あと施工アンカー3Bまたはあと施工アンカー3Bを用いた接合構造は、新構造体2に生じる可能性のある応力集中を緩和することができる。
また本実施形態、変形例1または変形例2において、軸方向から見た突出部32、34、35の形状が円形である。
これにより、あと施工アンカー3、3A、3Bを既存構造体1に締結するとき、あと施工アンカー3、3A、3Bの軸方向廻りの位置決めが不要になる。このため、あと施工アンカー3、3A、3Bまたはあと施工アンカー3、3A、3Bを用いた接合構造は、施工の効率性をより向上させることができる、すなわちより容易に施工することができる。
また、本実施形態の変形例3において、軸方向から見た突出部36の形状が長方形であり、既存構造体1と新構造体2とが接合された状態において、長方形の長辺362が境界面10の長手方向Dlに沿っている。
境界面10の短手方向Dsに沿って複数のあと施工アンカーを並べることができれば、あと施工アンカーの数が増加し接合構造のせん断耐力をより高くすることができる。しかし、境界面10の短手方向Dsの長さは、複数のあと施工アンカーを並べるために十分な長さではない可能性がある。そこで、本実施形態の変形例3に係るあと施工アンカー3Cを用いると、突出部36の最大長さl1が外径d1の3倍以上に保たれ、かつ短手方向Dsでの突出部36の大きさが小さくなる。これにより、あと施工アンカー3Cは、境界面10の短手方向Dsに複数並べられる可能性が高くなる。このため、あと施工アンカー3Cを用いた接合構造を用いれば、せん断耐力を高めやすくなる。
なお、図1で示した補強部材4は、例えば摩擦ダンパー等の制震装置を備えていてもよい。補強部材4が制震装置を備えている場合、補強部材4はより大きな地震力を吸収することができる。また、補強部材4には必ずしもスタッドボルト42が設けられていなくてもよい。
なお、実施形態および変形例で示したあと施工アンカーの既存構造体1への固定方式は、必ずしも既存構造体1の穴11に直接注入された接着剤5によって固定される、いわゆる注入方式でなくてもよい。例えば、あと施工アンカーの既存構造体1への固定方式は、穴11に挿入されたカプセルを打撃等によって破壊して固定する、いわゆるカプセル方式であってもよい。
なお、実施形態および変形例で示したあと施工アンカーは、必ずしも軸部31の外周に雄ネジを有していなくてもよい。例えば、実施形態および変形例で示したあと施工アンカーの軸部31は、異形鉄筋等であってもよい。
1 既存構造体
10 境界面
11 穴
2 新構造体
3、3A、3B、3C、3T あと施工アンカー
31 軸部
32 突出部
321 貫通孔
32a 境界側表面
32b 他端側表面
33 ナット
34 突出部
341 貫通孔
342 板状部
343 傾斜部
34a 境界側表面
34b 他端側表面
35 突出部
351 貫通孔
352、353、354 板状部
355 傾斜部
352a、353a、355a 境界側表面
35b 他端側表面
36 突出部
361 貫通孔
362 長辺
363 短辺
4 補強部材
42 スタッドボルト
5 接着剤
8 試験体
80 境界面
81 既存構造体
82 新構造体
83 鋼板
84 相対変位計測装置
9 あと施工アンカー
91 軸部
93 ナット
d1 外径
h2 埋め込み長さ
h3 突出長さ
h4 ナット高さ
h5 隙間長さ
h6 軸方向長さ
h7 突出部高さ
l1 最大長さ

Claims (2)

  1. 既存構造体と新構造体とに跨って配置される円柱状の軸部と、
    前記軸部に設けられ、前記軸部の径方向における最大長さが前記軸部の外径の3倍以上である突出部と、を備えるあと施工アンカーを用い、
    前記突出部は、前記新構造体に埋まっており、前記突出部のうち前記既存構造体と前記新構造体との境界面に対向する境界側表面は、前記新構造体に接し、
    前記軸部の軸方向から見た前記突出部の形状が長方形であり、
    前記長方形の長辺が前記境界面の長手方向に沿っていることを特徴とする接合構造。
  2. 既存構造体と新構造体とに跨って配置される円柱状の軸部と、
    前記軸部に設けられ、前記軸部の径方向における最大長さが前記軸部の外径の3倍以上である突出部と、を備えるあと施工アンカーを用い、
    前記突出部は、前記新構造体に埋まっており、前記突出部のうち前記既存構造体と前記新構造体との境界面に対向する境界側表面は、前記新構造体に接し、
    前記突出部は、外周が前記境界面に向かって漸減する傾斜部を備え、
    前記境界側表面の少なくとも一部は、前記傾斜部の表面であり、
    前記傾斜部の前記境界面側の端部は、前記軸部の軸方向で前記境界面と等しい位置に配置される
    ことを特徴とする接合構造。
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