JP2019214821A - 既設壁高欄の部分更新工法 - Google Patents
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Abstract
【課題】急速施工可能な既設壁高欄の部分更新工法の提供。【解決手段】(1)設壁高欄1の橋軸方向の一定区間Aを鉛直方向と橋軸方向に複数に切断しなから撤去する。(2)壁高欄1の鉛直切断面1aにアンカー鉄筋定着用孔を削孔する。(3)鉛直切断面1aに接合リブ4aを有する接合治具を取り付ける。(4)壁高欄1と隣接する区間A1にプレキャスト壁高欄3Aを設置し、プレキャスト壁高欄3Aの凹溝5に接合リブ4aに係合する。(5)プレキャスト壁高欄3Aを設置した区間A1に隣接する区間A2に橋軸方向の一方の鉛直端面に凹溝5、他方の鉛直端面に接合リブ7aをそれぞれ有する複数のプレキャスト壁高欄3Bを橋軸方向に互いに隣接させて設置し、隣接する各凹溝5と接合リブ7aを互いに係合する。(6)各凹溝5内に超速硬高流動性無収縮モルタルを充填する。【選択図】図8
Description
本発明は、高速道路などの道路橋の既設壁高欄を経年劣化や損傷などで、部分的改修を必要とする場合に実施される既設壁高欄の部分更新工法に関し、急速かつ安全に改修工事を実施できるようにした工法である。
近年、高速道路などの道路橋の壁高欄は、経年劣化が顕在化してきており、その早期改修が求められている。また、車両事故などで部分的に損傷することもあり、その場合には急速な早期復旧が求められる。
しかし、首都高速道路などの都市部の高速道路は、昼夜多くの車両が高速で走行しているため、極力短時間のうちに行う必要がある。また、数週間ないし数か月にわたって継続的に行う場合でも、早期に壁高欄を設置して交通の安全を確保する必要がある。
ところで、高速道路などの道路橋の既設壁高欄の改修工事では、安定した品質、強度、耐久性の向上、現場施工の省力化、工期短縮、さらには施工環境の改善(騒音の低下等)等が望まれるところであり、このため、JIS工場で製作されるプレキャストコンクリート構造の壁高欄(以下、「プレキャスト壁高欄」という。)の開発が進んでいる。
例えば、特許文献1には、既設の鉄筋コンクリート製の壁高欄(以下、「既設壁高欄」という。)を撤去して新規のプレキャスト壁高欄に取り換える橋梁壁高欄の接合方法の発明が開示されている。説明すると、既設壁高欄を床版上面よりやや上の位置で切断して撤去した後、切断部のコンクリートをウォータージェット等で除去してコンクリート内の鉄筋を露出させて壁高欄基部の継手筋とする。
次に、既設壁高欄を撤去した位置に新規のプレキャスト壁高欄を床版部より浮かせた状態に仮置きし、かつ床版部とプレキャスト壁高欄との取り合い部にモルタル充填空間を形成する。
また、プレキャスト壁高欄を仮置きすると同時に、プレキャスト壁高欄の下端部よりモルタル充填空間内に配筋された複数のループ筋と前記継手筋とを橋軸方向に互いにラップさせる。そして、前記モルタル充填空間内に必要な補強筋を追加配筋した後、無収縮モルタルを充填してプレキャスト壁高欄を床版部と一体化させる。
さらに、橋軸方向に隣接する各プレキャスト壁高欄の一方のプレキャスト壁高欄の端面に突設した継手金物を、他方のプレキャスト壁高欄の端面に形成した継手溝に挿入すると共に、前記継手溝に無収縮モルタルを充填することにより、橋軸方向に隣接する各プレキャスト壁高欄どうしを一体的に接合する。
しかし、特許文献1に開示された橋梁壁高欄の接合方法は、既設壁高欄を撤去した後に設置されるプレキャスト壁高欄と床版部とを接合する方法およびプレキャスト壁高欄どうしを接合する方法の発明である。
このため、特に既設壁高欄の部分的改修および中断を挟んだ改修工事における安全対策がないため、別途安全対策を講じる必要があった。
本発明は以上の課題を解決するためになされたもので、高速道路などの道路橋の既設壁高欄の改修を急速かつ安全に実施できるようにした既設壁高欄の部分更新工法を提供することを目的とするものである。
本発明は、道路橋の床版部に設置された既設壁高欄の一定区間を複数のプレキャスト壁高欄と交換して既設壁高欄の部分改修を行う既設壁高欄の部分更新工法の発明であり、新規のプレキャスト壁高欄を使用することにより、既設壁高欄の改修を急速かつ安全に実施することができ、また途中、工事を中断する場合でも、工事中断中の交通の安全を確保できるようにしたものであり、以下の工程からなることを特徴とする。
(1)前記既設壁高欄の橋軸方向の一定区間の両端部を鉛直方向に切断すると共に、床版上面部を橋軸方向に水平に切断して撤去する工程。
既設壁高欄の撤去は、たとえば、ワイヤーソーマシン等のカッターによって改修区間を、鉛直方向と床版上面部を橋軸方向に取り扱い容易な大きさに切断して順次撤去すればよい。
また、一工期の撤去区間は、設置されるプレキャスト壁高欄の一個当たりの橋軸方向の長さや作業効率などを参酌して決定すればよい。
(2)前記既設壁高欄を撤去した区間の一方の既設壁高欄の鉛直切断面にアンカー鉄筋定着用孔を削孔する工程。
アンカー鉄筋定着用孔の口径、深さ、さらに数量、間隔などは設計に基づいて決定すればよい。
(3)前記既設壁高欄の鉛直切断面に、孔あき鋼板ジベルからなる接合リブと固定フランジとからなる平面視T形状の接合治具を、前記アンカー鉄筋定着用孔に接着材によって定着される複数のアンカー鉄筋によって取り付ける工程。
接合治具の取付けには、例えば、現場施工の容易なケミカルアンカー等を使用することができ、また、アンカー鉄筋には異形鉄筋(D16等)、接着材にはエポキシ樹脂等の従来製品も使用することができる。また、接合冶具の接合リブと固定フランジは予め平面視T形状に溶接し、アンカー鉄筋は固定フランジに予め溶接しておくことで、施工時に部品数が少なく接合冶具の取付けを効率的に行うことができる(図3参照)。
(4)前記既設壁高欄の鉛直切断面と隣接する位置に、当該鉛直切断面側の鉛直端面に凹溝を備えたプレキャスト壁高欄を設置すると共に、前記凹溝を前記接合治具の接合リブと係合させる工程。
ここで設置するプレキャスト壁高欄は、後述する実施形態では、両方の鉛直端面に凹溝を備えたプレキャスト壁高欄である(図1、図8(a)参照)。
(5)前記既設壁高欄の鉛直切断面に隣接して設置したプレキャスト壁高欄の設置区間を除く区間に、橋軸方向の一端側の鉛直端面に凹溝、他端側の鉛直端面に接合リブをそれぞれ備えた複数のプレキャスト壁高欄を橋軸方向に互いに隣接させて設置し、かつ隣接する凹溝と接合リブどうしを互いに係合させる工程(図1参照)。
各プレキャスト壁高欄の鉛直端面に突設された接合リブは、孔あき鋼板ジベルから形成され、その基端側に固定フランジが平面視T形状に溶接され、かつ当該固定フランジに複数のアンカー鉄筋が溶接されている(図4,5参照)。
また、接合リブはプレキャスト壁高欄の成形時に、固定フランジとアンカー鉄筋をコンクリート内に埋設して取り付け、また、凹溝もプレキャスト壁高欄の成形時に形成しておくことで、現場施工の大幅な省力化を図ることができる。
プレキャスト壁高欄はクレーン等で吊り、凹溝に接合リブを挿入し、床版部の上に落とし込むようにして設置することで、複数のプレキャスト壁高欄を既設壁高欄の撤去区間にきわめて効率的にかつ安全に設置することができる(図8参照)。
(6)前記凹溝内に超速硬高流動性無収縮モルタルを充填する工程。
超速硬高流動性無収縮モルタルとしては、例えば、ハイパフォーマンスモルタルやベースタイトグラウトQ-EX(秩父コンクリート工業株式会社製造)などが適している。特に、ハイパフォーマンスモルタルは、超速硬セメントをベースに各種混和剤をプレミックスした、超速硬高流動性無収縮モルタルであり、短時間で所定の強度が得られ、また、可使時間も十分確保でき、さらに充填性が高く、かつ流動性などにも優れている。
また、既設壁高欄の改修工事を一工期の区間で一時的に中断し、次の区間は翌日の夜間帯またはそれ以降に再開する場合は、最後尾のプレキャスト壁高欄と既設壁高欄間の接合は、接合治具を使用せず仮固定用治具で仮接合することで(図6参照)、工事中断中における交通の安全を図ることができ、また、仮固定用冶具を撤去して既設壁高欄の改修工事を速やかに再開することができる。
仮固定用治具としては、取付けおよび取外しが簡単で、かつ既設壁高欄とプレキャスト壁高欄とを強固に仮接合できるものであればよく、例えば、既設壁高欄およびプレキャスト壁高欄の高さおよび厚さとほぼ同等の内法高と内法幅を有する断面略溝形状に形成され、かつ既設壁高欄とプレキャスト壁高欄に仮固定ボルトで脱着可能に固定できるものであればよい(図6参照)。
また、プレキャスト壁高欄および既設壁高欄の高さおよび厚さ、並びにプレキャスト壁高欄および既設壁高欄の側部に当接する側板部については、プレキャスト壁高欄と既設壁高欄の高さおよび厚さが異なる場合があるため、その状況に応じて段差を設ける等して仮固定用治具を設計すればよい。
なお、床版部の上に落とし込んだ各プレキャスト壁高欄と床版部との接合は、たとえば、各プレキャスト壁高欄の下端部と床版部との間に継手空間を設け、当該継手空間に各プレキャスト壁高欄の下端部と床版部の上面より複数のループ筋と継ぎ鉄筋をそれぞれ配筋し、かつ超速硬高流動性無収縮モルタルを充填する等の方法により接合することができる。
本発明によれば、経年劣化や車両事故などで損傷した既設壁高欄の一定区間を、プレキャスト壁高欄と交換することにより急速かつ安全に改修することができる。
また、改修工事を一時的に中断し、その後再開する場合でも、既設壁高欄の端部とプレキャスト壁高欄とを仮固定用治具で仮接合することで、工事中断中における交通の安全を図ることができ、また、仮固定用治具を撤去して既設壁高欄の改修工事を速やかに再開することができる。
図1〜図6は、橋軸方向の一定区間が複数のプレキャスト壁高欄によって改修された道路橋の壁高欄の一部を図示したものであり、既設壁高欄1の一部が切断撤去された区間Aの床版部2の上にプレキャスト壁高欄3Aと複数のプレキャスト壁高欄3Bが橋軸方向に互いに隣接して設置され、かつ橋軸方向に互いに接合されている。
なお、区間A内に設置されるプレキャスト壁高欄3Aおよび3Bの橋軸方向の長さは、すべて同じである必要はない。
プレキャスト壁高欄3Aは、区間Aのうちの一端側の区間A1内に設置され、複数のプレキャスト壁高欄3Bは残りの区間A2内に設置されている(図1(a),(b)参照)。また、プレキャスト壁高欄3Aの既設壁高欄1側の鉛直端面は、既設壁高欄1の鉛直切断面1aに接合され、反対側の鉛直端面はプレキャスト壁高欄3Bの鉛直端面に接合され、さらに各プレキャスト壁高欄3Bの両側の鉛直端面はそれぞれ互いに接合されている。
また、プレキャスト壁高欄3Aと各プレキャスト壁高欄3Bの下端面は、床版部2の上にそれぞれ接合されている(図2参照)。
接合方法について具体的に説明すると、既設壁高欄1とプレキャスト壁高欄3A間は、既設壁高欄1の鉛直切断面1aに取り付けられた接合治具4の接合リブ4aをプレキャスト壁高欄3Aの鉛直端面に形成された凹溝5に挿入し、かつその周囲に超速硬流動性無収縮モルタル6を充填することにより接合されている(図3(a),(b)参照)。
接合治具4は、接合リブ4aと固定フランジ4bとから平面視T形状に形成され、特に接合リブ4aは孔あき鋼板ジベル(PBL)から形成されている(図3参照)。
また、接合治具4は、既設壁高欄1の鉛直切断面1aに複数のアンカー鉄筋8によって取り付けられている。特に、アンカー鉄筋8は、鉛直切断面1aに削孔され、かつ接着材10が充填されたアンカー鉄筋定着用孔9内に挿入することにより定着されている。そして、当該アンカー鉄筋8は接合冶具4の固定フランジ4bに溶接されている。
なお、アンカー鉄筋8には異形鉄筋(D16等)などが使用され、接着材10にはエポキシ樹脂などが使用されている。また、アンカー鉄筋8は接合冶具4の固定フランジ4bに予め溶接され、接合冶具4と共に一つの接合部材として設置されている。
プレキャスト壁高欄3Aとプレキャスト壁高欄3B間は、プレキャスト壁高欄3Bの鉛直端面に取り付けられた接合冶具7の接合リブ7aをプレキャスト壁高欄3Aの鉛直端面に形成された凹溝5に挿入し、その周囲に超速硬流動性無収縮モルタル6を充填することにより接合されている(図4(a),(b)参照)。
また、各プレキャスト壁高欄3B,3B間は、一方のプレキャスト壁高欄3Bの鉛直端面に取り付けられた接合冶具7の接合リブ7aを他方のプレキャスト壁高欄3Bの鉛直端面に形成された凹溝5に挿入し、その周囲に超速硬流動性無収縮モルタル6を充填することにより接合されている(図5(a),(b)参照)。
接合冶具7は、接合リブ7aと固定フランジ7bとから平面視T形状に形成され、特に接合リブ7aは孔あき鋼板ジベル(PBL)から形成され、また固定フランジ7bに複数のアンカー鉄筋8が溶接されている(図4,5参照)。したがって、接合冶具7は、接合冶具4と基本的に同一形状および同一寸法に形成されている。
また、接合冶具7の固定フランジ7bとアンカー鉄筋8は、プレキャスト壁高欄3Bの成形時にコンクリート内に埋設され、接合リブ7aのみがプレキャスト壁高欄3Bの鉛直端面に突出している。
各プレキャスト壁高欄3Bは、基本的に同一断面形状に形成されているが、橋軸方向の寸法は、撤去区間Aの割付け等により異なる場合がある。また、一般的に、プレキャスト壁高欄3Aには接合リブ7aが無く、両側の鉛直端面に凹溝5が形成されている。さらに、プレキャスト壁高欄3Aと3Bの下端部には複数のループ筋11が橋軸方向に一定間隔おきに突設されている。
以上の構成により、プレキャスト壁高欄3Aと既設壁高欄1間、プレキャスト壁高欄3Aとプレキャスト壁高欄3B間、および各プレキャスト壁高欄3B,3B間が互いに接合されている。
また特に、改修工事が撤去区間Aで一時的に中断される場合は、図6に図示するようにプレキャスト壁高欄3Bと既設壁高欄1間は仮固定用治具12によって仮接合される。
仮固定用治具12は、プレキャスト壁高欄3Bと既設壁高欄1の高さおよび厚さとほぼ同等の内法高さと内法幅を有し、真下に開口する溝形状に形成されている。
また、プレキャスト壁高欄3Bと既設壁高欄1の上端面に当接する天板部12aの内側にプレキャスト壁高欄3Bの端面に形成された凹溝5に係合する突起12bが形成されている。さらに、プレキャスト壁高欄3Bおよび既設壁高欄1の側部に当接する側板部12cに複数のボルト貫通孔12dが形成されている。
なお、プレキャスト壁高欄3Bおよび既設壁高欄1の高さおよび厚さ、並びにプレキャスト壁高欄3Bおよび既設壁高欄1の側部に当接する側板部12cについては、プレキャスト壁高欄3Bと既設壁高欄1の高さおよび厚さが異なる場合があるため、その状況に応じて段差を設ける等して仮固定用治具12を設計すればよい。
そして、このように形成された仮固定用治具12は、プレキャスト壁高欄3Bと既設壁高欄1間の接合部に上から被せられ、かつ側板部12cがボルト貫通孔12dを貫通する複数の仮固定用ボルト13によってプレキャスト壁高欄3Bと既設壁高欄1の側部に固定されている。
なお、図6に図示するように、仮固定用冶具12の両側板部12c,12cをプレキャスト壁高欄3Bと既設壁高欄1の両側部に複数の仮固定用ボルト13によって固定して、プレキャスト壁高欄3Bと既設壁高欄1間の両側部を仮接合することにより、プレキャスト壁高欄3Bと既設壁高欄1間をより強固に仮接合することができる。
仮固定用治具12は、両側の側板部12c,12cをプレキャスト壁高欄3Bおよび既設壁高欄1の両側部にボルト止めすることにより、プレキャスト壁高欄3Bと既設壁高欄1間をより強硬に仮接合することができる。また、仮固定用治具12は設計上適切な板厚の鋼板より形成されている。
このように構成されていることで、工事中断中の交通の安全を図ることができ、また、撤去区間Aに続いて次の区間の改修工事に着手するときは、仮固定用治具12を取り外して次の区間の改修工事に速やかに取りかかることができる。
なお、プレキャスト壁高欄3Aおよび各プレキャスト壁高欄3Bと床版部2間は、プレキャスト壁高欄3Aおよび各プレキャスト壁高欄3Bと道路床版部2との間にモルタル充填空間Bを設け、当該モルタル充填空間B内にプレキャスト壁高欄3Aおよび各プレキャスト壁高欄3Bの下端部に突設されたループ筋11と床版部2の上に突設された継ぎ鉄筋14を橋軸方向に交互に配筋し、その充填空間Bに超速硬高流動性無収縮モルタル6を充填することにより一体的に接合されている(図2参照)。
継ぎ鉄筋14は、床版部2の上面よりモルタ充填空間B内にループ状に配筋され、かつ両端が床版部2の上面に突設されたアンカー筋15に接続されている。また、継ぎ鉄筋14は橋軸方向にループ筋11と交互に重なるように配筋されている。アンカー筋15には拡底アンカー等が使用されている。
このような構成において、次に、本発明の既設壁高欄の部分更新工法の施工手順を説明する。
(1)最初に、既設壁高欄1の改修を必要とする一定区間Aを橋軸方向に切断して撤去する。区間Aの撤去は、たとえば、ワイヤーソーマシン等のカッターによって区間Aを鉛直方向と床版部2の床面上面部を橋軸方向に水平に切断することにより、取り扱い容易な長さに順次切断して撤去する。また、必要に応じて鉛直切断面1aの表面処理を行う。なお、撤去区間Aの長さは、プレキャスト壁高欄3Aおよび3Bの一個当たりの橋軸方向の長さ、作業効率などを参酌して決定する。
(2)次に、既設壁高欄1を撤去した区間Aの一方の既設壁高欄1の鉛直切断面1aにアンカー鉄筋定着用孔9を削孔する(図3参照)。アンカー鉄筋定着用孔9の口径、深さ、さらに数量、間隔などは設計に基づいて決定すればよい。
(3)次に、各アンカー鉄筋8の周囲に接着材10としてエポキシ樹脂を充填する。そして、接合冶具4の固定フランジ4bにあらかじめ溶接した複数の各アンカー鉄筋8を対応する各アンカー鉄筋定着用孔9内にそれぞれ挿入して固定する(図3参照)。
なお、アンカー鉄筋8には異形鉄筋(D16)、接着材10にはエポキシ樹脂を使用することができる。また、アンカー鉄筋8は接合治具4の固定フランジ4bに予め溶接して先付けしておくことにより部品数が少なくなり、取付けが容易になる。
(4)次に、接合治具4を取り付けた既設壁高欄1と隣接する区間A1に、プレキャスト壁高欄3Aを設置し、凹溝5を接合治具4の接合リブ4aと係合させる(図4,8参照)。
(5)次に、プレキャスト壁高欄3Aを設置した区間A1を除く区間A2に複数のプレキャスト壁高欄3Bを橋軸方向に互いに隣接させて設置し、かつ隣接する各凹溝5と接合リブ7aどうしを互いに係合させる(図5,8参照)。
なお、プレキャスト壁高欄3Aおよび3Bはクレーン等で吊り、対向する凹溝5と接合リブ4a、凹溝5と接合リブ7aをそれぞれ係合させ、上方より床版部2の上に落とし込むようにして区間A1およびA2内に設置することで、プレキャスト壁高欄3Aと3Bを既設壁高欄の撤去区間Aにきわめて効率的に設置することができる。
(6)そして、各プレキャスト壁高欄3Aおよび3Bと床版部2間の接合部および各凹溝5内に超速硬高流動性無収縮モルタル6を充填して、既設壁高欄1とプレキャスト壁高欄3A間、プレキャスト壁高欄3Aと3B間および各プレキャスト壁高欄3B,3B間をそれぞれ一体的に接合する。以上の施工手順により既設壁高欄の撤去区間Aの改修工事を完了する。
また特に、区間Aの改修工事完了後、改修工事を一時的に中断する場合は、図6に図示するようにプレキャスト壁高欄3Bと既設壁高欄1との接合部に仮固定用治具12を被せて、プレキャスト壁高欄3Bと既設壁高欄1間を仮接合する(図1、図6参照)。
仮固定用治具12は、プレキャスト壁高欄3Bと既設壁高欄1の両側部に、両側板部12c,12cのボルト貫通孔12dを貫通する複数の仮固定用ボルト13によってボルト締結することにより固定する。
そして、撤去区間Aに続いて次の区間の改修工事に着手するときは、仮固定用治具12を取り外して次の区間の改修工事に速やかに取り掛かることができる。
本発明は、高速道路などの道路橋の既設壁高欄を経年劣化や損傷などで、部分的改修を必要とする場合に、プレキャスト壁高欄を用いて急速かつ安全に改修工事を実施することができる。
1 既設壁高欄
1a 既設壁高欄の鉛直切断面
2 床版部
3A プレキャスト壁高欄
3B プレキャスト壁高欄
4 接合治具
4a 接合リブ
4b 固定フランジ
5 凹溝
6 超速硬高流動性無収縮モルタル
7 接合冶具
7a 接合リブ
7b 固定フランジ
8 アンカー鉄筋
9 アンカー鉄筋定着用孔
10 接着材
11 ループ筋
12 仮固定用治具
12a 天板部
12b 突起
12c 側壁部
12d 貫通孔
13 仮固定用ボルト
14 継ぎ鉄筋
15 アンカー筋
1a 既設壁高欄の鉛直切断面
2 床版部
3A プレキャスト壁高欄
3B プレキャスト壁高欄
4 接合治具
4a 接合リブ
4b 固定フランジ
5 凹溝
6 超速硬高流動性無収縮モルタル
7 接合冶具
7a 接合リブ
7b 固定フランジ
8 アンカー鉄筋
9 アンカー鉄筋定着用孔
10 接着材
11 ループ筋
12 仮固定用治具
12a 天板部
12b 突起
12c 側壁部
12d 貫通孔
13 仮固定用ボルト
14 継ぎ鉄筋
15 アンカー筋
Claims (4)
- 道路橋の床版部に設置された既設壁高欄の一定区間を複数のプレキャスト壁高欄と交換する既設壁高欄の部分更新工法であって、以下の工程からなることを特徴とする既設壁高欄の部分更新工法。
(1)前記既設壁高欄の橋軸方向の一定区間を鉛直方向と前記床版上面部を橋軸方向に切断して撤去する工程。
(2)前記既設壁高欄を撤去した区間の一方の既設壁高欄の鉛直切断面にアンカー鉄筋定着用孔を削孔する工程。
(3)前記既設壁高欄の鉛直切断面に、孔あき鋼板からなる接合リブと固定フランジとからなる平面視T形状の接合治具を前記アンカー鉄筋定着用孔に定着される複数のアンカー鉄筋によって取り付ける工程。
(4)前記既設壁高欄と隣接する位置に、橋軸方向の少なくとも一方の鉛直端面に凹溝を備えたプレキャスト壁高欄を設置すると共に、前記凹溝を前記接合治具の接合リブと係合させる工程。
(5)前記プレキャスト壁高欄を設置した区間を除く区間に、橋軸方向の一方の鉛直端面に凹溝、他方の鉛直端面に孔あき鋼板からなる接合リブをそれぞれ備えた複数のプレキャスト壁高欄を橋軸方向に互いに隣接させて設置すると共に、隣接する前記凹溝と接合リブどうしを互いに係合させる工程。
(6)前記凹溝内に超速硬高流動性無収縮モルタルを充填する工程。 - 請求項1記載の既設壁高欄の部分更新工法において、前記接合治具は前記既設壁高欄の鉛直切断面に複数の固定用アンカーによって取り付けることを特徴とする既設壁高欄の部分更新工法。
- 道路橋の既設壁高欄の一部が撤去された区間に設置されるプレキャスト壁高欄と、前記既設壁高欄の端部とを仮接合する既設壁高欄とプレキャスト壁高欄との仮固定方法であって、前記既設壁高欄が切断撤去された区間の既設壁高欄の端部と前記プレキャスト壁高欄の端部間に前記既設壁高欄と前記プレキャスト壁高欄とを仮接合する仮固定用治具を脱着可能に取り付けることを特徴とする既設壁高欄とプレキャスト壁高欄との仮固定方法。
- 請求項3記載の既設壁高欄とプレキャスト壁高欄との仮固定方法であって、前記仮固定用冶具を、前記既設壁高欄および前記プレキャスト壁高欄の高さおよび厚さとほぼ同等の内法高と内法幅を有する断面略溝形状に形成し、かつ前記既設壁高欄および前記プレキャスト壁高欄に複数の仮固定ボルトによって仮固定することを特徴とする既設壁高欄とプレキャスト壁高欄との仮固定方法。
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