JP6575035B2 - 木製部材の接合構造および接合金物 - Google Patents

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Description

本発明は、木製部材の接合構造および接合金物に関する。
従来、木造構造物の接合部には、木組みによる接合工法や、プレートとドリフトピン等の複数の接合金物を組み合わせて用いた接合工法が用いられてきた。また、近年では、多数の接合金物部品が必要となる煩雑な従来の接合工法に代えて、木製部材に溝を形成し、異形棒鋼などの棒状部材を埋設して接着剤を充填固化する接合工法が提案されている(例えば、特許文献1−3を参照)。木製部材に異形棒鋼などの棒状部材を埋設すると、接合強度が上がり、また、金物が露出しないため、金属の腐食を回避することができ、さらに金物がヒートブリッジとなって結露を生じる可能性を抑制することもできる。
特許第3370937号公報 特開2004−360458号公報 特開2003−193570号公報
従来の異形棒鋼を木製部材に埋設した場合、棒鋼と接着剤の界面における強度が、木製部材と接着剤の界面における強度および木製部材の強度よりも劣ることが多く、棒鋼に長手方向沿いの軸方向の荷重が作用すると、棒鋼と接着剤の界面が最初に破壊し、次いで楔効果によって木製部材が割裂破壊を起こす可能性があった。
そこで、本願は、従来は比較的破壊しやすかった接合金物と接着剤の界面の破壊を抑制することにより、建築物の構造材同士または構造材と非構造材の接合部分の強度を向上可能な木製部材の接合構造および接合金物を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明では、少なくとも孔からの引抜方向へ向かう面が接合金物の長手方向に対し垂直に形成された突起または溝を有する粗面部を外周面に形成することにした。
詳細には、本発明は、建築物の構造材同士または構造材と非構造材の接合部分に用いられる接合構造であって、前記構造材同士または構造材と非構造材のうち少なくとも何れかの構造材または非構造材として用いられる棒状または板状の木製部材の端部から前記木製部材の長手方向に向って掘られた孔または溝に挿入された棒状の接合金物と、前記接合金物が挿入されている前記孔または溝に充填された接着剤と、を備えており、前記接合金物には、少なくとも前記孔または溝からの引抜方向へ向かう面が前記接合金物の長手方向に対し垂直に形成された突起または溝を有する粗面部が、前記接合金物の棒状部の外周面に形成されている木製部材の接合構造である。
上記木製部材の接合構造であれば、棒状部の外周面に形成されている粗面部の突起または溝の表面のうち、少なくとも孔からの引抜方向へ向かう面が、接合金物の長手方向に対し垂直に形成され、立設面を形成している。よって、例えば、木製部材の孔または溝に充填された接着剤が粗面部の突起または溝の周りを埋めている状態で接合金物に軸方向の荷
重が作用しても、接着剤に対する接合金物の動きが立設面によって阻まれ、接着剤に対する接合金物の相対的な僅かな動きも抑制される。この結果、接合金物と接着剤の界面における破壊が殆ど生じない。このため、従来は比較的破壊しやすかった接合金物と接着剤の界面の破壊が上記接合構造によれば抑制され、建築物の構造材同士または構造材と非構造材の接合部分の強度が向上する。
なお、前記建築物は、木造の建築構造物であり、前記接合金物は、前記接合部分において柱を挟んで突き合わされる木製の各梁に各々形成される孔または溝に挿入されていてもよい。柱を挟んで突き合わされる木製の各梁を上記の接合金物で接合した接合構造であれば、木製の梁同士が従来よりも強固に接合される。
また、前記粗面部は、前記棒状部の周りに環状に形成された突起または溝を有するものであってもよい。粗面部の突起または溝が棒状部の周りに環状に形成されていれば、接合金物の長手方向に対し垂直に形成される立設面が棒状部の周りに環状に形成されることになるので、接合金物に軸方向の荷重が作用しても、接着剤に対する接合金物の動きを立設面で十分に阻むことができる。
また、前記粗面部は、前記棒状部の周りに周回形成された突起であり、部分的に切り欠かれた環状または花びら状の外形を有するものであってもよい。粗面部がこのように形成されていれば、接着剤が粗面部のきめ細かい部分に流れ込みやすくなるので、充填不良が抑制される。
また、前記接合金物は、前記木製部材の長手方向に向って掘られた孔に挿入された金物であり、前記木製部材の端面に位置する箇所から前記木製部材の孔の内径とほぼ同じ外径を有する平滑部を備えていてもよい。接合金物にこのような平滑部が設けられていれば、接合金物に軸方向の荷重が加わっても木製部材の接合面付近に集中する応力が緩和され、木製部材の接合面付近でせん断破壊が発生するのを抑制することができる。
また、前記接着剤は、前記木製部材の前記孔または溝のうち少なくとも前記接合金物の突起または溝の周りを埋めるように充填されていてもよい。木製部材の孔または溝に充填された接着剤が粗面部の突起または溝の周りを埋めている状態であれば、接合金物に軸方向の荷重が作用しても、接着剤に対する接合金物の動きが立設面によって阻まれ、接着剤に対する接合金物の相対的な僅かな動きも抑制され、接合金物と接着剤の界面における破壊が殆ど生じない。
また、前記粗面部は、前記棒状部の周りに形成される複数の突起を有し、前記粗面部を形成する前記複数の突起は、前記木製部材の端部側から前記木製部材の長手方向へ向かうに従い、各突起の突出量が順に増大していてもよい。粗面部がこのように形成される接合金物を接合構造に用いれば、木製部材の孔に接着剤で充填固化された状態で接合金物に引抜方向の荷重が加わっても、当該孔の開口部付近から破壊が進行することが抑制され、接合部分全体の接合強度が高まる。
また、前記棒状部は、前記木製部材の端部に位置する箇所に、周囲より細いくびれ部を有していてもよい。この場合、接合金物には、前記くびれ部を取り囲む座屈拘束部材が設けられていてもよい。このようなくびれ部を設けた接合金物を接合構造に用いれば、木製部材の孔に接着剤で埋め込まれた状態で軸方向の力が加わった場合に、くびれ部が降伏することにより、接合金物と木製部材との間の接着部分に加わる荷重が低減され、接合部分の破壊が抑制される。
また、前記接合構造は、前記木製部材の端面が相手材に突き合わされた状態において、
前記木製部材の端面の中心部に形成された孔に一端が嵌り、前記相手材の孔に他端が嵌るシアキーを更に備え、前記接合金物は、前記シアキーを中心に対称な位置関係で前記接合部分に複数備わっており、前記木製部材と前記相手材とを隙間を空けた状態で接合したものであってもよい。ここで、対称な位置関係とは、建築物が揺れた場合に、シアキーを挟んで配置される各接合金物のくびれ部が交互に伸縮することにより、シアキーを中心とした動きが発生する程度の接合金物の位置関係であればよく、幾何学的に厳密な対称の位置関係であることを要しない。このような接合構造であれば、シアキーを間に挟んで対称に配置される各接合金物は必要変形量が小さくなりくびれ部の長さも小さくて済む。
また、本発明は、接合金物としての側面から捉えることもできる。すなわち、本発明は、建築物の構造材同士または構造材と非構造材の接合部分に用いられる接合金物であって、前記構造材同士または構造材と非構造材のうち少なくとも何れかの構造材または非構造材として用いられる棒状または板状の木製部材の端部から前記木製部材の長手方向に向って掘られた孔または溝に挿入される棒状部を備え、前記棒状部には、少なくとも前記孔または溝からの引抜方向へ向かう面が前記接合金物の長手方向に対し垂直に形成された突起または溝を有する粗面部が、前記棒状部の外周面に形成されている木製部材の接合金物であってもよい。
上記木製部材の接合構造および接合金物であれば、従来は比較的破壊しやすかった接合金物と接着剤の界面の破壊が抑制されるため、建築物の構造材同士または構造材と非構造材の接合部分の強度が向上する。
図1Aは、実施形態に係る木製部材の接合金物の一例を示した斜視図である。 図1Bは、実施形態に係る木製部材の接合金物の正面図である。 図2は、接合金物を使った接合構造の一例を示した図である。 図3Aは、変形例に係る接合構造を示した図である。 図3Bは、斜めの梁を柱に接合した接合構造を示した図である。 図4は、粗面部の突起の変形例を示した図である。 図5は、従来例の接合金物を用いた接合部分における破壊の挙動を例示した図である。 図6は、実施形態の接合金物を用いた接合部分における破壊の挙動を例示した図である。 図7は、平滑部の変形例を示した図である。 図8は、粗面部の変形例を示した第1の図である。 図9は、粗面部の変形例を示した第2の図である。 図10は、粗面部の変形例を示した第3の図である。 図11は、図10の接合金物を木製部材の孔に接着剤で埋め込んだ場合の各突起と孔の内周面との間の隙間の寸法を記号で示した図である。 図12は、くびれ部を設けた接合金物の図である。 図13は、くびれ部に座屈拘束部材を設けた接合金物の図である。 図14は、くびれ部を設けた接合金物を適用した接合構造の一例である。 図15は、図14の接合構造の分解図である。 図16は、水平力が作用して柱が斜めになった状態における接合構造を示した図である。
以下、本願発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態は、本願発明の一態
様であり、本願発明の技術的範囲を限定するものではない。
<実施形態>
図1Aは、実施形態に係る木製部材の接合金物の一例を示した斜視図である。また、図1Bは、実施形態に係る木製部材の接合金物の正面図である。本実施形態に係る接合金物1は、木造構造物の接合部において木材同士の接合に用いることが可能な金物であり、細長い真っ直ぐな円柱状の棒状部2を備えている。また、棒状部2には、棒状部2の長手方向に対して垂直な立設面3aを有する突起または溝を有する粗面部3が、棒状部2の中央部を除く外周面に形成されている。粗面部3が棒状部2の中央部を除く外周面に形成されているため、接合金物1には、外周面に突起および溝の無い平坦な平滑部4が接合金物1の中央部付近に形成されている。接合金物1は、鋳造により製作してもよいし、鉄製の丸棒を切削加工して製作してもよいし、異形棒鋼の節を切削加工することにより製作してもよい。
図2は、接合金物1を使った接合構造10の一例を示した図である。接合構造10は、建築物の構造材同士を接合した接合構造であり、木造の建築物の構造材である木製の梁11同士を、柱12を間に挟んだ状態で接合している。上述した接合金物1は、各梁11の端部に形成された孔であり、各梁11の端部から梁11の長手方向に向って掘られた孔11aに挿入されている。また、接合金物1が挿入されている孔11aには、接着剤5が粗面部3の突起または溝を埋めるように充填されている。接着剤5としては、例えば、充填後に収縮せずに固化するエポキシ系樹脂あるいはモルタル樹脂といった建築土木用の接着剤が好適である。接着剤5は、梁11の表面から孔11aへ通ずる図示しない適宜の孔を通して孔11aの中へ充填される。
なお、上記接合構造10では、木製部材の孔に接合金物1が埋め込まれていたが、接合金物1は、例えば、木製部材に掘られた溝に埋め込まれてもよい。例えば、建築物の改修時、腐朽した柱や梁の一部を切り取って新たな材木を取り付ける場合に、柱や梁の端面に孔を設けて接合金物1を埋め込むことは容易でないが、柱や梁の側面から掘り下げた溝に接合金物1を埋め込むことで接合部分を容易に補強できる。
また、上記接合構造10は、建築物の構造材の接合部分において柱12を挟んで突き合わされる木製の梁11同士を接合しているが、本願で開示する接合構造はこのような形態に限定されるものではない。図3Aは、変形例に係る接合構造を示した図である。上述した接合金物1が用いられる接合構造は、例えば、図3Aに示すように、木造の建築物の構造材である柱22と梁21とを接合する接合構造20であってもよい。この場合、上述した接合金物1は、梁21の端部に形成された孔21aと、柱22に形成された孔22aに挿入されることになる。また、接着剤5は、梁21の孔21aと柱22の孔22aに充填される。さらに本願で開示する接合構造は梁と梁の継手箇所の接合構造に適用してもよい。
図3Bは、斜めの梁を柱に接合した接合構造を示した図である。上記実施形態や変形例に係る接合金物1は、図2や図3Aに示したように、木製部材を相手材へ垂直に接合する接合構造への適用に限定されるものでなく、例えば、図3Bに示す接合構造30のように、斜めの梁31を柱32に接合する部分に適用することも可能である。
また、上記実施形態に係る接合金物1には、棒状部2の周りに環状に形成された突起または溝を有する粗面部3が設けられているが、接合金物1の粗面部3はこのような形態に限定されるものではない。図4は、粗面部3の突起の変形例を示した図である。粗面部3の突起は、例えば、図4(A)や図4(B)に示すように花びら状の突起を棒状部2の周りに周回させたものであってもよいし、図4(C)や図4(D)に示すように部分的に切
り欠かれた環状の突起を棒状部2の周りに周回させたものであってもよい。花びら状の突起や部分的に切り欠いた突起によって形成される粗面部3であれば、接着剤5が粗面部3のきめ細かい部分に流れ込みやすくなるので、充填不良が抑制される。
なお、図4(A)や図4(B)に示す花びら状の突起および図4(C)や図4(D)に示す突起の切り欠きは、棒状部2の長手方向沿いに整列していてもよいし、棒状部2の長手方向沿いに互い違いの位置関係で設けられてもよい。花びら状の突起や切り欠きが棒状部2の長手方向沿いに互い違いの位置関係で設けられていれば、接着剤5が粗面部3のきめ細かい部分に更に流れ込みやすい。
また、上記実施形態に係る接合金物1は、木製部材同士を接合するため、粗面部3が棒状部2の両端に形成されている。しかし、本願で開示する接合金物は、このような形態に限定されるものではない。本願で開示する接合金物は、建築物の接合部分において接合される構造材同士または構造材と非構造材のうち少なくとも何れかが棒状の木製部材を相手材と接合するものであればよく、例えば、木製の柱と板材との接合部分や、木製の梁と板材との接合部分、木製の梁と鉄製の柱との接合部分等に適用することも可能である。本願で開示する接合金物を木製の梁と鉄製の柱との接合部分に適用する場合、上記実施形態に係る接合金物1において、棒状部2の両端に各々形成される2つの粗面部3のうちの一方を省略し、代わりに鉄製の柱と接合するためのネジ山あるいはボルトを通す孔等を設けることが好ましい。
図5は、従来例の接合金物を用いた接合部分における破壊の挙動を例示した図である。鉄筋や長ネジといった従来からある金物は、長手方向に対して斜めに傾いた傾斜面を有している。よって、このような金物を木製部材の接合金物として用いると、例えば、図5(A)に示されるように、木製部材13に設けられている孔13aに挿入されて接着剤5で固定された接合金物101に設けられている粗面部103が、接合金物101の長手方向に対して斜めに傾いた傾斜面103bを有しており、接合金物101に軸方向の荷重が作用すると、接着剤5と接合金物101の界面にせん断力が作用し、界面の許容せん断強度を超えると、接着剤5と接合金物101の界面が破壊し分離する。接合金物101の粗面部103は傾斜面103bを形成しているため、接合金物101が接着剤5に対して僅かに動くと、図5(B)に示すように、楔効果によって接着剤5が接合金物101の長手方向に対して側方(図5において上下方向)に拡径し、孔13aが内側から押し広げられ、木製部材13が割裂する。
図6は、実施形態の接合金物を用いた接合部分における破壊の挙動を例示した図である。実施形態の接合金物1は、接合金物1の長手方向に対して垂直な立設面3aを有しており、接合金物1の長手方向に対して斜めに傾いた傾斜面を有していない。よって、接合金物1に軸方向の荷重が作用しても、この軸方向の荷重の方向が立設面3aに対し垂直なので、接着剤5に対する接合金物1の界面での破壊が抑制される。このため、実施形態の接合金物1を用いた接合部分は、例えば、図6(B)に示すように、接着剤5と木製部材13の界面に近い木製部材13で破壊しやすくなる。したがって割裂破壊のようなばらつきの大きい破壊形態を回避することができる。
また、通常、木製部材の接合面(端面)にせん断力が集中すると、木製部材の割裂破壊が発生する場合があるが、実施形態の接合金物1には平滑部4が備わっているので、接合金物1に軸方向の荷重が加わっても木製部材の接合面に集中する応力が緩和される。よって、木製部材の接合面付近から始まる進行性破壊が発生するのを抑制することができる。
図7は、平滑部4の変形例を示した図である。実施形態の接合金物1は、平滑部4が粗面部3の細い部分と同じ外径となっていた。しかし、本願で開示する接合金物は、このよ
うな形態に限定されるものではない。平滑部4は、例えば、図7(A)に示すように粗面部3の太い部分と同じ外径となっていてもよいし、接合金物1が挿入される木製部材の孔の内径とほぼ同じ径となってもよい。これらの場合、平滑部4と木製部材の孔の間には接着剤を充填しなければ、接合金物1に引抜方向の荷重が加わった際の木製部材の接合面に集中するせん断力を緩和できる。よって、木製部材の接合面付近でせん断破壊が発生するのを抑制することができる。なお、平滑部4は、木製部材の端面に位置する箇所から長手方向に沿って軸外径(平滑部4の外径)と同一の長さ以上に形成していれば、木製部材の接合面から始まる進行性破壊を抑制することが可能である。なお、平滑部4は、図7(B)に示すように溝4aを一部に有することで非均一な外径となっていてもよい。
また、上記実施形態の接合金物1には、平滑部4が設けられていたが、本願で開示する接合金物1は、このような形態に限定されるものではない。上記実施形態に係る接合金物1は、粗面部3が棒状部2の外周面の全体に形成されており、平滑部4が省略されていてもよい。
図8は、粗面部3の変形例を示した第1の図である。実施形態の接合金物1は、粗面部3に多数の突起が細かく形成されていた。しかし、本願で開示する接合金物は、このような形態に限定されるものではない。粗面部3は、例えば、図8(A)や図8(B)に示すように、粗面部3を形成する突起が互いに離間配置されていてもよい。
図9は、粗面部3の変形例を示した第2の図である。実施形態の接合金物1は、接合金物1が挿入される孔への挿入方向へ向かう面と孔からの引抜方向へ向かう面の両方の面が接合金物1の長手方向に対し垂直に形成されていた。しかし、本願で開示する接合金物は、このような形態に限定されるものではない。粗面部3は、少なくとも孔からの引抜方向へ向かう面が接合金物1の長手方向に対し垂直に形成されていればよい。よって、粗面部3は、例えば、図9(A)や図9(B)に示すように、孔からの引抜方向へ向かう面が立設面3aを形成し、孔への挿入方向へ向かう面が傾斜面3bを形成するものであってもよい。少なくとも孔からの引抜方向へ向かう面が接合金物1の長手方向に対し垂直に形成されていれば、接合金物1に引張荷重が作用した場合に、接着剤5に対する接合金物1の動きを立設面3aが阻み、接着剤5に対する接合金物1の相対的な僅かな動きも抑制される。したがって、接合金物1と接着剤5の界面における破壊が防止される。
図10は、粗面部3の変形例を示した第3の図である。実施形態の接合金物1は、粗面部3に形成されている各突起の突出量が互いに同じであった。しかし、本願で開示する接合金物は、このような形態に限定されるものではない。粗面部3を形成する複数の突起は、例えば、図10に示すように、梁21等の木製部材の端部(図10に示す接合金物1の中心部)側から木製部材の長手方向(図10に示す接合金物1の両端方向)へ向かうに従い、各突起の突出量が順に増大していてもよい。粗面部3を形成する複数の突起の突出量が、木製部材の端部側から木製部材の長手方向へ向かうに従って順に増大していると、接合部分の破壊を更に抑制することができる。
図11は、木製部材の端部側から木製部材の長手方向へ向かうに従い、各突起の突出量が順に増大している図10の接合金物を木製部材の孔に接着剤で埋め込んだ場合の各突起と孔の内周面との間の隙間の寸法を記号(d〜d)で示した図である。木製部材の孔に接着剤で埋め込まれた金属製の棒材等に引抜方向の荷重を加えると、通常、木製部材は、孔の底部付近よりも孔の開口部付近の方が荷重に耐えられずに破壊する。これに対し、図10に示す接合金物1のように、木製部材の端部側から木製部材の長手方向へ向かうに従って各突起の突出量が順に増大していれば、木製部材の端部側から木製部材の長手方向へ向かうに従い、突起と孔の内周面との間の隙間の寸法が徐々に小さくなる(d>d>・・・・>d>d)。硬化した接着剤のヤング率は金属のヤング率より低いため、
図10に示す形状の接合金物1に引抜方向の力が作用しても、突起と孔の内周面との間の隙間の寸法が比較的大きい孔の開口部付近において木製部材に加わる荷重が接着剤の変形によって緩和される。この結果、接合金物1を埋め込んだ孔の開口部付近からの進行性破壊が抑制され、接合部分全体の接合強度が高まる。
なお、図10に示す接合金物1のように、木製部材の端部側から木製部材の長手方向へ向かうに従って順に増大する各突起の突出量は、接合金物1の長さや太さ、接着剤の物性、木製部材の強度等によるが、例えば、各突起から接着剤へ加わる力によって接着剤に生じるせん断歪みが一定になるように各突起の突出量が決定されることが好ましい。
図12は、くびれ部を設けた接合金物の図である。実施形態の接合金物1は、木製部材の端部に位置する箇所が周囲と同じ太さであった。しかし、本願で開示する接合金物は、このような形態に限定されるものではない。実施形態の接合金物1は、例えば、図12に示すように、木製部材の端部に位置する箇所(図10に示す接合金物1の中心部)に、周囲より細いくびれ部6を有していてもよい。くびれ部6は、図12に示すように側面視矩形状の溝が平滑部4の外周面を周回するように形成されていてもよいし、或いは、側面視円弧状の溝が平滑部4の外周面を周回するように形成されていてもよい。くびれ部があることにより、金物の耐力が減少し、木製部材と接着剤と金物の接合部の脆性破壊が回避でき、金物の塑性変形を生じさせることが可能になることにより接合構造の靱性が向上する。
図13は、くびれ部に座屈拘束部材を設けた接合金物の図である。くびれ部6を設けた接合金物1は、例えば、図13に示すように、くびれ部6を取り囲む座屈拘束部材7をさらに設けてもよい。くびれ部6は、周囲より細いため、座屈しやすい部位といえる。そこで、くびれ部6に適度な座屈拘束部材7を設けることにより、くびれ部6の座屈を予防でき、くびれ部を均一に塑性化させることが可能となる。なお、座屈拘束部材7は、くびれ部6の外径とほぼ同径の内径を有し、接合金物1が埋め込まれる木製部材の孔の内径とほぼ同径の外径を有する断面視環状の部材であることが好ましい。
ところで、くびれ部6を設けた接合金物1は、例えば、次のような接合構造に好適である。図14は、くびれ部を設けた接合金物を適用した接合構造の一例である。接合構造40は、くびれ部6を設けた接合金物1で建築物の構造材同士を接合する構造であり、木造の建築物の構造材である木製の梁41と柱42とを接合する。接合構造40は、梁41の端面が柱42の側面に突き合わされた状態において、梁41の端面の中心部に形成された孔41pに一端が嵌り、柱42の孔42pに他端が嵌るシアキー8を備えている。そして、接合構造40に適用される接合金物1は、シアキー8を中心に上下対称な位置関係で梁41と柱42との接合部分に複数備わっており、梁41と柱42とを隙間を空けた状態で接合する。シアキー8は、接合構造40が接合する梁41と柱42との上下の相対的な位置関係を規定するための部品であり、梁41と柱42との上下の接合部分におけるせん断力を伝達する役割を担う部品である。よって、シアキー8は、せん断方向の荷重に耐える強度を有していることが必要で、例えば、円柱状の金属製部材等が好適である。
図15は、接合構造40の分解図である。接合構造40は、梁41の端面に形成された孔41aと柱42の孔42aとに接合金物1が差し込まれ、梁41の端面に形成された孔41pと柱42の孔42pとにシアキー8が差し込まれるようにしながら、梁41の端面を柱42の側面に隙間を空けて突き合わせることにより実現できる。
図16は、水平力が作用し柱42が斜めになった状態における接合構造40を示した図である。建築物が地震で揺れると柱と梁との接合部分に多大な力が加わり、例えば、図16に示すように、柱42が梁41に対して斜めになる場合がある。ここで、仮に、梁41
の端面が柱42の側面に密着した状態で接合金物1に接合されている場合、上下の2ヵ所に配された接合金物1のうち上側の接合金物1または下側の接合金物1の何れかに多大な引抜荷重が加わることになる。しかし、接合構造40は、シアキー8を中心に対称な位置関係で梁41と柱42との接合部分に複数備わっており、梁41と柱42とを隙間を空けた状態で接合しているため、図16(A)および図16(B)に示すような柱42の傾きが地震で生じた場合、接合部分ではシアキー8を中心として梁41と柱42が上下対称に変形する。接合金物1を配した接合構造40は、上側および下側の接合金物1のくびれ部6に圧縮力および引張力が作用する。この結果、金物に発生する変形および応力をほぼ半減することができる。
ところで、本願において「垂直」とは、以下のような誤差を含む概念である。すなわち、実施形態の接合金物1において、粗面部3の突起または溝が形成する引抜方向側の立設面3aの、接合金物1の長手方向に対する角度は、少なくとも接合金物1と接着剤5の界面が軸方向の荷重により破壊しない程度に垂直であるか、または破壊しても楔効果の影響が小さい角度であればよい。
なお、想定している接着剤5の引張強度は10N/mm程度であり、このような強度を有するものとしては、例えば、土木建築用の補強材であるアイカ工業株式会社製のジョリシールJB−3(「ジョリシール」は登録商標)を挙げることができる。
10,20,30,40・・接合構造
11,21,31,41・・梁
11a,13a,21a,22a,41a,42a・・孔
12,22,32,42・・柱
13・・木製部材
1,101・・接合金物
2・・棒状部
3,103・・粗面部
3a・・立設面
3b,103b・・傾斜面
4・・平滑部
4a・・溝
5・・接着剤
6・・くびれ部
7・・座屈拘束部材
8・・シアキー

Claims (5)

  1. 建築物の構造材同士または構造材と非構造材の接合部分に用いられる接合構造であって、
    前記構造材同士または構造材と非構造材のうち少なくとも何れかの構造材または非構造材として用いられる棒状または板状の木製部材の端部から前記木製部材の長手方向に向って掘られた真っ直ぐな孔または溝に挿入された棒状の接合金物と、
    前記接合金物が挿入されている前記真っ直ぐな孔または溝に充填された接着剤と、を備えており、
    前記接合金物は、円柱状の棒状部を含み、
    前記棒状部は、当該棒状部の中央に形成されたくびれ部と、
    前記くびれ部を除く外径が一定の所定部分の外周面に、前記くびれ部を挟んで対称に形成された一対の粗面部とを含み、
    前記棒状部の長手方向において前記一対の粗面部の各々が占める割合は前記くびれ部が占める割合よりも大きく、
    前記一対の粗面部の各々は、前記外周面からの突出量が一定になるように前記棒状部の長手方向に対して垂直に形成された複数の突起を含み、
    前記複数の突起の各々は、前記複数の突起が前記一対の粗面部の各々の長手方向の全域にわたって配列されるように、互いに、前記所定部分の直径の長さよりも小さい間隔で配置されている、
    木製部材の接合構造。
  2. 前記建築物は、木造の建築構造物であり、
    前記接合金物は、前記接合部分において柱を挟んで突き合わされる木製の各梁に各々形成される真っ直ぐな孔または溝に挿入されている、
    請求項1に記載の木製部材の接合構造。
  3. 前記接合金物には、前記くびれ部を取り囲む座屈拘束部材が設けられている、
    請求項1または2に記載の木製部材の接合構造。
  4. 前記木製部材の端面が相手材に突き合わされた状態において、前記木製部材の端面の中心部に形成された孔に一端が嵌り、前記相手材の孔に他端が嵌るシアキーを更に備え、
    前記接合金物は、前記シアキーを中心に対称な位置関係で前記接合部分に複数備わっており、前記木製部材と前記相手材とを隙間を空けた状態で接合する、
    請求項1または2に記載の木製部材の接合構造。
  5. 建築物の構造材同士または構造材と非構造材の接合部分に用いられる接合金物であって、
    前記構造材同士または構造材と非構造材のうち少なくとも何れかの構造材または非構造材として用いられる棒状または板状の木製部材の端部から前記木製部材の長手方向に向って掘られた真っ直ぐな孔または溝に挿入される円柱状の棒状部を備え、
    前記棒状部は、当該棒状部の中央に形成されたくびれ部と、
    前記くびれ部を除く外径が一定の所定部分の外周面に、前記くびれ部を挟んで対称に形成された一対の粗面部とを含み、
    前記棒状部の長手方向において前記一対の粗面部の各々が占める割合は前記くびれ部が占める割合よりも大きく、
    前記一対の粗面部の各々は、前記外周面からの突出量が一定になるように前記棒状部の長手方向に対して垂直に形成された複数の突起を含み、
    前記複数の突起の各々は、前記複数の突起が前記一対の粗面部の各々の長手方向の全域にわたって配列されるように、互いに、前記所定部分の直径の長さよりも小さい間隔で配置されている、
    木製部材の接合金物。
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